白洲次郎−占領を背負った男

書店で平積みになっていたので購入。
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白洲次郎−占領を背負った男 著者:北 康利
講談社

白洲次郎氏のプロフィールは、

明治35年(1902年)兵庫県生まれ。神戸一中卒業後、英国ケンブリッジ大学に留学。戦前、近衛文麿、吉田茂の知遇を得る。戦後は吉田茂の側近として終戦連絡事務局次長、経済安定本部次長、貿易庁長官を歴任、日本国憲法制定の現場に立ち会った。また、いち早く貿易立国を標榜し、通商産業省を創設。

といった感じなのですが、うちの奥さんが、白洲次郎の奥さん白洲正子のファンで、数年前に、町田にある旧白洲邸「武相荘」に行ったことがあります。
武相荘ホームページによると、白洲次郎は、

戦後、吉田茂首相に請われてGHQとの折衝にあたるが、GHQ側の印象は「従順ならざる唯一の日本人」。高官にケンブリッジ仕込みの英語をほめられると、返す刀で「あなたの英語も、もう少し勉強なされば一流になれますよ」とやりこめた。

そうで。
「武相荘」ですが、正直言って現代でも、(東京都はとても思えない)かなり辺鄙な場所なんですが、本書によると、

「正子、オレ百姓をやろうと思うんだ。」(中略)
次郎は真顔である。
「いいか、よく聞けよ」
そう前置きした上で、近い将来間違いなく食糧不足になること、東京一円が空爆される可能性さえあることを、とうとうと話して聞かせた。(中略)
満州に続いて中国全土を占領しようかという破竹の勢いだった当事、”敗戦”などという文字は人々の頭の中にまったくなかったはずである。そんな中にあって、周囲に流されることなく極めて冷静に危機対策を考えている。自分の選んだ夫は本当にすごい男だと惚れ直していた。退職金も残っている。こうして田畑つきの田舎家探しが始まった。

ということで、当事の南多摩郡鶴川村(現在、町田市)にこの武相荘を構えるんですが、ここがなかなか「いい感じ」の場所です。
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ぜひ一度訪問されることをオススメします。
−−−
また、この本、「第14回山本七平賞」を受賞したそうですが、作者の北 康利氏のプロフィールも変わってます。

昭和35年生まれ。東京大学法学部卒業後、都市銀行入行、フィレンツェ大学留学。現在、銀行系証券会社勤務。中央大学専門職大学院国際会計研究科客員教授、京都大学大学院経済学研究科非常勤講師、早稲田大学教育総合研究所特別研究員。資産証券化などのファイナンス理論を専門とする一方で、兵庫県三田市の郷土史家としての一面を持っている。

残念ながらお会いしたことないんですが、「平成の小椋佳」って感じのプロフィールですね。
ということで、こんな本も出されてます。
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(ではまた。)

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社内ベンチャー(三菱商事さん新社屋完成記念)

弊事務所のある郵船ビルのお隣に、三菱商事さんの新社屋が完成(まだ業務は開始してない?)したので、完成を祝して。
−−−
過去、「社内ベンチャー」の相談を何度か受けたことがありますが、日本の大企業がやる社内ベンチャーで成功した例って、ほとんど聞いたことがないですよね。
なぜか?というのを前から常々考えているのですが、

  • その企業の社内資源を使って確実に儲かりそうなら、その会社自身でやればいい話だし、
  • 確実かどうかがよくわからなければ、「何でそんなことやるんだ」という話になりがち
  • ベンチャーというのは、ある意味、今までと違った発想が必要なので、「サラリーマン的でない」「(いい意味で)変わった」人がやる必要があるわけですが、大組織の中で「変わった人」が何かやろうとすると、「なんであいつが」ということになりがち。
  • ずっと会社にいると、「あいつ、新人の時、部長に叱られてトイレで泣いてたぜ」みたいな、よけいな情報付きでしか、発案者のことを見られないんでしょうね。キリストですら、故郷ではウケがイマイチだったくらいで、
  • この人は、大工ではないか。マリアの息子で、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄弟ではないか。姉妹たちは、ここで我々と一緒に住んでいるではないか。(新共同訳マルコ6)

