社外取締役とパフォーマンスの相関

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「社外取締役の調査結果に愕然・・・」に対してLaw Maniacのminoriさんにトラックバックいただきました。

「公開企業全体では、まだ3社に2社もが社外取締役がいない会社だったとは・・・。」
と、驚いて(呆れて?)いらっしゃっていて、「え、そこで驚くんですか」と、私もびっくり。

すみません・・・不覚にも(あたりまえのこと?で)驚いてしまいました・・・。
ガバナンスがどうのこうのという話でなくとも、社長のご意見番とか、業界の識者とか、そういう外部のアドバイスのできる人を取締役会に加えている企業というのは、もうちょっとあるんじゃないかなという気が(漠然と)してたのですが、日本の公開会社というのは取締役を本当に「内輪」だけで固めてるんですね。
この日経の調査でいう「社外取締役」というのは、minoriさんがあげておられる厚生年金基金連合会の独立性がある社外取締役の定義ではなく、単純な商法上の社外取締役のことでしょうから、なおさらビックリ。
つまり、(その会社に勤務したことのない)大株主の役職員とか、顧問弁護士とか、主要取引先、メインバンク、VCからの派遣の人が社外取締役になっているのを含めても1/3しかいないということですので。
(そういう「元、外の人」もいるのでしょうけど、単に「経営の監督」だけをやってるのではなく、「業務を執行」しちゃってるんでしょうね。)
ちなみに、同じくminoriさんが書かれている「まだ、謎−社外取締役と企業パフォーマンスの相関」についてですが。
「社外取締役の導入=株主価値の重視=企業パフォーマンスの向上」という図式は、理論上、必ず成り立たつわけはないのは明らかかと思います。
(以下、統計として処理するのは難しそうですし、学術論文にはなりにくいと思いますが)、極論すれば、その辺を歩いているオッサンを取締役に据えても、定義上は「独立性の高い社外取締役」になっちゃうわけで。
社長が「商法等の取締役の要件を満たしていれば誰がやってもパフォーマンスは同じ」でないのと同様、社外取締役も「誰がやるのか」が重要だと思います。
オリックスの宮内氏とかが社外取締役に入ったら取締役会がピシーっとしそうですし、そこらへんのオッサンを取締役会に連れてきても、あんまりピシーっとはしなさそう。
また、どのくらい経営にinvolveしてるか、というのも重要なはず。
時間が長ければいいというものではないです(フルタイムなると、逆に精神的、経済的な独立性が損なわれる場合も考えられます)が、3ヶ月に1回1時間くらいしか来ない社外取締役というのが、パフォーマンスに大きな影響を与えるとも思えません。
最も重要な要素として、(ここまで来ると、まったく統計とか学術的な処理が不可能そうですが)、社長との相性というのもあるかと。
同じこと言われても「なるほど、一理ある」と思える人と「けっ」としか思えない人っていますよね。
「上場会社、または、売上げ○百億円以上の会社の社長経験者か?」
「コンサルティング会社等で、経営指導に携わっていた経験があるか?」
等のフィルターをかけてみたら、ちょっとは相関が出てくるような気もしますが。
(出なかったりして・・・)。
(ではまた。)

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One thought on “社外取締役とパフォーマンスの相関

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