派遣業法違反(昨日の「世知辛い系」ニュース)

http://www.asahi.com/national/update/0112/TKY200701120319.html
フルキャストを捜索 警備業務に違法派遣容疑 宮城県警
朝日新聞2007年01月12日17時58分
 人材派遣大手のフルキャスト(本社・東京都渋谷区)が、労働者派遣法で禁じられた警備業務にスタッフを派遣していた疑いが強まったとして、宮城県警は12日午前、都内の本社や、仙台市青葉区の仙台支店などの捜索を始めた。
(中略)
他人の生命を守る責務がある専門職のため警備員の派遣は同法で禁じられているにもかかわらず、仙台市泉区のスーパーマーケットの駐車場で交通誘導に従事させた疑い。
(中略)
 警備業法などでは、警備員に30時間以上の教育を課すことなどを義務づけているが、この警備会社は、男性スタッフらを業務当日に駐車場に集めて、教育を受けさせずに交通誘導にあたらせていたという。この警備会社も昨秋、警備業法違反容疑で捜索を受けている。
(中略)
 フルキャストは昨年8月、労働者派遣法で禁じられた建設業務に派遣労働者を従事させていたとして、神奈川労働局に是正指導を受けていた。

なるほど、警備員というのは「他人の命を守る責務がある」から、市場メカニズムに任せるのではなく、法で規制する必要がある、ということですね。
ただ、研修を受けさせる必要があるだけなら、法律としては、派遣会社に研修を義務付ければいいだけで、派遣そのものを禁止する必要はないんじゃないかとも思いますが、派遣業法で警備員や建設業務への派遣が禁止されている立法趣旨は何なのでしたっけ?(労働者保護?)
今の時代、間違っても「業界保護」という観点・・・ではない・・・と思いますが・・・どうなんでしょ。
−−−
ちなみに、私の学生時代(かれこれ20年以上前)に「警備員」のバイトをしたのですが、バイト雑誌を見てマンションの一室にある怪しげな警備会社に面接に行くと、即刻、「じゃ、この現場に行って」と言われ、1時間後には工事現場のわきでヘルメットかぶって赤い誘導棒を振ってたりしたのですが。確かに、交通ルールも知らない(かも知れない)やつにいきなり車の誘導させたりするのは、危ないこと この上ない。
また、高田馬場の東口の線路脇には毎朝早朝、「手配師」のおっちゃんがいて、「建設作業員(ドカ○)」のお仕事を求めるおっさんたちの行列を、「じゃ、あんたとあんたは、そっからマイクロバスに乗って。」とさばいてました。
行き先も告げられずに東京湾岸の冷凍倉庫の建築現場に連れて行かれ、現場のおっさんに「おい!そこの!120、2つ持って来い!」と、鉄パイプの足場を運ばされたり・・・。
・・・といった低熟練度な肉体労働を数日やって5万円くらいをため、そのお金で電動タイプライタを買ってブラインドタッチの練習した結果が、今、ブログを書くのに役立ってます。:-)
・・・というお話はさておき、20年も経つと、ずいぶん世の中「きちんとした」かんじに変わってるんですね。
事業活動において、過去の「常識」で、「こんくらい、アリでしょ?」と想定するのは、非常にキケンな世の中であります。すべては「ルール(法)」にあたってみて、「適法と考えられるかどうか」を判断する姿勢が必要なんでしょうね。
(というのが教科書的な答えですが、すべての国民がそういう環境に適応できるんでしょうか??「もとの濁りの田沼恋しき」って思ってる人が多い気もしますが。)
(追記:「もとの田沼の濁り恋しき」から「濁りの田沼」に修正しました。コメント欄参照。)
−−−
一方で、こんな記事も。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070112AT3S1201A12012007.html

日本の1人あたり名目GDP、14位に後退 (日経新聞 1/12 22:48)
 内閣府が12日まとめた国民経済計算によると、2005年の日本の1人あたり名目国内総生産(GDP)は経済協力開発機構(OECD)30カ国のなかで14位となり、前年の11位からさらに後退した。円安が進んだうえ、他国の成長率が日本より高かったためだ。
(中略)
 ただ長期的にみれば「構造改革の遅れが順位低下の主因」(内閣府)との見方も根強い。日本がトップだった1993年と比較すると、アイルランド、英国、オランダなど改革で先行した国は高い成長率を持続し順位も上がっている。低成長に甘んじれば、日本の順位がさらに低下することになりそうだ。

(ではまた。)