    いわんや、常人が昔からいる組織の中で全く新しいことをはじめようというのは至難の業だと思うわけです。

  • 発案者と会社でvaluationに大きく差を付けようなんてことを稟議で通すのは、「会社の資源使って仕事するのに、なんであいつだけ?」というケチくさいことになりがち。(発案者にとって十分なインセンティブを持たせられるか?)
  • 結局、ホントにその発案者が「こりゃいける」と思えば、自分で出資者を捜して、会社を作っちゃった方が早いことも多いはず。(わざわざ、会社に儲けさせてやる必要なし。)
  • ということで、「三菱商事初の社内ベンチャー」で、日本の社内ベンチャーでも希有な成功例が、Soup Stock Tokyoではないかと思います。
    そのfounderで会長の遠山正道氏の著書
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    スープで、いきます
    商社マンがSoup Stock Tokyoを作る

    が、隣の丸ビル地下のSoup Stock Tokyoの店頭にかざってあったので、スープを注文する時に「この本もください」と言ったら、「あ、それはここでは売ってないんです」ですと。テナント契約で本は売っちゃいけないことになってるんでしょうか。(売ればいいのにね。)
    本書のプロフィールを読むと、遠山氏は「コンランショップのパッケージデザインやイデーの家具デザインなどを手がけ、ニューヨークや青山などで個展を開いている」とのことで、「サラリーマン的でない」度は十分のようですし、
    ネット系ベンチャーなどと違って、外食はそこそこ最初から設備投資もかかるし、いい立地でテナント契約する際に信用も必要でしょうから、三菱商事さんの出資でやるメリットも大きかったのかもしれません。
    とにかく、Soup Stock Tokyoは、私が好きな外食の一つで、よく利用させていただいておりまして・・・、成功してよかったです。
    (ではまた。)

