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September 24, 2008

デジタルネイティブ(digital natives)

子供の頃からインターネットを使いこなして来た若者達を紹介する、NHKで10月放送予定の番組「デジタルネイティブ」のサイト

http://www.nhk.or.jp/digitalnative/

に、「デジタルネイティブ度チェック」というのがあったのでやってみたところ、(もっと高いかと思いきや)

あなたのデジタルネイティブ度は70%

という結果でした。

私、日本の中でも最もインターネットを使っている方の人間だとは思いますが、

「学校(小、中、高)ではパソコンの授業があった。」

「いまの彼女はネットで知り合った。」

とかの設問は、いかんともしがたい。
大学で初めてコンピュータの授業(汎用機、FORTRAN、パンチカード、バッチ)受けたし、奥さん口説いた頃はインターネットなんてなかったし。

(ご参考まで。)

September 23, 2008

買っちゃえ、買っちゃえ!

月曜日に、

Goldman Sachs, Morgan Stanley Become Bank Holding Companies

というThe Wall Street Journalの記事に「the end of Wall Street」というフレーズが使われているのを見て、(なにせ、まさに「Wall Street」 Journalの人が「the end of Wall Street」と言ってるわけで)、非常に心揺さぶられる複雑な思いがしました。

・・・と思っていたら、続いて以下のような記事が立て続けに。

Nomura to Buy Lehman's Asian Operations

Mitsubishi UFJ to Buy Large Stake in Morgan Stanley

Nomura Close to Buying Lehman's European Operations


Gooood Job!


10年前からさんざん日本の会社をお買い上げいただいたので、このへんでご恩返ししませんとね。
なんか、80年代後半の景気のいい話が甦ったようですが。(今度こそ、足元すくわれないようにしないと。)

日本の金融当局の方々も、今回のような事態が二度と起こらないように、日本の金融機関といっしょにアメリカの当局に日本流の金融機関の監督手法をよーく教えて差し上げて、それが仮に世界のデファクトスタンダードになっちゃえば、(こんな細かくてしんどいコンプライアンスに耐えられるのは日本人以外にいるわけないので)、コンプライアンス不況転じて福となす、2010年代以降は「日本の時代」になるんじゃないですかね、もしかして。

(ではまた。)

「コンテンツ系」お墓参り

風もさわやかな秋晴れの本日、しばらくサボっていた墓参りに行って参りました。

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うちの奥さんの実家のお墓がある霊園に、数年前にうちの実家の墓も建てたものであります。墓参りが一回で済むので、これは楽ちん。

この霊園、文筆系の方のお墓が非常に多いようで、某大物推理作家の方をはじめ、戦時下最大の言論弾圧事件である横浜事件で投獄されてその後アレックス・ヘイリーの「ルーツ」等をベストセラーにされた方や、大物書道家の方など、そうそうたる方々のお墓があります。

たった今気づきましたが、私がブログを始めたのが、ちょうどここに墓を建てたのと同じタイミングですね。最初は1日数十件程度のアクセスだったのに、その後みなさんからそれなりのアクセスをいただけるようになったのは、(それまで墓参りするという習慣もなかったのでご先祖のパワーをいただくようになったのかも知れませんが)、もしかしたらこの霊園のコンテンツ系パワーのおかげかも知れません。

先月亡くなられた赤塚不二夫氏のお墓もすぐ近くの区画なので、帰りがけにお参りしてまいりました。墓誌の字もまだ真新しく、たくさんの花やお供え物とともに「さよならなのだ」という漫画が供えてありました。

(合掌)

September 22, 2008

近況

太陽黒点がほとんど出てないせいかどうかわかりませんが、ブログを書く気力がイマイチでませんです。(苦笑)

その昔、まだブログもない10年以上前の話ですが、メーリングリストの投稿数の推移が太陽黒点の数の推移と相関しているような気がして分析したところ、黒点がメーリングリストの投稿に影響していないという仮説は99%の確率で棄却されまして。確か、太陽黒点数のピークの5〜6日後にメーリングリストの投稿のピークが来たと思います。太陽活動は人間の知的活動に影響を与えてる可能性はあるんだと思います。

ベアー・スターンズとリーマン・ブラザーズの処理が違ったのも、太陽活動の底だったかどうか、ということもあるかも、ですね。:-)
(・・・という話はさておき。)

