ユーザーレーティング

23日の日経29面経済教室は、「開放的な”信頼社会を”」ということで、信頼の確立の方法について経済学的な観点から整理してますので、ネット系の方はちょっと注目かも。
筆者:山岸俊男 北海道大学教授

要旨:
マグリブ商人は、11世紀の地中海貿易で活躍したユダヤ商人のグループ。「情報の非対称性が生み出す代理人問題」を、自分を裏切った代理人を雇わず評判を落とすことで解決していた。
これに対してジェノバは、こうした閉鎖的な方法ではなく、裁判所などの社会制度を作った。これはコストが高いがオープンなので、結局、マグレブ商人との競争に勝つことになる。
ノーベル経済学賞を受賞したアカロフ教授は、情報の非対称性が存在する匿名市場では必ずレモン(表面的に見えない瑕疵)市場化が発生することを予測した。しかし、イーベイ(e-bay) などのネットオークションの研究では、不正直な取引は代理人問題に関する理論的な予測に比べると非常に少ないことが明らかにされている。なぜか。

ユーザーレーティングを行うとレモン市場化を抑制する効果がある。ただし、ネガティブな評判のレーティングにするとハンドル名を変更されたら終わり。筆者らの実験では、面白いことに、最初のうちはネガティブ評判の効果の方が大きいが、時間が経つにつれポジティブ評判の効果は尻上がりに大きくなるという結果を得た。ポジティブな評価は一度獲得した評判を継続したいというインセンティブが働く。

オークションは、取引が成立することが重要なので、取引量が多いところほど取引量が成立しやすくなり、ますます取引を呼び込むというポジティブなフィードバックが働きます。日本でのヤフオクとか米国でのebayとか東証とかが典型例ですが、このフィードバックが働くと、どんどん独占化が進むことになります。

この経済教室の記事は、そうした取引量(liquidity)確保のほかに、レーティング(しかもポジティブなレーティング)がこうしたサイトのポジティブ・フィードバック化(すなわち、スケーラビリティと事業への参入障壁、独占利益)を生み出すことを示してます。ビジネスモデル構築の参考になりますね。
では。

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ユニクロ、食品事業から撤退

ファーストリテイリングが、100%子会社のエフアール・フーズ(「SKIP」ブランド)で行っていた食品事業からの撤退を表明しました。
大ショックです。
SKIPは、「美味しんぼ」でしか読んだことがなかったような「永田農法のトマト」とか、「刈り取ったあと”はさがけ”したお米」などが注文できるので、1年以上前から我が家では野菜や牛乳や卵などを全面的にSKIPのものに置き換えまして・・・・私の体を構成する分子の約1/3程度はすでにSKIPに置き換わっていたんですが・・・。(泣)
当初はクール宅急便で野菜が届くというのもなんか贅沢な気もしましたが、最近はよく考えると、スーパーに車で買出しに行って駐車場の列をエンジンかけたまま待っているよりは環境にもいいような気がしてました。
また、確かにスーパーの野菜に比べれば割高ではありましたが、あまりにうまいので肉や外食が減って、結局トータルのコストは抑えられるし健康にもよかったんですけど。
さらに、素材がいいと、100円のものをちょっといためるだけで2000円くらいのレストランのメニューの味になったりするので、料理するのも楽しくなるし自信もつきます。
昨日も子供が「SKIPにしてから嫌いだったトマトが大好きになった!」と言っていたんですが・・。
悲しい・・・初めて失恋したときと同じくらい胸が苦しい・・・。(撤退を好感したのか、株価まで上がってるし・・。)
確かに簡単にボロ儲けできるビジネスモデルではないと思ってはいましたが、400億円も経常利益があるんだから、もうちょっと踏ん張ってくれるかと思ったんですが・・。
(そういえば昔、WebVanってベンチャーもありましたね。
http://www.orixrentec.co.jp/media/2001_08.html
やっぱ、毎日の買い物をwebでやるというのは、現在でもまだ時期尚早なんでしょうか。)
ちくしょー!食べ物の恨みは怖いぞ!
今まで普段着から靴下までほとんどユニクロだったけど、もうユニクロでは服は買わん!・・ことにします。はい。

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デット・デット・スワップ(DDS)

