ニレコの新株予約権発行をめぐる攻防

6月号の(最近、表紙がちょっとおしゃれになった)M&A専門誌マール(MARR)に西村ときわ法律事務所の太田 洋弁護士による、「日本版ライツ・プラン−ニレコのセキュリティ・プランを中心に」という論文が載ってます。
小見出しを見てみますと、
・日本で第一号、米国と同じ基本構造
・株主平等原則に最大限の配慮
・コストの点で中規模公開会社に最適
・過渡的な事前予防策
・東証ガイドラインの扱いは疑問
とポジティブな感じで論旨が展開し、ニレコ型の特徴として、
� 一般的な米国型ライツ・プランで設定される(買収者だけが権利を使えない)差別的行使条件を備えておらず、株主平等原則に最大限に配慮している
� 社外有識者が判断
� 株主総会決議やSPCの設立、信託・信託管理人の設定といった複雑な手続きがいらないので、中小規模の公開会社に有力な選択肢
� フジテレビの事前予告スキームはTOBの手続きを経ない買収者には対処が事実上不可能だが、ニレコ型はOK
� 税務上も、インボイスの新株予約権の全株主への割当についての東京国税局の2004年11月11日付の回答に照らすと、(信託型がSPCに対する新株予約権の発行時や分配時に課税が生じる可能性があるのが課題であるのに対し)、ニレコ型ではこの点が相対的に問題が少ない。
の5つをあげています。
また、論文の最後も、

ニレコ型ライツ・プランの実効性やその副作用に対する最終的な評価は、いずれにせよ今後の歴史に委ねられることになろうが、いずれにしても、乱用買収に関する事前予防策の必要性が叫ばれる昨今の状況下において、我が国の企業にありがちな横並びの悪弊に染まることなく、事故の選択と責任においてこの問題に一つの回答を示したニレコの在り方は、他の公開企業においても参考となる点が多いものと思われる。

と、非常にポジティブな感じで締めくくられています。
途中、「いくつかの欠点が存在することは否めず」というような表現は出てくるものの、具体的にその欠点が何なのかはほとんど一切書かれてません。
「株主平等原則に最大限に配慮」といいつつも、新株予約権は3月末の株主に割り当てられるので、万が一このセキュリティプランが発動されると、4月1日以降に株式を取得した株主もトバッチリを食っちゃうというところが最大の問題点ではないかと思うのですが。
−−−
上記の論文には書いてありませんが、5月12日の日経新聞夕刊7面の記事(見落としてましたが)で、太田弁護士がニレコ方式の発案者であることがすでに公になってたんですね。

M&A精通、経験フル活用、日本初の毒薬条項を考案した弁護士太田洋氏(フォーカス)
 産業機器のニレコが導入した日本初のポイズンピル(毒薬条項)を考案した。短期的利益のために資産を切り売りされるような買収から会社を守りたいとの要請に「経営者の保身とは違うと感じた。事業を守る防衛策はあって当然」と支援を請け負った。
 M&A(企業の合併・買収)関連の陣容が厚い西村ときわ法律事務所の弁護士。学生時代、黒船などと騒がれた「ピケンズ事件」で小糸製作所の防衛に奔走する西村の弁護士の姿をテレビで見て事務所の門をたたいたという。
 案件が少ない時代からM&Aを多く担当。(中略)二〇〇一年には任期付きで法務省へ。新株予約権導入など商法改正に携わった。三月末の株主に予約権を大量発行する今回の防衛策は、導入にかかわった制度を実地で使うやりがいもあった。
 一時点の株主のみに予約権を発行するニレコ方式については証券取引所が「不適切」と自粛を要請。一部株主に発行差し止めを求める動きもある。先駆的試みだけにすんなりとは通らない格好だが「買収者だけ自由ではアンバランスで、現行法枠内で考えるとこうなる」と淡々と話す。
(おおた・よう=37歳)

