「君が代発祥の地」 本牧山 妙香寺

横浜というところは、「日本のアイスクリーム発祥の地」「ビール発祥の地」「テニス発祥の地」と、いろいろ「発祥の地」がたくさんありますが、本日でかけた中区にある妙香寺というお寺は「日本吹奏楽発祥の地」「君が代発祥の地」なのであります。
私、昨日初めて知ったのですが、日本の国歌「君が代」を最初に作曲したのは日本人ではなく、英国陸軍軍楽隊長だったジョン・ウィリアム・フェントンという人とのこと。今から139年前の明治2年(1869年)、薩摩藩士30余名がこの妙香寺で合宿してフェントン氏から指導を受け、日本で最初の吹奏楽が演奏されたそうです。
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ただ、こちらのページWikipediaなどを拝見すると、フェントン氏は日本語がわからず、メロディーが歌詞にあっていなかったため、日本人の雅楽演奏家が作曲しなおして今の君が代のメロディーになったとのこと。
(こういうのは、ボナソアード版旧民法がウッチャられたのと同様、明治期によくあったパターンなのかも知れません。)
妙香寺や日本吹奏楽指導者協会の方々がかなり前から、このフェントン氏や薩摩藩士のその後を追跡されているのですが、フェントン氏はずっと行方知れず、薩摩藩士のその後も30余名中2名しか判明しておらず、一人は帝国陸軍軍楽隊の隊長、もう一人は海軍軍楽隊の隊長になられたそうで。

