ドリームテクノロジーズ臨時株主総会終了

先日取り上げたドリームテクノロジーズ(ヘラクレス:4840)の総会ですが、本日、株主総会本番。
どうなることかと思ってましたが、議決権行使した株主に配られるクオカードの効果もあったようで、総会が定足数に達しただけでなく、1〜3号議案まで、すべて可決されたとのことです。
(めでたし、めでたし。)
http://profile.yahoo.co.jp/biz/press/body/4840/press1.html

臨時株主総会における決議事項のお知らせ
本日、平成18年9月29日開催の当社臨時株主総会において、下記のとおり決議されましたので、お知らせ致します。

第1号議案 定款一部変更の件
本件は、原案どおり承認可決されました。

第2号議案 吸収分割契約承認の件
本件は、原案どおり承認可決されました。

第3号議案 資本金及び資本準備金減少並びに剰余金処分の件
本件は、原案どおり承認可決されました。 

参考:総会招集通知
先日のエントリで予想したとおり、3号議案の資本金及び資本準備金の取り崩しを受けて、17時に自社株買いを発表。
http://www.dreamtechnologies.com/pdf/2006/2006_0929.pdf
この発表が出てないのに、本日は、6,790円と、前日比+660円 (+10.77%)高で取引終了となってます。(前日までの集計結果で、定足数を満たして、総会成立見込みという情報が流れたんでしょうか?)
4840.j[2].gif
(総会は10時からだから、10時ちょっとすぎまでは、会社の総会担当者近辺の人しか、総会が成立するかどうかわからなかったはずなんですけどねえ・・・・。)
資本金等の減少(取り崩し)で約80億円の自社株買付け余力が出たと思いますが、そのうち、15億円分を年末までに買う、ということですね。
上限10万株とのことなので、総会前の終値が6,130円だったのに、平均買付価格15,000円まで買うことを想定している、ということで・・・・・。仮に株価がまっすぐ上がっていくとすると、23,000円超まで買えることになります。もちろん、買えるということと、上がるということは違いますし、特に、この銘柄は(クオカード配らないと総会が成立しないくらい)、浮動株が多いわけですから、何ともいえないところではあります・・・・・。
昨日まで、時価総額が100億円ちょっとだったところで、その10%超の資金をブチ込むことで、どういった価格形成になるのか、ちょっと注目。
(ではまた。)

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シャラポア級 demographic情報に関する お墨付き取得

ちなみに。
先日、「どう堅めに見積もっても、ロシアの若い女性の30人に一人はシャラポア級だ」てなことを書いたところ、某商社の方に、わざわざ当該記事をロシア方面にご回覧いただきまして、駐在員の方から、「それは真実である」という、お墨付きをいただいたそうです。
短い旅の間でサンプル数も少なかったので、イマイチ自信がなかったんですが・・・どうもありがとうございます。<(_ _)>
(ではまた。)

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セミナー「企業とコーポレートガバナンス」(学習院マネジメント・スクール)

下記のセミナーに講師としてお呼びいただきました。

(広告)セミナー「企業とコーポレートガバナンス」2006年10月11日(水)14時 参加者募集中
講師:�りそなホールディングス取締役 渡邊正太郎 / 公認会計士 磯崎哲也 
参加費:18,000円  会場:学習院大学 創立百周年記念会館
詳細は、学習院マネジメント・スクールのwebをご参照ください。
http://gakushuin-gms.com/2006seminar/finance200611gaiyou2.html

渡邊正太郎氏は、花王のご出身で、現在りそなホールディングスの取締役ですが、IRやEVAの導入など、企業価値やコーポレートガバナンスについて、日本でも最も早い時期から取り組んでいらっしゃった方のお一人ではないかと思います。
「大企業の王道のコーポレートガバナンスの観点」から、いろいろお話が聞けるのではないかと思いますので、私のほうは、一昨年来のライブドア・村上ファンド事件を代表とする、最近の「マージナルな」動きを中心に、コーポレートガバナンスについて考えさせていただこうかな、と思っております。
(取り急ぎ、ご案内まで。)

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「痴漢容疑リスク」とリスクマネジメント

昨日のエントリ「痴漢容疑リスク」に、多くの方からコメント等いただきましたので、ちょっと追加コメントをば。
404 Blog Not Found 「痴漢容疑よりこわい針小棒大」

