ギョーザの話

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巷は中国産ギョーザの話題でもちきりですが、本日は、つい最近私が体験した日本製ギョーザ(の具)のお話。
我が一家は近所の某有名スーパーの精肉売り場で売っているギョーザの具大好きでして、これを同じスーパーで売っている某製麺所の皮に包んで焼くとたいへんおいしい(おいしかった)。ところが、昨年末にそのギョーザを家族で食べていたところ、次男の口の中からバンソウコウ(いわゆる「バンドエイド」)が出てきたわけです。


私は、今の日本の「食の安全」に対する反応は全般にやや過剰だと思っているので、髪の毛が1本入っていたとか、キャベツについていたイモムシが混入していた、というくらいでは特にナンも申しあげることもございません。が、バンソウコウが混入しているということは、「バンソコ付けた手で作っとるんかい!」とか「ケガした手で作っとるんかい!」ということでもあり、どういった衛生管理感覚なんだろう?と、一挙に、その店への信頼がぶっとんだわけです。また、こういう場合の企業や保健所の対応がどうなっているのか、ということにも興味があったので、ちょっとスーパーに電話をかけてみました。
とりあえずは購入代金を返すだけの対応
確か小晦日でスーパーも大忙しの時期でしたが、夜遅くに電話をすると副店長の方が出て、一応謝罪し、いつ購入したものか等をヒアリングした後、店長は不在とのことで副店長が私の自宅まで来て、封筒に入れてもってきた具と皮の代金を返してきました。
20年ほど前、コンビニで食べたサンドイッチが当たった(ような気がした)ときには、コンビニの人は来ずに、製造しているメーカーの人が菓子折りも持って来て、証拠となるサンドイッチのパッケージを「検査します」といって持って帰っていきましたので、後々考えると、なかなかうまい証拠隠滅にもなっているなあと思っていたので、今回はどういう対応をするだろうと思っていたところ、このスーパーでは購入代金を(1円単位でキッチリ)返すだけで、手土産等は一切なし。
調査結果が出ていないうちは、(消費者宅側で混入した可能性とか、インネンを付けている可能性もあるので)、まずは自宅を訪ねてどんな人か様子を探る、というマニュアルなんでしょうか。
半分残っていた具もちゃん冷凍保存していたのですが、それを持ち帰らせてくれ、といった要請もなかったですね。今回、食中毒の症状が出たわけでもないので、持って帰って分析するというのもヘンですし、そもそも中堅スーパーレベルでは分析もできないのかも知れません。
翌日、「調査した結果、製造しているパート従業員にバンソウコウを使ってる者はいなかった。」と連絡がありました。
その店の売り場では、肉のケースにギョーザの具を山盛りにしており、店員さんが目の前で(素手ではなく)薄いビニール袋でつかんで計量してくれるので、バンソウコウが混入する余地はなかったし、もちろん我が家でも、(奥さんと次男が皮につつんだのですが)、バンソウコウもつけてないし、具の入っているビニール袋から直接スプーンですくって皮に包んだので混入する余地がない。結局、製造工程しかないでしょ?と思ってたのですが。
ということで、こちらも「原因不明」と言われて、はいそうですかと納得はできないので、(いまどきの対応にも興味があり)保健所に連絡してみることにしました。
保健所の対応
御用納めの後で保健所もやっていなかったので、残った具材や日付・時間の押してあるラベル、包み紙などを保存して新年を迎え、御用始めの日に保健所に電話してみました。
磯:「・・・これこれ、こういう経緯なんですが。」
保:「了解しました。こちらで店側に調査してみますが、店側で包んだ商品ではないので、製造側と消費者側、2通り混入の可能性がありますし、その時の製造記録などが残ってないとすると、店側で否定されちゃうと、かなり難しいかも知れませんね。」
磯:「テレビなどでは、食品の製造ラインでは手袋をつけているのを見かけるんですが、法令などで、『指に怪我をしてる人は食品の製造に携わっちゃいけない』とか、『手袋をしないといけない』とか、そういうルールは存在してないんでしょうか?」
保:「食品と言ってもいろいろなので、各企業で設定したルールに基づいてやってもらうことになってます。素手でやるのが絶対ダメというわけでもない。手袋をしたらその切れはしが混入するということもあるので、各企業で考えてやっていただくことになってます。」
とのこと。
保健所というところには生まれて初めて電話しましたが、想像していたより丁寧というか、役所らしからぬ対応で。やはり、食の安全で世の中ピリピリしている昨今だし、日頃から「怒ってる消費者」という世の中で一番ヤッカイな方々と対応しているので、自然に丁寧な対応が身に着く、というもんなのかも知れません。
結局その後、保健所のほうで店の責任者や製造したパート従業員などにヒアリングをして、「混入を防ぐような対策を講じるように指導しました。」との連絡をもらいました。
店側からは、最終的に店長が自宅まで謝りに来て、新しく策定したマニュアルと、自社ブランドのジャムの詰め合わせ1箱を持ってきていただきました。
A4用紙2枚ほどのマニュアルは、「怪我をした人は製造に携わらない」など、まあ「当り前やんけ!今までやってなかったんかい!」という内容ではありましたが。
うちの奥さんは、「(どう改善しようと)、もうあそこの店では一切、買い物しない。」と怒っております。私は、時々、通りがかりにパック牛乳とかは買ってますが、さすがにギョーザの具は・・・ちょっと買う気にならないなあ、と思ってます。
(自宅ではなかなか出せない味だったので、惜しいなあ・・・。)
(ではまた。)

