「義体化」とプチ整形

「義体化」は、どこまで進むんでしょうか?
私ももう平均寿命の折り返し地点を回ったあたりなので、私が死ぬまでに永遠の命が得られる技術が開発されるとは思ってませんが、うちの下の息子はまだ7歳。百まで生きたら2098年。今のロボット・バイオ系技術の発展のスピードから考えると、どう考えても、うちの息子が100歳を迎えるころには、少なくとも脳以外の四肢や臓器はすべて人工のもので代替できるようになっていないほうがおかしい気がします。
脳までバックアップが取れるようになったら、「たぶん、私は3人目だと思うから」という綾波レイの世界が始まるわけですが。
はたして、私の孫の世代では、人は永遠に生き続けるようになるんでしょうか?
スターウォーズにおける生命科学
先日、「情報通信の発達とドラマのある時代の終焉」で「SF映画では、情報通信系技術だけは異様なほど発達してない」と申し上げたわけですが、
もう一点、いくら乗り物や武器の技術が発達していようと、SF映画では、生命科学も異様に発達が遅れているわけです。人が死なないんじゃ、ドラマも感動も無いので。
で、またスターウォーズネタですが。
アナキンはエピソードIIで、ルークはVで、それぞれ腕を切り落とされるわけですが、アナキンの時には骨だけのガイコツみたいな義肢だったのに、ルークは本物の手と見まごう義肢を付けてもらえるわけです。アナキンからルークまでのIIからVまでの20年間で、そのあたりの技術が急速に発達したということなんでしょうね。銀河共和国は15000年以上の歴史があるようなので、15000年前にはもう恒星間を自由に行き来できる技術があったにも係わらず、義肢の技術は非常にプリミティブなものしかなかったと。(逆に、VからIIの間の20年間に、CG技術が格段に進歩してガイコツみたいな指を表現できるようになったんだよ、というツッコミはさておき。)
もちろん、人を死から救う技術も全く存在しないわけです。
野口さんで盛り上がってるところ恐縮ですが、どう考えても、宇宙にいく技術よりは、QOLを上げたり、死から人を救う技術の方が先に発達するはずだと思うんですが・・・。
どこからがサイボーグか?
先日、親知らずに浸食された虫歯の神経を抜いて金属を詰め、隣の親知らずも抜きました
顔をライトで照らされてゴリゴリと手術を受けている間、何か自分が、ダースベーダーというか本郷猛(古)というか、人間と違うものに改造されていく気がして、後で息子二人に、
「体の一部が人工のもので置き換わったから、これでお父さん、サイボーグになっちゃったということじゃないかな?」
と聞いたら、
「違ーう!」
と真っ向から否定されました。
息子二人によると、義肢をつけたアナキンやルークまでは「人間」、ダースベーダーやグリーバス将軍までいくと、「サイボーグ」だそうです。どこからがサイボーグ、なんでしょうか。両手両足くらいからか?
プチ整形体験記
そんな生命科学の行く末への興味もあり、昨年暮れにプチ整形なるものを体験してみました。
四十数年の日焼けで徐々に色ムラができてきて、10円玉ほどの大きさの部分がちょっと黒ずんできちゃったので。70歳くらいになったときに、映画に出てくる「財界の陰の大物」みたいに顔じゅう大変なことになるのもナニかと思って、最新医療技術のリサーチも兼ね。
ごつい機械に接続された高出力のレーザーが出るペン先で、「パチッ」という音とともに、4mm×4mmの正方形づつメラニン色素の多い部分を一瞬で焼いていくわけです。
説明書には「輪ゴムでパチンと皮膚をはじく程度の痛みしかありません」と書いてありましたが、もうちょっと正確に言うと「たばこを一瞬チュッと押しつける程度の痛み」てな感じでしょうか。
あとには、4mm×4mmの白い正方形が現れます。皮膚の表面がうっすらと「灰」になってるわけです。直後に軟膏を塗ると皮膚はうっすらと赤く、その後かさぶたができて黒くなり、それが取れるとピンク色の肌が現れ、だんだん日焼けして他の皮膚と同じ色になっていきます。
昔、「アンドロメダ病原体」
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という(元祖「バイオハザード」的な)マイクル・クライトンの初期のSFがあって、そこで、高い滅菌度の生物実験施設のレベルにおりていくときに、研究員が裸になってキセノンか何かの高出力の光を一瞬照射し、全身がうっすらと灰で真っ白になるシーンがありましたが、あれを思い出しました。
はじめから全部をやるのではなく、「パッチテスト」と称して、4mm×4mm一発だけを焼いてみて、1ヶ月様子を見ます。結果、驚くほど他の皮膚と同じ色になったので、じゃあ、全部やっちゃってくださいということで、全部やってもらったわけですが。
一発やるのと違って、十数発やるとかなり痛いわけです。血もうっすらにじんできたりして。あの「アンドロメダ」はウソだと思いましたね。10円玉大でも痛いのに、全身灰になったら、ヒリヒリして仕事どころじゃなくなるだろうし、ヘタしたら皮膚呼吸ができなくなるんじゃないかと。
また、一発の時と違って、面積も広いので治りも遅い。一ヶ月経過しても、色が薄くなるどころかかえって黒ずんできたような気がしたので相談しにいったら、
「白血球の一種であるマクロファージが死んだ細胞を徐々に食べていくので、ちょっと時間がかかることもあります。もう一ヶ月様子を見てみましょう。」と言われて、半信半疑で帰ったんですが、確かにもう一ヶ月したら他の皮膚の色とまったく同じになって跡形も無くなっちゃった。すごい。マクロファージ、よくがんばった!感動した!
ビジネスとして見たプチ整形
初回に先生が、「こういうことをします。こういうリスクがあります。」というのを紙に書きながら3分程度で要領よく説明して「よろしいですか?」と聞くわけです。
また、術前術後の写真もちゃんと撮影。その説明した時の紙も、後で見たらちゃんとファイリングしてました。受付では「リスクの説明を受け、結果については文句をいったり訴訟したりしません。」というような念書も書かされるわけです。「経験」から学んだんでしょうが、訴訟対策、ばっちり。
短時間だから、1時間当たりの収入も高くて、うーん、ナイス・ビジネスモデル。
以上すべてで、3〜4万円。こういうのって、50万円くらいするのかと思っていたので、思いのほか安かったという印象。
特に顔は目立つ場所なので、ヘタな洋服とか靴とかに金かけるよりプチ整形した方がいいという潜在需要はまだまだすごいものがあると感じた次第です。
車がへこんだら5万円かけて板金するのに、自分の顔は何十年経ってもまったく補修しないというのは、よく考えてみればへんな話かも知れませんね。
(ではまた)

