(まだ2019年の小晦日の23時過ぎですが、海外弾丸男一人旅をしている予定ですので)、
あけましておめでとうございます。
一年の最初なので、昨年の記事を一覧する「総集編」をお届けします。
(こちらのブログはnoteに移転してますが、今回は特別にこちらに掲載しています。)
2019年のテーマは、
- 信託型ストックオプションよりシンプルなスキームを考える
- VCの従業員インセンティブ
- ベンチャーキャピタルGPの新ストラクチャー
- 法人GPの税務
など、VCやスタートアップのインセンティブに関するものが多くなりました。
こうしたエクイティファイナンス系のインセンティブは、「単なるベンチャーの話」にとどまらず、現在、日本社会が抱える問題を根本から変える手段であり、日本経済に(もしかしたら)インパクトを与えうるご提案になっているんじゃないかと思います。
(ベンチャーキャピタルGPの新ストラクチャーや従業員インセンティブについては、現在まさに実際の契約や登記等に落として改良版を作成しているところですので、2020年に入ってからまた発表できれば、と思います。)
その他、個別のテーマとしては、
- 総集編(2018年、2019年上半期)
- ソフトバンク上場(昨年からの続き)
- 上場前後の資本政策(2018年12月〜2019年10月)
- 海外オファリングの研究
- VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV)
- 西安を見てきた、ご報告
等がありました。
いつもと同様、当然のことながら、これらは法的助言を行うことを目的とするものではなく、財務その他の観点からの検討が中心です。実際の解釈や運用にあたっては、弁護士、税理士等の専門家の意見を参考にしてください。
以下、一覧:
■信託型ストックオプションよりシンプルなスキームを考えるシリーズ
週刊isologue(第460号)2018年のベンチャーのオプション実務展望(その2)でも取り上げた「信託型ストックオプション」ですが、このシリーズでは、それをもっとシンプルでわかりやすく、かつ格段に低コストにした仕組みは作れないか?ということを考えました。
信託型ストックオプションとは
信託型ストックオプションは、「大きなキャピタルゲインを入社時期に関係なく享受できる」「フレキシブルにインセンティブを設計できる」という「利点」がありますが、法的にはやや複雑で、組成のためのコストが非常に高い(聞くところによると3桁〜4桁万円前後)という特性があるようです。
「フレキシブル」なインセンティブは「利点」なのか?
私は、適法性やコストといったこと以前に、信託型ストックオプションで言われる、「入社時期に関係なく大きなキャピタルゲインを享受できる」「業績等に応じたフレキシブルなインセンティブ体系が設計できる」というのが本当に「利点」なのか?という、そもそもの点にちょっと疑問を持っています。
なぜなら、シリコンバレー等の企業群があれほど成長しているのを見ると、「後から入った人の行使価格は高い」「付与時にインセンティブの量が決まってしまう」というのがそれほどの欠点ではないんじゃないんじゃないの?という気がするからです。
むしろ、事前に定められた一定の方法や事後的な評価で「フレキシブルに」業績評価をする方法は、日本の伝統的企業でも行われておりますので、もしかすると逆に、平成30年間に、ここまでシリコンバレー等の企業と日本の企業が差がついた原因は、そうした旧来型の(「フレキシブル」な)インセンティブ体系そのものにあったのだ、ということはないでしょうか?
つまり、スタートアップが取り組むような変化の激しい成長領域では、やってみないとわからないことが多いので、事前に何を評価基準とするかを設計することが困難なことが多いかと思います。その一方で、「企業価値が上がれば、創業者も従業員も投資家も皆ハッピー」なのは、ほぼ確実です。
このため、「業績の評価者(上司)にウケるか?」「自分が得意かどうか?」「直接自分の手柄になるか?」「優秀なやつを紹介すると、会社のためにはなるけど、自分の立場は危うくなるんじゃないか?」といったことは考えず、「とにかく会社の企業価値が上がることをやろう」(だから企業価値に連動する一定の財産権を付与します)という、シンプルで、かつ自分の置かれる今後の状況の変化に左右されないインセンティブこそが、スタートアップには向いていて、だからこそシリコンバレーの企業群はあそこまで発展したのだ、と考えると、(ノーベル経済学賞を受賞した不完備契約理論にも合致して)素直な気がします。
例えば、「10万株分のストックオプションをもらっており、行使価格が1ドルだから、上場して30ドルになれば、300万ドル分の株式になる」というのがシンプルに、さっと計算できることがインセンティブに繋がってきた可能性があるのではないかと思います。これはVCの業界のインセンティブが世界的に「two-twenty(2%-20%)」で、キャピタルゲインの20%がベンチャーキャピタルのGPに対して入ることや、「海賊船の山分けシステム」など、同じく将来の不確実性が非常に大きい環境下でのインセンティブにも似ているかもしれません。
「組合」を使ったインセンティブ・スキーム
ということなので、以下述べるアイデアで「フレキシブルな」インセンティブ設計をするのがオススメですよ、ということでは必ずしもないのですが、
「もし仮に信託型ストックオプションをやるんだったら」、その代わりに、その特徴を残しつつも、「オプションではなく生株を、信託ではなく組合を使ったら、より法的にシンプルで、格段に低コストな仕組みができるのでは?」というアイデア(「組合型リストリクテッドストック」と勝手に命名しました)、について考えてみました。
(第523号)信託型SOよりシンプルなスキームを考える(その1)
- 「信託型有償ストックオプション」とは
- 上場企業のスキームの事例
- 信託業の免許がない人が信託を受託していいのか?
