ネット・エコノミー解体新書 第9回「YouTube/HDDビデオの時代に日本のテレビ局は生き残れるか?」

日経BPさんのサイトで書いている、「ネット・エコノミー解体新書」の第9回、「YouTube/HDDビデオの時代に日本のテレビ局は生き残れるか?」がアップされました。
http://www.nikkeibp.co.jp/netmarketing/column/economy/061214_jtv/
私、特に放送業界の専門家というわけでもないんですが、ライブドアのニッポン放送買収以来、テレビやラジオに出演させていただいて、テレビ局の仕事の仕方、コーポレート・ガバナンスなど(の感覚の、他の業界とのあまりの違い)を見聞きさせていただき、また、ネットの広告市場については仕事上関係も深いので、今後、テレビとネットの広告の関係がどう変化していくのか、ということには非常に興味を持ってきまして。
・・・ということで、恐れ多くも、日本のテレビ業界について、主に財務的な観点から分析させていただいてます。
一般向けの原稿なので、専門の方にはイマイチ食い足りないかとは思いますが、日本のテレビ局各局の規模や収益性というのは、(勢いの違いはなんとなく感じていても)、意外に一般には出回っていないのではないかと思いますし、ましてや、海外のメディア・コングロマリットと、規模・収益性にどの程度の差があるのかというのがピンと来る方は少ないかと思います。
私も、一覧で数字を並べてみて、あらためて、「なるほどねえ」という感じでして。
今後のマーケティングや放送業界を考える際に、何かのご参考になれば幸いです。
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

Winny裁判有罪判決

<ウィニー裁判>元東大助手の金子被告に有罪判決 京都地裁
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061213-00000022-mai-soci
もしYouTubeが日本にあったら、今頃とっくに、東京地検特捜部が「犯罪のほう助」容疑で、会社から段ボール箱を運び出しているんだろうなあ、と思う、今日この頃。

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

ポロニウム210

アレクサンドル・リトビネンコ氏の暗殺で話題になっているポロニウムですが、Wikipedia、ためになります。

計算上わずか47ng(1億分の4.7グラム)で50%致死線量(4 Sv)の被曝を受けることになる。最大許容身体負荷量は6.8 pg(1兆分の6.8グラム)とされている。

(少な。)

1898年7月、マリ・キュリーが夫のピエール・キュリーとともにウラン鉱石から発見。発見者の祖国ポーランドのラテン語形「Polonia」が語源。1896年にアンリ・ベクレルによる放射能の発見を受け、まず放射能を測定する機器を開発する。ピエール・キュリーの考案したピエゾ電気計を改良し、ウランを中心に放射能を測定する。ウラン鉱石(ピッチブレンド)を測定したところ、ピッチブレンドに含まれるウランの濃度から計算した放射線より少なくとも4倍の線量を検出した。このため、ウランとは異なる未知の放射性元素が含まれているのではないかと推論した。しかしながら、ピッチブレンドは高価であり、新元素を単離するだけの分量が入手できなかった。オーストリア政府に頼み込んだ結果、ヨアヒムスタール鉱山から採掘したウラン鉱の残りかすを数トン入手できた。ポロニウムの分離には数ヶ月を要したという。12月にはラジウムも発見した。

キュリー夫人、体調も崩すわけですね。
ノーベル賞2回も、当然であります。

タバコの煙にも極微量に含まれている。出所はタバコ栽培に多用される化学肥料(リン酸肥料)の材料であるリンに不純物として含まれるウランだと考えられるため、当然野菜などにも微量ながら含まれている。喫煙者の被曝量が、非喫煙者よりも多いため、肺がんの原因のひとつともいわれている。

タバコの煙の摂取量より、野菜の摂取量のほうがはるかに多いと思いますが、消化器系はどんどん出て行っちゃうのに対して、肺は行き止まりで蓄積しちゃうからでしょうか。

ポロニウム210はアルファ崩壊のみで崩壊し、崩壊過程でガンマ線の照射を殆ど伴わない(殆どのアルファ崩壊は同時にガンマ線の放射を伴う)。一方、アルファ線は紙一枚で遮断される。このため、容器に入ったポロニウム210を、容器ごと放射線を測定することにより検出することは不可能である。

