「ドットコム会議」で垣間見たSNSの未来

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昨日は、橋本さん田口さん主催で山岸さんがゲストの「ドットコム会議」に行って来ました。
田口さんによれば「私の顔写真以外は何をblog等に書いていただいても結構」とのことでしたので、早速書かせていただきます。
概要
前半では、パネラー3名が各自の「今、投資したいドットコム ベスト5」を紹介。後半は、「あなたがウォーレン・バフェットと同じエレベータに乗り合わせたとして、かねてから暖めていた画期的なドットコムビジネスのアイデアを1分間でぶつけて見てください」というお題で100人以上の出席者が各自15分間思考、その後6人チームを組んで一つのアイデアにまとめていく、というもの。(拝聴するだけと思って全身弛緩して行ったら、自分も参加しなくちゃいけなくなって、汗・・・。)
紹介されたサービスはどれもおもしろかったのですが、各パネラーの方々の注目する領域は、SNS(ソーシャルネットワーキング)、ブログなどのほか、Gmail的な大容量記憶にモノを言わせた「整理しない情報ツール」、仮想恋愛、「次世代の検索」等々。
田口さんが紹介していた「PeopleAggregator」(http://peopleaggregator.com/)というのはなかなかイメージを掻き立ててくれました。「オープンソースのSNS」だそうです。
空想
以下、磯崎の空想。
切込隊長氏がおっしゃるように、SNSは今の延長線上では今後あまり面白くなさそうなのは確か。
SNS運営側からすればなるべくたくさんの人に使ってもらいたいが、一つのSNSで、個人情報が(制限をかけるにしても一部は)誰からも見られるような状況というのは、個人のセキュリティの観点からも非常に難しいことになっていくはず。
田口さんがPeopleAggregatorに関連してコメントされていたように、今後、SNSは、オープンなものと多数のクローズドなものに分かれていくんでしょう。
その場合、「オープンソース」じゃ、なかなか収益モデルの構築が難しそうなので、まず容易に思いつくのがASP(Application Server Provider)的なモデル。eGroupsやFreeMLをSNS的にしたものが想像されますが、同窓会や、会社の部門毎などで別のグループを作るにしても、インターフェイスが統一されていてデータが裏では共有されている方が利用もしやすいはずです。
それとも、よりオープンに、XMLでプロフィールや人脈データなど交換できるようにしたらいいでしょうか。(それもデータ構造の規格統一が大変そう。)
田口さんが「友達の言うことしか聞かなくなってきた」という傾向について触れていたとおり、私自身、昔はマス広告やマスコミ情報を元に行動する傾向が強かったのが、最近Yahoo!もほとんど見なくなったし、情報の利用にしてもモノの購買でも、blog等で「あの人が勧めていた」というトリガーがますます強力になってきているのを感じます。
エージェント
これは単にSNSの未来形というよりは、(古語で言うところの)「エージェント」という機能の未来形ではないかとも思います。つまり秘書や執事のように「ご主人様(principal)」の嗜好を記憶して、それに最適な情報を引っ張ってきてくれる機能。
すべてのドットコムのサービスを「精子」とすると、それらの精子が目指すゴールである「卵子」は、「最高のエージェント」というポジションではないかと思います。
昔も今も、ここには「ポータル」が座っているわけですが、
yahoo_google.jpg
(出所:Alexaで磯崎作成。)
今後はどうなんでしょうか。Yahooはエージェント的機能を果たしていたから「ポータル」だったわけですが、若干のカスタマイズ機能はあるものの、「ユーザーの嗜好を理解したエージェント」というにはまだちょっとおこがましい。「はてな」や日本のSNSは、ちょっと「エージェント」っぽい匂いがしてきてます。
海馬と前頭葉のアナロジー
人間の脳の、単純記憶をつかさどる「海馬」と、ネットワーク的に関連したメタ記憶をつかさどる「前頭葉」というモデルに対比させて考えて見ると、
(A) ネット上の大量の情報の「海馬」的処理がGoogleのような機能で、
(B)「前頭葉」的機能は、
 (B-1)「はてな」的に自分の嗜好を直接入力しておくもの、
 (B-2)SNS的に「信用できるもの」を登録しておいて、その判断を参考にするもの、
という感じになるかも知れません。
これらを組み合わせると、「最高のエージェント」の要件を満たしてくれる気もします。
ドットコム会議の個人作業では、「ウォーレン・バフェットにアイデアをぶつける」というので、「やっぱりvaluationが1兆円以上にはなるビジネスモデルでないと失礼かしらん」と思って、そういう大それたポジションを狙ってみました。
題して、「美人秘書ドットコム」。
dotcomkaigiworksheet(1).JPG
(出所:「ドットコム会議」・・・・提出するのを忘れて持ってかえって来ちゃいました・・・。)
やはり、valuationを1兆円以上にしようと思うと、特定のニッチなカテゴリではキツい。ターゲット顧客は「全インターネットユーザー」としないとね。
仮想美人秘書インターフェイスで、ほのかにエロスの香り(笑)も漂って、これはナイス!と思っていたのですが、あっさりグループ会議でボツになりました。_| ̄|○
dotcomkaigiworksheet(2).JPG
上図で言いたかったのは、「海馬+前頭葉」という図式であります。
しかし、「美人秘書」ってのは、女性ユーザーのニーズをあまり汲み取っていない名前だったかも知れないですね。・・・15分で考えたことですのでご容赦を。
グループ会議の場では、他の参加者の方から、「仮想秘書じゃつまらん」「100人に1人くらい、抽選でホントの美人秘書が対応してくれることにしろ」という意見も出ました。
はい、それもナイスですねー。
(ではまた。)

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4 thoughts on “「ドットコム会議」で垣間見たSNSの未来

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