あけましておめでとうございます。
今週は一年の最初なので、昨年の記事を一覧する「総集編」をお届けします。
今年も、何卒よろしくお願い申し上げます。
昨年のテーマは、
- 全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(完結)
- アリババ株分離で、ソフトバンクの米Yahoo!買収はあるか?
- 上場前後の資本政策(2015年第1四半期、第2四半期)
- Facebookの株式インセンティブプラン
- ザッカーバーグのストックオプション
- ベンチャー投資会社「Alphabet」に生まれ変わるGoogle
- Squareの上場と「魔のSeries E調整条項」
- 「起業のエクイティ・ファイナンス」改良版
などでした。
詳細は、以下をご覧下さい。
(以下、リンクはブログでの紹介にリンクしています。)
以下、一覧:
これらのコンテンツは、法的助言や税務上のアドバイスを行うことを目的とするものではなく、財務(ファイナンス)的な観点などから、取り上げたテーマの性質を考えるためのものです。また英文に対応する日本語はあくまで参考であり、正確な翻訳とは限りません。文書を実際に解釈したり運用するにあたっては、弁護士、税理士等の専門家の意見を参考にしてください。
■総集編
(第300号)謹賀新年(2014年の「週刊isologue」総集編)
昨年の記事を一覧する「総集編」。
昨年のテーマは、以下のようなものでした。
- 日本の新規IPO企業の資本政策
- 米国アクセラレーターの新投資スキーム「safe」「KISS」
- シード期の優先株「Series Seed」の研究
- 全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型の研究
- 日本の起業の起爆剤としてのLLC
- CYBERDYNEのdual class
- 中国企業WEIBOの上場と中国ビジネスの特性
- ケイマン諸島法人の特性
- Alibabaのビジネスモデルのスゴさ
- ファンド規制(適格機関投資家等特例業務)の問題点
- GoProのIPOと資本政策
- 手数料がかからない証券会社「LOYAL3」
- 「起業のエクイティ・ファイナンス」発売
- イーロン・マスク氏の華麗なる経歴とTeslaのファイナンス
- ウォーレン・バフェット(バークシャー・ハサウェイ)の資本政策
上半期の記事を一覧する「総集編」でした。
■上場前後の資本政策シリーズ
通常の上場企業の特集というのは、その企業の事業の将来性や社長のプロフィールなどに着目するものが多いと思いますが、この「上場前後の資本政策」シリーズでは、直前の四半期に上場した企業の「資本」がどう変動してきたか、すなわち、赤字が先行する事業なのか、最初からキャッシュが湧くビジネスなのか、どのくらい資金が必要な事業なのか、どのくらい将来性を説明できる事業なのか、それらを踏まえてどんな株式をどのくらい発行してきたのか、といったことに焦点をあてて上場時の目論見書を拝見する、というシリーズです。
2014年第4四半期、2015年第1四半期、第2四半期の3四半期を取り上げましたが、第1四半期で取り上げた(実際の上場は第2四半期の)Gunosyが、設立から約2年半で上場したため、設立以来の資金調達や株式の移動がすべて開示されていて大変勉強になります。
また、メタップスも、増資の経緯がほぼすべて開示されており、今まで上場したベンチャーの中でも最も「優先株式を使った『今風』の資本政策」として一貫していて、勉強になりました。
(第301号)上場前後の資本政策(2014年第4四半期:その1)
この回は、2014年第4四半期にIPOしたベンチャーの資本政策について考えています。
第3四半期の回にすでに取り上げた、「GMOリサーチ」「セレス」「オプティム」「アルファポリス」「SHIFT」 等を再掲しています。
ご案内のとおり、この第4四半期は上場企業数が非常に多かったので、この回と次回、2回に分けてお届けいたします。(この回は「SFPダイニング」まで。)
(第302号)上場前後の資本政策(2014年第4四半期:その2)
前回は「SFPダイニング」まででしたので、この回は「今村証券」から。
(第316号)上場前後の資本政策(2015年第1四半期:前編)
この回は、2015年第1四半期(+α)にIPOしたベンチャーを中心とする会社の資本政策の前編です。
取り上げた企業
- KeePer技研
- ファーストブラザーズ
- ファーストロジック
- ALBERT
- シリコンスタジオ
- コラボス
- ショーケース・ティービー
- ヒューマンウェブ
- エスエルディー
- RS Technologies
- ファーストコーポレーション
- イード
- ハウスドゥ
- シンデン・ハイテックス
- Aiming
- 他
取り上げた企業
- プラッツ
- モバイルファクトリー
- 日本動物高度医療センター
- sMedio
- サンバイオ
- 海帆
- Hamee
- シーアールイー
- 日本スキー場開発
- 三機サービス
- レントラックス
- ジグソー
- Gunosy
- リンクバル
- デザインワン・ジャパン
- テラスカイ
この回は、2015年第2四半期にIPOしたベンチャーを中心とする会社の資本政策についてでした。
今年の第2四半期に上場したのは以下の企業です。
週刊isologueの第317号「上場前後の資本政策(2015年第1四半期:後編)」で既に取り上げた、4月上場のサンバイオからテラスカイまでの各社についても再掲しています。
取り上げた企業
- サンバイオ
- 海帆
- Hamee
- シーアールイー
- 日本スキー場開発
- 三機サービス
- レントラックス
- ジグソー
- Gunosy
- リンクバル
- デザインワン・ジャパン
- テラスカイ
- スマートバリュー
- ヘリオス
- マーケットエンタープライズ
- デジタル・インフォメーション・テクノロジー
- エコノス
- 中村超硬
- ファンデリー
(第339号)上場前後の資本政策(2015年第3四半期:前編)
今回は、2015年第3四半期にIPOしたベンチャーを中心とする会社の資本政策についてです。
今年の第3四半期に上場したのは以下の企業です。
この回は、富士山マガジンサービスからラクト・ジャパンまでを取り上げます。
(メタップス以降は、また来週。)
取り上げた企業
- 富士山マガジンサービス
- クレステック
- 平山
- アイリッジ
- デクセリアルズ
- イトクロ
- PCIホールディングス
- エスケーホーム
- パルマ
- 土木管理総合試験所
- ラクト・ジャパン
(第340号)上場前後の資本政策(2015年第3四半期:後編)
今回は、メタップス以降を取り上げます。
メタップスは、増資の経緯がほぼすべて開示されており、今まで上場したベンチャーの中でも最も、「優先株式を使った『今風』の資本政策」として一貫しているんじゃないかと思います。
取り上げた企業
- メタップス
- アクアライン
- STUDIOUS
- ベステラ
- JESCOホールディングス
- ピクスタ
- アイビーシー
- ブランジスタ
(第350号)上場前後の資本政策(2015年第4四半期:前編)
この回は、2015年第4四半期にIPOしたベンチャーを中心とする会社の資本政策についてです。
今年の第4四半期に上場したのは以下の企業です。
取り上げた企業
- AppBank
- グリーンペプタイド
- GMOメディア
- パートナーエージェント
- バルニバービ
- 日本郵政
- かんぽ生命保険
- ゆうちょ銀行
(第351号)上場前後の資本政策(2015年第4四半期:後編)