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同姓同名の件

最近、「磯崎さん、ウィズの株主でもいらっしゃるんですよね」とよく聞かるんですが・・・・。
 
株式会社ウィズ というのは、6月17日にJASDAQに公開した会社さんで、目論見書を拝見すると、確かに87ページに第10位の株主として「磯崎哲也」という方が載ってらっしゃるんですが・・・残念ながら別人です。
「磯崎」自体さほど多い名字ではないので、今までの人生で同姓同名の人にお会いしたことはまだ一度もないのですが、以前、JR東海の課長さん(だったか?)で「磯崎哲也」という方が日経ビジネスに登場されてらっしゃいました。
また、Amazonで検索すると、オウム・インコの専門家で、「磯崎哲也」という方がいらっしゃるんですよね。
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「磯崎さん、インコもお好きなんですか?」とも聞かれるんですが、小学生の時以来、鳥は飼ったことがありません。この方、本を4冊出されてらっしゃるんですが、なんとユーザーレイティングの☆が全冊とも5つで満点なんです。すごいですねー。なかなかそんな方いらっしゃらないんじゃないかと思います。
(ではまた。)

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ベンチャースピリットと郵政民営化

「ベンチャー企業は投資を受けた方がいいのか」には、たくさんコメント、トラックバック等いただきました。ありがとうございました。
これ、当然、企業のミクロな行動についてのお話として書いたんですが、マクロ経済学的な話として考えてみると、わりとトリビアルな話かも知れないですね。

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