昨日の日経新聞朝刊3面に、「債務、資本に転換 金融機関に金融庁促す 経営再建しやすく」ということで、デット・デット・スワップ(DDS)の記事が載ってました。
「資本に転換」といっても、法律上の性質は資本ではなくデット(借入)ですが、劣後条件がついているもので、金融庁の金融検査マニュアル上は、資本とみなして検査する、ということです。
「今までの貸付を(貸し手から見て)より条件の悪い劣後貸付にシフトさせる」ことで、逆に「追い貸しがしやすくなる」というのもなんか腑に落ちない気がするかも知れません。少なくとも倒産したときの回収可能性は、理屈としては優先株式などにデット・エクイティ・スワップ(DES)するよりは高いわけですが・・・。(普通の債権>劣後債権>優先株式>普通株式)
とりあえず、本日はコメントはおいといて、関連するリンクのみご紹介とさせていただきます。(では)
金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕改訂案の主な内容(金融庁)
(経済産業省)
「商工組合中央金庫と中小企業再生支援協議会の連携による
デット・デット・スワップ(DDS)第1号案件について」

商工中金 デット・デット・スワップ(DDS)第1号案件への取り組みについて(平成16年3月11日)
今般、商工中金は、東京都中小企業再生支援協議会と連携して再生計画の策定を支援している中小企業者A社(東京都の金属製品製造業者)に対して、デット・デット・スワップ (以下、DDS)を用いた再生支援に取り組むこととしました。
本件は、2月26日の金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)改訂後、同マニュアルに沿ったDDSとしては、コベナンツの内容を含め中小企業者に適用した我が国で初めての取り組みです。

商工中金のDDS契約書(参考例)
中小企業金融におけるデット・デット・スワップおよびコベナンツの活用
(新業務対応ワーキング・グループ報告書 要旨)
平成16年2月 第二地方銀行協会

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アナロジー(blogと日記)

「blogは、blogを知らない人に対してよく”日記のようなもの”とたとえて説明されますが、これは当たっているとも言えるし当たっていないとも言えます」シリーズ、その2です。
先日、口の悪い方から「おまえは、藤原の定家にでもなったつもりかー」というツッコミを受けましたが。
確かに「日記」はめったなことでは人に見せるもんじゃないですよね。私も当初、その「人様に見せるもんじゃないものを人様に見せる」というところに一抹のブキミさを感じていたのですが、これは、「日記」というアナロジーがぴたっとハマっていないせい以外の何物でもなかったのではないかと。
Blogは、はじめから人に情報をばらまくために設計されてます。どちらかというと、「(よく更新される)ホームページにメール機能をつけたもの」というようなたとえのほうが、より適切だと思います。
このblogを作成しているMovable Typeでは、新しい「エントリー(記事)」を作成すると、あらかじめ指定しておいた宛先にメールを送ったり、「ping」という機能で記事を配信したりできます。
また、このblogのページ(https://www.tez.com/blog/)の左下に、「Syndicate this site (XML)」というリンクがありますが、ここを見ていただくと、XML化された記事のダイジェストが表示されています。
XMLは平たくいうと「機械(コンピュータ)でも解釈できるようにした情報」ですが、これによって、希望する人は自動的に情報を取りに来てもらうことができます。
(先ほどもソーシャルネットワーキングのサイト「mixi」を運営されてる笠原さんから教えていただいて、私のblogが更新されるたびにmixiの私のページが更新されるようにしてみました。)
メールだと、(スパムが端的な例ですが)、好むと好まざるとに関わらず情報を送りつけることになってしまいますが、こうした形での情報配信は、より受け取る人の側の希望にあわせた形の配信が可能になります。
ただし、こうした機能的に進んだ情報交換の方法は、思ったほど普及しない可能性もあります。言語やプロトコルなどの情報交換の方法は、「複雑で奥ゆかしいもの」よりは「シンプルでわかりやすいもの」が普及してスタンダードになるわけでして、他の人もどんどんこういうノリに乗ってこないと「ネットワーク外部性」が働かないわけです。
BlogとかRSSとかいっても、先端的な人は騒いでいるけど、実際にはこの普及のための「しきい値」に達しないで、このポジティブなスパイラルに乗れないんじゃないかなあと思ってましたが、あちこち対応するところが出始めてきたので、もしかすると、「しきい値」を超えるかも知れません。
超えたアカツキには、10年前に誰もが想像した(けど実際は想像とはかなり違った)「個人がテレビ局と同等に情報発信をはじめる」状態が、ちょっとだけ当時想像したものに近づくかも知れません。
ではまた。