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ルール運用が厳格化する社会とグレーゾーン(「賭博」の場合)

総務省課長補佐ら18人、「統計」業務中に野球賭博(2007年1月12日11時51分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070112it04.htm
 総務省の情報通信網(LAN)を使い、高校野球で野球賭博(とばく)をしていたとして、警視庁保安課は12日、総務省統計局の課長補佐(37)や独立行政法人統計センター(東京都新宿区)の課長代理(59)ら、同省と同センターの職員計18人を賭博の疑いで書類送検した。

掛け金は1人1,000円とのこと。(総額1万8千円?)
もちろん褒められた話じゃないですし、総務省内で処分されるのは当然として、書類送検までされちゃうんですね。

(賭博)
刑法第百八十五条  賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

ということで、1,000円くらいなら「一時の娯楽」じゃないの?という感じも一瞬しますが、判例を見ると、

金銭は、その性質上一時の娯楽に供する物とはいえない。(大判大13・2・9刑集三−九五)

とのことなので、弁解しようのない「賭博」のストライクゾーンなんでしょうね。
職場で高校野球の予想をしたり、マージャンしたり、ゴルフで「握りますか」なんて言って金銭を賭けている人は、日本全体で年間延べ数千万人のオーダーにのぼる気もしますが、そういうのは、すべて刺されたらアウトなんですね。(お気をつけください。)
昨年のはじめに、一連のグレーゾーン金利に関する最高裁の判決が出たわけで、「法律上は確かにそうだけど、ま、いくらなんでもそこまではないでしょ」という領域が次々に陥落していっております。
ということで、私は最近、ひそかに、
「パチンコは、(景品交換所を間にかませたとしても、特殊景品が循環して現金が顧客にわたるしくみになっている場合)、明らかにその本質は賭博である。」
という(ある意味、非常にあたりまえな)判決が、そのうち出るんじゃないかとモーソーしております。
(特に、カジノ合法化の検討過程あたりで。)
また、パチンコホールの上場ってまだ無かったかと思いますが、仮に申請がとおっても、リスクファクターに何と書くんでしょうね?
「当社が営んでいる、いわゆる『三店方式』は、賭博とみなされるリスクがあります」
というようなことを書かれたら、さすがに取引所も上場承認できない気がしますし、逆にそれが書いてなければ、仮に将来、「賭博だ」という判決を受けて経営が大打撃を受けた場合に、ただしく開示が行われていなかったということで、発行体に刑事罰が待っている気がします。
(ではまた。)

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Amazonの高収益性の秘密を見たり(←ちゃうちゃう)

このブログで書籍をご紹介するときには、クリックしてAmazonに飛ぶ方が読者も便利だろうし、当方もAmazonの売上レポートを見て、どういった本が読者のご関心なのかがわかって面白いので、Amazonのアフィリエイトのリンクを張らせていただいておりました。
昨日、「そういえば、Amazonからの謝礼の『ギフト券』というやつを見たことがなかったなあ」と、初めて気づいて調べてみたら、Amazonのギフト券って、メールの文字列の形で送られてきていて、使用期限が1ヶ月間弱しか無いんですね。(がっくーん。)ました。
(追記:アフィリエイトのギフト券の期限は、1年間ありました。失礼いたしました。)
書評をほとんど書いてないので、もともとほとんどアフィリエイト収入は期待してなかったとはいえ、調べてみると、おかげさまでそこそこ買って頂いてまして、今まで数年分をかき集めると、ちょっとしたパソコン1台買えるくらいの金額にはなっていた模様。
(つまり、それをすべてドブに捨てていた、ということであります。orz)
ということで、今さらではありますが、紹介料の受取方法はギフト券をやめてキャッシュ(銀行振込)に変更するとともに、売れれば7%まで紹介料率があがる「パフォーマンスプラン」に変更してみました。
ということで、みなさん、がしがしクリックして、買ってやってください。
■当ブログご紹介書籍 売上ベスト10(売上高ベース)
クロス・ボーダー証券取引とコーポレート・ファイナンス—その実務と資本市場の黒子達
ネット株の心理学
ヒューマン2.0—web新時代の働き方(かもしれない)
だいじょうぶ だいじょうぶ
白洲次郎 占領を背負った男
ヒルズ黙示録—検証・ライブドア
企業買収防衛戦略〈2〉
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
岳 (1)
闇金ウシジマくん (1)
しかし、(私はちょっとムリですが)、売上の7%も紹介料が入るということは、真面目にアフィリエイトやってる方は、ヘタな駅前のパパママ書店よりも(経費がかからない分)、利益が大きかったりするかも知れないですね。
今更ながら、まぬけなコメントで恐縮です。
(アフィリエイトについて語る資格無し・・・。)
(ではまた。)

