昨日のNNN「今日の出来事」の報道によると、ライブドアさん(熊谷副社長)は、取材に対して「当面、フジテレビ株取得は中止」とコメントされたようですね。
Apricotさんに教えていただいた毎日新聞の記事
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050323k0000m020115000c.htmlによると、
通常の株主割当増資は手続きに最低25日必要だが、あらかじめ登録することにより手続きが2週間に短縮できる。TOB期間は最短で20日間のため、敵対的TOBを仕掛けられてから手続きを始めても、TOB終了までに新株を割り当てる株主を確定できる。TOBは増資前の旧株だけが対象になるため、増資完了後はTOBの買い付け者の保有比率が相対的に低下、結果的にTOBを失敗させる仕組みだ。
ということで、TOBが最短20日というところを使ったところがミソということですね。
同記事では、フジテレビ幹部の発言を引用して、
この手法のポイントは、新株発行の方法を「株主割当」にしたところにある。全株主に新株を割り当てるため、特定の株主に有利・不利が生じず、「裁判などで差し止められるリスクがない」(フジ幹部)という。
と言ってますが、47thさんの「日本版『ポイズン・ピル』も楽じゃない?」や本日の日経朝刊3面では、株主割当でも差し止められるリスクはゼロとは言えない、とおっしゃってます。
ただし、TOBに資金供給するレンダーは、この差し止めの可能性に賭けてくるかというと、ちょっと難しそうですね。「TOB期間中に新株や新株予約権の発行が行われた場合には資金供給しない」という条件付きの契約にしたらレンダーのリスクは限定されるかも知れませんが、それだとTOBする買収者が債務不履行になっちゃいます。
では、買収者が「TOB期間中に新株や新株予約権の発行が行われた場合にはヤメ」という条件でTOBできるかどうかですが・・・証取法と公開買付府令をさらっと読んだ限りでは、そうした条件付きで公開買付していいか悪いかは、ちょっと読み取れませんでしたが・・・。(追記:47thさんおっしゃるように、基本的にはできないと解すべきなんでしょうね。)また、実際問題、そうした条件付きで法廷闘争が繰り広げられる中で応募する人がいるのかどうか・・・。
同記事ではさらに、
ただ、ライブドアがニッポン放送株を大量取得した時のように、TOBなしに大株主が突然現れた場合には、効果は限定的だ。敵対的株主にも新株が割り当てられるため、この株主の株式の保有比率を引き下げることはできない。ただこの株主は新株を購入する追加資金は必要になる。
といってますが、ライブドアに限定して言えば、市場買付でフジテレビ株を何千億円分も買うというのは、T+3[日]でお金を払わないといけないため強力な抑止策になってるわけです。ただし、(例えばトヨタのような)キャッシュリッチな会社が自己資金で買っていくのを防ぐことはできないということですね。
(ではまた。)
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