「デジタルネイティブ 次代を変える若者たちの肖像」(NHK出版)

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私もちらっとインタビュー映像をのせていただいたNHKスペシャルの「デジタルネイティブ」ですが、書籍版が出たとのことで、NHK出版さんから送っていただきました。
どうもありがとうございます。

デジタルネイティブ 次代を変える若者たちの肖像
三村 忠史
日本放送出版協会
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(以前書いた番組のご紹介記事はこちら
テレビ版では、私は、「はてなの近藤さんがカネにこだわらないことにびっくりする旧世代のおっさん」、という役どころになっておりましたが、書籍版ではそれ以外のコメントもちゃんと載せていただいてます。

磯崎さんが興味深い指摘をしている。

「近藤さんの考え方というのは、新しい側面があると同時に、昔の起業家のメンタリティと非常にマッチするところもあるんじゃないかなと思います。職人肌というか、昔の日本人って、自分の資産をいかに形成するかということだけを考えていたわけじゃなくて、自分の好きなことをとことんまで追求していた。本田宗一郎さんが、自分の資産を増やしたいと思って会社をおこしたとは思えません。バブルの時期ぐらいからどんどん拝金主義が蔓延していったけれど、一周グルッと回って、それがもとの感覚に戻ってきたという面もあると思います」
(73ページ)

 
私としてはどちらかというとこちらのコメントの方を強調したかったのですが、
(それだと「デジタルネイティブが旧世代の人間とは大きく異なる」という番組の趣旨がわかりにくくなるので、テレビでは放送しなくて正解だったかも知れませんけど。)
さらに言えば、「昔の起業家」に限らず、起業家が「カネ」を追求するため(だけ)に起業するということは少ないし、そういう人は実はあんまり成功しないんじゃないかとも思います。
日本のマスコミで「拝金主義」とか「額に汗しない」と揶揄されるようなベンチャー経営者の方々も、実は、もしかするとそんなに「カネ」だけが欲しくて事業をやっているわけじゃないと思うんですよね。
逆に、本当に世の中を変えるような「イノベーション」といったレベルのことまでやろうとするには、「自分が食えればいい」「自分が好きなことができればそれでいい」ということでは困るわけで、自社の企業価値(=カネ)がいかに増えるか、ということを真剣に考える経営者でないと困るわけですが、よくも悪くもそういう人は日本には少ない。
「イノベーションと言えるようなことをやる企業は企業価値が上がる」ということは成り立つけど、「企業価値(カネ)を増やそうとしたらイノベーションが必ず発生する」かというとそうではない。逆は真ならず、というところかと思います。
(ではまた。)

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