自社株買いって、どうやるの?

インボイスの自社株買い付けについては、インボイス、分割後の自己株買い(第5回)で、

自社株買いの一般論の実務として、証券取引法上の「相場操縦的行為」にならないようにするには、どういう発注をすればいいのか?

という疑問を呈させていただきましたが、これに関する答えの一つとして、自社株買いに関する内閣府令が出ています。
上場等株券の発行者である会社が行う上場等株券の売買等に関する内閣府令
(平成十三年九月二十一日内閣府令第七十二号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13F10001000072.html
ここで、証券会社、価格、数量などについての取り決めが行われています。

(取引所有価証券市場における上場等株券の買付けの要件)
第二条  発行会社は、取引所有価証券市場において商法第二百十条 若しくは第二百十一条ノ三 の規定又はこれらに相当する外国の法令の規定に基づく上場等株券の買付け又はその委託等(以下「上場等株券の買付け等」という。)を行う場合は、次の各号に定める事項について、当該各号に定める要件を満たさなければならない。
一  証券会社の数 一日に二以上の証券会社に対して、上場等株券の買付け等を行わないこと。

↑つまり、必ず一日一社の「手口」になるわけです。

二  上場等株券の買付け等の注文の時間 上場等株券の買付けを行う取引所有価証券市場を開設する証券取引所(以下単に「証券取引所」という。)の規則の定めるところによる当該取引所有価証券市場における売買立会の売買の終了すべき時刻の三十分前から当該時刻までの間(以下この号において「直前三十分間」という。)以外の時間に、上場等株券の買付け等の注文を行うこと(直前三十分間以外の時間に行う上場等株券の買付け等の注文であって、あらかじめ直前三十分間に上場等株券の買付けを行うことを約すものは、直前三十分間に上場等株券の買付け等の注文を行うものとみなす。)。

当日の終値に影響を与えようとする「終値関与」はさせないよ、ということなので、(通常)14:30までには発注し終わらないといけないということです。

三  上場等株券の買付け等の注文の価格 上場等株券の買付け等の注文の価格については、次に掲げるいずれかの方法により行うこと。
イ 証券取引所の定める規則により当該証券取引所においてその日の売買立会の始めの売買の価格が公表されるまでに行う上場等株券の買付け等の注文にあっては、当該証券取引所において公表された当該上場等株券の前日の最終の売買の価格(公表された同日における最終の気配相場の価格を含み、その最終の売買の価格及びその最終の気配相場の価格のいずれもない場合には、同日前の最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格が公表された日で当該前日に最も近い日における、その最終の売買の価格又はその最終の気配相場の価格とする。)を上回らない価格(上場等株券の買付け等の注文を当該上場等株券の配当落ち又は権利落ち後に行う場合で、当該注文に係る上場等株券につき当該証券取引所が当該注文の直近に公表した当該取引所有価証券市場における価格が配当落ち又は権利落ちの前のものであるときは、当該注文に係る上場等株券につき当該証券取引所が当該注文の直近に公表した当該取引所有価証券市場における価格から配当又は権利の価格を控除した価格を上回らない価格)の指値により行うこと。

つまりは「寄付(よりつき)」で発注するには、「前日の終値以下」の「指値」で発注しなければならず、

ロ 証券取引所の定める規則により当該証券取引所においてその日の売買立会の始めの売買の価格が公表された後に行う上場等株券の買付け等の注文にあっては、その日に当該注文を行う時までに公表された売買の価格(上場等株券につき証券取引所において公表された当該取引所有価証券市場における売買の価格をいう。以下この号において「公表価格」という。)のうち最も高い価格を上回る価格の当該指値による当該注文を行うものではなくかつ直近の公表価格(当該証券取引所が定めるところにより気配相場の価格の公表が行われている場合は、当該気配相場の価格)を上回る価格の当該指値による当該注文を反復継続して行うものでないこと

「ザラ場」で発注するのであれば、その日の高値以下で、かつ、直近の株価をあまり反復継続して超えないような指値、で注文すること、となってます。
この文章、
NOT(高値超の指値) AND NOT(直近の株価超の反復継続した指値)
という構造になってるんですが、非常に日本語としては読みにくくて、指値の否定ということは成行注文OKなのかと思いきやそうではなく、指値のみ。(成行はダメ。)
後半は、反復継続しなければ直近価格を超える指値はしてよい(ただし当日の高値以下)と解釈するとのことです。
「反復継続」というのがどの程度を指すのかは、特に、規定等が無い模様です。
ということは、実際には、あまりチョコマカやらなければ、当日の高値以下の指値であれば、文句言われなさそう、ということのようです。(注:後述の一般的な公正取引の要件に注意。)
まとめると、以下の図のようになります。
jishakabu_sasine.JPG
次に、一日の発注量に関する条項ですが、

