「もしアメリカ大陸がなかったら」

アメリカの金融危機という現象を人類の歴史の中でどう考えたらいいかということは、今、世界中のみなさんが考えていらっしゃることではないかと思いますが、私もそれに関連して、この一週間「もしアメリカ大陸がなかったら」ということを、つらつら考えておりました。
(「歴史でifを考える」ことほどアホなことはないかと思いますが、加えて「地理でもifを考える」という大アホなお話ではありますが、ご容赦を。)
「現実の世界」では、1492年にコロンブスがアメリカ大陸を「発見」して、その後、大航海時代に入るわけですが、放送大学「ヨーロッパの歴史(’05)」第14回「大航海時代と世界経済」によると、アメリカ大陸との行き来における船の損傷率が5%程度であったのに対し、アジアとの貿易での船の損傷率は25%にも上り、しかも、アメリカとの往復は1年程度で済むのに対して、アジアとの往復は2年以上を要したとのこと。
つまり、アメリカとの貿易のIRR(収益率)は、アジアに比べて遥かに高かったはず。逆に、「東インド」との交易は大変リスキーであったので、船員を集めるのにも苦労した。
また実際、大航海時代の到来によって、長期的に見るとヴェネチアやフィレンツェなどが行っていた中東経由の東方貿易は衰退して行くわけですが、これは大航海時代への突入直後に衰退したのではなく、アメリカ大陸発見の後もしばらく伸び続けて絶頂を迎えることになったとのことであります。

続きを読む

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

「パンデミック」対応

上場企業などでも「パンデミック」対応を取るところが増えてようで、私も対策してみました。
鳥インフルエンザは、(人間の死者がすでに出てるようですが)、まだ「ヒト→ヒト」の感染は確認されてないと思いますので、ホントに「パンデミック」といった事態になるかどうかは私にはよくわかりませんが、私ごときがよくわかった段階では対策しても遅い可能性があるので、一応。
まず、昨年12月に、米や水その他の食料、燃料などは2週間分弱ほど備蓄。これは、先入れ先出しで使って行けばいいので、数万円程度の初期投資は必要ですが、長期的には余分なコストということでもないかと思います。
ついで、マスク、ゴーグル類をAmazonで購入してみまして、年末年始で届きました。
 
大人向けには、これ。

 
子供向けには、これ。

インフルエンザ・ウイルスだと、鼻・口だけでなく、目の粘膜などからも感染するから「ゴーグルも必須」と言われたので、下記のゴーグルも買ってみました。

「タミフル」やワクチンなどは、どこに行けば手に入るのかよくわからんので、とりあえずパス。
 
本当に、パンデミックてな状況になったら、そもそも外出するの自体やめた方がいいでしょうし、家族に患者が出たりしたら、どうしようもない。
困るのは「中途半端に流行っている段階で外出しないわけにもいかない状況」ですが、まあ、感染する可能性をゼロに近づけようとしたら映画でよく見る宇宙服みたいのを着ないといかんわけで、そもそも上記程度の装備じゃどうしようもないと思います。
接触感染もするはずなので、以前より、

  • エレベータのボタンや電車のつり革など、不特定多数の人が接触する場所には手を触れない、

  • 触れた場合には手洗いを行う、
  • よく手洗いした直後以外、手で、目などの粘膜部分を触らない。

などを励行するようにしておりまして、(それまでは子供の頃から必ず毎年ひどい風邪を1回は引いていたのが)、それをやりはじめてからめっきり風邪を引かなくはなりました。(つまり、個人的には、既存の風邪やインフルエンザに関しては、鼻や口より「手」から感染してたほうが多い気がします。)
が、なにせ相手は「ウイルス」ですから、どっからどうやって体内に入るかはわからない。
自分や家族の免疫力を信じたいところではありますが、新大陸にヨーロッパ人が病原菌を持ち込んで先住民がほとんど死滅したように、まったく新しい病原体だったら防ぎようもないかと思います。
日本で仮に100万人の方が亡くなるとしても、99%は死なないわけですから、最後は「生き残る方に入りますように」、と祈るしかない。
・・・・でも、何も無いよりは何かの際にいくらかはましかな、ということで。
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

「うごメモはてな」、すごい!

