Google+、はじめました。

6月末にテスト運用を開始して、すでにユーザーは2000万人を超えたとも言われる Google+ですが、私も先週あたりからはじめてみました。

私のページはこちら

 

201107282147.jpg

 

Google+の特徴を簡単に言うと、

  1. デザインがおしゃれ。
    使っていて、なんか気持ちいい。
  2. 「サークル」という概念で、情報を送信する範囲を変えられる
  3. ツイッターのように140文字の文字制限が無い
  4. Facebookと同様、実名が原則。
  5. しかし、ツイッターと同様に、フォロー(「サークルに追加」)するのには相手の許可を必要としない。

といったところでしょうか。

 

続きを読む

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

Yomiuri Online連載第10回目 いい「生態系」の連鎖に入れ

Yomiuri Onlineに連載させていただいている「磯崎哲也の『起業案内』」第10回目が掲載されました。

http://www.yomiuri.co.jp/job/entrepreneurship/isozaki/20110725-OYT8T00783.htm

 

今回のテーマは「いい「生態系」の連鎖に入れ 」。

経営者は、その属する「コミュニティ」の影響を強く受けて成長するものなのだ、という話です。

ご参考まで。

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

週刊isologue(第121号)Apple空前の好決算と、その財務・会計方針

今回は、先週19日に空前の好決算を発表したApple Inc.(アップル)について、その資金運用や採用されている会計方針を中心に見てみます。

 201107271012.jpg

目次とキーワード:

  • 財務諸表(フロー面)を見る
  • 地域別(日本も伸びているがAsia-Pacificすごい)
  • 製品別(売上構成比、まったく変わっちゃったね)
  • 連結の範囲、子会社
  • 資産運用会社「Braeburn Capital, Inc.」
  • ハード・ソフト・サービスが混ざった収益の認識(米国GAAP)
  • iCloud等の売上の計上は?
  • スティーブ・ジョブズ氏のプライベート・ジェット利用と健康
  • 日本の東日本大震災の影響

 

201107252132.jpg

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

「コクリコ坂から」見て来ました(ネタバレ、ローカルネタ注意)

「コクリコ坂から」を見て来ました。

個人的な感想としては、ナウシカ、トトロ、千尋、ラピュタ、魔女は岩盤なので「ベスト5」とまでは行きませんが、ジブリ映画でベスト8には入るかな、と。
ゲド戦記の悪評からは想像できないほどの、いい作品ではないかと思います。

以下、ストーリーというよりは、「横浜をモデルにしてるらしいけど、あのシーンのあれってどこ?」といった、ネタバレ、ローカルネタおかまいなしのお話を書き綴ってみたいと思います。

 

続きを読む

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

週刊isologue(第120号)2011年上半期+αの総集編

今年上半期の記事を一覧する「総集編」をお届けさせていただきます。

 

詳細は、以下をご覧下さい。
(以下、リンクはブログでの紹介にリンクしています。)

 

(第92号)謹賀新年(2010年の「週刊isologue」総集編)

昨年2010年の週刊isologueを振り返ったものです。
2010年のバックナンバー一覧は、こちらをご覧下さい。

 

■フェイスブック編

今年に入ってから、1つのテーマを数回に分けていろいろな角度から取り上げるケースが増えましたが、1月から2月にかけては、フェイスブック(Facebook)を取り上げました。

「フェイスブックはバブルだ」という評論も飛び出す中、未上場できちっとした財務情報等も開示されていませんが、途中にIPOを発表した比較的類似性のある業態の「LinkedIn」も含めて取り上げました。

 

(第93号) フェイスブックは「バブル」なのか?(序章)

結局取りやめになりましたが、フェイスブックが未上場のうちにファンド等を使って資金を公募することが報道されたため、類似のことを日本でやろうとした場合の法規制についてまとめました。

 

(第94号) フェイスブックは「バブル」なのか?(「映画に学ぶ」編)

映画「ソーシャル・ネットワーク」が公開され、「フェイスブック 若き天才の野望」(日経BP社)も出版されたため、これらを頼りにフェイスブックの実像に迫りました。
(含む、資本政策や未公開株取引市場など。)

 

(第95号) フェイスブックは「バブル」なのか?(類似会社編)

201107182118.jpg

世界におけるフェイスブックのシェアや、世界におけるフェイスブックのライバルについて取り上げました。

 

(第96号) LinkedIn(リンクトイン)のIPO

ビジネス向けのSNS「LinkedIn」の「Form S-1」の財務情報等から、SNSのビジネスモデルを考えてみました。

201101311702.jpg

 

(第97号) フェイスブックは「バブル」なのか?(企業価値編)

最後にフェイスブックの企業価値について考えました。

201102080019.jpg 

 

■MBO編

昨年末からMBOを進めていた幻冬舎をはじめ、1月に入ってからイマージュホールディングス、ワークスアプリケーションズ、エノテカ、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、アートコーポレーション、田中亜鉛鍍金等が次々にMBOを発表したため、MBOについて研究してみました。

 

(第98号) 「春のMBO祭り」絶賛開催中!