磯崎さんとは思えぬ不見識である。

そりゃ、すんません。

被害者の皆さんには申し訳ないが、「わずか」2,201件である。交通事故死者の4割に満たないのだ。痴漢にあうのと車に轢かれるのと、どちらが深刻で悲惨かは言うまでもないだろう。

池田信夫さんのコメント;

まして誤認で巻き込まれる確率は、宝くじで6億円当たる確率よりはるかに低いでしょう。
もちろんメディアとしては、珍しいから大きなニュースになるので、これは典型的な「代表性バイアス」です。日ごろから冷静なリスク評価の必要性を説いている磯崎さんが、こういうバイアスを強めるのはいかがなものでしょうか。

「最大のリスクの一つ」という私の表現が、誤解を招きやすい表現だったかと思います。私の問題意識は、「まっちゃか」さんのコメントで、

それよりも、いわんとすることは、そのリスクに対して実効的な対策が打てないことを言われているのでは。
空き巣に入られる可能性が低いからといって、ドアに最初から鍵がついてないようなもの。
(中略)
それだけのリスクに対して、相当の努力(例えば、著しく早い時間帯の電車に乗るか、著しく高額な費用を伴う対策)を強いられる現状に対する問題提議と捉えています。

で言っていただいているのと、ほぼ同様でして、リスクマネジメントにおける、「固有リスク」と「残存リスク」の、どちらかというと「残存リスク」のほうのお話であります。
「固有リスク」と「残存リスク」
リスクマネジメントやリスクアプローチの監査などで、よくこんな↓概念図が示されます。
image001.gif
図中の「A」は、「発生可能性」が高く「影響度」も大きいので、固有リスク(ある事象が本来持っているリスク)が高いわけですが、こうしたリスクでも、対処することで、「残存リスク」を小さくすることができます。(図中「A’」)
例えば、交通事故で発生する財務リスクをヘッジするために保険をかける「リスク移転」や、自社で商品を配送していたものを、すべて宅配便に切り替えることで、社員が引き起こす交通事故リスクを負わないようにする「リスク回避」、社員教育によるリスクコントロール等です。
一方、発生可能性が低くて影響度も高くなくても(図中「B」)、そのリスクに対して何も対処が行われないと、より固有の発生頻度・影響額が高い事象のリスクよりも、結果としての「残存リスク」は大きくなることもあります。
交通事故リスクは、一般的に非常によく認識されたリスクであり、保険や教育など、取れる対応策もだいたい取られているケースが多いんじゃないかと思いますが、「痴漢容疑リスク」というのは、そもそもリスクの存在自体が認識されてない(他人事だと思ってる可能性が高い)し、対処も全く行われていないことが大半ではないかと。
そして、リスクマネジメントで重要なのは、「固有リスクそのもの」ではなく、「残存リスクがどのくらいか」、ということになります。
「対処」のコストパフォーマンス
このため、社員のコンプライアンス研修などの中で、仮に痴漢容疑で拘束された場合に、どういった対応を取るのがいいのか(例えば:会社総務に至急連絡 → 総務は顧問弁護士に連絡とか)、といった対応を示しておくのも一考かと思います。
そういうイメージトレーニングが出来てない場合、
「恥ずかしがって誰にも相談せずに事態が最悪の状況になってから対処」とか、
「頭がパニクって、その場から逃走しようとして心証が悪化」とか、
「取調べの警官に、『やったと認めないと1ヶ月は留置所だぞ』と言われて、今まで体験したことの無い環境のプレッシャーで、やってもいないのに『やりました』と自供しちゃう」とか、
影響度を拡大させてしまうことにもなりがちかと思います。
「客観的」リスクと、「主観的」リスク
また、池田さんのコメントには、「絶対的な確率が低いことをマスコミがたまたま騒いでいるだけ」という、「飲酒運転事故は増えているのか」のエントリと同様のご主旨を含んでらっしゃるのではないかと思います。
確かにマスコミの報道にバイアスがあるのはおっしゃるとおりなんですけど、企業のマネジメントの観点からすると、ちょっと違った見方も可能かなと。
「コンティンジェンシー」的領域は、精緻な優先順位付けはあまり意味が無い
企業のリスク・アセスメントの実務では、発生頻度が高い部分や、マーケットリスクの部分などは、科学的(っぽい)対応が取られているケースも多いですが、「地震」とか「停電」というような発生頻度が低い事象については、「停電>交通事故>火事>地震」といった優先順位付けを科学的に精緻に行うことはあまり意味が無いかと思います。(めったに起こることではないし、一方、起こってしまえば、どれも多大な影響を及ぼすので。)
このため、たいていは計画で一定にスケジュールを決めて対処していく、ということになりますし、通常はそうした「経営判断」が著しく妥当性を欠くということにもならないかと思います。
マスコミが騒いでいる時期は、客観的にもリスクは高まる
ただし、一方で、マスコミで話題になっている時に同じ事象を続けて起こすと、「また、飲酒運転で事故」と大々的に取り上げられることになるので、単なるマスコミの記者の頭の中にあるバイアスというだけでなく、企業や一般人にとってのレピュテーション・リスクは、客観的にも大きくなってるはずです。
「賞味期限偽装」、「耐震強度偽装」、「エレベータの閉じ込め」、「飲酒運転事故のクローズアップ」と、マスコミで騒がれていることについて、「ウチは大丈夫か?」と、社内の実態や内部統制(規程や社員教育の状況等)を再確認するのは、それなりに意味があるし、やらなければ、経営者が善管注意義務違反になる可能性が高まる場合も多いんじゃないかと。
「騒がれている時」は、従業員教育にも適したタイミング
さらに、従業員も、騒がれている時のほうがリスクについて「イメージ」がしやすく、頭にも入るし、社内でそれについての対応策を取ることについても異論が出にくく、調整コストも下がるはずです。
−−−
ということで、一般社会においては、「話題になっているところから取り組む」という(一見ミーハーな)マネジメントも、それなりに合理性があるんじゃないかと思う次第です。
(ではまた。)

