監査法人以外のキャリアの公認会計士

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伊集院さんよりおたずね。

全然関係ないんすけど、磯崎さんの公認会計士三次受験資格って、
「公認会計士法施行令第2条3項、前号に掲げるものを除くほか、地方公共団体以外の法人において、原価計算その他の財務分析に関する事務を直接担当すること。」ですか?
今、僕は大学生なんすけど、監査法人勤めるつもりはないんですけど、私企業の経理・財務とかに勤めて原価計算その他の財務分析に関する事務を直接担当したら、すんなり三次試験受ける事ができるのか、その程度とかはどうなのか、お知り合いの公認会計士さんとかで、原価計算してたのに、なかなか受験認めてくれないとかあったら、教えてください。

はい。その「原価計算その他の財務分析に関する事務を直接担当すること。」です。
一応、監査法人さんに数ヶ月出向して監査の現場もちょっとは経験させてもらったのですが、受験資格としては「財務分析」です。
当時の関東財務局の試験担当の人に相談に行ったら、「めずらしいんですよねー、こういうケースは・・・」といって、親切にいろいろアドバイスをしてくれました。
ただ、監査法人に勤めていれば証明書1枚でOKと聞いてますが、私の場合、
「勤務先の会社概要のパンフレットないですか?」とか
「どういう部署で、どのような業務を担当したかの経歴を詳しく記入してください」とか、
「今まで財務分析した報告書を、クライアント名等は塗りつぶして何冊か添付してください」とか、
何回かやりとりして、結局、提出した資料は厚さ20cm超の「力作」になりました。
あいにくと、他に同じパターンの方に未だ出会ったことがありませんので、他の方のケースは存じません。
三次試験はご案内の通り「口述」があるわけで、ここで(監査の実務経験がないからイジめられたりするんじゃないかとか)ちょっと心配したんですが、むしろ逆で、
「ずっと一般企業で財務分析を含むコンサルティングをやってました。」
と試験官に言ったら、
「それはいいですねー、全然心配ないですから落ち着いて答えてくださいねー」
と、試験官の方2人とも不気味なほど猫なで声でやさしくてびっくりした記憶があります。
「じゃあ、売掛金の実在性に関する監査手続きは何だったですかね?うん?」
「えー、『確認』・・・です」
「そうそう。監査経験無いとか言ってたけど、ちゃんとできるじゃない、ねえ、先生?」
「ええそうですねー。じゃあ、その調子でもう一問・・・」
てな感じで、「ナメてんのか」と思うほど態度はやさしかったので、「差別」はなさそうですからご安心を。(13年も前のお話なので、ご参考になるかどうかわかりませんが。)
昨日も、某監査法人のエラいパートナー(この方もかなり変わった経歴)の方と話してたんですが、
「弁護士さんって、離婚ばっかりやってる人とか、貧しい人のためにがんばってる人とか、英語ばっかり翻訳してる人とか、法廷でケンカするのが何より大好きという人とか、非常にいろんなタイプがいるけど、会計士って、非常に似たようなタイプの人が多いですわな」
ということで、もっといろんな職歴やアプローチの多様な人材を育てるために努力している、という趣旨のことをおっしゃってました。
がんばってください。
(ではまた)

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11 thoughts on “監査法人以外のキャリアの公認会計士

  1. 有り難う御座いました。
    安心して私企業に勤められます。
    がんばります。

  2.  監査法人に所属しながら、監査14年、VC2年、証券2年、某機構2年と様々な職場の経験をさせていただき、昨年監査法人から独立した公認会計士です。いろいろなキャリアをもった公認会計士が、様々な分野で活躍してはじめて公認会計士の存在価値が世間に認められるものと思っておりましたので、磯崎さんの考えには同感です。
     会計・監査というインフラを理解しつつ、多様な考え、アプローチを持った公認会計士が出てこないと、ムラ社会的発想による監査の失敗が続くのではと危惧しています。
     いろいろな発想をもった公認会計士が数多く育ってほしい!と切に思っています。 
     

  3. いつも磯崎さんの新鮮な視点に感心しながら拝読させていただいています。
    私も監査ではなくコンサルティングをずっとしてきていますが、3次試験はそのために某監査法人でパートをさせてもらい、その監査概要書1枚で受験資格をクリアしたクチです。会計士登録後も会計分野を中心に業務プロセスや情報システム関連のコンサルティングをしてきましたが、一昨年転職を機に本業のコンサルティングのかたわら年に1、2社監査業務に従事するようにしてみたところ、これが結構新鮮でした。10年ぶりというタイムラグもあるのですが、それよりも帳簿数値の前提となるビジネスプロセスや内部統制の理解、情報システムとの関連などについてはコンサルティングのスキルが想像していた以上に活かせるんですね。最近では会計士といっても多方面で活躍する人も多いですが、これらの人が一緒に協業をしたり、また監査会計士が一定時期他の業務に従事してまた監査に戻る、というよう交流というかキャリアパスが形成されるようになるのが業界としても望ましいと思っています。