四  上場等株券の買付け等の注文の数量 上場等株券の買付けを行う取引所有価証券市場において、一日に行う上場等株券の買付け等の注文の数量の合計が、次に掲げるいずれかの方法により算出した数量を超えないこと。
イ 上場等株券の買付けを行う日(以下「買付日」という。)の属する週の前四週間における当該取引所有価証券市場における当該上場等株券の売買数量(立会外売買(証券取引所の定める規則による売買立会によらない方法による有価証券の売買をいう。以下同じ。)の売買数量を除く。)を当該四週間の当該取引所有価証券市場における売買立会が行われた日数で除した数量を売買単位(証券取引所が定める当該上場等株券の売買単位をいう。以下同じ。)で表した売買単位数(以下この号において「一日平均売買単位数」という。)に百分の二十五を乗じた売買単位数
ロ 上場等株券の買付日の属する月の前六月間における当該取引所有価証券市場における当該上場等株券の売買数量(立会外売買の売買数量を除く。)を六で除した数量を売買単位で表した売買単位数(以下この号において「月間平均売買単位数」という。)の区分に応じ次に掲げる数量
(1) 月間平均売買単位数が四百売買単位数以上の銘柄 十売買単位数又は一日平均売買単位数に百分の五十を乗じた売買単位数(当該売買単位数が三売買単位数を下回る場合は、三売買単位数)のいずれか少ない数量
(2) 月間平均売買単位数が二百売買単位数以上四百売買単位数未満の銘柄 五売買単位数又は一日平均売買単位数に百分の五十を乗じた売買単位数(当該売買単位数が三売買単位数を下回る場合は、三売買単位数)のいずれか少ない数量
(3) 月間平均売買単位数が二百売買単位数未満の銘柄 三売買単位数

これも、読みにくいですが、「イ」か「ロ」、どちらかの要件を満たせばOKとのことなので、そこそこ取引量のある企業の場合には、通常は、直前4週間の一日あたり平均売買高の25%まで発注できる、ということになります。
うーん、なるほど。
意図されたかどうかはともかく、インボイスさんが、株式分割の権利落ち後、子株が流通するまでの間に自社株買いを行ったところの「効果」としては、直前4週間の一日あたり平均売買高の25%以内というルールは守りつつ、実際には当日の流動性の25%を超えるような買付ができてしまう、ということがあるかも知れませんね。
(売買高の詳細データを見ていないので、よくわかりませんが、)
−−−
第二条は取引所の場合ですが、以下、第三条がJASDAQの場合、第四条がマーケットメイク銘柄の場合となりますが、同様ですので、省略。
この内閣府令は、自社株買いを行う際に守るべきルールの一つではありますが、当然、「価格操作をしてはいけない」等一般的な公正取引のルールも守らないといけないと思いますので、念のため。
そうした一般的な公正取引ルールについては、また別途。
(本日は、これにて。)

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ネット株IPOの大物への有罪判決

Wall Street Journalの本日の速報より。
元クレディ・スイスのFrank Quattroneという人が、ネット株IPOでの株の割りあてに関連して18ヶ月の懲役を言い渡された、という記事。
まず、この方のプロフィールですが、

During the Internet boom of the late 1990s, Mr. Quattrone was one of the highest-paid figures on Wall Street, earning as much as $120 million a year. His investment-banking stamp was on some of Silicon Valley’s flagship companies in the late 1990s — Amazon.com, Netscape Communications Corp., Cisco Systems and Intuit, among others.

ということで、AmazonやNetscape、Cisco、IntuitなどのIPOを手がけた方。
年間1.2億ドルの稼ぎ、というのは、会社の、じゃなくて、Quattrone氏の、ということでしょうね。

By late 2000, the government was looking into whether some CSFB clients had paid kickbacks in exchange for getting shares of hot IPOs. The IPO investigation closed with no criminal charges filed.

ということで、CSFBは2000年に顧客がホットなIPO株を入手するのにCSFBにキックバックを支払った容疑で捜査に入られたものの、何も出てこなかったわけですが、で、この方が何をやったかというと、

The charges stem from a 22-word e-mail in December 2000 that he forwarded from a subordinate, urging employees to “clean up” files as the government was investigating the firm’s allocations of initial public offerings.

つまりは「検査忌避」をした、ということですね。
(この判決、日本の某銀行の行方にも影響を及ぼすかも知れません。)
それにしても、22語のメールを転送しただけで、というのも「・・・・・・」という感じ。
メールも証拠になるんだ(当然)、というところも、転送でも、というところも怖い。

The sentence makes Mr. Quattrone, 48 years old, the most prominent Wall Street figure since junk-bond dealer Michael Milken to face time behind bars.

