日本において、ソーシャルファイナンスの可能性はあるか?(4)

「日本において、ソーシャルファイナンスの可能性はあるか?」では、いろいろ小難しそうなことをあーだこーだ書いたせいか、はてなブックマーク等を拝見しても、
「かなり実現は困難なようだ」
「法律的には難しいようだ」
といったコメントを多くいただいているのですが、私が申し上げたかったことは全く逆であります。
銀行「免許」を取得してすら日本では難しいんじゃないかと思っていた事業が、貸金業+第二種金融商品取引業という、どちらも「登録」で済む、日本の金融業としてはかなり”ライト”な構成でできるかも知れないわけで。
宮崎アニメ的に表現しますと、

アスベル「泣いてるの?」
ナウシカ「うん・・・嬉しいの」

といった感じでありまして、今まで胞子を集めて城の地下500メルテから水をくみ上げて研究してもわからなかったことが、腐海の底でアハ!体験というか、「先行き問題も山積みであろうことに変わりはないけれど、『全体の大きな構造』はつかめたんではないか」というところに、一筋の光明を見た思いなのであります。
(ではまた。)

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日本において、ソーシャルファイナンスの可能性はあるか?(3)

一昨日の「日本において、ソーシャルファイナンスの可能性はあるか?」に、「ホンネの資産運用セミナー」さんからもトラックバックいただきました。

(略)
もうひとつの仕組みとして私が考えたのは、参加者が組合形態のソーシャルファイナンス事業者に一旦出資して、参加者が貸し付けたい借り手ごとに優先引き当て設定をするという仕組み。私はこの分野は素人なのでこのスキームの課題は分からないのだが、どうだろうか?

「どうだろうか?」と訊かれた気がしましたので、考えてみました。
文中の「優先引き当て設定」というのがどういうものを意味するのかが具体的にはよくわからないんですが、図にすると下記のようなイメージでしょうか?
soc5.jpg

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日本において、ソーシャルファイナンスの可能性はあるか?(2)

昨日の、「日本において、ソーシャルファイナンスの可能性はあるか?」には、多数、コメント、ブックマーク等、ありがとうございました。
「ソーシャルレンディング・ソーシャルファイナンス情報ブログ」さんからいただいたトラックバックに、

1つ気になったのが、図示されているように、匿名組合1つに対して借り手は1人だけである必要があるのかという部分です。1対1にしたほうがいろいろわかりやすいと思いますが、特定の属性のグループに貸す匿名組合ってのも作れそうだし、そのほうがリスクは分散できるし、組合1つあたりの作成コストも下がりそうかなあと。
ちなみに全然法律わかってないので、もしかしたら法律上無理なのかもしれません。。。

とありましたが、
soc4.jpg

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日本において、ソーシャルファイナンスの可能性はあるか?

かなり前から、「ZOPAPROSPERなどのソーシャルファイナンス(P2Pファイナンス)を日本でやったらどうかなあ?」という問い合わせをいろんな方からいただいていたので、お盆の機会に、ちょっと気合い入れて考えてみました。

■概要
(私は、実際にこれらのサービスに口座を作ったり使ってみたりしたわけではなくて、報道やサイトや法律ををさらっとみて考えてみただけのものですので、あしからず。突っ込みどころがありましたら、ご教示いただければ幸いです。)
いわゆるソーシャルファイナンスというのは、ネット上で資金を調達したい人と提供したい人の情報を仲介して、貸し手が借り手に対して直接お金を貸すような形態を指すことが多いようです。
soc1.jpg

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明治18年の企業結合会計

「創業時の日本郵船シリーズ」の一応締めくくりとして財務編をお送りしたいと思います。
概要:

  • 「合併」だったのか?
  • 「旧会社勘定」の謎
  • 「のれん」から推察されるvaluationの不公平


————-
日本郵船歴史博物館で買って来た「日本郵船百年史 資料」には、日本郵船設立後以来の財務諸表が載ってます。
特に注目すべきは設立時の郵便汽船三菱会社と共同運輸会社のB/Sです。
「百年も前の財務諸表をちゃんと保存しているというのは、なんと物持ちのいい会社さんだろう!」と思ったのですが、同書の解説によると、

なお本表は、本資料集の編集に際し、現在一橋大学産業経営研究所所蔵の日本郵船の明治期の会計帳簿の記録に基づいて、日本郵船株式会社稲垣純男監査役が初めて作成したものである。