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アルファブロガー2006投票中間報告にちょっとビックリ

以前もご紹介した、「アルファブロガーを探せ2006」の投票の中間報告が出ました。

アルファブロガー2006投票 中間報告
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=1962

その上位10人というのが、
ネタフル
極東ブログ(+finalventの日記)
My Life Between Silicon Valley and Japan
404 Blog Not Found
isologue-by磯崎哲也事務所
On Off and Beyond
切込隊長BLOG(ブログ)
百式(+idea*idea)
メディアパブ
大西 宏のマーケティング・エッセンス
という方々で、なんと私も(第1回で選んでいただいたのにもかかわらず、また)この10人に入れていただいております。
(第2回で選ばれた方々が第1回と重複していなかったので、てっきり、一回選ばれた人はもう投票できない、というルールかと思ってました・・・。)
7人は第1回目の受賞者で、2人は第2回目の受賞者ですね。
(追記1/12:第2回も、投票ベースでは入れていただいていたようです。)
このブログでも、この投票についてご紹介したので、わざわざ投票していただいた方もいらっしゃったかと思います。ありがたや、ありがたや<(_ _)>・・・と思う一方で、「なぜ、もっと新しいブロガーが次々出てこないのか」・・・と、常々、大変不思議にも思っております。
マスコミの方にも質問されたりして、いくつか仮説を考えてみているのですが、
ブログじゃ食えない?
米国に比べて、日本のブログに張られる広告の単価はアメリカの数分の1・・・てな話を聞きます。
月額3万円のバナー広告×3つ・・・では、少なくとも経済的インセンティブとしては、非常に乏しいわけです。(つまり、経済的メリットもないのにブログにそれなりの時間をかけようなどという物好きなヤカラは すでに出尽くした (笑)、という仮説。)
が、月額30万円のバナー広告×3つ取れれば、ブログだけで生活することも夢じゃない・・・ので、そこそこの企業を辞めて(または、「多少、組織との軋轢が生じてもいいや。いざとなったら、会社、辞めてやらあ」、という気持ちになって)、ブログの書き手の供給も増える可能性があるのかなあと。
以前仮説を立てたように、
→「日本は、”フリーエージェント”的な人よりも、大組織に勤務している人が多い」
→「大組織で働いていると、さまざまなコンフリクトがあるので、ネタはあっても実名では書けない」
→「書き手のプロフィールがわからないと内容も今ひとつ信用されない」
というような悪循環が働いたりしてるのかも知れません。
こうした経済的インセンティブの環境改善については、(今、このブログの右側にも「Agile Media Network」の欄を掲示してありますが)、ブログネットワークといった新しいしくみができることで、改善される可能性もあるのかなあ、と考えております。
先行者メリットが働く世界?
私のブログのつたない内容よりもちゃんとしたことを書かれているブログはいくらでもあると思うのですが、実際、そうしたブログのカウンターとか記事とかから推測すると、私のブログは、いただいてるトラフィックが分不相応にでかいなあ、と。
もしかすると、
→「特定のニッチな領域について物を先に書き始めたほうが、コンテンツが増える」
→「コンテンツが多いと、検索エンジンでキーワードが引っかかる可能性が高くなる」
→「来訪者が増えて、それに言及したり、リンクを張ってくれたりすることが増える」
→「Google的にはますますPageRankが上がり、検索結果が上位に掲載される」
といった好循環(ポジティブ・フィードバック)が働いて、いったん、特定のニッチな領域で一定のトラフィックを得ると、後発で参入したブログがそれを覆すのは(内容が多少よくても)難しい・・・というようなことが・・・あるんでしょうか。(ないんでしょうか。)
(では、また。)

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携帯電話会社高収益性の秘密を見たり

ソフトバンクの参入で、携帯電話市場の競争も活気付いているので、そういえば、自分の携帯電話の料金はどうだっけ?と考えてみると、「紙」の請求書が来ない「eビリング」に切り替えて久しいので、ここ何年か、請求書を見たことがなかった。
パスワードすら忘れていたので、再発行するなどした後、MyDoCoMo
mydocomo.jpg
 
