スティール側はTOB価格を切り下げるのか?(ブルドック)

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明日、新株予約権が全株主に割当てられることになると、スティール側は、いつ、どういう価格に切り下げを行ってくるでしょうか?


 
証券取引法には、

第二十七条の六  公開買付者は、次に掲げる買付条件等の変更を行うことができない。
一  買付け等の価格の引下げ(公開買付開始公告及び公開買付届出書において公開買付期間中に対象者(第二十七条の十第一項に規定する対象者をいう。)が株式の分割その他の政令で定める行為を行つたときは内閣府令で定める基準に従い買付け等の価格の引下げを行うことがある旨の条件を付した場合に行うものを除く。)
二  買付予定の株券等の数の減少
三  買付け等の期間の短縮
四  その他政令で定める買付条件等の変更

とあって、証券取引法施行令を見ると、

(禁止される買付条件等の変更)
第十三条  法第二十七条の六第一項第一号 に規定する政令で定める行為は、次に掲げるものとする。
一  株式又は投資口の分割
二  株主に対する株式又は新株予約権の割当て(新たに払込みをさせないで行うものに限る。)
(第2項以下、略。)

とあり、株式分割や株式・新株予約権の割当ての場合にはTOB価格を引き下げてもいいことになっており、さらに、「発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令」を見ると、

(買付条件等の変更の公告の掲載事項)
第十九条  法第二十七条の六第一項第一号 に規定する内閣府令で定める基準は、同条第二項 の規定により変更される前の買付け等の価格に、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める算式により算定した率を乗じて得た価格を下限とする方法とする。
一  株式又は投資口(略)の分割
1÷(当該分割前の一株又は一口に係る当該分割後の株式又は投資口の数)
二  株主に対する株式又は新株予約権の割当て(新たに払込みをさせないで行うものに限る。)
1÷(1+(当該割当てにより一株に対して割り当てる株式の数(新株予約権の割当ての場合にあっては、株式に換算した数)))
(第2項、略)

とあります。
時期
法令には、「価格を引き下げるなら、TOBの対象会社が分割を発表した日とか、権利落ちの日とか、割当て日とか、それらの日から○日以内にとか、に引き下げなさい」というように、時期がいつ、というふうには書いてないようなので、明日、ブルドックソースが実際に新株予約権を付与しても、スティールは価格1700円のまま放って置いて、株式の発行が確実、と判断した時点ではじめて価格を引き下げればいいということなんではないかと思います。
ということで、ブルドックソースの投資家としては、(1) 株式が実際に発行されるかどうかと、 (2) TOB価格が切り下げられるかどうかと、2重の意味で不確実性にさらされる、ということになるかと思います。
(つまり、TOB価格が1700円に高止まりしていれば、価格は上方に引きずられることになると思いますが、逆に、投資家心理が冷えてきたのを見計らって、一気にTOB価格を4分の1に引き下げたりした場合、TOBに引きずられたプレミアムが消えるわけですから、市場にパニックが発生して投資家が出口に殺到し、株価がオーバーシュートする、というような阿鼻叫喚も起こりうるかも知れませんね。)
下限価格
上述内閣府令の数式を良く見て見ると、「新株予約権の割当ての場合にあっては、株式に換算した数」とありますね。
これを、「公開買付けに応募する株主の一株に対して割り当てられる株式に換算した数」と読むなら、単純に答えは「4分の1(0.25)」となりますが、スティールを含む全株主の一株に対して割当てられる平均株式数ということだと、分母が4より若干小さくなり、スティールにやや不利になりますね。
(どっちなんでしょうか。いずれにせよ、その誤差分くらいのプレミアムはついてしまうでしょうから、どっちでもいいかも知れませんが。)
(ではまた。)

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