週刊isologue(第181号)「海商法」でベンチャーの源流を考える(前編)

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秋の連休シーズンなので、日常の陸の世界からちょっと離れて、商法の「海商編」を取り上げてみたいと思います。

司法試験でも公認会計士試験でも、商法第三編「海商」の部分は試験範囲から除外されてますので、私は「試験範囲に入ってないということは、よっぽどショーモナい法律なんだろな」と思ってました。(すみません)

ところがよく読んでみると、(特に昔の)海商というのは「ベンチャー」そのものです。極めてリスクの高いビジネスにおいて、リスクにもめげずに資金調達をしたり、そのリスクの中で意思決定したり、リスクをコントロールしたりする工夫の積み重ねが法律という形に結実しているわけで、その昔のベンチャーの、荒削りだけど本質的なしくみを見ることは、現代のベンチャーに関わる人達にとっても、大いに刺激になるのではないかと思います。
(すべての法律の中で、最もロマンをかき立てられます!) 

海商の歴史を考える上で「ベンチャー」以外のもう一つの隠れたキーワードは「情報通信」です。今は世界中どこにいても衛星等を使って即座に陸地と連絡が付きますが、電信の発明される前は、せいぜい旗などで通信していたわけで、船長は本社(船舶所有者)や「上司」などに相談する「サラリーマン」ではなく、荒れ狂う海の中で強い権限と責任を持って独立して判断を下す「ベンチャー経営者」としての存在でした。
現代の船舶は、GPSや衛星通信等の通信装置で、台風の位置や船の居場所もわかるしコミュニケーションも取りやすくなっていますが、こうした情報通信技術の発達により、この50年ほどで船長の位置付けや海のビジネスのリスクの構造などは大きく変わって来ました。

今週と次週の2回にわたって、この「海商」編の条文をもとに、法律の解説というよりはビジネスやファイナンス的な観点から考えてみたいと思います。

 

目次とキーワード:

  • 非常に金額がデカくてリスクが高い設備投資
  • 「ファンド」の元祖?:船舶の共有
  • 手厚い買取請求権、exit可能性の保護
  • 船長の「誰の命令も受けずに独立して判断する権限、責任」

ご興味がありましたら、下記のリンクからお申し込みいただければ幸いです。

(ではまた。)

 

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