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痴漢容疑リスク

某大学教授の方がまた逮捕されてらっしゃいますが。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060923-00000030-sph-soci
ご本人の人となりをよく存じませんので本件自体の白黒については私はなんとも申せませんけど、一般論として確実に言えるのは、電車を利用する男性にとって、「痴漢容疑リスク」は(大げさでなく)現代社会における最大のリスクの一つになっている、ということではないかと思います。
数年前、知人が痴漢容疑(本人は無実を主張)で逮捕されたときに、留置されている警察署に知人の弁護士さんから呼ばれて面会に行ったのですが、ドラマでしか見たことがなかった丸いポツポツの穴がついたアクリルガラスの面会室の向こう側で、「○○、入れ」と、警官に呼び付けで名前を呼ばれて手錠をはずされて入室、という姿は、正直、大変ショックでありました。
さらに、ご案内の通り、容疑を認めないと1ヶ月くらい留置されて出て来れないわけで、「やりました」と認めようが、「絶対やってない」と徹底抗戦しようが、いずれにせよ仕事関係はめちゃくちゃです。
(上記の知人は、無実を主張したので、実際、1ヶ月近く留置されていた。)
ということで、それ以来、私は満員電車に乗るのが非常に(足がガタガタ震えるくらい)恐怖でして、みなさんよく平然と乗ってるなあ、と感心する次第。
できれば、もっと稼いでベンツのSL(屋根の開くやつ希望)あたりで自動車通勤と行きたいところでありますが、都市部の渋滞等の諸事情を考えると、なかなかそうもいかないので、それまでのささやかな対策としては、

  • 自営業者めのメリットを活用して、混んでる時間帯には極力電車を利用しない。座れる時間帯に乗る。
  • どうしても混んでる時間帯に乗らないといけない場合には、始発駅等を利用して、座る。
  • グリーン車を使えるなら、グリーン車に乗る。(高いけど、1ヶ月留置される等のリスクを考えれば、500円ちょっとくらい安いもんであります。)

