週刊isologue(第61号)ソフトバンクのファイナンス(前編)

先週の週刊isologueでは、ソフトバンクが総務省に提出した「アクセス回線会社収支試算結果説明資料」(いわゆる「光の道」への提言の一部)を題材に、本当に孫社長が言うように国費の投入ゼロで光ファイバーを全家庭に引く事ができるのかどうか、また、ソフトバンクが考える次世代光インフラの考え方やその実現可能性はどうか、等について考えてみました。

 

今週は、そのソフトバンク自体のファイナンスについて考えてみたいと思います。

 

ネット上でも、結構な識者の方々が、

「また何百億円も社債を発行してる!この会社、どうなっちゃうの?」
とか、
「ソフトバンクは借金まみれになって沈んでいく。登りゆくドコモと対照的。」
とか、
「溺れるものは藁をもつかむで、光の道に飛びついちゃって・・・」

等、ソフトバンクに対して悲観的なことをおっしゃっているので、
ソフトバンク、大丈夫かしらん?
と思ってる方も多いのではないかと思います。

 

一方、孫社長の決算説明会のプレゼンを素直に見ると、

  • 今回の決算は、三社(NTT、KDDI、SB)の中で1社だけ増収増益
  • ARPU(ユーザーの平均利用単価)が伸びてるのは3社中(そして世界でも)ソフトバンクだけ。
  • ボーダフォン買収以降、有利子負債は計画を超えて9000億円近くも減少
  • 今の計画だと、あと数年でソフトバンクは実質無借金経営になる。
  • 営業利益、フリーキャッシュフローで日本の全上場企業中3位、4位に入る優良企業
    (NTTとかトヨタに次いで。KDDIは既に抜いた。)
  • さらにウィルコムにも出資して基地局数倍増、
    (フェムトやホームアンテナなどをセコくカウントしてかと思いきや、なんとそれは含めずに。)
  • 設備投資はつながりにくい電波に応急処置をする後ろ向きなものではない。
    次世代の高速通信のためには「小セル化」が必須。ネットワークの設計思想を先取りした先進的な投資。

と「景気がいいにもほどがある」状態にも見えます。

 

いったい、どちらのイメージがソフトバンクの実態として正しいのか。

今週と来週は、ソフトバンクの財務上の数字等を見ながら考えていきたいと思います。

 

201005312218.jpg

今週は、最近発行された社債等の話に入る前に、ヤフー株式を使ったファイナンスを読み解いていきます。

今週の目次とキーワードは以下の通り。

  • SPV(=Special Purpose Vehicle、特別目的事業体)を使った巨額ファイナンス
  • SPVの概要
  • 有限責任中間法人、一般社団法人とは
  • スキームの概要
  • どういう名目でフィーを受渡し?
  • 取引の履歴
  • なぜ、他の会社が混じってる?
  • 名義や議決権をソフトバンクに残すのはどうやっている?
  • ソフトバンクは、なぜこのスキームを採用したか?
  • マニアックな方のための付録その1:一般社団法人等を使った他の例
  • マニアックな方のための付録その2:担保の掛け目(グラフ)

 

ご興味のある方は、下記からお申し込みいただければ幸いです。

(次週は、平成22年3月期のソフトバンクの決算説明会の内容の検証と、今回発行された社債、そして、ソフトバンク全体の財務状況をどう見るか、について、の予定。)

 

(ではまた。)

 

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広告の歴史を変える?「iogous(イオゴス)」

月曜日に「Fringe81(フリンジ ハチイチ)株式会社」の新サービス「iogous(イオゴス)」の発表会

プレスリリースはこちら。
http://www.fringe81.com/detail.php?id=21

に呼ばれて行って参りました。

 

これはスゴい。

 

これは広告の歴史を変えるかも知れません。

 

「iogous(イオゴス)」は、文字・背景色などの要素を自在に組み替えて、非常に多くの種類のバナー広告を自動的に生成し、それのクリック率(CTR=Click Through Rate)を見ながら、自動的にCTRの高い最適なバナー広告を表示する、というシステム。

これによって、バナーのクリック率は「数倍」に上がるそうで、つまり、広告主にとって、広告効果が上がるわけです。

 

201005260746.jpg
ジャストシステム社と行っている実験的な広告の例。
(背景色、画像、コピー等の組み合わせ、配置等で、多様なパターンを生成している。)
(クリックで拡大)

 

しかし、それだけ聞くと、

それって、あたりまえじゃん?
だって、そういうインタラクティブなことができるのがウェブでしょ?