で請求書の明細を見てみると、私の分は、11,000円の無料通信分を含む「FOMAタイプLL」、基本使用料14,600円。
もう20年くらいDoCoMoを使っているので、いちねん割引25%+ファミリー割引25%で合計5割引かれて7,300円なのはいいとして、使った通話料は 12月分たった944円、パケット通信料も1,271円。
「繰り越せて分け合えるのはドコモだけ!」と聞いてましたが、奥さんの通話料もたった828円、パケット通信料613円で、3,400円の無料分が付いたプランなので、繰り越された無料通話分は、「分け合」われることもなく、毎月まったく無駄になっていたのであります。
ということで、早速ドコモショップに出かけて、一番安いパックに変更したのでありました。
「寡占市場でトップシェアだから、料金は若干高めにはなってるんだろうけど、そうはいっても中長期的には裁定(アービトラージ)が働いてくるはず。他社が下げればドコモも料金を下げざるを得ないだろうから、ちょこちょこ乗り換えなくても、さほどの差にはならんだろう」
とタカをくくっていたんですが、月に5千円弱くらいの差としても、数年で十何万円かをドブに捨てていたわけですな。
こういうパック型の料金体系を採用するサービス供給者側のメリットというのを、ぼんやりとしか考えたことがなかったんですが、携帯電話のように料金が継続的に低下していく(しかも、メールなどに代替されることで、利用量も減っていく)リテールのサービスにあっては、加入した時には合理的なプランであったとしても、その後、料金体系全体は下げる方向に見直されるのも関わらず、個々人が選択したプランがそのまま放置されることで、「退蔵益」的な利益(下図、黄色部分)が発生するわけですね。
plan_taizo.png
「ホントはさほど高くないですよー」という趣旨のCM等で、利用者は、「ま、チョコチョコ乗り換える必要もないか」という安心感を抱くわけですし、確かに「体系」として高くないというのはウソではない。しかし、その料金値下げのメリットを享受するには、利用者もマメに自分の料金プランを見直す必要があるわけです。
(が、そこは「リテール」なので、供給者側がいくら広報に努力しても、情報の非対称性(というか、消費者行動の非合理性というか)は発生してしまうから、「マメでない人」も全体としてかなりのボリュームになる。)
どうりで(それだけじゃないとは思いますが)1兆円も経常利益が出るわけです。
naruhodocomo.jpg
知れば知るほど、なるほドコモ!

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本日あらためて気づいたこと

「2次元バーコード」っていうけど、ぜんぜん「バー」じゃないな。
(しかし、「2次元コード」というのも、ちょっと口寂しい感じがします。)
2jigen_code.png

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明けましておめでとうございます(2007年、年賀エントリ)