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近況:ブログ書くより放送大学

何人かの方から、「ブログ更新されてませんけど、生きてます?」というお問い合わせをいただいたので、とりあえず生存のご報告まで。
「仕事が忙しいんですか?」とのご質問もいただきますが、仕事もボチボチやらせていただいておりますものの、それよりも、前にも申しましたとおり、最近「放送大学」にハマっちゃいまして、それでブログを書く時間がなくなっておりまして。
放送大学は昔からあったわけですが、前にも申しました通り、アナログ放送時代と違って
放送大学 + 地デジEPG + HDDレコーダ + インターネット(Wikipedia等)
という組み合わせはサイコー!でございまして、好きな時間に好きな授業を(場合によっては早回ししたり、巻き戻したりして)見て、わからないところはネットで調べるなどすると、まるで、大昔の映画「禁断の惑星」
禁断の惑星
に出てくる、古代の異星人が遺した「頭の良くなる機械」のような感じなのであります。
(実際に頭がよくなってるかどうかはともかく)、情報はものすごい勢いで流れ込んで来て、今まで断片的だった知識が、「あ、なるほど、こことここがつながってるんだ!」とAha体験の連続。こりゃー、やめられまへんわ。
「学ぶ理由は十人十色」で、非常に多様な科目があるので人によって見方は異なるでしょうけど、私の場合、下記のような科目がハマりました。
情報通信技術系科目
非常に熱心にわかりやすく解説されてますし、「なるほど」と勉強になる部分があります。(ただし、なにせ技術革新のスピードが速すぎる領域だけに、ネットで毎日見ている情報に授業が追いついていない面はあります。)
法律系科目
法律系の科目も、(もちろん内容は非常にしっかりされてますが)、放送大学の授業の中では、単に基本書などを読んだり大学で授業を受けたりするのと、あまり変わらない方かなあという気がします。
ただし、「裁判の法と手続」など、最高裁判所判事の部屋に入って背景に皇居の緑をながめながらインタビューに聞き入るなど、放送大学ならではの普通ではなかなかできない体験もできます。
分子生物学、細胞生物学系
これはすごい。
私が高校で生物を習ったのはもう30年も前になりますが、ヒトゲノムの解読に代表されるように、それ以降のバイオ系領域の進展というのは、すさまじいものがあります。
もちろん、その間も新聞や雑誌などで情報を拾っていたわけではありますが、授業で体系立って説明してもらえるのに加えて、
「DNAがほどけてRNAに転写されて、リボソームがうんぬん・・・」
というあたりになると、超よくできたCGによる説明があるのと単に本を読むのとでは格段の差があります。
時々、NHKでもそっち系のいい番組をやってはいますが、記者の人の目を通してマイルドに仕上がっているのと、研究している学者の方が直接語るのでは、新聞記事とブログくらいの差、おそば屋さんのカレーと本格インドカレーくらいの差があるのであります。(おそば屋さんのカレーの方が好き、という人もいるでしょうし、それはそれで結構なのですが、私は本格インドカレーの方が好き。)
行動生態学系
これもすごい。
昔から大ファンであります長谷川眞理子先生による「動物の行動と生態(2004)」が10月からはじまってますが、前期にやっていた長谷川寿一・長谷川眞理子ペアによる「進化と人間行動」も何ともすばらしい。
これは、DNA、細胞、器官、個体、群・・・といった「多レベル」間の利益相反のある進化といった視点や、人間の脳などのハードウエアが、基本的には石器時代の狩猟採集生活に適応したものとなっている、といったお話で、最後の方にはゲーム理論的な合理的行動と、実際の人間行動の違いのお話なども出て来て、経済学にもつながっております。
私は経済学科出の人間ですので、どうしても合理的行動から出発して、その例外として限定された合理性を考える、というアプローチでモノを考えてしまっていたのですが、社会や経済の素直な理解としては、石器時代の脳の人間が集まって合理的っぽいことをしているという方が実態をよく表しているなあというコペルニクス的展開が私の頭の中でありました。
経済政策
大学院の授業ですが、ミクロ経済学から財政、金融、労働、変動相場制下のIS-LM分析・・・といったあたりまで、幅広くわかりやすくまとめてあるので、国民全員の必修科目にしてもいい気がします。しかも海外も含めたいろんなビデオや、岩田一政日銀副総裁(当時)とか中村伊知哉慶應義塾大学教授、石井岡山県知事へのインタビューなども入っていて、なかなか、普通の大学の授業にはない、放送大学ならではの贅沢な内容になってるんじゃないかと思います。
芸術の理論と歴史
芸術が単なる絵を描くといったテクニックのお話でなく、その時々の社会や文化や哲学と密接な関係をもって成立している、といったことが学べる授業。例えば、ルネサンス期の芸術と、メディチ家のビジネス、新プラトン主義哲学者の招聘などの関連が理解できます。
大学と社会
まだ一回目しか見ていないんですが、パリ、ボローニャなど、ヨーロッパ中世で成立した大学は、大学がある都市との間で抗争・対立があったため、対抗上、学生や教職員の「ギルド」的な性質を帯びていた一方、学問は理論武装としての「力」の性質があって、都市や国の間で大学の取り合いがあり、大学の分派がヨーロッパ各地に分散して行くことになった、といったあたりが非常に興味深いのであります。(なぜ作品のことを「masterpiece」というか?、とか、universityの語源は同業者組合だ、とか、ウンチクもいろいろ身に付きます。)
現代の会計
石川純治駒澤大学教授の授業。会計の授業を中世の複式簿記の成立あたりからはじめるというのは王道ではありますが、実際に1494年のルカ・パチョーリの最古の簿記書「SUMMA」(Summa de arithmetica, geometria, proportioni e proportionalità=算術幾何比例要覧)の現物の表紙の写真や、それが「簿記」の本ではなく数学の本であったことなどは、まさしく「教養」。
また、全15回を通じて、会計というのが社会の要請を通じて(例えばフローとストックの間で)変遷を繰り返して来たこと、現在の「金融資産会計」が過去の取得原価主義の単なる修正で延長線上にあるものなのか、それともまったく新しい考え方なのかといった視点、会計には「コモンロー」ではない「エクイティ」的な考え方が含まれることなど、会計専門家の方々が見ても、非常に深い内容になっているのではないかと思います。
これは、長銀(終わっちゃったけど)やライブドアなど、会計と法のせめぎあう領域で裁判をされている裁判官、検察官、弁護士などの方々にも、ぜひ見ていただきたいシリーズ。
宇宙とその歴史
天動説から地動説への転換からはじまって、恒星、銀河、銀河団、といった宇宙の構造に至るまでの壮大なお話。杉本大一郎教授のご方針で、単なる技術的な話に終わらず、宇宙からの情報を取得してそれをどのような認識・モデルに落として行くか、限られた情報からいかに全体像を推論するかといったあたりが、一般の社会生活などにも役に立つのではないか、という視点からの作りになっているので、味わい深い内容になってます。
以上のような授業を見まくると何が起こるかというと、原子・分子からDNA、細胞、社会、地球、宇宙といった多元的な視点から人間や社会が理解できる(ような気がする)ということでして、これは、昔、手塚治虫の「火の鳥」