と、思いますよね?

 

ところが、今までのバナー広告(ディスプレイ広告)の世界では、デザイナーが文字や画像の配置、背景色等を人間の経験と勘によって決めており、結果による見直しはほとんど行われてこなかった、とのこと。

広告の差し替えを行う場合も、ネットの広告を掲載している会社に代理店等から電話がかかってきて、

「 今出してもらってる広告、クリック率がよくないようなので、今から送るのに差し替えてもらえますか?」

等、「手作業」で人間が差し替えていた、とのことであります。
(そうした「媒体」側の会社の手間・コストも非常に大きかったわけです。
結果として、当然、一つのキャンペーン期間中に変更できる回数は、数回といったオーダーになってしまうかと思われます。)

 

私も今回聞いて始めて知って、非常にビックリしました。

 

しかし、この 「iogous(イオゴス)」では、文字・背景色・画像などを組み替えて配置換えをしたバナー広告を、自動的に数千から数万種類発生させ、それを表示した結果、CTRのよかったバナーを自動的に生き残らせて行きます。

 

201005260804.jpg
(クリックで拡大)

 

上図のように、CTRは単純に直近のCTRだけでなく、累積CTRなども考慮して多変量解析で決めているようです。

遺伝的アルゴリズム」にちょっと似てますね。

 

アメリカだと個人情報が結構簡単に手に入るそうで、それとの組み合わせでウェブの広告の最適化が行われたりもするそうなのですが、日本だとそもそも個人情報が手に入らない。

結果として、今までは「デザイナー」にすべてを依存していて、クリック率が悪いと
「おまえのセンスが悪い」
と責められて、精神的に参ってデザイナーが辞めちゃったりもしたらしいのですが(笑・・・ごとじゃない・・・)、そもそも
「20代女性向けのこれこれの商品の場合、どういう背景色にするとクリック率が高いか」
といったデータが無く、PDCAサイクルを行うしくみすら存在しなかったんだとしたら、そりゃデザイナーがかわいそうというもんですわな。

 

そして、そういう「真っ当なPDCA」は、テレビ・新聞・雑誌といった既存のメディアでも、もちろんやられてこなかったわけです。
グーグルのAdwordsなど、ネットのテキスト広告でやっとそういうPDCAが行えるようになり始めて、それがグーグルをはじめとする広告系のネットベンチャーの成長要因になったわけですが、それが、「画像」の広告の世界でも行えるようになった。

これは画期的なことじゃないかと思います。

ちなみに、「iogous(イオゴス)」というのは「SUGOI (すごい)O」ptimizationのアナグラムだそうで。

 

Fringe81社長の田中弦氏、取締役の川崎裕一氏は、私の昔の勤務先の同僚で、グリーの田中社長やミクシィの笠原社長などといっしょにネットの研究をしていた、いわゆる「76世代」の経営者。
私は、彼らが大学を卒業してすぐの2000年前後にいっしょに仕事をしたのですが、おっさんには感じ取れない「何か」を感じ取る能力をもった「ニュータイプ」というか、私は彼らを見て、アムロの能力を見たブライト中尉的な気持ち(こいつらのフィールドで戦ってもちょっと勝てそうにない)になったもんでした。

 

よく、ネット系のベンチャー企業でも、ネットに関連したことをやっているにもかかわらず、ビジネスモデルは労働集約的で「人間の努力とセンスでがんばります」というものがよくあります。