- 金商法的な観点からの適法性
- 未上場企業のスキームの事例
- 税務上の取り扱い
- 信託型有償ストックオプションのコスト
- 会計上の取り扱い
- 信託型有償ストックオプションの「利点」
- 「組合」「生株」を使ったアイデア(要旨)
(第524号)信託型SOよりシンプルなスキームを考える(その2)
概要のイメージは、先週の通り、
- 創業者等が株価の低い段階で民法上の組合に普通株式等を現物出資
- 従業員が組合に参加
- 一定の評価式に基づいて分配割合が変更され、従業員は株式を取得できる
という、すごくシンプルなものです。
今週は、「信託型ストックオプション」と比較して、この「組合型リストリクテッドストック」に以下のようなメリットがあることを見ていきます。
- 組成コストが安い
既存の株式を現物出資する場合には、組合契約書を1種類作るだけなので、数百万円もの組成費用は不要。 - シビアな時価算定が不要
ストックオプションよりはるかに課税当局との「時価」の見解の相違のリスクが小さい、生の株式を用いるため、高額の算定費用を第三者に支払う必要性が小さい。 - 組成時に課税されない
信託に金銭を渡す際に法人税が課税されるのと異なり、組合に株式を現物出資する際には、課税が発生しない。 - 行使のための資金が不要
後から入社した人でも行使価格が低いのが信託型ストックオプションのウリですが、この方式なら、低いどころか行使資金不要です。 - 行使の事務・タイムラグがない
もともと株式なので、従業員にとって、行使のための事務手続きやタイムラグがない。
また先週述べた通り、インセンティブを業績等に合わせてフレキシブルに設計できるというのは、私はスタートアップのインセンティブとしての「利点」なのか?という疑問があるので、この方式を勧めているわけでもありません。
目次とキーワード
- 組合組成の手順
- キャッシュは(あまり)必要ない
- シビアな算定は不要
- 従業員の評価と「分配割合」の推移
- 分配割合に「経済合理性」はあるか?
- 組合員の税務申告はカンタン
(第527号)信託型SOよりシンプルなスキームを考える(その3)
目次とキーワード
- 集団投資スキームに該当しないための方向性
- 1.そもそも金銭等を出資させない方向
- 2.共同事業とする方向
- 3.「持株会」とする方向
- 理事長への「管理信託」
- 「パススルー二階建て」
- 理事長に信託するのになぜ課税されないのか?
- 組合からの株式の引き出しには課税されるか?
- インサイダー取引規制と入会、引き出し
(第528号)信託型SOよりシンプルなスキームを考える(その4)
「組合型リストリクテッドストック」についてイメージがわくように、具体的な規約をドラフティングしてみました。
目次とキーワード
- 規約の概要
- 組織・民法上の組合
- 入会資格(役職員のほか、取引先も)
- 向いている対象者(「不完備契約」っぽい取引先)
- 出資と分配割合
- 持株会の決算のイメージ(超シンプル)
- 拠出金、奨励金、事務委託料、配当金
- 株式の取得方法と金商法上の要件
- 組合から理事長への「管理信託」
- 各会員の得る総会決議情報と不統一権利行使の設計
- 上場時の、役員持株会等の分離
- 付与ルール(例)
- 退職時の扱い
■VCの従業員インセンティブ
この回から、ベンチャーキャピタル(VC)の個人のプリンシパルやアソシエイトといった、「投資の意思決定には加わらない(適格機関投資家等特例業者としては届出しない)が、「投資先のソーシング・ハンズオン・exitなどにはすごく貢献する人」のインセンティブ設計を考えてみます。
「10億円キャリーが入ってきても、ボーナスは100万円くらい」というのであれば、普通にボーナスを(賞与(=給与所得)として)出せばいいだけですが、ベンチャー投資の場合、投資委員会で意思決定に参加するかどうかにかかわらず、担当の人は何年もの間、その投資先の企業価値に貢献することにもなりますし、キャピタルゲイン(キャリー)が発生した場合には、そうした人に対しても、それなりの金額を支払いたい、という制度設計を考えているVCも潜在的には多いと思います。
こうした場合や、「従業員ではあるけれど、税務上は役員とみなされるような役職名が付いていて、賞与を支払いにくい場合」などに、パートナーと同様、素直にキャピタルゲイン(株式等の譲渡所得)の分配として、それなりの割合がそうしたプリンシパルやアソシエイトに渡るようにすることが望ましいと考えられます。
「その1」から「その3」までは、この従業員等で組成するLLPをファンドの無限責任組合員とする方法を考えてましたが、「その4」から、先述の「組合型リストリクテッドストック」での考察を反映して、GPに参加する任意組合の形を取る方向に変更になっています。
- ケースの前提条件
- キャリーを「報酬」として支払う場合の財務諸表
- 「分配」の場合の財務諸表
- パートナー向けのストラクチャー
- アソシエイト等向けのストラクチャー
- GPの組合員にマネジメントカンパニーが入った方がいいわけ
- 大量保有報告書上の表示
- 従業員用LLPを無限責任組合員にするスキーム
- LLPはLLPの組合員になれるか?
- LLPと投資の意思決定
- 金商法上の共同事業要件
- 「投資の意思決定をしない無限責任組合員」は存在できるか?