1990年の「ジャンクボンドの帝王ミルケン」への判決(10年)以来の「prominent」な判決とのことですが、アメリカだともっと証券取引法関係でガンガン有名人が捕まってるかと思いきや、意外にそうでもないんでしょうか。
ちなみに、ミルケン氏も刑務所から出てきて、現在では、ジャンクボンドでなく、eラーニングの会社等にベンチャー投資をされてます。2億ドルも罰金くらっても、まだまだお金持ちなんでしょうね。
この記事には、付録として、他の「high-profile white-collar cases」の一覧(プロフィール、罪状、判決内容等)も取り上げていて参考になります。
Martha Stewart、Peter Bacanovic(マーサスチュワートの証券会社の社員)、Andrew Fastow(エンロンのCFO)、Michael Milken、Ivan Boesky(チャーリー・シーンとマイケル・ダグラスが出ていた映画「Wall Street」のモデル)等。
証券取引というのは、「会社の権利」という非常に抽象的なものを小口化して売買するという、極めてバーチャルな行為なわけで、その市場の適正性を守るためには、ルール厳守が絶対条件です。
しかし、そのルールも、「人を殺してはいけない」とか「モノを盗んではいけない」というようなわかりやすい原初的なルールと違って、これまた極めて抽象的で複雑なルールですし、要は「いかに市場が効率的になるか」「市場参加者が安心して取引できることで、取引量が増えるか」というようなことを見ながらルールが決まっていく話なので、世相とともに、ルールのニュアンスもどんどん変わっていきます。
ご参考:「証券の『気持ち悪い』歴史」
上記の人たちはみんな「みんなやってるし、こんぐらいいいんじゃないの?」という感じで結果としてだんだん感覚がズレて犯罪になっちゃったのではないかと思います。
コンプラ最優先で仕事を発想する人はそういうことにはならないと思いますが・・・そういう人でも年収100億円とかになれるんでしょうか?
WSJの記事URL(有料):http://online.wsj.com/article/0,,SB109457145704811216,00.html

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インボイス、木村社長インタビュー

本日の日経朝刊19面に、インボイス木村社長のインタビューが載ってます。
聞き手は、こんな株式市場に誰がしたなどの著書がある編集委員の前田昌孝氏。

——企業の業績を高める立場でない株主にインセンティブ報酬を与える理由は何ですか。
 「ストックオプションの付与を株主が喜んでくれれば、株価が相対的に高くなる。高株価は効率的な資金調達につながり、財務体質の改善や業容の拡大に結び付く。株主を大切にする企業経営が、株主と当社の両方にプラスと感じたからだ」
 「(中略)経営陣や従業員にストックオプションを与え、株主には希薄化のツケを回す米国流の手法こそ疑問を感じる」

なるほど確かに、ポイズンピルなどのスキームでは全株主(買収者以外)にストックオプションを付与するというスキームがありますが、本当に全株主に付与するのは世界に類を見ない手法かもしれません。

——新奇性を装うが、実態は引受証券会社抜きの株主割当増資ではないでしょうか。目論見書が客観性を欠く恐れもあります。
 「確かに、まずは三百億円程度の資金を調達したいと考えた。様々な手段の中で株主によかれと思って今回の方法を選んだ。最大調達額が増えたのは、株価が六倍になったからだ。目論見書は自主的に証券会社の点検を受けている」

はい。昔からある株主割当増資と基本的には同じで、証券会社に支払う手数料がいらないわけですね。
ただ、会社側からしてみると、一度に株式の資金が払い込まれるのではなく、権利の行使期間が長くて、バラバラとお金が入ってくるところが違います。
株主にしてみても、一見、フレキシビリティが高まっているので、権利の価値はただの株主割当増資より高いとも言えますが、「他の人がどうするか」で価値が変わってくるところが難しく、行使するかどうか迷うんではないでしょうか。
株価は行使価格に張り付いてしまうのではないか?
後述のとおり、「千八百億円規模の事業計画は現段階では全くない」とのことですので、少なくとも全額払い込まれてしまうと、ROEは大幅にダウンし株価も下がるでしょう。行使価格を割れれば行使する人もいなくなります。どのへんで「均衡」するか、ということですが、いずれにせよ、22,300円より株価が上がろうとすると、このストックオプションが重しとなって引きずりおろされるので、22,300円近辺に張り付いちゃうかも知れません。
より悲観的なシナリオを考えると、PER300倍以上というインボイスの現在の株価は、今後も株価が大きく上がることを期待しての株価だとすると、値動きが22,300円近辺に張り付くことが長期化すると、投資家もあまり見向きしなくなる結果、行使価格を上回らない株価になる可能性もあります。
逆に、前向きに考えると、資金が何百億円も払い込まれることで、この2,300億円という時価総額がキャッシュで「担保」されることになり、さらにM&A等で収益性の高い事業を買収できれば、時価総額に見合ったキャッシュフローを得られることになる・・・かも知れません。
行使はどうやるのか?
行使の手続きもどうするんでしょうか。株主が10万人も押し寄せたら大変な事務量になります。
行使手続きの詳細はまだ未発表ですが、この手続きの条件の折り合いが付かなかったのか、今までインボイスの名義書換代理人は中央三井信託銀行だったのですが、9月1日からUFJ 信託銀行に入れ替えになってます。
http://www.invoice.ne.jp/pdf/9448_20040812.pdf
ちなみに、直近のプレスリリースでは、行使価格を22,300円から22,090円に下げてます。
新株予約権の発行および権利行使に伴う諸費用相当額の一部を行使手数料210円(消費税相当を含む)として行使時に徴求するので、その分、行使価格を下げていただいたようです。
(なんと親切な、と思いましたが、この手数料を受け取るのは誰なのでしょうか?インボイスさん本体?事務を受け付ける信託銀行?
インボイス本体で受け取るとすると、本来全額資本金または資本剰余金になるところが、資本剰余金と利益剰余金の比率を自由に設定できるとも言えますね。)
全部行使したら、今、だいたい800万株発行されてますから、事務を引き受けるところが手数料をもらえるとすれば、全部行使されたとすると手数料収入だけで20億円!(とらたぬ)

