ゆびとまの教訓

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「株式会社ゆびとま」(http://www.yubitoma.or.jp/)から、「株式会社ゆびとま代表取締役の変更および一部報道について」というメールが今朝届きました。
ゆびとま(この指とまれ!)は、ご案内のとおり学校が登録されている同窓会サイトで、日本の元祖SNS的なサービスですが、ここ数日、元暴力団の人物が経営に関わっていたとの報道が流れており、

一部の報道や風評により、「この指とまれ!」に関する個人情報の漏洩や悪用の恐れ、暴力団との関わりなどが取り沙汰され、ご不安に思われていることと存じますが、そのような事実は一切ございませんことお知らせいたします。

とのご注意。
あらためてアクセスを見てみると、
graph_yubitoma.png
ということで、ここ2年ほどは、弊ブログとたいして変わらないアクセスしかなかった模様。300万人以上の登録者数があるとのことですが、私ごときの一ブログとアクセス数が変わらないようでは、もはやネットビジネスの体をなしていないのは明らかかと。(最近は、SNSの学校別コミュニティもありますし。)
私、2000年(about 50 dog-years ago)、ゆびとまさんの第三者割当増資に、投資するファンド側の人間として携ったんですが、少なくとも当時は暴力団の影がちらつくなんてことはなく、事業が人手に渡るまでは「純朴な長崎の方々がやっている」印象の会社でした。
ただし、外部の株主の議決権が3分の1を切る形で資金調達をされたため、(投資した企業やファンドは、それなりに見識が高いちゃんとしたところばかりだったにも関わらず)、そうした株主は法的にはまったく経営に関与できないし、株主の企業の社長やVCさん等がみなさん、「ゆびとまに、いろんな提案を持っていったんだけど、ことごとく拒絶されちゃって・・・」とボヤいていたことを記憶しています。
よく言えば、ゆびとまさんが「コミュニティ」を非常に大切にされていて、そのコミュニティを商売に利用するということに抵抗を感じてらっしゃったからとも理解してますが、一方で、ネットの世界で技術が大きく変貌し、資本の論理で周囲のビジネスが展開される中で、「他人の意見や力を利用しないこと」が、結局、会社が人の手に渡って「ろくでもないこと」になり、コミュニティのためにもならない、ということを示す好例になったのではないかと思います。
このゆびとまの例で、(今回初めてというより投資した直後から)、「コーポレート・ガバナンス」については深く考えさせられました。また、投資をするときには、(どんなにすごいポテンシャルがありそうでも)、外部の関与を受け付けない建付けになっている会社に投資すべきではないし、出資比率が高くない場合でも投資契約で役員派遣条項や各種の制約条項を入れておくことは重要だなあと、大きな教訓になった次第です。
(また、ゆびとまがある長崎県の法務局から、「組合というのは株式を保有できるんでしたっけ?」(苦笑)という問い合わせがあり、増資の登記のために投資事業組合の契約書のコピーまで提出させられるはめになった記憶もあります。組合契約書には、出資者や利益の分配までウチワな話が事細かに書かれてますので、このとき、組合契約書と出資者等の情報をアンバンドルする必要性を強く痛感した次第であります。ご参考URL。)
−−−
ということで、ネットで「NPO的なノリ」でサービスを運用されようとする方をときどき見かけるのですが、この意味で、(もちろん、コミュニティを大切にする気持ちは生かしつつも)、資本の論理を注入することや資本政策は非常に重要だと常々思ってます。
(「2ちゃんねる」なんかも、初期に「資本によるガバナンスのしくみ」が入っていれば、今と違った未来があったんじゃないかと常々考えている次第。)
ゆびとまには、高校や中学の友人数人と再会するきっかけも作ってもらったので、もちろん、まったく役に立たなかったというわけではありませんが、初期の頃から、
「あれは、『コミュニティ』ではないんですよ。コミュニティというのは、そこで『コミュニケーション』が発生するものなわけですけど、ゆびとまは、確かに登録者数は非常に多いけど、そこでのコミュニケーションは、ほとんど発生してないですよね?」
というようなことも言われており。(ということで、周囲の関係者は、なんとかアクセスが多くなるような方策をいろいろ提案されていたわけですが、結局、(技術的な能力の問題なのか、思想上の問題なのか)、これといった施策に打って出ることもなかった・・・。)
今回刷新された経営陣もその前の経営陣も、すでに私がまったく存じない方に入れ替わっちゃっていて、すでに何の義理もなく、また、ここ数年まったく ゆびとまのサイトにアクセスしていなかったこともあり、この機会に会員登録を削除させていただきました。<(_ _)>
前述のグラフを見ていただくと、ここ数日、アクセスが非常に多くなっていることがわかりますが、登録を削除する人がアクセスしてるからかも。
トップページを見ると、

