Japan Blogger Conference 2005.12.16 Fri

というイベントのパネルに出させてもらいました。
http://bloggerconference.jp
パネル1は、CNET Japan Blog – 情報化社会の航海図の渡辺さんの司会で、ネタフルのコグレさん、情報考学Passion For The Future の橋本さん、と
最近、桜塚やっくんがツボにはまっているので、「『これはなかなか知らないだろう』と密かに注目しているBlogは?」という渡辺さんの質問に、「眞鍋かをりブログ・・・」とボケて、会場から「有名だよ!」というツッコミをちょっぴし期待したんですが・・・(・・・ま、もっとちゃんと前フリしとかないと無理がありましたね。)
(ではまた。)

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クロス・ボーダー証券取引とコーポレート・ファイナンス

畏れ多くも、松本啓二先生の新刊、

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クロス・ボーダー証券取引とコーポレート・ファイナンス
社団法人金融財政事情研究会 刊

に、isologueのMSCB(MPO)に関する記述を引用していただきました。(122ページ)
(といっても、47thさんのブログを私が引用させていただいた部分の方が主だったりします。)
本書は、ブログを引用されてるくらいで、型に はまった法律書ではなく、(まださらっとしか拝見しておりませんし、私が申し上げるのもナンではありますが)、非常におもしろいです。
本の帯曰く;

「一証券ビジネス弁護士の軌跡の記録」
「本書は法律書にして、法律書ではない。なぜなら、読む者をして飽かしめない、そんな法律書はないからである(推薦のことば)」
「クロス・ボーダー証券法律実務の成立ちに加え、資本・M&A・ベンチャー市場、それに関連する通貨、経済、経営関連分野についてもコンパクトに整理」

とのこと、です。
(取り急ぎ。)

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日本ラブストーリー大賞

知り合い(原田マハさん)が、第1回『日本ラブストーリー大賞』を受賞。

彼女とは、約10年前に六本木の某再開発エリアの(あの)高いビルのてっぺんに世界初の美術館+展望台という組み合わせの施設を作ろうというプロジェクトのfeasibility studyをいっしょにやった関係なんですが、いやー、ご出世されて。おめでとうございます。<(_ _)>
(なんといっても、特別選考委員の大塚愛[さん]といっしょに写真、というのがウラヤマしい。)
(俺もがんばろ。)

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買収防衛策と証券取引所間の競争

(取り上げさせていただくのが、かなり遅くなりましたが、)12月5日号(No.1751)の商事法務に、「買収防衛策の導入に係る上場制度の整備等に関する要項試案の公表」(下村昌作/東京証券取引所上場部企画担当課長)という論文が載っています。
11月22日に東証さんのホームページに公表された、「買収防衛策の導入に係る上場制度の整備等について(要綱試案)」についてのご紹介、になります。
この論文での「買収防衛策」の定義として、

なお、上場会社自らが実施する買収防衛策に加え、その主要な子会社が上場会社に対する買収の実現を困難にするような方策をとる場合についても、「買収防衛策」として扱うことがあるものとしている。これは、たとえば、純粋持株会社の事業の多くの部分を占める子会社が親会社である上場会社の買収の実現を実質的に困難にするために拒否権付株式を友好的な第三者に発行するような場合が想定されるからである。

てなこともおっしゃってますが:-)、それはさておき。
ほとんどの部分はごもっともなことばかりなのですが、ちょっと興味深かったのは、P28「3 上場審査上の取扱い」という部分。

なお、新規上場会社の取扱いについては、たとえば、米国のニューヨーク証券取引所(NYSE)で一部既上場会社よりもゆるやかな対応(たとえば、いわゆる複数議決権株式の発行を既上場会社については認めていないが、新規上場時点で既に発行されていた場合には上場を認める可能性が示されていることなど)をとっていることから、わが国においても。ベンチャー企業の特性などを踏まえ同様の対応をとってはどうかという意見があり、その点については、要項試案に対して寄せられた意見などをもとに検討することとしている。
しかしながら、当初厳格な一株一議決権原則を採用していたNYSEが原稿の取扱いのように基準を緩和した背景には、NASDAQなどの他市場との上場会社獲得競争という経緯があることには留意が必要であると考えている。