——税制などがはっきりしません。
「権利行使時点では課税されず、新株の売却時に譲渡益課税の対象になるとの説明を受けている。新株は年内はタンス株として特定口座に入れられると思う。未行使オプションの買い取り・転売も検討している。当社の努力で制度的な不透明感が解消し、後続企業が出れば意義深い」

当初のプレスリリースでは、ストックオプションには譲渡制限がついていたのですが、6月28日にこの譲渡制限をはずしています。
http://www.invoice.ne.jp/pdf/9448_20040628.pdf
より「報酬」ではなく「証券」の取引なのだ、という位置づけにして税務上の不確実性を少なくしようということかも知れません。
参考:「ストックオプション課税の高裁判決」
価格形成への関与

——六月末に一株を十一株に分割し、十株の子株が流通する前に大量の自社株買いをしました。過剰な株価関与では。
 「毎年、株主総会で決議して早期に自社株買いをしてきた。適法性は当局にも取引所にも証券会社にも確認した。当社は自社株買いの状況をガラス張りにしている。陰に隠れておかしなことをしている企業もあるのに、透明にして批判されるのは割り切れない」

そりゃそうですね。
ちなみに、インボイスさんが開示してらっしゃる「自社株買いの状況」は開示としては積極的な方だとは思いますが、開示内容は基本的に日別の購入株数と金額だけです。
不公正な価格形成かどうかは、具体的に直前の株価等との関係で、どんな価格で何株注文を入れたか、というような非常にミクロなデータが必要ですので、開示された資料からではなんとも判断しようがありません。
invoice_plot.JPG
開示された資料の毎日の平均取得価額の前日比と取得量をプロットしてみると上の図のようになります。この図からは、大量に買い付けた日に価格が上昇しているとは読み取れませんが、逆に、価格が下落している日に大量に買い付ける傾向があるようには読めなくもないです。
もちろん、前述のとおり、この資料だけではそうしたミクロな点は判断できませんし、インボイスさんが価格安定をされただろうというようなことを申し上げてるのではありません。
ただ、木村社長は「後続企業」が出ることを望まれているようですが、同じことを他の企業が証券取引法に触れていないというエビデンス等をきちっと残しつつ適法に実行するのは、法令知識やノウハウ面でかなり大変そうだなあ、ということは言えそうです。
(参考)証券取引法第百五十九条第1項
�何人も、政令で定めるところに違反して、取引所有価証券市場における上場有価証券等の相場をくぎ付けし、固定し、又は安定させる目的をもつて、一連の上場有価証券売買等又はその委託等若しくは受託等をしてはならない。

——千八百億円もの資金を何に使うのでしょうか。M&Aのファンドでも作るのですか。
 「いくら集まるかは今後の株価次第であり、まさに投資家の当社への期待度の表れだ。ただ、今回はまず二百億—三百億円を調達できれば意義深い。仮にそれ以上の資金が集まれば、もちろん有意義に使うが、千八百億円規模の事業計画は現段階では全くない」
 「資金が集まっても、脈絡もなくM&Aをするつもりはない。請求書の一本化という当社の本業の延長線上にある事業だけを対象にしたい」

(以上)