取り上げた企業
- あんしん保証
- ロゼッタ
- ベルシステム24ホールディングス
- ネオジャパン
- インベスターズクラウド
- 鎌倉新書
- ラクス
- ダブルスタンダード
- オープンドア
- フリュー
- アークン
- マイネット
- ビジョン
- ソネット・メディア・ネットワークス
- ソーシャルワイヤー
■全米ベンチャーキャピタル協会(NVCA)の投資関係書類のひな型シリーズ
昨年の11月から半年以上にわたってお送りしてきた、全米ベンチャーキャピタル協会(NVCA)の投資関係書類のひな型シリーズを、以下まとめています。(昨年11月からの分も掲載しています。)
このNVCAひな型を取り上げた回は、以下のとおり、合計24回にもなりました。
第291号 タームシート編その1 2014年11月3日
第292号 タームシート編その2 2014年11月10日
第293号 タームシート編その3 2014年11月17日
第295号 投資契約書編その1 2014年12月1日
第296号 投資契約書編その2 2014年12月8日
第297号 投資契約書編その3 2014年12月15日
第298号 株主の権利編その1 2014年12月22日
第299号 株主の権利編その2 2014年12月29日
第303号 議決権行使契約編その1 2015年1月26日
第306号 議決権行使契約編その2 2015年2月16日
第307号 議決権行使契約編その3 2015年2月23日
第308号 先買権・共同売却権編 2015年3月2日
第309号 マネジメント権、法律意見書 2015年3月9日
第310号 定款編その1 2015年3月16日
第311号 定款編その2 2015年3月23日
第312号 定款編その3 2015年3月30日
第313号 定款編その4 2015年4月6日
第314号 定款編その5 2015年4月13日
第315号 定款編その6 2015年4月20日
第318号 役員補償契約編その1 2015年5月11日
第319号 役員補償契約編その2 2015年5月18日
第320号 役員補償契約編その3 2015年5月25日
第321号 役員補償契約編その4 2015年6月1日
第322号 役員補償契約編その5 2015年6月8日
(注記等も含みますが)合計で250ページもある膨大なドキュメント群であります。
●タームシート(Term Sheet)
タームシートは、契約の全体像を示すものです。
投資関係の契約が無い、または契約がシンプルな場合には、タームシートを作るまでもありませんが、契約が複雑化すると、最初から分厚い契約書の細かい文言の調整に時間をかけるわけにもいきませんし、そもそも投資の内容が腹に落ちていないと、投資された後に投資家に対する不信感が生まれたりして、経営がうまくいかない要因になりかねません。
このため「なぜこういう条項が入っているか」「どういう考え方に立って、こうした制限を設けているか」といったことを、投資家は起業家に懇切丁寧に説明しないといけません。(なぜなら、たいていは、投資関係の契約については起業家より投資家のほうが詳しいので。)
タームシートは、以下の3つの回で取り上げました。
第291号 タームシート編その1 2014年11月3日
第292号 タームシート編その2 2014年11月10日
第293号 タームシート編その3 2014年11月17日
タームシートの特徴としては、
- たいていは(守秘義務など特定の条項を除き)法的拘束力を持たない(non-binding)なものである。
- これから本格的なデューディリジェンス(DD)を行う前に締結するものである。
といったところかと思います。
具体的には、以下のような項目から成り立っていました。
- Offering Terms(オファーされるタームの概要)
- クロージング日
- 投資家
- 調達額
- 株価
- Pre-moneyのvaluation
- 資本政策(株主構成)
- CHARTER(定款に関する事項)
- 配当
- 残余財産優先分配権
- non-participating
- full participating
- cap on Preferred Stock participation rights
- みなし清算
- 議決権
- 優先株主の拒否権
- 普通株への転換権
- 希薄化防止条項
- IPO時の普通株への強制転換
- 「pay to play」条項
- 償還条項
- STOCK PURCHASE AGREEMENT(投資契約)
- 表明保証
- クロージングの前提条件
- 弁護士と費用
- INVESTORS’ RIGHTS AGREEMENT(投資家の権利に関する契約)
- 登録可能な証券
- 投資家の要求による登録
- フォームS-3
- 抱き合わせ(piggyback)登録
- 費用
- ロックアップ
- 契約の終了
- 「マネジメント権」及び情報受領権
- 将来ラウンドの投資への参加権
- 投資家が選任した取締役の事前承認事項
- 経営陣の競業避止等義務等
- 経営陣等の秘密保持契約、知財取扱関連契約
- 取締役会関係
- ストックオプション
- キーマンへの保険の付保
- RIGHT OF FIRST REFUSAL/CO-SALE AGREEMENT(先買権/共同売却権契約)
- VOTING AGREEMENT(議決権行使契約)
- 取締役会のメンバー名等
- ドラッグ・アロング権
- 会社の売却権
- OTHER MATTERS(その他)
- 創業者株式
- 既発行の優先株
- 独占交渉権、秘密保持
- 有効期限
●投資契約書(Stock Purchase Agreement)
投資契約書は、投資の実行に際しての条件や前提を定めたものです。
投資契約書は、以下の3つの回で取り上げました。
第295号 投資契約書編その1 2014年12月1日
第296号 投資契約書編その2 2014年12月8日
第297号 投資契約書編その3 2014年12月15日
日本の「投資契約書」には、株主の権利など、NVCAのひな型では株主間契約で定められる内容も盛り込まれていたりしますが、このNVCAの「投資契約書」は投資の実行の手続きに絞った内容となっています。
投資契約書は以下の項目からなっています。
- 第1条:投資の概要
- Series A優先株の発行
- クロージングと株券の交付
- 株式の追加発行
- 資金使途
- 用語の定義
- 第2条:会社側の表明保証
- 発行会社の設立及び資格
- 資本構成
- 資本構成の概要
- ストックオプション・プール
- 投資直後の資本構成
- 買収時等の取扱い
- 税務上の事項(409A)
- 違反の不存在
- 子会社
- 株式発行の手続き
- 株式の発行の有効性
- 政府の許認可及び届出
- 訴訟等
- 知的財産権
- 違反の不存在
- 借入等に関する契約の不存在
- 役職員等との利益相反取引の不存在
- 証券の登録権と議決権
- 発行会社の資産
- 財務諸表
- 財務諸表作成日等以降の重要な変化の不存在
- 従業員に関する事項
- 税務申告に関する事項
- 保険に関する事項
- 従業員との契約
- 許認可
- 発行会社の文書
- 税務(83(b) Elections)
- 税務(Real Property Holding Corporation)
- 環境及び安全に関する法律関係
- 中小企業株式に関する特例関係
- 投資家への開示
- Small Business Concern
- 海外汚職行為防止法関係
- 個人情報関係
- 第3条:投資家側の表明保証
- 投資家の権限
- 投資家自身の勘定での取引
- 発行会社からの情報の受領
- 譲渡制限についての理解
