鉄道会社の内部統制

電車を待ちながら、鉄道会社のコーポレートガバナンスや内部統制はどうあるべきなのか、取締役(会)としては運転手の教育やシステムの整備をどこまで進めておく義務があったのか、という観点からいろいろ考えていたら、駅のアナウンスがこんな風に聞こえてきました。

電車と法務の間に広く開いている場所がありますのでご注意ください。

(不謹慎だと不快感を感じられた方は申し訳ありません。)ただ、JALの件も含め、普通の人が安心して利用できるべき社会的インフラ企業において、経営者が何をどこまで整備しておかないといけないかというのは、コーポレートガバナンスの問題としても非常に考えさせられることではないかと思います。
金融系の検査マニュアルでは、リスクアプローチを取るとともに、「取締役会がそのリスクを理解して、ちゃんと内部統制等に反映させているか」というプロセスが厳しく問われるようになってきていると思うのですが、鉄道会社や航空会社では(不勉強でよく存じないのですが)どうなんでしょうか。「(現場とガバナンスの間に)広く開いている場所がありますのでご注意ください」では困るわけです。
(亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

証券取引の未来予想図�

ぐっちーさんからトラックバックいただきました。これがまたおもしろい話です。
(追記:私は場立ちの人が活躍した時代をよく存じませんので非常におもしろく拝読したのですが、引用部分についての正確性についても判断いたしかねますのでご了承ください。)

株は昔「場立ち」という制度があって、株の売買を人間が伝達していたのです。今は全て「電気」になってしまいましたが、当時は証券会社の存在意義があったのです。なぜかというと例えば同じ銘柄を買いに行ってもその「場立ち」の執行能力に差があるので売買執行(エグゼキューションといいますが)の時差が出る訳です。早い、遅いで値段が変わるわけですからこれは意外に重要なファクターでした。ばかばかしい話ですが電話で注文を受けると場立ちが走っていって決められた銘柄ごとのポストに注文を出す訳です。足が速いとか、早く取り次げるとかいったことが証券会社の能力として投資家に判定されてました。
私が在籍していたモルガンスタンレーという会社は場立ちにアメリカからフットボールのドラフトに掛かったようなムキムキの奴を5人呼び寄せましたんです。まじに。何が起こったか??
彼らはポストに殺到する日本人の場立ちにタックルを浴びせ、蹴散らして吹っ飛ばしていの一番に注文を取り次ぐ事ができる訳です。従ってモルスタは執行が早いと評判になりかなりの顧客獲得に貢献した訳ですね。こういうメリットがあれば証券会社は存在しうるわけです。

はー、なるほど。
人によって好き嫌いがあるようですが、私は「おじさんの昔話」マニアでして。:-)
「いやー、昔は、記憶媒体がMT(磁気テープ)しかなかったからねえ。プログラムでテープに書き込んで巻き戻して読み込んでというのを延々とやらないといけないから、給与計算でちょっとしたソートをするのに、一晩もかかってねえ。」
とかいうような話が大好きです。
今ならExcelで1秒でできるようなことに一晩かかっていたというような話を聞くと、技術進歩のありがたさが身にしみますね。
果てしなき人間の欲望
ちなみに、今は「電子」だからすべて光の速さで証券取引が執行されるかというとそうではなくて、やはり、発注サーバーの処理能力やプログラムの優劣で執行スピードに微妙な差が出るわけです。
「頭と尻尾はくれてやれ」のように、「あんまり細かいところを気にするな」という主旨の相場格言は多々ありますが、そうはいってもやはり人間の心理としては、「板にあったあの値段の株が欲しかったのに〜」となるわけで。
技術が進歩したら進歩しただけ、人の要求水準も高まるということですね。
ということで、(誤解無きように申し上げておきますと)、私は「証券会社が全て無くなる」なんて(恐ろしい)ことを申し上げたのではなくて、「現状にあぐらをかいている証券会社は無くなるだろう」ということを申し上げたかったわけです。
「ネットは新聞を殺すのか?」という問いと同じで、新聞が全く無くなるわけではなくて、「法律や利権にあぐらをかいている業態」が成立しなくなるだけかと。
「商社不要論」も過去何度も唱えられてきましたが、残る商社は残ってるわけで。
特に、資本市場というのは日本だけでも年間(兆円じゃなくて)「円」オーダーにも届こうかという量が取引される可能性があるわけですから、そうは言っても一社じゃ食いきれないくらい(たった5べーシス(取引高の0.05%)としても5兆円オーダーの)でかいパイなわけではあります。
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