これを、「日本ではJASDAQに比べて東証の方が圧倒的に強いから、アメリカの状況とか、あんま気にしなくていいんじゃないの?」というように読むというのはイジワルな読み方かも知れませんが。確かに、既上場企業が後から導入するのは認められないようなスキームが、新規上場企業には認められるというのは、今ひとつ理論的にすっきりしない面があるというのもわかります。
この本質は、「多様なガバナンス」を認めるのかどうか、と、その効果いうことじゃないでしょうか。
つまり、未上場企業はもちろん適法であればどんな資本スキームでも採りうる(そもそも譲渡制限が付いていることが多い)一方で、既存の上場企業には複数議決権等は今後も禁止される方向、ということですが、
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既公開企業が「資本の論理」だけで動かないしくみに改めることは社会全体の厚生度を下げることになるのだと思いますが、一方で、世の中には公開企業より未公開企業の方が多いわけで、そういう「多様なガバナンス」を導入しないと公開を選択しない未公開企業を、その権利の一部だけでも公開させることは、社会全体としてプラスなんじゃないかと思います。
つまり、新規上場にも複数議決権等のスキームを認めないとすれば、下図くらいの新規上場しか認められないところが、
image002.gif
複数議決権を認めてくれなければ上場しないという会社が上場できるようになることで、上場企業のバリエーションは増えることになるわけです。
image003.gif
一方、ハードルを下げることで、本来、複数議決権等のスキームを採用しないでも公開した会社まで、ややこしいスキームを付けて公開するようになると、かえってマイナスかも知れません。
image004.gif
「どうしても必要な企業だけ」そういうスキームを採用して公開してもいい、というような、うまいスクリーニングのしくみが存在すればいいわけですが、どうでしょうか?
幹事証券としても、プレーンな株式の方が売りやすいはずですから、少なくとも今の需給関係の下では、「よほどの企業」でないと、そうしたややこしいスキームを付けての上場というのは敬遠されるはず。つまり、ルールではなく経済原理でそういう選別はできないものでしょうか。
「マザース立ち上げ時期のドタバタ」を思い返して見ると、上場会社にも対「アタリ・ショック」的配慮は必要な気はします。そうした「クソゲー」登場防止の役割を担うのは、証券取引所がいいのか、それとも証券会社や投資しているVC等のブランドでどうにかなるのか・・・。
取引所というのは、eBayやヤフオクなどのオークションと同じように、「ネットワーク外部性による自然独占(寡占)」が働きやすい業態。放っておけば自然に「一人勝ち」の取引所が現れる気がします。
(パソコンのOS会社でOSとブラウザを分離するとかしないとかいう話にも共通する気がしますが)、そうした弊害に配慮して、自主規制機能を分離するとかしないとか、クリアリング機関を作るとか、PTS(証券取引法第2条第8項第7号)や最良執行義務(証券取引法第43条の2)等で、取引所間の競争を(ちょっとでも)促そう、ということかと。
少なくとも言えるのは、取引所が一カ所しかなかったら、「ややこしいのはダメ。以上。」で終わってしまう可能性は高そう、ということじゃないかと思います。
(ではまた。)

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isologue読んで大学合格(?)

某監査法人の代表社員の甥御さんが立命館大学の推薦入学に応募したところ、受験に際して提出するレポートのテーマが「ライブドアのテレビ局買収の社会的・経済的影響」だったとのこと。(苦笑)
「おじさん、どうすればいい?」と相談された代表社員氏が、「isologueを一日かけて読め」と指示したところ、このたび見事合格された、と、ご連絡いただきました。
おめでとうございます。<(_ _)>
ブログがホントに足しになったのかどうかわかりませんが、ちょっとでもお役に立てたとしたら幸いです。
(ではまた。)

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誤発注とシステム不具合

みずほ証券さんの誤発注と、それに関連する東証さんのシステム不具合について。
具体的にはどういうことが発生したのか、について、東証さんからのコメントが出ています。

投資家及び関係の皆様へ
-12月8日のジェイコム(株)株式の注文取消処理に係る株式・CB売買システムの不具合について-
http://www.tse.or.jp/news/200512/051211_a.html

まず、冒頭で、

同銘柄の当日の株価変動等の直接の原因は、みずほ証券による大量の誤発注でありますが、同証券による注文取消の指示が、当取引所において受け付けられなかった点につきましては、当取引所システムの不具合によるものであることが判明いたしました。