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    地獄を見るか?「ストックオプションの費用化」

    Kohさんのブログで、トレンドマイクロが米国会計基準に準拠して49億円もストックオプションの費用計上をすることになった、という日経金融の記事が紹介されてます。
    日本でも、ご案内のとおり5月の会社法施行移行、ストックオプションの費用化が義務づけられることになります。
    (ストック・オプション等に関する会計基準(企業会計基準第八号)、ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第十一号)ご参照のこと。ネット上で探したのですが見あたらないので、監査小六法(平成18年度版)
    kansa_sho_roppo.jpg
    の684ページから50ページ分あたりを読み込んでいただければ、と思います。)
    これによると、ストックオプションについては、ざっくり言って、
    ・ 適切なオプションバリューの計算方法によって費用を計上し、
    ・ 対応する金額をB/Sの「純資産の部」に「新株予約権」として計上(会社法に対応。)
    ・ 費用の額は、適切な方法で期間配分する。
    という感じになります。
    で、何が問題として想定されるか、といいますと、
    そもそも理解できるのか?
    そもそも、このストックオプションの費用計上を理解するには、
    (1) 前述の「ストック・オプション等に関する会計基準」「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」などの他、会社法の関連規定などの「会計上のルール」
    (2) 新株予約権の「会社法上のルール」
    (3) オプションバリューの計算についての金融工学的知識((1)にも含まれますが)
    (4) 税務
    等を併せて考える必要があるわけです。
    図で書くと、以下のような感じでしょうか。
    so_mandara.jpg
    つまり、MSCBなどと同じく、法律・会計・税務・金融工学といったハイブリッドな領域に関わるお話で、「センターとライトとセカンドのちょうど真ん中」みたいなところなので、全部にピンとくる方が、日本の企業の経理担当にどのくらいいらっしゃるのか、というと、かなり少なさそうだなあ、という気がします。
    (「おまえはそれ全部を完璧に理解してるのか!」と言われると、ちょっと困るわけですが。)
    MSCBのように価格決定とか貸株とか空売りとかまで想定した「相場系実務」の要素があまりないだけまだ救いがあるとも言えますが、代わりに会計上の計上額の計算やそれに伴った金融工学的計算、税務については重いかと。
    まだ施行されていない「会社法」についても重荷ですね。(新株予約権の法務というよりは、会計上の影響が中心かもしれませんが。)
    私の独断と偏見による推測だと、「ブラック・ショールズ式」とか「二項モデル」と言われてピンと来る人は、日本の人口の0.1%以下くらいじゃないかと思うので、(経理部門での比率はもっと高いと思いますが)、これに税務とか、会社法とかがかけ合わさっていくと、そもそも何が起こるかを認識している人は、かなり少ないんじゃないかと心配です。
    能動的にシミュレーションできるか?
    上述のような制度変化を認識したり、普通のストックオプションを費用計上したらいくらくらいになるかを把握するところまではなんとかできたとして、仮に(例えばそれがベンチャーっぽい上場企業で、非常に株価のボラティリティが高くて、前述のトレンドマイクロさんのように、とんでもない額のコストになっちゃったというような場合)、ストックオプションの設計を見直して、能動的にオプションバリューを抑えたり、といったことができるかというと、これはさらに難しくなると考えられます。
    オプションバリューを小さくするために容易に思いつくところとしては、無駄に長い行使期間を実際に行使されそうな期間に縮めるとか。(未公開のベンチャー企業なら、公開が延びたときを考えて長めに取っておく必要もあるかもしれませんが、既公開企業であれば、[株価がちゃんと上がれば]、税制適格で決議後2年以降の行使期間を短めに切り上げる、とか。)
    または、年間に行使できる期間を制限する、とか。(インサイダー取引規制との関連で、四半期決算発表後の数日のみ行使可能、といった制限を社内規則でかけている企業も多いはず。)
    (ただし、ブラックショールズ式は、もともと満期日のみに行使可能なヨーロピアン・オプションの計算式なので、税制適格の2年経過後ずっと行使可能なアメリカンっぽい設計のストックオプションの場合、もともとブラックショールズで単純計算したバリューより高い・・・か。)
    また、何年にもベスティングする分をまとめて発行するのではなく、1年に行使する分づつ発行したら、全体としての費用計上額は小さくなりますかね?
    とにかく、複雑な条件を入れてオプションバリューを小さくしようとするのはいいですが、ブラックショールズで単純計算ではなく、多項モデルをいじくってシミュレーションするスキルが必要になるんじゃないかと思います。
    いずれにせよ、「ストックオプション入門」みたいな入門書から読み始めて、上記のようなシミュレーションで自社に最適なストックオプションの設計にたどり着くには、はるかなる道のりが待っていそうです。
    税務
    で、この費用計上されたストックオプションのコストは、税務上どう扱われるか、というところも注目なわけですが。
    「旬刊経理情報」(2006年3月10日号)に掲載されていた記事
    http://www.kpmg.or.jp/resources/newsletter/tax/200603/01.html
    によると、「改正の詳細は3月末に公布される政令等により明らかにされることにご留意いただきたい。」ということで、近々公表されるはずの政令などを見てみないと明らかなことは言えないようですが、この筆者の村田美雪氏(KPMG税理士法人 税理士)によると、
    ・会計上費用計上するときには費用計上した額(オプションバリューより計算)については、税務申告書で加算(留保)(つまり、損金算入しない)にしておき、
    ・税制非適格なストックオプションについてのみ、「行使時」に損金計上。 (つまり、税務申告書で減算[留保]。)
    ・税務上損金算入できるのはその会計上費用計上されたオプションバリューと近い感じになるのではないか?(詳しくは政令を見ないとわからないが。)
    ・役員報酬の損金不算入に該当するかどうかも、政令を見てみる必要がありそう。
    という感じになるのではないか?とのことです。
    (非常にざっくりした要約ですので、ニュアンスが違ってたらすみません。)