ということで、とにかく、「座る」「他人と接触しない」という状況を作り出すしかありません。
(座っていても、電車を降りてから、「あの人に痴漢をされました!」と言われて取り押さえられるケースを考えたら、リスクをゼロに出来るわけではないですが・・・。)
満員電車は社会人になって3ヶ月もしたら慣れちゃうわけですけど、(「男女七歳にして席を同じゅうせず」とまでは申しませんが)、そもそも、成熟した男女が肉体を密着させないと乗れない満員電車というのは、反儒教的でもあり、反イスラム教的でもあり、世界的に見ても、ほとんどの倫理観に反する極めて「異常な状況」だ、という認識が必要ではないでしょうか。
(「欧米か!」と言われそうですが、アメリカとかヨーロッパとかでは、あの満員電車というのは、ありえないですよね?)
もちろん、満員電車でなくても、「満員電車でないにも関わらず、体を密着させてきた」と、電車を降りてから証言された場合に、席に座っていて「被害者」と何mも離れていたとしても、それを裏付ける証拠を示すのはほぼ不可能・・・。(証人を見つけるのも、実際にはほぼ不可能なようですし、他人の行動なんて、いちいち覚えているわけない・・・。)
おまけに。
別の事件で、痴漢容疑(こちらも本人は無実を主張)の裁判の弁護を手伝っていた弁護士さんが、退任したベテラン裁判官の方に、
「被害にあった女子高生を証人として呼んだらどうでしょう」
と、相談したところ、
「(いたいけな)女子高生をもし法廷に呼んで人前にさらして、もし、『その人だったかどうか本当は確信が無い』といった証言を引き出せなかった場合、最も重い判決が出るのは確実」
とアドバイスされたとのこと。
(・・・ということは、痴漢容疑の裁判というのは、唯一の証拠である被害者女性の言葉も直接法廷で聞くことなく判決が下されるのが常、ということなんですね?!(びっくり))
被害にあった女性の方も確実にいらっしゃるわけで、犯罪には相応の罰が下されないといけないのはもちろんですし、本稿は、痴漢という犯罪の容認を主張しているものでも大学教授氏を擁護するものでも全くありませんが、一方で、自分が無実の場合にそれを立証する手段が(全くとは言わないものの、ほとんど)皆無に等しい、ということに、非常に強い恐怖を覚えます。
「ボクはそんなことは絶対しないから、いざ濡れ衣を着せられても、説明すれば何とかなるだろう」というのは、非常に甘いと言わざるを得ないのではないかと思います。
さらに、時間のロスや金銭的損失だけでなく、「友人にも『実は、おまえが悪いんじゃないの』と思われる」かも知れないという地獄。ヨブ記を絵に描いたような状況が現出するわけであります。
「経営にはリスクがある」てなことを言いますが、事業がうまくいかなかった場合に経営者にかかってくる財務的リスクは、最近では、あらかじめちゃんと考えてさえいれば、投資契約とか責任限定契約とか議事録等に適切なエビデンスを残すとかで、かなりの部分コントロールできるようになってきているわけで、電車に乗る場合の「痴漢容疑リスク」に比べたら、まったくコントローラブルな気がいたします。
(ではまた。)

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ドリームテクノロジーズの臨時株主総会と議決権行使キャンペーン

Yahoo!ファイナンスを見ていたら、ドリームテクノロジーズ(株) (ヘラクレス:4840)のバナー広告が表示されてまして、

「株主のみなさま、当社から重要なお知らせです」
http://www.dreamtechnologies.com/ir/news/rinkabu.html

と、臨時株主総会での議決権行使を呼びかけるキャンペーンをやってます。
「議決権を行使いただきました株主様には、粗品としてクオカードを贈呈させていただきます。」とのことですが、webで臨時株主総会での議決権行使を訴えるキャンペーンをやったというのは、過去にあまり例が無いんじゃないでしょうか?
背景
(私、ずっとこの会社を追っていたわけではないので、詳しくは存じませんが)、このドリームテクノロジーズ社ですが、ご案内のとおり、「村上ファンド」が筆頭株主となっています。
dream_12_matsu_kabunushi.jpg
(出所:同社有価証券報告書の大株主の状況(昨年12月末現在)より抜粋。)
4月4日付けで株式会社M&Aコンサルティングから「変更報告書」が提出されてまして、保有株券62,166株、保有潜在株式の数50,224株で、潜在込みの株券等保有割合が3.80%と、直前の報告書に記載された株券等保有割合5.87%から減少している旨が記載されてます。
村上氏逮捕が6月5日でしたが、「取得又は処分の状況」を見ても、それよりはるか以前から手放す方向だったようです。
昨年末前後に、平成電電の支援スポンサーになるという名目で極めて大量(昨年末および今年3月末の発行済株式総数は、それぞれ、1,147,246.3株と1,177,246.3株に対して、608,913株と292,645.81株[2月末の行使価格ベース]ですから、(他に新株予約権も結構出てるのですが、これだけで)発行済の約8割くらい)の新株予約権付社債を発行。
臨時株主総会の議案の内容
臨時株主総会の招集通知の内容は以下の通り。 
http://www.dreamtechnologies.com/ir/news/2006_syosyu.pdf
総会での議案は3つで、

