週刊isologue(第117号)GrouponのIPO資料を読む(ビジネスモデルまとめ編)

さて、グルーポンについては、日本法人の買収(第114号)、米国本体の資本政策(第115号)、コーポレートガバナンスとドイツ法人の買収(第116号)と見てきましたが、今週は、それらを総合して、グルーポン・ビジネスの全体像を振り返っておきましょう。

 

今回の号は、「かなりセンセーショナル」といったご感想を複数の方々からいただいてますが、非上場であるのに創業者らに数百億円の資金がわたっているというのが、どうしても腑に落ちないので、あくまで可能性として、ですが、これが「良くない」目的に使われている可能性についても考えてみました。

 

目次とキーワード:

  • 貸借対照表(資本政策、Class B株など)
  • 損益計算書(「オーガニックではない」成長)
  • 「売掛金」「買掛金」の量の不思議
  • 「退蔵益」と財務諸表へのインパクト
  • ファイナンスの観点から見た問題点
  • 未公開でありながら、なぜ創業者らに数百億円規模の資金が環流?
  • 理論的に仮説として考えられる、その資金の「良くない」使い道

 

(ではまた。)

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婿(候補)は、うちの子の生まれたブリーダーさんのところにいる、ベルギーからやってきた子だそうで、数ヶ月前、奥さんがブリーダーさんのところまで行った時には、ものすごく、うちの娘が気に入って、フェンスの向こうで大はしゃぎだった、とのこと。

 

しかし、嫁に行くと行っても、1週間ほどブリーダーさんのところに滞在して、帰って来るのであります。

妊娠の確率は、だいたい50%とのこと。
(ブリーダーさん曰く、純血種はどうしても確率は下がるのだ、とか。)

そして、何匹生まれるかはわからない。

うちの娘は4匹生まれたうちの1匹でしたが、6匹のときもあれば10匹の時もあるそうで。

 

こうなると、非常に大きな財務リスクも負うのであります。

万が一誰も子犬の引き取り手がいなかったら・・・捨てる訳にもいかない「いのち」です。

うちの娘が来た時には、3ヶ月でまだ10kgくらいでしたが、 

 

201106240941.jpg

 

今やなんと40kg。

40kgのが家に10匹もいたら、400kg・・・であります。

 

3ヶ月くらいは母親から引き離さない方がいいということなのですが、出産や子育てもめちゃくちゃ大変そうなので、うちの奥さんは当初、ブリーダーさんのところ(関西)に数ヶ月預けっぱなしにしたら、節電的にもいいのではないかと考えていたのですが、関西電力も節電することになっちゃいましたし。

 

結局、夫婦で散歩中に出会ったこの子

の飼い主さんに、

「自宅で出産させるべきよ。それはもう、一生でこれほどのことはない、というほどの喜びに包まれるわよ。まさに生命の神秘!大変?ものすごく大変だけど、それをはるかに上回る喜びがあるから。」

と言われて、自宅で出産させることに

 

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嫁ぐ日

生まれて3ヶ月の時にうちに来たわんこ(またの名を「非常勤事務所犬」)が、早くも3歳のお年頃になりました。
“女の子”です。

 

201106240920.jpg
(今朝、事務所前にて。)

 

「妊娠させないなら避妊手術をした方が寿命が長くなる」という説もあり、「でも、生物として遺伝子を後世に残させてあげたいじゃないか」という思いもあり、夫婦の間でもあーだこーだと議論をしてたのですが、ついに、うちの奥さんが「よし。出産させるぞ!」と男らしく決断。
1ヶ月ちょっと前に、ブリーダーさんのところに行って、お婿さん候補まで決めて来てしまいました。

 

いやもう、そうなると私はブルーですわ。

 

人間の子供は息子2人なので、結婚式で、

「お父さん、お母さん・・・今まで育ててくれてありがとう・・・」

なんて手紙を読まれて、大勢の出席者の前で泣くなんて恥ずかしいことをせずに済むと思っていたのに、まさか、わんこの娘にこんな気持ちにさせられることになろうとは。

 

SONYのこのサイト

 

のように、娘が我が家にやってきた日から今までのことが走馬灯のように蘇ってまいります。(T^T)

 

そして、数日前から我が娘が発情期に入り、ついに今朝、うちの奥さんが運転する車で半日かけて関西のブリーダーさんのところまで旅立っていきました。

(気をつけて行って来いよー!(T^T)/)

