村上ファンド、シンガポール移転

村上ファンド(MACアセットマネジメント)が、運用機能をシンガポールに移転すると発表しました。
運用機能をシンガポールに移転、村上ファンドが発表(Yahoo!ニュース、読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060510-00000217-yom-bus_all
株式会社 M&Aコンサルティングの、「弊社関連ファンドの運用会社の変更について(2006年5月10日)」によると、

弊社関連ファンドの運用会社について、グローバルな展開にも適切に対応するため、今般、従前の株式会社MACアセットマネジメントから、シンガポール法人であるMAC ASSET MANAGEMENT PTE. LTD. (マック アセット マネジメント ピーティーイー リミテッド)に変更となりましたので、お知らせいたします。
詳細につきましては、次のEDINET(証券取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)のサイトで開示される各社の大量保有(変更)報告書をご参照ください。

https://info.edinet.go.jp/EdiHtml/main.htm

とのこと。
村上ファンドの海外移転については、「税務やレギュレーション回避のため」とする報道されている説のほかに、「『それ以外の理由』で日本を離れる必要がある」てなことをおっしゃる方もいらっしゃいますが・・・・それはさておき。
昨年からの投資に関係する法改正は、「村上ファンド狙い撃ち」で、「日本から出て行け!」と言わんばかりの改正が続いたので、「日本から出て行く」のは至極当然というか、経済合理性のある行動かと思います。
では、こうした立法政策でファンドが拠点を海外に移すことで日本という国が大きく損をしたかというと、どうでしょうか?
税金が取れる取れないという話は(もともと取れてなかったわけですから)さておき、村上ファンドの存在意義は、「効率の悪い」日本企業に「刺激」を与えることじゃないかと思いますので、(今後はインドや中国にしか投資しない、というならともかく)、日本の「効率の悪い部分のアービトラージ」も引き続きやっていただけるのであれば、日本として損ということもあまりないんじゃないかな、とも思います。
で、以下、村上ファンドに影響する一連の改正を並べてみます。
任意組合等に対する源泉徴収義務
まず、昨年度の所得税法等の改正で、ファンドに対する源泉徴収が強化され、外国組合員は20%の源泉徴収をされることになりました。(*:所得税法180条(国内に恒久的施設を有する外国法人の受ける国内源泉所得に係る課税の特例)、所得税法施行令304条(外国法人が課税の特例の適用を受けるための要件)、租税条約にも注意。)
(ちょっとうっとうしいかもしれませんが、備忘のために主な関連法規を張っておきます。)

所得税法
第三編 非居住者及び法人の納税義務
第一章 国内源泉所得
第百六十一条(国内源泉所得)
この編において「国内源泉所得」とは、次に掲げるものをいう。
一 国内において行う事業から生じ、又は国内にある資産の運用、保有若しくは譲渡により生ずる所得(次号から第十二号までに該当するものを除く。)その他その源泉が国内にある所得として政令で定めるもの
一の二 国内において民法第六百六十七条第一項(組合契約)に規定する組合契約(これに類するものとして政令で定める契約を含む。以下この号において同じ。)に基づいて行う事業から生ずる利益で当該組合契約に基づいて配分を受けるもののうち政令で定めるもの
(以下略)

所得税法第七条(課税所得の範囲)
所得税は、次の各号に掲げる者の区分に応じ当該各号に定める所得について課する。
 (中略)
 五 外国法人 国内源泉所得のうち第百六十一条第一号の二から第七号まで及び第九号から第十二号までに掲げるもの(法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第百四十一条第四号(国内に恒久的施設を有しない外国法人)に掲げる外国法人については、第百六十一条第一号の二に掲げるものを除く。)

