イノセンス

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http://www.innocence-movie.jp/
「寝ました」とか「聖書等の引用等多くて・・」という周囲の評判を聞いてから見てきたのですが、なかなかどうして、かなりよかったですよ。何と比べていいか、という問題はありますが、個人的には少なくとも「マトリックス」シリーズとかよりはよかったかと。
前作は最後のほうのシーンで壁に飾られた進化の系統樹を弾痕が上り詰めていくシーンに代表されるように、「人類はこれから先どうなっていくんだろう」という素朴な(かつ根源的な)疑問について考えさせられましたが、今回も、人類、社会、人間、情報、意識、ネットなどが、どうなっていくのかということを考えさせられることも含めて楽しませていただけました。
今回はジブリの鈴木氏がプロデューサーについて、お金集め&興行面もうまくいってるみたいですね。出資者も、ジブリ映画でもおなじみの面子(徳間書店、日本テレビ、電通、ディズニー、等)がならんでいます。
ちなみに、千と千尋の神隠しでもCopyrightのところに「©2001 二馬力・TGNDDTM」、イノセンスでは「©2004 士郎正宗/講談社・IG,ITNDDTD」等の記述がありますが、この後ろについているアルファベットの列は何かというと、出資者の名前の頭文字(徳間書店、日本テレビ、電通、ディズニーなど)になってます。
この投資vehicleの法的性格や会計処理については、eトーマツのサイト(http://www.e-tohmatsu.com/members/sprp/topic/)にかなり詳しくまとまっています。今回も、製作委員会方式、民法上の組合(民法667条)、または匿名組合(商法535条)などを使っているのではないかと思います。これらは、vehicleの段階では法人税が課税されない税務上の導管体(conduit、コンジット)で、(全く課税されないわけではなく)、それぞれの出資者の損益と合算されて最終的には課税されることになります。また、これらのうち匿名組合以外は有限責任ではありませんが、アメリカだと、こういう映画の投資は有限責任でしかも法人税が課税されないLLC ( Limited Liability Company )がやってることが多いようですね。日本でも「会社法制の現代化試案」で、LLC型のvehicle案が盛り込まれています。数年後には、日本の映画のスタッフロールにも「LLC」が出てくるのがあたりまえになるかも知れません。
(本日はこのへんで。)

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