 

というわけで、弊ブログはしばらく「わんこの嫁入り・出産日記」ネタが混じるかもしれませんが、ご容赦ください。

 

(続く)

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週刊isologue(第116号)GrouponのIPO資料を読む(ガバナンスとドイツ法人編)

今週こそ、IPO申請したGroupon(グルーポン)のビジネスモデルについて取り上げようと思っていたのですが、コーポレート・ガバナンスと、買収したドイツ法人について調べていたら、またもや、かなりのボリュームになってしまいましたので、今回は「ガバナンスとドイツ法人編」ということにさせていただければと思います。

(次週こそ、ビジネスモデルに踏み込みたいと思います。[あくまで予定ですが…])

 

目次とキーワード:

  • グルーポンの役員はどんな人たち?
  • CEOよりも、会長Lefkofsky氏が…?
  • 取締役や監査委員会の独立性
  • ドイツ法人と日本法人の買収条件が雲泥の差なのは何故?
  • 買収の「contingent consideration(条件付対価)」の処理
  • 日本とEUの地の利の差

 

(ではまた。)

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Yomiuri Online連載第8回目「資金のプレッシャーに押しつぶされないためには」

Yomiuri Onlineに連載させていただいている「磯崎哲也の『起業案内』」第8回目が掲載されました。

http://www.yomiuri.co.jp/job/entrepreneurship/isozaki/20110614-OYT8T00569.htm

 

今回のテーマは「資金のプレッシャーに押しつぶされないためには 」。

「『軽々しく』起業することはその人のためにならない?」という問いに対する、資金調達の観点からの解答です。

ご参考まで。

 

(ではまた。)

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週刊isologue(第115号)GrouponのIPO資料を読む(米国本社資本政策編)

先週から分析しているGroupon, Inc.(「グルーポン」)の上場申請の書類 Form S-1は、決算が強烈なド赤字なのをはじめとして不思議感満載なので、今週はぜひそのビジネスモデルに切り込んで見たいと思っていたのですが、まずは資本政策からと思って抜き出し始めたら、それだけでかなりのボリュームになってしまいました。
(A4に印刷すると47ページ。引用が多いのですが「メルマガ」としては異様なボリュームです。[笑])

というわけで、今回は「米国本社資本政策編」として、過去の増資や、謎の「償還」、株主構成はどうなっている?といったあたりを中心に見ていきたいと思います。

 

目次とキーワード:

  • 「dual class structure」
  • 「Class A普通株」のリスク
  • いわゆる「買収防衛策」
  • 現状の株主構成(誰が大株主か?)
  • 複雑な持株構造
  • スタバのSchultz氏も社外取締役で出資
  • 株式発行の履歴
  • 「特別利害関係者(内輪)」への数百億円の還流の不思議
  • 貸借対照表の純資産の部から資本構造を抜き出す
  • 資本構造の推移、まとめ表

 

ご参考になれば幸いです。

 

(ではまた。)

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週刊isologue(第114号)GrouponのIPO資料を読む(日本法人を中心に)

先週6月2日に米国のGroupon社(以下「グルーポン」)がIPOを申請しました。

「ものすごいスピードで売上は上昇しているが、連結(全世界)で見てかなりの赤字である」といった解説記事がネット上でも出始めていますので、このグルーポンのIPO申請書類全体に対してコメントして新味はあるかなあ?と思って読み始めたのですが、

同書類に、日本法人であるグルーポン・ジャパン株式会社(以下「日本法人」または「グルーポン・ジャパン」)についての記載がかなり大量にあるので、今回は、この日本法人に焦点を当てて、

  • どのように日本法人を「買収」したのか
  • どのくらい手数料率があるのか
  • どのくらいの赤字なのか
  • 親会社からの資金供給はどのように行われているのか
  • 創業者や投資家は、今回のIPOはどう関係するのか

等についてコメントしたいと思います。

特に、日本のベンチャー企業が米国の企業の子会社になって、その直後に米国企業がIPOして開示資料との付き合わせができる機会というのはなかなか無いので、ご興味のある方にはたまらないんじゃないかと思います。:-)

 

目次とキーワード:

  • グルーポンの概要
  • フラッシュマーケティング
  • Form S-1の概要(添付資料等)
  • 財務数値
  • グルーポンのビジネスの鍵は?
  • グルーポンの粗利益率
  • 登記簿から見る、日本法人の概要
  • 日本法人への投資の変遷
  • 登記簿での投資の検証
  • ドイツ法人(CityDeal Europe GmbH)の買収
  • 推定される資本政策表
  • 買収直前の日本法人の注記に注目

(ではまた。)

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Yomiuri Online連載第7回目 「まどか☆マギカ」で考える「インキュベーター」の役割

こんにちは、磯崎哲也です。本日はベンチャー企業を育てる「インキュベーター」について考えてみましょう。

 ネットやIT系の企業については、ベンチャー企業を立ち上げる投資額は非常に小さくなりつつあります。同じ性能のハードウエアのコストが数年で半減する「ムーアの法則」と、実用に耐えるオープンソース(無料)のソフトウエアの増加により、10年前に比べて、同じことをやる場合の投資額の桁が1つ2つ小さくて済むようになってきているわけです。

 するとどうなるか。
 全体として、資金を供給する投資家よりも、資金の提供を受ける起業家の立場の方が強くなります。(もちろん、「イケてないベンチャー企業でも簡単に資金調達できる」なんてことがあるわけはないので、あくまで「全体」「マクロ」で見た場合に、そうした方向の構造変化が起こっているという話です。)
 このため、投資家は、成長の見通しが確実になって来たミドル、レイターといった段階以降に投資をしていたのでは、必ずしもイケてるベンチャー企業に投資できないことも多くなってきました。つまり、ベンチャー企業に投資する立場の人は、単にカネさえ持っていればいいわけではなく、「カネ以外」の魅力を打ち出す必要が大きくなってきているわけです。

 そうした差別化を図る方法の一つとして、ベンチャー企業の体制がまだ整わない、設立前後の早い段階から面倒を見る、ということがあります。
 そうした初期段階のベンチャー企業は、「いいエンジニアはいないか?」「この戦略で正しいのか?」「資金をどうやって調達すればいいのか?」「株式を誰にどのくらい渡して、いくら調達するのか?」といった、さまざまな悩みを抱えています。そうした疑問を誰に尋ねればいいのかすらわからないことも多い。そうしたことについてワンストップで尋ねられて、さっと答えが返ってくる人がそばにいると、非常に心強いですよね。

 「インキュベーター」は、そうしたベンチャービジネスを起業後の非常に早い段階から、起業に関する情報、資金、オフィスなどを支援してくれる存在です。アメリカでは、ポール・グレアム氏がやっている「Y Combinator」というインキュベーターが有名ですが、日本でも、いくつもインキュベーターが活躍しています。「いいインキュベーター」がたくさん出て来ることは、日本のこれからのベンチャーコミュニティの発達にとって、極めて重要だと思います。

しかし。
 今年に入って、この日本の「インキュベーター」の将来に大きなインパクトを与える出来事が起きました。それは「魔法少女まどか☆マギカ」というアニメが一部で大きなブームを巻き起こしたことです。(半分冗談ですが、半分本気です(笑))。
 ネタバレしないように申し上げるのが難しいのですが、つまり、このアニメでは「インキュベーター」という存在が、あまりよく描かれていないわけなんですね。

 念のため申し上げておきますと、私の存じ上げているインキュベーターの方々は、みなさんいい人ばっかりです。しかし、Y Combinatorのポール・グレアム氏が、「(ベンチャー企業が)資金を欲しがっているとわかると、投資家はつけ込んでくることもある」と言っているように、投資家と契約する際には、十分、注意が必要です。

 インキュベーター(incubator)の元の意味は、赤ちゃんが入る「保育器」のことです。
 ベンチャー界においてインキュベーターという用語が使われ出したのは、ユーモアの意味合いも大きいと思いますが、考えようによっては、「インキュベーター」というのは、「インキュベートされる側(ベンチャー企業など)」を、赤ちゃん扱いしているとも言えるわけです。「同じ知的生命体」として見てはいるものの、圧倒的な立場の差があるという、インキュベーターからの「上から目線」を感じる人もいるかも知れません。
(もしかしたら、日本ではもう「インキュベーター」に変わる言葉を使った方がいいのかも知れませんね。(笑))