幻冬舎の株主総会を目前にした今までの整理と、その他MBOしている各社の紹介など。

 

(第99号) 「春のMBO祭り」(その2)

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)のMBOについて深堀りしてみました。

 

(第100号) 「春のMBO祭り」(その3)

ワークスアプリケーションズのMBOについて深堀りしてみました。

 

■Convertible Note編

アメリカの創業間もないベンチャー企業でよく使われる(けど日本ではまだあまり知られていない)、株式への転換権が付いた借入れ(Convertible Note)の活用について取り上げました。

 

(第101号) ベンチャー企業における転換権付借入の利用(その1)

実際にシリコンバレーで使われているConvertible Noteのひな型を元に、Convertible Noteの性質について探ってみました。

 

(第102号) ベンチャー企業における転換権付借入の利用(その2)

(東日本大震災が起こった直後の回。)
「オプション」として考えた場合のConvertible Noteの性質について考えてみました。

 

(第103号) ベンチャー企業における転換権付借入の利用(その3)

このConvertible Noteを日本法のもとで実装しようとしたらどうなるか?について考えてみました。

 

■電力事業編

福島の原発事故によって、電力会社のビジネスモデルや、電力会社を取り巻く法令等について考えずにはいられない状況になりました。

 

(第104号) 東京電力(基本編)

まずは、東京電力の開示資料をもとに、「巨額の廃炉コスト等は考えられているのか?」「 東京電力はリスクをどう開示していたか?」「コーポレートガバナンスについてはどうだったのか?」等について考えてみました。

 

(第105号) 東京電力(ビジネスモデル編)

前回は主にストック面を見ましたので、今回はフローを中心に、東京電力という会社のビジネスモデルを概観してみました。

 

(第106号) 東京電力(原子力発電のコスト編)

原子力発電のコスト構造について、報道されている内容等は当たっているのか、考えてみました。

201104120945.jpg

 

(第107号) 東京電力(債務超過か否か?編)

いろいろな処理案が出て来ましたが、そもそも東京電力が債務超過なのかどうかというのが重要。
会計の観点から、東京電力が債務超過なのかどうか等について、賠償額のシミュレーションなども含めて予想してみました。

 

(第108号) 東京電力(収支予想編)

債務超過かどうかもさることながら、今後の収益力を考えないと、東京電力の「処理」をどうしたらいいかもわからないので、収益がどのような推移をたどるのかを予想してみました。

(第109号) 東京電力(電力料金への影響編)

201105022351.jpg

「東京電力の原発被災者への補償や、経営の悪化で社債の金利等が上がることによって、電気の料金にどう影響があるか?」について考えてみました。

 

(第110号) 首相の「要請」と中部電力のコーポレートガバナンス

5月6日に菅首相から中部電力に対して、浜岡原発のすべての原子炉の運転を停止する要請がありました。
火力への切り替えは電力会社の経営を千億円単位で圧迫しますが、中部電力は、政府の言いなりで、こうした要請をすんなり受けてしまうのか、それとも株主の利益を守るコーポレートガバナンスの機能は果たせるのか?、役員構成等を検討して、「東京電力とは必ずしも同じでは無いんではないか?」といったあたりを検討しました。

 

(第111号) 東京電力の原発事故賠償スキームの分析

政府から発表された賠償スキーム案の内容を見るとともに、公的資金を投入する場合などの詳細なスキームを検討し、それが、東京電力の財務に与える意味を考えました。

 

(第112号) 東京電力の「意外?な好決算」を読み解く

5月20日金曜日に、遅れていた東京電力の平成23年3月期の公表が行わましたが「増収で経常利益ベースでも増益」という、ものすごくいい決算でした。

災害損失に関する引当金や損害賠償について、東京電力はどう処理したのかを詳細に検討しました。

 