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アナロジー (メールと手紙)

blogは、blogを知らない人に対してよく「日記のようなもの」とたとえて説明されますが、これは当たっているとも言えるし当たっていないとも言えます。
これは、今や非常に当たり前になってしまった電子メールの例で考えるとわかりやすいかと。
電子メールは、当然、「手紙のようなもの」というたとえになるわけですが、手紙を年間2000通書く人がいたら、かなり変わった人かと思いますが、メールを年間2000通書く人は今や普通かと思います。
本日(2004/03/21)の日経朝刊7ページの記事によると、
博報堂は十—三十歳代の携帯電話の利用状況に関する調査をまとめた。
高校生で一日に携帯電話でメールを十件以上発信する人が四一・〇%に達するなど、中学生から大学生は通話よりもメールの利用頻度が大幅に高い。(中略)
高校生は携帯電話で電話を一日に十件以上かけるのは六・〇%。大学生は一日にメール十件以上が三四・九%に対し、通話十件以上は四・四%など、メールの利用数の多さが目立つ。三十代の社会人になるとメール、通話とも一日十件以上は六—七%程度など、両機能の利用頻度はほぼ同程度になる。

とのこと。
高校生では年間1000通以下というのはめずらしい部類に入りつつあるということですね。大人でも、メーリングリストなどで発言している人は、延べ宛先分で考えると、数回発言しただけで1000通を上回ってしまう可能性があります。
ちなみに、私は10年前までは手紙というのを年間数十通くらいしか書かない筆不精男でしたが、メールだと年間何千通も書くようになりました。
ということは、今まで日記もほとんど三日坊主で終わってましたが、blogは続く可能性がある・・・・でしょうか?
ではまた。

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決算公告いろいろ

(本日も、野村系投資会社が西武・そごうに50%超出資とか、マネックス・日興ビーンズが統合とか、いろいろおもしろい記事があるにもかかわらず、それをさしおいて地味なネタで恐縮ですが)、
本日は決算公告について。
株式会社は定時株主総会での決算承認後に貸借対照表等を公告しなくてはなりません。
実際に非公開の株式会社では公告を行っていない会社がかなり多いと思いますが、これは実は100万円以下の過料に科せられる可能性があります。(商法498条�)
次に多いのは官報かと思います。だいたい、資本金1億円以下の小会社の小さな決算公告で6万円くらいします。
公開会社になると、たいてい日経新聞に公告を載せていますね。
http://ir.nikkei.co.jp/koukoku_search.asp(←これ、便利です。)
商法改正で現在ではホームページに掲載するという方法も使えます。(これならコストゼロ。商法283条�、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第16条�)
本日の日経朝刊(9面)に、日経QUICK、日経メディアマーケティング2社の公告が載ってました。それぞれ、資本金3億円、2千万円の会社で非公開ですが、やはり日経の関連会社は日経に公告するわけですね。:-)
(ではまた。)

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ベンチャーの資金集めと証券取引法

3月6日に「誰がベンチャーを助けてくれるの?」日本の未公開株市場の構造で、日本の法律は証券会社以外が増資の手助けをする事業を行うことを基本的に認めておらず、これに違反した場合には、懲役を含むかなり重い罪が待っている、ということについてコメントさせていただきました。
本日(3月19日)の日経16面「投資ファンドの実力」で、バイオ系ベンチャーの資金集めにVCが非常によく協力してくれたという話が載っています。いい話ですし、VCが他のVCを誘ってco-investする、ということは実務上は非常によく行われることですが、これは、先の証券取引法の規定に照らして適法でしょうか?
証券取引法第2条(定義)第8項を読み返してみると、
この法律において「証券業」とは、銀行(略)その他政令で定める金融機関以外の者が次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。
(中略)
6.有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募の取扱い

