« 2009年8月 | メイン | 2009年10月 »

September 29, 2009

亀井大臣の「モラトリアム」は実はあんまり使われないんじゃないか?

【13:27:追記あり】

マスコミでもネットでも、亀井静香金融相が提唱している中小企業向け融資や個人向け住宅ローンの返済を3年程度猶予する「モラトリアム法案」が話題になっていて、金融がよくわかっている方ほど、「そんなことしたら、日本は大変なことになる!」と心配されているようです。

まだ法案の内容が固まったわけでもないと思いますが、この制度を、「申請すれば誰でも返済の猶予が受けられる制度」と仮定し、「中小企業」「金融機関」等の間でどのようなコミュニケーションが行われ、ゲーム理論的に、それぞれがどのように行動するかを考えてみると、仮に導入されたとしても、利用する企業は限られ、心配するほどの経済への影響はないることになるのではないかという気がします。

以下、TwitterやMixi上で行わせていただいた議論も参考にしながら、こうしたコミュニケーションと行動について考えてみたいと思います。

 

1.金融機関との付き合いは「繰り返しゲーム」

この制度を憂う金融界の人たちも亀井大臣も、おそらく、
「モラトリアムというのは中小企業にとってメリットだから、そんな制度ができたら、みんなパッと飛びつくだろう」
と思われているんじゃないかと思います。

ところが、話はそう単純じゃありません。

消費者金融の過払金の例が参考になるのではないかと思いますが、そもそも、もともと法律では法定利息を超える部分は法的に無効で支払う必要がなかったわけです。
それなのになぜ消費者が支払いを行って来たかというと、もちろん無知もあるでしょうけど、
「消費者金融業者が嫌がるのはわかり切っているので交渉するのが面倒」
であり、加えて何よりも、
「そんなことしたら、二度と消費者金融業者から貸してもらえなくなるのでは?」
という心配をしたからだと思います。

いわんや、中小企業は、より金融機関との関係は深い。

このモラトリアム制度は、企業の継続を前提にすれば金融機関と企業との間の「繰り返しゲーム」の一部です。

つまり、「うちはまだ先がある」と思う企業は、金融機関の意向に沿って協力的な行動をする必要が出てきますし、「オレの会社、もう先がない」という企業については、「1回限りのゲーム」として、金融機関と中小企業は「非協力」になりえます。

結局、この制度は「本来淘汰されるはずの悪い会社」を助ける制度になってしまう危険性が高いかと思います。

 

2.「モラトリアム制度利用」は「経営不振」のサイン

この「モラトリアム制度の適用を申請をした」という事実は、明らかに「ダメな企業」のサインです。

また、金融機関にとっても、このモラトリアム制度利用企業への貸付けがどのくらいあるかというのは、金融機関経営の不良度を図る指標になってしまいかねません。

普及の可能性があるとすれば、多くの人が使っている事実が広く知れ渡って「みんなで渡れば怖くない」ということになるケースです。しかし、中小企業は制度を使った事実を必死で隠そうとするはずですし、金融機関も、どの程度の企業がこれを利用したかは個別には開示できないはずです。

つまり、この制度を普及するにあたっては、「他の人がどう行動するか」というのが重要になり、利用が少なければますます利用したくない度合いが高まるので、しきい値(キャズム)を超えるのが非常に大変で、ことは「線形」には進まないのではないかと思います。

 

200909291029.jpg

このモラトリアム制度は、金融機関と中小企業の1対1の「ゲーム」ではなく、多数の中小企業や金融機関、取引先などが情報交換を行いながら進められるゲームであるはずです。

このため、制度の利用が広まるためには「他の人も利用している」という情報が伝わる必要があるわけで、このコミュニケーション・プロセスがどのようなものになるかを想定する必要があります。

 

亀井大臣及び鳩山政権に都合がよく、普及も広まるのは、「亀井大臣のおかげで会社が助かりました!」という笑顔の経営者がテレビに登場することだと思います。

しかし、金融機関の広報的な立場から考えると、テレビの画面に「銀行の窓口にモラトリアムの利用を相談に来る中小企業が増えています」といった画像が流れることは避けたいはず。

中小企業側もそうです。
日本人は借入をするだけで「恥」という傾向が強いのに、ましてやそれを返せないなんてのは「恥」もいいとこなわけでして、普通はテレビなんかに顔を出したくは無いわけです。
過払金返還訴訟でも、弁護士さんはテレビに登場しても、「弁護士さんのおかげで助かりました!」という笑顔の債務者がテレビに登場するというのはあまり見たこと無いかと思います。

このため、仮にこの制度を利用した経営者がテレビで取材されるにしても、顔を隠して「経営が苦しくてねー、今回モラトリアム制度を使わせてもらいましたわー」という音声を変えた映像だけになるでしょう。
つまり、 「ああはなりたくない」というネガティブなサインになってしまうわけですね。

結局、この制度は仮に導入できたにしても、鳩山政権のイメージにプラスに働くことは難しいのではないかと思います。

同様に、関係者間で利用状況の情報が流通することは極力抑制されるため、「他がやるならオレも」というポジティブ・フィードバック・プロセスが働くほどの情報の流通はなかなか発生しにくいことになるのではないかと思います。

 

3.予想される金融機関側の対応

金融機関は、この制度に対していったいどのように行動するでしょうか。

もちろん、監督官庁の検査もあるので、制度を利用した中小企業にあからさまにイヤがらせをするということはないでしょうし、銀行員にいくら聞いても「制度を利用したからといって不利な扱いを受けるということはないです(が)」と言うに決まってます。

一方、テレビ局や新聞社は、今、経営が深刻な状況に陥ってますから、よほど社会正義に反するのが明確な証拠でもない限り、大口の広告主である金融機関に嫌われるような報道は行いにくい状況にあるかと思います。
「貸しはがし」といった行為は、おそらくは確実に全国で行われているのでしょうけど、具体的な案件についてのマスコミでの報道は低調だと思います。 銀行員もバブル崩壊以降20年近くもそういった「社会批判を浴びないようにしつつ、債権を"健全"に保つ」ことをやってきたわけですから。

開示されるデータはどうでしょう?

仮にこの法案が通った場合、モラトリアム制度を使う場合には、「金融の○○に関する○○の法律第○条に関わる申請書」的な様式を作成して、その制度を利用した企業の債権が区分され、利用がどの程度行われたかの情報を当局に報告するようにするはずです。

すると、金融機関としては何を考えるか。

このモラトリアム制度の利用比率が高いことは、不良債権度が高いシグナルになってしまう可能性が高いわけですが、当局のメンツも考えると制度の利用がゼロというのも明らかにまずい。

このため、頭のいい銀行員は、相談に来た中小企業に対して以下のように行動するはずです。

A.モラトリアム制度を適用するほどでない優良な企業に対しては、「この制度を使ったら、後々ろくなことにならないかも知れませんよ」という趣旨のことを、あうんの呼吸で伝える。

B.見込みはまだあるが、確かに今までの返済スケジュールではキツいという企業に対しては、モラトリアム制度を利用するのではなく、合理的な経営改善計画を建てた上で、金融機関・中小企業双方の合意によって、返済スケジュールを変更する。

C. 「もう先が無い」と思われる企業についてはモラトリアム制度を使わせる。
(法律では、経営改善については求められないんでしょうか??「返済を猶予する代わりに雇用をカット」なんて法案が通るとも思えませんので、求められないのかも知れません。)

つまり、ダメな企業を「人身御供」としてモラトリアム制度に組み込むが、全体のモラトリアム制度貸付金の比率は、「ゼロではないが、金融機関の経営状況が悪化しているというサインにはならない程度」の比率に抑えようとするはず。

モラトリアム制度を利用した企業が破綻した場合に、政府からの金融機関に対する補助がどうなるかまだわかりませんが、単に元本返済が滞る分の資金を政府が貸すだけ(元本回収できなかったら銀行の損失)なら、金融機関にはモラトリアム制度の比率を高めるインセンティブは働かないし、元本の損失について政府が補填するような制度であれば、モラルハザードが発生して、金融機関はダメ企業を中心にモラトリアム制度に放り込むことになると思います。

 

4.中小企業間でのコミュニケーション・プロセス

「あの企業、モラトリアム制度の適用を受けたらしいよ」という情報は、今後の銀行取引やその他の取引先との取引にも悪影響を及ぼしかねません。

この情報を聞きつけた取引先から、「支払を早めてくれ」「現金でないと取引に応じられない」といった支払条件の悪化を突きつけられたら、モラトリアム制度を利用したおかげでかえって資金繰りが悪くなることも考えられるわけです。

もちろん、モラトリアム制度がネガティブなサインになってしまった場合、その制度を利用した企業に、金融機関が追加で融資してくれる可能性も減るでしょう。

こんな事例もあるそうです。)


事業というのはいくらでもケチの付けようはあるので、「制度を利用した企業への差別」でなく、いろんなもっともらしい理由で「今回は審査が通りませんでした」と言うのは簡単だからです。

さらに、利用の足踏みは、金融機関がモラトリアム制度利用者に実際に差別的な扱いをせずとも、中小企業側が、金融機関や取引先にそういう扱いを受ける可能性があると考えるだけで十分なわけです。

また、どの企業が適用を受けたかという情報は、極秘中の極秘情報として扱われ、情報は金融機関の手中にしかないわけですから、相談に行った企業は「あまり他の企業ではご利用がないんですよねー」といった銀行員からの情報しか判断材料がなくなります。
このため、前述のような「みんなで渡れば怖く無い」というポジティブ・フィードバックも発生しにくいことになります。