    従来から、税制非適格なストックオプションは、もらう従業員などには、行使時の時価と行使価額の差額が給与として総合課税でドーンと課税されるのに、法人側は全く損金算入できないというのは国税庁のボッタクリじゃないかと思っていましたが、オプションバリューから計算される分(一概にはいえないが、株価が順調に上がっていたら個人が給与として課税される額よりはかなり小さい額かも)については、「損金算入させてやるよ」、ということのようですね。
    (そもそも、オプション理論的には、「取締役等が受ける経済的利益」というのは、オプションを無償で付与された時のオプションバリューだけのはずで、その後の株価の上昇によるキャピタルゲインまでなんで給与として課税されないといけないのか、という気がしませんか?
    例えれば、株式の第三者割当増資を借入で購入して株式は一定期間ロックアップされているのと経済的にはほぼ同じことなわけで。後者は明らかにキャピタルゲインは分離課税なわけです。)
    税制適格なストックオプションについては、引き続き、「行使価格と売却時の時価の差額をキャピタルゲインとして分離課税で10%しか課税しないんだから、法人側で損金算入できなくても文句言うな」、という趣旨でしょうか。
    ちなみに転換社債について
    上述のように、ストック・オプションについてはオプションバリューを計算しなければならなくなるので、本日CBについての処理の話をしていたときに「ハッ」として、CBについてもオプションバリューを分離しないといけなくなったりしてなかったかと思って、「ストック・オプション等に関する会計基準」等と同日の平成17年12月27日付けで公表された、「会社法による新株予約権及び新株予約権付社債の会計処理に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第十六号)をあわてて読み返して見たのですが、
    一定の条件を満たす(いわゆる転換社債っぽい条件になってる)新株予約権付社債については、払込金額を新株予約権の対価(つまりオプションバリュー部分)と社債部分に分ける「区分法」だけでなく、社債と新株予約権に区別せずに合計で(普通社債のように)処理する「一括法」も、認められています。
    (つまり、従来の「新株予約権及び新株予約権付社債の会計処理に関する実務上の取り扱い」(実務対応報告第一号)と基本的には同様です。)
    会社法では、新株予約権(のオプションバリュー)は「純資産の部」に計上されることになったので、「区分法」を採用した場合には、純資産が増加することになるのが今までと異なりますが、CBの場合には(ストックオプションとは違って)面倒なオプションバリューの計算をしなくていいですよ、ということであれば、あえてそんなことをするやつはいないので、みなさん一括法を採用して、特に大きな問題は発生しない、ということになるんじゃないでしょうか。
    想定される展開
    さて、ストックオプションの費用計上の方に戻りますが。
    人間というのは、ある一定以上のややこしい事態に遭遇すると、脳のブレーカーが「パチン」と切れる生物なわけです。というわけで、前述のように、企業の会計や財務担当者が今まで遭遇したこともないほど複雑な事態に直面した場合、今後、企業がとる最も可能性の高い施策は、「ストックオプションの発行はやめちゃう」(笑)ってことじゃないでしょうか。(もちろん、「専門家にコンサルを依頼する」という正攻法を取られる企業もあるかと思いますが。)
    ストックオプションを発行する上場企業の株主総会にいくつか出席しましたが、ストックオプションは必ず「悪者扱い」で、株主の方々から、「俺たちの株が希薄化しちまうじゃねーか!」という質問が集中して浴びせられます。
    本来は、その希薄化する割合とか現金のボーナスでインセンティブを与えるのとどっちが企業の業績が上がるのか、等を総合的に勘案すれば、ストックオプションを付与した方が株主のためにもなるケースもあるはずですが、ほとんどの株主の方は単純に「希薄化=悪」と思っておられるようですし、議案の原案に対し「否」と投票する比率が最も高いのも、ストックオプションの議案かと思います。
    これでもし、巨額の費用が計上されてしかも損金算入できないなんて理解が浸透したら、株主の「ふざけんな!」という反応はさらに強まるかと。(「新株予約権」で自己資本が増えるというようなことは、多分、脳に入っていかないはず。)
    経営者としても、株主総会で「このストックオプション発行による当期の費用計上見込額は○○億円になります」なんてことを親切に説明したら、火に油を注ぐ結果になりそうですし、説明しなかったら説明しなかったで、株主としては「なんかすごい費用が計上されることになるかも」と不安でしょう。
    さらに、経理とか財務部門の若手のスタッフはストックオプションについて理解してても、株主総会の壇上に立つ社長とか経理担当重役とかがどこまでうまくストックオプションのメリットについて説明できるかは、また別かと思います。
    また、もともと日本の銀行とか重厚長大産業の大半の企業は、社員にストックオプションを付与するなんてことはしてこなかったわけです。ストックオプションを付与してきたのは、ベンチャー的な企業の比率が高かったでしょうし、そういう企業の方が実質的なオプションバリューが高いからこそ、それを付与することがインセンティブにつながったわけで。
    アメリカでもアップルなど、エクイティでのインセンティブをやめて、キャッシュでのインセンティブに比重をシフトしている、という報道もあります。
    一方、ストックオプションをやめて、現金で株価等の業績も含めた賞与を支給することにしたら、株主からは何も言われない可能性が高い。(たとえ、そちらが結果的に株主に不利になるとしても。)
    結果として、この6月の株主総会では、ストックオプションの議案は、とんと目にしないことになるかもしれません。
    最悪のパターンは、例えば12月決算でこの3月末の株主総会でストックオプションの発行を決議して、あまり深く考えずにボヤボヤしているうちに、取締役会の付与決議が5月以降になってしまい、付与した後に計算してみたら、ものすごい費用の額になって顔がサーっと青ざめる、という企業かと。
    ちなみに未公開企業の場合
    未公開企業については、株価の市場価格もなく、見積もりが困難だろうということで、
    「ストック・オプションの公正な評価単価に代え、ストック・オプションの単位当たりの本源的価値の見積もりに基づいて会計処理を行うことができる。」(ストック・オプション等に関する会計基準 第13項)ということになってます。
    たいていの未公開企業は、税制適格ストックオプションの要件に合致するように、行使価格を時価以上に設定している(つまりat the moneyまたはout of the money)でしょうから、本源的価値=費用はゼロということになることが多いはずです。
    というわけで、未公開のベンチャー企業については、引き続き、ストックオプションで、いい人材を採用することも可能なんじゃないかと思います。