不勉強にも本日まで全くノーマークでしたが、昨年末に登場した「うごメモはてな」が、なんかものすごいスピードで成長してるようで。
 
pic2.gif
 
「うちの子供(中1、小5)は、ニンテンドーDSiショップなんてアクセスしてないから、使ってないと思いますよ。」
と断言して家に帰って来たら、ちゃっかりもう使いまくってやんの。
「タダでダウンロードできるアプリがこれだけだったから。」
だそうです。
小5の次男でも、「おおっ!」というようなパラパラまんがを作っててビックリ。
パソコンのお絵描きソフトでこれだけのものを作れるようになるまでには、相当なハードルがあると思うのですが・・・すごいハードルの低さ・・・。
さすがニンテンドーDSi・・・。
今まで、高校生がネット上のコミュニティに参加するのすら物議をかもしていたのに、一挙に小学生レベルまでが参加する大コミュニティが一瞬にしてできあがったというのは、(いいか悪いかの評価は今後定まって行くとして)ネット史上に残るできごとですね。
オフィシャル作品以外に、お忍びで「あの巨匠」や「あの巨匠」も投稿されてたりして、各界の注目も急速に集めつつある模様・・・。
通報のしくみがうまく機能するのか?とか、子供が危険にさらされることはないか?とか、テキストと違って画像はフィルタリングが技術的に難しそうだなあ、とか、サポートのマンパワーや帯域のコストは大丈夫かしらん?とか・・・・いろいろ心配すればキリがないですが、ともかく、ひさびさに「おおっ!」とうなる、この不景気下で景気のいい話なので、
・・・サービスが健やかに成長することをお祈り申し上げます。
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

アルファブロガー・アワード2008:ブログ記事大賞

pic1.gif
 
今年の「アルファブロガー・アワード」は、趣向を変えて「どのブログ?」ではなく「どの記事がよかったか?」で選ぶとのこと。

2008年に書かれたブログ記事のうち、最も「感心した」「笑った」「泣いた」「勉強になった」「考えさせられた」など、印象に残ったものを1〜3本選んで、推薦してください。

うーん。ブログ単位で「ちょっと面白いねー」というのはわりと簡単かと思いますが、記事単位まで絞り込むというのは、ちょっぴし思考を要求されますねえ。
(一つのブログで、年間数百からの記事になるので・・・・。こういうときに、ソーシャル・ブックマークとかちゃんとやってる人[私は含まれません・・・]は強い・・・。)
でも、よろしかったら、(もちろん、私のブログの記事でなくても結構ですので)下記から投稿してみてください。
(私も、今からちょっと考えてみます。)
http://alphabloggers.com/
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

Wikimedia財団への「寄付」、その後

Wikipediaなどを運営するWikimedia財団へ「寄付」したことについて11月に書きましたが、その後の状況。
みなさんも、Wikipediaを検索するたびに、画面上部に「寄付の目標6百万ドルのうち、まだ350万ドル」といった表示をご覧になっていたかと思います。私も、このサブプライム危機の昨今、ちゃんと寄付が集まるのかしらん?と思って他人事ながらハラハラしながら見ていたのですが、何とか6百万ドル集まったようで、現在では、「感謝の言葉 ウィキペディア創設者ジミー・ウェールズより」という文書のバナーが掲示されてます。
 

7月1日以来、12万5千人以上の人々から400万ドルのご寄付がありました。加えて高額な贈与と様々な財団からのサポートが合計で200万ドルありました。これらの収入の合計により、私たちの今会計年度(2009年6月30日まで)の運営費用を賄うことができそうです。

 
上記から、財団からのサポートや「高額」な寄付を除いた400万ドルの寄付の平均寄付額は、1人あたり32ドル弱、ということがわかります。
非常に細かく分散された寄付によって成り立っているというわけですね。
これに対して、本日現在の「Benefactors」一覧(日本語版は掲載人数が少なくて最新でない可能性があるので英語版)
http://wikimediafoundation.org/wiki/Donate/Benefactors/en
を見ると、