第二百十二条(源泉徴収義務)
(中略)
5 第百六十一条第一号の二に規定する配分を受ける同号に掲げる国内源泉所得については、同号に規定する組合契約を締結している組合員(これに類する者で政令で定めるものを含む。)である非居住者又は外国法人が当該組合契約に定める計算期間その他これに類する期間(これらの期間が一年を超える場合は、これらの期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)。以下この項において「計算期間」という。)において生じた当該国内源泉所得につき金銭その他の資産(以下この項において「金銭等」という。)の交付を受ける場合には、当該配分をする者を当該国内源泉所得の支払をする者とみなし、当該金銭等の交付をした日(当該計算期間の末日の翌日から二月を経過する日までに当該国内源泉所得に係る金銭等の交付がされない場合には、同日)においてその支払があつたものとみなして、この法律の規定を適用する。

平成17年12月26日公表の基本通達関連の改正

「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/kobetu/syotoku/sinkoku/4423/01.pdf
法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/kobetu/houzin/051226/pdf/01/03.pdf
「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/kobetu/syotoku/sinkoku/4425/01.pdf

 
PE(恒久的施設)課税
村上ファンドは、一任の投資顧問業となることで、外国人投資家から見てファンドの業務執行組合員はPEではなく、外国人投資家は日本で法人税の申告義務が発生することがない、という解釈で今までやってこられたのではないかと思いますが、昨今の一連の法改正でPE認定のリスクを感じられたのかどうか・・・。
税務大学校 研究員 松下 滋春氏の論文「代理人PEに関する考察」(平成16年6月30日)
http://www.ntc.nta.go.jp/kenkyu/ronsou/45/matushita/hajimeni.html(要旨)
http://www.ntc.nta.go.jp/kenkyu/ronsou/45/matushita/ronsou.pdf(本文pdf)
は、代理人PE(日本の税法でいう「3号PE」)について、各国ローカルな税法とOECDモデル条約を中心とした租税条約との関係を検討した論文ですが、これによると、代理人PE、大陸法・英米法で「代理」の概念が異なるなど、世界的に見ても概念が完全に定まっていない領域で、主要な論文も1993年ごろからやっと出始めたような状況のもよう。
通常のファンド業務の実態と代理人PEとなる学術的な要件(test)を考えてみると、業務執行組合員(GP)は、「自らの名において」「本人(投資家)のために」投資活動に関わる「契約を締結する権限を持って」その権限を「常習的に行使」し、その方法も「通常の方法」?でやってるかも知れませんが、「経済的な独立性」というところをどう解釈するか、・・・等、この論文で考えてあわせてみると、おもしろいかも知れませんね。
事業譲渡類似株式の譲渡益課税強化
内国法人の25%以上の株式をファンドが保有した場合に、ファンドの構成員をまとめてカウントするように強化したもの。
(これは、日本法人をターゲットとする場合には、シンガポールに移転して回避できるものではありませんが。)
法人税法施行令第百八十七条(恒久的施設を有しない外国法人の課税所得)など。
(末尾に条文添付)
ご参考過去エントリ:
http://tez.com/blog/archives/000339.html
大量保有報告制度の見直し
過去エントリ
敵艦スクリュー音、未だ無し!(ニッポン放送株:解決編)
http://www.tez.com/blog/archives/000359.html
阪神電鉄株における村上ファンドの海面急浮上戦法
http://www.tez.com/blog/archives/000548.html
5%ルール強化は正しいのか?
http://www.tez.com/blog/archives/000629.html
等でも取り上げてまいりましたが、いよいよ証券会社や投資顧問業者の大量保有報告制度に関する規制が強化されます。
(これも、ファンドのGPがシンガポールに移動しても回避できるものではないと思いますが、「対村上ファンド」を強く意識した改正だ、ではあるでしょう。)
これについては、大和総研 制度調査部 横山 淳氏のレポート、
「大量保有報告制度の見直し」(2006年5月8日)
http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/securities/06050801securities.pdf
が、非常にわかりやすくまとめられています。
(ご参考まで。)
 
 
 
以下参考条文:

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信託大好きおばちゃんのブログ

ひさびさに、ディープなブログを(遅ればせながら?)発見いたしました。
信託大好きおばちゃんのブログ

http://shintaku-obachan.cocolog-nifty.com/shintakudaisuki/

プロフィールを拝見すると、「大阪のおばちゃん税理士です。」とあります。
聞いてみると信託関係者方面ではすでに有名なブログのようですが、Googleでさっと検索しても、このブログに言及しているページはまだ数えるほどしかないので、一般的にはまだ掘り出しモノの部類に入るのではないかと。
先日も、信託法改正の勉強会に出席させてもらったんですが、法律的な議論はともかく、結局、信託というウツワが(経済的な観点から)「使える」のか「使えない」のか、というのは税務や会計処理等もあわせてトータルで考えなければいけない話で、任意組合とかTK/YK(もう設立できないけど)とか、TMKとか、他のvehicleと比べてどういう場合にどれがいいのか、というのが、信託についてはまだピンと来ていません。
(つまり、単にSPCに受益権をぶらさげるのではなく、受益権自体を投資家に販売するというのが、法改正等でどう変わっていきそうなのか、またコンテンツファンド等のスキームにも本格的に使えるようになるのかどうか、等。)
信託に関する税務の規定も非常に少ないので、実務でどういうことが行われているかの話が読めるのは非常にありがたいです。
(ご参考まで。)

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適時開示情報のRSS配信とマスコミへのインパクト

昨日は、東証さんが(仮に)適時開示情報のRSS配信をはじめたりしたら、「金融の」情報の流れに劇的変化が訪れるんじゃないか、というようなことを書きました。
もともとXBRLという会計情報(つまり、金融のプロや投資家しか見なさそう)を考えていたからですが、よく考えてみると、もしかしたら金融情報というより新聞社さんや通信社さん等、マスコミ一般のビジネスに与えるインパクトの方が大きいかも・・・という気がしてきました。
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「ネットは新聞を殺すのか」といった話にはなるかどうかはともかく、数百万人とか数千万人の人がRSSリーダー付きのスクリーンセーバーや壁紙等を使うようになって、「リアルタイムで」企業のプレスリリースやそれに関するコメント記事のRSSを見るような世界を想像してみると、少なくとも、企業のプレスリリースをまとめただけの(記者クラブ的な)記事が翌日の朝刊に出てきても、「気の抜けたサイダー感」が相当高まることは確か。(当然、スクープや分析的記事を強化するメディアは生き残るんだとは思いますが。)
「リーク」という手法は(特に上場企業の情報については)インサイダー情報管理の観点からは危険度が高い話。新聞社の方というのはそういう未公開情報を使ってインサイダー取引をやるなんてことは絶対無いものだとばかり思っていたんですが、先日、新聞社の広告部門で公告の情報を悪用してインサイダー取引を行っていた、というような事件を目にして、新聞社のインサイダー取引教育や管理体制はどうなっていたんだ?と愕然といたしました。
(これで将来的に規制強化・・・とまではいかなくても、上場企業内の開示ルールが強化されて、リーク情報が得られにくくなる、というような話になる可能性はそれなりに高いかと思います。)
(ではまた。)

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Googleと金融ビジネス

ひさびさに渡辺聡(SW)さんからトラックバックいただきました。

証券分析のGoogle化
これはもうならない方がおかしいと言っておきたい。

これは力強いお言葉で。
金融と情報処理というのは非常に親和性が高いし、「情報処理」に対する金ばらいもいい領域なのは間違いないんじゃないかと思います。

データの公開プロセスやサイクル、品質に関しての共通認識を揃える必要があるが(データ層で基盤レイヤーが出現する)、まぁこの辺は必要とあらば整備されていくでしょう。

証券の開示資料の開示のタイミングや品質というのは、証券取引法等の法令や取引所の規則で厳格に定められてますし、カネボウやライブドアのように、違反した者には懲役や上場廃止を含む厳しい罰則もありますので、世の中に出回っている情報の中でも、比較的信頼できる(・・・ようにするための仕組づくりに苦慮している)ほうではないかと思います。
普通は「物理的世界」と「データの世界」の(うち、「データの世界」の部分は技術でどうにでもなるわけですが、)2つをつなぐ部分の信頼を確保するところが難しいわけですけど、証券の開示情報は最初からそこができているところがナイスなところかと。