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    花粉症と減感作療法

    昨年、うちの奥さんと長男(小学校4年生)が花粉症を直すために減感作療法というのをやるというので、花粉症の大先輩である私もつきあうことにした。毎週1回1本、十数回くらい注射を打って、免疫反応をどうたらこうたらする、というもの。
    もう花粉症の季節は終わっていたので、昨年は効果がわからなかったが、今年の花粉の季節になって楽なこと!多少鼻がムズムズしないわけではないが、「はなが垂れる」「頭痛がする」「体がだるい」といった、仕事に差し支える症状はゼロ。医者は「効く人と効かない人がいる」とのことでしたが、今まで漢方やらなんやらいろいろ試していた奥さんと長男も含め、我が家では3人とも直っちゃいました。
    注射するのが「尿抽出物」ってところがちょっとナニですが。w
    (ご参考まで。)

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    これであなたもブログ通

    直前の告知で恐縮ですが、NHK BSの「これであなたもブログ通」という番組の冒頭で*一瞬*だけ、このisologueの映像が流れるらしい、です。制作会社の方からご連絡いただきました。
    顔が映るインタビューは、ハズカシイのでいつも告知してませんが、ブログの画面ならいいか、ということでお知らせいたします。
    3月26日(日)19:30—21:30放送(NHK BS2)
    3月31日(金)20:00—22:00放送(NHKハイビジョン)