---

昨日、都内某所を一家で歩行していたら、茶色い変わった犬がいたので、うちの奥さんが、シガーを片手に座っている飼い主のシブいオヤジに「何て言う犬種ですか?」と訪ねたら、「ブラッコ・イタリアーノというイタリアの猟犬だよ。」とのこと。
家に帰ってから奥さんがネットで検索したところ、LEONを創刊したので有名な岸田一郎氏
http://ameblo.jp/zino-kishida/
と愛犬ジーノ君だった模様です。(どうりでシブいわけであります。)

(ではまた。)

September 16, 2008

HANABI - Mr.Children

多義的にとらえることができるところがこの曲の魅力の一つだと思いますが、

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Mr.Children
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どれくらいの値打ちがあるだろう?
僕が今生きてるこの世界に
全てが無意味だって思える
ちょっと疲れてんのかな?

(中略)

誰も皆 問題を抱えている
だけど素敵な明日を願っている
臆病風に吹かれて 波風が立った世界を
どれだけ愛することができるだろう


歌詞を何度も読み直してみると、

「社会は市場経済やコンプライアンスに疲れてきているけれど、悩みながらも、やっぱり『市場』の方向に進むしかない」

という"応援歌"にも聞こえてきます。

少なくとも、何年か経ってからこの2008年という年を振り返った時に、「世相のムードを最も反映した曲」として使われるのは間違いないような。

(ではまた。)

September 7, 2008

ゴールデン・スイミングスクール

レトリバー等と違って獲物を取って来る系の犬種でもないので、幼犬のうちにマスターさせておかないと泳げるようにならないという話を聞いたので、ラストチャンスと思って、泳ぎが大好きな近所のゴールデンレトリバー君とレオンベルガー君に伴われて、長者ヶ崎再挑戦であります。

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先輩達2匹と水遊びしたりして、だんだん慣らしてもらった結果、

当初、「バタフライ」みたいなドタバタした泳ぎだったのが、

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だんだん水も怖がらなくなり、

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泳げた!

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泳ぐ。

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泳ぐ泳ぐ。

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得意げに見せに来た。


・・・先輩達に感謝、感謝、であります。

(ではまた。)

September 6, 2008

ウチくる!?拝見

葉玉さんが8月24日OAの「ウチくる!?」(本村健太郎弁護士の回)に出演されていたと聞いたのですが、見逃したと思ってたら自動でHDDビデオに撮れていたのを発見。
遅ればせながら、初めて動いてしゃべる葉玉さんを拝ませていただきました。
(ありがたやありがたや。)

September 4, 2008

「長銀刑事事件最高裁判決の意義と今後の影響」について(その2)

「長銀刑事事件最高裁判決の意義と今後の影響」についてに対して、ブログ「企業会計に関わる紛争についてのデータベース」(sdpartnersさん)からトラックバックいただきました。

長銀刑事事件最高裁判決 (その1)

isologueに、長銀最高裁判決の弥永真生教授の評釈についてのエントリーがありました。
私も磯崎先生の主張を全面的に支持したいと思います。
(なお、最高裁判決の概要をざっくりと理解したい方には葉玉先生のエントリーがお奨めです。)

(中略)

私は磯崎先生の論旨に完全に賛成ですが、別の角度からの最高裁の前提を批判したいと思います。
それは、最高裁の見解は、「公正ナル会計慣行」にいう、「慣行」の概念を字義通りの「慣行」(=しきたりとして行われていること(三省堂「大辞林 第二版」より))と解することにこだわりすぎているがためにおかしくなっている、ということです。
「公正ナル会計慣行」とは、「慣行」という文言を含んではいるものの、字義通りの「慣行」というよりは、真実性の原則に従った、公正妥当なものとして一般に是認しうるルールという程度の、規範的意味での「慣行」と解すべきだからです。(注)


なるほど!
会計士は、商法で言うところの「公正ナル会計慣行」とは「企業会計原則を頂点とする規範・考え方の体系」だ、といったことを財務諸表論等で教わるので、「慣行」と書いてあっても「しきたり」のことだと思う人はまずいないんじゃないかと思いますが、確かに、商法の条文しか読んだ事が無い人は、「しきたり」的なものだと思ってしまうのかも知れませんね。
これは、(逆)目からウロコでした。

