アナロジー (メールと手紙)

blogは、blogを知らない人に対してよく「日記のようなもの」とたとえて説明されますが、これは当たっているとも言えるし当たっていないとも言えます。
これは、今や非常に当たり前になってしまった電子メールの例で考えるとわかりやすいかと。
電子メールは、当然、「手紙のようなもの」というたとえになるわけですが、手紙を年間2000通書く人がいたら、かなり変わった人かと思いますが、メールを年間2000通書く人は今や普通かと思います。
本日(2004/03/21)の日経朝刊7ページの記事によると、
博報堂は十—三十歳代の携帯電話の利用状況に関する調査をまとめた。
高校生で一日に携帯電話でメールを十件以上発信する人が四一・〇%に達するなど、中学生から大学生は通話よりもメールの利用頻度が大幅に高い。(中略)
高校生は携帯電話で電話を一日に十件以上かけるのは六・〇%。大学生は一日にメール十件以上が三四・九%に対し、通話十件以上は四・四%など、メールの利用数の多さが目立つ。三十代の社会人になるとメール、通話とも一日十件以上は六—七%程度など、両機能の利用頻度はほぼ同程度になる。

とのこと。
高校生では年間1000通以下というのはめずらしい部類に入りつつあるということですね。大人でも、メーリングリストなどで発言している人は、延べ宛先分で考えると、数回発言しただけで1000通を上回ってしまう可能性があります。
ちなみに、私は10年前までは手紙というのを年間数十通くらいしか書かない筆不精男でしたが、メールだと年間何千通も書くようになりました。
ということは、今まで日記もほとんど三日坊主で終わってましたが、blogは続く可能性がある・・・・でしょうか?
ではまた。

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決算公告いろいろ

(本日も、野村系投資会社が西武・そごうに50%超出資とか、マネックス・日興ビーンズが統合とか、いろいろおもしろい記事があるにもかかわらず、それをさしおいて地味なネタで恐縮ですが)、
本日は決算公告について。
株式会社は定時株主総会での決算承認後に貸借対照表等を公告しなくてはなりません。
実際に非公開の株式会社では公告を行っていない会社がかなり多いと思いますが、これは実は100万円以下の過料に科せられる可能性があります。(商法498条�)
次に多いのは官報かと思います。だいたい、資本金1億円以下の小会社の小さな決算公告で6万円くらいします。
公開会社になると、たいてい日経新聞に公告を載せていますね。
http://ir.nikkei.co.jp/koukoku_search.asp(←これ、便利です。)
商法改正で現在ではホームページに掲載するという方法も使えます。(これならコストゼロ。商法283条�、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第16条�)
本日の日経朝刊(9面)に、日経QUICK、日経メディアマーケティング2社の公告が載ってました。それぞれ、資本金3億円、2千万円の会社で非公開ですが、やはり日経の関連会社は日経に公告するわけですね。:-)
(ではまた。)

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ベンチャーの資金集めと証券取引法

3月6日に「誰がベンチャーを助けてくれるの?」日本の未公開株市場の構造で、日本の法律は証券会社以外が増資の手助けをする事業を行うことを基本的に認めておらず、これに違反した場合には、懲役を含むかなり重い罪が待っている、ということについてコメントさせていただきました。
本日(3月19日)の日経16面「投資ファンドの実力」で、バイオ系ベンチャーの資金集めにVCが非常によく協力してくれたという話が載っています。いい話ですし、VCが他のVCを誘ってco-investする、ということは実務上は非常によく行われることですが、これは、先の証券取引法の規定に照らして適法でしょうか?
証券取引法第2条(定義)第8項を読み返してみると、
この法律において「証券業」とは、銀行(略)その他政令で定める金融機関以外の者が次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。
(中略)
6.有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募の取扱い