第1号議案 定款一部変更の件
第2号議案 吸収分割契約承認の件
第3号議案 資本金及び資本準備金減少並びに剰余金処分の件

の3つになってます。
第1号議案の定款変更は、特別決議が必要なので定足数は重要ですが、内容は、会社法施行に伴う文言の変更や、電子公告制度の採用、社外監査役等の責任限定など、今年よく見かける「フツー」の定款変更の模様。
問題は、第2号議案の「吸収分割契約承認の件」。
オムニトラストジャパンはドリームテクノロジーズの100%子会社なので、その会社に事業を吸収分割させても、一見実態は何も変わらないようにも思えます。
一方で、ドリームテクノロジーズの主力事業は「ITソリューション事業」で社名にも「テクノロジーズ」という名前はついていてますが、役員の方々を見ると、ほとんどが山一證券出身の方々で、あまりIT系という感じでも・・・ないような・・・。
切り離すZOOMA事業部門というのが当社の主力事業のようですし(簡易分割でなく、株主総会の承認を受けようとしているところを見ると、純資産の5分の1を超す、そこそこの規模のはず)、親会社のドリームテクノロジーズは、持株会社化するようです。
なぜ議決権行使をキャンペーンする必要があるのか?
現行の定款では、特別決議は、

第12条第2項
商法343条の定めによる決議は、総株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもってこれを決する。

とあり、新定款案でも、

第14条第2項
会社法309条第2項の定めによる決議は、議決権を行使することが株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもってこれを決する。