崩壊過程でガンマ線が出ないんですね。
少量で人を殺せる上、アルファ線はほとんどのものを貫通できないので、小さい容器に入れれば、持ち運びもしやすいし、空港等の検査でも引っかからないわけで、(価格や入手可能性をクリアすれば)諜報活動にはうってつけなわけですね。
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

ヒューマン2.0(渡辺千賀さん著作)本日発売

一昨日、渡辺さんから一冊いただきました。
human2_0.jpg
ヒューマン2.0—web新時代の働き方(かもしれない)

タイトルの「(かもしれない)」というところからして、人をナメてますが。
しかし、大爆笑しながらあっという間に読み進めてしまう本でありながら、これほどシリコンバレーのベンチャーの様子を、実際にビジネスをやる観点から深くとらえた本は、今までなかったんじゃないでしょうか。
「今までベンチャーについて書かれた本の中で、一番面白い」と言って過言ではないと思います。
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

葉玉さんご尊顔、発見

「会社法であそぼ」が葉玉さんから「サミーさん」に変わってから久しいですが、昨日、webを検索していて、葉玉さんのご尊顔を発見。
http://www.moj.go.jp/KANBOU/KENJI/kenji08-05.html
(すでにギョーカイでは有名なページなのかも知れませんが、私は今回はじめて拝見しました。)
ウェブ上で鋭いことを書かれている方だと、どうも勝手に、「青白い肌にこけた頬、鋭い眼光、銀縁メガネ キラーン」という風貌を想像してしまうんですが、いや、実物の葉玉氏は、なんとも福々しい・・・。こんな「いい人そう」な方が、今は東京地検特捜部にいらっしゃるというイメージが、これまたよく沸かないところであります。
司法試験を受験される方は、この写真を写真用紙にプリントアウト&パウチして、財布などに入れて持ち歩くと、福が訪れるんじゃないでしょうか。
ブログというのは、書いて金になるわけでもないので、そこにセッセと書き込んで知識を広めようという方は、実際にお会いして見ると(少なくとも私の経験では)、間違いなく「いい人」です。(ブログではキツいことや一見非常識なことを書いてる、「あの方」や「あの方」など、ですら。)
ということで、葉玉さんも、きっとすごくいい人なのでしょう。
法学的教養が無いもので、「気分は,まるでボアソナード」とは いったい何じゃい?、というのも、今回ページを見て初めて勉強させていただきました。
(勤務先が変わってページが消えてしまう可能性もありますので、ご覧になる方はお早めに。)
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

日本の税務関連業務は今後も競争制限的法令によって守られるか?

(追記するとともに、改題しました。14:36)
かなり前にインタビューいただいたので、すっかり忘れてましたが、今週号の週刊東洋経済
toyo20061209%5B1%5D.jpg
の特集(「落ちる中間層」−ワーキングプアより深刻なホワイトカラーの没落)に、私のコメントを載せていただいてます。(62ページ。)
数行程度使われるだけかと思ってたら、写真入りで半ページも。
「経理・財務の分野でも、”ドメ”だと、今後厳しくなりますよ」
てなことをコメントさせていただいております。
−−−
私のコメントでは、「経理・財務の分野は、法令があって地域・国ごとに分かれているので、ある意味ローカルな領域です」となってますが、46ページを見ると、アメリカではもう、経理や確定申告についても、インド・フィリピン・イスラエル等にオフショアリングされている様子が載ってます。
日本の申告業務の場合、日本語による障壁もともかく、税理士法第52条

(税理士業務の制限)
第五十二条  税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。
(税理士の業務)
第二条  税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法 (昭和二十五年法律第二百二十六号)第十三条の三第四項 に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項 に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一  税務代理(略)
二  税務書類の作成(略)
三  税務相談(略)