ちなみに、差し止め仮処分申請をしているのは、5月10日の日本経済新聞朝刊によると、

ニレコの発行済み株式約六・八%を保有する投資ファンド会社、ザ・エスエフピー・バリュー・リアライゼーション・マスター・ファンド・リミテッド(英領ケイマン諸島)。

とのこと。
本日の日経朝刊には、

ポイズンピル(毒薬条項)発動の是非を勧告する特別委員会の三人の委員のうち、山田秀丸社長を外したと発表した。新たな委員には最高検察庁刑事部長などを歴任した高野利雄弁護士を選任した。
 社長の参加で勧告内容が企業側の思惑に左右されかねないとの指摘が多かったため。十日に大株主の投資会社が新株予約権の発行差し止めの仮処分を申請しており、委員を第三者に限定して仮処分の結果を有利に運びたい考えとみられる。

ともあります。
新株予約権の申込期間は来週5月25日までで、発行日が6月16日。
果たしてこの新株予約権、発行できるのか否か。(わくわく)

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TBS買収防衛策

一昨日、TBSさんから買収防衛策が発表されました。

第三者割当による新株予約権の発行および当社株式にかかる買収提案への対応方針に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/45120770_20050518.pdf

(追記:2005/10/13,21:20
上記はリンク切れ?
こちらのpdfをご覧ください。[出所:TBSホームページ])
日興プリンシパル・インベストメンツ株式会社に対して新株予約権を割り当てる「白馬の従者」?型の買収防衛策ということでしょうか。
ちょっとおもしろいのは、当初4,000円という高い株価(19日終値1,750円)の行使価格としておいて、

�当社の発行する株券等について公開買付けが開始された場合(ただし当社が当該公開買付けに対して賛同する旨の意見表明をする場合を除く)または�公開買付けによることなく特定の者またはそのグループの当社に対する株券等保有割合が20%を超えたことにつき公表されたもしくは当社が知った場合には、新株予約権の要項に従い、かかる事由の発生日に先立つ6ヶ月間の各取引日における当社普通株式の終値の平均値に0.9を乗じた額に修正される。

というところですね。当初行使価格を「ハイアップ」にしておくのは、オプションバリューを下げて日興さんに買ってもらいやすくすることと、「平時には何もしないでね」というstandstill的効果を持たせるためかと思います。
ちなみに、「企業買収防衛戦略」の太田洋弁護士の白馬の従者についての解説(P152)には、

いわゆる「白馬の従者(white squire)」に対して一定数の議決権株式を発行し、それとの間に現状維持契約(standstill agreement)を締結しておく方法である。(中略)
「白馬の従者」に対して発行される株式等としては、多くの場合、転換権付優先株式が利用される。これは、新株を引き受けてもらうインセンティブとして、「白馬の従者」に優先配当の支払請求権を付与しておく必要が生じる場合が多いからである。

とありますが、今回、日興さんが6億円出してこの新株引受権を引き受けるインセンティブは何でしょうか。日立製作所さんのハイアップMSCBを利用したHPOのオプション部分と同じで、これだけ行使価格が高くてもエクイティ部門で使いようがある、ということなんですかね?
もう一つ、この「新株予約権プラン」とともに、「株式分割プラン」も用意されてます。
買収者には分割新株が割り当てられない方法と考えられますが、「将来的に法制度や東京証券取引所の諸規則が改正されるなどして、当該プランの設計・仕組み自体に影響が生じる場合には、変更および見直しを行うことといたします。」とされています。(法改正等で使えなくなる可能性もある、ということですね。)
また、�社外取締役2名、�社外監査役2名および�社外の有識者3名(弁護士、会計士
および学識者等)の社外委員のみによって構成される企業価値評価特別委員会が取締役会の諮問を受けて勧告を行うという構成にして、経営陣から独立した判断が行えるように配慮されてます。
TBSさん、なにせ株主構成が下記のように非常に分散してますので、フジテレビさん以上に買収防衛策の整備は急務だったかと思います。
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ちなみに、今見たら、Yahoo!ファイナンスのニュース記事に私のコメントが載ってました。
http://charge.biz.yahoo.co.jp/vip/news/kab/050519/050519_mbiz150.html

企業防衛策に詳しい公認会計士、磯崎哲也事務所の磯崎代表によると、「フジテレビのケースと異なり、(1)平時の導入であること(2)社外取締役の監査を経るため、単なる経営陣の保身とならず買収が企業価値向上に貢献するかどうか適正な判断ができることから、米国型防衛策にもっとも近い性格のもの」とポジティブに評価できるという。
提供:株式新聞社