となってます。
上記の昨年末時点の株主名簿を見ると、村上ファンドの持株比率が減っても、なんとか定足数を満たしそうな気がしますが、前述の通り、現在の発行済株式数が1,801,556株に増えているので、上記株主の合計でも、10%ちょっとの比率にしかならず、そもそも3分の1以上の定足数を満たすことが危ぶまれるということだと思いますが、もう一つ。
平成電電の出方(「買取請求」をするかどうか)
前述の通り、平成電電が大株主になってますが、平成電電は(ちょっと今、ホームページにアクセスできないので、現状がよくわかりませんが)、4月に東京地裁が民事再生手続きの廃止決定と保全管理命令を出して、日本テレコムに事業を譲渡して、破産手続きに入ってるんでしたっけ?
ということで、平成電電の破産管財人(保全管理人?)の方が、ドリームテクノロジー株の議決権行使をするのではないかと思いますが、当然、管財人の方としては、1円でも多く回収をしたいと考えるはず。
吸収分割では、反対株主は買取請求をできることになってます。(会社法第785条)
新会社法では、「決議なかりせば」という文言が消えて、「自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。」(同第1項)ということになってます。
また、今回は、株主総会が必要な吸収分割のケースですので、当該株主総会に先立って当該吸収合併等に反対する旨を同社に告げて、株主総会で吸収分割に反対すればいいことになります。
この6月中間期末の発行済株式数は、1,801,556株とのこと。
http://www.dreamtechnologies.com/pdf/tanshin/2006_0818_tanshin.pdf
連結の株主資本合計は14,543,564千円(純資産合計は14,763,945千円)、単体だと、株主資本合計は14,270,230千円(純資産合計は14,490,338千円)ですから、下表の通り、1株あたり純資産は、だいたい8,000円前後。
dream_6_matsu_equity.jpg
これに対して、同社の本日11時現在の株価は6,200円。
「公正な価格」が、「少なくとも純資産ベースだ」ということになるのか、「いや、市場で決まった時価が現在の公正な価格だ」ということになるのか、はたまた今後の決算予想のDCF的な考え方で決まるのかはわかりませんが、新会社法では、買取請求の撤回は、吸収分割会社の承諾を得た場合に限り撤回することが定められ(785条第6項)、吸収合併の効力発生日(平成19年1月1日予定)から30日以内に協議が調わない場合で、効力発生日から60日以内に裁判所に対し価格の決定の申し立てをしなかった場合には、撤回できますし(第785条第3項)、60日以降に裁判所の決定が下されれば、それ以降、年6%の金利も付きますので(同第4項)、この低金利時代においては、交渉が長引いた方がオトクな面もあります。
普通の株主は、交渉の手間や、来年の3月あたままで資金が寝ることを考えれば、あまり得ではないかも知れませんが、平成電電が、まだ株式を保有しているとすると(平成電電が提出した大量保有の変更報告書は見当たりません)、売却した場合にマーケットインパクトがそこそこの大きさになるでしょうから、買取請求をかけてくる可能性は、かなり高いかと思います。
ですが、株主の多くがそう考えると、今度は、出席者の3分の2以上の賛成が得られず、議案自体が否決されてしまいます。
議案に一応の説明は書いてありますが、そもそも、なぜ臨時株主総会を開いてまで持株会社化を図らなければならないのかが、いまひとつピンと来ませんし・・・。
クオカードもらえるインセンティブで、浮動株主の議決権行使を促そうというのはいいとして、短期的利益だけを考える株主の合理的行動としては、議決権を行使してクオカードをゲットし、かつ(ちょっと面倒ですが)反対の旨を通知して、反対票を投じることになっちゃいはしないでしょうか?
自己株買付け?
また、このまま浮動株主多数の状況が続けば、今後も議決権行使や賛成を勝ち取るためのドリームテクノロジーさんの苦難は続く、というのは確か。
第3号議案で減資と資本準備金の取り崩し(資本金と資本準備金の減少)をはかるのも、自己株式の買い付けに動こう、ということでしょうか?(プレスリリースを全部読んでないのですが。)
資本金約135億円+資本準備金288億円のうち資本金85億円と資本準備金の全部を取り崩し、6月末で281億円ある欠損金と相殺するという議案になってますので、ざっくり80億円くらいの自己株式買付け余力が出るかと思います。(詳細な額、要検討。)キャッシュも6月末で、80億円弱ある模様。
現在の時価総額が100億円程度ですので、そんなに大量に買い付けたら、株価も回復するだろう、という読みでの議案でしょうか?
いずれにせよ、定足数が集まらないと話にならないですし、大株主は、(効力発生日の20日前から前日の間に買い取り請求するかどうかを決めればいいので[第785条第6項])、とりあえず反対しておいたほうが合理的と考える可能性も高そうなので、2号議案が否決される可能性は高いのかも知れないですね。
3号議案は反対しないとすれば、もしかして、2号議案は、あまり重要ではなくて、大株主を出席させるための「ネタ」でしょうか?(分割が成立しないと、経営陣にとって非常にまずいことが起こるんでしょうか?)
(非常に「ゲーム論的な状況」で、どうなるか注目。)

