blogとミーム

blogって、見れば見るほど「ミーム」をばら撒くためのツールという感じがしますね。
(ご参考:私めの「ミーム」についての書評
基本的に、情報の需要者のニーズというよりは、供給者の論理で推進されているところ、とか。:-)
(ではまた)

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国税電子申告・納税システム(その2)

国税の電子申告ファイルの中身ですが、こんな感じです。
+<KOA020>に、メインの申告データ(第一表、第二表の内容)が、
+<KOB060>に、「所得の内訳書」の内容が、
+<KOB180>は、「住宅借入金の特別控除」の内容が、それぞれ記入されています。
(中身はヒミツ)
(クリックで拡大)

mihon.jpg

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国税電子申告・納税システム(e−Tax)

確定申告の期限がいよいよ次の月曜日(3月15日)までに迫りましたが、今年は名古屋国税局管内の納税者から段階的に「電子申告」ができるようになってます。
http://www.e-tax.nta.go.jp/
アメリカでは数年前からホームページから申告ができて、しかもクレジットカードで支払えるので、数十億円納税するベンチャー経営者などは、そのポイントだけでポルシェが買えた(笑)という話を米国在住の人から聞いたことがありますが。(真偽未確認。)
私は名古屋国税局管内ではないので実際には申告できないのですが、「所得税の確定申告書作成コーナー」(http://www.keisan.nta.go.jp/)は昨年から愛用してます。データ入力も非常に簡単で順次データを入力していくだけで、申告書のPDFファイルを作成してくれますが、今年から、電子申告用のデータを作成する機能もついてますね。(電子申告のソフトも使ってみましたが、このホームページの申告コーナーの方が使いやすい感じ。)
申告する税務署欄に名古屋国税局管内のデータを入れないとエラーになってしまうのですが、その税務署名を入れて作成して中を見てみると、XMLのファイルになっています。(ただし、拡張子は「.xtx」)
フォーマットの見本もお見せしようと思ったのですが、xmlのタグがじゃましてうまくここに表示できないので、また今度。(ではでは。)

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「泣いた赤おに」と法令順守(笑)

小さいころ最も好きだった童話の一つが「泣いた赤おに」でした。青鬼の赤鬼に対する友情と自己犠牲を考えると、子供時代もさることながら大人になってからも思い返すたびに目がちょっとウルっとしてしまう話だった・・・のですが、先ほどリビングのテーブルの上に置いてあった子供の本をひさびさに読み返してみたら、ウルウル来ないどころか「おやっ?」というかすかな嫌悪感すら覚えてしまいまして・・・。
この話は、人間社会にとけ込めない赤鬼が青鬼と共謀してヤラセの暴行事件をひき起こし、赤鬼が人間の人気者の地位を獲得する、という話ですが、これって、「自然の大切さを訴えるために、新聞社の記者が自分でサンゴに落書きをしてその写真を掲載」したりとか、「まだ十分食べられる肉を捨てるのはもったいないので、賞味期限のシールを張り替えたり」というような話とはどこか違うんでしょうか?
ヤクザ映画に法令順守を求める人はいないと思いますが、この話もそういうこと?それとも、昔は法令順守の観念が欠落してる面があったけど、企業の社会的責任(CSR)とかコンプライアンスとかが重要になってきて、今はそういうのが許されない世の中に変わっちゃったので、違和感を感じるということでしょうか?
(私が、頭が固くて融通のきかないアホな大人になっちゃった、という説もありえますね。)
ではでは。