(第113号) ソフトバンクの電力参入とコーポレートガバナンス

ソフトバンクの孫正義社長が5月下旬、「自然エネルギー」事業への参入を発表しました。
こうした判断がどのようなコーポレートガバナンスの下で行われ、また、この発電に冠する定款変更の議案は株主総会で可決されるのか、それとも否決される可能性もあるのか、といった点について考えました。

 

■Groupon編

GrouponがIPOを発表したため、開示されたForm S-1などの資料をベースに、Grouponやフラッシュマーケティングというビジネスの実態に迫ってみました。

 

(第114号) GrouponのIPO資料を読む(日本法人を中心に)

同Form S-1には、日本法人であるグルーポン・ジャパン株式会社についての記載がかなり大量にあるので、今回は、この日本法人に焦点を当てて、買収のスキーム等について考えてみました。

 

(第115号) GrouponのIPO資料を読む(米国本社資本政策編)

米 Groupon社の資本政策だけで膨大な情報が開示されているので、これを読み取っていったところ、巨額の資金調達の裏に、自己株式を使った創業者への巨額の資金環流等が行われていることが判明、その実態について分析しました。

 

(第116号) GrouponのIPO資料を読む(ガバナンスとドイツ法人編)

Grouponの役員がどういう人たちなのか、信用できる人たちなのか、という点と、ドイツ法人を買収して子会社化するスキームの内容や、日本法人買収との条件の差、等について検討しました。

 

(第117号) GrouponのIPO資料を読む(ビジネスモデルまとめ編)

今までの情報を総合して、 Grouponの財務情報の不思議な点、創業者への巨額の資金環流等がもし仮に良からぬ目的に使われているとしたら、どのようなことが考えられるか、等について考えてみました。

 

■Zynga編

ソーシャルゲームの「Zynga」もIPOを発表しましたので、

(第118号) ZyngaのIPO資料を読む(導入編)

Zyngaが提出したForm S-1から、Zyngaのビジネスの全体像を探ってみました。

 

(第119号) ZyngaのIPO資料を読む(ビジネスモデル編)

Zyngaがどういったビジネスモデルの会社なのか、Groupon、DeNA、グリー等を含めた財務内容の図解を行い、日本とアメリカのベンチャービジネスを対比させてみました。

  

以上です。

今後とも、引き続き、「週刊isologue」ご愛顧のほど、お願い申し上げます。<(_ _)>

 

以下、一覧:

(第92号) 謹賀新年(2010年の「週刊isologue」総集編)

(第93号) フェイスブックは「バブル」なのか?(序章)

(第94号) フェイスブックは「バブル」なのか?(「映画に学ぶ」編)

(第95号) フェイスブックは「バブル」なのか?(類似会社編)

(第96号) LinkedIn(リンクトイン)のIPO

(第97号) フェイスブックは「バブル」なのか?(企業価値編)

(第98号) 「春のMBO祭り」絶賛開催中!

(第99号) 「春のMBO祭り」(その2)

(第100号) 「春のMBO祭り」(その3)

(第101号) ベンチャー企業における転換権付借入の利用(その1)

(第102号) ベンチャー企業における転換権付借入の利用(その2)

(第103号) ベンチャー企業における転換権付借入の利用(その3)

(第104号) 東京電力(基本編)

(第105号) 東京電力(ビジネスモデル編)

(第106号) 東京電力(原子力発電のコスト編)

(第107号) 東京電力(債務超過か否か?編)

(第108号) 東京電力(収支予想編)

(第109号) 東京電力(電力料金への影響編)

(第110号) 首相の「要請」と中部電力のコーポレートガバナンス

(第111号) 東京電力の原発事故賠償スキームの分析

(第112号) 東京電力の「意外?な好決算」を読み解く

(第113号) ソフトバンクの電力参入とコーポレートガバナンス

(第114号) GrouponのIPO資料を読む(日本法人を中心に)

(第115号) GrouponのIPO資料を読む(米国本社資本政策編)

(第116号) GrouponのIPO資料を読む(ガバナンスとドイツ法人編)

(第117号) GrouponのIPO資料を読む(ビジネスモデルまとめ編)

(第118号) ZyngaのIPO資料を読む(導入編)

(第119号) ZyngaのIPO資料を読む(ビジネスモデル編)

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

Yomiuri Online連載第9回目:「お笑い」で考える「仲間との起業」

Yomiuri Onlineに連載させていただいている「磯崎哲也の『起業案内』」第9回目が掲載されました。

http://www.yomiuri.co.jp/job/entrepreneurship/isozaki/20110712-OYT8T00732.htm (今はリンクが切れています)