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kabu.com PTS稼動

昨日も申しましたとおり、基本的にブログでは私が直接関係している会社のことは書かないようにしているのですが・・・(2日連続で、数年に1度のイベントが発生した、という感じでありますが)、本日も特別に。
本日、kabu.comのPTS(Proprietary Trading System=私設取引システム)が稼動いたしました。
pts_top_s.gif
(↑夜間取引のバナー)
http://www.kabu.com/pts/default.asp
ご存じない方のために、簡単にご説明すると、東証、JASDAQ等が締まっている夜間(夜19時半から23時)に、流通量の比較的多い300銘柄にしぼって、日本初の「(値動きする、東証と同じ)オークション方式」で取引所のように株の取引できるシステムです。
夜19時半の寄付から引けに加えて、23時半からの兜クラブでの記者会見にまで付き合わせていただきました。オフィスや兜クラブの会見室に来ていただいた多数の記者、カメラマン等のみなさん、遅くまでご苦労様でした。
3連休前の初日ということで、執行部門はシステム障害等何か予期せぬことが起こっても連休中になんとかリカバリーできる体制を敷いて臨んだわけですが、無事、システム障害もあからさまな不公正取引も発生せずに終了して、まずはよかった、と。
出来高も、1.68億円(売買合わせると2倍の3.36億円)と、かわいいもんですが、初のオークション形式によるPTSということで、取引が全く発生しない、というようなことはなくて、これもよかった。
実際に取引に参加した方は、まだ1,000人程度のようですが、取引の様子をホームページに閲覧に来られた方は、その100倍程度(要確認)になるようですので、初日でまだみなさん、使い勝手をみたり、値の付き方、他の取引参加者の出方を見ておられるご様子。
記者会見でも発表してましたが、今後、現物に加えて信用取引の開始や、接続の申込が来ている三菱UFJ証券や外資大手証券等との取引開始も控えているわけで、まず本日は、いきなりトップギアではなく、「ローギアで、そーっとクラッチをつないでみた」というところじゃないかと。例えるなら、「F1ドライバーの運転」からはほど遠いけど、「初めて四輪車を運転したにしては、エンストもせず、縁石にも乗り上げず、教官にブレーキを踏まれることもなかった」というのは、いい方かも知れませんね。
今後、取引量が増えたら増えたで、いろいろ問題が発生する可能性等も増えるわけでして、例えば売買監視態勢がしっかり運用されているかどうか、また採算ラインにきちんと乗るのか、等、社外取締役として、しっかり監督・監査していく所存でございます。
また、いただいたコメント等はすべて拝見させていただいておりますが、(言いっぱなしで恐縮ですが)、例によって、個別の質問・ご意見等については、本ブログではお答えできませんので、恐縮ですがご理解のほどよろしくお願いいたします。<(_ _)>
(ではまた。)

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ミクシィ、東証マザースに公開

(ブログの更新、さぼっててすみません。・・・・書かないのにちょっと慣れちゃうと、楽で楽で (笑)・・・って、いえ、ちゃんと書くようにします。はい。)
守秘義務上の線引きが面倒だとか会社の立場からの発言ととらえられても困るということで、基本的にブログでは私が直接関係している会社のことは書かないようにしているのですが、本日は特別に。
私が社外監査役をやらせていただいてます株式会社ミクシィが、本日、東証マザースに公開いたしました。
header720s.gif
 
今、14時過ぎで、(だいぶ売り買いの数量が近づいてきましたが、まだ3倍程度差があり)、今のところ、まだ初値付きませんですね。
 
mixi_ita.jpg
期待が大きいとプレッシャーではありますが、引き続き粛々と、株主のみなさまの利益になるよう、経営の監査に努めたいと思います。
<(_ _)>
(ではまた。)

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ネット・エコノミー解体新書(第4回) アマゾンとロングテールに関する“大きな勘違い”

日経BPさんで連載してます「ネット・エコノミー解体新書」の第4回
「アマゾンとロングテールに関する“大きな勘違い”」
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/net/economy/060907_amazon/
が、サイトにアップされました。
報道などで、Amazon.com(アマゾン)が「ロングテール」の代表例として取り上げられることが多いですし、世の中では、「web2.0」→イコール「ロングテール」→イコール「かっこいい、最先端」といった文脈で語られることが多いので、「ぉぃぉぃ、ちょっとまってよ」ということで。
ロングテールにも「金持ちロングテール」「ビンボーロングテール」があって、アマゾンのマネをしても、アマゾンには(おそらく)なれないですよ、というお話・・・です。
(ご参考まで。)

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コンテンツの価値、メディアの価値

本日昼飯を食った丸ビルの店の壁の額に書いてあったお話。(大意)

ある男がある女に恋をした。
男は、毎日毎日、女に恋文を書いて送った。
一年後。
女は郵便配達夫と結婚した。

この話のおもしろさをどうとらえるかは人それぞれだと思いますが、「人間は本来『データ(コンテンツ)』に価値を感じるはずなのに、『メディア』のほうに価値を見出してしまったところ」、とも考えられます。
(よーく考えていただくと、大変深ーいお話ではないかと思います。)

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