(今年より、エコロジーのため、「ブログで年賀状」とさせていただいております。
 年賀コメント、トラックバック、歓迎いたします。)
I503s.jpg
(初日の出追記:自宅の近くで7時03分撮影)
2004年3月にはじめたこのブログ「isologue」ですが、今年は3年目に突入します。
いつもご覧いただいていない方への近況のご報告(&私の反省)を兼ねて、昨年一年間のエントリの月別アーカイブ一覧と、その概要を並べさせていただきます。
本年も、よろしくお願いいたします。
2006年1月
昨年、年が明けて「24(TWENTY-FOUR)」にハマって、シーズンIを見終え、シーズンIIを見始めたころ、ライブドアが証券取引法違反で家宅捜査という速報が飛び込んできました。(16日)
この月は、これ以降、ほとんどライブドアの株式分割や会計処理の解説に終始。
2006年2月
引き続き、ライブドア関係(「弥生」等)の解説をするとともに、「24(TWENTY-FOUR)」をシーズンIVまでフィニッシュ。(5日)
記事で、久保利弁護士にもブログを読んでいただいていることが判明。
この月、ニューヨークはすごい寒波。シリコンバレーが意外にブロードバンド後進国であることを認識。ライブドア事件でブログのアクセス数が月間100万pvペースまで上昇。トリノオリンピックということで、世界ではどの程度のアクセスかと思って、トラフィックの国際比較を敢行。(意味ナシの仮定ではありますが)、”フィンランド語サイトであれば”10位以内に入り、AC Milan のオフィシャルサイトと同程度に達したことが判明。(25日
春休みに行こうと思ってたフィリピンでクーデター。(旅行キャンセル。)
2006年3月
もちろんカネがすべてではありませんが、ハーバード大など米国の大学が兆円単位の基金を高いパフォーマンスで運用している実態を知って愕然。(6日
アクセス増加やブログのソフト(MovableType)のバージョンアップの影響で、サーバがパンク、ホスティングをお願いしているプロバイダから追い出されるように、プロバイダを変更。
事務所を丸の内の「郵船ビル」に、引越し。
5月からのストックオプション会計の導入で、地獄を見る企業も増えるんじゃないかと憂慮。(29日
2006年4月
「ナニワ金融道」の主人公「灰原」君の名前は、「グレーゾーン」金利から来ていたのか?と気づく。(3日)
お隣の三菱商事さんのビル完成。「Soup Stock Tokyo」と社内ベンチャーについて考察。
白洲次郎、フェアトレードコーヒー、YouTube、遠山記念館、受付電話のBang & Olufsen、数学者ラマヌジャン、過剰取立問題などについても考察。
私のホームページが中国語に翻訳されているのをウエブ上で発見。
グーグルを財務的に分析して、一部で好評を博す。(24日
2006年5月
連休は、コストパフォーマンスよく、都内のホテルをウェスティン→ニューオータニ→フォーシーズンズ(目白)と1拍づつ泊まり渡り。
東証さんのXBRL(XML)での決算短信開示のご紹介。
村上ファンドがシンガポール移転、というニュースを受けて、昨年来のファンドに対する規制強化の動きのまとめ
会社法施行を記念して、会社法下の転換社債の会計処理等について一連の考察。
新日本製鐵の買収防衛策について。
会社法下でのストックオプション発行の各社の対応について考察。
2006年6月
引き続き、会社法下のストックオプション処理を考察。
村上ファンド捜査報道。(2日)
報道されているような村上ファンドに対する容疑のように、インサイダー取引規制における重要事実や公開買付等の情報の発生時期が、あまりに早めに解釈されすぎるようになると、市場が経済的にうまく機能しなくなるんじゃないかと懸念。
村上ファンドの容疑について分析。
阪急・阪神の統合について考察。
ワールドカップ期間中でもあり、「インサイダー取引規制とオフサイド」のアナロジーについて考察。(26日
日銀福井総裁の村上ファンド「VIP口座」というのは、別にヘンではないんではないの?という考察。
2006年7月
北朝鮮への金融制裁の対象となったマカオの銀行の規模があまりに小さいのにびっくり。
慶応の小幡先生の「ネット株の心理学」と、株式市場の「マイクロストラクチャー」について検討。
「Death Note」と「経済犯罪の厳罰化」について考察。
村上ファンド事件が有罪になってしまうと、日本の現行法の下ではストックオプションは非常にインセンティブ制度としての運用が難しくなるんではないか、という考察。(10日
米国の「spring-loaded stock options」も考察。
新横浜プリンスのエレベータで、「ミキティー(安藤美姫)」と乗り合わせる。
日経BPさんのサイトで、ネットが浸透する経済を財務データ的に斬る、「ネット・エコノミー解体新書」という連載を開始。(おかげさまで、ネットマーケティングのコーナーで、人気ランキング1位をいただく連載になりました。)
今まであまりじっくり読んだことがなかった「電子系の法律」についての考察を開始。
2006年8月
「電子登録債権法制に関する中間試案」にツッコミ。
e-Taxにツッコミ。
wikiベースの法律関係ドキュメンテーション・プロジェクトについて妄想。
ネット・エコノミー解体新書第2回「グーグルは”広告業”ではない」が、一部クロウトの方に大うけ。
新聞(紙)の購読を終了、ネットで新聞を読むように。(これは大正解でした。)
ロシアに出かけて、世界一バブっている(世界一、ベンツが売れている)状況を目の当たりに。
飛行機の中でネットが使える「connection by boeing」を初体験するも、2006年いっぱいでサービスが終了すると知って愕然。
帝政時代のロシアの「ビジネスモデル」に思いをはせ、「毛皮交易」についての書籍をご紹介いただく。
2006年9月
自宅のFAXも廃止。(事務所のFAXは、もとから紙でなくファイル変換して受けていた。)
ネット・エコノミー解体新書(第4回) アマゾンとロングテールに関する“大きな勘違い”、も、結構反響いただきました。
社外監査役をやっております株式会社ミクシィが東証マザースに公開。(14日)
ドリームテクノロジーズについて考察。
「痴漢容疑リスク」について考察。
2006年10月
ノートパソコンに付けてる通信カードをDoCoMo M2501に変更。外出先でも最大3.6Mbps体制に。
北朝鮮核実験。
GoogleのYouTube買収に衝撃を受ける。影響を分析。
学習院マネジメントスクールのセミナーで、りそなホールディングス取締役の渡邊正太郎氏といっしょに講師をさせていただく。
島耕作(氏)、専務に昇進。
ソニーの「ロケフリ」を使ってみて、テレビの未来を妄想。
2006年11月
「エスティマ・ハイブリッド」を予約。エンジンでなく、「プログラム」が車の中心になる時代を実感。
ブログの不具合(コメント、トラックバック関係のプログラム)を一部修正。
24(Twenty-Four) シーズンVを見て寝不足に。
泊まり明けで丸の内仲通りで、速水もこみち(氏)に遭遇。
日産自動車さんから、スカイラインのブロガー向け発表会にご招待いただく。(ブログを書いている役得をちょっと実感。)
ソフトバンクのモバイル事業証券化を考察。
「小規模事業者へのブログの影響力」が、意外に反響あり。(28日
2006年12月
「知らなきゃよかったストックオプション」シリーズを企画する(も、年の瀬で結局年内に1回だけしか書かず。)
不正アクセス禁止法を考察。
日本の税務や会計業務はオフショアリングに影響されるかどうか、考察。
Winny裁判の影響か、悪夢にうなされる。(16日)
ライブドア事件ではじまった2006年を締めくくるように、日興コーディアルの会計処理問題が表面化。SPCの処理について数回にわけて検討を試みる。
新聞(紙)の購読をやめ、FAXも使うのをやめた勢いで、年賀状もブログで代替することを決意。
−−−
ちなみに、2006年の当ブログでのAmazonのアフィリエイト売上は、金額では、(恐れ多くも私のブログを引用していただいた)森・濱田松本法律事務所の松本啓二先生の「クロス・ボーダー証券取引とコーポレート・ファイナンス」(1冊4,200円と単価が高めなこともあり。)が一位。
冊数ベースでは、慶応の小幡先生の「ネット株の心理学」が一位。
これを渡辺千賀さんの「ヒューマン2.0—web新時代の働き方(かもしれない) 」が急速に追い上げてます。)
(「新書」の年だったなあ、と実感。)
(ではまた。)

