インボイスの自己株式買い付け7月分(第4回)

  • Facebook
  • Twitter
  • はてなブックマーク
  • Delicious
  • Evernote
  • Tumblr

インボイス、全株主にストックオプション(第1回)
インボイスの転換社債と自己株式(第2回)
インボイスの株式分割(第3回)
と、勉強させていただきましたが、ついに今期分の自己株式買い付けに入ります。
(第2回で述べたものは、前期分の自己株式買い付けで、今回のものは、今期6月の取締役会で承認された枠によるもの。)
7 月6 日
自己株式の買受けに関するお知らせ
(商法第211 条の3第1 項第2 号の規定に基づく自己株式の取得)

http://www.invoice.ne.jp/pdf/9448_20040706.pdf
自己株式取得可能額
「商法第211 条の3第1 項第2 号の規定に基づく自己株式の取得」とありますので、インボイスさんは、前回の株主総会で定款変更して「取締役会の決議をもって自己株式を買い受ける旨」を定款で定めた(商法211条ノ3)わけです。

第二百十一条ノ三
会社ハ左ニ掲グル場合ニハ取締役会ノ決議ヲ以テ自己ノ株式ヲ買受クルコトヲ得
一 其ノ子会社ノ有スル自己ノ株式ヲ買受クルトキ

二 取締役会ノ決議ヲ以テ自己ノ株式ヲ買受クル旨ノ定款ノ定アル場合ニ於テ第二百十条第九項本文ニ規定スル方法(注:市場買付または公開買付)ニ依リ自己ノ株式ヲ買受クルトキ

この条文によると、その買付可能額は、同条第3項のとおりでして、

同条�
前項ノ取得価額ノ総額ハ最終ノ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ第二百九十三条ノ五第三項第一号乃至第四号ノ金額及同条第一項ノ規定ニ依リ分配シタル金銭ノ額ノ合計額ヲ控除シタル残額ニ同条第三項第五号乃至第七号ノ金額ヲ加算シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ

つまり、資本の部の総額(純資産)より、商法293ノ5の規定(中間配当可能額)等、
1.資本金+資本準備金+利益準備金
2.最終の決算期に関する定時総会において積立てた利益準備金および中間配当の時に積立てることを要する利益準備金の合計額
3.最終の決算期に関する定時総会において利益より配当しもしくは支払うものと定め、または資本に組入れた額及自己資本取得の決議により定めた株式の取得価額の総額の合計額
4.その他法務省令に定めた額(繰延資産がある場合など)
の額を差し引き、中間配当をしていればその額も差し引き、資本準備金の取り崩し等をしていれば、その額を加えた額、となってます。
この商法上の自己株式の買付可能額を図示すると、以下の通りとなります。
image002.gif
前述「2」の積み立てを要する利益準備金ですが、インボイスさんは、すでに上図のように資本準備金が資本金の1/4以上あるので積み立て不要。
この条文に従って最大買付可能額を計算すると、プレスリリースにある決議額3,634,535,278円とぴったり一致します。(貸借対照表が千円単位の開示なので、それ以上わかりませんが、多分、円単位で枠一杯まで設定したのでしょう。)
取締役会は、商法上の枠をいっぱいいっぱい使って株式を買い付けることを決定した、ということになります。
(本日はここまで。明日はいよいよ、「子株が流通していないうちに大量買付を行うことが、どうなんでしょうか?」というあたりを。[予定])
(以下、参考条文)