となってます。
例えば、増資を考えている有望なベンチャー企業があるというので、ボランティア的にその会社の社長を投資家に紹介してあげた、というのであれば、「有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募の取扱い」にもあたらないと思いますし、証券取引法がいう「営業」が「営利目的のために反覆継続的に行うこと」であるとすると、「営業」にもあたらない気がしますので、かなりセーフかと思います。(ここまで禁じたら、ベンチャーはどうやって資金集めをすればいいんだ?ということになります。)
ただ、上述の新聞記事では、
「(バイオベンチャーの)A社長に会わないまま(VCの)K氏の説明で出資を決めた投資家もいたという。」
てなことが書いてありまして、こう言ってしまうと、単なる「会社や経営者の紹介」ではなく、「有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募の取扱い」に該当する可能性が高まってしまいます。

(追記:2005/7/7)本日、この「K氏」とお会いする機会がありまして、いろいろバイオ業界への投資についてお話をお聞きできて大変勉強になりました。新聞記事には書いてありませんでしたが、K氏はこの会社の役員をされておられた、とのことなので、上記のケースは問題ない、ということになります。(失礼いたしました。>Kさん)

VCは他のVC等の投資家を紹介してくれても、その会社自体がうまくいけばキャピタルゲインで潤うので、VCは資金集めでフィーを取らないことも多いです。これであれば「営業」には該当しない可能性が高いかと思います。(ただ、本業である投資を成功させようとしているので、まったくのボランティアということでもありません。また、VCなら必ずタダで手伝ってくれるわけではなくて、「お金を集めてきたのでフィーをください」というところもありますが、それはどうなんでしょうか?)
ベンチャー企業からフィーをとって「資金を集めますよ」というのを本業にうたっちゃっている会社は完全にアウトだと思いますが、VCが他の投資家を誘ってco-investするというなのはセーフということにしてくれないと、誰がベンチャーを助けてくれるのか、ということになってしまいます。
「ここまではセーフ」というのに参考となる判例とか通達とか、ベンチャーの支援を安心してできる基準はどこかに存在してないでしょうか?
(以上の法解釈は、私の私見にすぎませんので、ご注意ください。)
ではでは。

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フォーサイド・ドット・コム公募新株発行

(本日は、「三菱東京、アコムを傘下に」という日経のトップ記事も興味深いのですが、それはさておき、)
フォーサイド・ドット・コムが公募による新株発行の公告をしておりますが、その中で、
(2) 発行価額 日本証券業協会の定める公正慣習規則第14号第7条の2に規定される方式により決定する。」
とある「公正慣習規則第14号」とは「有価証券の引受に関する規則」のことで、第7条の2は、「ブックビルディングによる価格の決定」に関する規定のこと。つまり、フォーサイドはブックビルディング方式で公募増資するということです。
日経の記事には8,746百万円調達と書いてあり2万株なので、一株437,300円を予定しているということになります。(当然、正式な価格はブックビルディングの結果で決まるということになりますが。)
本日の同社の株価は413,000円で昨日より8千円下げてますね。発行済株式数は216,500株なので、2万株は10%弱となります。
(ではでは。)
以下ご参考。

「有価証券の引受に関する規則」第7条の2
会員(注:証券会社のこと)は、引受を行うに当たり、ブックビルディング(投資者の需要状況の調査)により当該募集または売出しに係る株式、新株予約権及び新株予約権付社債の価格等の条件を決定する場合、当該ブックビルディングにより把握した投資者の需要状況に基づき、発行日又は当該売出しに係る株券等の受渡期日までの期間に係る株式相場の変動リスク等を総合的に勘案して発行会社又は当該売出しに係る株券等の所有者と協議するものとする。
2 前項に規定するブックビルディングの手続きについては、細則をもって定める。
「「有価証券の引受に関する規則」に関する細則」第3条の2(ブックビルディングの手続き)
規則第七条の二に規定するブックビルディングの手続きは、次のとおりとする。
一 仮条件の決定
会員は、次に掲げる事項を総合的に勘案して、発行会社または売出しに係る株券等の所有者と協議の上仮条件を決定する。
イ 募集又は売出しに係る株券等の発行会社の株式の時価、流動性及び株式を公開している市場
ロ 募集または売出しに係る株券等の発行会社の事業内容、経営成績及び財政状態
ハ その他仮条件の決定に関して参考となる資料及び意見
二 需要の調査
会員は、需要の把握のための基本方針を定めるとともに、ブックビルディングを担当する会員を定めるものとする。この場合において、当該会員は、当該基本方針に基づいて需要の調査を行うものとし、調査に当たっては、次に掲げる申告が含まれないことに留意するものとする。
イ 投資者の需要に基づかない申告
ロ 配分を確保する目的をもって行われる過大な申告
ハ 一の投資者の同一の需要に基づく複数の申告
(以下、略)

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ライブドアのターボリナックス買収価格は?