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年賀状(紙)、やめてみます(ブログで代替)

年賀はがきの売れ行きが前年比7%減、ピークの04年比で15%減だそうで

年賀状 歯止め利かない発行枚数減 07年は前年比7%(12月19日 毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061219-00000015-maip-soci

私も、今年は年賀状を書くのをやめてみることにいたしました。
小学生のときは友達ごとに一枚一枚違うネタを考えて送ったりしてたんですが、社会人になって千枚もになってくると、宛名も内容も印刷にせざるを得ないですし、はがきに盛り込める情報量も、たかが知れてます。
私から年賀状を喜んでいただけるかというと・・・そういう気もあまりしません。(年賀状が届かないのを「けしからん」と思う方がいらっしゃるかどうかはさておき。)
メールで年賀状、というのも考えたのですが、欲してらっしゃらない方々に大量にメールをバラ撒くというのも、よく考えると、一種の(軽い)「スパム」ですよね。
私がmixiやgreeなどのSNSに登録させていただいている方というのは、今のところ若めの方中心で、「年賀状を出さないといけない義理のある方の集合」とあまり一致していないんですが、年賀状もSNS(+ブログや日記)で代替という人も、今年あたりからいらっしゃるんじゃないかと妄想。
ということで、今年は、「オンデマンド」という聞こえのいい名の下に、ブログの記事で年賀状を代替させていただきたいと思います。
(絶対ブログを読んでらっしゃらなさそうな方とか、とりわけ何かお伝えしたい方には、一部補完的に、はがきやメールでご挨拶させていただくことがあるかも知れません。)
(ではまた。)

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アルファブロガーを探せ2006

(徳力さんに「告知しまーす」と言ったきり、バタバタしていて遅くなりましたが、)
第1回目に恐れ多くも私も認定いただいた「アルファブロガー」投票企画ですが、今年も第3回をやってらっしゃいます。
アルファブロガーを探せ 2006 
 banner3.gif

URLは、こちら。
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=1908
2007年1月20日(土)まで投票してるそうです。
(ご参考まで。)

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会計基準激変の時代に必要とされる開示姿勢とは、どんなもんでしょ?(日興コーディアルのSPC取引を考える)