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6 thoughts on “ギョーザの話

  1. 私も近所に価格の安いことで有名なO×ストアができた時に、カツ丼弁当を買ったのですが、卵でとじたカツから絆創膏が出て来たので驚いた覚えがあります。返金のみの対応かと思っていたら、マスクメロンを一つ頂きましたので、保健所に言うのは止めにしました(笑)。
    でもその後その店ではデリカを買うことは無くなりました。

  2. 私の場合、近所のスーパーで買った「数の子松前漬け」に、でっかい輪ゴムが入っていて驚愕しました。イカに混じって見た目は気づきませんでしたが、なかなか噛み切れなくて(苦笑)。
    スーパーに苦情の当初はしましたが、保健所には連絡しませんでした。それじゃイカンのでしょうかね。。。

  3. 今回わかったのは、「保健所にも連絡します」と言っても、店の人は、(一瞬「うっ」という顔にならないわけではないものの)、さほど狼狽するというわけでもない、ということですね。
    食中毒が出たとか農薬が検出されたというならともかく、異物が混入していても(気分悪いだけで)、健康を害するとまでは言えないし、騙そうという意図があったわけではなく「過失」でしょう。
    「万が一、これで営業停止とかになったら、ちょっとかわいそうだなあ。でも自業自得だからしゃあないか。」と思って連絡してみたんですが、保健所も、まあ常識的な対応というか、日本列島が食の安全ヒステリーに陥っている昨今、ある意味ちょっと安心しました。

  4. バンソーコーぐらいじゃ死にゃしねって!
    日本中の集団食品ヒステリーはヒドいね。
    ただヒステリーは「否認」に基づくとされるから、
    「否認」の対象を意識化しないかぎりはおさまらないだろうけどね。

  5. (えーと。)
    本文やコメントでみなさんが述べていることは、「バンソーコーが混入していたのはとんでもない!」ということではなくて、まあ、巷ではよくありそうな過失であるにも関わらず、それがヒステリックに(業務停止とかいった形で)処理されたらやだなあ、という突撃取材をした結果、保健所もスーパーも、まあ想像してたよりもノンビリした対応で、あまりヒステリックさが日本国中蔓延しているわけでもなさそうなのでちょっと安心しました、というお話ですので、念のため。

  6. 母が某有名スーパーの惣菜のパートをしていますが、やはりお客さんからの苦情で、お弁当の中に卵の殻が入っていたとか、ビニールが紛れ込んだ等のケースが発生するようです。
    異物が購入してしまった原因は様々ですが、母の職場の場合、一番の原因は狭い作業所にあると言っていました。有名店とはいえ、作業場は非常に狭く、かつ大人数で短時間に大量の食材を裁いてお弁当や惣菜をつくらなくてはならないので、できあがった商品は空いているあらゆるスペースに並べられます。そして並べられた上で、新たな食材の入った袋を開けたりすると輪ゴムが入ったり、ビニールが入り混んだりとしてしまうそうです。(従業員同士もぶつかり合いながら作業しているそうです。それぐらい狭い)
    上記はあくまでも一例なので、狭いからバンソウコウが購入したとも思えませんが、モラルをもって仕事をしていても、時間と作業に追われると、どうしても発生してしまうミスもあるので、「製造環境」も改善要素の一つなのでしょうね。