人間がやるのは、単純な計算ではやりにくいところになるのか、そうならないのかはもう少し状況が変わってからの判断として。

Google Newsが登場した時に「こりゃすげー!」と思ったけど、実際にはYahoo!ニュースの方をよく見る僕がいて・・・・みたいな感じかも知れませんね。
Googleがそれで大もうけというわけではないけど、既存のメディアは、それなりに大きな変革を迫られる・・・(かも)。
ちょうどたまたま本日発売のSPA!
spa060516h.jpg
でも、Googleのビジネスの特集が組まれておりまして、不肖私も、先日のエントリ「グーグルは「すごい」のか「すごくない」のか(財務的に見たGoogle)」をベースにコメントさせていただいてます。
また、「SF」ではありますが、Googleが金融ビジネスでどんなことができるのかを「勝手に大予測」してます。
コンビニ等でお見かけの際には、手にとってご笑覧いただければ幸いです。
(ではまた。)

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東証の決算短信XBRLデータ試験公開とGoogle

さて、東証さんが決算短信のXBRLデータを試験公開されはじめました。
(リリースはこちら。)
XBRLとは
XBRLについては、以前、「EDINET開示の義務化とXBRL」という記事で取り上げさせていただきましたが、平たく言うと「会計版のXML」です。
今までの企業の開示データ(決算短信など)は、webに開示されているものもhtmlやPDFで作成されてるので、人間様ならば「その会社の売り上げがいくらか」といった情報を抽出することが可能ですが、コンピュータは、どこに売上とか利益とかのデータが書いてあるか皆目わからない。これがXMLとなると、タグ付けされた特定の項目をアルゴリズム的に拾うことによって、直接、コンピュータが「○○社の売上はいくら」と答えられるようになるわけです。
仮に、すべての上場企業や有価証券報告書を発行している企業などがXBRLで情報開示するようになった暁には、プログラミングがちょっとできる人なら、高価なデータやインプット要員がいなくても、Yahoo!ファイナンスの企業情報とか決算情報と同様の(または、より複雑な)ページを、チョチョっと作成して公開する、なんてことも可能になるはず。
換言すると、XML化というのは、その情報の持つ「意味」のレイヤーと「表現」のレイヤーをアンバンドル(分離)する、ということでもあります。
実際にデモを見ると「おおっ!」と感動するんですが、ちょっとしたexcelのマクロで、日本語の財務諸表が一瞬にして英語(米国会計基準[風])の財務諸表に変わったり、韓国語の財務諸表に変わったりします。しかも単なる「翻訳」ではないので、会計基準の違いによって、特定の科目が資産の部に表示されたり、自己資本に表示されたり、といった表示方法も変更されるわけです。
「意味づけされたデータ」の意味
こういう「規格モノ」は、一定以上の利用がはじまればポジティブ・フィードバックが働いて利用が急速に増えるわけですが、逆に言えば、一定の「しきい値」に達するまでは、その規格に対応しても誰も使ってくれない → 誰も取り組まない → 誰も使わない、という逆のフィードバックが重くのしかかります。
ということで、わたしは、こうした「セマンティック(semantic)」なウェブやデータというのは、「理想はともかく現実的には普及しないんじゃねーの?」と思ってました。が、ここへ来て、ブログのブームでRSSやatomが大きく普及して、大成功例がひとつ出来ちゃいましたね。
数年前から伊藤穣一さんが「ブログ、ブログ」とおっしゃってるのを聞いても、「んなもん、流行らんでしょ・・・」と冷めた目で拝見してまして、RSSの配信やトラックバック等、プッシュ的ツールのスパイラル的効果もあって「ブログ」が流行語大賞のトップテンに入るまでなるなどという未来像はまったく予想できてませんでした。(そんな私が、今、ブログを書いて大量のトラフィックをいただいている、というのも皮肉なお話であります。)
そのお詫びと、isologueを本の中でご紹介いただいた御礼とを兼ねて、ちょっと伊藤穣一さん(とTechnoratiのシフリーCEO等)のご著書のご紹介。
blog_no_shotai.jpg
伊藤 穣一+デヴィッド・L・シフリー&デジタルガレージグループ (著)

