なぜ過剰取立は起きるのか?(47thさんの記事より)

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47thさんの記事「なぜ過剰取立は起きるのか?(イントロ)」で、消費者金融業界の過剰取立の問題を「ローエコ的な発想」で検討される、とあります。
個人的には、刑事罰のある金利の下限を引き下げて業者を締め付けるよりは、「説明義務」等を強化するなど利用者の合理性を高めたり、業務のモニタリングの仕組みを強化する方向で考えるのが好きなのですが、

ご参考:消費者金融の金利は「安すぎる」?
http://tez.com/blog/archives/000114.html

多重債務者問題は「経済学」が通用する世界なのか?
下記のマンガ
ushijima_kun.jpg
闇金ウシジマくん

を読むと、ちょっとそんな考えもふっとびます。
ナニワ金融道
naniwa_kinyu.jpg
は、まだ貸す方も借りる方も「人間」って感じがしたのですが、「ウシジマくん」に出てくる方々は、どちらも、私がお付き合いのある「人間」からはほど遠い方々で。実態をよく存じませんが、あまりのリアルさに、やはりそういう実態も実在するんだろうなあ、と想像する次第です。
そうした、「説明義務だモニタリングだと工夫したところで、とてもマトモな挙動をしてくれなさそうな人たち」を、法がどこまでどのように規制したり保護したりしなきゃいけないのか、というのが、「経済学」的な考察から導かれるものなのかどうか、(上限金利の引き下げで合法的には成り立たない顧客層への貸付が闇金業者に流れたり、そういった闇業者と同じ土俵で回収しなければならない「一部上場企業」がどういう状況に陥っているか、返済困難に陥ってる人とか多重債務者が、実際にどんな人たちなのかを見ることもなしに語れるのかどうか)、このマンガを読んで悩んでしまった次第です。
違法性のコスト
私が中学生のころ、「某大手ファーストフードチェーンの肉にはネコ肉が混ぜられている」という都市伝説?が流行ったのですが、子供心に、「ネコ肉で削減できるコストより、その機密管理をするコストのほうが高くつくんじゃないの?」と思ったのを記憶しています。
同様に、消費者金融業者の場合も、(金利が100何%のころは、男性社員が個別に外出して取り立ててもペイするかも知れないが)、20%台前半の金利ともなると、大規模コールセンターから電話して、定められた督促プロセス(法的な書面の郵送等を含む)を踏んだにも関わらずそれでも回収困難と判断されるものは一定の基準で償却しちゃうほうが、個別に違法性のある強引な取立てをするよりもコストが安く付くのではないかと考えておりましたので、今回の「一部上場企業」の事件には、ちょっとびっくりしました。(同社は、電話の内容を否定されているようですが。)
残高が一定とすると、上限金利が引き下げられたら、回収率を上げないと利益は伸びませんので、そうしたプレッシャーが働いたということはないんでしょうか?
前にも、他の一部上場貸金業者の会長が盗聴に関わったりしてましたので、単にコーポレートガバナンスが機能していないだけかも知れません。
例えば、独立取締役を過半数(は、いきなり無理としても数名くらいでも)入れるとともに、内部統制を強化し、債権回収部門の電話はインバウンド・アウトバウンドともすべて録音、リアルタイムで上長のモニタリングを受けたり、後から内部監査もできるようにしておいて、外出しての回収を例外的に行う場合には、日報等で細かく記録を残す・・・てな対応じゃよくならないんですかね?
金融庁検査って無いの?
ところで、貸金業者というのは、銀行や証券会社と違って、金融庁さんの「検査マニュアル」みたいのはないんでしたっけ?
金融庁の所管の法令・ガイドライン等
http://www.fsa.go.jp/common/law/index.html
のページを見ても、貸金業者に対する検査マニュアル、というのが見当たらないんですが。(他の場所にあるんでしょうか?)
体系的・定期的検査が入ってないのであれば、上限金利を下げるのではなく、金融庁が検査して、利用者への説明義務の履行状況や回収状況のモニタリングを機能させれば、一発でよくなる気もしますが、どうなんでしょう?
(ではまた。)

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5 thoughts on “なぜ過剰取立は起きるのか?(47thさんの記事より)

  1. 今日の記事に全く関係ないことで恐縮なのですが,このブログはスムーズにスクロールすることができません.私だけでしょうか?

  2. 「ホモ・エコノミカス」を想定して制度設計したけど、実際にそこにいたのは「ホモ・パチンカス」だったとか・・・(笑)
    (失礼しました)

  3. 藍とさくらのメディチ

    わたくしはゴルフには疎いほうなのでありますが、合衆国で行われる女子ゴルフのスポンサーが武富士であるのには驚いてしまいました。てっきり宮里藍は日本でプレイし…