本日の日経朝刊11面の記事、「リーマン、ライブドア株、一部売却——大量保有報告書、比率5.88%に」より。
リーマン・ブラザーズ証券が十七日に関東財務局に提出した大量保有報告書から、同証券グループがライブドアの発行済み株式の一・三八%に相当する八百九十万株を、十日に市場で売却していたことが明らかになった。売却した株はリーマンがライブドアの筆頭株主である堀江貴文社長から十日に借りていた四千六百七十二万株(七・二六%)の一部。売却後の保有比率は五・八八%(三千七百八十二万株)になった。(中略)
リーマンがライブドア株を市場で売却した狙いは不明だが、市場関係者の間では「借りてきたライブドア株を市場で売ることにより、同社株の下落を狙ったのではないか」との見方も出ている。株価が下落するほど、リーマンがCBを転換して入手できるライブドア株が増える仕組みになっているからだ。
これだけ読むと、単純に「ほらやっぱりMSCBこえー。ライブドア、売りだ売りだー!」と思ってしまうわけですが、昨日のエントリーで証券取引法第二十七条の二十六(特例対象株券等の大量保有者による報告書の提出)の規定をお勉強したよい子のみんなは、「ちょっと待てよ」ですよね?
リーマン・ブラザーズ証券は、外国証券会社ですから、株券等の大量保有の状況の開示に関する内閣府令第十一条(特例対象株券等の保有者である証券会社等の者)第一項第二号に定める外国証券等に該当します。(よね?)
このため、7.26%取得して1.38%売却して5.88%になっただけ(今のところ5%超10%以下)ですから、証取法27条の26(第1項)の規定により、3ヶ月毎の基準日で締めて、その翌月15日(仮にリーマンの基準日が2月末であったとしても、3月15日)までに開示すればOKなはず。
(注:ちなみに、財務局に確認したところ、この「基準日」が各証券会社ごとに何月かは開示されない情報である、とのことです。)
(追記、12:23:
「どらえもん」さんから、
リーマンが売った貸し株は、もともとホリエモンの株なので、リーマンが投資一任勘定を持っていようがいまいが、個人の株として「5日以内の報告義務」という本則が適用されるはずです。
というコメントをいただきました。そうだとしたら素直に開示しただけということになりますが、法令とどう対応するのか確認中。今日は夜まで予定が詰まってますので、確認が遅くなったら済みません。)
しかも、今月末までに5%未満になるまで売ってしまえば、永久に開示しなくていいわけです。(よね?)今、5.88%ですから、あとたった0.88%売るだけです。
かように、義務でないにも関わらず17日にあえてこれを開示したということは、あと0.88%売っちゃうと、開示するチャンスが永久に無くなるので、あえてここで、「リーマン・ブラザーズ証券はライブドア株を売るような行動をするんですよ」ということをアピールしたいからと考えるのが素直ですよね。
では、なぜ「リーマン・ブラザーズ証券はライブドア株を売りますよ」とアピールしたいかというと・・・・それは今後株価がどんどん下がっていけば、MSCBの転換価格を下げられるからと考えるのが素直じゃないすか。(それじゃ、結局、結論同じじゃん!)
と、単純に考えていいもんでしょうか。それとも、巨人の星の星一徹のように、もっと、裏の裏の、さらに裏を考える必要があるんでしょうか?
よく考えると、ライブドアのMSCB発行はまだ発行もされてないわけです。今回のこのニュースによって株価が下落しても、CBの転換ができるわけではないし、CBによってすぐにリーマンが儲かるわけでもない。
仮に、リーマンが本当にライブドアのことを考えて誠実に行動すると仮定すれば、ですね、(爆笑しちゃだめですよ!)、転換社債が発行されてから、転換価額を下げるために株を売り崩すなんてことはありえないわけです。相場操縦の疑いも持たれるわけですし。
ということは、この借株で儲けられるチャンスは今しかない。ここで価格を下げておいて、後で価格が戻すという何らかの(むにゃむにゃ)確信があれば・・・・・・ということがあるかも知れませんね。いえ、1.38%を売却したというのは事実でしょうし、相場操縦のために情報を流したというようなことを申し上げているわけではありませんので悪しからず。
以上、あくまで報道等の情報から考えられる一つの仮説ですのでご注意ください。また、本記事の内容につきましてはよく考えたつもりでおりますが、その内容を私が保証するものではありません。この情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
また、本サイトのコンテンツは投資勧誘または投資のための情報提供を目的としたものではありませんので、よろしくお願いいたします。
(取り急ぎ。)
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