- 取引市場が無いことについて理解していること
- 注意事項
- 適格投資家(Accredited Investor)
- 外国投資家
- 一般勧誘(General Solicitation)が行われなかったこと
- 他の投資家の意見の不参照
- 居所
- コンバーチブルノートの転換
- 第4条:投資家のクロージングの条件
- 発行会社側の表明の有効性
- 発行会社側の義務の履行
- 確認書の交付
- 許認可等の取得
- 発行会社顧問弁護士の意見書の交付
- 取締役会の構成
- 責任限定契約の締結
- 投資家の権利に関する契約の締結
- 優先引受権/共同売却権に関する契約の締結
- 議決権行使契約の締結
- 定款の届出
- 法務担当役員の確認書
- 会社法上の手続き等
- 最初のクロージング時における最低発行株式数
- 経営に関与する権限
- 「SBA」関連事項
- 先買権違反の不存在
- 第5条:発行会社のクロージングの条件
- 投資家側の表明保証の有効性
- 投資家の義務の履行
- 許認可等
- 投資家の権利に関する契約の締結
- 優先引受権/共同売却権に関する契約の締結
- 議決権行使契約の締結
- 最初のクロージング時における最低発行株式数
- 第6条:一般条項
- 保証の有効期限
- 承継
- 準拠法
- 副本
- 見出し
- 通知
- 仲介フィー
- クロージング費用の負担
- 訴訟費用の負担
- 契約書の変更
- 契約の分離可能性
- 権利行使の遅延
- 完全合意
- National Securities Markets Improvement Act
- 紛争の解決
- 追加増資のコミットメントの不存在
- 利益相反の適用の除外
- 創業者の表明保証のひな型
- 創業者の表明保証
- 利益相反契約の不存在
- 訴訟等
- 株主としての契約の不存在
- 表明保証
- 法的係争
●定款(Certificate Of Incorporation)
定款は、以下の6回に分けて取り上げました。
第310号 定款編その1 2015年3月16日
第311号 定款編その2 2015年3月23日
第312号 定款編その3 2015年3月30日
第313号 定款編その4 2015年4月6日
第314号 定款編その5 2015年4月13日
第315号 定款編その6 2015年4月20日
定款のひな型は以下の項目からなっています。
- 冒頭の注(Preliminary Notes)
- 一般(General)
- 「No impairment条項」(No Impairment Clause)
- Facebookのno impairment条項
- 「減損」と「impairment」
- 「Pay-to-Play条項」(Pay-to-Play Provision)
- 「白紙優先株」(Blank Check Preferred)
- 準拠法(Choice of Jurisdiction)
- カリフォルニア州法の影響について(Considerations for Corporation with California Shareholders and Operations)
- 定款冒頭部
- 第1条:名称
- 第2条:本店所在地
- 第3条:目的
- 第4条:株式
- A:普通株
- B:優先株
- 1. 配当
- 累積型の配当を行う場合
- 2. 清算や合併の場合
- 「非参加型」の場合の残余財産優先分配権
- 「非参加型」の場合の普通株主への分配
- 「参加型」の場合の残余財産優先分配権
- 「参加型」の場合の残りの財産の分配
- 清算とみなす事象(Deemed Liquidation Events)
- 「みなし清算」の定義
- みなし清算事象の有効化
- 分配額の評価
- エスクロー利用や条件付き対価の場合
- 3. 議決権(Voting)
- 一般条項
- 取締役の選任
- 優先株主の保全規定
- 会社の清算等
- 定款の変更
- 新しい種類の株式の発行
- 株式の内容の変更
- 株式の償還
- 社債等
- 子会社の異動
- 取締役会の定足数の変更
- 4.任意の転換(Optional Conversion)
- 転換の権利
- 転換比
- 転換権の終了
- 転換時の端株の取り扱い
- 転換の手続きルール
- 転換に関する通知
- 発行可能普通株式数の維持
- 転換の効果
- 転換自体に関連しては転換価格の修正は行わない
- 税金の取り扱い
- 希薄化防止条項
- 転換に関する定義
- オプション
- Series A当初発行日
- 転換証券
- 追加発行普通株
- Series A転換価格を修正しない場合
- みなし発行
- Series A転換価格の修正(ブロードベース・バージョン)
- Series A転換価格の修正(フルラチェット・バージョン)
- 設例(ブロード、ナロー、フルラチェット)
- 対価の決定
- 複数の取引日がある場合
- 株式分割、株式併合の場合の調整
- 株式配当等の修正
- その他配当や分配時の修正
- 合併や組織再編による修正
- 修正結果の通知
- 基準日の通知
- 5.強制転換(Mandatory Conversion)
- トリガーとなるイベント
- 手続き上の必要事項
- 5A.「pay-to-play」条項がある場合の強制転換(Special Mandatory Conversion)
- pay-to-playのトリガーとなるイベント
- pay-to-playの手続き上の必要事項
- 定義
- 6.償還(Redemption)
- 償還の一般条項
- 償還の通知
- 株券の提出
- 償還後の権利
- 7.償還その他の理由で取得された株式の扱い(Redeemed or Otherwise Acquired Shares)
- 8.権利の放棄(Waiver)
- 9.通知(Notices)
- 第5条 附属定款(Bylaws)の変更
- 第6条 取締役の定員数
- 第7条 取締役の選任
- 第8条 株主総会の開催場所、帳簿の保管場所
- 第9条 取締役の免責
- 第10条 取締役等の補償
- 第11条 ビジネス機会の提供
- 第12条 合意管轄
- 第13条 カリフォルニア州法
- 別添A(第10条 会社に対して強制力のある補償版)
- 取締役と執行役員が補償を受ける権利
- 取締役と執行役員に対する支払い
- 取締役と執行役員からの請求
- 従業員及び代理人に対する補償
- 従業員及び代理人に対する支払い
- 権利が非排他的であること
- その他の補償
- 保険
- 補償規定の変更または廃止
●投資家の権利契約(Investor Rights Agreement)
投資家の権利契約は、以下の2回で取り上げました。
第298号 株主の権利編その1 2014年12月22日
第299号 株主の権利編その2 2014年12月29日
従業員の守秘義務についての規定や、インセンティブ目的の株式やストックオプションのベスティングのルールについても、この契約で定められています。
投資家の権利契約は以下の項目からなっています。
- 株主の権利に関する契約の全体像
- 株主の権利に関する契約本文
- 契約書前文
- 第1条:定義(Definitions)
- 第2条:登録権(Registration Rights)
- S-1登録権
- S-3登録権
- 登録の例外規定
- 発行会社の登録時の義務
- 幹事証券会社からの要請
- 会社側の登録義務
- 株主側の情報提供義務
- 登録に関連する費用
- 登録の遅延
- 責任の免除
- 証券取引法上の報告
- 契約締結後の登録権についての制限
- ロックアップ(”Market Stand off”)条項
- 譲渡制限
- 登録権の終了