  4. Geekくずし

    GeeksとSuitsの確執に関しては,ちょっと以外な本がおすすめ。
    The Compleat McAndrew
    Charles Sheffield
    マッカンドルー航宙記
    チャールズ・シェフィールド
    むしろハードSFとして有名な本書だが、天空のギーク城、ペンローズ研究所の物理学者たちとUSFのスー

  5. はじめまして。いつも勉強させていただいております。<(_ _)>
    私は昨年まで監査法人に勤務し、昨年途中から決算業務やM&Aなどの
    実務界に身を投じたものです。
    監査法人でもデューデリジェンスやシステムコンサルティングなど監査以外の幅広い仕事をする機会に恵まれていたのですが、いざ実務界に身を移してみるとまだまだ自らの経験の浅さや無知を実感しながら毎日頑張っております。
    同じ会計・税務の知識を使ったとしても、監査を行う視点と実務で経営に活かす視点ではかなり違います。最近ようやく実務で経営に活かす感覚がわかり始めてきたので仕事が楽しくなっているところです。
    これからもいろいろ勉強させてください。ではまた。

  6. 私も数年前に「某上場企業経理部の実務経験(正確には「原価計算」)」にて3次試験に臨みました。
    たしかに、会社案内・組織図・在職証明・実務経験の成果物などなど、あれこれ資料を求められ、苦労した思い出があります。
    特に私の場合、3次試験受験時は、すでに監査法人に転職していたので、それらの資料を前の会社にもらいに行かなければならない。
    人事や元の上司に事情を話して許可をもらい、仕事を休んで前の職場に行き、資料集めに奔走しました。
     
    >監査法人に勤めていれば証明書1枚でOK
     
    そうなんですよねぇ。
    当時、大量の添付資料をまとめながら「これって、一般企業在籍者に対する差別だよなぁ」と思いましたが。

  7. はじめまして。
    1年以上前の日記に返信しまして申し訳ございません。
    私は、先日、公認会計士論文試験に合格したものです。
    今、一般企業にて経理財務の責任者をやっています。
    今更監査法人に入るつもりもなく、公認会計士の要件の業務補助等2年以上について、いろいろ調べているのですが、なかなか情報が入らず、こうして磯崎先生のHPにたどり着きました。
    ご存知の通り、今年より会計士試験の制度が変わり、一般企業にての業務要件に、「資本金5億円以上の企業」にて、原価計算その他の財務分析に関する事務を直接担当することというふうに資本金の要件が追加されましたが、現在の会社は資本金が1億円であります。そこで、過去上場企業にて経理業務をやっていたので、その経験で、証明を行おうと思っています。
    当時は、まだ一担当者であり、上場準備、連結決算、予実管理、子会社の財務諸表分析、一部デューデリ等をやっていました。
    正直これが、原価計算その他の財務分析にあたるのかはわかりません。また、今後今の会社が資本金5億以上になる保証もないので、ぜひ、以前の経歴で証明をとりたいと思っています。
    そこで、原価計算その他の財務分析というのが、どういう内容なのかについてもしわかりましたら教えていただければ大変うれしいと思います。たとえば、予実管理や上場準備、子会社の財務諸表分析などは入るのでしょうか。以前、財務局の担当の方の見解など聞いてらっしゃいましたら教えていただければ幸いです。
    初訪問でこのような質問をするのは大変差し出がましいのですが、なにぶん情報が少なく、ぜひともお知恵をいただければ大変ありがたいです。
    よろしくお願いいたします。

  8. 本文にもありますとおり、直接財務局の人に相談すれば、いろいろ親切に教えてくれるんじゃないかと思いますし、一番早いんではないかと思います。
    私も、プロフィールのとおり、会計士の登録をしたのが92年ですので、いろいろ制度や解釈も変わってると思いますので、お役に立てなくて恐縮ですが。
    (ではでは。)

  9. ご教授誠にありがとうございます。
    今は財務局経由で金融庁が審査するシステムになっておりまして、財務局のほうでいろいろと指導していただけました。
    まだ、結果はきていませんが、なんとかなりそうな予感はしています。
    今後ともよろしくお願いいたします。