  • Major benefactors ($50,000 or more)が5名。
  • Patrons ($15,000 to $49,999)が2名。
  • Leading donors ($5000 to $14,999)が17名。
  • Sustaining donors ($1000 to $4999)が103名。
  • 現物での寄付が4社から。

となってます。
つまり、(たった)1000ドルの寄付をするだけで、Wikimediaの12万5千人のBenefactorsのうち、ベスト100ちょっとに入ってしまうわけです。
日本語のページ
http://wikimediafoundation.org/wiki/Donate/Benefactors/ja
だともうちょっとわかりやすいですが、日本人っぽい名前として、

  • コヤマ・リュウスケ

  • 伊藤穣一
  • モトヒサ・オオノ

さんらと並んで、「磯崎哲也」の名前もちゃんと表示されてます。
大野(id:mohno)さんは、前の記事のはてなブックマーク
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.tez.com/blog/archives/001246.html
で、

wikipedia は“まわっている”方だと思いますが、つい追従しちゃいましたよ。/まあ、広告効果はないでしょう。:-)

というコメントをしていただいてましたが、確かにちゃんと名前が載ってらっしゃいますね。

ちなみに、この寄付の受付や寄付者の表示、ジミー・ウェールズ氏のあいさつなどは、「Wikipedia」ドメインではなく、「wikimediafoundation.org」ドメインになっているので、wikipediaの膨大なトラフィックに埋もれることなく、寄付関係のアクセスだけがざっくりとは推測できます。
alexaで見てみると、
wikimedia_alexa.gif
といった感じになっておりまして、この寄付のキャンペーンが始まって以降の2ヶ月程度は、日本のネットで100位に入るメディアであるITmediaさんと同程度のトラフィックが得られていることがわかります。
実際に、この寄付者のページにアクセスする人が、wikimediafoundation.orgにアクセスする人全体の数%だとしても、ITmedia全体の同%分の広告を2ヶ月間掲載することに比べたら、1000ドルは「広告費」としても高すぎるとは必ずしも言えない(支払われる金銭に対して経済的対価がほとんどない、とは言えない)のは確実ではないかと思われます。
(税務当局に損金算入を認めていただけるかどうかはさておき。:-)
ジミー・ウェールズ氏ではないですが、Executive DirectorのSue Gardnerさんという方から手書きサイン入りの感謝レターもいただきました。:-)
Image.JPG
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

「デジタルネイティブ 次代を変える若者たちの肖像」(NHK出版)

私もちらっとインタビュー映像をのせていただいたNHKスペシャルの「デジタルネイティブ」ですが、書籍版が出たとのことで、NHK出版さんから送っていただきました。
どうもありがとうございます。

デジタルネイティブ 次代を変える若者たちの肖像
三村 忠史
日本放送出版協会
売り上げランキング: 92411

 
(以前書いた番組のご紹介記事はこちら
テレビ版では、私は、「はてなの近藤さんがカネにこだわらないことにびっくりする旧世代のおっさん」、という役どころになっておりましたが、書籍版ではそれ以外のコメントもちゃんと載せていただいてます。

磯崎さんが興味深い指摘をしている。

「近藤さんの考え方というのは、新しい側面があると同時に、昔の起業家のメンタリティと非常にマッチするところもあるんじゃないかなと思います。職人肌というか、昔の日本人って、自分の資産をいかに形成するかということだけを考えていたわけじゃなくて、自分の好きなことをとことんまで追求していた。本田宗一郎さんが、自分の資産を増やしたいと思って会社をおこしたとは思えません。バブルの時期ぐらいからどんどん拝金主義が蔓延していったけれど、一周グルッと回って、それがもとの感覚に戻ってきたという面もあると思います」
(73ページ)

