伊藤直也さんのメルマガについてのコメントに関連して

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おとといの伊藤直也(@naoya_ito)さんのメルマガのコメント;

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が、一部ネット上で盛り上がっているようですが、私も「週刊isologue」というメルマガをやっておりまして、「アルファブロガーリスト」に載ってて「まぐまぐ」で10位以内に入っているのは、ホリエモン氏と私の2名だけのようなので、私も「一線退いた芸能人のその後のディナーショー」の対象に入ってるんだろうなあ、ということで一言コメントをば。


有料メルマガをはじめた経緯

私が有料メルマガをはじめたのは、まぐまぐの営業の方から3年半ほど前に「有料メルマガを書いてみませんか?」というお誘いをいただいたのがきっかけです。
当時の有料メルマガ界には、メルマガを書いているブロガーは誰もおらず、ジャンルも「競馬必勝法」とか情報商材っぽいものが多かったと記憶しています。つまり(いいか悪いかはさておき)「ネットやテレビではあまり見かけない方々」が書いているコンテンツばかりでした。

お誘いを受けて当時私が考えたことは、「メルマガって考えたこともなかったけど、コンテンツの未来を考えた場合のとっかかりとしては面白いんじゃないか?」ということです。

 

未来のコンテンツ市場はどうなるか

現実の世界には「現金(cash)」という非常に便利なものがあって、例えば駅のKIOSKで雑誌を買おうと思ったら、現金やSUICAで数秒でモノを購入することができます。ところが、ネットでモノやコンテンツを買おうとすると、まずはユーザー登録をして、クレジットカード番号やIDなどを入れて…と、なんだかんだで数分もかかる。現実の世界で数百円の雑誌を買うのに5分もかかったら、誰も買わないですよね。(だからAmazonやiTunesといったプラットフォームが一人勝ちになるわけですが。)

つまり、(未来にはコンテンツなどネット上のものはすべて無料になると思ってるユートピアな頭の方もいらっしゃるかも知れませんが)、今のネットの世界というのは、まだ現実世界における「現金」に相当するものすら無い原始的な時代であって、10年後20年後にネットに「キャッシュ」に相当するものが無いなんてことがあるわけがないだろうと。今のネットはキャッシュが無いという「ゆがんだ」状態だからこそ、広告モデルやアフィリエイトなど別のスキームが主流なだけで、未来の世界では、当然のように「現金」で少額の買い物が「さっ」とできる世界になっているんじゃないか、と考えた次第であります。

しかし、3年半前当時は、(今よりさらに日本ではなじみの薄いPayPal等もありましたが)一般の人がコンテンツの課金に使えるプラットフォームが「有料メルマガ」しかなかったわけです。

ブロガーの方々とのチャットルームで「まぐまぐさんから有料メルマガのお誘いが来たけど、どう思う?」と意見も聞いてみたのですが、やはり、「有料メルマガの上位は、無料メルマガで集客した人が有料版を出して、順位も固定されていて、今から参入しても上位に食い込むのは難しいんじゃないか?」といった、あまり芳しくない反応でした。

私も「メール」という古風な媒体にはまったく興味が持てなかったし、「メール本文は1行あたりXX文字で改行してください」といった原始的な作業もしんどかったので、初期から、メルマガは単なる「課金プラットフォーム」として利用する(URLをメールで送る)だけで、コンテンツ自体はブログの上に置こう。それにより書き慣れたエディタも使えるし、グラフや写真や強調などの表現力もある。他の課金プラットフォームが登場した場合には、そちらも活用すればいい。…といったことを考えた次第です。

理想的な「最終形」が出現するまで何もせずに頭で想像しているだけでは仕方が無い、その間にいろいろ「課金された空間で何が起こるのか」のノウハウもためないと、一夜にして有料コンテンツのことがわかるわけがない。不完全とは思ってもまずは、そうした「課金された世界」でどんなことが起こるのか、やれることは何なのかを考えてみよう、ということでスタートしてみたわけです。

 

