グリーンシートとエンジェル税制

昨日、ネットエイジ代表取締役の西川さんと会ったときに、西川さんが日経新聞のコラムにグリーンシート市場について書いたという話を聞いて、(見逃していたので)さっそく読み返してみました。
(「グリーンシート市場革命は起きるか(十字路)」2004年3月4日(木曜日)夕刊6面)
内容のグリーンシート市場の活性化に期待したい、というのには大賛成ですが、文章後半にある、

「エンジェル税制も追い風だ。あまり知られていないが、個人投資家の株式譲渡益のうち、グリーンシート銘柄の公募増資への投資額分はまるまる課税対象から控除されるという、やややりすぎとも思える画期的なエンジェル税制がすでにある。」

というのは、ちょっと注意が必要なので、まずそこだけコメントをば。
エンジェル税制は確かにすでにあります。
http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/main_04.html
がしかし、グリーンシート銘柄全般についてのエンジェル税制は、今年度より導入することを検討している段階で、まだ決まったわけではありません。
2003年12月8日の日経新聞朝刊1面の記事によると、

「自民党税制調査会は二〇〇四年度税制改正で、(中略)個人投資家などがベンチャー企業に投資する際に税制上の優遇措置を受けられる「エンジェル税制」も制度を拡充、適用対象を大幅に広げる方針だ。(中略)
エンジェル税制は個人投資家などが得た株式譲渡益のうち、ベンチャー企業への投資額を所得税の課税対象から控除できる制度。年間三百万円の株式譲渡益を得た人が適用対象のベンチャー企業に二百万円投資すれば、それが控除されて残り百万円が課税対象になる。
 制度導入から昨年度までの六年で対象企業は約二十社にすぎず、投資額も五億円程度。適用基準が厳しすぎるためだ。
 現行基準で最大の障壁は、売上高の三%以上を研究開発と市場開拓の費用に充てる企業に対象を限っている点。来年度からこの条件を撤廃、日本証券業協会のベンチャー企業市場である「グリーンシート銘柄」に株式登録していれば適用対象にする案が有力だ。設立十年以内の非上場企業で、大企業(資本金一億円以上)の子会社ではないとの適用条件は残す。」

とのこと。
グリーンシート銘柄というのは、制度上は「未上場株」なので、現行のエンジェル税制の要件を満たした企業がしかるべき手続きをすれば、グリーンシート銘柄であってもなくてもエンジェル税制の適用を受けられるのですが、グリーンシート銘柄のどれでもエンジェル税制の適用対象となる、ということにはまだなっていません。
また、確かに(損失ではなく)投資額自体が丸ごと譲渡益から差っぴけるというのは、一瞬すごい節税効果のような気がしますが、「やややりすぎとも思える」かというと、ちょっとビミョーです。
株式の譲渡所得は、給与所得や事業所得等とは分けて課税される「分離課税」の対象なので、給与所得が4000万円あって1000万円投資したとしても、株の譲渡益がなければ1円も節税になりません。
また、(高い人で50%前後になる所得税・個人住民税の節税になれば、「やりすぎ」かも知れませんが)、公開株の譲渡益の税率は(所得税・地方税合わせて)たった10%です。
1000万円投資しても節税額はたかだか100万円。エンジェル税制の適用を受けるには確定申告も必要なので、証券会社の特定口座で申告不要の取引をしていて他には給与所得しかないような人だと面倒がるかも知れません。
また、売れるかどうかわからない流動性の低い未公開株に1000万円も投資できる人というのは、数千万円以上の所得があるような人が多いでしょうから100万円節税できても、あまり魅力には感じないかも知れませんね。
ただ、今年から未公開株の株式譲渡益の税率が26%から20%に引き下げられる予定ではあるものの、それでもまだ公開株の倍の税率なので、例えば、ネットのベンチャーのオーナー社長で、自分の会社を(公開する前に)上場企業に売却して、3億円譲渡益が出たぞ、という人や、息子に会社をゆずって株の譲渡益がでちゃったというような人は、エンジェル税制の要件を満たす未公開株に投資すると、比較的節税効果は大きいかも知れません。
(今回は、こんなところで。グリーンシート市場の詳細については、また別の機会に。)

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「誰がベンチャーを助けてくれるの?」日本の未公開株市場の構造