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イノセンス

http://www.innocence-movie.jp/
「寝ました」とか「聖書等の引用等多くて・・」という周囲の評判を聞いてから見てきたのですが、なかなかどうして、かなりよかったですよ。何と比べていいか、という問題はありますが、個人的には少なくとも「マトリックス」シリーズとかよりはよかったかと。
前作は最後のほうのシーンで壁に飾られた進化の系統樹を弾痕が上り詰めていくシーンに代表されるように、「人類はこれから先どうなっていくんだろう」という素朴な(かつ根源的な)疑問について考えさせられましたが、今回も、人類、社会、人間、情報、意識、ネットなどが、どうなっていくのかということを考えさせられることも含めて楽しませていただけました。
今回はジブリの鈴木氏がプロデューサーについて、お金集め&興行面もうまくいってるみたいですね。出資者も、ジブリ映画でもおなじみの面子(徳間書店、日本テレビ、電通、ディズニー、等)がならんでいます。
ちなみに、千と千尋の神隠しでもCopyrightのところに「©2001 二馬力・TGNDDTM」、イノセンスでは「©2004 士郎正宗/講談社・IG,ITNDDTD」等の記述がありますが、この後ろについているアルファベットの列は何かというと、出資者の名前の頭文字(徳間書店、日本テレビ、電通、ディズニーなど)になってます。
この投資vehicleの法的性格や会計処理については、eトーマツのサイト(http://www.e-tohmatsu.com/members/sprp/topic/)にかなり詳しくまとまっています。今回も、製作委員会方式、民法上の組合(民法667条)、または匿名組合(商法535条)などを使っているのではないかと思います。これらは、vehicleの段階では法人税が課税されない税務上の導管体(conduit、コンジット)で、(全く課税されないわけではなく)、それぞれの出資者の損益と合算されて最終的には課税されることになります。また、これらのうち匿名組合以外は有限責任ではありませんが、アメリカだと、こういう映画の投資は有限責任でしかも法人税が課税されないLLC ( Limited Liability Company )がやってることが多いようですね。日本でも「会社法制の現代化試案」で、LLC型のvehicle案が盛り込まれています。数年後には、日本の映画のスタッフロールにも「LLC」が出てくるのがあたりまえになるかも知れません。
(本日はこのへんで。)

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証券仲介業とは何か

前述のとおり、今年はローソンや楽天をはじめ(証取法改正を経て)銀行が「証券仲介業」に参入する予定ですが、どんな制度になるんでしょうか。平成16年4月1日施行分の証券取引法の条文を見て、イメージ出しをしてみます。
結論としては以下の通り、(銀行など「堅いノリ」になれてる企業はもちろんOKとしても)、ゆるーい社風のネット系企業をはじめとする一般事業会社には、かなりキツい運用になるんじゃないかと想像いたします。
まず、定義ですが、
証券取引法第2条(定義)
� この法律において「証券仲介業」とは、証券会社、外国証券会社(略)の委託を受けて、次に掲げる行為のいずれかを当該証券会社、外国証券会社又は登録金融機関のために行う営業をいう。
一 有価証券の売買(有価証券先渡取引を除く。)の媒介(第八項第七号に掲げるものを除く。)
二 第八項第三号に掲げる媒介(注:有価証券の売買等の媒介)
三 第八項第六号に掲げる行為(注:「有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募の取扱い」)

となってます。「媒介」ですので、「代理」のように仲介業者がOKしたら法律上効力が発生するのではなく、あくまで委託元の証券会社が取引についてOKと言わなければOKできません。実際には、インターネット等の画面でこのへんの情報伝達は瞬時に行われることになるイメージだと思います。
第六十六条の二から「第三章の二」として「証券仲介業者」の章が新設されてます。
第六十六条の二
銀行、協同組織金融機関、信託会社その他政令で定める金融機関以外の者(略)は、第二十八条の規定にかかわらず、内閣総理大臣の登録を受けて、証券仲介業を営むことができる。

銀行証券を分離する「第65条」で証券業を営めないことになっている金融機関以外は、証券仲介業になれることになっております。
nagataさんのコメントにもあったように金融審議会第一部会の答申で、「一般事業会社にできることを、銀行にだけ制度的にできないままにしておくことは、もはや国民に対して説明できない段階にきていると考えられる。」てなこといってますが、逆に証券仲介業制度の導入のほうが第65条の鎖を解き放つための「前ふり(伏線)」じゃないの?って感じもします。
あとこの「登録」というのは、「免許」よりは敷居が低いですが証券会社の設立と同じなので、実務上、これがどこまで簡単に行えるのかが注目ポイントです。
第六十六条の四
内閣総理大臣は、第六十六条の二の登録の申請があつた場合においては、次条の規定により登録を拒否する場合を除くほか、次に掲げる事項を証券仲介業者登録簿に登録しなければならない。(略)

という感じで、「登録したい人は原則断れないよ」となってはいますが、
第六十六条の五
内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき(略)は、その登録を拒否しなければならない。
(中略)
三 他に営んでいる事業が公益に反すると認められる者
四 証券仲介業を適確に遂行することができる知識及び経験を有しないと認められる者
(略)