として、取引所システムの不具合が原因であることを認めてらっしゃいます。
取引所と証券会社の契約では、かなりの部分が「免責事項」になってい(ると思われ)ます。今回に限らず、従来より株式の取引量の増加で取引所のシステムが火を噴きそうな状況が続いてきてたわけですが、みずほ証券さんも、当然、今回の誤発注をしてから気づいて取り消しまたは訂正の処理を入れたでしょうから、それにも関わらず、そういう(誰のせいか特定しにくい)「単なる」遅延によって取消が遅れて約定したとすると、(多少、東証側のシステムが重かったにせよ)、東証さんの責任を問うことは難しいだろうなあ、と想像しておりました。し、実際、完全なシステムダウンの場合などを除き、取引所取引について、東証さんのシステム不具合の責任が問われた、というケースはあまり聞きません。
それが、あっさりと東証さん側が非を認めたというのが、かなり意外な感じがしたわけですが。
以下、発表文を見ていきますと、「経緯」として、

午前9時27分、ジェイコム株式に対し、みずほ証券が61万円で1株の売注文を、1円で61万株として発注いたしました。その際、同銘柄は67万2千円の特別買気配を表示中でしたが、当該売注文により約定成立要件が整い、売買が成立しました。ただし、今回の売注文が大量で初値成立後にも残っていたため、残存分は初値決定により設定された呼値の制限値幅の下限である57万2千円の売注文として登録され(詳細は後述いたします)、大量の買注文と間断なく順次約定していくこととなりました。その過程で、みずほ証券から当該注文に対する取消注文が発注されましたが、そのような例外的状況において生ずる不具合が売買システムに存在したため、取消しができずにその後も連続対当により約定が順次成立することとなりました。

としています。(最初の誤発注の時間は記載されてますが、肝心な取消注文の到着時刻や、それまでに約定した株数に関する開示がありません。
より詳細には、

新規上場銘柄の初値が決定した際には、当該初値を基準として同銘柄の呼値の制限値幅が設定されますが、この制限値幅を超える注文は、売買取引制度上、制限値段の注文とみなされます(以下「みなし処理」といいます。)。本事象は、このみなし処理が行われた注文に対する取消・変更処理の不具合であることが判明いたしました。
具体的には、ジェイコム株式について、特別買気配67万2千円が表示されている状態で午前9時27分に1円の売注文が発注され、初値67万2千円が決定いたしましたが、これにより呼値の制限値幅(上下10万円)が設定されました。この1円の売注文が大量で初値決定以降もなお残っていたため、みなし処理により呼値の制限値幅の下限である57万2千円の売注文として登録され、この後、67万2千円から順次買注文を消化する形で、約定を繰り返しつつ、値段が下落していくこととなりました。
このような状況下でみずほ証券による注文の取消しが複数回にわたって行われましたが、当該注文が発注された時点で板状態が対当中(約定処理中)であった場合に、対象注文が取消されないという不具合が発生いたしました。これは、みなし処理がなされ、それに対当する注文が存在する場合に生ずる不具合です。

と説明されています。
つまり、普通でも、そこそこ大きい注文に対して、その一部だけが約定する「内出来」のケースはよくあるわけで、その場合でも後から送った訂正・取消の電文はちゃんと効いていたんでしょうから(でなかったら、とっくに問題になっているハズ)、そういう単純な問題ではない、と。どうも、文中でいう「みなし処理」として、1円の売り注文が値幅制限下限いっぱいの57万2千円の売り注文と東証側で自動的にみなすケースの場合に、こうした不具合が発生するということのようです。
「今後の対応」として、

本事象は、当取引所に直接新規上場する銘柄の場合で、かつ、今回のケースのように、特別買気配が表示中に気配の差引数量を超え、初値決定後も売注文が残るほどの大量の注文がみなし処理の対象となるような値段で発注されたような場合に発生する事象であることから、(以下略)