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トラフィック爆発時代の自社の「立ち位置」

先日のエントリー「Googleニュース日本版と「新聞の意味」(追記)」で、
「やはり、『既存メディア』が相対的に力を失って『分散化』が進んでいるという傾向は、世界的には当たってそうです。」
と書きましたが、考えてみるとこれは当然かも知れません。
image004.gif
Wall Street Journal(再掲)
「everything over IP」で「ユビキタス」な時代になってくると、ネットを使っている時間の内訳は、リアルの生活の時間のそれに漸近してくるはずですが、普通の人が「新聞」を読む時間というのは、1日5分とか10分とかそんなもんかと思います。
超長期には、新聞的情報のトラフィックのネット全体に占める比率は、
5分÷起きてる16時間=0.5%
あたりの数字に収束していっても不思議ではない。
しかも、それは全世界の新聞のトラフィック合計の話ですが、Alexaのグラフは中国のトラフィックもルーマニアのトラフィックもすべて含む概念なわけですから、日本やアメリカの特定の一新聞の相対的位置づけは、より早いスピードで低下するかも知れません。
ネット全体のトラフィックが爆発的に増加しているので、新聞に限らず、既存ネット上のサービスは、「同じこと」をやっている限り、すべて相対的な位置づけは右下がりになっていくことは間違いありません。
右下がりにならないためには、「新聞だけどblog的要素もある」とか「新聞だけどSNS的要素もある」などのエマージングな(おはしたない)要素をどんどん取り入れていく必要があるんでしょうね。
タイムワーナーがAOLと合併したのも、そういった危機感からだったかと思いますが、そうした既存メディアが新しい領域に乗り出そうという試みが成功するか(儲かるか)どうかは、当然、また別の話になります。
(ではまた)

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インボイス、分割後の自己株買い(第5回)

さて、インボイスさんの一連のファイナンス上のアクションについてのお勉強の続きです。
「インボイスの一連の取引について連載してるけど、これについて、”いい”とか”悪い”とか磯崎さんの評価はどうなの?」てなことを聞かれるのですが。
これらの記事は、「わけのわからん株式分割はけしからん」:-)かどうかという価値判断をしようということではなくて、ですね。ただひたすら、法令とマーケットメカニズムの観点から、そういうことをするとどうなるのか、ということについて、一般に開示された資料からできる限り「リバース・エンジニアリング」をしてみよう、ということです。
(もちろん、他の記事同様、これらの記事によって、投資の推奨を行うものでもありませんし、私が属するいかなる団体等の意見でもなく、私個人の意見であります。)
今まで(第1回第2回第3回第4回)の流れをYahoo!Japan Financeのチャートを見ながら整理してみましょう。
invoiceinc_20040906a.jpg
まず、3月24日に、「第1回無担保転換社債型新株予約権社債の株式転換行使終了に関するお知らせ」で、転換社債35億円がすべて株式に転換されたことが発表されます。
(特に、チャート上動きなし。)
続いて、5月24日に決算短信に加えて、配当方針変更、株式の分割が発表されます。
ここから売買高(棒グラフ)が活発になり、株価も急速に上げていくわけですが、自己株買いが発表される7月7日まで(青矢印)の範囲は、インボイスが自分で買っているわけではありません。
権利落ち直前の6月24日から商法上の分割が成立する8月19日まで(赤矢印の範囲)は、売買高が非常に小さくなっているように見えますが、これは、Yahooのチャートが権利落ち6月25日以前の売買高を11倍で表示しているからですね。絶対量としてどう変わったのか、このチャートからはあまりよくわかりませんね。
その後、自己株買いが7月7日に発表されるわけですが、大量に買っている割には株価は下がっていってます。(この間の日経平均を見ていただくと、市場全体が下がっていてそれと合わせて下がってることがわかります。)
nikkei225_20040906.jpg
買付額は、第1回(7/7〜7/30)の予定が95,645 株3,634,535,278 円(上限)で、結果が、67,942株、2,547,794,250円。
期間内に予定した枠全額が買い切れなかったので、第2回(8/2〜8/31) を発表しますが、この予定が34,831株、1,086,741,028円(上限)で、結果が、33,168株、1,086,725,130円。
結果として、101,110株、3,634,519,380円と、予定した上限3,634,535,278円との差はわずか15,898円。つまり、もう一株も買えないところまでパンパンに買い尽くした、ということになります。
invoice_jishakabugai_graph.JPG
発行済株式総数に対する買付の割合は12.8%。四季報などによると浮動株比率は27.4%とのことなので、その半分近くを買い付けたことになります。
残されたナゾ
今まで見てきたように、もちろん商法上の買付可能額や開示の要件はちゃんと満たしていらっしゃるようなのですが、開示資料から分析する限り、まだいろいろナゾは残ります。
例えば、その1
なぜ、分割後、子株が流通するまでのこの時期に買付を行ったのか?、
親株しか存在しないときにその浮動株の半分を買い付ければ、買い圧力が高まるように思えますが、ちょうど相場下落時に重なったとはいえ、買い付けによって株価が上がったというわけでもない。(むしろ、下がっちゃった。)
もし仮に、転換社債を引き受けた証券会社さんが持株を売却する間、安定的にそれを吸収する、というならわかる気もしますが、インボイスさんにとってのメリットは何なのか?
(まあ、その株を売り抜けた方がいらっしゃるとして、その方も「株主」なわけですから、株主全体のためになっているといえばなっていますが・・・。)
インボイスはもともと非常に簿価の安い自己株式を保有していたわけですが、それを転換社債の発行およびその転換で35億円の自己資本とキャッシュの増加に結びつけたのはいいとして、それを36億円の自己株式の買付に使っちゃったわけですから、一連の取引をぐるっと見てみると、自己株式の簿価が上がっただけで、実態としてあまり何も変わってないのではないでしょうか。
確かに、この間に株価があがったので時価総額は大きく上がってますが。
メインは、株主に付与されたストックオプションの行使なわけですから、そのときに株価を行使価格を超える価格に保って、行使を促し、大量のキャッシュインを確実にしたほうがよかったのではないか?
もちろん、意図的に価格を高く保つことは、次項のとおり証取法違反になる可能性があります。
例えば、その2
自社株買いの一般論の実務として、証券取引法上の「相場操縦的行為」にならないようにするには、どういう発注をすればいいのか?(成行、指値をどう組み合わせて発注するのか、指値はいくらで指すのか、つまり直前の価格より高かったり安かったりしてもいいのか、いけないのか。)
特に、当該株式を保有している証券会社が売っているときに、その証券会社を通じて買いを発注したりするのは、コンプラ上、非常にややこしくなりそうです。
(とりあえず、本日はこれにて。)