証券取引(brokerage)の未来

NYSEがArchipelagoを買収する、と20日(日本時間21日未明)WSJで報じられ、

The New York Stock Exchange will merge with Archipelago Holdings, hastening a move to electronic trading at 212-year-old Big Board. The NYSE will own 70% of the new entity.

今度は22日(日本時間23日未明)にNasdaqがInstinetを買収するとの報道。

The Nasdaq Stock Market announced plans to buy the electronic-trading firm Instinet Group in a $1.88 billion deal.

かと思ったら、NY証券取引所の元理事ケネス・ランゴーン氏が、NY証券取引所の買収を検討しているとの報道も行われてました。
http://www.tv-tokyo.co.jp/biz/nms/days/050426/p1.htm
これらの意図するところは何でしょうか。つまり、これらは単なる「水平統合」のお話なのか、それとも川下進出を狙った「垂直統合」のお話なのか、ですが。
DMA(Direct Market Access)
今朝のモーサテで大和証券アメリカの方が解説されてましたが、米国ではDMA(Direct Market Access)という、投資家が直接、証券取引所へ電子的に発注を行う取引が拡がっているようです。現在の利用者のかなりの部分はヘッジファンドとのこと。
マーケットインパクトの回避(問題になった情報漏れによるフロントランニングの防止も含むんでしょうね)とか、複数取引所とのコンピュータによる自動取引を行うには、電子取引のインターフェイスがあった方が便利ということのようです。
NYSEだとこのへんがご参照になるかも知れません。http://www.nyse.com/about/nyseviewpoint/1094784439404.html
証券会社はなぜ必要なのか?
本日の日経朝刊でもオンライン証券4社が過去最高益と報じられてますが、この電子化されていく世の中で、顧客が直接 証券取引所に発注を出さずに、わざわざ証券会社を経由して発注する意味は何なのか?ということはよく考えておく必要があるんじゃないかと思います。
「法律や制度でそうなっているから」と言えばそれまでですが、目先の法規制やしがらみにとらわれずにもっと未来を考えた場合に、brokerageを証券会社が行う意味は何なのか?
例えばヤフオクで商品を売買するのに、わざわざ仲介業者を介して発注したりはしないわけです。東証もNYSEも、ヤフオクと同じ「オークション」。オークションというのは、取引が集まれば集まるほど取引が成立しやすくなる「外部性」が働くので、放っておくと自然独占になりやすい業態です。アメリカではEbayがダントツ1位ですが、日本だとヤフオクというように。
で、「一般の個人や法人が証券会社を介さずに証券取引所と直接取引する」のでは何がまずいのか?ということになるわけですが。昔は、証券取引所が一般の個人や法人から直接取引を受け付けるなんてことは、実務上不可能でしたが(現在でも、急増する取引件数を処理するのに苦労されてますが)、ITやインターネットの発達で、少なくとも技術的には不可能ではなくなってきています。
信用リスク管理