また、ビジネス系の情報がXML化された未来を妄想したものとして、
「オープンな法体系(SF小説風)」
というものも過去に書いてますので、お暇な方はご覧ください。
「意味づけされたデータ」とGoogle
こうした「セマンティックな」データとしてよく引き合いに出される例として、商品の価格情報があります。
例えば、現在ネットで商売している人は、楽天(さん)に商品を掲載したり、カカクコム(さん)に情報を出したりして、トラフィックを呼び込んでいるわけです。つまり、ただホームページを作って待っていても客は誰も来てくれない。商品コードや価格情報タグ等が付されたメタなRSS等での「セマンティックな」データが配信されて、世界中すべての「ある商品」の価格等の情報が「横串」で突き刺して検索・比較できる状況を想定すれば、楽天・カカクコム・ヤフオク・eBay等のどこにモノが出品されているかに関係なく、消費者は全世界を文字通り「ひとつの市場」として利用することができるという、劇的な変化が想定されます。もちろん、RSS配信などで、(ほぼ)リアルタイムで情報を入手することも可能。
楽天・カカクコム・ヤフオク・eBayといったサイトは、そのような「透明な器」になるのは直接的には商売のマイナスになる(気がする)ので、少なくとも当初は対応したがらないはずですが、一度「しきい値」を超えると、そうした情報配信に対応していないと出店者の商売にマイナスなので、対応せざるを得なくなるはず。
話がそれますが、GoogleのAdSenseも単なる「広告」というよりは、こうしたモールやオークションの提供しているサービス(トラフィック誘導機能)を一部代替しているとも考えられますし、Googleの今後のポテンシャルを考える場合にも、「広告費」だけを上限として考える必然性はなくて、「モール」「オークション」「店舗コスト」「営業マンの人件費」等、ビジネスをするためのありとあらゆるコストやマーケット規模が分母になってくる可能性があるわけです。
(もちろん、そうした「メタな検索」での勝者がGoogleになると決まってるわけではありませんが。)
同様に、XBRLの普及は、投資家が現在、アナリスト情報や金融情報サービスに払っている代金の一部を、「単なる検索技術」が代替する可能性・・・でもありえます。
XMLのマーケティング
以上のように、XBRLは「コンピュータが読めるデータである」ことが本質であると考えると、東証さんの決算短信XBRLデータ試験公開サイト
http://www.tse.or.jp/listing/xbrl/top.html
は、その「真逆」になっているところが非常に面白いですね。
TSE_XBRL.jpg
トップページでは、まずflashの画像がチカチカ表示されますが、これは人間に対してもさることながら、「Google様」にとってはほとんど意味が無いデータ。続いて表示されるメニューも、なぜか英語のみ。おまけに、文字は全部「画像」で表示されてまして、ボタンの画像の「alt」タグも全部ブランクですから、コンピュータに全く読めないことはもちろん、視覚障害者の方々にも読めませんし、はたまた英語がわからない日本人にも、なんだかよくわからないメニューになってます。
もちろん、普及のターゲットはまずは「人間様」なのでしょうけど、ブログの成功を見ても、鍵は今や「コンピュータ様」にいかに理解してもらうかなので、こういう「徹底的に反SEO的なつくり」は、普及の妨げにはなってもプラスにはならないんじゃないかと思った次第です。(平たく言って、Googleで上位に表示されないのでは?)
XBRLから話がそれますが、(ブログの成功に習うなら)、一足飛びにXBRLを普及させようという大上段なアプローチよりは、例えば東証さんのTDnet情報をRSSで配信したりしたら、XML的投資情報普及のマーケティングとしてはものすごく大きなインパクトがあるんじゃないでしょうか。
例えばパソコンのスクリーンセーバーや常駐ソフトにRSSリーダーの機能が組み込まれていれば、投資家は自分の興味ある会社や業種の発表を「リアルタイム」に「直接」知ることができるわけですから、投資家層や金融ビジネス関係者に、RSSリーダー機能[を持ったスクリーンセーバーや常駐ソフト]が爆発的に普及するのはほぼ確実かと。
(追記:投資情報をRSS等でばら撒く場合、証取法上も情報の真贋が極めて重要な問題(風説の流布等)になりえますが、東証さんはすでにTDnetの開示情報に対するデジタル署名サービスをはじめてらっしゃいますし、技術的に簡単にクリアできる話だと思います。)
XBRLとかXMLのような「オープンな規格」を普及させるためには、まずは、利用者側の「マインド」を高めることや、周辺の「ツール」を作れる人の層を分厚くしておくことが重要なはず。一度、そうした層の厚さが「しきい値」に達したら、後はポジティブ・フィードバックで坂道を転げ落ちる岩のように普及が進む・・・はずです。
見る人が多ければ、開示する企業の側も(多少手間がかかっても)XBRLに対応するインセンティブも沸いてきます。また、ベースとしての「リーダー(reader)」が普及していれば(普及していてこそ)、追加的なタグ情報(つまりXBRL)の処理機能を載せるのはわけない、というもんじゃないかと。
そういう「web2.0っぽい」XBRLのマーケティング策はいかがかな、という思いつきでした。
(ではまた。)