えー、(企業防衛に詳しいかどうかはという点もさることながら)、私が電話でコメントさせていただいたのは、「フジテレビのケースと異なり」というよりは、正確には「ニッポン放送のフジテレビへの新株予約権の割当のケースとは異なり」ですね。フジテレビさん自身の買収防衛策は、「平時」とは言いにくいですが、実際に買収が開始されていたわけではないですし。
また、「平時の導入であること」というのも、正確には「平時の導入は経済産業省の企業価値研究会も求めている要件で」と申し上げた次第であります。
「米国型防衛策にもっとも近い性格」とも申し上げなかったんですが・・・。TBSさんはいろいろ配慮はされているものの、(米国で一般的なライツプランでなく)第三者割当型である「新株予約権プラン」が発動すると、日興さん以外の一般株主の権利が希薄化する危険があるんじゃないの?と思って株価が下がってる面もあると思います。
「社外取締役」だけでもないし「監査」でもないですね。
以上、(細かい)補足でした。
(ではでは。)

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あの乳歯サンプリングは何だったのか

本日も忙しそうなので、引き続き歯のネタで恐縮です。
私が小学生の時に、「抜けた乳歯をサンプルとしてご提供下さい」と依頼があって、乳歯が抜けるたびにそれを小学校に持って行った記憶があります。
奥さんに聞いたら「私はそんなのやらなかった」とのことですが、うちの学校(杉並)だけだったんでしょうか?世代差?
乳歯が生え替わる頃ですので、その時は何のこっちゃよくわかりませんでしたが、あとで聞いたウワサでは、当時米国やソ連や中国が大気圏内核実験をやってたので、歯の中にその放射能がどのくらい蓄積してるかを調査していたとかいなかったとか。
今ググって見たら、確かに私の世代は出生以降幼少期に放射能浴びまくりだったようですね。

「大気圏内核実験当時の体内放射能とチェルノブイリ事故後の体内放射能」
http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/09010409_1.html

1961年から1962年にかけて米国とソ連が行った大規模の大気圏内核実験による体内放射能が最も高かったのは1964年10月で730Bqであった。一方、チェルノブイリ事故では1987年5月に体内放射能は最も高い60Bqとなった。この体内放射能には大気圏内核実験の放射性セシウムが20Bq程度残っていた。正味のチェルノブイリ事故による体内放射能は40Bqである。また年間の平均で比べると、大気圏内核実験は510Bq、チェルノブイリ事故による正味の体内放射能は約5%にあたる23Bqであった。
 中国も大気圏内核実験を行った。1964年から10年以上にわたり繰り返し日本から近い場所で行われ、何回もそのフォ−ルアウトにより日本の環境が放射能汚染を受けた。そのため、この大気圏内核実験の体内放射能への影響は1961年から1962年の米国とソ連による大気圏内核実験とは日本人の体内放射能への影響のしかたがいくらか違っていた。つまり、その影響は1961年から1962年の大規模な大気圏内核実験の影響が減ってきた1967年頃から目だち始めて、日本人の体内放射能の減る早さが小さくなった。さらに時期によっては、体内放射能が増えた。しかし、1961年から1962年の米国などによる大気圏内核実験よりも影響は小さく、体内放射能が185Bqを超えることはなかった。チェルノブイリ事故の直前には約20Bqまで体内放射能が減少した。チェルノブイリ事故による体内放射能への影響はさらに小さかった。放射性セシウムの日本人の体内放射能への影響の大きい順に並べると、米国とソ連が1961年から1962年に行った大気圏内核実験、中国が行った大気圏内核実験そしてチェルノブイリ事故となる。

北朝鮮が核実験やるとか報道されてますが、さすがに大気圏内ではやらんでしょうし、やったとしても、子供の頃にそれだけ浴びてりゃ今さらどうってことないかも。
「♪どんなに大人になっても、僕等はアトムの子供さ」(by 山下達郎
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今どきの歯医者