証券会社が必要とされる理由の一つは、顧客に対する信用供与または信用リスクの管理機能でしょう。米国のオンライン証券の初期にも、どんどん手数料が下がっていって、ディープ・ディスカウントする証券会社の収益源は、信用取引(margin trade)の金利収入でした。
証券取引所が全国の個人や法人から直接、債権を回収するというのは面倒くさそうですから、この機能は、(少なくとも発注情報をやりとりするという機能よりは)、長期的にも残りうるのかも知れません。
現在はT+3なので、決済日にちゃんと現金を振り込まれるかどうかも問題となるわけですが、前金にすれば、取引所が直接顧客と取引しても信用リスクは無いわけです。証券の場合、すべて電子化されて保振で管理されるようになれば、ネットオークションのように「カネ払ったのにモノが届かない」ということもありません。個人はともかく、大口投資家の取引のかなりの部分は、証券取引所と直で取引しても問題ないかも知れません。
発注のインターフェイス
発注のインターフェイスも差別化の要因でしょう。ただし、証券というのは取引しやすいよう極度に抽象化された存在なわけですから、自ずとその取引はシンプルです。仮に取引所とのダイレクトな取引の仕様が公開されれば、個人向けのインターフェイスも証券会社からアンバンドルされて「独立した製品」になっちゃうかも知れませんね。
条件注文などを考えると自分で発注インターフェイスソフトをインストールして管理するよりは、ASP的に証券会社が代行して行う方が、個人等のお客さんにとっては便利でしょうけど、ヘッジファンドをはじめとする大口の投資家は、自社から直接証券取引所に発注する方がいいでしょうね。
情報提供、サポート機能
情報提供機能での差別化というのもありえます。ただし、情報はネット上でタダで取れる範囲がどんどん拡がってますし、証券会社だけが握っている(インサイダーでない)情報というのも範囲が狭まってきています。
初心者のお客さんにとっては顧客サポートの違いというのは大きいですが、ヘッジファンドのようにすべてわかってるような人はもちろんダイレクトに取引しても全く問題がない。
日本だと「サラリーマン」ファンドマネジャーに対するニーズは残るんでしょうね。
ワンストップ的ニーズ
複数取引所への発注を証券会社がまとめて行うニーズがあるかと思います。(日本株に複数の取引所が必要なのかどうか、といった話はさておき。)
「金融コングロマリット」的な要素が進展すると、証券だけではなく、預金とか、保険とか、為替を統合して、「投資家のポータル」となる方向もあるでしょう。ただ、トガった個人の投資家や機関投資家は、「ワンストップ」のニーズはそれほど高くはないかも知れません。
もっと、「マス」の層を考えると重要かも知れません。
証券取引発展のフェーズの違い
こう考えてくると、アメリカと日本の証券市場のフェーズの違いは大きいですね。
日本のようにまだこれからどんどん個人等が証券取引を始めようかという市場においては、「代理店」というのは重要なチャネルのはずです。(特に、個人等のリテールの分野においては。)
しかし、アメリカのように、「やりそうな人」はみんな証券取引をやってるような飽和した市場では、当然、「代理店」の再編は不可避であり、「直取引」が増加するでしょう。
家電の販売チャネルや損保の代理店の歴史を見てもそうですよね。
−−−
証券取引所が個人と直接取引するというのは、日本だとまだ「SF」の世界ですが、経済原理として、大口取引から徐々にそうした流れになってくるのは間違いないかと思います。
法律や制度という大きな壁もありますが、そうしたものは、(特に証券の領域については)、米国が変わっていけば日本も変わるのは間違いないわけで。
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