と、「当取引所に直接新規上場する銘柄の場合」で、反対注文の板の量に対して「大量」であり、しかも「みなし処理の対象」となる、という特殊な組み合わせのケースにしか発生しない現象だった、ということのようです。
つまり、こうしたシステムを作るときに、そういったケースも想定して「テスト」を行ってれば防げた・・・と言うのは簡単ですが、システムというのは複雑化し高度化してくると、そのケースの組み合わせの数は爆発的に増加するわけで、今回のような、通常では出てくるわけのないケースをどこまで想定してテストしていないといけなかったのか(重過失となるのか)、というのは、非常に難しい問題かと思います。
(上記の発表文だけ見ると、単なるロジックのチェックだけで防げたようにも見えますが、実際には、システムの稼働状況、リソースの消費状況などと複合して発生するエラーもあるわけで・・・。)
今回の場合、「結果」だけ見れば、これを約定させちゃうのは一般の人の目にも明らかにヘンだろうと思えるわけですが(つまり、結果としての損害賠償義務が発生するかどうかはともかく)、システムを構築する「プロセス」として、事前にこういうケースをすべて確実に潰せるしくみを構築できるのか? 特に、金融のシステムというのは、何か「ゆがみ」が発生すると、そこをめがけてあっという間に数百億円規模の金が動いてしまうわけなので、大変に恐ろしいわけです。
監査法人の粉飾見逃しや、今問題になっている建築の耐震強度偽装の問題と同じく、ここでも、根底には、チェックのクオリティとそれにかけるコストとのバランスの問題があるかと思います。
「チェックを厳重にしろ」というのは簡単ですが、コストを倍増させてしまうようなチェックでは経済活動自体がストップしてしまいますし、一方、問題が次々に発生するようなチェックでは、チェックのしくみ自体の存在価値の問題になっちゃうわけで・・・・・難しいですね・・・。
(ではまた。)

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今どきの商業施設と案内板

表参道でechikaの前を通りかかったので、中に入ってみた。
echika 002.jpg
すごいにぎわいで、結構なことでんな。
今まで、表参道に地下街がなかったのが不思議といえば不思議かも。
ところで六本木ヒルズとか丸の内でも思うんですが、今どきの「案内板」って、ひどく不親切じゃないでしょうか。
地図に書いてあるのは番号だけで、下の方に番号と店名の対応が一覧になってるわけですが、地図に直接、店名を書き込めよ、って感じ。私の頭が悪いのでしょうか、どこに何があるのか、まったく直感的にイメージできません。
デザイナー的になんか「21世紀っぽい感じ」を出したいのかも知れませんし、地図と店名を分けた方が店が入れ替わった場合などのメンテナンス・コストとしては、そっちの方が安いのはわかりますが、あまりに「供給者側の論理」という気がします。
(ではまた。)

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「資本充実原則」の呪縛〜

(そろそろ何か書かないと、完全に書きぐせが抜けてしまうので・・・書きます。)
本日の日経朝刊に、下記のような記事が出ていました。

「エクソンモービル、1億円に減資を撤回、取引先などから批判」
 米メジャー(国際石油資本)日本法人のエクソンモービル(東京・港)は七日、資本金を五百億円から一億円に大幅に減額する計画を中止すると発表した。系列販売店や取引先から「極端な減資は企業イメージを悪化させる」などの批判があり、営業に影響が出かねないと判断した。(中略)
 同社は先月十一日、「資本構成を最適化し、配当原資を増やすため」として今月二十二日付での大幅な減資を発表。資本金が一億円以下になると外形標準課税が適用されないことから「結果的に税を含む管理コストを低減させる効果がある」としていた。
 七日会見した森下健一広報渉外部長は「混乱を与え申し訳ない」と陳謝したうえで、中止の理由について「課税逃れとの批判が全くないとはいえない」と説明した。監督官庁や東京都からの指導や問い合わせは「なかった」と述べた。
 一億円への大幅減資には会計の専門家からも「極端な過小資本になる」と疑問視する声があがっていた。