また、法律から入られた方は、商法第1条の
「商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法(略)の定めるところによる。」
というのの、「慣習」というイメージで「慣行」をとらえやすいかも知れません。
(確かに、民法よりも先に適用される法源である「商慣習」というのは、かなり重めにとらえられるべきかも知れません。)


「考え方」と「しきたり」のどこが違うかというと、それが形成されるまでの「時間」の概念ではないかと思います。

そのため、例えば、最先端のビジネスを行っている会社の会計監査を担当することとなると、そのようなビジネスについての、文字通りの会計ルールなど存在するわけが無く、真実性の原則を根拠にあるべき会計ルールを模索することになるのです。
字義通りの「慣行」などというものがおよそ存在し得ない場合(すなわち、ルールとしての明確性、具体性などは、事前には「真実性の原則に従え」という程度しか示されていない場合)が、会計の世界では多々あるのです。
日本初採用、という会計処理が会計監査の現場では日々生み出されているといっても過言ではないはずです。
そうすると、「公正ナル会計慣行」にいう、「慣行」の概念を字義通りの「慣行」と解し、その概念の延長に、規範としての明確性、具体性が備わっているべき、とその点に強くこだわった解釈を最高裁のようにしてしまうと、こうした会計実務は「公正ナル会計慣行」によるものではない、と否定されてしまいます。
これはおよそ妥当とはいえない見解です。


「しきたり」と解すると、(明文で強制力のある規定等がある場合を除いて)、その形成には一定の期間を要するということになりますが、「フェアかどうか」ということであれば、その処理や表示を決定した「瞬間」に「慣行」が形成されてないと困るわけです。

もちろん、取得原価主義から時価主義への移行など、「時代の大きなうねり」とか、その影響が徐々に浸透して行くということはありますが、もう一つ、法律専門家の方をはじめとして一般の方が非常によく誤解をされている点に、
「正しい会計処理はただ1種類であり、その正しい処理をすれば、財務諸表の金額はただ1つに1円単位でぴたりと定まる。」
ということがあると思います。
これも大きな誤解でして、一般に公正妥当と認められる会計原則に従ったとしても、許容される処理にはいくつか種類があったり、「幅」があったりするのは、ごく普通のことです。
このため、「瞬間的」に「慣行」が形成されるとしても、それは「唯一無二の処理によって1円単位で金額が確定する」ということではなく、幅のある「フェア」な範囲が定まるということですので、念のため。

そう言われて、最高裁の判決を読み直してみると、(結論にどれほど影響を及ぼしたかどうかはともかく)もしかしたら、
「慣行=(形成に時間のかかる)しきたり」
と考えていたのかも知れないなあ、とも思いました。
(一方で、さすがに、「公正ナル会計慣行とは何か」といった学者の方の意見書や論文は読まれていたのではないかとも思いますが・・・。)

ともかく、sdpartnersさんにもご同意いただいた通り、

「真実性の原則は「公正ナル会計慣行」の最も重要な要素の一つであり、それに反する処理が商法に違反してないなんてことは、あるわけがない」

ということであって、最高裁の判例の解釈がどうあれ、「真実性の原則に反する処理が商法違反でない」なんて見解が「今後に影響を及ぼ」されちゃ困るのであります。

(ではまた。)

September 3, 2008

「崇高な」予算(「ニュートリノ〜これまでとこれから〜」)

先日、「地デジ化の最大のメリットは、放送大学がきれいな画質で簡単に録画できるようになったこと」と申し上げました。見る側の立場からさらに言えば、「放送」大学である必要はまったくなくて、ネット(通信)でオンデマンドで番組が見られるようにしてくれれば尚ありがたいのですが、きっとそこは素人にはわからない「放送と通信の厳然たる(アホな)垣根」が存在するので、そういうわけにはいかないんでしょうね。

さて、ちょっと前になりますが、8月22日に「放送大学 特別講義」として、ノーベル賞を受賞した小柴昌俊先生に杉本大一郎教授がインタビューする「ニュートリノ〜これまでとこれから〜」という番組がありました。
これは、研究をして大きな成果を成し遂げた方の話ということで、ベンチャービジネスをはじめとして、「新しい、何か全くわけがわからないもの」に取り組む方にも示唆があるんじゃないかと思い、一部をご紹介したいと思います。