の「四」で、登録させるかどうかの裁量権は実質的には当局側にかなりあることになると思います。証券業協会の外務員や内部管理責任者の資格保持者がいたり、規程がそろっていたりというような「態勢整備」が求められるんでしょうね。
このへん、積極的に仲介業者を募集している証券会社では、規定のひな形やマニュアルなどが用意されるという感じになるんでしょうね。(参考:事務ガイドライン改正)
第六十六条の十五
証券仲介業者は、営業年度又は事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、証券仲介業に関する報告書を作成し、毎営業年度又は事業年度経過後三月以内に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。
� 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、前項の証券仲介業に関する報告書のうち、顧客の秘密を害するおそれのある事項及び当該証券仲介業者の業務の遂行上不当な不利益を与えるおそれのある事項を除き、投資者の保護に必要と認められる部分を公衆の縦覧に供しなければならない。

ということになります。となると、未公開の法人や個人事業である会計事務所などについても、証券仲介業になると、実際、公開会社に準ずるような開示を求められるということになります。証券仲介業がどこまで開示するかについての内閣府令はまだ見て無いですが、これはかなりキツそう。体制を拡充するための人件費等でへたすると年間1千万円〜2千万円くらいかかかるんじゃないでしょうか。
公開会社はいいですが、未公開会社はこの開示をすごくいやがるんじゃないかと思います。
(または、vehicleを別に分けるか。)
加えて、
第六十六条の二十
内閣総理大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、証券仲介業者若しくはこれと取引をする者に対し当該証券仲介業者の証券仲介業務に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員をして当該証券仲介業者の証券仲介業務の状況若しくは書類その他の物件の検査をさせることができる。

という(証券会社における第五十九条の命令権および検査権と同様の)規定があります。
一般事業会社は、監査法人や税務署以外の外部の人にはあまり会社の中身までつっこんで見られた経験のないところが多いので、これは「やだなー」という感じじゃないでしょうか。今まで金融庁の検査が入る会社というのは基本的に銀行とか保険会社とか証券会社などの「堅い」会社だったわけですが、今後は例えばネット系企業で首からIDカードをぶら下げた茶髪とかロン毛の人の脇で背広を着た金融庁の方々が何か検査してるという(笑)光景が見られることになるんじゃないかと。
証券仲介業者は、一般事業会社やFPが手を上げれば登録できるわけじゃなくて、必ず、どこかの証券会社と組まないとできない、というところが大きな制約になります。
証券仲介業者に委託する証券会社としても、
第六十六条の二十二
証券仲介業者の所属証券会社等は、その委託を行つた証券仲介業者が証券仲介業につき顧客に加えた損害を賠償する責めに任ずる。(略)

というような恐ろしい条文があるので、(特に最初のうちは)怖くて、あまり個人事業的な人は仲介業者に指定できないんじゃないかと思いますが。
(今回は、このへんで。)

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資本市場再編の図

キープレイヤーは、このへんの方々のようですね。
【AERA発マネー】地銀を抱き込むウルトラC、ガリバー野村証券の焦り
http://kdd.asahi.com/money/aera/TKY200402210254.html
内容要旨:
●野村証券の国内営業部門(リテール)の幹部が、有名地銀とのネットワーク作りをしている。
●今国会で証券取引法改正案が成立すると、早ければ年内にも、銀行が株や社債の売買ができるようになる。
●1998年に銀行に解禁されたばかりの投資信託のうち株式投信の残高は、わずか5年で銀行のシェアが46%(昨年12月現在)に成長。中でも、数百人単位で証券OBを採用した三井住友銀行が躍進し、3大証券に次ぐ4位に入ると推計されている。
●証取法改正を仕掛けたのは、メガバンクの勝ち組、東京三菱銀行だった。
●当の東京三菱は、「当行も頑張ったが、金融庁の意向が大きい」仕掛け人は金融庁市場課の大森泰人課長。旧大蔵省の長野あつ士証券局長(当時)の部下として、日本版金融ビッグバンを主導した官僚だ。大森課長は、「投信のように、銀行に開放した方がすそ野が広がる」という考え。

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グリーンシートの「本当の意味」

本日、知り合いから、
「グリーンシートは単にベンチャー育成というような話ではなくて、証券仲介業制度との合わせ技で(銀行にフィーを落としつつ)銀行から未公開企業のアセットを吐き出させて、アセットの市場化(つまり銀行から民間企業・個人へのリスクの転化)をはかり、新BIS規制に向けて日本の最大の問題点である銀行のバランスシートを健全化するという、非常に大きな政策の流れの一環と考えたほうがいいよ。」
という示唆をいただきました。
なるほど!ベンチャー市場の一部(数十億円程度)という規模で考えると、どうひねっても、なぜ今年が「グリーンシート元年」と騒がれているのかの経済合理的な理解ができなかったのですが、そういう十兆円百兆円単位の政策的意図が背後にあると考えると、今まで述べてきたようなキーワードのつながりが、すんなりと理解できますね。
どうもありがとうございます。>知り合い