 

こうした状況は、地域や業種によっても異なるでしょうね。

地方のように濃密なコミュニティが形成されているところでは、金融機関と中小企業のあうんの呼吸も通じやすいでしょうし、中小企業間のウワサ話も伝わりやすく、モラトリアム制度の利用はやめとこうという力が働く気がします。

一方、業界や地域でコミュニティが形成されていないような東京等の大都市で、業者との付き合いもドライな業態では、後先考えずに「モラトリアムってやつを使いたいんですけどー」という中小企業の比率は増えるかも知れません。でも、そういう後先考えずに制度に飛びつくような経営者というのは、いずれにせよあまり将来性も無いような気もします。

 

以上のように、この亀井大臣が提唱するモラトリアム制度は、制度の趣旨に反して、金融機関や中小企業のメリットにするのが難しいとは思いますが、一方で、一部の識者の方が心配されるほど、広範に利用されることもない日本経済に何か大きな影響が出る制度でもないような気もします。

【追記:コメント欄で47thさんにコメントいただきましたが、確かに、この制度の導入によって、本来貸付けを受けられるはずだった中小企業等が貸付けを受けられなくなる可能性はあるので、日本経済に影響が無いというのはミスリーディングでした。
修正させていただきます。
こうした法案が導入された場合、マクロでどれだけの企業が影響を受けたかは、観測しようがないのではないかと思います。形式上は、「適正な審査」によって貸せなかったということになるからです。】 

(ではまた。)

 


[PR]

話題になっている企業や経済現象をデータで分析する、有料メールマガジン
週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月 申込月無料)。

購読お申し込みはこちらから。
今月のバックナンバーは、申し込むと自動的に送られて来ます。

(先月以前のバックナンバーもこちらから購入していただけます。)

September 28, 2009

週刊isologue(第26号)日本航空(JAL)はどうなっていくのか?

今週の週刊isologueは、再建の行方が話題になっている日本航空(JAL)について考えてみます。


200909282216.jpg

この問題、政府、債権者、株主、組合、取引先、顧客などとの関係が非常に複雑ですが、主に財務的な観点からどのような可能性があるかを整理してみたいと思います。

目次:

  • JALの貸借対照表を読み解く際の注意点
  • 年金の「積み立て不足額」の読み方
  • リース会計の読み方
  • (おまけ)なぜ、飛行機の型式は少ないのか?
  • ANAとの貸借対照表の比較
  • 労働組合の存在
  • JALとANAの損益構造の違い?
  • 財務的に見たJALの選択肢

 

ご興味のある方は、下記からお申し込みください。

(ではまた。)

 


[PR]

話題になっている企業や経済現象をデータで分析する、有料メールマガジン
週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月 申込月無料)。

購読お申し込みはこちらから。
今月のバックナンバーは、申し込むと自動的に送られて来ます。

(先月以前のバックナンバーもこちらから購入していただけます。)

September 24, 2009

週刊isologue(第25号)暗号とビジネス

「シルバーウィーク」の真っただ中なので、今回は軽め(?)な話題として「暗号とビジネス」について考えてみます。

---

暗号は、古代から最近まで、極めて特殊な技術であったわけですが、インターネットが発達した今、一般の人にとっても非常に身近で、かつ重要な存在になっています。

また暗号は、単なるややこしい技術の話にとどまらない気がします。

暗号に限らず、古代から現代に至るまで、人類の歴史の中のほとんどでは、「肝心な情報は一部の者だけで隠し持つ」ことによって公共の安全や自分の立場を保とうとしてきましたが、インターネットは非常に「オープン」で「隠さない」ことを基本理念とする世界です。

こうした究極にオープンな世界で、どのように情報のセキュリティや信用が保たれているか、それを使ったビジネスがどういった挙動を示すのかについて考えることは、オープン化が進む現在の日本社会への示唆が含まれているのではないかと思います。

 

・・・ということで、今週の目次&キーワードは、

  • なぜ、未だにみんなメールを暗号化せずに使っているのか?
  • なぜ「暗号」が重要なのか?
  • 情報通信に関する危険
  • 「鍵配送」のコスト
  • 「エニグマ」とイギリスの数学者アラン・チューリング
  • 「オープンな」暗号方式
  • 公開鍵暗号と電子署名
  • この夏公開された映画「サマーウォーズ」と暗号
  • 誰が誰を認証するかー「認証機関」と「信用の輪」
  • 階層型ネットワーク、分散型ネットワーク

といった感じになります。

 

ご興味のある方は、下記からお申し込みください。

(ではまた。)

 


[PR]

話題になっている企業や経済現象をデータで分析する、有料メールマガジン
週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月 申込月無料)。

購読お申し込みはこちらから。
今月のバックナンバーは、申し込むと自動的に送られて来ます。

(先月以前のバックナンバーもこちらから購入していただけます。)

September 20, 2009

twitterのフォロアー3000人突破

最近、twitterにハマっておりまして、ブログの更新が少なくてすみません。

twitterを8月5日から始めたのですが、先ほど、おかげさまでフォロアー(私のtwitter上での発言を見てくれてる人)の数が3000人を越しました。

これは、決してノロくもないけど、誰もが知ってる有名人のフォロアー数の伸びに比べると、あんまり速くもない感じ。

twitter日本ランキングでは、日本100位の人が3500人くらいですから、まだ100位入りはちょっと先ですね。

私がフォローしている人の発言(タイムライン=TL)は、IFRSなど会計方面の話、監査法人の財務状況、不動産バブル崩壊後の弁護士マーケットの状況、通信政策系の話(FCCやWillcom等)、金融系の話(アイフル等)、セキュリティ(暗号・認証系)の話、古川氏のマイクロソフト伝説集の他、新聞・テレビ各社やIT系情報サイトなどからの情報があり、個人的にはかなり満足度が高い情報が得られてます。

twitterは、ちょっと覗いてみるだけでは、文脈がつかめず何をしゃべっているのかがわからないので、あまり面白さを感じないかも知れません。「外から見る」のと、「中にどっぷり浸かる」のとで景色が違って見える、というところがtwitterの面白いところ。

また、twitterはフォローする先を自分の欲しい情報を発信してくれる人に「チューン」できるので、そういうチューンをできる人には面白いかと思います。
よく、「日本人は、バラバラのメニューから前菜、肉料理、魚料理・・・と好きなものを個別に選ぶのができない」「A定食、B定食、と決められてないと選べない」と言われますが、 twitterはそういう意味では「西欧型メニュー」的です。
(日本のtwitterだけなのかも知れませんが)、twitterのアカウントを作る際に、「オススメ定食」風にアカウント一覧がありまして、この方々の会話ややりとりを見ているだけで、なんとなく感じはつかめるかと思います。

ただ、私は、この「お勧め」の方々をほとんど存じているので興味もあるのですが、人によっては自分のジャンルとずれていると感じる方もいらっしゃると思いますので、慣れて来たら自分が興味ない人はフォローを外すなりチューンしないと、「ノイズ」ばかりでtwitterの面白さはわからないかも知れません。

twitterにハマってくると、日本で最もイケてる人達と共同生活している感じ、というか、同じフロアでいっしょに仕事して、横の人に「これ、どういうこと?」と聞いたり、雑談したり、いっしょに休暇で遊びに行った面白さを共有したり、といった感覚も味わえるかと思います。

また、twitterをやり始めてからは、自分が最も興味のある話を誰かが教えてくれるようになっちゃったので、大変残念なことに、新聞やテレビを見ても、twitterで聞いてすでに知ってる情報しかなくなってしまいました。
オフコース風に言うと「♪君が、小さく見える」と、悲しい別れが迫ってるのを感じます。

しかし一方で、twitterは「情報発信されてから2分がピーク」という非常にリアルタイムなメディアなので、昼間の時間が自由にならないサラリーマンの方などが夜にまとめて読んでもあまり面白く無いんじゃないかと思います。
このため、日本でtwitterが面白いと感じる人は、会社社長や学者、自営業者、ニート等、自分で時間を主体的にコントロールできて、いつでも情報が受発信できるような人を中心に、50万人から100万人くらいじゃないかなあ、と思ってます。

以上、ご参考まで。

もしご興味があれば、

http://twitter.com/

でアカウントを作って(1分で作れます)、「isologue」をフォローしていただければ幸いです。 

 

(ではまた。)

 


[PR]

話題になっている企業や経済現象をデータで分析する、有料メールマガジン
週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月 申込月無料)。

購読お申し込みはこちらから。
今月のバックナンバーは、申し込むと自動的に送られて来ます。

(先月以前のバックナンバーもこちらから購入していただけます。)

September 16, 2009

Bengo! (ベンゴ)

先日、法律事務所オーセンス弁護士ドットコムを経営されている元榮 太一郎弁護士からいただいたマンガ「Bengo!」

 

 

体育会系カタブツ弁護士・若林航大とアメリカ帰りの茶髪のチャラ男・松下弁悟。『ドラゴンボール』をこよなく愛する二人がコンサバティブな日本の法廷に新風を巻き起こす!! 裁判員時代に贈る最強弁護士ロマン!!