- 第3条:情報受領権及びオブザーバー出席権(Information and Observer Rights)
- 財務諸表の提出
- 投資家による調査
- オブザーバー出席権
- 情報受領権の終了
- 機密保持
- 第4条:Rights to Future Stock Issuances(将来の株式の優先引受権)
- 最初のオファーをもらう権利
- 通知(Offer Notice)
- 既存株主の引受け
- 新投資家の勧誘
- 適用除外証券
- 割当分を全額引受けなかった投資家へのペナルティ
- 「後出し」方式
- 既存株主へのIPO時の公募株式の割当
- 優先引受権の終了
- 第5条:その他の義務(Additional Covenants)
- D&O保険
- 従業員との契約
- 従業員インセンティブの株式
- 適格中小企業株式
- 投資家から派遣された取締役の承認事項
- 取締役会関係の義務
- 合併等による包括承継者の義務
- 弁護士費用
- 取締役の責任限定等の順位
- 投資家の競合会社への関与
- 海外腐敗行為防止法関連
- 特約事項の終了
- 第6条:一般条項(Miscellaneous)
- 譲渡等による承継
- 準拠法
- 副本
- 見出し
- 通知
- 契約書の変更
- 契約の分離可能性
- 株主グループごとの集計
- 追加される投資家
- 完全合意
- 紛争の解決
- 権利行使の遅延
- 競合他社への投資
●議決権行使契約(Voting Agreement)
議決権行使契約は、以下の3回で取り上げました。
第303号 議決権行使契約編その1 2015年1月26日
第306号 議決権行使契約編その2 2015年2月16日
第307号 議決権行使契約編その3 2015年2月23日
議決権行使契約のひな型は以下の項目からなっています。
- 頭書、前文(RECITALS)
- 第1条:Voting Provisions Regarding Board of Directors(取締役選任に関する議決権の行使)
- 1.1 Size of the Board
- 1.2 Board Composition
- 1.3 Failure to Designate a Board Member
- 1.4 Removal of Board Members
- 1.5 No Liability for Election of Recommended Directors
- 1.6 No “Bad Actor” Designees
- 第2条:Vote to Increase Authorized Common Stock(普通株授権枠増加のための決議)
- 第3条:ドラッグ・アロング権
- 定義
- 手続き
- 例外
- 会社の支配権売却に関する制限
- 第4条:救済措置(Remedies)
- 発行会社の義務
- 代理による議決権行使
- 履行の強制
- 救済措置の累積
- 第5条:「Bad Actor」
- 表明
- 契約当事者の義務
- 第6条:契約書の有効期限
- 第7条:一般条項
- 契約当事者の追加
- 譲渡等による承継
- 承継及び譲受け
- 準拠法
- 副本
- 見出し
- 通知
- 契約書の変更等に必要な合意
- 権利行使の遅延
- 契約の分離可能性
- 完全合意
- 株券の注意書き
- 株式分割、株式配当、等
- 議決権行使の方法
- 追加保証
- 紛争の解決
- 執行のコスト負担
- 株式数集計の考え方
- 配偶者の同意
- 別添A:新当事者の同意書
- 承認(株式取得の理由)
- 合意
- 通知
- 別添B: 配偶者の同意書
- 補遺:売却請求権(Sale Rights)
- アドバイザーの参画
- 売却プロセスへの協力
- 売却条件の承認/否決
- 株主代表者の選任及び権限
●先買権・共同売却権の関する契約(Right of First Refusal and Co-Sale Agreement)
先買権・共同売却権の関する契約は、以下の回で取り上げました。
第308号 先買権・共同売却権編 2015年3月2日
先買権・共同売却権の関する契約は以下の項目からなっています。
- 第1条:定義
- 第2条:投資家と経営株主間の合意事項
- 先買権
- 共同売却権
- 契約違反の場合の効果
- 第3条:適用除外となる譲渡
- 適用除外となる譲渡
- 適用除外となる募集
- 禁止される譲渡先
- 第4条:注意書きの表示(Legend)
- 第5条:ロックアップ
- ロックアップに関する合意
- Stop Transfer Instruction
- 第6条:一般条項
- 契約書の有効期限
- 株式分割
- 株式の所有権
- 紛争の解決
- 通知
- 完全合意
- 権利行使の遅延
- 契約書の変更等
- 権利の割り当て
- 契約の分離可能性
- 追加される投資家
- 準拠法
- 見出し
- 副本
- 株式数集計の考え方
- 履行の強制
- 新たな経営株主の追加
- 配偶者の同意
- 以前の契約の効果
- 別添A: 配偶者の同意書
●役員補償契約(Model Legal Opinion)
役員補償契約は、以下の6回で取り上げました。
第318号 役員補償契約編その1 2015年5月11日
第319号 役員補償契約編その2 2015年5月18日
第320号 役員補償契約編その3 2015年5月25日
第321号 役員補償契約編その4 2015年6月1日
第322号 役員補償契約編その5 2015年6月8日
役員補償契約は以下の項目からなっています。
- ひな型作成者によるイントロダクション
- 取締役就任者個人の補償と派遣元ファンドの補償
- デラウエア州会社法145条(取締役、執行役員、従業員、代理人等への補償に関する規定)
- デラウエア州会社法102条(b)(7)項(取締役を金銭的な責任から保護する定款の規定)
- 補償契約を締結する意味
- 取締役に対する補償と執行役員に対する補償の違い
- 取締役と執行役員を兼務する(CEO)などの場合
- 会社による補償とD&O(役員責任)保険の意味
- 会社の意思決定との関係
- 会社が支払不能になった場合
- 法や行政(SEC)が認める補償の範囲との関係
- 契約書冒頭部(WHEREAS Clause)
- なぜこの契約書で補償を定める必要があるのか
(人材確保とインセンティブ、リスク、株主の利害)等- 第1条:被補償者に対する補償
- 会社以外が提起した訴訟に関わる補償
- 当会社による訴訟
- 勝訴または部分的に勝訴した者への補償
- 指名した株主についての補償
- 第2条:追加的な補償
- 第3条:当事者の負担
- 会社と共同で責任を問われる訴訟等の場合
- 利益や落ち度に応じた負担
- 共に責任を負う他の役職員からの請求
- 共に責任を負っていない場合の負担
- 第4条:証人やディスカバリーに関わる費用の補償
- 第5条:費用の支払い
- 第6条:補償に関する手続き及び推定
- 書面による補償の請求
- 補償の決定方法
- 独立弁護士の選任方法
- 補償を受ける推定
- 所定の行動に従った場合の推定
- 一定期間経過後の資格の付与
- 協力義務
- 判決以外の場合の推定
- 訴訟等の終了時
- 第7条:被補償者の救済手段
- 司法手続きで被補償者が支払いを求める権利
- 被補償者が補償を受けられない場合
- 被補償者が補償を受けられる場合
- 司法手続に関する費用の支払
- 司法手続きに関する支払い
- 最終的解決の前の補償
- 第8条:非排他性、権利の継続、保険、補償の優越順位、代位
- 非排他性、権利の継続、法令等の変更による影響
- 役員責任保険
- ファンドが補償を提供する場合の分担
- 当会社主体の手続き