の規定(罰則は税理士法第59条で、「二年以下の懲役又は百万円以下の罰金」)があるので、顧客が直接、オフショアリングするのはどうなんでしょうね?(つまり、この規定は、海外の事業者にも適用になるんですよね?)
また、日本で税理士資格を持った人が、海外の業者にアウトソーシングするのは、第2条の2号からして、できるんでしょうか?(ギョーカイで「問題」になるのは確実そうであります。)
税務代理はともかく、書類作成や相談まで法で禁止してしまう、というのは、この21世紀に、なんとも競争制限的な規定ではないかと思います。
財務、経理、税務といったビジネスの根幹にも関わる領域に競争メカニズムが働かないことで、日本企業の効率性自体が損なわれるということは、無いんでしょうか?
(ご参考まで。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

電子系の法律について考える(不正アクセス禁止法)

全国で初めてミクシィへの不正アクセスの摘発
http://www.asahi.com/national/update/1204/NGY200612040014.html
とのことなので、今までちゃんと読んだことがなかった不正アクセス禁止法に目を通してみました。
IT系の用語は横文字が多いのに、法律だとムリに日本語にしようとするので、IT系が不得意な方のみならず、IT系に詳しい方にも ようわからん単語が出てきます。
古文書を解読しているような楽しさがあるかと思いますので、お時間のある方は読んでみられるのもよろしいかと。
(以下、上記の事件とは直接 関係ないですが、)

不正アクセス行為の禁止等に関する法律
(目的)
第一条  この法律は、不正アクセス行為を禁止するとともに、これについての罰則及びその再発防止のための都道府県公安委員会による援助措置等を定めることにより、電気通信回線を通じて行われる電子計算機に係る犯罪の防止及びアクセス制御機能により実現される電気通信に関する秩序の維持を図り、もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的とする。

横文字はすべて日本語に置き換えられているのに、なぜか「アクセス」だけは、カタカナのままなんですね。「サーバ」とか「パスワード」とかいった用語に比べて、「アクセス」というのは、普通の人がピンと来る言葉じゃないと思うんですが・・・なぜこれだけカタカナなのか・・・興味深いですね。

(定義)
第二条  この法律において「アクセス管理者」とは、電気通信回線に接続している電子計算機(以下「特定電子計算機」という。)の利用(当該電気通信回線を通じて行うものに限る。以下「特定利用」という。)につき当該特定電子計算機の動作を管理する者をいう。

つまり、ここでいう「アクセス」とは、ネット経由のものに限られ、スタンドアロンのパソコンに侵入する、といったことは、この法律の対象になってない、ということですね。
(キーボードのコードは、「電気通信回線」にはあたらない、ということでいいんですよね?)
どうせなら「不正アクセス」も日本語にして、「不正遠隔接続」といった名前にした方が、ITをよくご存知の方にとっても、ここでいう「アクセス」という用語のイメージがはっきりするのでは・・・とも思いますが・・・。
物理的にアクセス制御されたところに置いてあるスタンドアロンのコンピュータに外部の人間が侵入する場合は(古典的な)不法侵入になることが多いでしょうけど、例えば掃除のおばさん(実は産業スパイ)が会社の机の上に置いてある個人パソコンに直接侵入するようなケースは、何か、別の法律で刑事罰が手当てされているんでしたっけ?

2  この法律において「識別符号」とは、特定電子計算機の特定利用をすることについて当該特定利用に係るアクセス管理者の許諾を得た者(以下「利用権者」という。)及び当該アクセス管理者(以下この項において「利用権者等」という。)に、当該アクセス管理者において当該利用権者等を他の利用権者等と区別して識別することができるように付される符号であって、次のいずれかに該当するもの又は次のいずれかに該当する符号とその他の符号を組み合わせたものをいう。
一  当該アクセス管理者によってその内容をみだりに第三者に知らせてはならないものとされている符号

「パスワード」のことですね。IDにメールアドレスを使うようなサービスはともかく、「みだりに第三者に知らせてはならない」と言われていれば、「ID」も含まれるかも知れませんね。