日興コーディアルグループの会長・社長が退陣することになりました。しかし、投資に関わる方々には、大きな「宿題」が残されたんじゃないかと思います。
今回の件で、マスコミの方から、
「結局、日興コーディアルのSPCは、会計上、証券等監視委員会の言うように連結すべきだったんですか?それとも、連結は必要なかったんですか?」
という質問を何件もいただきました。
今回の件は、そもそもEB債の発行日が間違っていたので、不適切な会計処理だったことは間違いないところですが、証券等監視委員会は、それだけではなく、「そもそも連結すべきだった」というご見解のようです。

発行登録追補書類の虚偽記載に係る証券取引等監視委員会からの勧告について(日興コーディアルグループ)
http://www.nikko.jp/GRP/news/2006/pdf/061219_02.pdf

もちろん、今現在は、ファンドやSPC等については連結しとけば間違いないわけですが、2004年当時、(発行日を偽装しなかったという前提で)必ず連結しないといけなかったのか、課徴金を課されたり、監理ポストに入れられるほどのことだったのか?、というと「微妙」じゃないかと思います。
ということで、今回は、「日興さんは、どういう開示をすればよかったのか」について考えてみたいと思います。
(ただし、話がややこしくなるので、EB債の発行時期がずれている問題はなかったとして、どういう会計処理が望ましかったのか?という前提で。)
そもそも会計とはどういった性質のものか
記者の方からのご質問からは、
「会計基準に従えば、企業の財務諸表の数字は、必ずたった一つの値に定まるはず。」
「そのたった一つの値から大きくはずれていたら、イコールそれは粉飾だ。」
というニュアンスを感じます。
しかし、以前も書かせていただいたとおり、会計というのは、企業活動の森羅万象を数字に落とし込もうという「写像」であって、元の事象と会計上の数字の対応は、「1対1」ではなく「1対n」の対応関係になります。つまり、もともと、「当期純利益」といった数字が、必ずピシッと一つの数字に定まる、というような性質のものではありません。
(丸い地球を2次元の地図に落としこむと、大西洋が裂けたり、グリーンランドが大きくなったり、最短距離が曲線になっちゃったり、というのと同じ。)
具体的に言うと、投資を複数年の費用に按分する「減価償却」にしても、定率法や定額法といった複数の方法が許容されており、実態としてはまったく同じ内容の投資をしたとしても、会社によって赤字になることもあれば黒字になることもあります。
もちろん、一定に定まらないから何やってもいいというわけではなくて、継続性の原則(コロコロ方針を変えるな)とか、保守主義の原則(利益は控えめに)といった基本的な考え方や、それに基づく明文の規定に従って財務諸表が作成されるわけです。
通常は、地図を使うのに3次元を2次元に落とし込むことによる不都合は感じないわけですが、問題になるのは、「大西洋の切れ目」のあたりや、「グリーンランド」あたりの処理の場合。
今回の処理の問題点
今回、NPIホールディングス(NPIH)が連結されなかったことが問題にされてますが、(不思議に思われる方もいらっしゃるかと思いますが)、その下にぶらさがっているベルシステム24も連結しろ、という話にはなっていません。
ベルシステム24は、黒字でしたので、連結すれば(当該中間期はさておき)、保有する間、利益は出ます。以前書いたとおり、評価時点での「含み」もある。
昔からの連結では、「証券会社+コールセンター」といった業種の違う財務諸表の数値を単純に足しあわせると、個々の科目の持つ意味は失われて、同業他社との比較や期間比較もわけがわからなくなるので、一次保有(キャピタルゲイン狙い)の企業については、必ずしも何でも連結すりゃいいってもんじゃない、という考え方もありました。
(エンロン事件以降、この考え方は変わって来ているわけですが、日本の2004年というのは、移り変わりの時期ではなかったかと思います。)
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2004年当時は、「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の取扱い(監査委員会報告第60号)」(平成10年12月8日、最終改正平成14年4月16日)にある、

(6) 他の会社の意思決定機関を支配していることに該当する要件を満たしていても、財務上又は営業上若しくは事業上の関係からみて他の会社の意思決定機関を支配していないことが明らかであると認められる場合(財務諸表等規則第8条第4項ただし書き)について
(中略)
� 財務諸表提出会社であるベンチャーキャピタルが営業取引としての投資育成目的で他の会社の株式を所有している場合には、支配していることに該当する要件を満たすこともあるが、その場合であっても、当該株式所有そのものが営業の目的を達成するためであり、傘下に入れる目的で行われていないことが明らかにされたときには、子会社に該当しないものとして取り扱うことができる。

