法学・天文学・女性

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現代日本において「法学」というと、「文系の最右翼」であり、一方、天文学というと「理系の最右翼(というか、現実社会から最も遠いところにある学問)」であって、その両者が交わることはありえない、とお考えの方が多いのではないかと思います。
ところが、少なくとも昔はそうではなかったんですねー、これが。


ハッブル(Edwin Powell Hubble、1889 – 1953年)は、ご案内の通り、銀河系の外にも銀河が存在することや、宇宙が膨張していて星からの光が赤方偏移していることを発見した、現代の宇宙論の基礎を築いた人物として有名ですが、
彼の経歴を見ると、シカゴ大学で(一応)数学と天文学を専攻していましたが、どちらかというとヘビー級のボクサーとして活躍する方に熱心だったようで、卒業後3年間、イギリスのオックスフォードで法学を学んで、卒業後は法律事務所に勤めていた、とのこと。
天文学に戻ってくるのは、第一次世界大戦で軍隊に入隊した後ですが、それで、世界的な天文学の業績を上げてしまったわけです。
そういえば、フェルマーの最終定理で有名なフェルマー(Pierre de Fermat、1607?- 1665年)も、本業の弁護士をやるかたわらに数学の研究をしていたのは有名な話。
また、ハッブルが銀河系の外にも銀河が存在することを証明できたのは、ヘンリエッタ・スワン・リービット(Henrietta Swan Leavitt, 1868 – 1921年)という女性が、「セファイド変光星」について研究し、その変光周期と光度の間に相関があることを発見したので、天体の「絶対光度」がわかるようになって、それで遠くの天体までの距離が測れるようになったからだ・・・・・と、放送大学の授業で知りました。
この方、あまり知られてないんじゃないかと思いますが、当時は女性が社会進出するのが難しかった時代で、しかも聴覚障害もあったにも関わらず、すごい業績じゃないかと思います。
当時は、「コンピュータ」がなかったので、天文学や弾道計算などの領域で、人海戦術で計算しまくる女性たちのことを「コンピュータ(human computer)」と呼んでいたようですが(デューン砂の惑星の「人間計算機」みたいですけど)、彼女もその一人だったようです。

ところで、まったく関係ないようですが、ヘッドハンターの岡島悦子さんから、ご著書を送っていただきました。

抜擢される人の人脈力  早回しで成長する人のセオリー
岡島悦子
東洋経済新報社
売り上げランキング: 502
おすすめ度の平均: 4.5

5 セルフブランディングのノウハウとしても
4 やや難しい箇所もあるが、気づきの多い1冊

 
渡辺千賀さんが、渡辺さん岡島さん勝間和代さんのパネルディスカッションを「ゴジラ対モスラ対キングギドラ」と評してましたが(苦笑)、(渡辺さんは「私はモスラがいいー」とのことなので)、残りのゴジラだかキングギドラだかに相当されるところの、その岡島さん、であります。

ダボス会議Young Global Leadersに選ばれたカリスマヘッドハンターが教える、「若くして活躍する人」に共通する「戦略的人脈作り」のノウハウ。

とのこと、です。
今、自己啓発本とか仕事のやり方本とかは売れ線なんじゃないかと思いますが、「成功」してるのかどうかビミョーな著者が書いた本というのは、いまいち説得力がないし読む気も起こらないことがほとんどなんですけど、
岡島さんほどパワフルに活動されていらっしゃる方の書いた本ということになると、かなり説得力があります。(本文中にも、「小泉首相と握手」とか、ご活躍の様子がいろいろ載ってます。)
「自分にタグをつける(自分が何屋なのか訴求ポイントをはっきりする)」
「コンテンツを作る(「お、こいつは」と思わせる実績事例を作る)」
など、具体的にいろいろ参考になります。
私も、人脈形成力にあまり自信があるほうではないので、ありがたく拝読させていただいております。

で、なんで天文学からいきなり岡島さんの話になったか、ですか?
岡島さんの会社が「株式会社プロノバ(pronova)」で、novaは「(超)新星」の意からとった、とのことですが、同じく三菱商事→MBA→マッキンゼー等を経験された渡辺千賀さん(岡島さんはハーバードMBAで、渡辺さんはスタンフォードのMBAですが)の会社は、「BLUESHIFT GLOBAL Partners」で、blueshiftは(ハッブルの赤方変移とは反対の)「青方変移」のこと。
そういう経歴を経ると、天文学っぽい社名がお好きになられるのかなあ・・・・と思いまして・・・。:-)
(ではまた。)

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5 thoughts on “法学・天文学・女性

  1. 磯崎さん
    こんにちは。
    3つも頭があるなんてうらやましいので、↑の中ではキングギドラがいいなぁと思う岡島悦子です。
    『抜擢される人の人脈力』のさっそくのご紹介、ありがとうございました! 
    なんだか「人脈力」というと、名刺の量とか、エライ人を知っているか、などを想起してしまう方が多いようなのですが…
    「自分を信頼して活躍の機会をもたらしてくれる人脈」を創るには、どこから手をつければいいのか、どうしたら人脈を昇華させていけるのか、を解明しようとした本です。
    そうやって活躍する「きかっけ」を得た人が、スター(Nova)的事例となって、後に続く人たちのロールモデルとなるといいなぁと思っています。
    社名は、千賀ちゃんのようなステキな天文学的思想の部分はどちらかというと後付けで、「プロの場」というベタなw日本語に由来している感じですね。
    本のご紹介、ありがとうございました!また感想などお聞かせくださいね〜
    岡島

  2. どうも、ご無沙汰しておりますです。
    >3つも頭があるなんてうらやましいので、↑の中ではキングギドラがいいなぁと思う岡島悦子です。
    ということは・・・勝間和代さんが消去法で「ゴジラ」ということになりますね・・・。:-)
    (ではまたー)

  3. 法学と、理系の学問はロジックを操るということで、案外近いような気がします。
    実際、ハッブルやフェルマーのような大御所だけでなく、我が国にも、理工学系の学部出身の法曹家は案外いるようですし。

  4. 「案外近」くてしかるべきなんですけど、契約書や要項に数式(よく見ると単なる四則演算なので、ホントは小学生でも理解できるはずなんですが)が出て来ても、「数式部分のチェックは・・・そちらでお願いします・・・」という弁護士さんって、かなり多い気がします。
    (その数式が、契約の最も重要な部分だったりするわけですが。)
    もちろん、そうでない方もいらっしゃいます。:-)
    (ではまた。)