となってます。
例えば、増資を考えている有望なベンチャー企業があるというので、ボランティア的にその会社の社長を投資家に紹介してあげた、というのであれば、「有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募の取扱い」にもあたらないと思いますし、証券取引法がいう「営業」が「営利目的のために反覆継続的に行うこと」であるとすると、「営業」にもあたらない気がしますので、かなりセーフかと思います。(ここまで禁じたら、ベンチャーはどうやって資金集めをすればいいんだ?ということになります。)
ただ、上述の新聞記事では、
「(バイオベンチャーの)A社長に会わないまま(VCの)K氏の説明で出資を決めた投資家もいたという。」
てなことが書いてありまして、こう言ってしまうと、単なる「会社や経営者の紹介」ではなく、「有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募の取扱い」に該当する可能性が高まってしまいます。

(追記:2005/7/7)本日、この「K氏」とお会いする機会がありまして、いろいろバイオ業界への投資についてお話をお聞きできて大変勉強になりました。新聞記事には書いてありませんでしたが、K氏はこの会社の役員をされておられた、とのことなので、上記のケースは問題ない、ということになります。(失礼いたしました。>Kさん)

VCは他のVC等の投資家を紹介してくれても、その会社自体がうまくいけばキャピタルゲインで潤うので、VCは資金集めでフィーを取らないことも多いです。これであれば「営業」には該当しない可能性が高いかと思います。(ただ、本業である投資を成功させようとしているので、まったくのボランティアということでもありません。また、VCなら必ずタダで手伝ってくれるわけではなくて、「お金を集めてきたのでフィーをください」というところもありますが、それはどうなんでしょうか?)
ベンチャー企業からフィーをとって「資金を集めますよ」というのを本業にうたっちゃっている会社は完全にアウトだと思いますが、VCが他の投資家を誘ってco-investするというなのはセーフということにしてくれないと、誰がベンチャーを助けてくれるのか、ということになってしまいます。
「ここまではセーフ」というのに参考となる判例とか通達とか、ベンチャーの支援を安心してできる基準はどこかに存在してないでしょうか?
(以上の法解釈は、私の私見にすぎませんので、ご注意ください。)
ではでは。

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フォーサイド・ドット・コム公募新株発行

(本日は、「三菱東京、アコムを傘下に」という日経のトップ記事も興味深いのですが、それはさておき、)
フォーサイド・ドット・コムが公募による新株発行の公告をしておりますが、その中で、
(2) 発行価額 日本証券業協会の定める公正慣習規則第14号第7条の2に規定される方式により決定する。」
とある「公正慣習規則第14号」とは「有価証券の引受に関する規則」のことで、第7条の2は、「ブックビルディングによる価格の決定」に関する規定のこと。つまり、フォーサイドはブックビルディング方式で公募増資するということです。
日経の記事には8,746百万円調達と書いてあり2万株なので、一株437,300円を予定しているということになります。(当然、正式な価格はブックビルディングの結果で決まるということになりますが。)
本日の同社の株価は413,000円で昨日より8千円下げてますね。発行済株式数は216,500株なので、2万株は10%弱となります。
(ではでは。)
以下ご参考。

「有価証券の引受に関する規則」第7条の2
会員(注:証券会社のこと)は、引受を行うに当たり、ブックビルディング(投資者の需要状況の調査)により当該募集または売出しに係る株式、新株予約権及び新株予約権付社債の価格等の条件を決定する場合、当該ブックビルディングにより把握した投資者の需要状況に基づき、発行日又は当該売出しに係る株券等の受渡期日までの期間に係る株式相場の変動リスク等を総合的に勘案して発行会社又は当該売出しに係る株券等の所有者と協議するものとする。
2 前項に規定するブックビルディングの手続きについては、細則をもって定める。
「「有価証券の引受に関する規則」に関する細則」第3条の2(ブックビルディングの手続き)
規則第七条の二に規定するブックビルディングの手続きは、次のとおりとする。
一 仮条件の決定
会員は、次に掲げる事項を総合的に勘案して、発行会社または売出しに係る株券等の所有者と協議の上仮条件を決定する。
イ 募集又は売出しに係る株券等の発行会社の株式の時価、流動性及び株式を公開している市場
ロ 募集または売出しに係る株券等の発行会社の事業内容、経営成績及び財政状態
ハ その他仮条件の決定に関して参考となる資料及び意見
二 需要の調査
会員は、需要の把握のための基本方針を定めるとともに、ブックビルディングを担当する会員を定めるものとする。この場合において、当該会員は、当該基本方針に基づいて需要の調査を行うものとし、調査に当たっては、次に掲げる申告が含まれないことに留意するものとする。
イ 投資者の需要に基づかない申告
ロ 配分を確保する目的をもって行われる過大な申告
ハ 一の投資者の同一の需要に基づく複数の申告
(以下、略)

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ライブドアのターボリナックス買収価格は?