    だそうです。
    −−−
    この番組、存じてはいたんですが、「面白ブログ募集!」とNHKでCMしてるので、まあ、私とは縁遠い世界と思って応募するなんて思いもよらなかったのですが、ノミネート委員のみなさま(コグレマサトさんとか、橋本大也さんとか、神田敏晶とか)から、「論壇系とかジャーナル、経済系のブログの応募がかなり少なかったが、番組としてなんらかの形で取り上げるべきではないか」という意見が出て、ちょっとだけ映ることになったそうで。
    しかーし。ブログの中身も多様化して量も増えてきてますので、「ブログ通」ってのも「本に詳しい」っていうのと同じくらい無理のある概念になってきてるかも。
    今年があたりが、「ブログ通」という概念が(「TVチャンピオン」以外で)成立する最後の年かも知れませんね。
    (ではまた。)

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    (Movable Type余談)MySQL

    自分でブログのシステム(Movable Type 3.2、以下「MT」)をいじってる人以外にはあまりご興味ないかと思いますが、
    今回、当サイトのサーバを移行するにあたり、MTのデータベースを、デフォルト?のBerkeley DBから、MySQLに変更いたしました。(というか、MTの移行等技術全般について、りょうさんのお力をお借りしました。>りょうさん、ほんとにありがとうございました。<(_ _)>)
    サーバのキャパもでかくなってるので、MySQLの貢献分がどこくらいあるかはわかりませんが、とにかくリビルド(再構築)が以前に比べて速い!
    1エントリだけならボタンを「プチ」と押して5秒くらい。(以前のサーバでははてしなく時間がかかっていて、末期には固まって動かなくなることもしばしば。)
    現在、600以上エントリがありますが、「すべてを再構築」を選んでも、全部が5分くらいで終了します。
    (いやー、ありがたやありがたや。)
    よりディープなご興味のある方は、こんなのも発見。→MySQL User Conference 2006
    私のブログなんぞとは比べものにならない1日1億5000万PVを操るMySQLの魔術師のお話が聞けるようです。:-)

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    モバイルSUICAでグリーン車に乗る、の巻

    先週の土曜日から始まった「モバイルSUICAでグリーン車に乗れる」、というのを体験する機会がやってまいりました。
    今までも「SUICA」(携帯電話じゃないカードのやつ)は使えたわけですが、(過去記事ご参考)、携帯電話とSUICAが一体になったモバイルSUICAが使える最大の特徴は、「乗ってから」グリーン券が買えるということであります。
    suica_green1.jpg
    (SUICAのグリーン券を自分の上の天井にタッチするとランプが緑色に。)
    今までは、ホームにある自動販売機に並んでSUICAにグリーン券をloadしたり、そのまた昔はホームの駅員さんからグリーン券を買ったりしてたわけですが、これだと、発車直前にさっと乗り込む、というのは不可能だった。
    しかし今や、グリーン車に乗り込み席にどっかり腰掛けてから、おもむろに携帯電話を取り出し、iアプリでグリーン券を買える。・・・わけですが・・・・これ、ちょっと時間がかかりますね。
    まず、SUICAパスワードを入力しなきゃいけないし。
    今までは、キップを買うときに「降りる駅」だけ指定すればよかったわけですが、iアプリは私が今どこにいるかわからないので、「乗る駅」も指定しないといけない。
    全部入力し終えて、「確認」を押すと、「30秒から60秒かかります」という表示がでて、(ほんとに1分くらい待たされる)やっとグリーン券が買える。(のべ5分くらいかかります。)
    購入画面をよく見ると、「Suicaグリーン券の購入代金は登録クレジットカードで決済されます。」と書いてある。つまり、「30秒から60秒かかります」とウンウンうなっているというのは、クレジットカード会社等に照会をかけている、ということか?
    よく考えたら、なんでせっかく携帯電話のローカルなチップ上に電子マネーが存在するのに、わざわざ通信する必要があるのかしらん?
    通常改札を通るときはパスワードもいらないわけだから、購入画面で乗る駅と降りる駅を選択してタッチするだけにしてくれたら30秒くらいで済むのに。
    駅を出発するとアテンダントのおねいさんが検札に来るんですが、携帯電話をピコピコやってたら、席の上の天井のランプが赤でも、声もかけずに通り過ぎていってくれました。今までは客が乗ったらすぐ検札できたのに、モバイルSUICAになると、駅を発車して5分くらいたたないと検札も終わらないわけですね。
    駅を出発して5分もしてからタッチしたら、「エラー」でランプが緑にならなかったらどうしようかとちょっとドキドキしたけど、ちゃんと認識してくれて一安心。
    −−−
    本日は、朝からバタバタで、「電子マネー」で乗ったグリーン車から降りて事務所に寄り、すぐさま外に出て乗り込んだタクシーの中で、ノートパソコンからパワーポイントのファイルをシリコンバレー方面に送付。クライアントのところについて、ブロードバンドのテレビ会議システムでシリコンバレーとテレビ会議。
    って、まるで21世紀みたーい。(・・・って、21世紀か。)
    (ではまた。)