二  当該利用権者等の身体の全部若しくは一部の影像又は音声を用いて当該アクセス管理者が定める方法により作成される符号

「生体認証」ですね。
でも、「影像又は音声」ということだと、「ガタカ」みたいに、毎回「血」や「DNA」自体を採ったりするのは、これにはあたらない・・・のか。(どーでもいいですが。)

三  当該利用権者等の署名を用いて当該アクセス管理者が定める方法により作成される符号

この「署名」というのは、「電子署名」のことでしょうね。
でも、通常、法律用語で「署名」といったら、人間が手で書くサインのことじゃないでしょうか。(IT系に疎い方には、イメージがよくわかないんじゃないかと。)
上記には、電子署名された認証鍵が入ったICカードなどは含まれるでしょうけど、(パスワードなど他の「符号」を用いず)、電子署名されてない情報が入ったICカードだけでアクセスするようなケース(あまりないでしょうけど)は、この法律では保護されない、ということでしょうか?
それらはこの第3号ではなく第1号(みだりに第三者に知らせてはならない符号)に該当するんでしょうか?
つまり、1号に該当しなくて3号に該当する固有のケースというのは、「当該利用権者等」のID等で「第三者に教えてもかまわない」とされているものを当該利用権者等の秘密鍵で署名したようなもの?になるかと思いますが、パスワードと組み合わせず、それしか使わない認証方式って使われてるのかな?
(サーバから送られる文字列等のハッシュを取ったものに電子署名したものを返す、という認証は、技術的にありえなくはないと思いますが。)

3  この法律において「アクセス制御機能」とは、特定電子計算機の特定利用を自動的に制御するために当該特定利用に係るアクセス管理者によって当該特定電子計算機又は当該特定電子計算機に電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機に付加されている機能であって、当該特定利用をしようとする者により当該機能を有する特定電子計算機に入力された符号が当該特定利用に係る識別符号(識別符号を用いて当該アクセス管理者の定める方法により作成される符号と当該識別符号の一部を組み合わせた符号を含む。次条第二項第一号及び第二号において同じ。)であることを確認して、当該特定利用の制限の全部又は一部を解除するものをいう。

ここは、わかりやすいかと思います。

(不正アクセス行為の禁止)
第三条  何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
2  前項に規定する不正アクセス行為とは、次の各号の一に該当する行為をいう。
一  アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)

普通に、他人のID・パスワードなどでログインする場合ですね。
「特定利用をし得る状態にさせる行為」とありますので、ユーザーしかできないはずの「特定利用」自体をしなくても、ログインするだけで「犯罪」だ、ということになります。

二  アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く。)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者の承諾を得てするものを除く。次号において同じ。)

「当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く。)又は指令」というのは、セキュリティ・ホールなどのことでしょうね。
「セキュリティ・ホール等(アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報又は指令をいう。)を利用して・・・」
といった書き方をしていただいた方が、わかりやすいですよねえ。

三  電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為

他のサーバを「踏み台」にするケース、などでしょうね。

(不正アクセス行為を助長する行為の禁止)
第四条  何人も、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、その識別符号がどの特定電子計算機の特定利用に係るものであるかを明らかにして、又はこれを知っている者の求めに応じて、当該アクセス制御機能に係るアクセス管理者及び当該識別符号に係る利用権者以外の者に提供してはならない。ただし、当該アクセス管理者がする場合又は当該アクセス管理者若しくは当該利用権者の承諾を得てする場合は、この限りでない。

他人のパスワード等を、他の第三者に教える、という場合ですね。

(アクセス管理者による防御措置)
第五条  アクセス制御機能を特定電子計算機に付加したアクセス管理者は、当該アクセス制御機能に係る識別符号又はこれを当該アクセス制御機能により確認するために用いる符号の適正な管理に努めるとともに、常に当該アクセス制御機能の有効性を検証し、必要があると認めるときは速やかにその機能の高度化その他当該特定電子計算機を不正アクセス行為から防御するため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

この努力規定は、(やるべきなのは当然として)、罰則もないんですが、法律上はどういう意味があるんでしょうか。アクセス制御を適切にアップグレードしてなかったり、パッチを当てていなかった場合には、不正アクセスしたものの量刑に影響するよ、ということでしょうか?(つまり、ヘボい管理者のサーバに侵入した者は、ガチガチのサーバに侵入した者より、罪が軽くなったりするのかしらん???)