カネボウの粉飾決算と監査

(以下、特定の監査法人さんの擁護をするものでも、非難をするものでもありませんので、念のため。)
たまごさんよりのご質問:

意図的に話題を避けていらっしゃるのかもしれませんが
是非カネボウの粉飾決算にハンコを押した中央青山の会計士の意味について
分析、コメントしてください。
同業なので言える点言えない点あるかと思いますが、
あまりにもこの中央青山の監査は不可解でなりません。
会計士は、クライアントの茶坊主なのですか?犬ですか?
言える範囲でけっこうですので、同業だからこそ、のコメントをしてください。

原則論のお話
「同業だからこそ」のコメントというよりは、監査論の教科書に書いてあるような初歩的なコメントになっちゃいますが、会計監査というのは、「原則として試査による」、ということになってます。

監査基準 第三 実施基準 一 基本原則、3
監査人は、十分かつ適切な監査証拠を入手するに当たっては、原則として、試査に基づき、統制リスクを評価するために行う統制評価手続及び監査要点の直接的な立証のために行う実証手続を実施しなければならない。

つまり、会計監査というのは、「どこが怪しそうか」というリスク評価でウエイト付けをした上で、サンプリング等の方法で抽出したところだけをチェックしているわけです。
もしカネボウ全体の活動を網羅的にチェックするとしたら、16年3月期の人件費関係の費用700億円超の(仮に)1%のコストとしても約7億円かかるわけですが、もちろん、監査にそんなに金を出してくれるというのは一般には難しい。
結局、予算の範囲内で監査するにはサンプリング等による抽出しかないわけですが、そう、「抽出」なので、抽出しなかったところが間違っていたら「アウト」なわけです。
また、抽出の範囲は通常、全体に対する割合は極めて小さいので、会社側の主要メンバーがグルになってゴマかしたら、監査法人と言えどどうにもなりません。
監査基準の第一「監査の目的」を見ても、

財務諸表の監査の目的は、経営者の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャツシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにある。
財務諸表の表示が適正である旨の監査人の意見は、財務諸表には、全体として重要な虚偽の表示がないということについて、合理的な保証を得たとの監査人の判断を含んでいる。

と書いてありまして、監査基準の前文によると、これは「二重責任の原則」を表すものです。二重責任の原則というのは、「財務諸表の作成の一義的な責任は企業の経営者にある」つまり、財務諸表にインチキがあったら、まず責められるべきは経営者であって監査した人じゃないですよ、監査人が責任を負うのは経営者が作った財務諸表に対する「意見」についてのみで財務諸表そのものの正確性に対してではないですよ、としているわけです。
つまり、問われるべきなのは監査人が「合理的にここまでやればOKだろう」というところまでちゃんと監査をやったかどうかがであって、最終的に虚偽表示があったかどうかではないわけですね。(本来。)
ぶっちゃけたお話
ただ、一般の人達は、「会計士がちゃんと見てるから、企業の財務諸表はちゃんとしてるんだろうなあ」とか「監査証明は、企業の財務諸表が正確であることの”お墨付き”だ」と思ってるわけで、こうした事件が起こると、たまごさんと同様、「何やってんだよ!」という怒りがわき起こるわけです。
これは監査論では、「期待ギャップ」と呼ばれています。
今回のケースで、「監査法人はちゃんとやってたのに、抽出の範囲外でたまたま粉飾が行われていた」のか「そもそも、専門家ならやるはずのことをちゃんとやってなかったのか」は、部外者の私にはよくわかりませんが、今後の調査で明らかになっていくんじゃないかと思います。
こうした事件が起こった時は、そうした「監査の限界」について一般の理解を深めるいい機会のはずですが、こういうシチュエーションで監査法人や役所が「財務諸表を作る一義的責任は経営者にあるわけでして・・・」てなことを言っても、「言い訳」にしか聞こえませんので逆効果。
また、あまりここを強調しすぎると、「じゃあ、監査ってのは何の意味があるのさ?」「監査なんかしなくてもいいじゃん!」という別の怒りを呼び込むことにもなるわけで。
市場で証券が安心して取引されるためには、こうした監査の信頼性が保たれることが大前提になるわけですが、「抽出なので間違うこともあります」ということでも、こうした信頼性を保つことが可能なのかどうかというのは、根源的問題じゃないかと思います。
エンロン事件後のSOX法では、内部統制の拡充を含む様々なコーポレートガバナンスの仕組みの強化が図られたわけですが、それでも粉飾の可能性はゼロにはできません。
「オープンな法体系(SF小説風)」で、原始データの発生時点から網羅的に会計監査人が企業の会計に関わる「監査のSTP (Straight Through Processing)化」(仮称)というのを持ち出しましたが、これも、「この先、公開会社の財務諸表の正確性が、よりガチガチに求められていくとすると、行き着く先はどこなのか?」という疑問の答えを「SF小説風」に考えてみたものです。
その中に「世界三大会計事務所」とも書いてありますが、これも、このままいくと、(ディアハンターのロシアンルーレットのように、いつかは確率的に「負ける」時が来て)、今後、エンロン並の大不祥事がまた発生したら、もう一段、「再編」が進んじゃうんじゃないかなあという不吉な妄想でございました。
(こんな話で答えになってますか?>たまごさん。
ご参考になれば幸いです。ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