現在の登録者総数[本日0時現在] 3,571,104人

とのことですが、この登録者数が明日どうなっているのか、注目であります。
(ではまた。)

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9 thoughts on “ゆびとまの教訓

  1. 私は指とま登録時に流出してまずい情報を入力していなかったかと不安になったので、登録情報確認のために偽名で新規登録しました。
    私のような人の方が多ければ(んなこと無いとは思いますが^^;)かえって登録者数は増えてるかもですよ(笑)。

  2. >外部の関与を受け付けない建付けになっている会社に投資すべきではない
    googleは買ってはいけないかな?

  3. 通りすがりさん、ひろさん、コメントありがとうございます。
    >登録情報確認のために偽名で新規登録しました。
    私もそのへんをちらっと考えたのですが、結局、過去の交信記録をきちんと取る運用にしてたら、何しても同じかも、と思われ。
    >googleは買ってはいけないかな?
    Googleは、イケてる外部の投資家の方々等を社外取締役としてboardに招いてますので、全然、外部の関与を受け付ける建付け、だと思いますよ。
    ではまた。

  4. ゆびとまのメンバーですが、こんなメールが届きました。
    ——————————————————
    ○o。大人のエンタメSNSサイトよりお知らせ。o○
    ※このメールは、ウェブ同窓会「この指とまれ!」の 2/20配信の新着情報を受信された方のうち、大人のエンタメ感SNSの登録ご案内メールの配信停止を希望されなかった方に配信しています。(以下略)
    —————————————————–
    アダルト業者と業務提携したそうです。どうも、ゆびとまのメンバーリストがアダルト業者に売られたような気がします。

  5. 単なるスパムということはないですか?
    私、新着情報はとっくの昔にストップしてたんでわかりませんが、2/20の新着情報で「大人のエンタメ感SNSの登録ご案内メールの配信」については触れられていたんでしょうか?

  6. 確認したところ次の様なタイトルで届いていました。
    [この指とまれ!] 新規登録者のお知らせ 20070220 「大人のエンタメSNSサイト」2月22日オープン!
    そしてこんなことも。
    後日、会員の皆様へ株式会社TSMより「大人のエンタメSNSサイト」への登録方法のご案内メールが届きます。登録のご案内メールの配信を希望されない方は、お手数ですが下記URLより配信停止の設定をお願いいたします。  ⇒ http://www.yubitoma.or.jp/mail_refusal.htm
    見落としてました。今アクセスしたら、そのページは無くなっていました。でも20日に通告して、23日にすぐに「大人のエンタメSNSサイト」からメールが来るなんてひどいですよね。
    「大人のエンタメSNSサイト」からのメールにはちゃんと出会い系の広告が付いてますよ。

  7. 『ゆびとま』からデータ流失?

    『ゆびとま』と言えば1990年にスタートした同窓会支援サイトの老舗。350万人も…

  8. ネット上での会員登録に際しては、その時点での会社の信用だけでなく将来その会社が悪質業者に買われてしまった場合の心配もしなければならないということですね。
    ぼくは「ゆびとま」の会員ではなかったのですが、元暴力団の方が入りこんでいた某社に関しては、再生手続開始当時、某債権者サイドとして手続の推移を見守っていたので、あのとき裏でそんな取引がされていたのかと、人ごとではありません。今回は違いましたが、債務者サイドを代理する場合は本当に注意しないといけないですね。