(都道府県公安委員会による援助等)
第六条  都道府県公安委員会(略)は、不正アクセス行為が行われたと認められる場合において、当該不正アクセス行為に係る特定電子計算機に係るアクセス管理者から、その再発を防止するため、当該不正アクセス行為が行われた際の当該特定電子計算機の作動状況及び管理状況その他の参考となるべき事項に関する書類その他の物件を添えて、援助を受けたい旨の申出があり、その申出を相当と認めるときは、当該アクセス管理者に対し、当該不正アクセス行為の手口又はこれが行われた原因に応じ当該特定電子計算機を不正アクセス行為から防御するため必要な応急の措置が的確に講じられるよう、必要な資料の提供、助言、指導その他の援助を行うものとする。

公安委員会が助けてくれるんですね。実際問題、民間のセキュリティ専門家に依頼するのに比べて、どのくらい役に立ってくださるのかしらん。
(当然、メジャーなネット事業者ではなく、零細な企業等に対する支援を念頭においてるんでしょうね。)

2  都道府県公安委員会は、前項の規定による援助を行うため必要な事例分析(当該援助に係る不正アクセス行為の手口、それが行われた原因等に関する技術的な調査及び分析を行うことをいう。次項において同じ。)の実施の事務の全部又は一部を国家公安委員会規則で定める者に委託することができる。

実際には、民間のセキュリティ専門家がやる、ということなんでしょうね。

3  前項の規定により都道府県公安委員会が委託した事例分析の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
4  前三項に定めるもののほか、第一項の規定による援助に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。
第七条  国家公安委員会、総務大臣及び経済産業大臣は、アクセス制御機能を有する特定電子計算機の不正アクセス行為からの防御に資するため、毎年少なくとも一回、不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況を公表するものとする。
2  前項に定めるもののほか、国は、アクセス制御機能を有する特定電子計算機の不正アクセス行為からの防御に関する啓発及び知識の普及に努めなければならない。

(罰則)
第八条  次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一  第三条第一項の規定に違反した者
二  第六条第三項の規定に違反した者

第九条 第四条の規定に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。

・・・という罰則になってます。
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

知らなきゃよかったストックオプション(第1回:売却のマーケットインパクトを考える)

ストックオプションというのは、会社法上のものであるだけでなく、税務が切っても切り離せないものであり、売却時には証券取引法も関連し、費用計上の会計上の知識、金融工学的知識も必要で、おまけにインセンティブですから労務の観点も必要で、考えれば考えるほど、ディープな世界が広がってきます。
ということで、「知らなければ幸せに暮らせたのに、知ってしまったばっかりに、つまらんことで悩まないといけない(かも知れない)」というシリーズをいくつか。
−−−
第1回目は、「売却のマーケットインパクトを考える」。
ご案内のとおり、ストックオプションの行使にはインサイダー取引規制(証券取引法第166条)は適用されませんが、行使で取得した株式の売却はもちろんインサイダー取引規制の対象となります。
このため、日本の実務では、(決算に関するインサイダー情報がない)四半期決算の開示の直後、概ね2週間くらいの間に売却をしている上場会社が多いのではないでしょうか。
しかし、この方法は、インサイダー取引規制を回避するにはいいかも知れませんが、役員等の売却が、年間4回の特定の短い期間に集中し、決算発表直後の需給を悪化させる可能性があります。
銘柄の流動性に比べてストックオプションの量が少ない企業はさておき、一般に、マーケットにインパクトを与えないように、もっと、分散して売却する方法はないでしょうか?
アメリカではどうしているのか
米SECのEDGAR で企業の開示書類を検索すると、「Form4」という様式がズラズラズラーと並んでいます。
(Googleの
Form 4とは、Wikipediaによると、

Every director, officer or owner of more than ten percent of a class of equity securities registered under Section 12 of the ’34 Act must file with the United States Securities and Exchange Commission a statement of ownership regarding such security. The initial filing is on Form 3 and changes are reported on Form 4. The Annual Statement of beneficial ownership of securities is on Form 5. The forms contain information on the reporting person’s relationship to the company and on purchases and sales of such equity securities.