 

今回のテーマは”「お笑い」で考える「仲間との起業」”。

「アメリカでは『共同創業者』数名で起業するパターンが多いのに、日本の大成功したケースではなぜ、1人を中心に起業するケースが多いのだろう?」

という話です。

———————

今回は、「仲間と起業すること」について考えてみたいと思います。

アメリカにYコンビネータ(Y Combinator)という会社があります。(Yコンビネータのウェブサイトは、こちら。 http://www.ycombinator.com/
この会社は、設立して間もないベンチャー会社に資金提供を行っています。(「『まどか☆マギカ』で考える『インキュベーター』の役割」、という回でご紹介した「インキュベーター」という業態に相当しますが、ウェブサイトを見ても、彼ら自身はインキュベーターとは名乗っていないようですね。)

この会社を共同創業したポール・グレアム(Paul Graham)氏は、「我々が起業家に何を求めるか(What We Look for in Founders)」という記事の中で、「友情」を起業の重要な要素として掲げています。

経験的に言うと、たった一人で事業を始めるのは厳しい。ほとんどの大成功したベンチャー企業は、2人とか3人の起業家によって創業されている。そしてこの創業者たちの絆は強くなければならない。創業者たちは、お互いに相手のことが本当に好きで、いっしょによく働かないといけない。

なるほど、確かにアメリカで大成功している企業を考えてみると、友人同士でいっしょに起業しているケースが多いですね。
例えば、アップルはスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック。ヤフーはジェリー・ヤンとデビッド・ファイロ。グーグルはラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン。フェイスブックはマーク・ザッカーバーグの他数人のハーバードの仲間達、といった具合に。

ところが、最近の日本の起業を考えてみても、この「友人といっしょに起業する」といったパターンで大成功した企業が、それほど思い浮かびません。当然のことながら、会社は一人ではできないので、創業間もない頃でも何人かの役員や従業員はいますが、「共同創業」というよりは「一人の傑出したリーダーがいる」というパターンが多い気がします。
もちろん現代の日本でも共同創業的な例が無いわけではないですが、戦後間もない時期には、ソニーが井深大氏と盛田昭夫氏らの仲間で創業された、といった例がもっと多かった気もします。

ここで、この「仲間といっしょに何かを始める」ということを、「お笑い」の世界になぞらえて考えてみましょう。

日本は現在、世界の中で最も「お笑い」が発達している国ではないかと思います。これは一つには、吉本興業の「NSC」をはじめとする、芸能プロダクションが立ち上げた若手養成スクールの存在が大きそうですよね。つまり、日本の現在のお笑い界の繁栄は、過去のお笑いブームの影響もさることながら、アメリカのベンチャー界におけるY Combinatorのような若手養成機関の出現によってもたらされたのかも知れません。

加えて、現在の日本のお笑いは、一人で舞台に立つ「ピン芸人」より、お笑いコンビのような複数人のユニットの方が圧倒的に主流です。(アメリカでは逆に、漫才といった形式は無く、ピン芸人が主流じゃないかと思います。)
そして、日本で成功しているお笑いコンビ等は、お笑いで成功する目的のためのビジネスライクな関係というよりは、例えば「ダウンタウン」のように、子供の頃からの友達同士であったり、学生時代に同じクラブで苦楽を共にしたり、兄弟だったりと、元々信頼関係がある仲間どうしが組んでいるパターンが多いように思われます。

ベンチャー企業と同様、お笑いも、成功出来るかどうかの不確実性が大きい世界です。スクールという現代的な仕組みが出現したことで、徒弟制度時代より随分敷居は下がったはずですが、それでも最初の一歩を踏み出すのは、なかなか勇気がいるはず。そんな時、昔からいっしょにアホなことをやって遊んだ親友に「いっしょにお笑いやらへんか?」と声をかけて、共にスクールの門をくぐることができたら、何より心強いですよね。漫才コンビは2人の呼吸が合っていることが重要ですし、頭をハタいたりハタかれたりもするわけで、本当の「絆」が存在しないと、なかなか関係を維持することが難しいんじゃないかと思います。

ベンチャー企業の共同創業者達も、お笑いと同様、「お客にウケないと明日が無い」という厳しい世界にいます。言いたいことが素直に言えない関係だったり、ちょっと口ゲンカしただけで仲が壊れてしまう関係では、ベンチャーの共同創業者としていっしょにやっていくのは難しいのではないかと思います。