- 他の契約で提供される補償分の相殺
- 派遣先の会社が提供する補償分の相殺
- 第8条のまとめ
- 第9条:補償の例外
- 保険等で支払われる部分
- インサイダー取引等の利益
- 被補償者による会社等に対する訴訟
- 第10条:契約期間
- 第11条:保証
- 第12条:履行の強制力
- 第13条:定義
- 第14条:契約の分離可能性
- 第15条:契約書の修正等
- 第16条:被補償者からの通知
- 第17条:通知
- 第18条:副本
- 第19条:見出し
- 第20条:準拠法および裁判管轄
●マネジメント権に関するレター(Management Rights Letter)
マネジメント権に関するレターは、ERISA法上、ベンチャーキャピタルが過度な規制を受けないために必要となるものです。以下の回で取り上げました。
第309号 マネジメント権、法律意見書 2015年3月9日
マネジメント権に関するレターは以下の項目からなっています。
- マネジメント権に関するレター(Management Rights Letter)
- アドバイス等を行う権利
- 調査権
- 取締役と同様の情報受領権、申し入れ権
●法律意見書ひな型(Model Legal Opinion)
法律意見書ひな型は、以下の回で取り上げました。
第309号 マネジメント権、法律意見書 2015年3月9日
法律意見書ひな型は以下の項目からなっています。
- 法律意見書(Model Legal Opinion)
- 発行会社の有効な存続
- 発行会社の権限
- 契約の有効性及び執行可能性
- 違反の不存在
- 契約締結の手続
- 資本構成
- 優先株およびその転換
- 登録の必要性の不存在
- 係争の不存在
(第323号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(総まとめ編)
上記のまとめです。
■米Yahoo!のアリババ会社分割シリーズ
(第304号)アリババ株分離で、ソフトバンクの米Yahoo!買収はあるか?
1月27日に米Yahoo!がAlibaba株を別会社に分離する案を発表したので、この問題を考えてみました。
目次とキーワード
- Alibaba株分離についての報道内容等
- 株価の動き
- Yahoo!保有のAlibaba株式の価値
- 米Yahoo!保有のヤフー(日本)の株式の価値
- ソフトバンク保有のヤフー株式会社株式
- ソフトバンクが保有する米Yahoo株は、ほぼゼロ
- 米Yahooの企業価値の構成
- ソフトバンクが米Yahoo!を買収するメリット
- ソフトバンクの企業価値の構成
(第305号)アリババ株分離で、ソフトバンクの米Yahoo!買収はあるか?(スキーム編)
引き続き、米Yahoo!がAlibaba株を別会社への分離を考えます。
日米のスピンオフの税務等を概観し、Time WarnerからのAOL分離の事例を振り返り、米Yahoo!、ソフトバンク、Alibaba、ヤフー株式会社の時価総額がどのような関係になったかを、前週と比較しています。
目次とキーワード
- スピンオフとはなにか
- スピンオフの流れ(図解)
- 日本のスピンオフの税務
- 米税法におけるスピンオフ
- 分配を受ける株主側の課税関係
- 「active business」の要件
- 分配する側の会社における課税
- 分離される会社における課税
- 「Alibaba株持ってるだけの投資会社」は「active business」なのか?
- Time WarnerからのAOL分離の事例
- スピンオフの背景
- スピンオフの理由
- スピンオフの手続き
- 端株の取り扱い
- 米国税制上の本スピンオフの取り扱い
- AOL分離のケースのまとめ
- 今週の米Yahoo!&ソフトバンク・ウォッチ
■Facebookの株式インセンティブプラン・シリーズ
(第324号)Facebookの株式インセンティブプラン(その1)
この回から、Facebookの株式インセンティブプランについて見ていっております。
ベンチャーの最大の武器は株式であり、この「株式の魅力」で資金調達したり、優秀な人材を集めたり、他社と事業提携したり買収したりといったことをして、急速に成長していくことが可能になります。
しかし、こと日本でベンチャーが人材獲得を行う場合、株式やストックオプションについては、
- 一般にまだあまり知識がなくて、そもそも株式やストックオプションに魅力を感じてもらえない
- 上場審査や資本政策上の制約から、上場前には行使できないといった制限が一般的
- M&Aがまだexitとして一般的ではなく、M&A時の取り扱いが不明確
といった要因によって、必ずしもまだ株式インセンティブの魅力が最大限に発揮されてはいないと思われます。
そこで、米国の上場申請資料から、米国のベンチャーではどのような株式インセンティブを用いているのかを見ていきたいと思い、例としてFacebookを取り上げることにしました。
こうした米国の株式インセンティブプランを見ることで、日本のベンチャーの人材獲得における株式インセンティブの使い方の未来像が見えてくることもあるんではないかなと考えております。
目次とキーワード
- 株式インセンティブプランの全体像
- 1. 本プランの目的
- 2. 定義
(第325号)Facebookの株式インセンティブプラン(その2)
この回も、Facebookの株式インセンティブプランについて。
FACEBOOK, INC.
2005 STOCK PLAN1. Purposes of the Plan
2. Definitions
3. Stock Subject to the Plan
4. Administration of the Plan
5. Eligibility
6. Term of Plan
7. Term of Option
8. [Reserved.]
9. Option Exercise Price and Consideration
10. Exercise of Option
11. Stock Purchase Rights
12. Restricted Stock Units
13. Taxes
14. Non-Transferability of Awards
15. Adjustments Upon Changes in Capitalization, Merger or Certain Other Transactions
16. Time of Granting Awards
17. Amendment and Termination of the Plan
18. Conditions Upon Issuance of Shares
19. Reservation of Shares
20. Stockholder Approval
前回は、上記のFacebookの株式インセンティブ全体のプランのうち、2の「定義」まででしたが、この回は3から11までのストックオプションに関する部分です。)
目次とキーワード
- コーポレート・ガバナンス(権限移譲)とプラン
- オプションに関わる概念(復習)
- プランの株式
- プランの運営
- 委員会の構成
- 本プラン運営者の権限
- 権利を受け取る者
- オプションの種類
- 税制適格ストックオプションの10万ドルの限度
- オプションの行使価格と払込金額
- 許容されうる対価
- 兵役等の休暇の取り扱い
- 障害による場合
- 死亡による場合
- 解雇による場合
(第327号)Facebookの株式インセンティブプラン(その3)
この回もFacebookの株式インセンティブプランについて。
FACEBOOK, INC.