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    ホリエモンは「いったいどうすればよかった」のか

    KAT-TUNがついにCDデビュー
    5年間もCDデビューさせない、ってのは、「究極のディザーティーザー広告」でしょうか。
    #♪ギリギリでいつも生きていたいから〜
    #(→ livin’ on the edge)
    −−−
    さて、報道によると、ホリエモンは取り調べに対し、「取引については専門家にも聞いて適法だという意見をもらって」おり、「僕はいったいどうすればよかったっていうんですか」と供述しているとのこと。
    恐らく、取引について専門家の意見を聞いたというのは、
    「投資事業組合を作ってそこに株式交換で自社株を持たせ、株式分割で株価が上昇した後にそれを売却した金額50億円以上を売上として計上してもいいですか?」
    という「全貌」を説明してOKをもらったということではなく、
    「株式分割するのは相場操縦にあたりますか?」
    「ファイナンス事業を営む会社が、投資事業組合の株の売却額を売上げに立てるのは違法ですか?」
    「当社が出資する投資事業組合の持ち株に自社株が混じっていたら、その売却益は資本剰余金としなければならないでしょうか?」
    といった個別の質問をして、「それだけでは必ずしも違法とか不適正と言うことはできないですね」という答えをもらった、ということじゃないかと思います。
    部分部分を見せられればそういう意見にもなるかも知れませんが、全部あわせて全体像を見せたら、たいていの専門家は「さすがに、そりゃまずい」と言ったと思うんですよね。
    また、そういった(個別の)専門家の意見書の束を見せられて、「・・・というわけで、リスクがないわけじゃないですが、このスキームでいきたいと思います」と言われたときに、堀江元社長が、「それは会計上、売上げでなくネット額を資本剰余金として計上すべきだろう?」という判断が出来たかというと、これも微妙なところではないかと思います。
    というわけで、ホリエモンが「やるべきだったこと」は、「個別の事項をどう判断するか」ということではなく、社長として「会社全体をトータルで考えて適正、適法かどうかをモニタリングするしくみ」を構築することだったんじゃないでしょうか。
    社外取締役、社外監査役、監査法人、内部監査部門といったところに、適切な情報がガラス張りで流れるしくみが構築できていれば、結果としてライブドアは(時価総額8000億円になったかどうかはともかく)、はるかに「幸せな道」を歩めたんじゃないかなとつくづく思う今日この頃。
    (ではまた。)

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    郵船ビルにお引っ越し(祝、飛鳥II就航)