株主総会目前で、本ブログの読者のみなさまもあまりブログ読んでるヒマもなかろうから、というわけでもないのですが、私自身ちょっといろいろバタバタしてまして、またしょーもない話で恐縮です。
うちの息子や奥さんが歯医者に通ってるのですが、最近の歯医者は「これでもか」ってくらい麻酔をかけて歯を削るので、まったく痛くないようですね。(うちの近所の歯医者だけ?)
言われてみれば、麻酔かけずに神経あたりまで「チュイーン」と削るなんてことは、拷問以外のナニモノでもなかったんじゃないでしょうか。(そういえば「マラソンマン」なんて映画もありました。)
なぜ、そんなことが許されていたのか?
よく耐えてたよなあ。>子供時代のオレ。
(ではまた。)

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敵対的M&A対応の最先端

今日の日経新聞1面下の書籍の広告欄に載っていた本。
敵対的M&A対応の最先端(近刊)
商事法務
太田 洋・中山龍太郎 編著 3,990円
わあ。この本、おもしろそうだなあ。:-)
・・・と思ったら、(案の定)、まだAmazonで検索しても出て来ません。
新聞の書籍広告を見て、即Amazonで買おうとする人って最近はすごく多いと思うんですが、せっかく広告出してるのにもったいないですよね。マーケティング的に言うと、広告を見て「こりゃよさそう」と思った時が、顧客が一番本を買う気持ちになってるときじゃないかと思いますが、時間をおいた分、広告費の効果が下がっちゃうわけです。
広告が出た時には(予約でもいいので)Amazon等のオンライン書店で買えるようにしておいていただきたいもんです。>商事法務さん。
Amazonさんの方も、新聞に広告が載る前にあらかじめデータを登録しといてくれという営業をもっと徹底してもいいんじゃないでしょうか。(そのへん、どんな事情があるのか無いのかよく存じませんが。)
(ではまた。)
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敵対的M&A対応の最先端—その理論と実務
太田 洋、中山 龍太郎 (編著)

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75分でわかるヴィトゲンシュタイン

奥さんがアイロンかけながらレンタルビデオ屋から借りてきたDVDを見ていたので、
「何見てんの?」
と聞いたら、
「ヴィトゲンシュタイン。あんたには無理よ。デレク・ジャーマンだし。」
そう。うちの奥さんは、私が「Get out of here! (ゲラロヴヒェ!)」と叫んで窓ガラスを割って飛び出した一秒後に建物が大爆発するような映画にしか興味がない、非文化的な男だと思っとるわけです。
「冗談じゃない。ヴィトゲンシュタインはオレの専門だぞ。(←大ウソ)」
というわけで、あまり興味なかったけど意地でも見ることになりました。
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登場人物もバートランド・ラッセルとかケインズとか非常に豪華なんですが、監督がデレク・ジャーマンだけに、ほとんど全員が ○モ。(別にどうでもいいですが。)
しかし、改めてこの時代のウィーンとかロンドンの知識人というのは、ヴィトゲンシュタインをはじめ、ヘーゲル、ゲーデル、フロイトとか、すごい濃ゆい方々のオンパレードですね。
ヴィトゲンシュタインと接触があったチューリングも、ご案内のとおり、コンピュータサイエンスの基礎を作った方ですし、この時代のウィーンでこうした方々に囲まれてそだったピーター・ドラッカーもアメリカにわたって大成されたわけです。
もうちょっとお勉強されたい方は、知り合いの方が翻訳されたこちらの本もどうぞ。
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90分でわかるヴィトゲンシュタイン

以前、契約書がコンピュータで自動処理できるまでにXML化された未来小説風の話を書きましたが、ホントに契約の「意味」を言語的な「表現」から独立した概念にまで切り離そうとしたら、このヴィトゲンシュタインのような(言葉とは何か、言葉とは何を表しているのか、etc. といった)苦悩にさいなまれる気がします。
(ではまた。)