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ネットVS金融

今年2004年は、ネットと金融のクロスオーバーする領域が熱い年になるはず、と思います。
前回、「ネット×金融」の領域が盛り上がったのは、もちろん1999年の証券ビッグバンの年で、この年に、現在の主要なネット証券各社が続々とオンライン証券事業に参入しました。
前回は、インターネットの普及が本格的になってきたことを背景にしながら、証券業が免許制から登録制に変わり手数料が自由化されるという大きな制度の変更が変革の引き金となりましたが、今回は、ブロードバンドの普及という背景を背負いながら「証券仲介業制度」が導入されるというところが大きいかと思います。
証券仲介業制度は、証券会社でない個人や法人が証券仲介業の登録を受けることにより証券会社の仲介業者となり、証券取引の勧誘や証券会社顧客の証券取引の仲介をすることが可能になる制度です。
証券仲介業となるのは、いわゆるFP(フィナンシャルプランナー)的な人(FPの他、会計事務所や保険代理店など)が、まずイメージされますが、実際どうでしょうか?
このインターネット時代に、顧客が税理士事務所や保険代理店の人に「この株を買って」と指示を出すというのはちょっとイメージしにくい・・・ですよね。実際には、発注は顧客がインターネットで直接するけど、手数料の一部が「アフィリエイト(紹介)フィー」的に証券会社から仲介業者にキックバックされる、というイメージの方がしっくり来るかと思います。
やはり、一番証券市場にインパクトを与えうるのは、700兆円の資金を顧客から預かっている「銀行」が証券仲介業に参入することでしょう。銀行窓口で株を買うというのはあまりイメージわきませんが、オンラインバンキングの画面であわせて株や投信なども買えるようになれば、顧客にとっては非常に便利ではないかと思います。
そして、もう一つの目玉が「ネット系企業の金融参入」かと思います。
楽天がDLJディレクトSFG証券を買収したり、ライブドアがイーバンク銀行に出資し日本グローバル証券をTOBで買収したり、という動きがすでに始まっています。(となると、当然、「最大手ポータル」と「取引量最大級のオンライン証券」の組み合わせなんてのが注目されるわけですが。)
証券仲介業制度をうまく利用すれば、ネットのページビューの多いところから金融サービスにうまく顧客を誘導できる可能性がありますし、また、資産家や高額所得者に対してクロスセルで金融以外の高額商品等を紹介するチャンスが増えます。
現在、ネットをよく使う層と金融サービスをよく使う層は、年齢層や所得層がかなりズレています。また、ネット証券の手数料は既存の証券会社に比べれば激安ですが、それでもネットのECなどでの客単価や購買頻度に比べれば、ネット証券の客単価や取引頻度は格段に高いので、ネット系企業の収益性を大きく跳ね上がらせる可能性があります。
(でも実際やってみたら、まったくの水と油だったということもあるかも知れません。)
もうひとつ、意外に勝敗に影響するのが、金融業としての「コンプライアンス対応」のノリをネットビジネスのノリと融合させられるかどうか、ではないかという気がします。
実際、ネット証券の大手はすでに年間数兆円から十数兆円の証券を取引する存在になっています。手数料率はだいたい各社0.1%前後なので、売上として損益計算書に記載されているのは数十億円から百数十億円のオーダーですが、実際にその背後にある取引や金の流れは、その千倍もの量があるわけです。となると、何かちょっと間違いがあるだけで非常に大きな影響が出ますので、当然、それに対する法令などのレギュレーションも厳しく、監督官庁の検査もきついことになります。
例えが適切かどうかはともかく、ネット系の企業というのは、車で言えば走り屋が峠でレースをしているようなところがあって、よく言えば「自由競争的」、悪く言えば、あまりルールがどうこうというところから考える習慣が(一般には)ないわけですが、
一方の金融業界というのは、公式レースのようなもんで、まず法令・レギュレーションありきで、エンジンの排気量からガソリンタンクの容量まで厳しくチェックされ、走行の過程もすべてオフィシャルに監視されてます。よく言えば法令順守感覚がしっかりしているが、悪く言えば「共産主義国家的」というか、ルールを離れた自由な発想をするという習慣が(一般には)なかったり、そのわりに峠の走り屋を軽く見てる人も(中には)いたり。
(どなたとは申しませんが)もともと公式レースで実戦経験がありながら峠の走り屋に転進された方とか、峠の走り屋出身で公式レースに参戦される方とかが、このまったく対極の「ノリ」をどう融合していくかが、今年のレースの最大の見所じゃないでしょうか。
この領域、年明け早々から火花散ってます。
(あんまり書くと、あちこち差し障りが出るので、このへんで。:-)
ではでは。