 
私としてはどちらかというとこちらのコメントの方を強調したかったのですが、
(それだと「デジタルネイティブが旧世代の人間とは大きく異なる」という番組の趣旨がわかりにくくなるので、テレビでは放送しなくて正解だったかも知れませんけど。)
さらに言えば、「昔の起業家」に限らず、起業家が「カネ」を追求するため(だけ)に起業するということは少ないし、そういう人は実はあんまり成功しないんじゃないかとも思います。
日本のマスコミで「拝金主義」とか「額に汗しない」と揶揄されるようなベンチャー経営者の方々も、実は、もしかするとそんなに「カネ」だけが欲しくて事業をやっているわけじゃないと思うんですよね。
逆に、本当に世の中を変えるような「イノベーション」といったレベルのことまでやろうとするには、「自分が食えればいい」「自分が好きなことができればそれでいい」ということでは困るわけで、自社の企業価値(=カネ)がいかに増えるか、ということを真剣に考える経営者でないと困るわけですが、よくも悪くもそういう人は日本には少ない。
「イノベーションと言えるようなことをやる企業は企業価値が上がる」ということは成り立つけど、「企業価値(カネ)を増やそうとしたらイノベーションが必ず発生する」かというとそうではない。逆は真ならず、というところかと思います。
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

放送大学 地デジ化のインパクト

前回に引き続き、放送大学のお話を。
前のエントリでインタビューしていただいた産経新聞の方が総務省ご担当だったので、
「地デジ化というのは、放送大学を他の地上波局と同等にすることによって、他の放送局と日本人全体の知的レベルを飛躍的に人工進化させるために総務省と文部科学省が画策したインボー(セカンド・インパクト)ということはないでしょうか?」
と伺ったら、
「たぶん・・・・・そういったことは全く考えてないと思いますけど・・・」
というお返事でした・・・・・・・が、それはさておき。
 
放送大学で昨年末、岡部洋一副学長と宮田英里アナの「大学の窓『世界の仲間たち〜遠隔教育の現状〜』」という紹介コーナーが流れてましたが、これが、世界の中での放送大学という大学/放送局の位置付け(特異性)をよく表してるんじゃないかと思います。
各国の大学の取り組みとしては、

イギリス:オープン・ユニバーシティ
フランス:国立遠隔教育センター
アメリカ:メリーランド大学カレッジ
    :フェニックス大学
南アフリカ:南アフリカ大学
タンザニア:タンザニア公開大学
中国:中央広播電視大学+各省ごとに数十の公開大学
タイ:スコタイ・タマチラート大学
インド:国立インディラ・ガンジー公開大学
韓国:韓国放送通信大学校