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休み+(レッズ−マリノス戦)

(本日分は、くじけましたので、休載とさせていただきます。)
−−−
土曜日は、招待券(ビューボックス)をもらって、埼玉スタジアムでレッズ−マリノス戦を家族で観戦。
reds_saitama.jpg
レッズ関係者側からいただいたので、横浜市民の私たちとしては、どちらを応援したもんかちょっと躊躇いたしましたが、別にマリノスにそれほど恩があるわけでもないので、あっさりレッズを応援。
その甲斐あってか、みごとにレッズ勝利。
ビューボックスからの観戦って初めてしましたが、入り口も違ったり、ちょっとVIPっぽくってエーもんですなー。雨にも濡れませんし。
次は、ホンモノのVIPボックスに挑戦したいものです。(都知事とか、ホントにVIPがご覧になってるそうで。)
(ではまた。)

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Googleニュース日本版と「新聞の意味」(追記)

昨日分では、5月が「エントロピー増加のピークだった」説を申し上げましたが、新聞だけじゃなくて、他の日本のメジャーなサイトをAlexaで見てみても、なぜか、5月が底、というところが多いですね。
例えば、infoseek
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また、例えば2ch.net
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これは、実際に相対的にトラフィックが(相対的に)増えているというよりは、この5月あたりから、日本でもAlexaのツールバーを使う人が増えてきた・・・つまり、国際的に日本のホームページのAlexa上のランクが高まった・・・ということだけかも知れませんね。
(つまり、Alexaの利用者の母集団とのバイアスの変化。)
英語メディアを見てみると、
NewYork Times
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Wall Street Journal
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てな感じで、「5月で反発」という感じではなく、「長期低落傾向は続いている」と読めます。
もともと米国の新聞は、地域分散型のメディアで、以前より日本の新聞社よりははるかに厳しい競争環境下にあったかと思いますので、そういった市場構造上の違いもあるかも知れませんが。
英国(Financial Times)でも同じく。
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・・・ということで、新聞社の方には大変残念なお知らせですが、やはり、「既存メディア」が相対的に力を失って「分散化」が進んでいるという傾向は、世界的には当たってそうです。
(ではまた。)

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Googleニュース日本版と「新聞の意味」

(5日連続でインボイスさんの一連のファイナンスの解説をする予定で、金曜日は最終回として「子株が流通していないうちの大量買付」について取り上げる予定でしたが、くじけました・・・。)
代わって、Googleニュースの日本版がスタートしたお知らせ。
google_news.jpg
http://news.google.co.jp/

KNNの神田さん曰く

901事件 日本のメディアに発生!
ボクはこの日が来るのを待ちわびていた。ずっとあきらめてきていたが、
ついに審判の日がやってきたと感じる。
本日以降のニュースはすべて
http://news.google.co.jp/のニュース検索で串刺しできるという時代になった〜!
一ヶ月もすればこの脅威をみんな知ることになるだろう!
メディアを各社のブランディングで読んでいた時代から、コンテンツに串刺しする時代がようやく日本に訪れたことと認識したい。