余談になるようですが、なぜアメリカではピン芸人が多くて、日本では漫才といった形式が多いのでしょうか?「文化の違い」といってしまえばそれまでですが、アメリカのように多様な文化に支えられている国では、比較的シンプルなネタでないと多くの人に共通する笑いにならないということがあるかも知れないですね。逆に日本は、国民の間に共通する文化や知識が多いために、よりヒネったネタにしないと面白さにつながらない。「ボケ」がイノベーティブであるほど、それだけでは浮いてしまいかねないので、それを「ツッコミ」が補完することで、レベルの高い笑いがテンポを緩めず、より多くの人に理解しやすくなるのかも知れません。お笑いの世界の競争も日本の方がより厳しいと思われます。

お笑いの世界と反対に、日本のベンチャー企業は社長が「ピン」で創業するケースが多いのに、アメリカでは「コンビ」や「トリオ」での起業が多いというのも、アメリカのベンチャーのおかれている競争環境が日本よりはるかに激しく、シンプルなネタでは勝負できないから、ということがあるかも知れませんね。

また、シリコンバレーでの起業は、最初から「どう世界展開するか」ということが投資家から求められます。しかし、日本の場合には日本の市場だけを想定するといった、相対的に「小粒」なパターンが多いと思います。
例えば、誰も手をつけていない数億円のニッチ市場を見つけたとしましょう。年間数億円の売上が立つというのは、普通の学生やサラリーマンの感覚からするとすごいことです。しかし、日本のGDPは500兆円もありますので、年間数億円の売上というのは、その日本経済全体の100万分の1程度にしか過ぎません。この程度のニッチなら、まあ結構ゴロゴロしているわけです。(・・・といっても、それを見つけるのは大変ですし、見つけた人は、何も考えずにサラリーマンやって給料もらってるよりは、はるかに立派であります。)

ところが、数億円の市場と言っても、従業員を雇ったり原価や経費が発生したりすると、利益はそれよりはるかに小さくなります。そうした小さなパイを数人の創業者で山分けすると、あまりおいしい話にはならなくなっちゃいそうですよね。
こういう場合には、他の人を事業に誘うのははばかられることになります。「他のやつに分け前をやるのが惜しい」という利己的な心のせいのみならず、「ちゃんと就職すれば年収1000万円もらえそうな優秀な友人を、リスクがある事業に誘って年収800万円で働かせ続けるというのでは申し訳ない」といった相手への配慮からも、友人を誘うのがためらわれることになります。

しかし、例えば会社の企業価値が百億円、1千億円、1兆円になるような壮大な夢を描いて起業する場合には、なにも一人で儲けを全部ガメる必要はありません。気のあった友達がいっしょにやってくれて企業価値が何倍にもなるんだったら、自分にも相手にもメリットがあることになります。

よく、「経営者は孤独だ」と言われます。一人でリスクや困難に立ち向かうというのは、精神的にもつらいので、苦楽をともにできる仲間がいれば、心強いことこの上無い。また、一人で考え込むよりも、本音をぶつけあえる仲間とディスカッションする方が、いいアイデアも出て来るはずです。

加えて、外部から見た場合にも、共同創業者数名によって創業された会社は、安心感があるかも知れません。
例えば、優秀そうな創業者が一人で事業を切り盛りしている場合、確かに優秀そうだけど、その人がコケた場合のリスクがあります。また、優秀そうでも、その人の事業見通しが本当に当たっているのかどうか、一抹の不安があるかも知れません。しかし例えば、共同創業者が、大企業での有望なポジションを捨ててその事業に参画したということであれば、その事業が本当に有望そうだという判断にもつながるかも知れません。共同創業者が本当に友達なら、事業の夢や見通しについて本音を語っている可能性も高いはずだからです。
また、いざというときに強烈なツッコミを入れられる共同創業者がいるなら、安心してより「トガった」方向を目指させることができるかも知れません。

つまり、一つの仮説として、今後、日本のベンチャー界に大成功する企業が増えるには、「友達と共同で起業する」というパターンを増やす必要があるかも知れません。
もちろん、前述のとおり、「友達同士で起業する」というのは、大成功の「原因」というよりは、大きなビジョンがあることの「結果」とも考えられます。大きなビジョンを持ってない起業家が、友人と起業したらうまくいくというものでは無いかも知れません。
また、起業は少なくとも一生の一時期を賭けることですので、現在の日本でも本当にこうした共同創業パターンが向くのかどうかについては、個別のケースごとに慎重に考える必要があります。特に、日米の資本市場の性質の違いや、資本政策の観点からよく考える必要があると思います。