 

このマンガ、いわゆる「弁護士マンガ」ではあるのですが、「あえて法律論を中心に据えず、ドラマ中心」にしている、とのこと。(スーパージャンプに連載中だそうです。スーパージャンプ、読んだことないですが。)

 

確かに、他の法律系マンガは、実際の事件や法律のウンチクが真ん中にあって、その周りにドラマを肉付けしていく感じのものが多い気がしますが、このマンガは、「あえて、法律よりもドラマを中心」にして「裁判のシーンなど、弁護士から見ると『微妙に現実とは違うんじゃないの』とツッコミどころ満載にはなってます」が、「あえてそうしている」とのことで、今まで、法律マンガなど読まない層の人たちに法律にアクセスしてもらいたい、とのことです。

 

いただいて一気に読みましたが、確かにすごくマンガとして面白い。

(著者の きたがわ翔 さんは、私も好きな絵柄のマンガ家さんの一人で、以前モーニングに連載していた「刑事が一匹」

 

刑事が一匹… 1 牙の女王 起の巻 (モーニングKC)
きたがわ 翔
講談社
おすすめ度の平均: 5.0
5 めずらしく。
5 圧巻!!

 

も、ちょっと変わった刑事ドラマでおもしろかった。)

 

元榮弁護士とは、弁護士界の現状や「過払い金返還訴訟バブル」後の弁護士マーケットがどうなるか、といったお話ができたのですが、世界の弁護士法の改正の動向や、世界戦略、メディア展開までいろいろ考えられていて、しかも、ビジネス的な観点からも非常に面白く「熱い」ので、面白かったです。

ぜひ、一家に一冊!・・・と言いたいところですが、青年誌のマンガなので、最初の数ページ目からいきなり小さなお子さんにはあまり見せられないシーンも登場しますので、ご注意を。:-)

 

(ではまた。)

  

ご参考:スペシャル対談!「BENGO!」漫画家 きたがわ翔さん & 弁護士ドットコム代表 元榮太一郎
http://www.bengo4.com/feature/bengo/bengo-interview1

 


[PR]

話題になっている企業や経済現象をデータで分析する、有料メールマガジン
週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月 申込月無料)。

購読お申し込みはこちらから。
今月のバックナンバーは、申し込むと自動的に送られて来ます。

(先月以前のバックナンバーもこちらから購入していただけます。)

September 15, 2009

週刊isologue(第24号)「紙メディアの無い世界」の覇者は誰か?(後編)

前回・今回の「週刊isologue」では、「紙メディアの無い世界」の覇者は誰か?として、新聞・雑誌・書籍等の近未来がどうなっていくのかについて考えております。

前回は、まず現状の足元として、新聞社や出版社の業績がどうなっているかのおさらいをいたしました。

今回は、この現状が、近未来の「紙メディアの無い世界」にどう繋がって行くのか、そのシナリオについて考えてみたいと思います。

(ちなみに、タイトルの「紙メディアの無い世界」というのは、「ポスト"紙メディア"の世界」へは、どのようにたどり着くのか?ということを象徴的に表現してみたものですが、日本中の紙や紙メディアがゼロになることを想定しているわけではありません。念のため。)

---
先週の前編は、いろいろデータの下調べや仮説を固めることに終始していたのですが、twitterで@maneosenooさんに、
「ちょっと物足りない、早く後編が読みたい」
という趣旨:-)のコメントをいただいたので、「後編も物足りなかった」と言われないように、週末から月曜にかけてゴリゴリ書いていたら、印刷して21ページもの大作になってしまいました...。

今週は、@maneosenooさんに、

今週のisologue面白し。ポスト紙メディアの覇者を大胆予想!!覇権を握るのはズバリ・・・続きは週刊isologueで(笑)

と、気に入っていただけたようでよかったです。:-)

 

・・・・ということで、今週の目次&キーワードは、

  • 紙メディアのV字回復はあるのか?
  • 変化は直線的には起こらない
  • 「継続企業の前提」とは?
  • 新聞各社の資産構成と純資産、有利子負債
  • リストラはできるのか?
  • そもそも、なぜ新聞・雑誌・書籍は読まれるのか?
  • 「プラットフォーム」とネットワーク外部性
  • 「覇者」は誰か?(IBM ORCL HPQ DELL MSFT SONY GOOG APPL EBAY AMZN YHOO??)

等になります。

 

ご興味のある方は、下記からお申し込みください。

よろしくお願いいたします。


(ではまた。)

 


[PR]

話題になっている企業や経済現象をデータで分析する、有料メールマガジン
週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月 申込月無料)。

購読お申し込みはこちらから。
今月のバックナンバーは、申し込むと自動的に送られて来ます。

(先月以前のバックナンバーもこちらから購入していただけます。)

September 8, 2009

エヴァとコーポレートガバナンス

Twitterで@mikeexpoさんから(一見あほですが重要な)ご質問をいただきましたので、回答させていただきます。

mikeexpo :先生、エヴァと監査の関係はいかが考えればよろしいですか?

 

統治を行う機関(株主総会、取締役会等)は「ゼーレ(=[独] Seele、魂)」という言葉に端的に表されるように、それ自体は現実世界に直接働きかける手段を持っていません。

このため、統治機関は、代表取締役・代表執行役などの代表機関(碇ゲンドウ)に対して委任を行い、委任された代表機関が組織を代表して実際の業務を行うわけです。

しかし、このとき、委任者と受任者の利益は、必ずしも一致するとは限りません。(エージェンシー問題。)

このため、受任者の行動が委任者の意図するところと一致しているかどうかを監査する第三者(加持リョウジ)の存在が必要になってきます。

以上が、監査が必要な理由です。

このため、監査において最も重要な点の一つは、監査を行う者が、監査対象である受任者から精神的(及び外観的)に独立しているかどうかであり(「独立性」)、監査を行う者を選定する場合には、その点に十分、注意する必要があります。(「冬月」事件、等。)

---

以上のように、エヴァをきちんと学べば、コーポレートガバナンスや監査について正しく理解することができます。:-)

 

(ではまた。)

 

 


[PR]

話題になっている企業や経済現象をデータで分析する、有料メールマガジン
週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月 申込月無料)。

購読お申し込みはこちらから。
今月のバックナンバーは、申し込むと自動的に送られて来ます。

(先月以前のバックナンバーもこちらから購入していただけます。)

September 7, 2009

週刊isologue(第23号)「紙メディアの無い世界」の覇者は誰か?(前編)

今週と次週の有料メルマガ「週刊isologue」は、「紙メディアの未来」のお話です。
今週は、近未来の紙メディアがどうなるのかを考察する前提として、日本の新聞社、特に、先週半期決算が報告されたばかりの日本経済新聞社の決算と、出版大手3社、集英社・講談社・小学館の業績の「厳しい」現状について、見てみたいと思います。

 

200909072034.jpg

 

世界中で、新聞社の業績の悪化が伝えられています。また、出版社の業績もよくありません。テレビやラジオなど電波のメディアも調子は良く無いですが、「紙」のメディアも衰退の危機にさらされています。

2年前に「紙メディアが無くなる」なんて言ったら、「お前はパソコンばっかり使ってるからそういう妄想に取り付かれるのであって、実際には紙が好きな人の方が多いんだから、紙メディアがなくなるわけないじゃないか」と「オタク扱い」されたもんでした。

しかし、最近の都会では、電車の中で新聞・雑誌・書籍を読んでいる人を、ほとんど見かけなくなってきたのではないかと思います。代わって今や、電車の中や鉄道のホームは、携帯電話、PSP、Nintendo DS、iPhoneといった「ガジェット」の画面を見つめる人であふれています。

さらに、アメリカでは、携帯電話のような小さい画面ではなく、もっと画面が大きく新聞や雑誌・書籍を読むのに適した「電子ブック」も姿を見せ始めています。ECのアマゾンが「キンドル(Kindle)」を発売し、ソニーも電子ブックの新機種の構想を発表しました。

またアップルのiPhoneでは、既に各種の新聞や書籍が読めるサービスが利用できますが、9月以降に、より画面の大きな「タブレット」の新製品が発表されると噂されています。

 

中世に「紙」というメディアが生まれ、グーテンベルクが1445年頃に活版印刷技術を発明して以来、つい最近まで数百年間の間、人間の社会は情報のやりとりを「紙」に大きく依存してきました。

確かに紙は、安価で携帯性にも優れています。しかし一方で、コンピュータやインターネットが発達した今、紙のデメリットも目立って来ました。

紙媒体はまず、インタラクティブではありません。
携帯のメールやゲーム等に惹き付けられるのは、利用者のアクションに合わせて「反応」が返って来るところではないかと思います。
もう少しカッコよくネット系の言い方をすると、そこには単なる「情報」ではなく「エクスペリエンス」があるわけです。
会ったこともない教養あふれる知識人が書いた文章よりも、知り合いから来た他愛も無いメールを読んだり知り合いの日記にコメントする方が、一般の人を引きつけるということかも知れません。

また、紙は、タイムリー性がありません。
一度印刷すると変更がききませんので、印刷する前の編集に時間をかける必要があるし、それを印刷して、物理的に配送しなければならないわけです。

コスト上も紙は不利です。
インターネットでは、新聞1部程度の情報を世界のどこに送っても、今やほとんどコストはかからなくなっています。ところが、紙だと送るのに費用がかかるわけです。

経営の観点から考えてみても、紙は大変です。
ネットではほとんどコストをかけずに情報が送れるため、ネットで情報を配信するのはあまりマネジメントのスキルが無くてもできてしまう場合も多い。しかし、紙という媒体を利用する場合はそうもいきません。
見込み生産をしなければならず、「在庫」も発生しますし、「返品」のリスクもあるのに加えて、物を出荷したり入金したりといったタイミングが大きくズレてくるため、資金繰り、在庫管理、棚卸し、万引き防止など、経営管理のノウハウを持っていることが重要になってきます。