ライブドアのプレスリリースを見ても、ターボリナックスをいくらの価値と踏んだのかは書いてありません。昨日の日経に公告が出ていたように、買収には「簡易株式交換」を用いていますが、商法の簡易株式交換の規定では、
第三百五十八条
 完全親会社トナル会社ガ株式交換ニ際シテ発行スル新株ノ総数ガ其ノ会社ノ発行済株式ノ総数ノ二十分ノ一ヲ超エザルトキハ其ノ会社ニ於テハ第三百五十三条第一項ノ承認ハ之ヲ得ルコトヲ要セズ但シ完全子会社トナル会社ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ定メタル場合ニ於テ其ノ金額ガ最終ノ貸借対照表ニ依リ完全親会社トナル会社ニ現存スル純資産額ノ五十分ノ一ヲ超ユルトキハ此ノ限ニ在ラズ

となってますので、ライブドアの時価総額の5%以下であること、キャッシュの支払額は2%を超えないことはわかります。発表前のライブドアの時価総額約1500億円×5%で、高くても75億円くらいというところですね。(額が大きすぎてあまり参考になりませんが。)
ターボリナックスは12月決算の模様で、一昨年の決算は5億円程度の売上の会社のようですので、おそらくはまだ赤字。昨日の日経一面では、HPが初年度から100万台を目標としていますが、製品が「Turbolinux 10 Desktop」だとして、定価15,800円なので、HPへの卸値が3000円として100万台で売上30億円程度。
HPとのディールをまとめたのがライブドア側の方なのか、ターボリナックス側の方なのかでまったく違ってくると思いますが、コストやリスクもあるので、なんとなく高くて15億円くらいの企業価値と見積もられたかなあ、という気がしますが。
ターボリナックスを売却したSRA(東証2部)が、月曜日から現在までで約10%しか上がっていない(10時半現在の時価総額約63億円)ので、5億円くらいの低額なディールだった、という可能性もありますね。
(以上、私の推測に基づく数値にしかすぎませんので、お取扱にはお気をつけください。ではまた。)

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株式分割公告いろいろ

(本日一番おもろい記事は、なんといってもHPのターボリナックス採用とライブドアによるターボリナックス買収の記事ですが、それはさておき、[地味な話題で恐縮ですが])
本日の日経は、6月末の定時株主総会で権利を行使できる株主を確定する基準日の公告のほか、株式分割の公告が目立ちました。
スターツ�
ネットビレッジ�
�ダイナシティ
�日本マイクロニクス
�テクノメディカ
�メッツ
オー・エイチ・ティー�
アップルインターナショナル�
デンカ生研�
プリヴェチューリッヒ企業再生グループ�
�野田スクリーン
�ミスミ

この12社のうち10社は、3月31日時点での株主の所有株式を分割するという内容なのですが、オー・エイチ・ティー�と�野田スクリーンの2社は、4月30日(金曜日)の時点で、ということにしてますね。(現在、6週間前。)両社とも決算期が4月のようです。
商法219条�では、
前条第一項ノ決議ヲ為シタル場合ニ於テハ会社ハ株式ノ分割ヲ為ス旨及会社ノ定ムル一定ノ日ニ於テ株主名簿ニ記載又ハ記録アル株主ガ株式ノ分割ニ因リ株式ヲ受クル権利ヲ有スベキ旨ヲ其ノ日ノ二週間前、若シ其ノ日ガ第二百二十四条ノ三第一項ノ期間中ナルトキハ其ノ期間ノ初日ノ二週間前ニ公告スルコトヲ要ス
となっておりますが、この「二週間前」というのは二週間ぴったり前、ということではなく、二週間前「には」という解釈ということですね。
ちなみに、ほとんどの会社はこの1週間のうちに株式分割の決議を行っているのですが、プリヴェチューリッヒ企業再生グループ�だけは、昨年の12月10日にすでに今年5月21日の株式分割を決議していたものを本日公告に載せてきたということになってます。
半年後の株式分割を決議するというのは、ちょっと不思議ですね。
(ではまた。)