これから何回かにわたって、日本の未公開株の市場の構造についてちょっと考えてみたいと思います。
間接金融(銀行)から直接金融(証券)へのシフトの必要性が言われて久しいです。間接金融では銀行が「仲介者」になって預金者から集めたお金を企業に貸してくれるのに対して、直接金融は文字通り企業が直接投資家からお金を集めることで、その場合の仲介者というか「お助けエージェント」は「証券会社」ということになります。そして、(ここが重要ですが)、法は証券会社以外に直接金融を助けてくれる人を基本的に認めてないのです。
(以下、斜体の条文は、めんどうでしたら飛ばして読んでください。)

証券取引法第2条(定義)第8項
この法律において「証券業」とは、銀行(略)その他政令で定める金融機関以外の者が次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。
1.有価証券の売買(略)
2.有価証券の売買(略)の媒介、取次ぎ(略)又は代理(略)
3.次に掲げる取引の委託の媒介、取次ぎ又は代理(略)
3の2.有価証券先渡取引(略)
3の3.有価証券等清算取次ぎ
4.有価証券の引受け(略)
5.有価証券の売出し
6.有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募の取扱い
7.有価証券の売買又はその媒介、取次ぎ若しくは代理であつて、電子情報処理組織を使用して(略)

証券取引法28条(証券業の登録)
証券業は、内閣総理大臣の登録を受けた株式会社でなければ、営んではならない。

加えて証券会社は、(ここがほとんど知られていないところですが)、原則として未公開会社の株を扱ってはいけないんです。

店頭有価証券の売買その他の取引に関する規則(日本証券業協会公正慣習規則第2号)
第2条(定義)第1項第1号(店頭有価証券)
本邦法人が本邦内において発行する証券取引所に上場されていない株券(略)、新株引受権証券、新株予約権証券及び新株予約権付社債券(店頭売買有価証券を除く。)をいう。

第3条(グリーンシート銘柄以外の店頭有価証券の投資勧誘の禁止)
会員は、第15条(適格機関投資家のみに対して投資勧誘を行う場合の取扱)及び第18条(店頭取扱有価証券[監査が行われている譲渡制限株式等]の場合)の規定による場合を除き、グリーンシート銘柄以外の店頭有価証券については、顧客に対し、投資勧誘を行ってはならない。

ベンチャー企業で株式等による資金調達(エクイティファイナンス)の知識がきちっとあるスタッフがいるところというのは極めてめずらしいので、そういうことをサポートしてくれるエージェントがぜひとも欲しいところです。しかし、創業してから年数の浅いベンチャー企業の場合、まだ監査法人等が監査を行っているケースはさほど多くないでしょうから前述の公正慣習規則第2号第18条の「店頭取扱有価証券」には該当しないケースの方が多そうです。
また、実際に証券会社が数千万円程度の(彼らにとって細かい)資金を集めてくれる可能性はかなり低いのが現状です。
かといって、証券会社でない企業が「ベンチャーの増資のお手伝いします」「ベンチャーキャピタル等をまわって、お金を集める仲介をします。」とうたってしまうと(そういう会社も実際結構あるのですが)、それは法令違反の可能性が極めて高いわけです。
ここは以前、金融庁にも問い合わせてみましたが、
「それは、”証券取引法第2条第8項第6号の有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募の取扱い”、というのにズバリ該当するので、私募であっても、証券取引法違反となります。」
という回答でした。
これは、違反すると、結構シャレにならない罰則が待っています。

証券取引法第198条
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。(中略)
11 第二十八条の規定に違反して内閣総理大臣の登録を受けないで証券業を営んだ者

すなわち、刑務所に入る可能性もあるわけですね。
99年の証券ビッグバン以降、証券会社の参入障壁は格段に低くなったとはものの、実際にはそうかんたんに登録させてもらえるわけではありません。
では、創業してから年数の浅いベンチャー企業はどうすればいいんでしょうか?「グリーンシート市場」や、今回の証取法改正で盛り込まれた「証券仲介業制度」は、こうしたベンチャーにとって追い風となるんでしょうか?
・・・と、ちょっと長くなりましたので、この続きはまた今度。
ではでは。

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デザインの変更?

他の方のようにページのデザインをかっこよく変えるには・・・templateをいじるのかしらん???

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blog、はじめてみました。

gree尾関さんにご希望をいただきまして、blogをはじめてみました。
川崎さんに参考URLを教えてもらって半日かかりましたが・・・なんとかMovable Typeをインストール完了!
(やればできるもんですなあ。)
みなさまに感謝。

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