また、特に、新聞のように、短い時間に極めて大量の家庭や職場に速報性のある情報を届けなければいけないものの場合、印刷設備の投資も巨額になります。
今やブログのサービスを利用すれば、誰でも情報が発信できるのに対し、新聞業を営むのには、資金的にも経営ノウハウ的にも極めて大きな参入障壁が存在しているわけです。

加えて「エコ」が叫ばれる昨今、原料に大量の木材を必要とする紙は、肩身が狭くなりつつあります。新聞・雑誌は1部・1冊なら携帯性に優れていますが、たくさん溜まると非常に重くなり、高齢化する社会では運んだりゴミに出したりするのも一苦労な存在になってしまっています。

こうなると、10年後20年後に、世の中で「紙」というメディアが使われているのかどうか、大きな疑問がでてきます。
さらに、2年前には現在のように紙メディアが凋落する姿は予想できなかった人が大半でしょうから、もしかしたら、10年20年と言わず、わずか2年後くらいには、「紙の次のメディア」の姿が誰の目にも明らかになっているかも知れません。

このため、今回と次回では、こうした「ポスト"紙"」への変化がどのように進むのかを考えてみたいと思います。

もちろん「週刊isologue」ですので、CPUの性能がうんぬんという技術的観点というより、財務やビジネスモデルの切り口から、どういう「未来」が来るのかを考えてみたいと思います。

 

・・・・ということで、今週の目次&キーワードは、

  • 大手新聞社財務状況の概要
  • 日本経済新聞社の連結赤字転落
  • 集英社・講談社・小学館の業績推移

等になります。

 

ご興味のある方は、下記からお申し込みください。

よろしくお願いいたします。


(ではまた。)

 


[PR]

話題になっている企業や経済現象をデータで分析する、有料メールマガジン
週刊isologue(毎週月曜日発行840円/月 申込月無料)。

購読お申し込みはこちらから。
今月のバックナンバーは、申し込むと自動的に送られて来ます。

(先月以前のバックナンバーもこちらから購入していただけます。)

September 6, 2009

池永朝昭弁護士のブログでのご意見について:その2

池永朝昭弁護士のブログのシリーズ(その1その2)でご意見をいただいておりますので、それにお答えしていきたいと思います。

まず、昨日いただいた「その2」でこう言っていただいております。

磯崎氏がご指摘のとおり、磯崎氏自身も守秘義務があり、その範囲でご自身の意見を書かれることは大変難しい側面があり、私としてもそれを認識しております。
そのような困難な状況で磯崎氏が再度ご意見を発表されたことについては大きな敬意を表するとともに、私としても守秘義務からくる意見表明の限界を考慮し、論評するにあたっても、前回のエントリーでも書いたとおり、慎重な配慮と公正さに努めるものであります。

 

どうもありがとうございます。ご理解いただけて助かります。

 

目的は「偏りのない理解」です

同じく「その2」において、以下のようにおっしゃってます。

ただ、一点指摘しておきたいのは、磯崎氏の意図が「特別調査委員会の調査報告書に「反論」することが目的ではなく、辞任の経緯をご説明し、投資家のみなさま等のご理解を深めるための情報を提供することが目的になる」と言う点にあるとはいっても、特別調査委員会の認定事実に対して、「この調査報告書には、上述のような誤解を招きかねない面が多数あると言わざるを得ません。」という言い方になる(あるいはならざるを得ない)以上は、その実質が反論であることは否定しようがないということです。

 

「反論」という言葉には、相手と争い反対のことを言って相手を否定するというニュアンスがあると思います。池永先生のブログの記事にも、「特別調査委員会v前社外取締役」と、両者が裁判で争うかのようなタイトルを付けていただいており、池永先生が第三者として公正な判断をする「裁判官」役を買って出ていただいているのではないかと思いますが、私は、特別調査委員会を論破したいとか、調査報告書の存在を否定したいというわけではなく、私も独立な立場から、特定の立場に偏らない理解が世間に広まることを望んでいるだけです。

私は、この調査報告書には傾聴に値するメッセージが大いに含まれていると考えております。
しかし、この調査報告書はいくつか特徴的な手法;

  • 独立性の確保を重視した結果、報告書の作成にあたって、会社側と内容の擦り合わせを一切行わず、事実誤認の発生が避けられないしくみを、あえて採用していること、
  • 大胆に主観的な推察を取り入れていること、

などから、そのまま一般の方が読まれると、非常に誤解を招きやすいのです。

 

このため、これを社内の意識改革用に利用したり、当局や親銀行向けの報告のベースとして利用するのであれば、大きな問題にはならなかったわけですが、同社がこの調査報告書の全文を説明を加えずにそのまま公開してしまったことで、(私がブログの記事を書く前から)、雑誌、新聞の記事や法律専門家の間にも、「この調査報告書の論理は飛躍しているのではないか」「主観的に過ぎるのではないか」といった批判が出ており、結果として、調査報告書自体の信頼性を損ない、特別調査委員会の皆様にもご迷惑がかかる結果になってしまっているのではないかと思います。

もちろん、こうした手法をとられた以上、特別調査委員会の方々は、そうした批判が出ることは覚悟された上かもしれませんが、池永先生がおっしゃるように、守秘義務もありますので、特別調査委員会はそうした言説に反論するのは容易ではないわけです。このため、私も、できるかぎり中立で公正な立場から、コメントをさせていただければと考えております。

 

調査報告書のスタイルに関わる経緯

この種の調査報告書においては、調査した事実を一つ一つ積み重ね、そこから客観的・演繹的に導出できることだけを記載するというスタイルが取られることが多いと思います。一般的に、こうした調査委員会は、弁護士や会計士の方が委員になられることが多いですが、いわば、検察が証拠を積み重ね、起訴して裁判にも耐えられるようなしっかりとした論理を構築したり、監査法人が監査証拠を積み重ねて意見を形成するといったのと同様のパターンのものと言えるかと思います。

実際、独立社外取締役2名が、元検事である外部の弁護士ら多数の支援を受けて作成した調査報告書は上記のようなスタイルで作成されております。こうした調査を数多く手がけられてきたプロフェッショナルな弁護士チームによって、連日の徹夜も辞さず、徹底的な調査や改善策案の提言をしていただきました。

この内容は、特別調査委員会によっても再検証していただき、調査報告書の前半に継承されており、この前半部分の内容について両報告書の間で大きな隔たりはありません。

 

後半部分が今回の調査報告書のオリジナリティが強く出ている部分ですが、この部分は、上述のような一般的な調査報告書とは明らかに異なるスタイルとなっています。

すなわち、前の調査報告書と全く同じことをやっても意味がありませんので、特別調査委員会の調査では、組織風土といった、より抽象性の高い対象を取り扱っており、具体的な証拠を積み重ねるだけでは必ずしも到達できないような領域の提言にまで踏み込んでいただいております。

特別調査委員会に作成いただいた今回の調査報告書のミクロな部分だけを見て、マスコミ等で特別調査委員会が「論理が飛躍している」といった批判を受けるのは、公正さを欠く面があるかと思い、補足させていただく次第です。

 

池永弁護士の疑問:「なぜ別の調査委員会が設置されたか」

池永弁護士の「その2」では、「社外取締役を中心とする社内調査委員会が調査を行っているにもかかわらず、なぜ特別調査委員会が必要とされたか」という疑問を提起していただいております。

当局の調査がどうだったのかということについても触れられてますが、当局の調査の内容を開示するのは適切ではないので控えさせてください。ただし本件は、元従業員とその友人の個人犯罪(課徴金対象)として課徴金納付命令の勧告が出ていますので、こうした当局の調査に明るい方であれば、具体的に当局のどの部門がどの範囲の調査を行ったか想像はつくかと思います。

すなわち、特別調査委員会の設置が行われたのは、あくまで親銀行の要請によってと考えていただければと思います。

 

同社の今後のコーポレートガバナンスについて

同じく「その2」に、以下のようなコメントがあります。

すでに、いろいろなブログで、カブドットコム証券のガバナンスは少数株主に留意しないものとなったとか、特別調査委員会の調査報告が親銀行の意向を受けたものとなっているという論調がでております。このような影響が出る以上、投資家の判断に供することが目的であるとしても、反論も事実に即してそれを十分説明したものであるべきであることは、反論の影響度も考えれば当然でしょう。事実の明確な、かつ十分な説明をしない抽象的な表現は、逆にミスリードしてしまう危険があります。
この点について、磯崎氏は慎重に筆をはこびながらも、「親銀行の事件発覚後の管理・監督が強まる過程で経営の透明性が失われ、少数株主の利害を考慮すべき社外取締役の職責をはたすことことが難しい状況になった」という説明をされており、私はこの説明が不明確で不十分ではないかと考えております。

 

私が出席した最後の取締役会においては、「独立社外取締役2名が辞任することで、当社が世間から少数株主を尊重していないと見られる可能性が高まったので、これが今後の大きな宿題となる。」という問題提起をしていただきました。

親銀行も同社も、本質的にアンフェアなことを志向するような会社ではないであろうことはみなさんご納得いただけるところかと思います。今回、様々な経緯の中で、少なくとも私にとっては親銀行の意思決定が同社にどう影響するのかがよくわからなくなってしまいましたが、他の5名の取締役の方々は親銀行内の意思決定の流れについても理解されているので、その方々にとっても状況が不透明ということはないと思いますし、今後、同社が少数株主の利益をも考慮するための施策を取っていただけるものと信じております。