3年で大変化したがまだポテンシャルはこんなもんじゃないはず

「なかなか上位に食い込むのは難しいよ」と周囲から言われてのスタートでしたが、結果としては、それまでの人たちに食い込んで「週刊isologue」は最高でまぐまぐランキングの3位くらいまで行きました。その後、ホリエモン氏や津田大介氏といった大物の方々も参戦してきて、今やランキング上位10位のうち、私より前にメルマガをやってた方は1人だけです。競馬必勝法とか情報商材的なものや、(いいか悪いかはさておき)「ネットやテレビでオープンに発言していない人」は、ランキングからはほとんどいなくなりました。そして「まぐまぐ」以外のメルマガ配信プラットフォームやコンテンツ課金のしくみも次々に立ち上がりつつあります。「有料メルマガ」というと、10年以上まったく変わってない世界のように思われている方も多いかも知れませんが、実際には、この3年間で市場を構成するメンバーがガラリと入れ換わってしまうという、非常にドラスティックな変化がありました。

しかし、上位のホリエモン氏や津田大介氏は年間売上1億円を超えていると言われているものの、コンテンツの売上がジップ分布する(順位が下がると急速に売上が小さくなる)と言われていること、その他の情報を勘案すると、メルマガを中心に一般の人がネット上で読み物コンテンツを売る市場は、今でもせいぜい数億円から十数億円程度しかないんじゃないかと想像しています。メルマガを書いている上位数十人程度の個人にとってはこれはそこそこ大きい金額かもしれませんが、マクロ的に見たら、あまりにも小さすぎる金額です。

売上が下がっているとはいえ、日本の雑誌や書籍を合わせたコンテンツ市場は、まだ1兆数千億円もあります。全体のマーケットサイズは小さくなるにしても、将来のコンテンツ市場が年間50億円とか100億円の売上にまで落ち込むなんてことは考えられない。どう考えても千億円単位で残りそうです。そしてその市場の大半は「電子媒体」になっているはずです。

今年は、楽天のkoboに引き続きAmazonもいよいよ日本に参入するということで、(今度こそ!)電子出版元年になりそうですが、そうした「今までの本をそのままの形で電子化した」ものだけが読み物の最終形になるとも思えません。ネットにはもっといろんな可能性があるはずです。

togetterのまとめを見ると、伊藤直也さんは、 

雑誌だって店売りの本だって有料だけど閉じてると思わないし、テレビラジオ番組は間接的だけどある意味、有料ともとらえられるでしょ。無料じゃなきゃだめだなんてそんな些末な話じゃないですよ。そもそも、わたし原稿料もらって雑誌の記事書いてるわけで。 

ともおっしゃってますので、有料であること自体を悪いと批判されているわけではなく、「クローズド」な方向に進むことを懸念されているのだと思います。

同時に、当時の私の気持ちとしては以上のとおり、「一線退いた芸能人のディナーショー」をやるつもりだったわけではなく、「今まで路上ライブやってたミュージシャンが、初めてライブハウスを借りるのにチャレンジしてみました。ゆくゆくは武道館、さらには幕張メッセで20万人コンサートだ!」と思ってやりはじめてみたわけです。

やってみたら、幕張メッセとまではいかなかったけれど、数十人に閉じられたディナーショーでもなかった。「そこそこのホール」くらいの方々に(しかも毎月/毎週)来ていただけたので、まだ「一線退いて」もいないんじゃないかと思いますし、「ストリートライブ」も引き続きやってます。

ということでここでCMですが、みなさま「週刊isologue」を、引き続きよろしくお願い申し上げます。<(_ _)>

 

「cakes」も近々始動

そしてさらに。Femto Startup LLPでも投資させていただいた「cakes」がもうすぐ始動します。

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こちらは、先日発表された執筆陣を見てのとおり、メルマガより多くの「アルファブロガー」の人たちが参加する予定です。(私も執筆予定です。)
「これがコンテンツ流通進化の最終形だ!」とは全く申しませんが、週150円を払えば、これらの方々のコンテンツがよりどりみどりで読めるという意味では、 コンテンツ毎に縦割りになった有料メルマガよりも、さらにオープンで読者やクリエイターの人たち相互のインタラクションが発生するような仕組みを作れるんじゃないかと考えています。
(伊藤さんや町山さんにも、より気に入っていただきやすいんじゃないかと。)

売上の6割程度を著者・クリエイターの方々に分配する予定と聞いていますが、雑誌のように固定の原稿料ではなく、読まれた記事ほど収入が増えるので、著者・クリエイターの方々にも工夫のインセンティブがある仕組みになってます。誰もやったことがないことなので心配をあげればキリがないですが、今後登場するであろう、世界的な企業によるものも含めたいろいろな課金プラットフォームなども利用しつつ、「最終形」に向けて進化し続けていける可能性があるプラットフォームじゃないかなあと期待しています。

(ではまた。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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