そうした「仲間と起業する」場合の課題や注意点について、また来週以降に考えてみたいと思います。

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

慶應SFC(國領研究室)に行って来ました

11日月曜日に慶應SFCの國領先生に呼んでいただいて、「起業のファイナンス」関連の話をしてまいりました。

その時のことをツイッターで話して、他の方々とディスカッションした内容をまとめていただいたものが随分アクセスを集めて、起業等を考える人の参考にもなっているようですので、ご参考まで。

 

@isologueさんのSFC訪問から発展した起業・ベンチャー・大企業論

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

週刊isologue(第119号)ZyngaのIPO資料を読む(ビジネスモデル編)

先週に引き続いて、今週も、Zynga(ジンガ)を取り上げます。

Form S-1のデータから、ビジネスモデルについて考えてみたいと思います。

 

まず、ジンガの連結財務諸表をざっと見た後、以前取り上げた「Groupon」、日本で業態が近い「DeNA」「グリー」、ネットでないゲームの代表として「スクウェア・エニックス・ホールディングス」との財務構造の違いを図解で比較をしてみたいと思います。

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

管理会計フォーラム@成城大学で講演してきます

来週2011年7月16日(土曜日) 13:00から日本管理会計学会が開催されますが、そこで1コマ講演させていただくことになりました。

私のテーマは「起業のファイナンス」ということになってますが、内容については、まだ鋭意検討中です^^;。

(発表時間35分であまりややこしいことは報告できないので、週刊isologueで取り上げた事例とかですかね…。)

ご興味ある方は、ご参加下さい。

 

I 研究報告 13:00 – 17:30
  司会 :鈴木研一氏(明治大学)

1.個別報告 13:05-16:25

報告(1) 13:05 – 13:50(報告35分、質疑応答10分)
報告者:境新一氏(成城大学教授、境企画代表)
論題:「感動創造の価値と価格に関する考察 – アート・プロデュースの視点から – 」

報告(2) 13:50 – 14:35(報告35分、質疑応答10分)
報告者:磯崎哲也氏(磯崎哲也事務所代表、公認会計士)
論題:「起業のファイナンス」

  休憩 14:35 – 14:55

報告(3) 14:55 – 15:40(報告35分、質疑応答10分)
報告者:山田有人氏(大原大学院大学教授、吉本興業監査役)
論題:「製作委員会方式による資金調達の功罪」

報告(4) 15:40 – 16:25(報告35分、質疑応答10分)
報告者:川上昌直氏(兵庫県立大学准教授)
論題:「ビジネスモデルの新たなフレームワーク – 実際の変革事例から – 」

  休憩 16:25 – 16:40

2.全体質疑 16:40-17:30

II 懇親会 17:45 – 19:45  7号館 地下 食堂

 フォーラム参加費は1,000円で、懇親会費は2,000円です。
(学会員以外の一般参加者は、フォーラム参加費2,000円、懇親会費3,000円)

 ご出席の先生は、準備の都合上、7月13日(水)までに、下記サイトにアクセスして出席の連絡をいただければ幸いです。

 https://sites.google.com/a/gm.seijo.ac.jp/jama-seijo/

 なお、上記サイトにアクセスできない場合は、大会準備委員長の成城大学塘誠宛にE-mailにて出席の連絡をいただければと存じます(jama-seijo@gm.seijo.ac.jp)。

出席連絡に際しましては、お手数ですが、(1)ご氏名、(2)ご所属、(3)連絡先E-mail、(4)懇親会の出欠、をご記入下されば幸いです。

         2011年度第2回フォーラム 大会準備委員長 塘 誠(成城大学)

 

(ご参考まで。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

週刊isologue(第118号)ZyngaのIPO資料を読む(導入編)

さて、アメリカで大型のIPO申請が続きますが、今週は、金曜日にIPOを発表したZyngaを取り上げてみたいと思います。

 

目次とキーワード:

  • 「ジンガ」の概要
  • 日本法人買収に関する情報(?)
  • 経営陣、コーポレートガバナンス
    (かなりゴージャスなメンバー)
  • ジンガも未公開時から創業者に資金が環流しているか?
  • ジンガとグルーポンの違い
  • LinkedInは未公開時に創業者が株売却してましたっけ?
  • ジンガの株主構成
  • 「three class structure」!の概要
  • 「three class structure」を採用したわけ
    (どの程度の議決権を押さえられるかシミュレーション)

 

201107050120.jpg

 

(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。