- 従業員等がLPとして出資する場合の問題点
- LPS法の観点から見た無限責任組合員
- LPS契約書例は「金融」以外の業務も想定している
- 複数の無限責任組合員による業務執行
- 無限責任組合員間の契約イメージ
- 投資の意思決定を「常務」にできるか?
- 業務分担は税務上問題になりうるか?
- 各LLP内での意思決定(共同事業要件)
- マネジメントカンパニーと従業員LLPの役割分担
- ファンドへの出資者には要件がある
- 「子会社等」は法人でなくてもいいか?
- 重要なのは透明性のある分配のルール
この回から、「信託型SOよりシンプルなスキームを考える」シリーズ(第523号、第524号、第527号、第528号)で考えた「民法上の組合と自益信託のパススルー二階建て」を応用して、非常にシンプルな、VCの従業員向けインセンティブの決定版を、ちょっと考えてみています。
- 旧スキーム(意思決定に関与しない無限責任組合員)
- 新スキーム案(管理信託経由でLLP持分保有)
- 組合・信託「パススルー2階建て」
- 集団投資スキームにはならない
- 本方式の利点・特性(登記不要・シンプル・金銭出資不要、等)
- 金銭出資を一切しない従業員組合
- 「金銭以外の財産」を何にするか?
- マネジメント・カンパニーの会計処理
- 従業員組合/信託の会計処理
- GPを営むLLPの会計処理
- 「印鑑セット」は現物出資の対象の資産になれるのか?
- 現物出資と消費税等
- 受託者が法人でもパススルーになるか?
- キャリーの分配と従業員の譲渡所得の税務
- GPを営むLLPの組合契約書イメージ
- 従業員組合の組合契約書イメージ
■GPの新ストラクチャー
上記で従業員向けのインセンティブとして「組合と自益信託のパススルー2階建」というアイデアを考えていたわけですが、そもそも、ベンチャーファンドのGP(無限責任組合員)のストラクチャーにそれを使ったら、「日本のVCストラクチャーの最終進化形」になりうるんじゃないか?ということに思い至って考察をしたシリーズです。
(第532号)ベンチャーキャピタルGPの新ストラクチャー(その1)
- LLPをGPにするスキームと「登記」
- スキームの「外観」
- なぜ「パススルー」が必要なのか?(単なる「節税」なのか?)
- スキームの分配・インセンティブ構造
- 設立の手順イメージ
- 労務のみの出資
- 「集団投資スキーム」となるか?
- 信託する財産は何にするか?
- 会計処理イメージ
- 自益信託もパススルー
- 信託業に当たるか?
- 税務上は逆に無償ではまずくないか?
(第533号)ベンチャーキャピタルGPの新ストラクチャー(その2)
- このスキームの位置付け
- 2012年以前の日本
- 米国におけるストラクチャリング
- LLP-LPSのスキーム
- GK-LPSのスキーム
- パートナー組合の契約書
- 契約の性質
- 組合と外部との接触
- 業務分担
- 信託に関する規定
- 信託と組合の会計の一体処理
- 賦課/分配と分配割合
- 合同会社にかかる費用の負担
- 合同会社の定款
- ファンド(LPS)の契約書
(第534号)ベンチャーキャピタルGPの新ストラクチャー(その3)
今週は、CVCや銀行系VC、事業会社などの投資担当者にも、生み出されたキャピタルゲインの一部を還元するインセンティブを導入する必要性があることと、その手法について考えます。
- CVC等のインセンティブの仕組みが求められている
- 企業価値向上へのインセンティブが重要
- 「GPが法人」のまま導入できるインセンティブ体系
- 「目の輝き」が変わる
- CVCと独立系の良好な競争関係
- VC会社が既にGPであるファンドへの導入案
- 「一気に」分配割合を変更する場合
- 「徐々に」分配割合を変更する場合
- 新設ファンドへの導入案
- 直接株式投資(プリンシパル投資)にも応用可能
■法人GPの税務
この回から、ベンチャーキャピタル(VC)のGP(ファンド運用者/無限責任組合員)が法人だった場合に、どういう税務になるか?ということを考えてみました。
以前の経済産業省のファンドのひな型では、キャリー(キャピタルゲインが出た場合の、GPへの割増分配額)が、フィーとして扱われていたのが、最新の経済産業省/日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)のファンド契約書の契約書例では、分配として扱われるようになったことが、ちょっと状況が変わって来ている要因です。
個人のGPの場合、ファンドがパススルー(GPが直接投資先の株式を持っているものとして扱われる)だと、株式のキャピタルゲインは株の譲渡所得として扱われ、税率も安くなるし、消費税等も関係ないので、概ね「いいとこずくめ」に見えます。
これに対し法人では(一瞬、「個人と違って、そうした所得区分がないし、損益通算できるし、累進税率でもないのでシンプルだ〜」と思えるのですが、実は)、キャリーが消費税法上、非課税売上に該当して、課税売上割合が下がって、消費税等の納税額も変わる可能性があるので、キャリーが巨額に発生した場合には、税務上コワいことが起こり得ます、という話です。