COSTCOに行ってきた

遅ればせながら昨日はじめてCOSTCOに行ってきました。
ビジネス会員でも会費が3,675円もかかるので、今までちょっと躊躇してたんですが、昨日ゴルフ練習場に行ったら、そこの会員券を見せればビジターとしてタダで入れる(ただし購入金額は会員の5%増し)というキャンペーンをやってたので、家族で出かけてみたわけです。
休日はまったく人通りのない、倉庫や工場しかないような立地なので、儲かってるのかしらん?とずっと思ってたわけですが、意外や意外、入ってみるとすごい人数が押し寄せていてびっくり。
costco 005(s).jpg
(↑夕方6時までの営業だが、客がいる間は閉めない、ただしライトがちょっとづつ消えていくというシステムで、ちょっと薄暗くなってます。)
想像以上に「アメリカ〜ン」な場所
バケツのような大きさのアイスクリームが大量に積まれているのを見て、息子二人も「うー、もうアイスクリーム食べたくなくなるー!」と叫び出す始末。すべてのものが巨大なので、縮尺の感覚がちょっとおかしくなって、巨人の国に迷い込んだような錯覚を覚える。
びっくりしたのは、従業員の方々も日本語のnative speakerが少なそうなところ。(従業員募集の張り紙を見ると、「要英語力」とあります。)店員同士も英語で会話してますし、お客さんも、外国の方が結構目立ちましたね。
建物(ドアとかレジとか)も、非常に作りが大ざっぱ。まさにアメリカのスーパーとかの「あの」感じです。
「ニオイ」もそう。アメリカの店舗って、日本の店舗となんか違う香りがしますよね。あれ、客や店員の体臭の違いかと思ってたんですが、壁紙に使われるノリの溶剤とかペンキとかの違いなんでしょうか。
夕食は、ゴミのポリバケツのフタほどのでかさがあるピザの持ち帰り、1,575円也。1枚で日本の宅配ピザの「L」2枚分くらいの量があるんじゃなかろうか。
というわけで、海外旅行して、サンフランシスコとかニュージャージーあたりのスーパーで買い物してる気分を堪能いたしました。
(↑安上がり。ゴールデンウィークも、これで行こう!)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

企業買収防衛策(総会対策、なんとかなりそう、かと)

経済産業省のメルマガで、
企業価値研究会「論点公開」〜公正な企業社会のルール形成に向けた提案〜
http://www.meti.go.jp/press/20050422005/050422ronten.pdf
がupされたというのを見て読み始めていたら、すでに47thさんが、パブコメのススメシリーズを開始されております。

ちなみに、私も最終報告書125頁で滑り込みセーフという感じでThanks List入りしています。残念ながら、私の indirect & non-public の辛口コメントは余り反映されていませんが・・・

と、このシリーズで、報告書に対する厳しいツッコミを拝見できるのではないかと思いますので:-)、私の方はへたなことを申し上げるのはやめときまして。
−−−
買収防衛策の要件として総会の承認が必須になるかのような報道については、

これに関する新聞報道・・・これはなんなんでしょうね?
買収防衛策導入、「総会で承認」を推奨・経産省研究会 (NIKKEI NET)
企業防衛策:株主総会での承認の重要性指摘 経産省研究会 (毎日新聞)

磯崎さんも指摘されているとおり、3月の骨子の段階では�第三者チェック型、�客観的解除要件設定型、�株主総会授権型の3つは選択的要件とされていましたし、(直接委員の一人に確認したのですが)最終報告書でもこの関係は変わっていないはずです。
まあ、よく読んでみると若干そういう誤解を招く表現も見られるのですが、とても上記の新聞記事のように総会の承認が必須であるかのようには読めません。

いったい、どこからこういう話になったのか、しかも、日経と毎日が両方ともこうした書き方をしているのには、本当に首をひねらざるを得ません
直接記者が報告書全文を読んで書いたわけではないんでしょうから、誰かかがそういったのだと思うんですが・・・情報源が同じということなんですかねぇ・・・