とのことで、一橋大学に保存されていた資料をもとにした当時の監査役の方のご労作とのこと。

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謎の文字クイズ

張作霖爆殺事件の時の首相「田中義一」についてWikipediaで調べたら、「他の言語」のところに何やら見慣れぬ言語が。
pic2.png
クリックしてみても、初めて見る文字でなんだかよくわからない。
pic3.png
タイ語など東南アジアの文字っぽく見えるがちょっと違うようです。
ページのソースを見ると、lang=”ka”とある。
「ka」ってのも、見たことないなあ・・・と思って、ISO639の言語コード表を見てみると・・・

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「会社法がない時代」の「会社」

「日本郵船と商法・会社法の歴史」シリーズで、日本郵船歴史博物館のミュージアムショップで「日本郵船百年史 資料」を見つけて、「宝のありかをしるした古地図を発見した少年のような気持ち」になっている磯崎です。
さて、大杉先生からご紹介いただいた本;

会社の誕生 (歴史文化ライブラリー)
会社の誕生 (歴史文化ライブラリー)

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高村 直助
吉川弘文館
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が、Amazonから届きましたので、若干、今までの補足と訂正を。

  • 商法施行以前に「会社」の概念はあったか?
  • 50円額面の普及は日本郵船の設立がきっかけか?
  • 日本郵船の大株主の議決権制限は政府のインボーか?

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ソニック・ヘッジホグ

最近、うちのテレビが地デジ対応になった最大の利点が「放送大学」。
画質がクリアになっただけでなく、最大3チャンネルに分割されて(つまり同時間帯に3つの授業を平行して流せるようになり)、しかも(やっと)EPG対応しました。
以前は、新聞の番組欄で「ちょっとおもしろそうだなー」と思った番組があっても、さすがに時間や分をビデオに入力して録画するのはしんどかったわけですが、今はリモコンのボタンを押すだけで録画してくれて、次回からの分は機械が気を利かせて録画してくれるのであります。
これが見出したら止まらない。
日本のテレビ番組(特にバラエティ)は世界的に見ても非常に面白いと思って拝見してるのですが、放送大学の番組の中身の濃さの前には、1回1千万円単位のお金をかけたテレビ番組も比較的中身の濃いブログも、申し訳ないですが、ちょっと霞んじゃいます。(講師の方が今までの人生でそのテーマについて学んで来た膨大な時間まで含めれば、コンテンツ制作にかけられている時間が桁違いなので、比べる方がかわいそうではありますが。)
こないえーもんがタダで見られる日本に住んでいるというのは、大変ありがたいことであります。
同時に、大学の授業というのも「情報サービス」である以上、一つのことに関しては「最高の先生による最高の授業」が一つ(とまでは言わなくてもいくつか)ありさえすれば、全国で何十、何百も同じような中途半端な内容の授業を中途半端な先生が教える必要はまったくない、と言えるかと思います。
つまり、インターネットの発達で構造が大きく変わりつつある他の情報サービス産業(テレビ、新聞、雑誌、音楽等)と同様、大学というサービスも今後数十年で大きく(つまり例えば、地域等による「fragmented」な市場構造から、特定のセグメント毎の「一人勝ち」的な市場構造の方向に)変わっていくことは間違いないでしょう。
(大学のような制度上の制約が少ない学習塾では、すでにかなり系列化が進んで来ているかと思います。)
さて。で、本日見てたのは7/31日放送の「脳科学の進歩」第15回。
神経細胞が分化していくときに働くタンパク質の名前が「ソニック・ヘッジホグ」という名前だそうで。(下図参照。)
sonic_hedgehog.jpg
(出所:Wikipedia)
Wikipediaで見たら、

The first two discovered, desert hedgehog and Indian hedgehog, were named for species of hedgehogs, while sonic hedgehog was named after Sega’s video game character Sonic the Hedgehog.

・・・だそうです。(下線部筆者。)
もともと、先に2つのhedgehogという物質が見つかっていたので、シャレで3番目はセガのゲームの名前から付けた、ということですね。
(追記:cf. 他に、以下のようなのもあるようです。
ピカチュリン
ポケモン遺伝子
日本のコンテンツって、やっぱり世界的に影響与えてますね。:-)
(ではまた。)

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「いしたにまさきのブロガーウォッチング」に載せてもらいました

インプレスビジネスメディアさんの「Web担当者Forum いしたにまさきのブロガーウォッチング」のコーナーで、
「第4回 底流にテーマを持つことが重要/磯崎哲也さんのブログ論」
という私めのインタビューを公開していただきました。
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/08/07/3653
ご笑覧いただければ幸いです。
(ではまた。)

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