「取締役」は「director」か?

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「委員会等設置会社の株主総会運営」に対して、minori_takahashiさんからトラックバックいただきました。ありがとうございます。
takahashiさんは、あくまで、「シーズン通算の成績」について株主に直接、責任を負うのは執行役だ、というご理解で、「監督する取締役と監督される執行役が『並んで株主と対峙』するのは委員会等設置会社の理念とは、本質的に異なる」と考えてらっしゃるとのこと。

執行役が株主代表訴訟の対象であるというのは、こういうことだと思います。

執行役は、取締役会で選任されるので、株主総会が直接選ぶわけではないのですが、確かに、株主代表訴訟の対象になっており、執行役「も」株主に対して直接責任を負うのは間違いありませんね。
また、「取締役でない社長」ってアリ?の、

以前から、会長(つまり「取締役会」の長)職とCEO(つまり、Officer[執行役]の親玉)を分離する流れであることは何度か書かせていただきましたが、さすがにCEOをdirectorにしないという動きはないんじゃないの?と思っておりましたが・・・。

という記述に対して、
「ちょっと気になったんですけど、ここでDirectorというのはMember of the Boardの方が正確では?
英語では、Directorと取締役は必ずしも一緒じゃないので。」
というメールを、とある(英語のできる)方からいただきました。
そうかも知れません。
member of the board of directors
と言ったりもしますが、集合論的に考えると「member of the board of directors」=「director」なんじゃねーのか?と思ったりしますが、このへんのニュアンスってどうなんでしょうね?
確かに、directorっていうと「directionしちゃう人」という能動的な感じもします。
日本で言うと、特に、委員会等設置会社でない会社の(執行を兼務できる)取締役のイメージに向いているかも知れません。
「member of the board」というと、「取締役会という機関の一メンバー(に過ぎない)取締役(なので、一人でdirectionするわけではないですよ)」(だから業績についての文句があったら、直接、執行役に言ってね〜)というニュアンスが、そこはかとなく漂うような気もします。
GoogleのS-1では、社外取締役も「director」と呼んでいるようですね。(69ページ)
このへん、英米法などで決まった用語法があったりするのでしょうか?ご存じの方がいらっしゃいましたら、教えていただければ幸いです。
(ではまた。)

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4 thoughts on “「取締役」は「director」か?

  1. 商法上の機関と職位

     isologue の磯崎さんが、“「取締役でない社長」ってアリ? ”
                      「取締役」は「director」か?
    と、面白いところを突いていらっしゃるので、遅ればせながら、
    整理してみました。
     結論から申しますと、委員会等設置会社…

  2. 磯崎さん曰く:
    「集合論的に考えると「member of the board of directors」=「director」なんじゃねーのか?と思ったりしますが、このへんのニュアンスってどうなんでしょうね?」
    確かにアメリカ英語とイギリス英語では、”director”とは”member of the board of directors”、即ち「取締役」の意味が強いですね。
    で、”director”の基本的な意味は同じですが、米英間の微妙な言い回しの違いもありますね。
    英”managing director” ~= 米”CEO” (最高業務執行責任者)
    英”non-executive director” ~= 米”director” (執行任務を伴わない取締役)

  3. お初です。
    面白く拝見させていただいています。
    米語の場合、日常的には”board member”という言い方が多様されています。
    又、”Director”を中間管理職の役職として使われる場合も多いです。
    (私が米系投資銀行にいるときの肩書きが、まさにDirectorでした。当然役員ではありません)
    因みに、多くの外資系金融機関でVice Presidentという役職が、やっぱり中間層の職員の肩書きとして使われています。
    当たり前ですが、副社長ではありません。
    でも中国語の名刺なんかには「副総経理」みたいに約されている場合もあったりしますね。(笑)