    「ゆうせん」というと、現在はもっぱら、ライブドア株式をフジテレビから取得した宇野社長の「株式会社USEN」のことを指すようになってるんじゃないかと思いますが、不肖私めの磯崎哲也事務所、今年の2月1日より、「郵船」(日本郵船)さんのビルの店子(たなこ)になりました。
    丸ビルの皇居側、Bloombergさんのスタジオの真上あたりであります。
    isozaki_map
    昨年、板倉雄一郎さんとお会いしたときに、「なぜ、この21世紀のIT時代に”のぞみ増発”なのか」「なぜ、IT時代なのにオフィスの紙が増えちゃうのか」と、「リアル」なリソースを使ったビジネスに批判的な話で盛り上がったので、こういった「どリアル」な場所にオフィスを構えるというのは言行不一致ではなはだ恐縮ではありますし、
    また、「オフィス移転しました」なんて案内をうれしそうに出すと、蘭の鉢植えがドカドカ届く「エコロジー的にはいかがなものか」的な状況に陥る可能性大。また、そもそも社外役員をやっている会社からは独立性イジの観点から事務所の移転でお祝いをいただくわけにもまいりません。
    というわけで、入り口サインとか、セキュリティ錠の取り付け等、工事がちょっと残ってるのをいいことに、現在いっしょに仕事をさせていただいてる方以外の方々にはオフィス移ったような移らないような、あやふやな感じをかもし出すようにしておりました。(笑)
    とはいえ、内装工事のやり残しも完了し、郵便の転送期限もあるので、ボチボチ移転案内も出さないといけない状況。(当然、印刷で「お花、お祝い等は辞退させていただきます。」と書かれています。)
    ホントは1月上旬にでも移転案内を出そうかとも思って、年賀状も省略してしまいまして・・・年賀状いただいた方、すみません。<(_ _)>
    −−−
    ちなみに、(USENさんに負けず)、郵船さんも先の週末に「飛鳥II」が横浜港から出発。
    Asuka_II.jpg
    この船は、本日のFujiSankei Business i.の記事によると

     宇宙通信の通信衛星「スーパーバードB2号」を活用し、最大毎秒一メガ(一メガは百万)ビットの高速通信を提供。動画の視聴や電子メールのやり取りが携帯電話の通じない洋上でも行える。日本近海だけだが、宇宙通信は需要に応じてアジア周辺海域へと提供エリアを広げる方針だ。

     「飛鳥II」は客室数四百室でホールやカジノを備え、日本一周クルーズの料金は九泊十日で四十四万円から百八十万円。船内には専用のコンピュータールームがあり、乗客はインターネットをいつでも利用可能。利用料は十分一千円という。

    とのこと。
    「船内には専用のコンピュータールーム」とあるので、各客室にLANのモジュラージャックが来たり、無線LANが飛んでたり、という「ホテル並み」の状況ではまだなさそうですね。
    「10分千円」という20世紀のインターネットのような価格設定がどうこういう前に、10日で44万円払う金も時間もないですが。
    以前、うちの奥さんの両親が(旧)飛鳥に乗って香港まで行くというので、横浜港まで見送りに行ったことがありますが、客層がほとんど「おじいちゃんおばあちゃん」だったので、10分千円払えば、1MBの帯域は一人占め間違いなし(?)。
    「イリジウム」の携帯電話をレンタルすると10分で3000円、9600bpsくらいなようなので、それよりかなり良心的な価格かも知れません。
    地球上どこでも「ユビキタス」な環境を手に入れる時代は、まだ先のようです。
    自分のパソコンがネットに接続できるかどうか、記事からはよくわかりませんが、マンガ喫茶と違って、パスワード盗むスパイウエアをパソコンに仕込むヤツもいなさそう・・・ですが、資産を持ってるお年寄りも多そうなので、ネットバンキングなどを「コンピュータールーム」据え置きのパソコンで利用するのはリスク大きいかもしれない・・・ですね。
    (ではまた。)
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    日本郵船株式会社:「NYKキッズ」

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