企業買収と潜水艦戦

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22日のエントリーでお伝えした大株主や大量保有報告書の開示は、有価証券報告書や半期報告書のままの期ごとの表示でわかりにくかったと思いますので、時系列に整理して比率を出してみました。
いわゆる「村上ファンド」は黄色で表示してあります。
image001.gif
徐々にいろいろな投資家が株を買い集めて忍び寄ってくる様がお楽しみいただけるのではないかと思います。(BGM:「ジョーズ」のテーマ)
ご案内のとおり、(名義はどうあれ)実質としての持株比率が5%を超えると「大量保有報告書」を提出し、その後1%の変動があるごとに変更報告書を提出する必要がありますので、密かに買い集める場合には、5%未満のギリギリのところまで買ってきて名義変更をしない、という手法がよくとられます。
また逆に、5%を切っていても、あえて名義変更をして「海面に浮上」し、存在をアピールすることもできるわけです。例えば、平成15年3月末の「�エム・エイ・シー」の行を見ていただくと、持株比率は3.81%なのに、あえて名義書換をしてらっしゃるわけですね。
さらに、緑色で示した外国人投資家2名については、(放送法を考慮してか)、名義書換せずに大量保有報告書のみでの開示となっています。このため、「ピーターキャンディル アンド アソシエイツ」の行を見て頂くとおわかりの通り、1%以上持分が増減しないと相手の動きが見えません。
平成16年3月末には5%を切ってますが、こうなるともう、
「敵艦、変温層の下に潜航!」「敵艦、ロストしました!」
状態になっちゃいます。
また、今回調べてみてちょっと面白かったのは、水色で示した「ボストンセーフデポズィット ビーエスディーティー トリーティー クライアンツ オムニバス (Boston Safe Deposit BSDT Treaty Clients Omnibus)」という株主の方。
住所もボストンですし、名前からしていかにも海外のカストディ業者か何かのようですが、Googleで検索してみると、ヒットするのはすべて日本企業のホームページの大株主欄ばかり。実体は「日本人」でらっしゃるんでしょうか。
カタカナでの検索結果
中外製薬株式会社
株式会社トーメンエレクトロニクス
株式会社大和証券グループ本社
エスペック株式会社
株式会社日興コーディアルグループ
アイフル株式会社
英文での検索結果
東京エレクトロン株式会社
株式会社 コナミ コンピュータエンタテインメント ジャパン
山之内製薬株式会社
中外製薬株式会社
(その他100件強)
私はよく存じませんが、きっと、上場会社総務担当者の方々の間では有名な存在なんでしょうね。どなたか、お差し支えなければ教えていただければ幸いです。
(では、本日はこれにて。)

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5 thoughts on “企業買収と潜水艦戦

  1. お悩みのBOSTON SAFE DEPOSITはご推察のとおり米国のグローバルカストディアンです。Mellon Bankのカストディ部門です。

  2. naoyouさん、ありがとうございます。
    「BSDT Treaty Clients Omnibus」というのが、日本株をまとめたアカウントの名称なんでしょうか??
    「BSDT」だけで検索エンジンにかけてみても、それらしい意味のページが引っかかりませんし・・・。
    「Clients Omnibus」というからには、一つの機関投資家じゃなくて、複数の投資家なんでしょうね。

  3. 「BSDT Treaty Clients Omnibus」は、Boston Safe が日本のサブカストディアンに開設している口座名称だとおもいます。グローバルカストディアンの内部では、顧客毎の口座管理を(当然)していますが、サブカストディアンに開設する口座は、まとめてOmnibus口座として開設するのが一般的ですね。
    ただ、全部まとめてしまうと租税条約の関係で面倒もあるので、租税条約適用あり(Treaty Account)/租税条約適用なし(Non-treaty Account)と2つに分けたり、最終投資家の国別( American AccountとかCanadian Accountなど)に分けたりします。
    # BSDT、確かにGoogleなどでも引っかからないし、Mellonのホームページを見ても出てこないですねぇ。結構Majorどころなんですが。Mellonの名前だけで商売してるんでしょうねぇ。