とのことで、アメリカでは取締役や執行役の自社株の売買は、全部報告されて簡単に閲覧できるんですね。(初期値が「Form 3」、年間報告書が「Form 5」で、異動が「Form 4」。)
また、EDGARは、提出者コードで一発で抜き出せますので、たとえばGoogleのCEOのEric Schimidt(0001242463)のForm 4を抽出してみると、 下記のURLのとおり。
http://www.sec.gov/cgi-bin/browse-edgar?type=&dateb=&owner=include&count=100&action=getcompany&CIK=0001242463
ストックオプションを行使して月初と月末の売却が多い気がしますが、四半期ごとということはなく、毎月バラバラと売却されています。
毎月、売却してOKなんでしょうか。
個別の開示書類()を見てみると、「7. Nature of Indirect Beneficial Ownership」という欄に、「By Trust」とか「By Limited Partnership I」などとあって、本人が直接売却当事者になるのではなく、信託等に売却をまかせている、ということでしょうか?
日本での法令
日本では、信託等に株式を預けて、そこで年間に分散して売却してもらう、ということは法令上可能なのでしょうか?
会社関係者等の特定有価証券等の取引規制に関する内閣府令
(重要事実に係る規制の適用除外)

第六条  法第百六十六条第六項第八号 に規定する上場会社等の第一項 に規定する業務等に関する重要事実を知る前に締結された当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買等に関する契約の履行又は上場会社等の同項 に規定する業務等に関する重要事実を知る前に決定された当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買等の計画の実行として売買等をする場合のうち内閣府令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一  業務等に関する重要事実を知る前に上場会社等との間で当該上場会社等の発行する特定有価証券等に係る売買等に関し書面による契約をした者が、当該契約の履行として当該書面に定められた当該売買等を行うべき期日又は当該書面に定められた当該売買等を行うべき期限の十日前から当該期限までの間において売買等を行う場合
二  業務等に関する重要事実を知る前に証券会社との間で信用取引(証券取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令 (昭和二十八年大蔵省令第七十五号)第一条 に規定する信用取引をいう。第八条第一項第二号において同じ。)の契約を締結した者が、当該契約の履行として証券取引所又は証券業協会の定める売付け有価証券又は買付け代金の貸付けに係る弁済の繰延期限の十日前から当該期限までの間において反対売買を行う場合
三  上場会社等の役員又は従業員(当該上場会社等が他の会社を直接又は間接に支配している場合における当該他の会社の役員又は従業員を含む。以下この号及び次号において同じ。)が当該上場会社等の他の役員又は従業員と共同して当該上場会社等の株券の買付けを行う場合(当該上場会社等が会社法第百五十六条第一項 (同項 第百六十五条第三項 の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定に基づき買付けた株券以外のものを買付けるときは、証券会社に委託等をして行う場合に限る。)であって、当該買付けが一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行われる場合(各役員又は従業員の一回当たりの拠出金額が百万円に満たない場合に限る。次号において同じ。)
四  上場会社等の役員又は従業員が信託業を営む者と信託財産を当該上場会社等の株券に対する投資として運用することを目的として締結した信託契約に基づき、当該役員又は従業員が信託業を営む者に当該上場会社等の株券の買付けの指図を行う場合であって、当該買付けの指図が一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行われる場合(当該役員又は従業員を委託者とする信託財産と当該上場会社等の他の役員又は従業員を委託者とする信託財産とが合同して運用される場合に限る。)
五  第三号に掲げる場合を除くほか、上場会社等の関係会社の従業員が当該関係会社の他の従業員と共同して当該上場会社等の株券の買付けを証券会社に委託等をして行う場合であって、当該買付けが一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行われる場合(各従業員の一回当たりの拠出金額が百万円に満たない場合に限る。次号において同じ。)
六  第四号に掲げる場合を除くほか、上場会社等の関係会社の従業員が信託業を営む者と信託財産を当該上場会社等の株券に対する投資として運用することを目的として締結した信託契約に基づき、当該従業員が信託業を営む者に当該上場会社等の株券の買付けの指図を行う場合であって、当該買付けの指図が一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行われる場合(当該従業員を委託者とする信託財産と当該関係会社の他の従業員を委託者とする信託財産とが合同して運用される場合に限る。)
七  法第三十四条第一項第八号 に規定する累積投資契約により上場会社等の株券(優先出資証券を含む。)の買付けが証券会社に委託等をして行われる場合であって、当該買付けが一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行われる場合(各顧客の一銘柄に対する払込金額が一月当たり百万円に満たない場合に限る。)
八  業務等に関する重要事実を知る前に法第二十七条の三第二項 の規定に基づく公開買付開始公告を行った法第二十七条の二第一項 に規定する公開買付け等の計画に基づき買付け等を行う場合
九  業務等に関する重要事実を知る前に法第二十七条の二十二の二第二項 において準用する法第二十七条の三第二項 の規定に基づく関東財務局長への届出をした法第二十七条の二十二の二第一項 に規定する公開買付け等の計画に基づき買付け等を行う場合
十  業務等に関する重要事実を知る前に、発行者の同意を得た特定有価証券の売出し(法第二条第四項 に規定する有価証券の売出をいう。以下同じ。)に係る計画又は令第三十条 に定める公表の措置に準じ公開された特定有価証券の売出しに係る計画に基づき当該特定有価証券の売出し(証券会社が売出しの取扱いを行うものに限る。)を行う場合