つまり、人がニュースを得るのに利用するものが、「メディア」ではなく「エージェント」に変わった記念日、とも言えるかも知れません。
しかし、確かに以前、「Blogによるコミュニケーションの変化(仮説)」(5月31日)を書いたときには、「既存型メディア」である新聞のホームページは長期低落傾向をたどっているように見えました。が、今、改めて見てみると、ちょうどそのころを底に再び復活トレンドになってますね。
asahi_nikkei_yomiuri20040902.jpg
(出所:Alexa
上述の私のエントリーでは、
「新聞という旧メディアの地位は、blogの登場により相対的に下がっていくんじゃないか?」
という危惧も考えられたのですが、上記のグラフを見ると、逆に、(これも[あまり根拠無く]blogに結びつけると)、blogで記事を引用・リンクする人が増えて、逆にトラフィックが呼び込まれているのかも知れません。
つまり、(やはり)、blogの増加によってエントロピーは限りなく増加していくのではなくて、2004年5月あたりがウェブの「エントロピー増加」のピークだった、とか・・・。それ以降は、blogなどの数やページビューこそ増加すれ、中身は新聞など「オリジナルな情報」の受け売りであって、全体として「本当の」情報量は増えなくなっちゃった・・・んだとしたら、神田さんの記事とは逆の意味でおもしろいかと。
つまり、「意味」「質」として、新聞のブランドというものの位置づけは大きく変化するが、「量」として考えると新聞のホームページの相対的なページビューのランクは保たれるのかも知れません。
・・・そんな大げさな話じゃなくて、単に夏休みシーズンに入って、blogを更新していた個人のペースが落ち、新聞へのトラフィックが相対的に上がった、というだけかも知れませんが。
いずれにせよ、こうしたニュースを「串刺し」で見れるということはすばらしい。
私個人的には、最近、Yahoo!Japanを使ってどこかのホームページに飛ぶということがほとんどなくなっちゃったのですが、ますますその傾向が強まりそうです。
(以上)

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インボイスの自己株式買い付け7月分(第4回)

インボイス、全株主にストックオプション(第1回)
インボイスの転換社債と自己株式(第2回)
インボイスの株式分割(第3回)
と、勉強させていただきましたが、ついに今期分の自己株式買い付けに入ります。
(第2回で述べたものは、前期分の自己株式買い付けで、今回のものは、今期6月の取締役会で承認された枠によるもの。)
7 月6 日
自己株式の買受けに関するお知らせ
(商法第211 条の3第1 項第2 号の規定に基づく自己株式の取得)

http://www.invoice.ne.jp/pdf/9448_20040706.pdf
自己株式取得可能額
「商法第211 条の3第1 項第2 号の規定に基づく自己株式の取得」とありますので、インボイスさんは、前回の株主総会で定款変更して「取締役会の決議をもって自己株式を買い受ける旨」を定款で定めた(商法211条ノ3)わけです。

第二百十一条ノ三
会社ハ左ニ掲グル場合ニハ取締役会ノ決議ヲ以テ自己ノ株式ヲ買受クルコトヲ得
一 其ノ子会社ノ有スル自己ノ株式ヲ買受クルトキ

二 取締役会ノ決議ヲ以テ自己ノ株式ヲ買受クル旨ノ定款ノ定アル場合ニ於テ第二百十条第九項本文ニ規定スル方法(注:市場買付または公開買付)ニ依リ自己ノ株式ヲ買受クルトキ

この条文によると、その買付可能額は、同条第3項のとおりでして、

同条�
前項ノ取得価額ノ総額ハ最終ノ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ第二百九十三条ノ五第三項第一号乃至第四号ノ金額及同条第一項ノ規定ニ依リ分配シタル金銭ノ額ノ合計額ヲ控除シタル残額ニ同条第三項第五号乃至第七号ノ金額ヲ加算シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ

つまり、資本の部の総額(純資産)より、商法293ノ5の規定(中間配当可能額)等、
1.資本金+資本準備金+利益準備金
2.最終の決算期に関する定時総会において積立てた利益準備金および中間配当の時に積立てることを要する利益準備金の合計額
3.最終の決算期に関する定時総会において利益より配当しもしくは支払うものと定め、または資本に組入れた額及自己資本取得の決議により定めた株式の取得価額の総額の合計額
4.その他法務省令に定めた額(繰延資産がある場合など)
の額を差し引き、中間配当をしていればその額も差し引き、資本準備金の取り崩し等をしていれば、その額を加えた額、となってます。
この商法上の自己株式の買付可能額を図示すると、以下の通りとなります。
image002.gif
前述「2」の積み立てを要する利益準備金ですが、インボイスさんは、すでに上図のように資本準備金が資本金の1/4以上あるので積み立て不要。
この条文に従って最大買付可能額を計算すると、プレスリリースにある決議額3,634,535,278円とぴったり一致します。(貸借対照表が千円単位の開示なので、それ以上わかりませんが、多分、円単位で枠一杯まで設定したのでしょう。)
取締役会は、商法上の枠をいっぱいいっぱい使って株式を買い付けることを決定した、ということになります。
(本日はここまで。明日はいよいよ、「子株が流通していないうちに大量買付を行うことが、どうなんでしょうか?」というあたりを。[予定])
(以下、参考条文)