しかし、当然ですが、これは今や同社に関わっていない私が保証できる話ではありません。
私が社外取締役に留まったままでは、こうした点に永久に光があたらないかも知れないと考えて今回の決断に至ったわけですから、株主や投資家の皆様には、引き続き厳しい目で同社を見守っていただければと思います。

 

「親会社と少数株主の利益の考慮」について

池永先生が、「その1」で下記の点について触れています

1.磯崎氏の第1点「親会社と少数株主の利益の考慮」について
磯崎氏の主張は、少数株主の利益を代弁する社外取締役の意見を聞くような環境がなくなったという言い方であって、もしそうであるとすると、金融庁としては統制環境が別の意味で悪くなったという評価になり、業務改善命令下の改善計画の評価の上で考慮されることになります。つまり、そのようなことを社外取締役であった者が主張することは、会社に一定のリスクを生じさせるおそれがあります。
しかし、それがどのような事態をさしているのか、ブログには説明が十分なされているとはいえず、これだけでは良くわかりません。

 

当局が同社の統制環境をどう評価されるかは、私が論ずべきことではないと思いますが、前項のとおり、今後の同社の対応次第だと考えます。

また、私の判断の前提となっている事態の詳細については、非常に多岐にわたり、(誰が何を言った、どこに何が書いてあった、といった)詳細な点を総合的に判断したものですので、この場で開示するのはなかなか難しいということをご理解いただければ幸いです。

 

しかし、池永先生の疑問の元の一つになっているのが、

これ等の事情からすれば、磯崎氏が主張するような個々の取締役の変化がおこったとすれば、6月以降のわずか2回くらいの取締役会ではなかったかと想像されます。

 

と、極めて少ない回数の会合によって私が判断したのではないかと考えられているようですので、この点については説明させていただきます。

 

一般の上場企業では、社外取締役は月に1回 取締役会に出るだけ、という活動状況が普通かも知れませんが、同社はネット系の会社ですので、ちょっとスピード感が違います。

取締役に対しては、日次、週次、月次で同社から定期的なメールでの報告がありますし、突発的な事態が発生した場合にも適宜報告があります。また、日本ではまだまだシニアな経営者の方々の中には、自分ではメールを見たり返信したりということができない方も多いかと思いますが、同社の場合には、社外取締役は全員メールもちゃんと見ていましたし、疑問があればメールで直接質問をしてきていました。

 

同社における私の活動ですが、まず私は、社外取締役、監査委員会の監査委員の他に、会社法第405条によって選定された監査委員(以下「選定監査委員」といいます。)でもありました。

通常、同社に実際に出向くのは、それぞれ毎月1回ペースで行われる取締役会と監査委員会の他、週次で選定監査委員と内部監査室の打ち合わせを行い、同じく週次で選定監査委員と執行役を中心として出席する週次報告会で執行役からの報告を受け、質問、ディスカッションなどを適宜行っておりました。
この他にも、月次決算報告会、全社員研修会等に適宜参加しておりました。

 

上記の平常時の会合に加え、M&AやTOB等、親会社や執行部門と少数株主のの利益相反が予想される事態の場合には、少数株主への配慮するため独立社外取締役に対してはいつも真っ先に相談があり、独立社外取締役は意見書等の作成で時には連日徹夜や半徹夜という状況になりました。

今回の事件発生後も執行部門が中心となった調査では問題があると判断されたため、独立社外取締役が外部の弁護士ら多数の支援を受け、連日、同社又は法律事務所でのミーティングや、メール、電話での報告・打ち合わせ、報告書草案のチェック、コメント等の作業を行っていた次第です。

(他の会社では、そうした場合でもスタッフが作って来た書類にハンコを押すだけで済んだりするのかも知れませんが、同社は東証一部上場とはいえ100名弱の会社ですので、そうもいきません。もちろん、徹夜したり意見書や報告書を作成した分、余分に報酬がいただけるわけでもないです。:-)

このため、私が申し上げている諸々の判断は、「わずか2回くらいの取締役会」のみの情報をもとに行われたものではなく、事件発生後現在までの数ヶ月にわたる上記のようなやりとりの中で判断されているものです。

(また、こうした社外取締役としての何年もの膨大な活動を、特別調査委委員会の1時間程度のヒアリングですべてわかっていただけたとはとても思えないわけです。)

 

親子会社間の非常時のコミュニケーションとコンプライアンス

池永先生に、親銀行がいつの時点からどのように関与して来たかの疑問をいただいておりますが、この場で申し上げるのは適切でないと思います。ただ、池永先生が考えているよりはかなり早い時期からとお考えいただいた方がいいと思います。

 

今回、痛切に思うのが、非常時のコミュニケーションとコンプライアンスの関係についてです。

同社は、前述のとおり、報告・連絡・相談を非常に重視する会社で、親銀行との平時のコミュニケーションも非常に円滑だったと考えますが、ご案内の通り、本件のような事案の場合の当局の調査においては、事件に関する情報交換を社内・社外と行うことが当局によって厳しく制限されます。

親銀行から見れば、管理・監督責任も問われかねない最もコミュニケーションが必要な時期に、親銀行に報告や相談をを行うことがまったくできなくなってしまったわけです。

普通の事業会社の感覚であれば、当局から何を言われようが、こっそり親会社にも詳細を報告してしまうのかも知れませんが、ご案内の通り、金融の世界というのはそういうことをすると大変なことになりますし、同社もコンプライアンスに対しては非常に真面目な会社なので、当局に言われたとおりに情報をコントロールするとともに、親銀行に対して早期に報告をさせて欲しいということを粘り強く当局と交渉しておりました。

今回の事案は、今まで述べて来ましたように社長の経営判断なのかどうかといった詳細な説明を要する込み入ったものであるため、事件の一部だけが伝わった場合には非常に疑心暗鬼を招きやすい事案だと思います。

しかし、(当局も調査上の都合があることとは思いますが)、この親銀行とのコミュニケーションに関する許可がなかなかおりなかったため、当局から許可が出た時点ではすでに親銀行の不信感は絶頂に達していたのではないかと思いますし、それが、今回のすべての「ボタンの掛け違い」の原点になっているのではないかと思います。
おそらく、早期に親銀行のキーマンに詳細で適時な報告を社長の口から直接が行えていれば、独立社外取締役が設置した調査委員会以外に別の特別調査委員会が設置されるといった一連の事態にも至らなかったのではないかと思います。

 

当局にとっては「単なる通常の行政罰案件」であっても、企業側にとっては天地がひっくり返るような大事件であり、加えてそれによる情報遮蔽が発生し、それに、銀行の管理・監督義務、子会社上場とコーポレートガバナンスといったことが絡み合うと、非常に大事(おおごと)になりうるということですね。
これは、ここ数年で急速に強まっているリスクではないかと思います。
広く、行政、金融関係者にも認識し、考えていただきたいところであります。

 

(ではまた。)

September 4, 2009

池永朝昭弁護士のブログでのご意見について

先日の記事には、多くの人から、ブログの記事、コメント欄、twitterでのコメント、メール等でご意見をいただきました。深く御礼申し上げます。

また、弁護士の池永朝昭氏のブログにおいても、私の先日の記事に関してのコメントをいただきました。どうもありがとうございます。

今回は、池永先生のブログでのご意見について、以下、私の考えを述べさせていただければと思います。


カブドットコム証券特別調査委員会報告V前社外取締役の反論(その1)
http://aristo1954.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-e314.html

もう少し補足すると、磯崎氏の反論に対して、特別調査委員会は依頼者に対する守秘義務の観点から再反論を加えられないポジションにあります。磯崎氏の反論は、非常に慎重に書かれていますが、ボトムラインは特別調査委員会報告書は数々の誤解を招きかねないものであるというものであって、その反論内容に照らせば、特別委調査委員会の事実認定及び評価が誤っているものと論難するものであります。

 

私の意図は、先日の記事に書かせていただいた通り、特別調査委員会の調査報告書に「反論」することが目的ではなく、辞任の経緯をご説明し、投資家のみなさま等のご理解を深めるための情報を提供することが目的になります。

池永先生の記事のタイトルに「V」マークも付けていただいてますが、内容をよくお読みいただければ、この記事が、特別調査委員会の調査内容に反論したり敵対する意図のものでは無いことをご理解いただけるのではないかと思います。ご理解いただけないとしたら、私の表現力の拙さによるものだと思いますので、ここで、特別調査委員会のみなさまと読者のみなさまに重ねてお詫び申し上げます。

 

また、特別調査委員会が守秘義務があるのと同様、ご案内の通り、私も社外取締役を辞したからといって守秘義務が無くなるわけではありません。
その制約の下で、広く他の上場企業や株主・投資家の皆様のご参考としていただく観点から、社会的責任として開示することが必要であると考える情報を書かせていただいている次第です。またこのため、今後、必ずしも池永先生や読者のみなさんが知りたい情報のすべてをお出しできるとは限らないことについては、あらかじめご容赦いただければ幸いです。
(つまり、私も、会社の内情や経緯を詳細に開示しないと反論できない部分については、「再反論」を加えやすいポジションでないのは同じなのであります。)

---

さて、今回の特別調査委員会の調査報告書の特徴の一つは、一般的な日本の調査報告書とは異なり、「被調査対象の会社からの独立性確保」の優先度を高く設定し、作成された調査報告書の内容についての会社からの反論は一切受け付けないという手法を採用されている点にあるかと思います。