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フォーシーズンズホテル椿山荘東京(連休モード)

連休最終日は、フォーシーズンズホテル椿山荘東京に宿泊。
やっぱ緑が多くて、落ち着きますなあ。
南北朝時代から椿で有名だったとのことで、明治時代に山縣有朋が手に入れた場所。
http://www.fourseasons-tokyo.com/garden/guide/history.html
非常に目立ちませんが、庭園に、伊藤若沖の下絵による五百羅漢(京都南伏見の某寺にあったものを移設)も20体あります。
(ちなみに、ここはインターネット接続無料。)
渋滞もなく飛行機の待ち時間もない、大変のんびりとできた3泊4日間でした。
(おしまい。)

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ホテルニューオータニ東京&若冲(連休モード)

ウェスティンは一泊だけで、次のホテルニューオータニに移動。
長期間同じホテルで過ごすてのは「欧米か!」ってな感じですが、わたしゃビンボーな日本人なので、同じ金を払うなら、いろんなところを楽しませていただきたいわけでして。
ニューオータニ(オフィス棟の「ガーデンコート」)は、以前、勤めていたことがある懐かしの場所なんですが、宿泊したことはなかったので この機会に。(泊まったのは「メイン館」で、もちろんガーデンコートに泊まったわけじゃないです。)
T052387_s.jpg
当時はバブルの絶頂期直後で、銀行系、生保系等、日本の金融機関系のテナントが占めてましたが、今や、オラクルさん、ボスコンさん等、テナントもほとんど入れ替わって時代の移り変わりを感じます。
私、入居時のパソコン&LANまわりの工事担当責任者だったんですが、それまで使っていた太さ1cmもある10base5のケーブルをやめて、パッチパネルで10base-TのLANを引いてみたりしました。
200人ほどの研究所員のパソコンを結んだだけだったんですが、アンガバンバスさん(だったかネットワンさんだったか)によると、民間では当時「日本最大のLAN」だとのこと。今では信じられないかも知れませんが、LANボードが1枚10万円もしたんじゃなかったっけな。
もちろん、”ラップトップ”パソコンにLANボードが入るわけもないので、トースターほどもある巨大外付けボックスを付けたりとか。NECのPC9801系では○に1、2・・・といった数字がちゃんとプリンタに出るのに、東芝だと外字のコードが違ってうまくプリントアウトできなくて怒られたりとか・・・。
(・・・じじいの昔話でした。)
−−−
さて、行ってから気づいたのですが、ニューオータニのメイン館では現在、100億円かけて「ハイブリッドホテルプロジェクト」というプロジェクトが進行中。
目的に、「新空調システムの導入、高度IT社会への対応」等とありますが、確かに、空調は部屋ごとの微妙な調節ができずに、温度をいくら低く設定しても、室温が27度以下に下がらない。客室係の人が来てくれて、「今、ちょうど移り変わりの時期でして、送風が暖房になっているので・・・」と恐縮してましたが、解決策は、「特殊な工具で窓を開ける」でした。