などがあって、
岡部副学長によると、世界の遠隔教育のキーワードは、やはり「英語」である、と。
英語であればコンテンツとして世界に売れることから、英語圏の大学はこれに早くから気づいて、インターネットでの教育にいち早く取り組んで来た。英語圏以外の国では、教育のコンテンツを自分で作る能力が足りないことに加えて、英語の能力を高めたいという国策的なことがあるので、英語の教育コンテンツ全盛になっている。
また、放送大学は9月に韓国放送通信大学校と協定を結んだが、韓国は24時間英語教育をやっている一方で、英語からは比較的独立して自分でコンテンツを作る能力もあるので、他のアジアの国とは違った様相である。20代30代のビジネスマンが多く入学して来ていることにびっくりした、とのこと。
(ということは、現在の放送大学は、おじいちゃんおばあちゃんが公民館のカルチャースクールに行くのと同じニーズ(もちろん、それもすばらしいことです)が中心である、ということなんではないかと思います。)
授業を送るメディアとしては、今やインターネットが圧倒的で、放送の利用は非常に少ない、ということもおっしゃってました。
英国の「オープン・ユニバーシティ」ですら、BBCの枠の一部を借りているにすぎないため、たくさんの講義を流せない。韓国も、教育テレビの枠の一部しかもらっていない。このため、自ずとインターネットに向かわざるを得なかった。
日本の放送大学は逆で、最初から放送免許を持っていたが、インターネット化については遅れていた。現在、ラジオ放送分についてはすでに全部インターネットで流し始めており、テレビのコンテンツも今後どんどんネットで流すようにする。・・・とのこと。
以上のように、放送大学というのは、地上波テレビの放送局免許を持つ世界で唯一の大学ということのようです。
つまり、ホリエモン氏も三木谷氏も世界の他の大学もできなかったことが、はじめからeラーニングの世界でできちゃってる(逆にインターネットへの取り組みが非常にショボい)ということになっているということかと思います。
他の地上波テレビ局の経営に対する影響
私、お恥ずかしながら、今までテレビで見る番組と言えば、バラエティとかお笑い番組がかなりの比率を占めていたんですが、昨年地デジにしてから放送大学が8割くらいになっちゃいまいました。
前回のエントリでも申しました通り、茂木健一郎氏がいう、「脳はアハ!体験を喜ぶ」という話が本当だとすると、放送大学の授業は、NHKや民放のコンテンツよりはるかに「アハ!」度が高い。
いつも難しい本を読んでいる特殊な人が放送大学を見始めるというのではなく、流行の教養バラエティを見ている層の人が、放送大学視聴にシフトする率はそこそこあるような気がします。
今、放送大学の視聴率は測定されているのかどうか存じませんし、測定されていてもかなり低いのではないかと思いますが、今後、5%くらいの視聴率を取る番組が出て来たら、すごいなあと。
放送大学のホームページで放送大学の年間予算が見当たらないのですが、ネットで検索すると、80億円くらいの桁の数字が出てきました。(財務諸表が見当たらないので、総事業費なのか経費から授業料等を差し引いた国庫の負担金額部分のみなのか、よくわかりませんが)。
また放送大学は、(インターネット化をちゃんと行えばあまり必要ない気もしますが)、全国の各都道府県に50以上の学習センターや図書館などの膨大な「箱もの」も保有してます。
(追記:はてブでid:foodsfooさんにご指摘いただきましたが、施設と言っても普通の大学を間借りしてるものも多いようです。でも、担当者が各1人しかいなくて経費が賃料その他合計で平均1ヶ月100万円しかかからないとしても、50カ所で年間6億円。国の予算と考えれば非常に小さいですが、情報伝達コストと考えてWikipediaの年間予算にも該当すると思うと、安いような高いような・・・。)
その分の運営費用を差し引くと、コンテンツ作成費用にかけているコストは、他のテレビ局に比べて、めちゃくちゃ少なそうですね。
おそらく、テレビ東京の10分の1くらいのコスト構造なのかも知れません。
個人的には、「箱もの」等にかけているコストをインターネットに回すとともに、NHKは教育テレビのチャンネルを放送大学にあげちゃって、学科(特にビジネス周りの社会科学系)を増やしていただけるとありがたいという気がいたします。
インターネット化も、自前でしこしこサーバを増強したりしてないで、YouTubeと提携するとかしちゃった方が、コストも小さく、かつ、世界的なインパクトははるかにデカいと思います。
大学経営への影響
普通の大学というのは、実際にどんな授業をやってるのかは外からは伺い知れないので、経営においては「ブランド」が重要だったし、これからもブランドは重要な要素であり続けるとは思います。
しかし、学生が入学した後に、
「うちの先生・授業って、(放送大学の授業に比べて)レベル低いんじゃないか」
と気がつかれてしまう度合いは大きく増すでしょうね。
また、放送大学の講師は専任の先生だけでなく他の大学の先生も多いので、「あの先生に学んでみたい」という、「教授のショールーム」としての機能が増すかも知れません。