2005 STOCK PLAN1. Purposes of the Plan
2. Definitions
3. Stock Subject to the Plan
4. Administration of the Plan
5. Eligibility
6. Term of Plan
7. Term of Option
8. [Reserved.]
9. Option Exercise Price and Consideration
10. Exercise of Option
11. Stock Purchase Rights
12. Restricted Stock Units
13. Taxes
14. Non-Transferability of Awards
15. Adjustments Upon Changes in Capitalization, Merger or Certain Other Transactions
16. Time of Granting Awards
17. Amendment and Termination of the Plan
18. Conditions Upon Issuance of Shares
19. Reservation of Shares
20. Stockholder Approval
この回は、リストリクテッド・ストックに関する「11」、リストリクテッド・ストック・ユニット(RSU)に関する「12」中心に見ていきます。
目次とキーワード
- 株式購入権
- 会社による株式の買戻権
- 買戻権の概要
- 休暇時の取り扱い
- 解雇事由による解職時の取り扱い
- その他のリストリクテッド・ストックに関する規定
- 株主としての権利
- リストリクテッド・ストック・ユニット(RSU)
- リストリクテッド・ストック・ユニットの付与
- RSUの条件
- 決済の様式およびタイミング
- 本プラン参加者の継続的役務提供の終了
- その他のRSUに関する規定
- 株主としての権利
- 税金
- 権利の譲渡禁止
- 一般
- 限定的な譲渡に関する権利
- 資本再構成時の修正(合併その他の取引時)
- 資本構成の変更
- 解散または清算
- 組織再編等
- 特殊な分配のケース
- 付与の時点
- プランの改正及び終了
- 修正または終了に関する権限
- 修正または終了の効果
- 株式発行のための条件
- (発行可能)株式数の確保
- 株主の承認
(第329号)Facebookの株式インセンティブプラン(その4)
第3回までは、ストックオプションやリストリクテッドストックなどの全体の大方針(Stock Plan)を見てきましたが、今回は、実際に従業員等に用いるストックオプション付与の通知(NOTICE OF STOCK OPTION GRANT)と、ストックオプション契約書(STOCK OPTION AGREEMENT)を見てみます。
今まで見てきた「プラン」は、株式インセンティブの全体像や大原則を示すものなので、いろいろなケースを含んでいて複雑ですが、今回の分は、従業員向けの契約ということもあって、比較的平易に書かれています。
目次とキーワード
- ストックオプション付与の通知
- ベスティング/行使のスケジュール
- 雇用等終了後の行使期間
- 譲渡可能性(譲渡不可)
- ストックオプション付与契約
- オプションの付与
- オプションの(種類の)指定
- オプションの行使
- 支払いの方法
- 雇用等の終了時
- オプションの譲渡制限
- 税務
- 税制適格ストックオプション(ISO)の場合
- 税制非適格ストックオプション(NSO)の場合
- ロックアップ
(第330号)Facebookの株式インセンティブプラン(その5)
今回も、Facebookの株式インセンティブプランについて見ていきたいと思います。
「行使通知」兼「制限条項付株式購入契約」となっています。
つまりストックオプションを行使すると株式を持つことになるわけですが、その株式は上場企業の株式を個人投資家が持っているような意味で自由に売買できるような株式ではなく、制限のついた(restrictedな)株式であり、そのためにこの通知書兼契約書を用いるということだと思われます。
目次とキーワード
- ストックオプションの行使
- 行使のタイミングと場所
- 譲渡に関する制限
- 先買権
- 本人の意思によらない承継等
- 先買権等の割り当て
- 譲受人等が受ける制限
- 先買権等の終了
- 投資および課税についての表明
- 注意書きの表示および譲渡禁止命令
- 雇用される権利の保証がないこと
- ロックアップの制限
- 一般条項
- エスクロー
- 配偶者の署名欄
(第331号)Facebookの株式インセンティブプラン(その6)
今回も、Facebookの株式インセンティブプランについてです。
今回は、普通株を購入する際の契約書ですが、これは、株主総会で決議されるこの株式インセンティブプランの原則(「プラン」)に記載された「株式購入権」を使う場合の契約書だと思われます。
目次とキーワード
- 株式の発行
- 株式の購入
- 譲渡に関する制限
- 先買権
- 本人の意思によらない承継等の場合の移転
- 先買権等の割り当て
- 譲受人等が受ける制限
- 先買権等の終了
- ロックアップの制限
- 附属定款による制限
- エスクロー
- 投資および課税についての表明
- 注意書きの表示および譲渡禁止命令
- 雇用される権利の保証がないこと
- 株式の名義
- 一般条項
- 譲渡の同意書
(第333号)Facebookの株式インセンティブプラン(その7)
今回は、株式インセンティブの一つであるRSU(Restricted Stock Unit=制限付き株式ユニット)の付与の通知書について、Facebookの事例を見てみたいと思います。
RSUとは、一定数の株式を割り当てるけれど、その付与時点では現金等の対価は支払わず、ベスティングのスケジュール従って株式が「もらえる」(その時価が受け取る人の給与等の収入になる)というものです。(例えば、年100株分ずつ4年間、計400株がもらえる、等。)
ベスティングの条件などが異なる通知書が6種類開示されていますので、その通知の内容と、各バージョンごとの違いをみていきたいと思います。
目次とキーワード
- Initial Vesting Event
- Subsequent Vesting Event
- Cliff Date
- Quarterly Vesting Dates
(第334号)Facebookの株式インセンティブプラン(その8)
今回はRSU(リストリクテッド・ストック・ユニット=Restricted Stock Unit)の契約書です。
これは、先週取り上げたRSUの付与通知書に添付して、通知書と一体として用られているもので、個人別の条件はすべてその通知書の方に記入されていますので、この契約書自体は(米国の契約書としては)非常にシンプルなものになっています。
契約書を通して、ストックオプションとRSUの使われ方の差を想像してみたいと思います。
目次とキーワード
- 株主としての権利がないこと
- 配当等がないこと
- 譲渡不可
- 所得税の源泉徴収
- 取得した株式の譲渡の制限
- 先買権
- 本人の意思によらない承継等
- 先買権等の割り当て
- 譲受人等が受ける制限
- 先買権等の終了
■ザッカーバーグのストックオプション
Facebook社の株式インセンティブプランの応用編として、同社のザッカーバーグCEOが受け取った大量のストックオプションの具体的内容について見てみたいと思います。
詳細に入る前に、FacebookのIPO、ザッカーバーグ氏に付与されたストックオプション、その他のオフィサーとのオファーレターの内容の比較を行って、ストックオプションやRSU(Restricted Stock Unit)がどのように具体的に使われているのか見ていきたいと思います。