他にも、個人などのファンドの会計や税務については、週刊isologue第387号〜第403号の「VCの作りかた(会計・評価編)」もご参考になるかもしれません。
- 経済産業省/JVCAのファンド契約書例
- キャピタルゲインが発生しない年のケース
- キャピタルゲインが発生する年のケース
- 控除対象外消費税額等の扱い
今回は、ベンチャーキャピタル(VC)のGP(ファンド運用者/無限責任組合員)の税務を考える前提として、GPに法人が関与する意味を考えます。
- VCのストラクチャーとインセンティブ
- VCは、投資先を担当する個人への長期のインセンティブが超重要
- 株式会社のみがGPである場合の問題点
- 法人のインセンティブの税務上の取り扱い
- 米国のパススルーのGP
- 日本のパススルーのGP
- 個人が無限責任組合員になる場合
- 日本におけるVCのストラクチャー
- LLP-LPSスキーム
- 法人もGPに関与する必要性
- 「社団性」と組合契約
- VCのブランドの核
- 大量保有報告書上の記載
- Linear(線形)なインセンティブ設計が超重要
- 一般の会社の有価証券譲渡の処理
- VCの場合の有価証券譲渡の処理
- キャピタルゲインからボーナスを支払う場合
- キャピタルゲインから業務委託費を支払う場合
- 課税仕入れ等にかかる消費税額の全額を控除することができる場合
- 課税仕入れ等にかかる消費税額の全額を控除することができない場合
- 個別対応方式の場合
- 一括比例配分方式の場合
- 個別対応方式と一括比例配分方式の選択
この回は、話をシンプルにするために、マネフィーと有価証券の譲渡益で受け取ったキャッシュを、そのまま全額第三者に業務委託費として支払う契約となっているSPC(特別目的会社)を考えてみます。
- 非課税売上→課税売上への「変換装置」
- 想定するSPC
- マネフィーだけの場合
- 有価証券譲渡収入もある場合
- 法人税等も考えた場合
■総集編
(第508号)謹賀新年(2018年の「週刊isologue」総集編)
昨年末に、2018年の総集編をやりました。
2018年のテーマは、
- 2018年のストックオプション実務
- ベンチャーファンドの規制と法令
- VCの作り方(新VCファンド契約書)
- 上場前後の資本政策
- 上場前後の資本政策(メルカリ特別編)
- 上場前後の資本政策(ラクスル特別編)
- VCはいかに株式を売却するか?(2018年第2四半期編)
- 非シリコンバレーのベンチャー投資と沖縄のファイナンス
- M&A事例研究(トライフォートの優先株)
- テックビューロの優先株式と会社分割の研究
- Dropboxの種類株
- 日産自動車ゴーン氏の報酬の開示状況
- ソフトバンク上場と登記簿の種類株
などでした。
「2018年のストックオプション実務」は、有償ストックオプションに関する「取扱い」の影響、信託型有償ストックオプションについて。
「ベンチャーファンドの規制と法令」は、金融商品取引法等、ベンチャーファンド運営のために必要な法令を一通り見てみるもの。
「VCの作り方(新VCファンド契約書)」は、経済産業省及び日本ベンチャーキャピタル協会から公表された、新しいVCファンドの組合契約例(以下「契約例」)についてみてみたもの。
「上場前後の資本政策」「VCはいかに株式を売却するか?」は、IPOした企業の資本政策の実例を見てみたもの。
「非シリコンバレーのベンチャー投資と沖縄のファイナンス」は、世界のベンチャーファイナンスの普及について、マクロ的長期的視点に立って考えた大きな流れを随筆的に。
「M&A事例研究(トライフォートの優先株)」は、まだ珍しい、優先株が発行されたスタートアップのM&Aについての開示資料からの分析。
「テックビューロの優先株式と会社分割の研究」は、これもまだ珍しい、優先株式が発行されている会社の会社分割で何が起こるのか、について。
「Dropboxの種類株」は、Dropboxが発行する種類株と、シード期のファイナンスの推測について。
「日産自動車ゴーン氏の報酬の開示状況」は、逮捕されたゴーン氏の報酬を開示資料から分析したもの。
「ソフトバンク上場と登記簿の種類株」は、上場したソフトバンクの有価証券届出書を分析するつもりでしたが、途中から、ボーダフォン買収の際の登記簿に関心が移っております。
上半期+αの総集編で、この総集編に取り込んでおります。
■ソフトバンク上場シリーズ
昨年から引き続き、今週もソフトバンクグループが旧ボーダフォンを買収するのに使われたスキームを登記簿から辿っているシリーズです。
- 計10回の優先株式に関わる登記簿変更
- 第二種優先株式発行直前の変更
- 第三種優先株式発行直前の変更
- 「黄金株」(Golden share)と拒否権
- 剰余金の配当
- 残余財産の分配
- 株主総会における議決権
- 取得条項
- 取得請求権
- 取締役選任権