ライブドアのプレスリリースを見ても、ターボリナックスをいくらの価値と踏んだのかは書いてありません。昨日の日経に公告が出ていたように、買収には「簡易株式交換」を用いていますが、商法の簡易株式交換の規定では、
第三百五十八条
 完全親会社トナル会社ガ株式交換ニ際シテ発行スル新株ノ総数ガ其ノ会社ノ発行済株式ノ総数ノ二十分ノ一ヲ超エザルトキハ其ノ会社ニ於テハ第三百五十三条第一項ノ承認ハ之ヲ得ルコトヲ要セズ但シ完全子会社トナル会社ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ定メタル場合ニ於テ其ノ金額ガ最終ノ貸借対照表ニ依リ完全親会社トナル会社ニ現存スル純資産額ノ五十分ノ一ヲ超ユルトキハ此ノ限ニ在ラズ

となってますので、ライブドアの時価総額の5%以下であること、キャッシュの支払額は2%を超えないことはわかります。発表前のライブドアの時価総額約1500億円×5%で、高くても75億円くらいというところですね。(額が大きすぎてあまり参考になりませんが。)
ターボリナックスは12月決算の模様で、一昨年の決算は5億円程度の売上の会社のようですので、おそらくはまだ赤字。昨日の日経一面では、HPが初年度から100万台を目標としていますが、製品が「Turbolinux 10 Desktop」だとして、定価15,800円なので、HPへの卸値が3000円として100万台で売上30億円程度。
HPとのディールをまとめたのがライブドア側の方なのか、ターボリナックス側の方なのかでまったく違ってくると思いますが、コストやリスクもあるので、なんとなく高くて15億円くらいの企業価値と見積もられたかなあ、という気がしますが。
ターボリナックスを売却したSRA(東証2部)が、月曜日から現在までで約10%しか上がっていない(10時半現在の時価総額約63億円)ので、5億円くらいの低額なディールだった、という可能性もありますね。
(以上、私の推測に基づく数値にしかすぎませんので、お取扱にはお気をつけください。ではまた。)

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株式分割公告いろいろ

(本日一番おもろい記事は、なんといってもHPのターボリナックス採用とライブドアによるターボリナックス買収の記事ですが、それはさておき、[地味な話題で恐縮ですが])
本日の日経は、6月末の定時株主総会で権利を行使できる株主を確定する基準日の公告のほか、株式分割の公告が目立ちました。
スターツ�
ネットビレッジ�
�ダイナシティ
�日本マイクロニクス
�テクノメディカ
�メッツ
オー・エイチ・ティー�
アップルインターナショナル�
デンカ生研�
プリヴェチューリッヒ企業再生グループ�
�野田スクリーン
�ミスミ

この12社のうち10社は、3月31日時点での株主の所有株式を分割するという内容なのですが、オー・エイチ・ティー�と�野田スクリーンの2社は、4月30日(金曜日)の時点で、ということにしてますね。(現在、6週間前。)両社とも決算期が4月のようです。
商法219条�では、
前条第一項ノ決議ヲ為シタル場合ニ於テハ会社ハ株式ノ分割ヲ為ス旨及会社ノ定ムル一定ノ日ニ於テ株主名簿ニ記載又ハ記録アル株主ガ株式ノ分割ニ因リ株式ヲ受クル権利ヲ有スベキ旨ヲ其ノ日ノ二週間前、若シ其ノ日ガ第二百二十四条ノ三第一項ノ期間中ナルトキハ其ノ期間ノ初日ノ二週間前ニ公告スルコトヲ要ス
となっておりますが、この「二週間前」というのは二週間ぴったり前、ということではなく、二週間前「には」という解釈ということですね。
ちなみに、ほとんどの会社はこの1週間のうちに株式分割の決議を行っているのですが、プリヴェチューリッヒ企業再生グループ�だけは、昨年の12月10日にすでに今年5月21日の株式分割を決議していたものを本日公告に載せてきたということになってます。
半年後の株式分割を決議するというのは、ちょっと不思議ですね。
(ではまた。)

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