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グリーンシートとエンジェル税制

昨日、ネットエイジ代表取締役の西川さんと会ったときに、西川さんが日経新聞のコラムにグリーンシート市場について書いたという話を聞いて、(見逃していたので)さっそく読み返してみました。
(「グリーンシート市場革命は起きるか(十字路)」2004年3月4日(木曜日)夕刊6面)
内容のグリーンシート市場の活性化に期待したい、というのには大賛成ですが、文章後半にある、

「エンジェル税制も追い風だ。あまり知られていないが、個人投資家の株式譲渡益のうち、グリーンシート銘柄の公募増資への投資額分はまるまる課税対象から控除されるという、やややりすぎとも思える画期的なエンジェル税制がすでにある。」

というのは、ちょっと注意が必要なので、まずそこだけコメントをば。
エンジェル税制は確かにすでにあります。
http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/main_04.html
がしかし、グリーンシート銘柄全般についてのエンジェル税制は、今年度より導入することを検討している段階で、まだ決まったわけではありません。
2003年12月8日の日経新聞朝刊1面の記事によると、

「自民党税制調査会は二〇〇四年度税制改正で、(中略)個人投資家などがベンチャー企業に投資する際に税制上の優遇措置を受けられる「エンジェル税制」も制度を拡充、適用対象を大幅に広げる方針だ。(中略)
エンジェル税制は個人投資家などが得た株式譲渡益のうち、ベンチャー企業への投資額を所得税の課税対象から控除できる制度。年間三百万円の株式譲渡益を得た人が適用対象のベンチャー企業に二百万円投資すれば、それが控除されて残り百万円が課税対象になる。
 制度導入から昨年度までの六年で対象企業は約二十社にすぎず、投資額も五億円程度。適用基準が厳しすぎるためだ。
 現行基準で最大の障壁は、売上高の三%以上を研究開発と市場開拓の費用に充てる企業に対象を限っている点。来年度からこの条件を撤廃、日本証券業協会のベンチャー企業市場である「グリーンシート銘柄」に株式登録していれば適用対象にする案が有力だ。設立十年以内の非上場企業で、大企業(資本金一億円以上)の子会社ではないとの適用条件は残す。」

とのこと。
グリーンシート銘柄というのは、制度上は「未上場株」なので、現行のエンジェル税制の要件を満たした企業がしかるべき手続きをすれば、グリーンシート銘柄であってもなくてもエンジェル税制の適用を受けられるのですが、グリーンシート銘柄のどれでもエンジェル税制の適用対象となる、ということにはまだなっていません。
また、確かに(損失ではなく)投資額自体が丸ごと譲渡益から差っぴけるというのは、一瞬すごい節税効果のような気がしますが、「やややりすぎとも思える」かというと、ちょっとビミョーです。
株式の譲渡所得は、給与所得や事業所得等とは分けて課税される「分離課税」の対象なので、給与所得が4000万円あって1000万円投資したとしても、株の譲渡益がなければ1円も節税になりません。
また、(高い人で50%前後になる所得税・個人住民税の節税になれば、「やりすぎ」かも知れませんが)、公開株の譲渡益の税率は(所得税・地方税合わせて)たった10%です。
1000万円投資しても節税額はたかだか100万円。エンジェル税制の適用を受けるには確定申告も必要なので、証券会社の特定口座で申告不要の取引をしていて他には給与所得しかないような人だと面倒がるかも知れません。
また、売れるかどうかわからない流動性の低い未公開株に1000万円も投資できる人というのは、数千万円以上の所得があるような人が多いでしょうから100万円節税できても、あまり魅力には感じないかも知れませんね。
ただ、今年から未公開株の株式譲渡益の税率が26%から20%に引き下げられる予定ではあるものの、それでもまだ公開株の倍の税率なので、例えば、ネットのベンチャーのオーナー社長で、自分の会社を(公開する前に)上場企業に売却して、3億円譲渡益が出たぞ、という人や、息子に会社をゆずって株の譲渡益がでちゃったというような人は、エンジェル税制の要件を満たす未公開株に投資すると、比較的節税効果は大きいかも知れません。
(今回は、こんなところで。グリーンシート市場の詳細については、また別の機会に。)

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