とのことです。
総会ご担当者のみなさま、胸をなで下ろしていただければ。
(追記:8:15)
スキームによっては、総会で何かしなくちゃいけないこともありますので、念のため。
(ではでは。)
(追記:2005/6/21)
企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の公表について
企業価値研究会「企業価値報告書」の公表について
2005年5月27日 経済産業省・法務省
http://www.meti.go.jp/press/20050527005/20050527005.html

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

デューデリジェンス士の都市伝説が広がる前に

先日、「一級デューデリジェンス士過去問題例」というエントリーを書いたら、
「そんな資格があったんですね、知りませんでした。」
「何月に試験があるんですか?」
「解答編は出さないんですか?」
等の複数のお問い合わせをいただきました。
えーと・・・。
選択肢に、「あんたとはもうやってられまへんわ」とか書いておいたので、当然、ジョークだとおわかりいただけたかと思ったのですが、結構ちゃんと読んでくれてそうな方まで何人も誤解されていたので、「こりゃヤバいかも」と思い、念のためちゃんと申し上げておきます。
そんな資格は実在しませんので、よろしくお願いいたします。
もし、「一級デューデリジェンス士って知ってるかよ?」とか、知り合いにトリビアを自慢してしまった方がいらっしゃいましたら、深くお詫び申し上げます。<(_ _)>
「デューデリなんて形だけだろ?」という人が結構いらっしゃったので、
「説明責任が厳しく問われるようになってきた今、そうでも無くなってきているのではないか、
某「事実上決まっている投資」については、当然、デューデリを有名無実にする圧力がかかる可能性がありますが、特に、デューデリに関わるプロフェッショナルな職業の方々は、ちゃんと仕事せざるを得ないんじゃないか、
と思う一方で、
強制法規や規則で厳重に縛られている領域でもないので、やる人によってはいいかげんにやられてしまう、(つまり、「デューデリをしました」という情報だけでは、どの程度のクオリティでデューデリが行われたのかが、外部からは必ずしも判断できない。)、
というようなところをいろいろ考えていただきたかったということであります。
よろしくお願いいたします。

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

電車の中にて

●その1
本日送られてきた日経ビジネスを読んでたら、隊長が登場しててびっくり。
著者に聞く(99ページ)
けなす技術
山本 一郎 (著)

(SPA!に出てても驚かないのに日経ビジネスに出てると驚くのはなんででしょ。)
ちなみに、本書を拝読して、「けなす技術」とは換言すると「ガバナンスの技術」ということなのかな、と愚考いたしました。
●その2
目の前のにあるForbes6月号の中吊り広告のトップ見出し。
「毒薬条項を定款に盛り込め!」(笑)
(これも売れそー。)
ではまた。

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

企業買収防衛策(今から総会に間に合うのか?)

本日日経一面トップの見出しが、「買収防衛策、株主総会承認求める」となっていて、
経営者の保身を防ぐための条件、
1.社外独立取締役等による第三者チェック方式
2.買収防衛策解除条件の明示型方式
3.株主総会の了承を得る方式
の3つのうち、3番目の株主総会の了承を得る方式が「最も合理的」と書かれています。
経済産業省:企業価値研究会の論点公開骨子の公表について
http://www.meti.go.jp/press/20050307004/20050307004.html
という3月公表の資料を見る限りでは、この3つは「OR条件」で、どれか一つを満たせばOKと読めるのですが、最終報告書では「株主総会の承認を受けるべき」という方向なんでしょうか。報告書、本日公表とのことですが、まだ経済産業省のホームページにはアップされてない模様。
いきなり「総会の了承が必要」と言われても、上場企業のご担当の方々は(リアクション芸人風に)「おいおいおい!」って感じじゃないでしょうか。今年今から6月の総会に具体的なスキーム案までかけて了承を求めるとすると、スケジュール的にかなりキツイですよね。
すでに「ひな形」があればいいですが、今出て来ているスキームは、どれも、「株主に平等か」「解毒されてしまうのではないか」といった観点から考えて「イマイチ」というのが専門家の方々の評価のようですし。(ニレコさんも、批判の強かった「ニレコ方式」をやめて信託方式に移行するという記事が本日載ってました。)
導入コンサルに数千万円のフィーを提示されている企業さんもいらっしゃる、とか。
(1年待てば、スキームも出尽くして、ほとんどタダになると思うんですが〜。)
こんな記事が日経1面トップになったら、コンサルされてる方は、ますます儲かっちゃいそうですね。
「今からでも間に合う、6月総会に向けた買収防衛策導入のすべて!」
とかいうセミナーをやったら、30万円くらいの単価にしても200社くらい集まりそう。(笑)
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

