ブルドックの高裁も却下+その経済的インパクト(株価編)

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明日以降の株価形成も波乱含みですね・・・。


予定通りであれば、明日、新株予約権が全株主に割当てられることになるわけですが、割当てられれば不確実性が消えるかというと、必ずしもそうともいえない。
新株予約権の要項には、

(3)当社は、当社が消滅会社となる合併契約書の承認の議案又は当社が完全子会社となる株式交換契約書の承認の議案若しくは株式移転計画の承認の議案が当社株主総会で承認された場合、その他本新株予約権を無償で取得することが適切であると当社取締役会が合理的に認める場合には、当社が別途定める日をもって、全ての新株予約権を無償で取得することができる

 
とあるので、取締役会が「合理的」と思う場合には、新株予約権を全部引き上げちゃうこともできるわけです。
例えば、スティール側と話がついたとか、税務上、大きな問題点があることがわかった、というのは「合理的」の範囲になるのかどうか。
1株に対して3株分の新株予約権が付与されているけど、本当に株が約4倍に増えるかどうかは、実際に株式が発行されるまでは、厳密にはわからない。
「もしかしたら」という思惑で、株式の評価に4倍もの乖離が出てくる可能性があるわけで・・・・。
300円台から1700円くらいまで、株主もどういう価格で売買すればいいのかよくわからず、ニュースを見て一喜一憂することになるし、デイトレーダーのみなさんの格好の遊び場になるのでは。
逆に、割当てを受けて、スティールがTOB価格を4分の1(1700円÷4=425円)に引き下げるけど、その波乱(ボラティリティ)によるオプションバリューが乗っかって、ずっと株価が425円を上回る推移をすれば、TOBが失敗するわけですし。
スティールがTOB価格を切り下げない(1700円のまま)だと、株は集まるかも知れないが、本当に新株予約権が行使された場合に、スティールは大損害をこうむることになる。
425円に切り下げて、それを上回る価格に修正すると、それはそれで高い買い物になる可能性がある、
そういう意味では、株価の推移によっては、「買収防衛策」としての機能を果たすのかも知れませんね。
ということで、ブルドック側は、株式市場が混乱せず、税務・会計上の問題がないとなれば、なるべく9月1日まで行使または取得を行わずに引っ張るのが望ましいし、株式市場が大混乱したり、税務上・会計上やはり大問題がある、ということになったら、早めに取りやめるということも必要になるのかも知れません。
(ではまた。)

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