つまり、(もちろん、特別調査委員会の委員各位が調査報告書の内容については十分検討されたことは当然だと思いますが)、内容が完全に正確であることよりも、より独立性を重視する手法を採用されたということかと考えます。

 

一般的な調査対象からのフィードバックプロセスについて

ここで、調査委員会に限らず、社会的に公正さ(フェアネス)を確保するしくみ一般について考察させてください。

およそ、社会的に公正さを確保するための各種の手続きについては、必ず調査対象者からの反論の機会が与えられているのが常ではないかと思います。

ご案内の通り、刑事被告人の取り調べにおいても、自分で納得がいかない内容の調書には署名しなくていいはずですし、裁判所で反論することも可能です。

また、会計監査のプロセスにおいても、会社が最終的に作成し終わった財務諸表に監査人がいきなり適正か不適正か等を表明するわけではなく、年間を通した監査の過程で、処理や表示の適正性について会社と監査人の間で十分話し合いが行われた上で、適正な財務諸表が作られていくことになります。

また、こうした調査対象からのフィードバックのプロセスは、内部監査を含む企業の内部統制活動一般にも取り入れられているかと思います。

こうしたフィードバック・プロセスを経ることにより、内容についての正確性もより担保されますし、また、被調査対象者の納得性も高まり、改善策の導入にもプラスの効果が期待されるわけです。

 

不祥事調査の場合の会社側意見のフィードバック・プロセスについて

調査委員会は、一般に法令で取締役会を上回る権限を与えられたものではありませんし、今回のケースでも、同社の取締役会で特別調査委員会に対してそうした権限を付与する決議が行われたわけではありません。このため、同社は、この調査報告書に対して反論することが法的に禁止されているわけではありませんでした。

しかし、ご理解いただけるかと思いますが、広報的な観点からは、自社が依頼した特別調査委員会の調査報告書と会社側の反論を併記するというのは、一般の方には極めて奇異に映るでしょうし、そもそもこうした場合には(特に日本では)会社側は謙虚に反省の姿勢を取る以外の選択肢は事実上存在せず、反論を行うことは一般的に極めて困難になります。

 

このため、多くの調査委員会のケースでは、会社側と調査委員会側が、外部に開示される調査報告書(または要約版)の事実確認や表現等を検討するのが通常だと思います。このフィードバック・プロセスは、同社の特別調査委員会設置の前に取締役会により設置された、私を含む独立社外取締役による調査報告書作成の過程でも行われました。
(ちなみに、今回の特別調査委員会の調査報告書においては、このプロセスについては、「その作成過程において当社の役職員がレビュー・コメントしている事実が認められることから、当社の経営陣から完全に独立して作成されたものと評価することはできない。」とされています。)

 

確かに、この「内容確認のプロセス」を採用することは、第三者から見ると、「調査委員会が会社側の言いなりになっているのではないか?」という印象を強める危険はあります。

しかしそもそも、池永先生がブログの記事「社外調査委員会の調査のあり方」にも書かれていらっしゃったとおり、世の中のほとんどの調査委員の方は非常に真面目にやっていらっしゃるはずです。(私を含む独立社外取締役による調査委員会の調査も、そうであったと考えています。)

今までの日本の調査委員会の事例では、会社側との内容確認や表現の調整を行った調査委員会が大半だと思いますが、だからといってそうした調査委員会がすべて独立性を欠いているということにはならないと思います。

 

調査委員会調査と会計監査等との対比

次に、会計監査の例がご参考になるかと思いますので取り上げさせてください。

会計監査の理論的側面を研究する「監査論」においては、独立性とは「外観的独立性」と「精神的独立性」に分けられ、本当に大切なのは「精神的独立性」であって、いくら外観的に独立していても精神的な独立性がなければ独立しているとは言えない、といったことが言われます。しかしながら、精神的に独立しているかどうかは「心」の問題であり、第三者からは客観的に判断しようがありません。
このためにも「外観的独立性」を保つ必要があるし、その外観的独立性の要件を規制する必要がある、という理論構成になっています。

しかし、監督官庁による検査や刑事事件の取り調べ等と異なり、会計監査や調査委員会の調査の場合には、調査を行う者が会社側から直接、報酬を受け取ることになりますので、外観的に経済的関係をゼロにするということはできません。
こうした状況の下で、調査を行う者が信用を保つのは、一般論としては楽ではありません。

このため、会計監査の歴史を見ると、当初は、個人の会計士または個人が集まって共同で監査が行われていたものが、徐々に事務所の規模が拡大し、合併等が行われることによって、現在では世界で4大監査法人を筆頭にする寡占的な産業構造に変化しております。
(格付機関においては、より世界的な寡占化が進んでいるかと思います。)
すなわち、会計監査等においては、「規模を大きくする」ことが、信用を確保するための手段の一つになってきたかと思います。

また、監査を行う際の判断基準となる会計基準についても、第二次大戦直後は、アメリカのフォード社ですら「創業以来、一度も財務諸表を作ったことが無かった」ような状態であったものが、数十年をかけて、会計基準や監査基準というものが徐々に整備、標準化されてきました。

こうした基準を明確化・精緻化していくことにより、監査の客観性や信頼性が確保されていくことになったわけです。

 

現在の調査委員会調査一般について

翻って、現在の調査委員会調査の特徴を考えてみますと、その報告書の作成は調査委員会の委員の良識のみにかかっており、ガイドラインがほとんど存在しないことが特徴かと思います。

会計監査に会計原則があり、裁判においても法令や判例が判断基準になるのに対し、こうした調査委員会の調査報告書においては、例えば、「50点なので一般的な水準は満たしていた」という表現も可能であるし、一方で、「100点満点なのに10点もミスがあった」という表現も可能であって、報告表現の自由度が非常に高くなっております。

また、会計監査は、毎年経常的にニーズがあるものですから、そこそこの経済的規模が発生し、同種の業務を行う職業人が相対的に多くなることになります。
これに対して、不祥事の調査委員会は、突発的に必要が生じるものでありますから、ケースは相対的に少なく、また内容や不祥事の悪質度、経営陣の関与度も非常にまちまちです。
大規模法律事務所の危機管理チームによるサポートが行われているケースもある一方で、個人の弁護士等によりその都度チームが組成されているケースも多いと考えます。

こうした中で、調査や報告の参考となる共通したガイドラインを確立するのは、会計監査に比べても大きな困難が伴うかと思います。

 

以上のような状況を総合して考えてみますと、企業側にとっても、調査委員会に調査を依頼して公正性を確保するというのは、一般論としては非常にリスクがある(あらかじめ結果の予想がつかず、結果の触れ幅が大きい)状態にあるのではないかと思います。

また、今後、会社により設置された独立した調査委員会による調査が歴史的に発展して行くとすると、現在は、明らかにその黎明期にあたるのではないかと考えます。

 

今回の特別調査委員会調査のポジショニングの特殊性

特に今回は、独立社外取締役の調査委員会が法律事務所の危機管理チームのサポートも得ながら行った調査によって報告書が作成され、事件の基礎的な事実の調査や改善策についてはすでにまとまっておりました。このため、特別調査委員会としては、報告書にもあるとおり、先行する調査委員会よりもさらに独立性を高める必要があると考えられて、今回のように会社側との内容確認や表現の調整を一切行わないという手法をとられたのではないかと思いますし、繰り返しになりますが、その手法を非難申し上げているわけではありません。

この手法を採用することにより、会社からの独立性は非常に明確に担保されることになりますから、客観的な基準が無い現在のような「黎明期」において、社会的信用を確保するためにこうした手法を採用されることは一つの見識だと考えます。

 

しかし、一方で、この手法には、内容の妥当性を担保する側面が弱くなるというデメリットが存在するのはやむを得ないところかと思います。

前回の記事で書かせていただいたような同社内の意思決定プロセスにより、結果として、この報告書の全文が開示されるという事態になってしまいましたが、これを開示した責任は同社の取締役会にありますから、繰り返しになりますが、調査報告書の内容について特別調査委員会を責める意図はございません。
しかし、一方で、会社や投資家の皆様等の観点から見た場合には、この報告書全文が開示され、会社側からのコメントが併記されない状態は必ずしも公正さが確保された状態ではないと考えました。

このため、いろいろ熟考させていただいた末に、調査の労をお取りいただいた特別調査委員会委員各位には失礼となることを深くお詫びした上で、前回のような方法でコメントをさせていただいた次第です。

---

私は、今まで証券会社という器を通して市場経済の発展の一端を担わせていただいておりましたし、日本の経済社会が「政府が関与しないと物事が決められない」という状況から脱却し、私的で自立的に機能するメカニズムの発展に少しでも役に立とうとしてまいりました。
また、いわゆる「法化社会」化も、こうした市場経済の自立的な発展を支える重要な側面だと考えますので、ロースクールにおける未来の法曹の育成にもご協力させていただいてきた次第です。

このため、(法令で強制することはさておき)企業が自主的に社外取締役を採用することや、独立した調査委員会や特別委員会により企業が自立的に公正さ(フェアネス)を確保するしくみについては、私は大いに賛成ですし、今後、そうしたメカニズムのさらなる発展を望むものです。
しかし同時に、こうしたメカニズムについては、まだ日本の社会においては黎明期の段階にあり、大いに議論が必要な段階であると考えます。