あと、インターネット接続(有料:2100円なり)はあるんですが、今どきのホテルでは必ずあるVOD(ビデオ・オン・デマンド)がないとか、確かに「高度IT社会への対応」が必要かも・・・知れません。
ただし、ホテルマンの練度は さすが。石ノ森章太郎の「ホテル」を見てるかのようであります。
料金も(上記のような事情のせいか)連休中にもかかわらずリーズナブル(ウェスティンの約半分)だったし、ステイを堪能させていただきました。
−−−
で、そのニューオータニで自転車を借りて、家族で早朝東宮御所一周の後、皇居を一周。(→紀尾井町ビル→FM東京から、皇居北回りで。)
今まで、皇居の周りを走ってるおっさんを見て、「何が楽しいのかねえ」と冷ややかな目で見てましたが、自転車で新緑の中を走るというのは、大変気持ちよござんすね。未だマラソンをする気にはなりませんが(というか、肉体の鍛え方的にちょっとムリ。)、チャリなら小学生でも楽勝で1周出来ます。
途中、大手門から城内に入って三の丸尚蔵館でやってる「花鳥−愛でる心、彩る技 <若冲を中心に>」を鑑賞。
jakuchu40-2.jpg
奥さんと長男は第1期を見てますが、私は見逃して、現在、第2期。会場が狭いせいか、9月まで5回に分けて展示される予定。
その後、奥さんと子供達はパレスホテル対面の噴水の公園で遊んで、私だけオフィスによって、ちょっくら仕事。
(面倒くさがらずに、9月までオフィスから三の丸尚蔵館まで歩いて見に行けばいいわけですな。)
その後再び合流して、桜田門→最高裁→赤坂見附交差点ときて、じゃんがらでラーメンを食って、ニューオータニに帰還。
(続く)

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東京都庭園美術館(連休モード)

ウェスティンからほど近い東京都庭園美術館に行って参りました。
teien.jpg
ホームページ
http://www.teien-art-museum.ne.jp/
によると、

東京都庭園美術館は朝香宮邸(朝香宮殿下は久邇宮家第8王子、妃殿下は明治天皇第8皇女)として1933年(昭和8年) に建てられた建物を、そのまま美術館として公開したものです。戦後の一時期、外務大臣・首相公邸、国の迎賓館などとして使われてきましたが、建設から半世紀後の1983年(昭和58年)10月 1日、美術館として新しく生まれかわりました。
 この建物は1920年代から1930年代にかけてヨーロッパの装飾美術を席巻したアール・デコ様式を 現在に伝えるものです。フランス人デザイナーが、主要部分を設計、内部装飾もフランスをはじめとする 外国から輸入されたものが多用されています。また基本設計と内装の一部は宮内省内匠寮[たくみりょう]の建築家が担当 し、アール・デコ様式に日本独特の感性を付け加えています。 当館は従来の美術館とは異なり、建物自体が美術品といえます。

ということで、戦後、吉田茂外相・首相の公邸としても利用されたもの。
同館に置いてあった「東京都庭園美術館ニュース」No.27[April22, 2006]によると、吉田首相の夫人亡き後に吉田氏を支えた三女和子氏曰く、