それが絶対悪いとは申しませんが、ネットの世界では、グーグルを例に引くまでもなく、今まで手作業で行われて来たことをコンピュータで自動的処理することにより、従来のコストの何分の一でサービスが提供出来たり、従来の何倍ものパフォーマンスをあげることができる、「破壊的イノベーション」がしばしば発生するわけです。
人間の力やセンス、人間関係といったもので他社よりも優越的な地位を築くということは、一見、活気にみなぎっているように見えても、実は「おまえはもう死んでいる」状態だったりするわけで。

 

このiogousの発表会でも、

Data is King

という言葉が何度か出ましたが、ネットのベンチャーは基本的にはそういう「データやアルゴリズムを蓄積して破壊的イノベーションを起こす」側に回ることを目指すべきであり、そうでないビジネスモデルの採用は、それでも長期的に勝ち残っていけるのか、破壊的イノベーションを起こす企業が現れて負ける可能性は無いのか、ということをシビアな上にもシビアに見つめた上で行うべきでしょう。

 

社名「Fringe81」の「81」は、日本の国コード。
日本から世界に飛び出すような会社になろうという意味を込めたそうですが、ぜひ、そうなるようがんばってください。

 

(ではまた。)

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週刊isologue(第60号)ソフトバンクの「分離案」(「光の道」関連)を読む

「ベンチャー企業の株主を『追い出す』方法」シリーズが2回目でまだ途中なのですが、池田信夫さんからご要望があって、今話題でもあり日本の将来にも関連しそうなので、今週の週刊isologueは、このソフトバンクが総務省に提出した「アクセス回線会社収支試算結果説明資料」を読み解いて行きたいと思います。

 

この「アクセス回線会社」というのは、メタルの回線をやめて光ファイバーを100%にするいわゆる「光の道」に対してソフトバンクが「国費の投入無しで可能」として提案している収支試算結果です。

検討が行われている総務省の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース – 電気通信市場の環境変化への対応検討部会」のホームページは下記です。

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/global_ict/kankyou_henka.html

この5月14日に行われた第11回会合で提出された、「ソフトバンク株式会社提出資料(アクセス会社収支試算)PDF」について検討していきたいと思います。

 

ただし、昨日から検討をはじめただけで、孫さん佐々木さんの対談のUSTREAMの中継やその書き起こしなども全部は拝見しておりませんし、私が電話や光ファイバーの技術や原価データを持っているわけではないので、さすがに1日で、この内容が妥当かどうかを検証するなんてことはできるわけはありません。(すみません。)

 

ということで、わからないことはわからないとして、今回は、この「アクセス回線会社収支試算結果説明資料」の全体構成がどうなっているか、ざっくり見ていくことにしたいと思います。

こうした計画書がどのように作られているか、どういった点に注意しなければならないかについては、ベンチャー企業の創業や大企業の新規事業などでビジネスプランを作って行く際の基本の勉強にもなるかと思います。

また、上記のとおり時間がなかったこともあり、全世帯に光ファイバーを引くのがいいのかどうか、光ファイバー事業だけを分社化するのが適切なのかどうか、なぜソフトバンクがそんなことを言う必要があるのかどうか、といった政治的・技術的なことは横に置かせていただいており、主として財務的な側面から、この資料について検討をしております。

 

ということで、今週はちょっと多めで、仮に印刷すると27ページほどになっちゃいました(汗)。

 

今週の目次&キーワードは以下の通り。

  • ソフトバンク提出資料の内容
  • 事業計画と前提条件
  • 貸借対照表が無い
  • 固定電話の契約数の減少状況、ARPU
  • NTTのブロードバンドサービスの契約の増加状況、ARPU
  • (ソフトバンク松本副社長の考える)レイヤー別の競争
  • ブロードバンドサービスの需要の価格弾力性
    (競争で価格が下がったら需要は上がるか?)
  • 競争でスピードやサービスが向上するか?
  • 契約数の目標は適切か?
  • 減価償却費が定率法から定額法に変更
  • このプロジェクトの税務戦略
  • 引き継がれる資産量が不明?
  • NTTからの分割スキーム、資金調達をどうするか?
  • 本当に国費は不要なのか?