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ジュニアゴルフブームの投資リターン分析

(追記あり。16:37)
藍ちゃん、さくらちゃんのおかげでジュニアゴルフがブームとのこと。
ブリジストンのジュニアゴルフグッズの対前年伸び率は30%増、ゴルフ販売店によっては昨年の3倍の売上のところもあるとか。
我が家は今から2年ちょっと前に私が長男(当時小1)と親子ゴルフ教室に参加。私が運動不足解消のために一人でスポーツクラブに行ってたんですが、(精神力が弱いので)一人だと続かないため、子供をダシに使ったわけです。
バブル期には、ゴルフ場建設のフィージビリティスタディのためにLotus1-2-3(古)で資金シミュレーション回したり、会員権価格の要因別相関分析したり、原生林に分け入って「ここがクラブハウスの建設予定場所になります」てな仕事もあったので、仕方なくゴルフも何回かやったわけですが、バブル崩壊とともにまったくやらなくなって十数年ぶりでありました。
この4月から、親子教室が1コマ増えて増員枠ができたので、「ボクもやりたいのに・・・」と毎週しくしく泣いていた次男(小2)がついに参加できることに。ついでに奥さんも参加して、ここに一家総ゴルフ体制が確立したのであります。
ちなみに、宮里家、横峯家と同様、下の子の方が(上の子のを見てイメージしてきたせいか)、キャリアの割にセンスがある気がします。スイングの安定性や距離はともかく、アプローチやパターでの距離感や方向性はかなりすごい。4mくらいの長いパットをすぱすぱ入れてきます。
奥さんも初心者の割にスジがいいと思ったら、そういえば剣道二段だった。ゴルフのスイングって、竹刀を縦に振り下ろす動き+背骨の軸中心の横回転の組み合わせですからね。
長男も昨年夏休みに118で回っていたのが、このGWに家族で回ったところ105と、着実にスコアがまとまりつつあります。
(追記:「子供にゴルフさせるなんて、なんて金持ちな!」と思われた方がいらっしゃるようなので補足しておきますが、以前も書きましたとおり、社会全体で「ジュニアゴルファーを育てよう」という機運が高まっており、ゴルフ協会のレッスンで2000円くらいで18ホール回れるとか、子供料金を設定するゴルフ場も出てきたとか、下記の通り、グッズも子供料金になってたりとか、お金持ちでない家の子供でもゴルフができる環境が整いつつある・・・ので私も子供にゴルフなんぞさせる気になったわけです。
ちなみに、2年間でホンモノのコースは2ラウンドしかしてませんので、少なくとも今まではあまりお金かかってません。さすがに今年からはもうちょっとラウンドしたいところですが。)
−−−
ゴルフグッズ、売れてるとはいえ、ナイキの子供用ドライバーが1本7,000円くらいと、大人のドライバーより一桁安いのであまり儲かってはなさそう。将来のゴルフマーケットを拡大させるための先行投資的位置づけなんでしょう。
ただ、実際、安いのはそれだけ飛ばないわけで、長男が当初使っていた無名ブランドの3,000円くらいのドライバーだと120yくらいの飛距離だったのが、ナイキの7,000円のに替えたら140yくらい飛ぶようになり、先日奥さんが買ったレディスの最新チタンドライバーを試しに振らせてみたら、160yくらい飛ぶわけですね。(シャフトが長くなってるだけという話もありますが、さすがスイングはすでにセミプロ級に美しいだけあって、レディスとはいえ大人のクラブをきれいに振り抜いてしまうところがすごい [←親バカ] 。ていうか、奥さんより飛んでるし・・・。)
ゴルフは、普通に練習してたら「はじめた年齢の半分」のハンデにはなるそうなので、ジュニアからはじめるメリットがあるモンの一つでしょうね。小学生なら「もしかしたら将来タイガーウッズや宮里藍クラスになって、億円単位のリターンがあるかも・・・」という親の妄想も膨らむでしょうし(笑)、そこまでいかずとも、大人になってシングルだったら、取引先を「いやー、さすが社長!1打差で負けちゃいましたー、てへへ」と三味線引いて接待するもよし、つぶしも効きそうです。(サッカーやピアノじゃ、そうはいきません。)
ただ、近所の練習場で井沢利光選手の学生時代の練習を見ていた人によると、学校が終わるとお父さんといっしょに練習場に来て、毎日何十カゴと打っていたとのこと。親子でコースのラウンドもしてたでしょうから、年間やはり1千万円以上は使ってたんでしょうね。
宮里家のように村長選に落ちてお父さんがレッスンプロになるとか、横峯家のようにお父さんが自分で山切り開いてゴルフ練習場作っちゃうとか、親も人生賭けないと、世界クラスは難しそうです。
(ではまた。)