じつは陛下から、「朝香宮のところから借りてやってくれないか」とのご依頼があってのことだったという事情を、当時の秘書官から聞いています。

とのことで、当時、朝香宮家をはじめ各宮家は昭和22年3月までの期限で財産税の納付を迫られて事情があっての経緯とのことです。
−−−
さて、建物と庭園もすばらしかったのですが、入り口脇に新しく出来たカフェ「酒洒(サーシャ)」が、なかなかよござんした。
運営を「金田中」がやっていて、食事が非常に淡泊かつ繊細な味わいの和食で、行列が出来てましたね。大変、おいしゅうございました。(岸朝子調)
(ではまた。)

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ウェスティン(連休モード)

連休を利用して、ホテル新御三家の中で唯一泊まったことのなかった恵比寿のウェスティンホテル東京に宿泊。
地方や海外に行ったところで、混んでて交通費もかかって疲れるだけですし、子供はどうせベッドの間をピョンピョン跳ねて回るだけなので、都心のちょっといいホテルに泊まるのが、交通費まで含めたトータル・コストは安くて非日常感もあるかと。
以前

で、通信環境ですが、なんと部屋にLANケーブルを置いていない。しかも、インターネット有料ですと。
思うに、映画のペイパービューやルームサービスのように、ホテルにとって変動費が発生するものは、高い料金をチャージされても「ま、しゃあないか」という気になりますが、例えば地上波のテレビを見るのにお金が取られるとしたら、場末のビジネスホテルみたいですよね?

てなことを書きましたが、ウェスティンもインターネット接続は有料でありました。
もしかしたら、インターネット接続というのは、(もちろん、できる人は何の問題もなくつなげるわけですが)、「設定がDHCPなんたら」と言われても、わからない人は「わからん!」という問い合わせの頻度が高かったりして、ホテルにとっては固定費的というよりは、変動費的サービスの要素が強いのかも、と思ったりしました。
夜は、一家で、
penguin.jpg
皇帝ペンギン

のペイパービューを鑑賞。
(これは、DVDを買って聞き込めば、フランス語のいい教材になるかも。)
しかし、フランス人が作ると、ペンギンの生態が大変、哲学的になりますなあ。
これをもしフジテレビ(さん)が作ったら、まったく違う作品になるに違いない(笑)、と思いました。
(ではまた。)

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村上開新堂(連休モード)

自宅に来た親戚に、村上開新堂のクッキーを頂きまして。
このお店、ホームページによると、

明治3年(1870)。洋式接待も急務となり、宮内省大膳所(お食事係)に勤めていた村上光保(みつやす)は横浜外人居留地に派遣され、3年間、フランス人サミュエル・ペール氏からフランス菓子を学ぶことになりました。その後大膳職に復職。明治7年(1874)に、麹町山元町(現在の千代田区麹町)に村上開新堂を創業いたしました。

という、大変由緒のあるお店とのことですが、

当店は創業以来手作りを続けておりますため、一日に出来ます量が非常に限られております。そのため、ご紹介いただいた方にのみ、ご予約にてご用意させていただいております。皆様には大変ご不便をおかけいたしますが、初めてご注文されるお客様は、当店をご利用いただいております方からご紹介をいただき、お名前をご登録いただいた後にご予約を承っております。

ということで、一見さんでは購入すらできない、というシロモノ。(あまりそういった世界に縁がないもので、このお店の名前もついぞ存じませんでした。)
クッキーなので、それほどロス率が高いとも思えず、完全予約制というのが、お金儲け上は合理性があるというわけでもなさそうで、単にリスクを負ってまで規模を拡大したくないということか、はたまたクオリティを守るために、そういう体制が必要ということなのか。
(追記:googleでもひっかからない、というようなことを書きましたが、漢字が「開進堂」と間違っておりました。大変失礼しました。)
(ご参考まで。)

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