火の鳥 (1) (手塚治虫漫画全集 (201))
手塚 治虫
講談社
おすすめ度の平均: 5.0

5 すごすぎます
5 深い
5 壮大な叙事詩のまくあけ

を一気読みして、宇宙から原子、太古から未来までの多元的な視点から人間とは何かを考えさせられた強烈かつ幸福なエクスペリエンス以来の感動と言ってもよろしいかと思います。
普通の大学・大学院や、ネットの大学等でも、これだけクオリティの高い interdisciplinaryな話を一気に聞けるという機会はまず無いと思いますので、そういう意味では希有な体験であります。
各授業15コマ×45分づつあり、ご紹介していない授業も見ておりますので、これだけ見るだけで100時間以上はかかっておりまして、ブログ書いてる暇がなくて申し訳ないです。そろそろめぼしい(私が興味ありそうな)授業は見尽くしてきた感がありますが、もうちょっと残ってますので、落ち着いたらまたブログ執筆に復帰したいと思います。
(ではまた。)

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デジタルネイティブ(digital natives)

子供の頃からインターネットを使いこなして来た若者達を紹介する、NHKで10月放送予定の番組「デジタルネイティブ」のサイト
http://www.nhk.or.jp/digitalnative/
に、「デジタルネイティブ度チェック」というのがあったのでやってみたところ、(もっと高いかと思いきや)
あなたのデジタルネイティブ度は70%
という結果でした。
私、日本の中でも最もインターネットを使っている方の人間だとは思いますが、

「学校(小、中、高)ではパソコンの授業があった。」
「いまの彼女はネットで知り合った。」

とかの設問は、いかんともしがたい。
大学で初めてコンピュータの授業(汎用機、FORTRAN、パンチカード、バッチ)受けたし、奥さん口説いた頃はインターネットなんてなかったし。
(ご参考まで。)

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買っちゃえ、買っちゃえ!

月曜日に、

Goldman Sachs, Morgan Stanley Become Bank Holding Companies

というThe Wall Street Journalの記事に「the end of Wall Street」というフレーズが使われているのを見て、(なにせ、まさに「Wall Street」 Journalの人が「the end of Wall Street」と言ってるわけで)、非常に心揺さぶられる複雑な思いがしました。
・・・と思っていたら、続いて以下のような記事が立て続けに。

Nomura to Buy Lehman’s Asian Operations
Mitsubishi UFJ to Buy Large Stake in Morgan Stanley
Nomura Close to Buying Lehman’s European Operations

Gooood Job!
10年前からさんざん日本の会社をお買い上げいただいたので、このへんでご恩返ししませんとね。
なんか、80年代後半の景気のいい話が甦ったようですが。(今度こそ、足元すくわれないようにしないと。)
日本の金融当局の方々も、今回のような事態が二度と起こらないように、日本の金融機関といっしょにアメリカの当局に日本流の金融機関の監督手法をよーく教えて差し上げて、それが仮に世界のデファクトスタンダードになっちゃえば、(こんな細かくてしんどいコンプライアンスに耐えられるのは日本人以外にいるわけないので)、コンプライアンス不況転じて福となす、2010年代以降は「日本の時代」になるんじゃないですかね、もしかして。
(ではまた。)

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「コンテンツ系」お墓参り

風もさわやかな秋晴れの本日、しばらくサボっていた墓参りに行って参りました。
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うちの奥さんの実家のお墓がある霊園に、数年前にうちの実家の墓も建てたものであります。墓参りが一回で済むので、これは楽ちん。
この霊園、文筆系の方のお墓が非常に多いようで、某大物推理作家の方をはじめ、戦時下最大の言論弾圧事件である横浜事件で投獄されてその後アレックス・ヘイリーの「ルーツ」等をベストセラーにされた方や、大物書道家の方など、そうそうたる方々のお墓があります。
たった今気づきましたが、私がブログを始めたのが、ちょうどここに墓を建てたのと同じタイミングですね。最初は1日数十件程度のアクセスだったのに、その後みなさんからそれなりのアクセスをいただけるようになったのは、(それまで墓参りするという習慣もなかったのでご先祖のパワーをいただくようになったのかも知れませんが)、もしかしたらこの霊園のコンテンツ系パワーのおかげかも知れません。
先月亡くなられた赤塚不二夫氏のお墓もすぐ近くの区画なので、帰りがけにお参りしてまいりました。墓誌の字もまだ真新しく、たくさんの花やお供え物とともに「さよならなのだ」という漫画が供えてありました。
(合掌)