目次とキーワード
- FacebookのIPOの概要
- 上場時の株主構成
- ザッカーバーグのオファーレター
- 報酬
- 基本給
- ボーナス
- 株式インセンティブ
- 福利厚生等
- その他
- 他のオフィサーのオファーレター
- Sheryl Sandberg(COO)
- David Ebersman(CFO(当時))
- Mike Schroepfer(CTO)
- Ted Ullyot(法務担当役員)
- 課税関係の図解
- 株式購入(Restricted Stock)の場合
- ISO(税制適格ストックオプション)の場合
- NSO(税制非適格ストックオプション)の場合
- RSU(Restricted Stock Unit)の場合
目次とキーワード
- ザッカーバーグ向けオプション関連文書の全体像
- オフィサー向け株式インセンティブプラン
- オプション付与通知
- オプション契約書
- APPENDIX(用語集)
- 早期行使通知及び制限付き株式引受契約書
- 他
- ザッカーバーグ専用インセンティブプラン
- オプション付与通知書
- 資金調達の株価と付与のタイミング
- 行使価格および株式数
- ベスティングのスケジュール
- 他
ザッカーバーグ氏に付与された「税制非適格ストックオプション(NSO)」は、量も多く、リスクや負担も大きいので、その契約書は一般従業員等向けの契約書と比較して、行使資金や源泉税、資産管理スキームへの譲渡等に関して、負担やリスクの軽減、フレキシビリティの確保等が図られています。
目次とキーワード
- オプション付与契約書
- オプションの付与
- オプションの種類の指定
- オプションの行使
- 支払いの方法
- 雇用等の終了時
- オプションの譲渡制限
- 税務の概要
- ロックアップ
- 本契約の効果
- 税
- 資本再構成時の修正(合併その他の取引時)
- 準拠法
- 一般条項
- オプション付与契約書添付の用語集
ザッカーバーグCEOのストックオプションの行使の通知について。
一般従業員等向けの契約書と比較して、以下のような特色があります。
- 行使して取得した株式をエスクローに入れろ、という部分がない。(第2条。ザッカーバーグ氏が自分で株券を持っていてもいいということかと思います。)
- 譲渡時の通知(第3条(a)(i))で「売買等が証券法上の登録を必要としない」旨を保証しなくていい。(ザッカーバーグ氏なら弁護士に調べさせるコストは負担できるはずですが、従業員より義務が軽くなっています。)
- 「近親者(Immediate Family Members)」の定義(第3条(a)(vi))が、非常に広くなっており、ザッカーバーグ氏の財産管理の設計のフレキシビリティが確保されています。
- RSU契約書と同じく(従業員等向けストックオプション版の契約書と異なり)、取締役会が決定した株価に、ザッカーバーグ氏側が文句を言えるようになっています。(第3条(b)(ii))
- ザッカーバーグ氏のストックオプション契約書と同様、ザッカーバーグ氏が「適格投資家(Accredited Investor)」である旨の表明が行われています。(第4条(g))
- ザッカーバーグ氏が経営株主としてVC等との契約によって、議決権の行使や譲渡に制限がかかっていることが、株券の注意書きに記載されることになっています。(第5条(a))
目次とキーワード
- 行使通知書兼制限付株式購入契約書
- ストックオプションの行使
- 行使のタイミングと場所
- 譲渡に関する制限
- 投資および課税についての表明
- 注意書きの表示および譲渡禁止命令
- 雇用される権利の保証がないこと
- ロックアップの制限
- 一般条項
- 領収書(Zuckerberg発行分)
- 領収書(Facebook発行分)
今回は、「早期」の行使通知書(EARLY EXERCISE NOTICE AND RESTRICTED STOCK PURCHASE AGREEMENT)についてです。
目次とキーワード
- 譲渡に関する制限
- Facebook側の買い戻し権
- 先買権
- 家族間等の譲渡に関する例外
- エスクロー
- その他
■ベンチャー投資会社「Alphabet」に生まれ変わるGoogle
(第332号)ベンチャー投資会社「Alphabet」に生まれ変わるGoogle
この回はGoogleから発表された持株新会社「Alphabet」の構想について。
テクニカルなスキームとしては、日本でもよくある「◯◯ホールディングス」といった持株会社化と同じにも見えますが、本件において特筆すべきことは、Googleの創業者たちが「ベンチャー投資こそが、世界一面白くて、やりがいがあって、しかも一番儲かるビジネス(企業価値を高める方策)である」と考えたということじゃないかなと、私は思います。
目次とキーワード
- CEOのレター「G is for Google」
- 臨時報告書の本文
- スーパー女性CFO、Ruth Porat氏
- 持株会社化のスキーム
- デラウェア州会社法251条(g)
- まとめ:Alphabet持株会社を設立する意味
■Squareの上場と「魔のSeries E調整条項」
今回は、先週上場申請した米国の決済サービスSquareについてです。
米国時間の先週水曜日(10月14日)、SquareのS-1(上場申請のための書類で、日本のIPOでの有価証券届出書にあたる文書)が米SECに提出され、SECのデータベース「EDGAR」に掲載されています。
今週はまず、「コーポレート・ガバナンス編」として、このS-1の本文のうち、役員や持株比率について見ていきたいと思います。
目次とキーワード
- 役員
- 執行役員
- 社外取締役
- 資金調達と株主構成
- Crunch Baseの資金調達の記載
- 投資家と役員の持株
この回は、定款(CERTIFICATE OF INCORPORATION)で、優先株について見ていきたいと思います。
S-1の本文を見ると、上場するClass A株式とClass B普通株が存在する旨が書かれているのですが、この定款の普通株はまだClass A Class Bには分かれていません。
(これから、上場した瞬間に既存の普通株がclass B普通株に転換されるという、変更された定款が出てくるのかもしれません。)
また、特に「IPO時のSeries Eに関する調整」という条項が非常にヤバいですので、ご注目を。
目次とキーワード
- 株式のクラス
- 額面は0.0000001ドル
- 優先株の種類と授権枠
- 配当
- 清算
- 上場時等の強制的な転換条項
- IPO時のSeries Eに関する調整
- その他
この回は、上場予定の米国の決済サービスSquareの最後のSeries E優先株の「危険な条件」について。
このSeries E優先株の条件の「MSCB的な」ヤバさが、IPO時には、さらにいかにヤバくなるか、また、こうした条件をつけないと調達できなかったとしたら、Series E調達時(昨年10月ごろ)のSquareのシンドさが垣間見えるんじゃないかと思います。
追記:SquareがIPOの売り出し価格を下げようとしているという報道がなされましたが、実はSeries Eの特別転換調整条項と10月26日の定款変更を見れば、すでに11ドル弱まで下げようとしているということが予測できたですよね、というお話であります。
目次とキーワード
- 株式のクラスごとの授権株式数の修正
- Series E優先株の授権株式数の修正
- Series E優先株の特別規定の修正
- なぜ、こうしたSeries E優先株に関する修正が行われたか?