eラーニングビジネスへの影響
90年代の終わりから、いろんなeラーニングビジネスを見てきましたが、基本的に儲かっている例はほとんどない。ネット上では、他のコンテンツとの圧倒的な差別化をはかれない限り、超過利潤が生まれるわけもないので、eラーニングというのは成立しないのかなあ、と思っていたら、ソフトバンクさんがはじめた「サイバー大学」は、かなり成功してらっしゃるようで。
ただ「学ぶ」のではなく「学位が取れる」というのは、超過利潤を発生させる要素なのかも知れません。
今は学部の内容がかなり異なっているのであまり影響がないのかも知れませんが、放送大学が今後、提供する学問領域を広げるようなことになると、地上波という圧倒的なパワーによってネットの大学に対する「民業圧迫」ということになる可能性もなきにしもあらずかと思います。
女子アナ界への影響
民放キー局の女子アナを目指すような人は、今までであれば「放送大学の女子アナになろう」なんて思いもしなかったと思いますが、放送大学はなんせ「全国放送」ですので(追記:失礼、CSのスカパーはありますが、地上波は関東圏だけのようですね・・・失礼しました。全国展開の予定はないんでしょうか。)、地デジへの移行が進むと、(放送大学の放送の大半は教授がしゃべってるだけですので、女子アナの出番は非常に限られてはいますが)、全国的な露出の面では地方局の女子アナなんかよりはるかに高くなる可能性もあると思われます。
今回、「大学の窓」を見て宮田英里アナファンになっちゃったのですが、今後も、(放送大学側に採用する気があればですが)キー局並みにお美しい方々が女子アナを勤める可能性もあるかと。
「まず(きれいな若い)女性を引き込む」というのはマーケティングの基本中の基本でして、放送大学が「あこがれの職場」になれば現場のスタッフも出演する先生方のインセンティブも格段に上がってくるはずなのであります。
他の「知識階級」への影響
新聞や雑誌やテレビの記者というのは日本のインテリ層であって、少なくとも今までは国民との間に(時事においても教養においても)圧倒的な情報格差があったのではないかと思います。
しかし、放送大学へのリーチが国民全体で50%を超えてくるようなことになると、(時事について単純に取材した内容をそのまま書く記事はともかく)、社説をはじめとする意見が加わる記事においては、無教養で見識の無いことがバレてしまうリスクが格段に高まっちゃうんじゃないかと思われます。
もちろん、放送大学は他のテレビや新聞のように、広告モデルやサブスクリプションモデルではないので、こうした変化が仮におこったとしても、それがキャッシュフローの面から経営上の影響を与えるということがすぐにおこるわけではないはず。
ただし、中世ヨーロッパの教会がスコラ学や大学といったもので知的武装したように、「権力」は「知」の権威を味方につけている必要があるわけで、こうした「知」のあり方の急激な変化が起こるとすると、それは必然的に権力構造を変化させることになるんではないかとも思います。
国家の「言語戦略」と放送大学モデル
こうして見ると、放送用の電波というのは、まさに公共財的な「教育」にこそ向いているという気もしてきます。
特定の周波数帯を特定の放送局が利権としておさえてバラエティ番組を流して広告収入を得ることに使う必然性もないし、残念ながらNHKの教育テレビがあまり国民の知的レベル向上に役立ってる感じもしないし、民間でやると「日本教育テレビ」というビジネスモデルはいつの間にか「テレビ朝日」になっちゃうのであります。
そして、こうした放送大学によって引き起こされる現象が仮に今後起こるとしても、それは日本でしか起こらないはず。(なぜなら、高等教育機関が地上波を持っているのは日本だけだから。)
世界の国では、自国語での大学・大学院教育がどんどん絶滅していっており、ほとんどの国の高等教育は英語に席巻されていっているとのことですが、仮に「地上波で無料で高等教育コンテンツを流す」というモデルが成功したら、世界の他の国でも、地上波を高等教育に割り当てるところが出てくるやも知れません。
また、インターネットも含めて、優良な教育コンテンツを無料で世界にバラまくというのは、その国の言語を守る、またはより積極的に繁栄させる、ためには極めて効果の高い戦略になるやも知れません。
教育関係者の発想だと、すぐ「日本”語”教育を世界に普及させる」てなことを考えると思うのですが、日本語を学びたいから日本語を学ぶわけではなくて、「マンガをいち早く原語で読みたいから日本語を学ぶ」といった「目的ありき」で、言語を学ぶ意欲が生まれるわけですから。
(実際、日テレ系の「笑ってコラえて!」という番組で、世界の日本語学校を訪ねるという企画があるのですが、どの国でも、日本語学科にいる学生が日本語を学びたいと思ったきっかけを尋ねると、圧倒的に「マンガ」「アニメ」です。)
「コンテンツばらまき戦略をとれば、日本語が世界共通言語になるかも」とは全く思いませんが、フランス語やスペイン語の戦略としては、十分ありえるような気もします。
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