ページビューのカミングアウトをしてみる

渡辺 聡さん経由→梅田さん経由→で、日本の主要ブログのトラフィックの推定をされている「デジモノに埋もれる日々」の記事を発見。
分析、どうもありがとうございます。
ただ、梅田さんもおっしゃるようにisologueが月間150万ページビュー(pv)というのはちょっと多いですね。
梅田さんは、isologueが月間12万pvくらいだったとき(昨年10月くらい)のことを引用していただいてますが、その後スルスルとpvが増え、3月は「ホリエモン効果」で108万pv。4月はちょっと落ち着きましたが、それでもコンスタントに平日3万pv超、休日2万pv超(来訪者数はその1/3くらい)のペースでご来訪いただいており、今月は月間で85万pv程度になりそうです。
ブログ別、Alexaの利用者比率のイメージは?
デジモノさんはAlexaのデータを元に推計されています。
isologueを見てる方って、IT系のブログの来訪者よりもAlexaのツールバーをインストールしている人の比率が低いと想像してましたが、推定が多めに出るということは、算定のベースとされているネタフルさんより実はAlexa利用者比率が高いんでしょうか?
リアルでお会いするisologue読者の方々は、年齢層が高めの、経営者や投資・証券関係者の方々が多いので、「そこそこのITリテラシーはあるがAlexaのツールバーを入れるほどではない」という読者層を勝手に想定させていただいていたんですが。実は、読者全体では(若手の?)ネットのリテラシーの高い方々が多いんでしょうか?
トップページからの訪問比率が高まる
最初に来訪するページの統計を見ると、昨年3月に始めたころはブログのトップ(www.tez.com/blog/)が全体の30%くらいだったのが、この比率がだんだん高まり、今月は全体の75%の方がブログトップから来訪していただきました。
ブログの「ストック」がだんだん貯まってくると、検索エンジンや、その他のページのリンクから当方の個別の記事に直接飛んで来る比率が増えるかと思いきや、全く逆でしたね。
(ちなみに、私はほとんど、追記(extend)=「続きを読む (continue reading)」を使ってないので、見かけを膨らませようと考えれば、そのワンクリックでpvは1.5倍くらいになるかも。って、膨らませる予定、ないですが。)
「はてなアンテナ」(http://a.hatena.ne.jp/)での私のページの登録者数も現在わずか368人です。RSSリーダーで見てらっしゃる方も、そんなには多くはないでしょうし・・・。(ちなみに、RSSフィードメーターのランキングではここのところだいたい34位。)
1日1万人以上の訪問者の方々は、どうやって来て頂いているんでしょうか。
(シンプルに、トップページをブックマークして来ていただいてる?)
法務・会計系のブログの「モール」化
ここ数ヶ月で、法律や会計関係のブログがすごく増えた印象があります。
前述のとおり、今まではそうした情報は「厚くて高い本」にしか載っておらず、ネットを探してもそれほどいい情報が見つからなかったのが、そうした領域のブログがいくつもできてくると、法律や会計について「ブログを巡回する」という今まで存在しなかった習慣が形成されて、新しい需要が掘り起こされた・・・のかも知れません。
つまり、「相互作用」でパイ全体が大きくなったかも知れませんね。
適度なコミュニケーション量は?
梅田さんは、