このため、「関係者が発言するとはけしからん」と考える方にとっては大変違和感がある方法であったかも知れませんが、こうした形で皆様に情報をご提供させていただき、広くご議論いただければと考えた次第です。

 

池永先生のブログには、日弁連においてもこうした第三者調査のベスト・プラクティスのガイドラインを検討中ということが書かれておりましたが、私の経験とその中で考えたことが、今後の実務を向上させるそうした活動に対して何かのお役に立てば幸いと考えております。

 

まだ池永先生のブログでのご質問のすべてに答えられていないかと思いますが、長くなりましたので、今回はここまでにさせていただければと思います。

前述のとおり、すべてのことにお答えできるかどうかはわかりませんが、引き続き、差し障りの無いと考えられる範囲で私の見解を述べさせていただければと存じますので、今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。

 

(ではまた。)

 

(追記:池永先生のお名前が間違っていたので訂正させていただきました。大変失礼いたしました。)

September 1, 2009

カブドットコム証券社外取締役辞任について(コーポレートガバナンスについてのご参考)

先日、8月末日付けでカブドットコム証券株式会社(以下「同社」といいます)の社外取締役を辞任することになったことをお伝えしたところ、多くの方からお問い合わせやご意見をいただきました。

同じく社外取締役であった佐藤丈文弁護士が同時に辞任したこともあって、株主や投資家の中にも不安をお持ちの方も多いかと思いますし、また、上場している子会社におけるコーポレートガバナンスをどう考えるかということ一般について、広く他の上場企業や株主・投資家の皆様のご参考としていただく観点からも、以下、簡単に辞任に至る経緯等についてのご説明をさせていただければと思います。


 

I.親会社と少数株主の利益の考慮について

私は、これまでの同社においては、一般的な上場企業の水準に比してもクオリティの高いコーポレートガバナンスの下、上場会社としての独立した運営が行われてきたと確信しておりますが、同社元従業員が友人の口座を使って内部者取引を行うという非常に残念な事件(以下「本事件」といいます)が発生したことをきっかけとして、親銀行の同社に対する管理・監督が強まり始めました。

「親会社が子会社を管理するのは当たり前では?」と思われる方も多いかと思います。
確かに親会社として適切な管理・監督を子会社に対して行うことは一般に必要とされていますが、他方、子会社が上場企業である場合には、親会社の利害だけでなく、機関投資家や個人投資家などの少数株主の方々の利害も考慮されることが必要となるのも当然のことです。

特に、執行部門や親会社の出身でない社外取締役であった佐藤丈文弁護士と私は、こうした少数株主の利害を考慮する立場にあり(以下、こうした社外取締役を「独立社外取締役」と呼ぶこととします)、親会社グループ企業との合併や親会社によるTOBなど、親会社との利害が相反する局面をはじめとして、常に少数株主の利害をも考慮してまいりました。

また、これまでの取締役会には、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの会長を含むグループ各社(以下、総称して「MUFG」といいます)の重役が取締役会メンバーにおりましたが、これらの方々は、同社の上場企業としての独立性や少数株主の利益に関して非常にご理解があったと考えております。

さらに、同社は現在の役職員数100名程度の会社であり、一目で見渡せる範囲の役職員が会社の業務を行っていましたし、詳細な資料や納得の行く説明もタイムリーに得られていましたので、従来の同社は、独立社外取締役から見ても非常に透明性が高い会社でした。

 

しかしながら、同社への親銀行の管理・監督が強まる過程で、同社取締役会に諮られる事項の決定プロセスに親銀行が関与することが多くなり、独立社外取締役から見た経営の透明度は大きく下がって行きました。子会社の独立社外取締役は、親会社を監査したり直接説明を求める権限はないため、同社が独立して運営されている場合と異なり、親会社のどこでどのような意図によって関与がなされているのかは伝聞から想像するしかないことになるわけです。

「社外取締役は企業の全貌を隅々まで見渡すことなんてできないのだから、すべてがわからないと社外取締役の役割が果たせないというのはおかしいのではないか?」とおっしゃる方もいらっしゃるかと思います。

確かに、社外取締役が、会社業務の森羅万象全てを理解できないというのはその通りです。しかし、だからこそ、監督や監査を行う社外取締役は、目の前の書類の形式的な辻褄だけを検討すればいいわけではなく、判断の前提として、株主や他の取締役、会社の内部統制システムなどに対しての信頼や背景事情への納得性が必要になるわけです。

しかし、残念ながら、親銀行の管理・監督が強まる過程で、「個々の取締役や執行役が、本当に個人で納得してそう考えているのか、それとも親銀行の意向を代弁してそう発言しているのか」を判断しかねることが多くなってしまいました。

また、「そうした状況であっても、国会における野党議員のように、反対意見を述べて牽制することで会社をよくすればいいではないか」と思う方もいらっしゃるかと思います。その点についても慎重に考えましたが、取締役会は国会と異なり、意思決定プロセスが外部に開示されるわけではありませんので、少数株主のみなさんの「民意」を味方に付けるといったこともできず、交渉のカードも限られますし、最終的には多数決で決議が行われてしまうことになります。

以上のような諸事情を踏まえて慎重に検討させていただいた結果、今のままでは、私が同社において社外取締役の職責を十分発揮することができないと考え、今回、佐藤弁護士とともに辞任させていただいた次第です。

 

II.特別調査委員会調査報告書について

本事件を調査された特別調査委員会委員各位には、多忙な中、限られた時間内で調査報告書をまとめあげられたことについて御礼申し上げます。
(また、調査期間中でしたので御礼を控えさせていただいておりましたが、委員長である久保利弁護士には、日経ビジネスONLINEのコラムにおいて、本ブログを好意的にご紹介いただきまして、ありがとうございました。)

調査報告書にも記載されているとおり、そもそも同社では、独立社外取締役である佐藤弁護士と私が、外部の危機対応専門の弁護士チームの支援を受けながら、早期に問題を解決するために調査・改善策の検討を進め、随時改善策の導入も進められておりました。
しかし、その過程で、親銀行の意向によって別の特別調査委員会の設置が求められ、その委員長候補としての久保利英明弁護士の紹介を受けることとなったわけです。

特別調査委員会は、調査報告書にあるように「同社からの」独立性を非常に重視しており、作成された調査報告書の表現に関する同社側からの意見は、基本的に一切反映されておりません。

もちろん、高名な弁護士3名から構成される特別調査委員会に厳しいご意見をいただくことはありがたいことです。しかし、特別調査委員会はあくまで、同社取締役会が決議して設置し、調査を依頼したものですから、調査報告書の内容を無批判に鵜呑みにするのでは取締役の善管注意義務は果たせないと考えますし、調査報告書をどのような方法で開示するのが適切かについての判断は、特別調査委員会ではなく同社の取締役会の責任です。
しかし、結果として、多数決により、調査報告書はその全文がそのまま開示されることになりました。

経緯はともかく、調査報告書がそのまま開示されてしまった以上、株主や投資家の方々の誤解を招かないよう、一通りの説明を果たす社会的責任があると考えますので、調査の労をお取りいただいた特別調査委員会委員各位には失礼となることを深くお詫びした上で、以下、調査報告書に関わる主要な点についてコメントさせていただければと思います。

 

1.同社のコーポレートガバナンスについて

調査報告書を読まれた方は、「同社の取締役会は、ワンマンの齋藤社長に言いたいことも言えない弱腰なものだった」という印象を持たれた方が多いかと思います。しかしそれは、同社の当時のコーポレートガバナンスの実態とは大きくかけ離れています。

調査報告書においては、昨年度の7名の取締役のうち、会長、社長、独立社外取締役の計4名だけについて報告され、MUFGの重役と兼務の調査当時の社外取締役3名については、一切触れられておりません。

 

しかし、よく考えてみてください。
世界的金融グループであるMUFGの取締役会長を含む重役3名が、大株主ですらない齋藤社長に弱腰でなければならない理由などないはずですし、もし仮にそうだったとすれば、MUFGのコーポレートガバナンス自体どうなっているんだ?という大問題にもなりうるわけです。

ところが実際には、そうしたMUFG重役との兼務取締役も含め、同社の取締役会や監査委員会では、一般的な上場企業にも増して闊達な議論や齋藤社長への意見が行われていましたし、齋藤社長も社外取締役の意見をきちんと聞いてました。

 

また調査報告書を読むと、特に山下会長については、「最も弱腰な取締役」という印象を受けられるかも知れません。しかし、山下会長は委員会設置会社の特性を十分に理解して取締役会や各委員会をリードして行動していたことはもちろん、「齋藤社長に言いたいことを言えない」といった事実は、私が見る限りなかったと考えます。
特別調査委員会の評価がなぜ非常に低いのか理解に苦しむのですが、山下会長は、私が今まで会った銀行出身の方の中でも、金融のリスクマネジメント等の専門知識も持ち合わせた上で、最もバランス感覚に優れた方の一人ではないかと考えております。

 

佐藤弁護士についても、「自分の専門(法律)に関わる問題以外はあまり口に出さないようにしている」旨の発言がなされたとして、調査報告書では「やや無責任な印象を禁じ得ない」とされています。しかしこれは、同社の取締役会や監査委員会では非常に活発な議論が行われており、法律以外のことについて追加で発言する必要性が低かったということであり、「無責任」によるものではありません。実際に、法律以外のことについても、たくさんの発言をされています。
また、佐藤弁護士は、私が今まで出会った弁護士の中でも最も責任感の強い弁護士の一人だと思いますし、同社のためを考えて、非常に献身的に社外取締役の職責を果たしていただいたと考えます。就任期間中、重要な案件について徹夜も辞さずいっしょに検討していただいたことも何度もありました。