 

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(ではまた。)

 

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ビジネスマンのための書籍スキャン入門ー既に始まっている電子出版

(TIPSの追記あり:2010/05/24 9:19、13:18)
(スキャンと著作権法の追記あり:2010/05/24 10:00)
(著作権法の解釈について追記:2010/05/26)

 

書籍や雑誌をスキャンして「電子」化する方法について、ツイッター等でのお問い合わせが多いので、ブログの記事としてまとめさせていただいきました。

 

続きを読む

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今日の提案:「紙プロトコル」

「電子書籍」時代には届いた本はスキャンされて即捨てられる。
ちょっと罪悪感があるので、これからは本や雑誌でなく

紙プロトコル

と呼ぶことにしよう:-)。

つまり「モノ」というより、情報を伝えるための「通信手段」の一形態。

http://twitter.com/isologue/status/14462956478

 

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ミクシィの監査役を任期満了で退任いたします

先ほどプレスリリースも出ましたが、来月6月の総会をもって、株式会社ミクシィの社外監査役を任期満了で退任させていただくことになりました。

 

ちょうど丸5年務めたのですが、監査役の任期は4年なので、次の任期満了までやると9年でちと長い。
任期の途中で辞めるというのもヘンな感じになる可能性もあるので、独立性(監査役が経営陣から[精神的に]独立していること)を確保する観点からも、5年というのはちょうど区切りがいいかな、と思いまして。

「5年でやめるべきだ」というルールやガイドラインがどこかにあるわけではないと思いますが、公認会計士法のパートナーのローテーションが今は5年になったので、その会計監査人の会計監査の相当性をチェックする立場である監査役も5年で交代というのが、個人的にはしっくり来ます。

 

就任1年目はまだ商法特例法上の「小会社」(つまり資本金が1億円以下)で、当然まだ上場もしていない時点。

上場で大会社になっても変更1年目の監査は小会社扱いで、上場後初の株主総会の時までは会計監査人もおらず、監査役が会計監査の(会計監査を含む)監査報告書にサインをしました。(当然、監査法人さんには監査はしていただいてはいたわけではありますが、ちょっとドキドキ。:-)

 

取締役の方々も、この5年でほとんど入れ替わりました。

学生時代から当社に関わってたイキのいい人達の役員会も面白かったですが、現在は、他の会社等で経験を積んだ一線の方々が取締役に加わって、非常に頼もしい取締役会に成長したのではないかと思います。

 

また、総会後は、ハートワース・パートナーズ株式会社代表取締役/公認会計士の青柳 立野(あおやぎ たつや)氏に社外監査役にご就任いただく予定。こちらも大変頼もしい方です。

 

投資家や顧客のみなさん、お取引先、役員、従業員のみなさん、お世話になりました!

今後ともよろしくお願い致します。<(_ _)>

 

(ではまた。)

 

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週刊isologue(第59号)ベンチャー企業の株主を「追い出す」方法(第2回)

今週の週刊isologueも、先週に引き続いてベンチャー企業の株主を「追い出す」方法について考えてみます。

 

先週も書きましたが、株式会社の経営者や大株主は、少数株主の利益に十分配慮して経営をすべきです。
株主に報いるように行動するのが株式会社ですから、株主の権利をないがしろにするなんてことはとんでもないですし、ましてや、将来上場を目指すようなベンチャー企業ならなおさら、株主の権利を軽く考えるなんてことは許されません。

一方で、そうは言っても、やはり人間がやることですので、特に非上場の小規模な企業においては、反りが会わない株主などいっしょに会社をやっていくのは、結局誰も幸せにならない、ということもあるかと思います。

 