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Let’s note T4

(連休で貯めた仕事で忙し気味で、本日は、パソコンネタにて失礼いたします。)
弁護士事務所や監査法人などでも利用が多いですが、私もPanasonicのLet’s note (T3)愛用者です。
本日の新聞の全面広告にも出てましたが、T4 が出ましたね。
本日、通りかかった東京駅八重洲口の特設ブースで展示してまして、早速さわってしまいました。(うん。よさげ〜。)
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世界最長時間駆動:約12時間
今のT3も5時間もつといいながら、古めの電池でパケット通信などしてると1時間ちょっとで電池が無くなったりしますので、12時間というのも鵜呑みにはしてませんが、それでもかなり持つんでしょうね。
私、ほとんどクライアントさんのところ等に外出している(「ゴルゴ13型」の)業態なもんですから、「電池のもち」には悩まされてまして、今までコンセントのあるところを探すのが業務上のノウハウの一つにすらなってたんですが(笑)、これはいいかも。200g弱重くなっても、その分換えの電池を持ち歩かなくて済むのでOKです。
セキュリティチップ(TPM)搭載

最新のTPM(Trusted Platform Module)セキュリティチップを搭載。ファイルやパスワードを暗号化するときに使われる暗号鍵を、HDDに記録するのではなく、セキュリティチップで管理します。万一HDDのみを取り出されて解析を試みても、暗号鍵がHDD上にないので、暗号化・認証の強度や信頼性を強化しています。

だそうです。
私もそれなりに守秘性の高いデータを大量に持ち歩いているので、今までも(ディザスターリカバリーを考えて関東以外の場所へも含めて暗号化してバックアップするのはもちろん)、モバイルパソコンのについては紛失しないように最大限の注意を払いかつデータも暗号化するというのは行っていたわけですが、暗号鍵が別になるというのはより安心です。
できれば、指紋認証とかもほしかったですね。(パスワードの盗み見等対策として。)
(ではまた。)

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図解シニョリッジ

本石町日記さんが、通貨発行者である日銀さんが得られるメリット「シニョリッジ」について書かれてます
シニョリッジは、よく「日銀は原価数十円の紙を印刷するだけで1万円として通用させられるので、9千9百何十円は『丸儲け』」と理解されてますが、会計上は、発行した通貨の額は下記の日本銀行の貸借対照表?(BS)の図のとおり、(利益でなく)負債として計上されてます。
一般の銀行のBSを見ると、普通の事業会社のBSと違って「預金」が負債(貸方・右)」になってるので、ちょっと簿記をご存じの方はびっくりするわけですが、日銀のBSを見ると、現金(表記は「発行銀行券」)が負債になってるので、さらにびっくりできるわけです。

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出所:日本銀行営業毎旬報告 (平成17年3月31日現在)より磯崎作成

「企業が社債発行して資金調達するのが負債に計上されるのと同じじゃん」と考えればすんなり理解できます。1万円で印刷できる社債券を1枚1億円で発行しても、9999万円「儲かる」わけではないですから。
ただ、兌換でない紙幣を発行した場合に、日銀が法的に何の「債務」を負っているのかというところまで考えるともう一度頭がこんがらがります。
先日、「年金2008年問題」の著者の玉木伸介さんに、「国民は年金を払って『お金が貯まった』気になっているが、公的年金は、国民の政府に対する『債権』ではない。民間の金融商品とは法的性格が全く異なる。」ということを教わって、「えっ、そうだったの?」と目からウロコが落ちたんですが、根拠法規の違う日銀券も社債のアナロジーで考えてはいかんのかも知れませんね。
また、上図の資産(右×[訂正])側に目を転じると、日銀さんが国債を100兆円!も抱えてらっしゃることがわかります。
昔、社会科で日銀の公債引受は禁止されているてなことを習ったような記憶があったのですが、このBSだけ見る限り、「原則禁止」というよりは「原則OK」としか読めませんが。(不勉強でよく存じませんが、直接引き受けるのはダメだけど、市中から買い入れるのはOKという意味でしょうか。)

財政法第五条  すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

単純な自己資本比率が1.66%、国債のリスクウエイトをゼロ、その他の資産をざっくり8掛けとしても6%程度の自己資本比率というのも、シロウト目にぱっと見ると大変びっくりできます。
(ではまた。)

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