- Convertible noteと同じことじゃないの?
- 他のややこしい優先株の例
- 転換株式数シミュレーション
- 教訓:
「IPOの株価に連動するような条件の優先株で調達するのは、やめれ」
この回は、上場予定のSquareの上場コスト(引受手数料除く)、上場前の株式等の取引などについて。
日本の上場コストって、本当に安いなあ、と思います。:-)
目次とキーワード
- 上場関連費用(引受手数料除く)
- Squareの上場関連費用
- Facebookの上場関連費用
- Twitterの上場関連費用
- Googleの上場関連費用
- 役員の補償について
- 直前の株式等の取引
- 普通株の少量取引
- 優先株の発行(D、Eの詳細)
- オプションとRSUの発行
- ワラントの発行
- 買収に関連した株式の発行(対価は普通株)
ついにSquareの公募価格が決定され上場しましたが、今回は、最終的な目論見書(Form 424B4)を読み解いて、「最終ラウンドSeries Eの特別調整条項は結局、SquareのビジネスやIPOにどう影響したのか?」「こうした条項が他の会社でも『ユニコーン偽装』に使われているんじゃないか?」といったあたりを考えてみました。
目次とキーワード
- 公募価格9ドルの決定と、上場後の株価の推移
- 公募と売出しの内訳(投資家は全員、売出しできなかった)
- Series E株式は、どう処理されたか?
- Series E特別調整条項の権利放棄は、なぜ行われたのか?
- もし「最初から仕組まれていた」としたら?
- Series Eは「実質ダウンラウンド」ではなかったのか?
- 転換価格調整条項を回避する効果
- 法には触れないのか?
- まとめ(「仮装されたユニコーン」にご注意)
■「起業のエクイティ・ファイナンス」改良版
この回は、拙著「起業のエクイティ・ファイナンス」
第4章「優先株式の投資に備える『みなし優先株式』」に書いた、シード投資に用いるシンプルな「みなし優先株式」を、その後の実務で使ってみて、「ここは直したほうがいいな」と思ったところを改良するものです。
目次とキーワード
- 「みなし優先株式方式」の概要
- 「みなし優先株式方式」の特長と要注意点
- ひな形の概要
- 定義の概要
- 優先株式への転換条項
- 今回の改良点(投資家の足並みを一致させる)
この回は、拙著「起業のエクイティ・ファイナンス」
第5章「経営者の持分を是正する乙種普通株式」に書いた、劣後株を使ってシード期からアーリー期のベンチャーの経営者の持分を是正する方法を、その後の実務で使ってみて、一部改良するものです。
目次とキーワード
- 資本構成の是正の必要性とは
- ストックオプションで是正を行う方法の問題点
- 無償のストックオプションを使う方法
- 有償ストックオプションを使う方法
- 「乙種普通株式」を使った是正方式
- 乙種普通株式発行の例
- 乙種普通株式の課題
- 今回の改良点(ややこしさを低減)
■ザッカーバーグの「全財産寄付」
Facebookのザッカーバーグ氏が5兆円以上になる(ほぼ)全財産を寄付することにした、と発表したことについて、「すばらしい」「いや、偽善だ」といった議論が巻き起こりましたが、今回はこの件について、開示資料から考えてみたいと思います。
目次とキーワード
- ザッカーバーグ氏のFacebookへの投稿
- SECへの開示
- 寄付等の期間
- 寄付等の方法
- 寄付等の量
- 寄付等の目的
- 実現の手段
- 目的実現のためのentity
- ザッカーバーグ氏の関与
- 売却の予定量
- 売却の方法とインサイダー取引規制
- 売買等の開示
- 開示日時点でのザッカーバーグ氏の持株数
- ザッカーバーグ氏の持株数の推移
- 上場時の株主構成
- 大量保有報告書でみるザッカーバーグ氏の持株
- 他の株主からの議決権行使委任分は大幅に減少
- ザッカーバーグ氏はいつまで過半数の議決権を保てるのか?
- Class A普通株とClass B普通株の議決権
- 発行済Class A、Class Bとザッカーバーグの議決権
- 議決権推移のシミュレーション
以下、目次一覧:
(第300号)謹賀新年(2014年の「週刊isologue」総集編)
(第301号)上場前後の資本政策(2014年第4四半期:その1)
(第302号)上場前後の資本政策(2014年第4四半期:その2)
(第303号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(議決権行使契約編その1)
(第304号)アリババ株分離で、ソフトバンクの米Yahoo!買収はあるか?
(第305号)アリババ株分離で、ソフトバンクの米Yahoo!買収はあるか?(スキーム編)
(第306号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(議決権行使契約編その2)
(第307号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(議決権行使契約編その3)
(第308号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(先買権・共同売却権編)
(第309号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(マネジメント権、法律意見書)
(第310号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(定款編その1)
(第311号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(定款編その2)
(第312号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(定款編その3)
(第313号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(定款編その4)
(第314号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(定款編その5)
(第315号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(定款編その6)
(第316号)上場前後の資本政策(2015年第1四半期:前編)
(第317号)上場前後の資本政策(2015年第1四半期:後編)
(第318号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(役員補償契約編その1)
(第319号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(役員補償契約編その2)
(第320号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(役員補償契約編その3)
(第321号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(役員補償契約編その4)
(第322号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(役員補償契約編その5)
(第323号)全米ベンチャーキャピタル協会契約ひな型(総まとめ編)
(第324号)Facebookの株式インセンティブプラン(その1)
(第325号)Facebookの株式インセンティブプラン(その2)
(第327号)Facebookの株式インセンティブプラン(その3)
(第329号)Facebookの株式インセンティブプラン(その4)
(第330号)Facebookの株式インセンティブプラン(その5)
(第331号)Facebookの株式インセンティブプラン(その6)
(第332号)ベンチャー投資会社「Alphabet」に生まれ変わるGoogle
(第333号)Facebookの株式インセンティブプラン(その7)
(第334号)Facebookの株式インセンティブプラン(その8)
(第339号)上場前後の資本政策(2015年第3四半期:前編)
(第340号)上場前後の資本政策(2015年第3四半期:後編)
(第350号)上場前後の資本政策(2015年第4四半期:前編)
(第351号)上場前後の資本政策(2015年第4四半期:後編)
(ではまた。)
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