『アルファブロガーに聞く「ブログの未来」』

産経新聞さんに取材いただいて、3日の産経ニュースで、「ブログの未来」について語らせていただいております。
アルファブロガーに聞く「ブログの未来」(中)磯崎哲也事務所 磯崎哲也代表
http://sankei.jp.msn.com/economy/it/090103/its0901030801000-n1.htm
 
私の昨今の感想は、下記の部分に集約されるのですが、

−−ブログ以外で注目しているメディアはあるか

 「放送大学が面白い。放送大学の講義には、ブログのような面白さがある。民放キー局の番組は編集がうまく、加工の面白さがある。それに対し、放送大学の番組は、研究者による講義をそのまま流すような形だが、生の素材が伝わってくる、あいだに編集者が入らない面白さはブログに通じるものがある。さらに、ある学問分野について最先端の研究をしている人が話すので、内容の質が非常に高い。地上デジタル放送が始まり、映像がとても鮮明になり見やすくもなった。場合によっては、今後の民放の経営にも影響を与えかねない面白さがあると思っている」

 
日本のテレビやブログはそれなりにかなり面白いと思っていたのですが、昨年から(私が)地デジに移行した結果、放送大学という世界に類を見ないメディアに出会ってしまって、その面白さに比べると、どちらもかなり見劣りしてしまいまして。結果、メディアを視聴する時間もテレビやウェブや新聞より、圧倒的に放送大学が占めるようになってしまいました。(ちゃんと計測してないですが、体感として全メディアからの情報取得のうち8割くらいの時間が放送大学になっちゃった感じ。)
前にも申しましたが、テレビ局が1番組に1千万円単位の金をかけても、それに関わる膨大な人数の人件費の時間あたり単価で割ると、番組にかけられる時間というのは非常に限られます。いわんや主に個人で書いてるブログをや、でして。
それらが、十年、二十年という研究をしてきた第一線級の方の成果を1コマ45分に凝縮した放送大学の授業にかなう方が不思議であります。
テレビの放送時間に占めるクイズ番組の割合がここ数年、爆発的に増えて来ているようですが、これも、(はやりの茂木健一郎氏的にいうと)脳が「aha!」と思うことやビックリすることを求めているからじゃないかと思います。
放送大学の授業は「aha!」の連続なので、日本国民全員とは言わないまでも、20%、30%程度の人は、知的刺激を求めて放送大学にシフトしちゃうポテンシャルがあるような気もします。
結果として、私が人様のブログを読む時間が短くなるだけでなく、自分がブログで書く内容についても「なんだかなあ」という気がして、筆が止まってしまう昨今であります。
 
ちなみに、アルファブロガーに聞く「ブログの未来」は、1月2日がアジャイルメディア・ネットワーク(AMN)の徳力さん、4日がは小飼弾さんの記事になります。
アルファブロガーに聞く「ブログの未来」(上)アジャイルメディア・ネットワーク 徳力基彦取締役
http://sankei.jp.msn.com/economy/it/090102/its0901020801000-n1.htm
アルファブロガーに聞く「ブログの未来」(下)ディーエイエヌ 小飼弾代表取締役
http://sankei.jp.msn.com/economy/it/081227/its0812270019000-n1.htm
ご参考まで。
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

明けましておめでとうございます (2009年、年賀ブログ)

明けましておめでとうございます。
(資源節約のため、一昨年から紙の年賀状はやめて「ブログで年賀状」とさせていただいております。
 年賀コメント、トラックバック、歓迎いたします。)
何か書こうかと思ったのですが、今からちょっと外出しますので、いろいろ書くのはまた後ほどとさせていただきまして、取り急ぎ。
本年も、何卒よろしくお願い申し上げます。
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。