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blogとミーム

blogって、見れば見るほど「ミーム」をばら撒くためのツールという感じがしますね。
(ご参考:私めの「ミーム」についての書評
基本的に、情報の需要者のニーズというよりは、供給者の論理で推進されているところ、とか。:-)
(ではまた)

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国税電子申告・納税システム(その2)

国税の電子申告ファイルの中身ですが、こんな感じです。
+<KOA020>に、メインの申告データ(第一表、第二表の内容)が、
+<KOB060>に、「所得の内訳書」の内容が、
+<KOB180>は、「住宅借入金の特別控除」の内容が、それぞれ記入されています。
(中身はヒミツ)
(クリックで拡大)

mihon.jpg

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国税電子申告・納税システム(e−Tax)

確定申告の期限がいよいよ次の月曜日(3月15日)までに迫りましたが、今年は名古屋国税局管内の納税者から段階的に「電子申告」ができるようになってます。
http://www.e-tax.nta.go.jp/
アメリカでは数年前からホームページから申告ができて、しかもクレジットカードで支払えるので、数十億円納税するベンチャー経営者などは、そのポイントだけでポルシェが買えた(笑)という話を米国在住の人から聞いたことがありますが。(真偽未確認。)
私は名古屋国税局管内ではないので実際には申告できないのですが、「所得税の確定申告書作成コーナー」(http://www.keisan.nta.go.jp/)は昨年から愛用してます。データ入力も非常に簡単で順次データを入力していくだけで、申告書のPDFファイルを作成してくれますが、今年から、電子申告用のデータを作成する機能もついてますね。(電子申告のソフトも使ってみましたが、このホームページの申告コーナーの方が使いやすい感じ。)
申告する税務署欄に名古屋国税局管内のデータを入れないとエラーになってしまうのですが、その税務署名を入れて作成して中を見てみると、XMLのファイルになっています。(ただし、拡張子は「.xtx」)
フォーマットの見本もお見せしようと思ったのですが、xmlのタグがじゃましてうまくここに表示できないので、また今度。(ではでは。)

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「泣いた赤おに」と法令順守(笑)

小さいころ最も好きだった童話の一つが「泣いた赤おに」でした。青鬼の赤鬼に対する友情と自己犠牲を考えると、子供時代もさることながら大人になってからも思い返すたびに目がちょっとウルっとしてしまう話だった・・・のですが、先ほどリビングのテーブルの上に置いてあった子供の本をひさびさに読み返してみたら、ウルウル来ないどころか「おやっ?」というかすかな嫌悪感すら覚えてしまいまして・・・。
この話は、人間社会にとけ込めない赤鬼が青鬼と共謀してヤラセの暴行事件をひき起こし、赤鬼が人間の人気者の地位を獲得する、という話ですが、これって、「自然の大切さを訴えるために、新聞社の記者が自分でサンゴに落書きをしてその写真を掲載」したりとか、「まだ十分食べられる肉を捨てるのはもったいないので、賞味期限のシールを張り替えたり」というような話とはどこか違うんでしょうか?
ヤクザ映画に法令順守を求める人はいないと思いますが、この話もそういうこと?それとも、昔は法令順守の観念が欠落してる面があったけど、企業の社会的責任(CSR)とかコンプライアンスとかが重要になってきて、今はそういうのが許されない世の中に変わっちゃったので、違和感を感じるということでしょうか?
(私が、頭が固くて融通のきかないアホな大人になっちゃった、という説もありえますね。)
ではでは。

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