という記述をもとに、ベルシステム24とSPC(NPIH)を一体として「投資育成目的」の会社として考えて連結しなかったとしても、当時は、必ずしも「絶対ダメ」ということではなかったでしょう。(オススメはしなかったと思いますが。)
少なくとも、それだけで「課徴金」とか「監理ポスト」という話ではなかったように思います。
今回、100%子会社なので、連結しないのが特にヘンな感じがするわけですが、これが有限責任中間法人にぶらさがって独立の取締役が運営するSPCだったとしても実態は同じこと。
(今回のように、証券発行の時期に偽装があるような場合でなくても)、2004年当時にさかのぼって「連結しないと粉飾だ」「監理ポスト入りだ」という話になったら困る人(悪気は無かった上場企業)というのは、結構、たくさんいそうです。
日興さんの場合、さらにここで「EB債」という裏ワザを使ってSPCの利益を吸い上げたわけですが、これも、このスキーム自体が「怪しい」というわけではないかと思います。
以前のエントリでも記載したとおり、貸し付けた資金に対して、この利益の額は6%程度なので、(特にもしSPCの運営が完全に本体から切り離されていた場合には)、リスクに見合った手数料の範囲の話かと思います。
(つまり、[今回は100%子会社で役員も兼務していたし資金のリスクもほとんどNPIが負っていたようですので、あまり説得力はないですが]、独立性のあるSPCに対して資金を貸し付ける場合、[それが会計上連結されるかどうか収益の実現を認識していいかどうかはさておき]、法律上、”取り分”を確定させる手法としてはありうるかと思います。)
すなわち、(今回の日興さんのケースは、そもそも債券の発行タイミングを偽装していたので明らかに不適切な処理であったことは間違いないわけですが)、「SPCを連結しなかったこと自体」とか「EB債自体」といった今回の個々の要素自体アカン、ということになると、当時、それで今とタイミングが違うことになる処理を行っていた会社の経営者や監査法人のパートナーの方は、年末年始から、夜も眠れないことになっちゃいます。
そういった個々の行為は、必ずしも「粉飾」に該当しない可能性もありえると思います。
会計の考え方が変化する世界で、我々はどうすればいいか?
前述のとおり、会計というのは、「あらゆる経済行為を、それぞれたった一つの数値に落とし込む写像」ではないですし、会計に対する考え方というのも、時代を追って激変しています。
こういった、明確な会計基準の変更が公表されない段階で、継続性の原則に従って従来どおりの考え方に従った会計処理をするのか、別の考え方を取り入れるのかというのは、なかなか難しい判断だと思います。
そういう状況におかれた場合に、まじめな開示を目指す「よい子のみなさん」は、いったいどうすべきでしょうか?
考え方として、「誠心誠意開示する」:-)、というのはどうでしょう。
つまり、日興さんが、(EB債発行タイミングの偽装がなかったという前提で)今回と同じ処理をして、まったく同じ利益を計上していたとしても、たとえば、
「当社は、当社傘下に入れる目的でない企業の投資育成に利用されるSPC(特別目的会社)については連結範囲に含めないこととしておりますが、今回、連結子会社である日興プリンシパル・インベストメンツ株式会社(以下「NPI」といいます。)と連結対象外であるSPCであるNPIホールディングス(以下「NPIH」といいます。)との間で、後記要項のとおり、ベルシステム24の株式を目的とする他社株券償還特約付債券(以下、「EB債」といいます。)を発行しており、社債券(帳簿価格○○○億円)の償還を受ける代わりにベルシステム24の株式(平成16年9月30日の東京証券取引所の終値○○円で評価した時価○○○億円)での償還を受けております。
このため、NPIHを連結した場合に比べて、経常利益が○○○億円、当期純利益が○○○億円増加しております。」
というような内容を詳細に開示していたとしたら、課徴金とか監理ポスト入り、というような話になったでしょうか?
同じことをライブドアで問題になった、「自社株をファンドに持たせて、株式分割で値段が上がったものを市場で売却して売却<u>額を売上に計上する。」という方法に適用したらどうでしょう。
上記のような「誠意ある」開示をしたら、「そりゃ、明らかに、総額が売上に計上されるんじゃなくて、キャピタルゲインをその他資本剰余金に計上すべきじゃん!」というバッシングの嵐になるのが見えていたわけです。
ということで、「人に言えない取引」「人に言える取引」があるわけですが、今度の日興さんの取引は、「人に言える取引」だった気もします。
(でも、詳細に開示しなかった、ということは、やはり何らかヤマシイ目的があったと思われてもしょうがないんでしょうね。)
(ではまた。)

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