ベンチャーこそ委員会等設置会社

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本日(3月29日)日経25面で、「米企業、消える”会長兼CEO”」という記事があり、インテルのアンディ・グローブ会長のコメントも載ってますということで、本日は「ガバナンス」に関して。
日本でも米国型のボードシステムである委員会等設置会社が平成14年の商法改正で登場し、すでに、ソニーや日立製作所、オリックスといった企業が採用しています。ただ、大半の人は、「委員会等設置会社は、そういった超大企業向けのガバナンスのシステムで、うちの会社には関係ないよ」という感じをお持ちではないでしょうか。
今回は、あえて「ベンチャーこそ委員会等設置会社を検討してみたら?」という提言をしたいと思います。
(ここでいうベンチャー企業とは、中堅中小企業であるかどうかという規模の問題ではなく、株式公開またはM&Aにより投資家に株式の売却(exit)の機会を与えようとすることにより株式で資金調達をし成長をしていこうとする会社のことを指すこととします。)
ベンチャー企業は、
1.ベンチャーキャピタル等から投資を受けていることが多く、社外取締役を置いていることが多い。
2.2億円以上資金を調達している有望なベンチャーであれば、商法上の「中会社(資本金1億円超)」ですし、10億円以上調達していれば確実に「大会社(資本金5億円以上)」になります。(「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」第1条の2等)
商法上の中会社になると、監査役の責任は会計に関する監査だけでなく業務監査にも及び、非常に大きくなります。大会社になると監査役の会計に関する監査責任はぐっと軽減されますが、代わりに監査法人等に会計監査を依頼しなくてはいけないことになります。
委員会等設置会社で注意が必要な点としては、監査法人等の監査を受けなければならない点と、社外取締役を置かなくてはならない点ですが、ベンチャー企業はいずれにせよその両方ともすでにやっていることが多い。委員会等設置会社のメリットとしては、監査役を置けない(置かなくていい)ということがあります。
特に商法上の大会社では「常勤」の監査役が求められるのでそのコストが確実に発生しますし、2人以上社外監査役をおかないといけません。最低でも取締役3人+監査役3人の非常に大掛かりな役員構成が要求されます。
委員会等設置会社の場合、最低取締役3人(最低2人以上は社外取締役)が要求されるだけですので、ベンチャーの成長のステージに応じた最適な人数で役員会を構成することができます。
監査委員会、報酬委員会、指名委員会の3つの委員会を作る必要がありますが、そのために膨大な規程類を作成しないといけないというわけではありませんし、行うことも基本的には今までの取締役会や監査役の機能と重複しています。開催も、取締役会と合わせてやればいいわけですし、メンバーも重複していいので、従来やっていた取締役会よりも負担が増えるということは(予想に反して)あまりないといえます。
問題は、こうした仕組みで会社がうまく運営ができるのか、社外の人が多いと社長の思ったとおりの会社運営がしづらくなるのではないか、はたしてこうしたしくみでガバナンスがうまくできるのか、というようなことになりますが、これについて詳しくはまたの機会に。
基本的には、かなりうまくいくし、ガバナンスとしてもプラスになるのではないかと考えています。
とりあえず、本日は、このへんで。

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