まず、このエクソンモービルさん、記事には書いてありませんが、確か「有限会社」のはず。(2002年の合併の時、その方が消費税の節税を考慮してそうしたとかしないとか。[追記]・・・いう記事を見かけたような気がしたんですが、コメント欄のとおり、消費税とは考えにくそうです。) また、有限会社の方が、取締役3人とか監査役とかを置かなくても済んで、機関設計もシンプルだ、ということもあったんでしょう。
私なんぞは、「『有限会社』より『株式会社』の方がエラい」とか、「資本金が大きい方がエラい」といった、あまり根拠のない観念に流されずに、経済合理性を追求して有限会社というvehicleを選択するエクソンモービルさんに、一種のすがすがしささえ感じてたんですが・・・そうですか、減資撤回ですか。
減資の手続き
そもそも有限会社や株式会社が減資を行うときには、社員総会(株主総会)で特別決議を行わなければならない他に、債権者保護手続きが必要とされてまして、官報に公告するだけじゃなくて、「知れたる債権者」には個別に通知をしないといけないわけです。
ただ、減資にもいろんなタイプがあるわけで、それらを十把一絡げにして、すべて債権者保護手続きを取る必要というのが、どこにあるんでしょうか?というのが長年の疑問でして。
減資には、従来の株主が責任を取って無償で株式を消却したり、一部の株主が抜けるときに有償で消却したり、という持分(株式)の「消却」を伴うケースもありますが、以下、持分[株式]の消却を伴わない減資の例で考えていきます。
有償減資
例えば、一番、債権者から見てヤバいかも知れないのは、資本金を減少させるとともに、その分の資金を株主に返してしまう「有償減資」でしょう。
これは、実態としての会社財産が減るわけですから、当然、倒産の確率も高まるかも知れないし、残余財産の配当率も下がる可能性が出て来るわけで、「債権者にも一言言わせろ」というのもいいかも知れないのですが、、
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無償減資
ただ、今回の場合は、おそらく「無償減資」を予定していたはず。
無償減資では、下図のように、資本金は減るものの自己資本や会社の財産といった実態が減るわけではなく、資本金の数字が他の科目に名目上振り替わるだけです。
これが、すぐに債権者に悪影響を与えるということには、ならないですよね。
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欠損の填補にあてる場合
ただ、無償減資をすると、記事にもあったように、配当可能額(上図の薄い青の部分「その他資本剰余金」+利益剰余金)は増えます。このため、社員総会(株主総会等)で、配当して親会社に送金するということになると、あっという間に会社の財産が減ってしまうことにもなります。
ただ、減資には、「欠損の填補にあてる場合」というケースもあって、下図のように、欠損があってそれをきれいにするために減資する場合なんかでは、自己資本額も変わらないし、配当可能額も変化しないわけです。
(特に、増資した直後に減資する場合なんかは、債権者になんの迷惑もかけないこともあると思うです。)
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にも関わらず、なんで官報に公告したり、債権者に個別に通知したりといった面倒な手続きを踏んだ上に、1ヶ月以上も時間を空けないといけないのでしょうか。
(この点、新会社法では、ほんのちょっとだけフレキシブルになって、欠損の額の範囲内での準備金の取り崩しは、債権者保護手続きを要しないことになります。[会社法449条] 減資は従来通りですね。)
−−−
というわけで、そもそも減資の手続きは(良かれ悪しかれ)債権者の同意が不可欠なので、債権者から不満が噴出するようだと実際には減資が困難になるケースもあるわけですが、今回の債権者の方々は、どこまで深く考えて反対をされておられたのか?
「資本金がちっちゃいと、かっこわるーい」という「資本充実原則の呪縛」的発想とか、「減資=会社の調子が悪い時に使う手法」といったイメージから反対された部分もかなり大きかったんじゃないかなあ、という気もします。
「極端な過小資本になる」か?
「会計の専門家からも『極端な過小資本になる』と疑問視する声があがっていた。」てなことも紹介されてますが、これも「無償減資」を前提とするなら、自己資本の量は変わらないわけで、ヘンなコメントですよね。
ちなみに、エクソンモービルさんは外資系なので、過小資本税制(租税特別措置法第66条の5)も考慮しないといけませんが、この条文の定義でも、過小資本の判定の基準になるのは「資本金」の額じゃなくて(当然)「自己資本の額」なわけです。
外形標準課税に関する租税回避という批判はあたってる面も無くはないかも知れないですね。通常、未公開の中堅企業などが企業再建の際にDESして過大になった資本金を(身の丈に合わせて)減資して1億円以下にしても、あまり税務署から怒られたという話は聞かないんですが、エクソンさんの場合には、それなりの企業規模があるわけで、地方税法が本来的に想定する「1億円以下の企業」のイメージからは、かなりかけ離れているかと思います。
(以上)
ご参考エントリ:
DESの登録免許税倹約法?
https://www.tez.com/blog/archives/000550.html
ご参考条文:

(国外支配株主等に係る負債の利子の課税の特例)
租税特別措置法第六十六条の五
 内国法人が、平成四年四月一日以後に開始する各事業年度において、国外支配株主等に負債の利子(これに準ずるものとして政令で定めるものを含む。以下この項及び第七項において同じ。)を支払う場合において、当該事業年度の当該国外支配株主等に対する負債(利子の支払の基因となるものに限るものとし、当該国外支配株主等が法人税法第百四十一条第一号から第三号までに掲げる外国法人に該当する場合にはこれらの外国法人のいずれに該当するかに応じ当該国外支配株主等のこれらの規定に定める国内源泉所得のうち政令で定めるもの(以下この項において「法人税の課税対象所得」という。)に含まれる利子に係るものを除く。)に係る平均負債残高(負債の額の平均額として政令で定めるところにより計算した金額をいう。以下この項において同じ。)が当該事業年度の当該国外支配株主等の当該内国法人の純資産に対する持分として政令で定めるところにより計算した金額(次項において「国外支配株主等の資本持分」という。)の三倍に相当する金額を超えるときは、当該内国法人が当該事業年度において当該国外支配株主等に支払う負債の利子(当該国外支配株主等の法人税の課税対象所得に含まれるものを除く。)の額のうち、その超える部分に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額は、当該内国法人の当該事業年度の所得の金額(同法第百二条第一項第一号に規定する所得の金額を含む。)の計算上、損金の額に算入しない。ただし、当該内国法人の当該事業年度の総負債(利子の支払の基因となるものに限る。)に係る平均負債残高が当該内国法人の当該事業年度の純資産の額として政令で定めるところにより計算した金額(次項において「自己資本の額」という。)の三倍に相当する金額以下となる場合には、この限りでない。
2 前項の規定を適用する場合において、当該内国法人は、国外支配株主等の資本持分及び自己資本の額に係る各倍数に代えて、当該内国法人と同種の事業を営む内国法人で事業規模その他の状況が類似するものの総負債の額の純資産の額に対する比率として政令で定める比率に照らし妥当と認められる倍数を用いることができる。
3 第一項に規定する国外支配株主等とは、第二条第一項第一号の二に規定する非居住者又は外国法人で、当該内国法人との間に、当該非居住者又は外国法人が当該内国法人の発行済株式の総数又は出資金額(当該内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の百分の五十以上の株式の数又は出資の金額を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める特殊の関係のあるものをいう。
4 第一項の規定により損金の額に算入されなかつた金額で内国法人の清算中に生じたものは、当該内国法人の解散(合併による解散を除く。)による清算所得の金額の計算上、残余財産の価額に算入する。
5 第二項の規定は、確定申告書等に同項の規定の適用を受ける旨を記載した書面を添付し、かつ、その用いる倍数が妥当なものであることを明らかにする書類その他の資料(次項において「資料等」という。)を保存している場合に限り、適用する。
6 税務署長は、第二項の規定の適用を受ける旨を記載した書面の添付のない確定申告書等の提出があり、又はその用いる倍数が妥当なものであることを明らかにする資料等を保存していなかつた場合においても、その添付又は保存がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書面及び当該資料等の提出があつた場合に限り、同項の規定を適用することができる。
7 第一項から第三項まで及び前二項の規定は、国内において事業を行う外国法人が支払う負債の利子(国内において行う事業に係るものに限る。)について準用する。この場合において、第一項中「ものを含む」とあるのは「ものを含むものとし、当該外国法人が国内において行う事業(以下この項及び次項において「国内事業」という。)に係るものに限る」と、「基因となるもの」とあるのは「基因となるもので、かつ、国内事業に係るもの」と、「当該内国法人」とあるのは「当該外国法人」と、「純資産に対する持分」とあるのは「純資産に対する持分のうち国内事業に係るもの」と、「純資産の額として」とあるのは「純資産の額のうち国内事業に係るものとして」と、第二項中「当該内国法人は」とあるのは「当該外国法人は」と、「当該内国法人と同種」とあるのは「当該外国法人の国内事業と同種」と、第三項中「外国法人で」とあるのは「他の外国法人で」と、「内国法人」とあるのは「外国法人」と、「外国法人が」とあるのは「当該他の外国法人が」と読み替えるものとする。
8 第一項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)に規定する国外支配株主等が二以上ある場合の第一項に規定する負債に係る平均負債残高等の計算、同項の規定により損金の額に算入されない金額に係る法人税法の規定の適用その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

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カゼ

磯崎@もうダメかもしれない ミ・アミーゴ、です。
「たいしたカゼではないんですが」なんて書いたのがカゼウイルス様の逆鱗に触れたのか、未だに熱が下がりません。というかちょっと下がったと思ったらまた上がるんです。
取り急ぎ。まだ生きてます・・・。

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