1日10,000PVを超えるようになると雑音が多くなってくるような気もしないではない。(中略)
そんなこんなを色々と考えあわせると、500-3,000PV/日あたりが、Blogを書いていて、けっこう楽しいいいゾーンなんじゃないかな、と思ったりする。そのくらいだと、読みたいと意図して訪ねてくれる人がほとんどで、それ以上になると、背景を知らずに何かの拍子に飛び込んでくる感じの人が増えてくる。

と書いてらっしゃって、渡辺聡さんも「・・・という感覚値は深く頷けるところがある。レスポンスがありつつ、かつ上手い具合のコミュニケーションがバランスされる数値と言える。」と同意されてます。
isologueの場合、もうちょっと高めのトラフィックでも大丈夫な気がします。
(梅田さんや渡辺さんに比べて私が鈍感なだけかも。)
実際ちょっとしんどいなと思ったのは、「ホリエモン騒動」で1日4万pvを超した時くらい。ただ、これも単にページビューというより、リンク元の問題かも知れません。リンク元が2ch等の掲示板だったりした日は、突然来て、脊髄反射レスを書き込んで去っていく人が多い気がしました。今月に入ったら、そういったことはほとんど発生してません。
isologueの読者の方々は、よく言えばお上品というか、人数の割に書き込みが少ないのではないでしょうか。以前、「ネットは新聞を殺すのかblog」で湯川さんが、「このブログはコメント欄、トラックバック欄がお勧めです」と(謙遜して)書いてらっしゃいましたが、
当ブログも、記事を書く労力と、コメントやトラックバックで勉強させてもらったり、いろんな方とお知り合いになれたりといったメリットが等しくなる「臨界点」を超えた気がします。2〜3ヶ月前、1日1万pv前後くらいの時から。
一方向に情報が流れるメディアというより、読者の方のコメントに別の読者の方が回答していただいてひとりでに解決したりするような「ちょっとしたコミュニティ」っぽさも出て来たので、「pvが増えればそれに比例して辛さが増す」というもんではないかも。
ブログのテーマ別の「大変さ」加減
テーマにもよるんでしょうね。
例えばIT系の情報は基本がオープンなので競争も厳しく、へたな事を書こうもんならウルサ型の方からすぐ突っ込まれるわけですが、経営、会計、法律、ファイナンスといった世界は、今までネットでの情報交換があまり存在しない世界だったので、意外にみなさん、新鮮に感じていただいている模様。
さらなる技術の進化はあるか
ブログは、情報の発信者と受け手との間に流れる情報の量が「非対称」(asymmetric)なところがいいですね。
90年代後半からメーリングリスト(ML)をいくつかやっていたのですが、MLだと、そこそこのクオリティの話をしようとすると、だいたい参加メンバー400人が上限値でした。MLオーナーと参加者が完全に「対称」なので、それ以上になると、初歩的な質問等の「ノイズ」が多くなり、レベルの高い方々はunsubscribeして辞めていき、結局、400人くらいで均衡する、というような。
これに対してブログは、本文が「主」という感じが出るので、多少、コメント欄で暴れていただいても、全体の雰囲気への影響は、MLよりははるかに少ないかと。
つまり、メーリングリストというツールしかなかったときには400人のコミュニティしか形成しえなかったものが、ブログというツールの登場で月間10万人くらいにリーチしても空中分解しないで済むようになったわけです。
極限まで非対称性が強い「テレビ」というメディアだと、各系列とも月間で1億人前後の人にリーチしてるわけです。
私は1億人にリーチしようなんて大それた野望はないですが(笑)、「ブログ」というツールのマネジメント機能が今後さらに進化していくと、100万人くらいにリーチしても双方向性を”楽しみながら”運営できるという可能性も十分考えられるんじゃないでしょうか。
(追記)
実際、一番時間がかかっているのはスパムの除去だったりするので、認証(認証無し、ふんわり、からガチガチまで)を簡単に使い分けられるようになれば、「コミュニティマネジメント」のコストは大幅に削減されるんじゃないでしょうか。
(ところで、TypeKeyって普及してるんスかね?)
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。