設立コストのナゼ?シリーズその3:公証人の「ビジネスモデル」

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minoriさんから、前回のエントリーにコメントいただきました。

こんにちは。
公証人さんに認証してもらう前に、類似商号の有無や会社の目的の確認を法務局で取るのはセオリーですが、商業登記に公信力が認められていることを考えると、設立当初の会社の状況を、公の機関が認証することに意義はあると思います。

もちろん、さすがに法改正の現場で、「いやー、うち(法務省)のOBの手前、そこだけはまずいんで、かんべんしてくださいよー。」というような話だけで定款認証の部分に手がついていないとは思えないので、なんらかそういった理屈はついているのだとは思いますが、それって、あくまで「理屈」であって「実態」じゃないですよね?
つまり、公証人さんが必ず発起人本人の口から直接設立の意志を聞くとか、会社の本店の住所まで実際に出向いて確認を行うとかいうならともかく、法務局へも公証人さんへも、代表者個人の印鑑証明と司法書士さんへの委任状等の書類を提出すればよくて発起人本人が法務局や公証人役場に来るとも限らないわけですから、公証人が定款を認証しても、何らかの情報なり価値なりが付加されているということは全く無いのではないかと思うのですが・・・。
つまり、定款認証無しで法務局に設立の登記をするだけでも、「公の機関」である法務局で、印鑑証明書による代表者の実在性や、発起人決定書等への押印による設立の意志や、設立当初の定款の内容等の確認も行えるわけですから。

認証手数料が一律なのは、いかがなものはとは思いますが。

はい。今どき、料金体系が政令で決まっている業界というのも少なくなってきてますよね。
(ご参考:公証人手数料令
こういう時代ですし、ちゃんと競争原理を導入すべきだと思いますが、
ただ、公証人というのは、「元祖Certificate Authority」ですから、電子化の時代に自由に競争させると、(VeriSignなどの電子認証局と同様)、将来は自然に一社(者)独占または数社の寡占に陥る宿命の機能かも知れません。当面、「紙」が法律上の要件になっているものが多いでしょうから、地域ごとの「fragmented」な構造は残ると思いますが・・・。

その認証手数料の5万円も痛いですが、登録免許税は、もっと痛くないですか?「払込資本金の0.7%」といっておきながら、株式会社の場合は最低金額が15万円です。

もちろん、それがコストの中で一番デカいわけですが、そこは変更しても直接には誰の腹も痛まないので、環境さえ整えば比較的楽なんじゃないかと思うのですが。
(特に「アジアのデラウエア」をめざそう、なんてことを考える場合には。)
公証人さんの場合、「個人事業主」であり(ですよね?)ながら、兼業も禁止されており(公証人法第五条)、しかも、まさに法律というルールの総元締めである法務省のOBでらっしゃる、というところが非常に「そのへんの法律が変わっていかなさそーな感じがする」、ということであります。
(ではまた。)

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One thought on “設立コストのナゼ?シリーズその3:公証人の「ビジネスモデル」