 経済学的に言うと、取引を行う者の間に「情報の非対称性」と呼ばれる大きな情報格差が存在するわけです。
 こうした情報の非対称性が存在する状況下で「契約」を行うと、どうしても、情報が少ない側の人は、不利な契約を結ばされてしまう可能性が高まります。 情報の非対称性が大きい例として、「医者と患者」「弁護士とクライアント」「証券会社と個人投資家」などの間の取引がよくあげられますが、これらの例においては、情報を持っている側に資格や免許制度を導入して、安心して取引が行えるようにしているわけです。

 しかし、ベンチャー企業がそうした制度的な保護を受けることは、あまり期待できません。
 1つには、ベンチャー企業は「イノベーション」を進める存在だから、ということがあります。パターン化された成熟産業ならともかく、誰もやったことがないことを一定の基準で規制するなんてことは難しいでしょうし、規制でがんじがらめにしたらベンチャー企業が成長出来ないので規制するべきでもないと考えます。
 2つめに、「弱者」とみなされることが多い個人の消費者と違って、法人などで事業を行う場合は、基本的に「一人前の存在」として扱われます。生まれたばかりの子供を保護する必要があるのは当然ですが、設立したばかりの法人は「弱い存在」とは限らないからです。ベンチャー企業の人材にも、大企業で成功した経験のあるソフトバンクの孫さんやユニクロの柳井さんのような人がいるかも知れないし、資金調達したら資本金もすぐに億単位になります。画一的なルールで「保護されるべきベンチャー」を定義するのは非常に難しいのです。

 ビジネスをやる上では様々な障害があるのは当たり前であり、そうした障害をかいくぐる能力が無いとベンチャー企業の成功は望むべくもありません。「日本は社長保証を取られる風習がある。だからベンチャー企業が育たないんだ」といったことを言う方がいらっしゃいますが、ベンチャー企業の立場に立てば、それは「甘え」に過ぎません。ベンチャー企業の経営者は、騙されて契約書にハンコを押させられる寝たきりの老人とは違います。自分が納得できない契約なら、契約しなければいいし、するべきではないのです。

 アニメにも実社会にも共通する教訓は、「契約する際には、十分すぎるほど注意せよ」ということです。相手がなぜその契約を結びたがっているのか、相手はこの契約の対価として何を得るのか、契約にはどのような義務が伴うのか、どのような条件が発生すると契約が終了するのか、契約終了後はどうなるのか。そういった注意は、(ベンチャー企業に限らず)必要です。
 創業はタイミングも重要ですし、ビジネスのアイデアを思いついたときは熱くなっていることも多いので、つい中身を考えずに「契約」をしてしまいがちなのですが、そこで踏ん張ってよく考える必要があります。もちろん、慎重になればなるほど結果が良くなることが保証されるわけでもないですし、スピードが遅くてタイミングを逸するベンチャー企業も非常に多いので、難しいのですが。

 前回「なぜイケてる上場企業が少ないのか?」という話をしましたが、ベンチャー企業も最初はみんな「希望」を信じて起業するわけです。そのベンチャー企業が、間違った資本政策や契約のせいで、うまくいくはずもない上場して、呪いをもたらす存在に変わってしまうとしたら、それは非常に悲しいことですよね。
希望を信じた起業家を、私は泣かせたくない。最後まで笑顔でいて欲しい」というのが、私の祈りであり願いです。そして、それを実現するために必要なのは、「煽るのでも悲観するのでもない、正しい情報」であり、「うまくいかなくても最悪の事態に陥らないための正しい知識」だと思います。それが世の中に広く伝わっていくよう、引き続き努力していきたいと思います。

(ではまた。)

【2012/10/19】Yomiuri Onlineのサイトで古いものから記事が消えているようなので、ブログに記事を掲載しました。(私の元原稿に基づいているので、Yomiuri Onlineに掲載された表現と若干異なる可能性があります。)

元のリンク(リンク切れ):
http://www.yomiuri.co.jp/job/entrepreneurship/isozaki/20110531-OYT8T00567.htm

当初このタイトルは、読売新聞の編集の担当さんに、

「まどか☆マギカとっても、マイナー過ぎて誰もわからないんじゃ?」

と言われて、ボツになるところだったんですが、別の編集の方が「『まどマギ』はキてますっ!」と、強烈にプッシュしていただいて、奇跡の復活wwを遂げた次第です。

はてなブックマークでも、あっという間に、この「起業案内」の連載でも、現在(15:51)過去最高の66個のブックマークをいただいております。[追記]2012/10/19に見たら387個になってました。

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