今週は、ソフトバンクグループが旧ボーダフォンを買収するのに使われたスキームのうち、BBモバイル(調達持株会社)とソフトバンク(モバイル)の優先株式の関係が、やっとスッキリ整理できました。
- ソフトバンク(モバイル)の優先株式発行の推移
- 発行済株式数の推移
- 優先株式への一部転換
- 優先株式の償還時期
- BBモバイルの資本金等の推移
- ソフトバンク(モバイル)優先株式の内容
- 発行される株式の種類
- 優先配当の内容
- 元本相当額の微妙な差異
- 残余財産分配権
- 議決権と拒否権
- 取得条項と取得請求権
- 「必要な現金をソフトバンク(モバイル)から吸い上げるための道具」
■上場前後の資本政策シリーズ
上場時の有価証券届出書から、上場する企業の資本政策を読み解くシリーズです。
この回は、2018年の12月に上場した以下の19社、
のうち、
- ピアラ
- アルー
- アルテリア・ネットワークス
- FUJIジャパン
- オーウエル
- ツクイスタッフ
- グッドライフカンパニー
- テクノスデータサイエンス・エンジニアリング
- 田中建設工業
- ソフトバンク
の資本政策を見てみました。
(2020年6月22日追記:設立後年数が誤っておりました。お詫びして訂正します。)
この回は、
- Kudan
- AmidAホールディングス
- Amazia
- 自律制御システム研究所
- EduLab
- ポート
- テノ.ホールディングス
- リンク
- ベルトラ
の資本政策を見てみます。
自律制御システム研究所、ポート、テノ.ホールディングス、ベルトラについては優先株式での資金調達を行っており、自律制御システム研究所とポートの2社については、登記簿を見て優先株式の内容も検討しております。
2019年2月に上場した以下の5社、
- 識学
- リックソフト
- 東海ソフト
- フロンティアインターナショナル
- スマレジ
の資本政策を見ています。
この回で、おかげさまで週刊isologueは、満10周年を迎えました。
この回は、2019年3月に上場した以下の16社のうち6社、
- 日本国土開発
- ダイコー通産
- サーバーワークス
- エヌ・シー・エヌ
- カオナビ
- 共栄セキュリティーサービス
の資本政策を見てみます。
この回は、
- ミンカブ・ジ・インフォノイド
- コプロ・ホールディングス
- KHC
- ギークス
- gooddaysホールディングス
- フレアス
- 日本ホスピスホールディングス
- NATTY SWANKY
- エードット
- Welby
の資本政策を見てみます。
この回では、平成最後の2019年4月に上場した以下の5社、
- 東名
- ヴィッツ
- ハウテレビジョン
- トビラシステムズ
- グッドスピード
の資本政策を見てみます。
なんと、ハウテレビジョン(渋谷)以外は全部、東海地方本社の会社でした。
(第535号)上場前後の資本政策(2019年5月6月その1)
この回は「令和」以降の2019年5月6月に上場した以下の12社、
- バルテス
- 大英産業
- ユーピーアール
- Sansan
- 日本グランデ
- ピアズ
- ブランディングテクノロジー
- インフォネット
- ヤシマキザイ
- あさくま
- 新日本製薬
- リビン・テクノロジーズ
の資本政策を見てみました。
Sansanが時価総額約1,800億円になってるのを除けば、あとの会社は全部、時価総額が約100億円以下でしした。
このSansanの優先株式の内容と、上場前のインフォネットの親会社の移動がちょっと興味深いので、それらについての詳細は、また来週として、本日はざっと全体を見渡すのにとどめてますが(「ざっと」といってもA4で30ページほどになりますが)、他でもちょっと種類株式を使っていたり、通常のパターンから外れる会社があり、それらについてコメントしてあります。
(第536号)上場前後の資本政策(2019年5月6月その2)
この回では、インフォネット社の資本政策を、もうちょっと詳細に見てみました。
このインフォネット社、もともと福井で創業した会社ですが、2017年6月に創業者から発行済株式の100%がワンクッション挟んで現在の筆頭株主に譲渡されています。「創業者が会社からいなくなって全く別の会社が親会社になって、2年で上場できるもんなんだなあ」という例として検討してみました。
- 親会社フォーカス社の概要
- 親会社フォーカス社の優先株式の内容
- 「特別利害関係社等の株式等の移動状況」から見た子会社化の経緯
- 大量保有報告書から見た現状
- 親会社等状況報告書の提出要件
- 「株式会社インフォネット・ホールディングス」は実在した?
(第537号)上場前後の資本政策(2019年5月6月その3)
この回では、Sansanの資本政策、特に優先株式の内容を詳細に見ています。
- 優先配当金
- 残余財産分配と優先順位のデザイン
- 「非参加型」の採用
- 優先残余財産分配額の記載
- 普通株式への強制転換の計算方法
- 種類株主総会決議の記載は、これでOK?