この第1号は、もともと、銀行の持ち合い解消等に使われることを想定した条文だそうですが、これで重要事実等を知る前に四半期計画や年間計画を立てて、分散して売却するするという手はあるかも知れません。
しかし、2号の信用取引は関係ないですし、3号〜9号の持株会や信託の利用、累投、公開買付等は、すべて「買い付け」のときだけで、「売却」を想定してません。10の売出も、ちょっと使いづらいでしょう。
ということで、日本でストックオプションを行使して得た株式の売却のマーケットインパクトをどう分散するか、「好業績を発表したのに上値が重い」という現象を防ぐ義務が、経営者にどこまであるか。
(もうなにか有効な対策を打っている日本企業はあるんでしょうか?)
考え出すと夜も眠れないシリーズ第1回でした。
(つづく。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。

超マイナー事象と、wiki、市場メカニズム(小規模事業者へのブログの影響力:その2)

先日の私のエントリ「小規模事業者へのブログの影響力」については、思いのほか、いろいろなご意見をいただきました。
404 Blog Not Found「行列のできないお店の助け方」
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50701199.html

もし自分が気に入ったお店のWeb上での評判が異なるのであれば、自分はそう思わなかったという意思表明をしておくのが今の「ネティケット」かも知れません。
(中略)
だから磯崎さんのentryは、店の名前が出ていない所が片手落ちのようにも思われます。少なくともこれでは一般論として一般ネットサーファーが得る所はあっても、そのお店は救われません。もっとも、磯崎さんの立場上、特定のお店への肩入れというのもしにくいとは思いますが。

