インボイスの新株予約権はいくらで売買されるのか?

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「インボイスの新株予約権申込証、来ました」で書きましたとおり、インボイスの新株予約権申込証が手元に来ていたのですが、ぼんやりしてるうちに、申込期限(「11月8日必着」)が間近に迫ってました。
ということで、あわてて申込証を投函。
invoice_futo(s).JPG
インボイスさんは、先日(11月1日)、「ソフトバンク・グループとの包括事業提携についてのお知らせ」も発表し、その中には、

�.その他
ソフトバンク・グループは、当社が発行する新株予約権について、11月12日に行われる入札に参加することを検討中です。

という情報も盛り込まれていたので、11月2日(火)には株価もちょっと上昇。(前日比+1,170円、6.8%増)
行使価格が実質22,300円(うち、行使手数料210円)ですから、11月1日終値17,200円比では約23%も行使価格から低かったわけで、「誰も行使しない」→「資金が入らない」→「事業運営に支障」→「ますます株価が下落」という負のスパイラルに入る可能性があるわけですが、ソフトバンクというカードがここで出てきたわけですね。(当然、この[新株予約権申込期間の]タイミングでの発表を狙ってたんでしょうね。・・・だとしたら、すごい演出力・・・。)
ソフトバンクはインボイスをどう値踏みするか?
一方、ソフトバンクさん側に立つと、この新株予約権の入札で、「いくらで指す」のか?というのも興味深いところです。
ちゃんとオプション価値を計算する場合、今後のボラティリティ(変動)をどう考えるのかが一つ大きな課題。過去6ヶ月くらいのインボイスの株価のヒストリカルなボラティリティを採用すれば、それはそれはすごく高いボラティリティになるでしょうから、新株予約権のオプション価値も非常に大きく想定できるところですが、
invoice_chart20041104(s).gif
(出所:Yahoo!ファイナンス)
一方で、平成17年3月期第1四半期末の自己資本(株主資本)は5,130百万円、一株あたり株主資本6,898円77銭ですから、新株予約権の行使により50億円以上の資金が集まるようだと、株価は22,000円の壁を越えることができず、新株予約権の価値としても低いものになってしまうような気もします。
また一方では、ソフトバンク自らが営業協力することで、インボイスの企業価値を上げることもできるわけです。
(ややこしいですね。)
一般株主の行動
今、私の興味のあるところは、上記の、「新株予約権の売買価格がいくらになるのか」、ということの他に、以下の通りです。
(1) どのくらいの株主が、この新株予約権を申し込んだのか?
(申し込まないと新株予約権はもらえない。現在のように株価が行使価格割れしてる状況では、特に小口の個人投資家などには「どーせあがらんだろう」という気持ちも働くかもしれません。)
(2) どのくらいの株主が、売却スキームに申し込んだのか?
(売却スキームに申し込まなくてもいいのではありますが、今後、新株予約権の行使期間内に一度も株価が行使価格を上回らないだろうと考えれば、新株予約権現金化のチャンスは今回しかない。ただ、非常に手続きが複雑なので、「面倒」と思う人も多そう。)
(3) どのくらいの新株予約権が売却に回されるのか?
(売却スキームに参加しても、一部だけ売却でもOK。)
(4) 実際に最終的にどのくらいの数の新株予約権が売買されるのか?
(一度売却を申し込んでいても、最終的に、ウエブや携帯電話から売却の取り消しや売却希望株数の引き下げ等が可能です。前項の売買価格の水準にもよると思いますが。)
(5) 今後、行使期間内(平成17年9月30日まで)に、株価が行使価格以下なのに新株予約権を行使しちゃう(アホな?)人がどのくらいいるのか。
等。
「人為的」に行使を促せるのか?
以前(10月26日に)、「rudy」さんから前述のエントリーに対して、コメントをいただいておりました。
(お返事遅れてすみません・・・。)

私もインボイスの新株予約権申込書が先日郵送されました。(中略)
まずこのスキームはインボイスとしてはWIN−WIN Situationではないかと思います。
9月27日以降インボイスの株価は行使価格より値上がりしておりません。株価を下値水準で抑えておいてSO権利を得た投資家(一般的には個人)の行使意欲を無くし売却スキームに誘導しているのではと察します。売却スキームでは証券会社等の第3者がこの新株予約権を売主から購入し、その購入価格は需要と供給のバランスにより決定されるとありますが、恐らく500円とかかなり安い価格帯ではないかと思います。

常識的にはそんな感じではないかと私も思います。

いずれにしよこの新株予約権は無償で配布された訳ですから投資家にしてみれば現物株は保有しているものの、この新株予約権はいわば配当みたいなものであり、売却すればそれなりの金額が獲得できます。一方第3者の証券会社等はこの新株予約権を安値で購入する訳で、仮に株価がこのまま低迷すれば証券会社等にしても行使できないため実損を被ります。しかしここがトリックでもしインボイス側と証券会社等側との間にデキレースが存在して現在の株価を意図的に操作しているとしたら株価は11月12日以降行使価格を越えて上昇することになるでしょう。そうすれば証券会社等は行使価格で行使し、すぐ売却すれば利益が得られる反面、インボイスも行使価格での資金調達が可能となります。

今回の申込で取得される新株予約権の量にもよると思うんですよね。
自己資本の何倍もの行使価格分の新株予約権が潜在株式として存在してたら、かなり、株価の重しになると思います。(適法性にかなり疑問がありますが)仮に誰かが一時的に相場を行使価格以上に釣り上げたとしても、ちょっと行使が進んで売られるとまた下がる、という繰り返しになる可能性の方が高いのではないかと思います。

仮に思うように売却スキームが進まず、投資家が新株予約権の行使をする意向であれば上記同様株価を引き上げ行使させることにより資金調達が可能となります。つまり本SO権利はインボイス側にとってなるべくなら証券会社等と協調し合い安定的な資金調達を望んでおり、行使期間内にダラダラと一般投資家が行使するのはコスト的および資金調達の安定性の面からも望まないのではと考えます。インボイスにとって最悪なシナリオとは期待している個数の行使が行われないことであり、証券会社等であれば必ず行使に応じる等の暗黙の了解が出来れいればこその売却スキームだと考えます。

確かにソフトバンクさんなどが、一括で行使する可能性もあるかも知れませんね。そうすると、前述と逆に、「資金が入る」→「事業運営が順調に」→「ますます株価が上がる」という正のスパイラルに入る可能性も無くはないかも知れません。(個人的にはあまりそうなる気もしないのですが・・・。)
仮に例えばソフトバンクさんが新株予約権をまとめて行使するにしても、あまり株価が行使価格を下回ってるときには、行使価格で行使して株式を取得する説明が付けにくいんじゃないかと思いますので、少なくとも株価が行使価格の数%下くらいまでには回復しないとRudyさんのおっしゃる「安定的な資金調達」も難しいのではないかと思います。
(以上、[いつもそうですが]、あくまで私の個人的見解であります。)

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