この回は、2019年7月に上場した以下の5社、
- フィードフォース
- Link-U
- ビーアンドピー
- ブシロード
- ツクルバ
の資本政策を見ています。
ブシロードの株主構成が面白いかと思います。
あと、(それを意図してかどうかは存じませんが)「役員の資産管理会社などの内容を、ネットの登記情報提供サービスでホイホイ気軽に見られないための裏ワザ」?に、「なるほど!」と膝を打ちましたw
この回は、2019年8月9月に上場した以下の7社、
- ステムリム
- ピー・ビーシステムズ
- サイバー・バズ
- アミファ
- ギフティ
- Chatwork
- HPCシステムズ
の資本政策を見ています。
この回は、2019年10月に上場した以下の12社、
- パワーソリューションズ
- レオクラン
- AI CROSS
- HENNGE
- アンビスホールディングス
- 浜木綿
- ワシントンホテル
- インティメート・マージャー
- BASE
- セルソース
- ジェイック
- 恵和
の資本政策を見ています。
■海外オファリングの研究シリーズ
昨今増えてきた、大型スタートアップの上場時に海外の機関投資家にもオファリングをするケースについて見てみました。
最近は、IPO時に海外の機関投資家にオファリングをする(投資してもらう)ベンチャー企業もいくつか現れてきました。
従来の日本のスタートアップというと、上場後で時価総額数十億円から100億円くらいの企業で、オファリングサイズ(公募+売出し等の合計)も数億円から十数億円といった規模のIPOが多かったかと思います。
こうした企業がIPO時に海外でオファリングをできるかどうかは、「CFOが英語ができるかどうか?」という問題じゃありません。海外の投資家へのオファリングを準備するとなると、弁護士費用だけで数億円にもなり(「数億円の資金調達するのに、コストが数億円かかる」ということだと、手元にほとんど資金が残りませんので)、その規模の上場だと、海外オファリングはファイナンスとして割りに合わなかった、ということになります。
しかし、最近では、メルカリやラクスル、Sansanなど、日本のスタートアップも上場時に海外の投資家にもオファリングするようになってきました。
ちなみに、メルカリは、米国のRule 144Aに従い、米国の適格機関投資家をはじめ世界全体にオファリングをする、いわゆる「グローバル・オファリング」、
ラクスルは米国を除くアジアやヨーロッパなどの世界にオファリングをする(日本で言うところの)「旧臨報方式」です。
前述のコスト面も含め、もちろん、なんでもかんでも「海外の方がエラい」という訳ではないのですが、機関投資家のスコープを海外に広げることで、企業価値(valuation)も、より長期に考えて高い価値で考えてくれる投資家に出会えたり、その投資家が長期的に自社の株式を買い増して行ってくれて、上場後の安定した株価形成に資する可能性もあります。今後、本格派スタートアップで、500億円とか、1000億円、4000億円、1兆円といった企業価値で上場する企業が増えてくると、世界を見据えて、上場後の株主構成をデザインする必要も出てきます。
また、製品やサービスで国境を越えるのは、実際非常に大変です。「日本人が英語ができないから国境が超えられない」という話だけではなく、米国のテック企業ですら(Yahoo!をはじめ)必ずしも「世界どこへ行っても必ず成功する」というわけではないわけです。
これに対して、自社の株を世界で売るのは、はるかに少数精鋭で可能です。加えて、日本にも(今まで資金調達額が数千万円、といった時代には、なかなかそういう人材にスタートアップに来てもらうのは難しかったわけですが)グローバルに活躍している優秀な人材はたくさんいるんです。実際、メルカリやラクスル、Sansanなどは、外資系金融や商社など、グローバルな目線を持った人材がCFOとして参画されて、世界でのオファリングに成功しています。
また、世界の並み居る企業を前提とした質問をぶつけてくる海外機関投資家と接することで、CEO・CFOの目線も世界レベルに伍していくことになるんではないでしょうか。
ということで、このシリーズでは、各社の開示資料などをもとに、海外オファリングがどういう感じで行われているのか、考えていきたいと思います。
- 資料の全体像
- RISK FACTORS
この回も、メルカリの海外オファリングのドキュメントをもとにいろいろ考えました。
- 目次
- RISK FACTORS
- Forward-Looking Statements
- SAFE HARBOR
- Securities Act
- Exchange Act
この週は、リスクファクターのうち「ネットワーク効果」を維持成長させられるかどうかの点について。(「If we are unable to continue enhancing our user experience and engagement, we may fail to retain and expand our community of buyers and sellers」)
(これはネット系ビジネスの皆さんには勉強になるんじゃないかと。)
この回も、メルカリの海外オファリングのドキュメントをもとに、日米のオファリング実務の違いを考えてますが、他地域化や企業内での新規事業立ち上げなど、事業戦略上の話にウェイトがシフトしてます。
- 社歴
- 赤字
- 他地域進出の成否
- 既存事業をベースにした新規事業展開
- ネット系ビジネスの社内で新規事業は今後も作れるのか?
■WeWorkについて考えるシリーズ
これを書いた後、ソフトバンク・ビジョンファンドとの関連で、思いの外、盛り上がったWeWorkです。
WeWorkは、ご案内の通り、オフィスをシェアする会社です。WeWorkのS-1では「We are a community company」と名乗っています。
8月にS-1を提出して、その後上場する予定でしたが、最終ラウンドの増資をはるかに下回る株価となりそうになって上場を延期しましたし、大株主のソフトバンク等が創業者のAdam Neumann氏をCEOの座から下ろしました。ソフトバンクのビジョン・ファンドの躍進や今のスタートアップ・ブームに大きく水を差すことにもなりました。
日本でも急速にWeWorkのオフィスが増えていますし、ガンガン利用している知り合いも多数います。同社のS-1をもとに、どんな会社なのかを考えてみたいと思います。
7月に行われた、持株会社と複数議決権(+複数経済持分)普通株とpartnershipを組み合わせた、多層にわたる非常に複雑なストラクチャーへの変更について。
(出所:wikipedia)
WeWorkを取り上げた前回号から、期せずして、大きな動きがいろいろありました。
創業者Adam Neumann氏はCEOを降ろされ、保有する株式(おそらくClass B普通株とClass C普通株のこと)の1株あたりの議決権が20個(一定の条件を満たすまでは10個)から3個に変更になり、Adam氏が単独で取締役を選任する権限を失ったこと、5000人のリストラが予定されていること、などが伝えられています。
ということで、資本のストラクチャーは今後変更になる可能性も高いのですが、We社の投資家の持株数から過去の投資の内容を見てみるのは有意義かと思います。(特にソフトバンク分については、過去の実態がより明確に想像できると思います!)
- 貸借対照表に記載された株式数
- Crunchbase記載情報との整合性
- 資本構成の注記の分析
- (WE Holdings LLC、Benchmark、J.P. Morganそしてソフトバンク!)