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インボイスの株式分割(第3回)

一昨日昨日に続いて、本日もインボイスの一連のファイナンスについて勉強させてもらいます。
5月24日
株式の分割(無償交付)および新株予約権行使価額調整に関するお知らせ

http://www.invoice.ne.jp/pdf/9448_20040524-4.pdf
発表日:5月24日(月曜日)
権利付最終売買日:6月23日(水曜日)
権利確定日:6 月30 日(水曜日)
効力発生日: 8 月19 日(木曜日)
配当起算日:4 月1日(木曜日)
ちなみに、ご案内の通り、株式分割の場合、権利確定日(6 月30 日)の5営業日前が権利付の最終売買日となります。ですから、この場合、6 月30 日(水曜日)が権利確定日なら、この分割の権利を受けるためには6月23日(水曜日)までに株を買わないといけません。
また、分割した新株が売買できるようになるまでには、通常約2ヶ月の期間が必要です。
お気づきかと思いますが、インボイスの株式分割の特徴は、平成15年11月に行った「21分割」とか、この平成16年6月の「11分割」のように、「1」だけ端数が付く点。
10分割などのキリのいい数字の方が気持ちがいいのに、と思われるかも知れませんが、11分割だと、1株券を持っている人に10株券1枚を割り当てればいいので、株券の印刷費が安くつく頭のいい方法かも知れません。
一般の株式分割比率の傾向はどうなのか?
11分割はめずらしいと思い、一般の株式分割の傾向はどうなのかと思って、新聞の公告を一つ一つひろって、統計を作ってみました。
(公告画像ファイル出所:日経IRデータファイル
昨年9月から直近までのデータを拾っています。上記サイトに掲載があるもののうち、未公開会社、外国会社を除いて全部で345件。ほぼ1日に1回の割合で分割が行われていることになります。
日経IRに収録されてない分割や分類違い、直近でまだ掲載されてないもの、上場廃止で掲載されてない会社の分割などがあるかも知れません。(データ精査してないので、よろしくお願いいたします。)
image002.gif
上記のように、分割比率で最も回数が多いのが2分割。ついで、3分割、5分割、1.1分割、1.2分割などが多くなっています。
1.1とか1.2とかは配当代わりの株式の無償交付的な意味合いが強いのかもしれませんし、2〜5くらいまでのものは流動性の改善や株主数の増加を意図したもの、6を超えるものは、分割をきっかけに何か財務的なアクションを起こそうという意図が見え隠れするものが多いのではないかと思います。
また単元株制度を採用していない1株単位で売買できる銘柄と、単元株制度を採用しているところでも、分割後の端株の出方などを考えて、比率に影響があるかも知れません。(今回、未調査。)
逆に、ケースが少ないものは、今回のインボイスの分割(11分割)の他は以下の通り。
1000分割:ニューディール(株)
これは、同時に1000株を1単元としているので流動性としては同じです。
ただし、一般には大きな比率の分割の場合、新株が売買できるようになるまでの約2ヶ月、流動性が極端に下がりますし、また親株の価値が大きく下がり、信用取引の担保にする代用証券等としての価値も新株が到着するまでは大きく下がるなど、いろいろ影響が出ます。
このニューディールの例では、子株の追加発行ではなく、親株券自体を提出させて完全入れ替えしてます。
200分割:松下電工インフォメーションシステムズ(株)
これも、同時に100株を1単元としているので、実質は2分割です。
100分割:ご存じ(株)ライブドア
やはり、ライブドアのが実質的にはこの1年でもっとも大きな分割だったわけですね。
15分割:(株)メガネスーパー
6分割:データベース・コミュニケーションズ(株)
3.1分割:ビービーネット(株)
なぜ3.1なのかちょっとナゾですね。3にすれば端株が出ないんですけどね。
2.5分割:(株)ビック東海
1.4分割:(株)音通
1.4分割が1社だけというのはちょっと意外な気もしますが、1.3でなければキリのいい1.5にしちゃう、ということでしょうか。
1.25分割:(株)ライトオン
唯一、小数点以下2桁の分割。
1単元100株なので、4の倍数の単元をもっていれば単元未満の端数は出ませんが・・・。
株式分割は増えているのか?
公告月毎の株式分割件数(ピンク)と分割比率の平均(紺色)のトレンドは下の図のとおり。
(分割比率の平均は、100分割以上の事例は除いて修正しています。)
image004.gif
これを見ると、2月3月の決算期シーズンの出っ張りを除けば、なんとなく右上がりのトレンドが見て取れるのではないかと思います。
やはり、分割は増えつつあるわけですね。
(ご参考まで。)

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