第二百十条
� 前項第一号ノ取得価額ノ総額ハ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ第二百九十条第一項各号ノ金額及定時総会ニ於テ利益ヨリ配当シ若ハ支払フモノト定メ又ハ資本ニ組入レタル額ノ合計額ヲ控除シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第二百九十条
 利益ノ配当ハ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ左ノ金額ヲ控除シタル額ヲ限度トシテ之ヲ為スコトヲ得
一 資本ノ額
二 資本準備金及利益準備金ノ合計額
三 其ノ決算期ニ積立ツルコトヲ要スル利益準備金ノ額
四 其ノ他法務省令ニ定ムル額
(以下略)
商法施行規則第百二十四条
商法第二百九十条第一項第四号に規定する法務省令に定める額は、次に掲げる額とする。
一 第三十六条(注:開業費)及び第三十七条(注:研究費及び開発費)の規定により貸借対照表の資産の部に計上した金額の合計額が、商法第二百九十条第一項第二号の合計額に同項第三号の額を加算した額を超えるときは、その超過額
二 第九十一条第一項第一号(注:新株式払込金等)に定める部に記載した金額があるときは、その金額
三 資産につき時価を付するものとした場合(第二十八条第一項ただし書及び第二項(これらの規定を第三十一条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)及び第三十二条第二項において準用する場合を含む。)の場合を除く。)において、その付した時価の総額が当該資産の取得価額の総額を超えるときは、時価を付したことにより増加した貸借対照表上の純資産額
商法第二百十一条ノ三
会社ハ左ニ掲グル場合ニハ取締役会ノ決議ヲ以テ自己ノ株式ヲ買受クルコトヲ得
一 其ノ子会社ノ有スル自己ノ株式ヲ買受クルトキ
二 取締役会ノ決議ヲ以テ自己ノ株式ヲ買受クル旨ノ定款ノ定アル場合ニ於テ第二百十条第九項本文ニ規定スル方法ニ依リ自己ノ株式ヲ買受クルトキ
� 前項ノ決議ハ買受クベキ株式ノ種類、総数及取得価額ノ総額ニ付之ヲ為スコトヲ要ス
� 前項ノ取得価額ノ総額ハ最終ノ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ第二百九十三条ノ五第三項第一号乃至第四号ノ金額及同条第一項ノ規定ニ依リ分配シタル金銭ノ額ノ合計額ヲ控除シタル残額ニ同条第三項第五号乃至第七号ノ金額ヲ加算シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第二百九十三条ノ五(中間配当)
営業年度ヲ一年トスル会社ハ定款ヲ以テ一営業年度ニ付一回ニ限リ営業年度中ノ一定ノ日ヲ定メ其ノ日ニ於ケル株主ニ対シ取締役会ノ決議ニ依リ金銭ノ分配ヲ為スコトヲ得ル旨ヲ定ムルコトヲ得
� 前項ノ決議ハ同項ノ一定ノ日ヨリ三月内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
� 第一項ノ金銭ノ分配ハ最終ノ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ第一号乃至第四号ノ金額ヲ控除シタル残額ニ第五号乃至第七号ノ金額ヲ加算シタル額ヲ限度トシテ之ヲ為スコトヲ得
一 最終ノ決算期ニ於ケル資本及準備金ノ合計額
二 最終ノ決算期ニ関スル定時総会ニ於テ積立テタル利益準備金及金銭ノ分配ノ時ニ積立ツルコトヲ要スル利益準備金ノ合計額
三 最終ノ決算期ニ関スル定時総会ニ於テ利益ヨリ配当シ若ハ支払フモノト定メ又ハ資本ニ組入レタル額及第二百十条第一項又ハ第二百十一条ノ三第一項ノ決議ニ依リ定メタル株式ノ取得価額ノ総額ノ合計額
四 前三号ニ掲グルモノノ外法務省令ニ定ムル額
五 最終ノ決算期後減少シタル資本準備金又ハ利益準備金ノ額ヨリ其ノ資本準備金又ハ利益準備金ノ減少ニ係ル第二百八十九条第二項各号ニ定ムル額ヲ控除シタル額
六 最終ノ決算期後減少シタル資本ノ額ヨリ其ノ資本ノ減少ニ係ル第三百七十五条第一項各号ニ定ムル額ヲ控除シタル額
七 前二号ニ掲グルモノノ外法務省令ニ定ムル額
商法施行規則第百二十五条(中間配当の場合の限度額から差し引く金額)
商法第二百九十三条ノ五第三項第四号に規定する法務省令に定める額は、次に掲げる額とする。
一 最終の決算期において第三十六条(注:開業費)及び第三十七条(注:研究費及び開発費)の規定により貸借対照表の資産の部に計上した金額の合計額が、商法第二百九十条第一項第二号の合計額に同項第三号の額を加算した額を超えるときは、その超過額
二 最終の決算期において第九十一条第一項第一号(注:新株式払込金等)に定める部に記載した金額があるときは、その金額
三 最終の決算期において資産につき時価を付するものとした場合(第二十八条第一項ただし書及び第二項(これらの規定を第三十一条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)及び第三十二条第二項において準用する場合を含む。)の場合を除く。)において、その付した時価の総額が当該資産の取得価額の総額を超えるときは、時価を付したことにより増加した最終の貸借対照表上の純資産額
四 最終の決算期後に取得した自己の株式(商法第二百十条第一項及び第二百十一条ノ三第一項の決議に基づき買い受けたものを除く。)があるときは、当該自己の株式について会計帳簿に記載した額
五 最終の決算期後に商法第二百十条第一項又は第二百十一条ノ三第一項の決議(当該決算期前に決議されたものに限る。)に基づき自己の株式を買い受けたときは、当該自己の株式について会計帳簿に記載した額
六 最終の決算期後に当該株式会社が分割をする会社となる新設分割又は吸収分割をした場合において、当該新設分割によって設立する株式会社若しくは有限会社又は当該吸収分割によって営業を承継する株式会社若しくは有限会社が当該分割をする会社の株主に対し、分割に際して発行する新株(吸収分割の場合にあっては、当該新株に代えて移転する自己の株式を含む。)又は出資(吸収分割の場合にあっては、当該出資に代えて移転する自己の持分を含む。)の全部又は一部の割当てをしたときは、当該株式会社が当該分割により承継させた資産につき当該株式会社の会計帳簿に記載した価額の合計額が次に掲げる額の合計額を超える場合におけるその差額
イ 当該分割により承継させた負債につき当該株式会社の会計帳簿に記載した価額の合計額
ロ 当該分割により当該株式会社が割当てを受けた株式又は出資があるときは、当該株式又は出資につき当該株式会社の会計帳簿に記載した価額及び支払を受けた金額の合計額
ハ 当該分割により承継させた資産につき第三号に規定する純資産額があるときは、当該純資産額
(中間配当の場合の限度額に加算する金額)
 商法第二百九十三条ノ五第三項第七号に規定する法務省令に定める額は、次に掲げる額とする。
一 最終の決算期後資本又は資本準備金若しくは利益準備金を使用し、又は減少して資本の欠損のてん補に充てた額
二 最終の決算期後商法第二百八十八条ノ二第二項又は第四項前段の規定により資本準備金としなかった額からこれらの規定に規定する分割に際して増加させた利益準備金の額を控除した額
三 最終の決算期後商法第二百八十八条ノ二第五項前段の規定により資本準備金としなかった額から同項後段の規定により利益準備金とした額を控除した額

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

コメントは停止中です。