最初に提出されたS-1に添付されているExhibit 2.1「Agreement and Plan of Merger」という文書は、(私が勝手に「セフィロトの樹」と呼んでいるw)以下の非常に複雑なストラクチャーへの変更に関する契約書でした。
この契約書には、探していた上場前の各株式の種類別の発行済株式数も載っていたので、ソフトバンクの持株比率も含め、より資本構成が明確になってきた気がします。
週刊isologue(第393号)VCの作りかた(会計・評価編その6)から第403号「その16」まででご紹介した、未上場の株式や債権に関する評価基準である、IPEVの「International Private Equity and Venture Capital Valuation Guidelines」の最新2018年版について、前回の2015年版との違いも含めて内容を見ていきたいと思います。
IPEV 2018のリンクは以下にあります。
http://www.privateequityvaluation.com/Valuation-Guidelines
経産省のホームページに掲載されている、日本ベンチャーキャピタル協会が作成した調査報告書「国内 VC ファンドの時価評価に係る実務指針」(2017年3月)のリンクは以下の通りです。
https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/Valuation_Guidelines_IPEV_hokokusho28.pdf
(第550号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その1)
- Preface
- Introduction
- Application of the Guidelines
(第551号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その2)
この回は、「1. The Concept of Fair Value」を。
(第553号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その3)
この回では、第2の「価値算定の原則(Principles of Valuation)」の項を見ています。
- 公正価値は、測定日(決算日)時点ごとに評価
- 投資それぞれの状況に合わせて「買う人がいくらで買うか?」を算定
- 公正価値評価は、未来等の予測などを含む主観的なものだという認識が必要
- 優先株でシリーズが分かれている場合など、その優先劣後関係等も反映して評価
- ストックオプションの発行や、今後の増資による希薄化を反映させる必要もある
- 未公開企業へのファンド投資は、単なる投資ではなく、経営に影響を与える
- このため、公正価値を見積もることは難しいが、過度に慎重になってもいけない
- 投資時の算定ロジックを、後のデータで調整(Calibration)しなければならない
- 投資のエクジット時に、それが公正価値とどう食い違ってたかの検証(Backtesting)をしなければならない
(第554号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その4)
この回は、第3の「価値算定の手法(Valuation Methods)」の項に入り、
3.1 General
3.2 Apply Judgement in Selecting Valuation Techniques
3.3 Selecting the Appropriate Valuation Technique
の3項目を見ています。
直近の増資価格という項目の扱いが変わっているのが目につくところですが、米国では、IPOラチェットと呼ばれる、IPOの価格で最終ラウンドの投資の株価を調整する条項が付いたり、ソフトバンク(ビジョンファンド)のような、資金力に任せて一つのラウンドに単独で巨額の資金を投じる投資家が現れたりして、直近の取引事例の株価が「秩序ある取引」によって形成された株価と言えない事例が目立っていますが、そうしたことが、この辺の書きっぷりが変化したことと関係している気がします。
(第555号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その5)
この回は、第3.4の「マルチプル」(利益や売上の指標の倍数で評価を決める)の項を見ています。
(第556号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その6)
この回では、第3.5「Industry Valuation Benchmarks」(類似業種比準)以降を見てみます。
- 3.5 Industry Valuation Benchmarks(業種のベンチマーク)
- 3.6 (i) Quoted Investments(相場価格のある投資)
- 3.6 (ii/iii) Blockage Factors and Discounts(大量保有要因とディスカウント)
- 3.6 (iv) Observable Prices(観測できる価格)
(第557号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その7)
この回は、第3の評価方法のうち、DCFと純資産法について見ています。
- 3.7 Discounted Cash Flows or Earnings (of Investee Company)(投資先事業のDCF)
- 3.8 Discounted Cash Flows (from an Investment)(投資自体のDCF)
- 3.9 Net Assets(純資産法)
(第558号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その8)
この回は、第3の評価方法のうち、2018年版で新たに独立して設けられたキャリブレーションの項について見ています。
- 3.10 Calibrating to the Price of a Recent Investment(キャリブレーション)
(第559号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その9)
この回は、第4「Valuing Fund Interests(ファンド持分の評価)」についてです。
投資先企業の株式等の評価ではなく、ファンドtoファンドの投資などで、ファンドの持分に投資した場合のその持分の評価です。
■その他個別テーマ
読者の皆様方に「キングダム」パワーをお届けしようと、中国は西安に(息子2人も成人し諸般の事情で奥さんも遊んでくれないので男一人旅で)行ってまいりました。
映画「キングダム」も公開翌日に見に行って気合を入れ、超大型連休でもあり西安(咸陽)はさぞやキングダムパワーを求める日本人で溢れかえっている……かと思いきや、ついに1人も日本人に会いませんでしたw……が、すごいパワーいただいた気がしますので、皆様のご発展を祈念致しまして、写真を中心にごく軽いご報告をいたしました。
- Google翻訳
- VPN
- 他
(第529号)今なぜ、ベンチャー投資のマインドが必要なのか?(その1)
この回は、「今なぜ、ベンチャー投資のマインドが必要なのか?」ということについて考えていこうと思って「その1」としましたが、いまだに「その2」以降を書いておりません・・・。
- 世界的に盛り上がるベンチャー投資
- 「銀の弾丸」が存在しない革命(「生態系」が重要)
- 「会社の存在意義」とスタートアップ
- 日本人は「組織的行動」が得意なのか?