 

調査報告書では、私については非常に慎重な表現をしていただいており、ありがたい限りですが、一点だけ。
調査報告書には「根っこの部分で、齋藤社長とは『同士』といった感情を抱いていることが伺われ」とあります。しかし、私は今まで、齋藤社長とプライベートで飲食やゴルフ等の付き合いをしたことはないのはもちろん、個人どうしではメールや電話での連絡すらしないようにしておりました。もちろん、他の取締役や執行役を交えた会議等はたくさん行って来たので、業務上必要な意思疎通は十分に図られていたと考えます。

またそもそも、社外取締役は社長と反目することだけが職務ではなく、同社の企業価値を高め、株式市場の発展に寄与するという共通の目標を持つわけですから、ある意味「同士」なのは当然のことです。

取締役会や監査委員会といった「チーム」で経営にあたることの意味は、それぞれの取締役の経験や知識の専門分野を総合的な力に変えることができるところにあると思います。
そうした意味では、これまでの同社のコーポレートガバナンスは、企業経営や組織風土、金融、法律、会計、システムといった多岐にわたる領域について、世界的金融機関経営の経験者、同社社長、弁護士や会計士等、メンバーのバランスも取れ、相応な対応が行われていたと考えます。

 

2.「デザイン至上主義」等について

調査報告書では、同社における各種ISO等の規格の導入やワンフロアのオフィススペースが「デザイン至上主義」という言葉で表現されており、これが本事件の遠因になっているとしています。しかし、齋藤社長は、むしろ経済的メリットがない「見かけ」だけの施策には嫌悪感を覚えるタイプであり、調査報告書は齋藤社長の気質を見誤っているのではないかと思います。

証券会社である同社では、取締役や内部監査部門による監督・監査だけでなく、金融庁、証券取引等監視委員会、日本証券業協会、各取引所等の検査や、顧客に関わる税務調査、システム監査、会計監査など、内部・外部の機関による様々な観点からの調査が年間を通じて行われ、そもそも一般の事業会社では考えられないほど詳細に、業務の実行結果やチェック結果等のエビデンスを保管することが求められます。

スタッフが山ほどいる大金融機関ならともかく、そうした要請に全員でわずか100人程度の役職員で対応するためには、それぞれの担当者の思いつきで事務等の様式を決めるのではなく、ISOという国際規格の様式を参考にして統一的な対応を図ることは、非常に合理的な方法であると考えます。

また、メールについても、簡単に文書を作成できて、後からの改ざんが困難であり、検索も容易であるため、同社にとっては低コストで効率的な手段でした。

調査報告書で指摘された「未消化」の部分など、改善すべき点は当然ありますが、「デザイン至上主義」や「メール文化」といった、単なる社長の趣味嗜好で業務の設計が行われていると理解する方がいらっしゃるとしたら、それは誤りだと考えます。

 

3.同社の企業風土について

また、調査報告書を読むと、「同社の役職員がワンマン社長に強く抑圧されている」というイメージを持たれる方も多いと思います。この点についても、慎重に考えていただく必要があります。

確かに、齋藤社長が厳しい口調で役職員に向かうことは事実ですが、それは、齋藤社長の著書に「社員の成長を願って叱る」旨のことが書かれているとおり、(好き嫌いはさておき)、齋藤社長の信念・経営スタイルとして実行されてきたものです。

 

同社は、コールセンターやシステム部門の従業員も多く、監督官庁等の検査やコーポレートガバナンス・内部統制上の要請も厳しいので、もともとストレス度が非常に強い業態ですが、ここに齋藤社長からのプレッシャーが加わるわけですから、役職員は非常に大変なはずです。このため、役職員に過度なストレスがかかっていないかどうかは、従来より私の最大の関心事の一つであり、全社研修会やその後の打ち上げの宴会等、役職員全員の生の声を直接個別に聞ける場には、時間の許す限り参加するようにしておりました。

しかし、意外なことに当社は、客観的な現象としても、(病気や退職がなければそれでいいという意味では決してありませんが)、他のIT系企業一般と違ってうつ病の発生もほとんどなく、また正社員の離職率も極めて低い(ほとんど辞める人がいない)のです。

また、同社の従業員1人あたりの給与も、世間一般の企業や同業と比してもそれなりのものになっており、ストレス度の高い業務に対して相応の報酬は支払われているとも考えられます。

いずれにせよ、抽象的な言葉による議論では組織風土の改善策の策定や改善の効果の測定はできないため、今後、必要であれば組織や人事の専門家の協力も得つつ、客観的なデータに基づいて改善に取り組む必要があると考えます。客観的な検証がなければ、状況が改善されたかどうかは判断できないからです。

 

4.社長によるメールの送信について

調査報告書では、齋藤社長が全社員に対して送付したメールを厳しく指弾しています。

取締役会に提出した独立社外取締役2名による調査委員会の報告書にも記載しましたが、このメールの送信は、もちろん最善の方策とは言えないものの、当時の状況を考えると、著しく不当な判断であったと断言することは困難であると考えます。

「証券会社の常勤社員全員にメールで公開買付け等情報を通知をした」という点だけを聞けば、通常の証券業務を知る人であれば驚いて当然だとは思います。しかし、同社は、オンライン証券として、自身の株券への公開買付けの復代理人を務めることになっていたため、公開買付け公表当日までに、当時の80人程度の小所帯の半分弱の従業員が既に公開買付けに関連する作業を行っており、この情報を知っておりました。狭い社内で80人の従業員の半分近くが機密情報を元に慌ただしく作業しているというのは他の従業員への情報漏れが強く懸念されるのは当然ですから、社長のメールが、情報の取り扱いに注意を促すことを主眼にしたものだったことから考えても、(より望ましい方法の選択の余地は否定できないものの)、当時の状況において、これが著しく不当な行為とまでは言えないと考えます。

また、調査報告書においては、私についてのみ、「このメールについて齋藤社長に『重大な過失』があったとは認定していない」とする記述がありますが、そもそも私は法律の専門家ではないので、過失かどうかの認定を私が一人で行ったわけではありません。

私は、重大な過失であったかどうかを検討すべきであるという提言を監査委員会に対して行い、これを受けて、(「結論ありき」ではなく重大な過失があるかも知れないという観点から)、外部の複数の法律事務所の弁護士の意見も求めつつ、社長のこの行為について慎重に討議した結果、当時の監査委員会委員4名の一致した意見として、監査報告書に記載すべき法令に違反する重大な事実が存すると断言することはできないと判断したわけです。

また、この監査委員会の意見については取締役会にも報告され、当時の取締役全員の同意を得ております。

 

4.業績確保とコンプライアンスのバランスについて

また、同じく私について言及した部分で、「会社の業績が伸びていたこともあり、最近では是が非でも齋藤流の経営を変えなければならないという強い意欲は薄らいでいたのではないかと推察される。」とありますが、特別調査委員会は、同社を取り巻く環境を誤解しているのではないかと思います。

確かに同社は、同業他社比では相応の業績をあげてきましたが、ご案内の通り、いわゆる「ライブドアショック」のあった2006年以降、3期連続で業界全体の業績自体が伸び悩んでおりました。

今後、会社の業績や従業員数が右肩上がりで伸びて行くことが予想できるのであればともかく、全社を挙げてコストを削減し、予算を捻出しながら新規事業等にも取り組んでいる中で、あえて、多くのコストをかけてスタッフ組織や内部統制を強化し、マネジメントの方法を変えたほうがいいのかどうかは、当時の状況下では必ずしも自明なことではなく、経営判断上の問題であったと考えます。

 

III.最後に

特別調査委員会の方々に厳しいご提言をいただくのはもちろんありがたいことですが、この調査報告書には、上述のような誤解を招きかねない面が多数あると言わざるを得ません。もちろんそれ自体は、同社の取締役会や各委員会での議論や日常の業務運営の状況を直接見る機会のない外部者が短期間に調査を行い、しかも独立性を重視して同社からの意見を一切反映していないため、やむを得ない面があります。しかしながら、この調査報告書の全文を、同社からの意見も一切付すことなく、そのまま開示したのは、これを読まれる同社の少数株主や一般投資家の観点からすると適切な行為であったとは言い難いと考えます。

もちろん、親銀行は金融グループとして同社を管理・監督する立場にあるため、本事件を受けて管理・監督を強めようとするのは理解はできますし、特別調査委員会をはじめ、個々の関係者に「悪気」があったということではなく、それぞれが同社のためによかれと思って行動されたこととは思います。しかし、以上のような特別委員会設置の要請に始まる一連の流れを通して見ると、親銀行の同社に対する「指導」は、上場企業のコーポレートガバナンスへの配慮を欠いたものであったと言わざるを得ません。

また仮に、今後、親銀行が現場の状況を直接十分に把握せずに同社における施策の決定プロセスに関与したり、内部統制の強化と称して親銀行の人員が子会社に押し付けられるといったことが行われるとしたら、それは同社の経営の実行速度の低下やコスト増を招き、投資家や顧客の求める企業像とのズレを生じさせる可能性もあると考えます。

私としては、そうしたことにならないよう、親銀行の子会社に対する管理・監督義務と、上場企業である子会社における少数株主への配慮のバランスが保たれることにより、今後、同社が健全に成長し発展することを願う次第です。

(以 上)

週刊isologue

Powered by
Movable Type 4.261