(「私の立場」はともかく)、実名を書くかどうかは、私なりにいろいろ考えました。
一つには、このような場合に実名で話をしてしまうと、助け舟を出すつもりが、ヤブヘビになることも多い。まっさらの状態ならともかく、微妙な問題になっている時に実名で助け舟を出しても、「実際行ってみたけど、やっぱりたいしてうまくないぞ」「まずい。氏ね。」ってな「祭り」が発生したりしたら、お店に対して申し訳ないことこの上ない。
実際、思いのほか あちこちのブログ等で取り上げていただいたので、やっぱり、実名書かないでよかったです。
また、私が申し上げたかったのは、個別の「インスタンス(具体例)」である一つの店の話ではなく、「ネットのリテラシーは乏しいが、小規模にビジネスをしている個人事業者的な人」という「クラス」についてだったから、であります。
つまり一般的に言って、「今の時代、ビジネスをする人であれば、ネットを積極的に活用するマインドがあったほうがいい」とは間違いなく言えるでしょうが、「それができないやつはダメなやつ」とまで言えるのか。もちろん、そこまで言いたくはないですが、一方で、現実は、初期条件(最初のコメントがポジティブかネガティブか、ネットに関するリテラシーがあるかどうか、など)の微妙な違いによって、天国か地獄かが大きく分かれる可能性が従来より格段に高まっているかと思います。ただ、そこまでネットの影響を深刻に考えてない個人事業主は、まだ世の中の8割くらいいるんじゃないかと思いますし、「ネットで何も起こらない」可能性が最も高そうでもありますが。
−−−
議論を、より抽象化してみます。

(1) ある事象に関する意見の量が増えていけば、その意見の総体は、必ず、「正しい姿」に近づいていくのか?
(2) どんな事象に関しても、今後必ず、意見する人や意見の量は増えるのか?

換言すると、「wiki的なしくみ」は、どんなささいな事柄の説明にもうまく機能するんでしょうか?
確かに、みんなが知恵を出し合うwiki的なしくみによって、今まで取り上げなかったようなマニアックな事象についても、驚くほど専門家的な知識が形成されている事例はたくさんあるわけですが、だからといって、それはどんな些細な事柄の説明にも適用されうるのか。

なぜ、オープンソースの生産性は高いのか?
身も蓋もない答えを言ってしまおう。
生産性が充分高いプロジェクトしか手をつけられないからだ。

http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50617817.html
というお話も、非常に示唆的であります。
翻って株式市場の話。トヨタやソフトバンクについては、株式の取引量(流動性、liquidity)がふんだんにあるので、市場で形成される株価が、その企業の価値を表していると考えても、大きくははずれてないでしょう。
しかし、たとえばグリーンシート銘柄とか、香港のGEM市場など、極端に流動性が低い市場で形成される株価は、どの程度、その企業の価値を的確に表しているんでしょうか?また、将来的には、今のグリーンシート銘柄よりもっと小さいような企業まで、公開して取引することが「世の中のため」になるでしょうか?つまり、企業は情報開示すればするほど、モニタリングや市場メカニズムがより働くでしょうか?
image001.gif
10年前の私の答は「yes」で、シンプルに、「世の中に出回る情報の量が増えれば増えるほど、経済学で言うところの完全競争市場に近づき、世の中『よく』なる」、と思ってました。が、最近は、「社会(人間)が処理できる情報の総量には上限があるんじゃないか」という気がしてます。
(平たく言うと、「みんな、それほどヒマじゃない」。)
ライブドアの第9期の「実態」は、有価証券報告書をじーっと見ていれば、かなり理解できたのではないかと思いますが、無料でダウンロードできるにもかかわらず、20万人の同社株主うち、何人がその開示資料を眺めたんでしょうか。20万人株主がいる会社ですらそうだったとすると、いわんや・・・であります。
つまり、あまりにマイナーなものについては、十分な量の情報が集まらないので、それに関するオープンな情報の総体が、それについての適切な情報に漸近的に近づいていくことにはならないんじゃないかと。
東京のメジャーなレストランについてはネット上の情報を見れば、かなりイメージはつかめるが、岐阜の山奥の駅前のさびれた中華料理屋については、これからも永遠に(web2.0的な)ネット情報では実態がつかめない・・・みたいな。
(ではまた。)

[PR]
メールマガジン週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月):
「note」でのお申し込みはこちらから。