- 不確実性とインセンティブ
- ベンチャー投資マインドと意思決定速度
- 理想の投資とは「何もしないこと」?
- 日本のスタートアップへの投資
- 日本の「ベンチャーキャピタル」投資
- 米国のスタートアップ投資
- 日米VC生態系の差異
- 独立系VCの台頭
- 日米のVCの歴史
- IPOとM&A
- 機関投資家資金の流入開始
- なぜ機関投資家の資金はVCに流れてこなかったか?
- VCの「死の谷」を超えて
(第541号)今なぜ、ベンチャー投資のマインドが必要なのか?(その2)
3ヶ月間が空きましたが、前項の続きです。
- 世界のスタートアップ投資の推移
- 「スタートアップの常識」は「生態系」で形成される
- 「見えない産業革命」
- 時間のかかる革命
- ソフトバンクのベンチャー投資の存在感
(第538号)スタートアップ関係の質問にお答えするコーナー(第1回)
日本ではまだ珍しいSansanの「非参加型」の優先株の詳細分析の途中ではありますが、本日は、先日「スタートアップ インサイト backed by American Express」での講演の東京の参加者の方々から会場で「Sli.do」でいただいた質問が、非常にいいものが多かったので、回答したものを掲載させていただきました。
- 今は、スタートアップバブルではないかとも聞きますが、今後も投資件数や調達額は増えていくのでしょうか?
- 中国から投資がしたいとのオファーがありますが、公的な補助金で研究を進めているため、受け入れ困難な面があります。こういった場合の対応策があるのかお聞きしたいです。
- 今後、より調達金額は大型化するものの、投資を受けられるスタートアップの数は減っていくのでしょうか?また、エクイティファイナンスによる資金調達の負の側面やエクイティファイナンスが向いていないベンチャーのタイプなどがあれば伺いたいです。
- 先日のSmart HR社の資金調達の事例など、海外の投資家も最近は日本に注目しているのかとも思いますが、とはいえ、基本的にVCはローカルビジネス的な面もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
- 独立系VC、CVC、事業会社と、投資家ごとのメリット、デメリットがあれば教えてください。
- エクイティファイナンスとデットファイナンスを組合せた事例が出てきていますが、これからトレンドとしては増えていくと思われますか?その場合、どの銀行が関心が高そうでしょうか?
- 資金調達以外にVCと接点を持つメリット、デメリットがあればご教示ください。
- スタートアップがVCを選定する上での必要なチェックポイント
- アーリーステージから入るVCは、投資先へどういうサポートをするのでしょうか?営業先や提携先の紹介、採用・組織づくり、事業計画のブラッシュアップのサポート etc.
- 機関投資家の資金の流入を加速する要因や、抑制する要因には、日・米どのようなものがあるでしょうか?
- エンジェルと投資契約書を締結しない簡易なファイナンスが増えているようですが、投資契約書がないことでスタートアップ側にデメリットが何か考えられるでしょうか?
- 創業メンバーは資金調達出来るまで、事業が成功すると信じて無報酬で働き続けるのが普通ですよね?
- すでに黒字が出ているスタートアップの場合、どのタイミングで、何を理由にエクイティでの資金調達を検討すべきでしょうか?
- スタートアップの将来の確実性を、投資家の人はどう判断していますか? ユニコーン企業ですら非常に多数の投資家を回っていたという話を聞くと、判断基準が人それぞれ全く違う印象があります。
- 事業会社から出資してもらってスタートアップがうまくいくイメージがあまりない持てないのですが、スタートアップ側には、お金以外のメリットはあるのでしょうか?
- ストックオプションを発行する際に、「上場時に予想される人員から逆算して配分を考える」という話をされてましたが、アーリーのタイミングから将来の組織を想定するのは難しく、資本政策検討時に、要員計画までたてる必要がありますでしょうか?
- アメリカのブルーボトルやサイトグラスのコーヒービジネス等は、あまり短期的に巨大なビジネスになる気がしないのですが、それでも巨額の資金を調達できているのは、投資家のどういう思考が背景にあるのでしょうか?
- インドでスタートアップを立ち上げようとしています。その場合日系のVCから投資を受けられる可能性はあるでしょうか?
- スモールビジネス1社と、スタートアップ1社を経営しています。VCは兼業を禁止している場合が多いですが、そのような場合に有効な資金調達手段は何かあるものでしょうか。
以下、目次一覧:
(第508号)謹賀新年(2018年の「週刊isologue」総集編)
(第523号)信託型SOよりシンプルなスキームを考える(その1)
(第524号)信託型SOよりシンプルなスキームを考える(その2)
(第527号)信託型SOよりシンプルなスキームを考える(その3)
(第536号)上場前後の資本政策(2019年5月6月その2)
(第537号)上場前後の資本政策(2019年5月6月その3)
(第538号)スタートアップ関係の質問にお答えするコーナー(第1回)
(第541号)今なぜ、ベンチャー投資のマインドが必要なのか?(その2)
(第550号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その1)
(第551号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その2)
(第553号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その3)
(第554号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その4)
(第555号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その5)
(第556号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その6)
(第557号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その7)
(第558号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その8)
(第559号)VCファンド資産の時価評価(2018年版IPEV その9)
(第560号)謹賀新年(2019年の「週刊isologue」総集編)
(ではまた。)
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