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近況

太陽黒点がほとんど出てないせいかどうかわかりませんが、ブログを書く気力がイマイチでませんです。(苦笑)
その昔、まだブログもない10年以上前の話ですが、メーリングリストの投稿数の推移が太陽黒点の数の推移と相関しているような気がして分析したところ、黒点がメーリングリストの投稿に影響していないという仮説は99%の確率で棄却されまして。確か、太陽黒点数のピークの5〜6日後にメーリングリストの投稿のピークが来たと思います。太陽活動は人間の知的活動に影響を与えてる可能性はあるんだと思います。
ベアー・スターンズとリーマン・ブラザーズの処理が違ったのも、太陽活動の底だったかどうか、ということもあるかも、ですね。:-)
(・・・という話はさておき。)

昨日、都内某所を一家で歩行していたら、茶色い変わった犬がいたので、うちの奥さんが、シガーを片手に座っている飼い主のシブいオヤジに「何て言う犬種ですか?」と訪ねたら、「ブラッコ・イタリアーノというイタリアの猟犬だよ。」とのこと。
家に帰ってから奥さんがネットで検索したところ、LEONを創刊したので有名な岸田一郎氏
http://ameblo.jp/zino-kishida/
と愛犬ジーノ君だった模様です。(どうりでシブいわけであります。)
(ではまた。)

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HANABI – Mr.Children

多義的にとらえることができるところがこの曲の魅力の一つだと思いますが、

HANABI
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Mr.Children
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どれくらいの値打ちがあるだろう?
僕が今生きてるこの世界に
全てが無意味だって思える
ちょっと疲れてんのかな?
(中略)
誰も皆 問題を抱えている
だけど素敵な明日を願っている
臆病風に吹かれて 波風が立った世界を
どれだけ愛することができるだろう

歌詞を何度も読み直してみると、
「社会は市場経済やコンプライアンスに疲れてきているけれど、悩みながらも、やっぱり『市場』の方向に進むしかない」
という”応援歌”にも聞こえてきます。
少なくとも、何年か経ってからこの2008年という年を振り返った時に、「世相のムードを最も反映した曲」として使われるのは間違いないような。
(ではまた。)

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ゴールデン・スイミングスクール

レトリバー等と違って獲物を取って来る系の犬種でもないので、幼犬のうちにマスターさせておかないと泳げるようにならないという話を聞いたので、ラストチャンスと思って、泳ぎが大好きな近所のゴールデンレトリバー君とレオンベルガー君に伴われて、長者ヶ崎再挑戦であります。
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先輩達2匹と水遊びしたりして、だんだん慣らしてもらった結果、

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ウチくる!?拝見

葉玉さんが8月24日OAの「ウチくる!?」(本村健太郎弁護士の回)に出演されていたと聞いたのですが、見逃したと思ってたら自動でHDDビデオに撮れていたのを発見。
遅ればせながら、初めて動いてしゃべる葉玉さんを拝ませていただきました。
(ありがたやありがたや。)

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「長銀刑事事件最高裁判決の意義と今後の影響」について(その2)

「長銀刑事事件最高裁判決の意義と今後の影響」についてに対して、ブログ「企業会計に関わる紛争についてのデータベース」(sdpartnersさん)からトラックバックいただきました。
長銀刑事事件最高裁判決 (その1)

isologueに、長銀最高裁判決の弥永真生教授の評釈についてのエントリーがありました。
私も磯崎先生の主張を全面的に支持したいと思います。
(なお、最高裁判決の概要をざっくりと理解したい方には葉玉先生のエントリーがお奨めです。)

(中略)

私は磯崎先生の論旨に完全に賛成ですが、別の角度からの最高裁の前提を批判したいと思います。
それは、最高裁の見解は、「公正ナル会計慣行」にいう、「慣行」の概念を字義通りの「慣行」(=しきたりとして行われていること(三省堂「大辞林 第二版」より))と解することにこだわりすぎているがためにおかしくなっている、ということです。
「公正ナル会計慣行」とは、「慣行」という文言を含んではいるものの、字義通りの「慣行」というよりは、真実性の原則に従った、公正妥当なものとして一般に是認しうるルールという程度の、規範的意味での「慣行」と解すべきだからです。(注)

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