「冬のソナタ」と韓国のメディア構造

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「冬のソナタ」ネタ、もうこれくらいにしときますが・・・。
奥さんが買ってきたAERA臨時増刊「ペ・ヨンジュン」で知る韓国
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という本によると、韓国のテレビは、

ケーブルなどもあるが、主流は3局4チャンネル。人気番組の視聴率は50%を超す。

とのこと。50%超。紅白歌合戦がゴロゴロしてるという感じでしょうか。

延世大のユン・テジン助教授は、「視聴率を高める効果をねらい、親兄弟、祖父母とすべての世代を登場させるのが典型的です」と指摘する。(中略)基本的には道徳的であるべきという意識があり、家族で安心して楽しめる。

日本のテレビ番組のように、視聴者のセグメンテーションが行われてないんでしょうね。
「大問題」になった麻木久仁子さんの「冬ソナはまどろっこしい」というコメントも、根本的な構造として、こうした「子供からおじいちゃんおばあちゃんまで楽しめるためのわかりやすいつくり」があるのではないかと思います。
冬ソナも、基本的には「28歳にもなっておでこにチューだけ」というノリなのですが、

祖父母が出てこず、会話が静かで美しい風景を見せる部分が多い「冬ソナ」は、韓国の典型ドラマではない。

と、ちょっとはマーケットのセグメンテーションを行っているもよう。
ちなみに、冬ソナで最も「暴力的な」シーンが、幼なじみの男性が主人公の女性に無理矢理キスしてベッドに押し倒し、女性がそれを振り払って逃げるというシーンなのですが、これを見ていたうちの小学校低学年の息子二人は、「うわ。この男、何してんだ?血を吸おうとしてるのか?怖えー」と怖がって騒いでました。
確かに、小学生低学年用の作りにはなってなかったようです。(笑)
また、韓国と言えば、ブロードバンドの普及率で世界トップクラスですが、

韓国では、大勢が同じドラマを見て盛り上がる。たとえば冬ソナが放映されていたとき(中略)ドラマが終わるやいなやパソコンに向かった。ここがよかった、あそこはどう、とサイト上で議論を始めるのだ。(中略)
冬ソナを撮ったユン・ソクホ監督はこんなことを言う。
「意見をすべて受け入れるわけではありませんが、参考にするときもあります。」(中略)
この「双方向性」も人気の要因だ。週2回のドラマ放映で、放映日の直前まで大急ぎで撮る。シリーズ放映前にかなり撮影が進んでいる日本とは違う、ダイナミックな作り方だ。

ということだそうで。
「超大衆型」のテレビと「超ニッチ」のインターネットが併存するというところが非常におもしろいですね。
韓国は日本よりインターネットにハマっちゃう人が社会問題になってるのではないかと思いますが、もともとそこそこスレてた日本と異なり、「ピュア」なものしか存在しなかったところにいきなり「邪悪な」インターネットが出現した落差が大きかったのかも知れません。
ではまた。

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