先週考えたのと同じ、「スクイーズアウトされる株主と違う会社で事業を行う」という(「クラウンジュエル」的な)考え方をベースに、上記のような問題を改善する工夫をしてみたいと思います。

 

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今週の目次&キーワードは以下の通り。

  • 株式交換を使って別会社に移す方法
  • 株式移転を使って別会社に移す方法
  • 持株会社に株式を譲渡する方法
  • 貸株を使う方法
  • 現物出資を組み合わせる方法

 

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週刊isologue(第58号)ベンチャー企業の株主を「追い出す」方法(第1回)

今週の週刊isologueはベンチャー企業の株主を「追い出す」方法、について、です。

 

「株式会社は株主のものだ」かどうかはさておき、株式で調達した資金を「自己資本」と呼ぶように、株主は同じリスクを負う「仲間」です。

上場を目指すベンチャー企業は、株主に報いる経営をする気があるかどうかが上場審査等で問われますし、上場を目指さない企業であっても、この「株主の権利」を粗末に扱うなんてのは、もってのほかであります。

つまり、一度株主になってもらったら、後から「出て行ってくれ」と言うことは非常に難しいですし、どんな株主に何株持ってもらうかという「資本政策」は、設立当初から慎重に考えて策定することが重要です。
資本政策をやり直すことは、後になればなるほど難しくなるということは、この「週刊isologue」でも繰り返し申し上げてきました。

 

しかし、そうは言っても、日本の場合、設立した直後に上場までを考えてアドバイスしてくれる専門家というのは少ないし、ベンチャー企業側もそういった相談をすることを思いつかないことも多い。
だから、一番重要な初期の段階で、知識がないばかりにヘンな株主をヘンな具合に入れてしまって後から後悔するというケースは多いはずです。
また、知識があっても、人間がやることですので事前にいくら考えても完璧なんてことはないわけでして。

 

このため、後から「この株主に出て行っていただけないかなあ」と思うことは、まま発生するかと思います。

株主に出て行っていただくことやその手法は、スクイーズ・アウト(squeeze out)と呼ばれます。
今週から何回か、未上場のベンチャー企業が行うスクイーズアウトの手法について考えてみたいと思います。

 

会社法を勉強された方は、

商法時代と違って、会社法では「全部取得条項付種類株式」や「現金対価の合併」等が認められるようになったから、議決権の3分の2以上を押さえて特別決議さえすれば、株主を追い出すことは簡単なのでは?

と思われるかも知れません。

しかし、ベンチャー企業の実務となると、株主総会の決議が通るだけではなく、

  1. そのスキームを実行するのに、リーガルフィーはいくらかかるのか?
  2. 裁判所が関与するスキームか?話がこじれて訴訟になっても裁判所を納得させられるか?(つまり「フェア」か?)
  3. 株主に出て行ってもらうために、いくら「お金」を用意すればいいか?
  4. 出て行く株主に税金がどのくらい(どう)かかるか?
  5. 残る株主達に税金がかかったりしないか?

等、いろんなことを考えないといけません。

つまり、スキームの公正性(「フェア」かどうか)の問題、各株主の取得価格と現在の株式の時価の差額等、いろいろな要素を考慮する必要が出て来るわけです。

 

そこで今回は、

  • 比較的時価総額が小さいベンチャー企業で、
    (VC等からのファイナンスが行われておらず、企業価値が1億円前後くらいまで)
  • 出て行っていただきたい株主の持株比率合計は、10%未満くらい
  • 出て行っていただきたい株主の株式の価値は、せいぜい数百万円レベル
  • その株主が得るキャピタルゲインも百万円単位

というケースに絞って考えたいと思います。

つまり、株主とこじれたといっても、まだ「初期症状」で「病状も軽い」ケースですね。

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というわけで、今週の目次&キーワードは以下の通り。

  • ベストな方法は?
  • 「全部取得」が創業期ベンチャーに向かないわけ
  • 対象となる株主が少ない場合の問題(「端数」処理)
  • 会社を「やりなおし」したらどうか?

 

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