このちいちゃなカミオカンデで(中略)この3つの発見(注:人類最初の超新星ニュートリノの観測、太陽ニュートリノの天体物理学的観測、大気ニュートリノの観測によるニュートリノに質量があることの発見)をして世界中をビックリさせたもんだから、もう、それ以前は考えられなかった100億円もするスーパーカミオカンデの建設を文部省が認めてくれた。(20分あたり)

文部省や財務省や国会などの方々が、まだ何も無い時代に「いかにニュートリノ研究が必要か」というわけのわかんない話を理解して、「東北の山の中の村に道路を造るのとどっちがいいか」といった多数の案件とのトレードオフを直接、判断できるとはあまり思えません。
そういった環境下においてそういったROIで計算できないようなことの予算を取ってくるには、日頃からの地道な研究活動による信用の形成はもちろん、信念と情熱と、巧妙な戦術やプレゼンが必要だと思いますが、

  • とにかく、最初は「小さめ」のこと(全く小さくないですが)で「結果」を出すこと。
  • 「外国の人」に評価してもらうこと。

あたりもポイントかも知れません。

杉本教授の、「ニュートリノ研究は日本の独断場ですね?」という問いに;

まあそこまでは言いませんけどね。ニュートリノの研究をするなら日本の神岡に行け、という風に考えている学者が世界にたくさんいますね。 神岡の実験つうのはもう3代目の実験が活躍してるんだけども、その神岡の実験に参加したアメリカ人の研究者の数ね、130人超えてんですよ。で、日本人の研究者の数より多いの。 さらにね。今準備している東海村のJ-PARCってとこの加速器からね、強いニュートリノ・ビームを神岡に送るっていう実験が始まるとね、ヨーロッパから50〜60人の学者がドッと乗り込んで来ると、こういうことになる。だからね、ニュートリノ研究じゃ、世界の中心になってるの。

ということで、日本が「世界の中心」になっている、数少ない分野の一つになっているわけです。

さらに、研究の考え方について聞かれて、

基礎科学ってのはね、結局どんな産業界にも利益をもたらすような結果なんて出さないわけ。出せないわけね。
今まで、あなた考えてごらんなさい、今我々が知ってる96種類の素粒子のうちね、人間に利益をもたらしたのはただ一つだけよ。「電子」だけ。ね。
そりゃ確かに、エレクトロニクスというのはものすごい利益とインパクトを与えたけども。つい最近になって電子の反粒子の陽電子を使ったPETという医療機械が使われるようになった。それだけよ、素粒子で。
だからね、なんか素粒子の研究やって産業が興るとかね盛んになるってことは絶対にと言っていいほど期待できない。そうなってくるとね、結局、国家がね、判断して、我が国はこの分野の基礎科学にこのくらいの経費をつけてこういう年度計画でやっていくということをちゃんと決めなきゃならんということが一つと、それから国民の全員がね、やっぱり自分たちの基礎科学っていうのは自分たちで応援しようと、そういう機運になってほしい、というのが私の気持ちなんですけども。(以下略。)(35分あたり)

ここまで開きなおられるというと、むしろ大変なさわやかさを感じてしまいます。
社会に直接与える効果が一定以下の場合には、へたに効果をこじつけるよりも、開き直っちゃったほうがいい、ということかも知れません。

私は、社会のほとんどのものは自由な「市場」に解決させるようにするべきだ、という考えを持ってますが、こうしたニュートリノの研究などは、明らかに「Return on Investment」とかそういう考え方では妥当な予算額を決定できないタイプのものであります。

しかし、スーパーカミオカンデに100億円かけるんだったら、困ってるホームレスやネットカフェ難民に配った方がいいとは、私は全く思わない。(ホームレスやネットカフェ難民の方々は、寄付やボランティア活動といった別の方法でも援助できる可能性がありますが、ニュートリノ観測というのは営利活動や寄付で成立させるというのは全く困難ということもあり。)
「自分は何なのか、どこから来たのか」「我々がいる世界や宇宙はどういう仕組みになっているのか」を考えるというのは、人間が単なる地球の地ベタに張り付いてうごめく虫ケラとは違うというところかと思いますし、(全員に同意は求めませんが)こういうことをやることこそが人間社会の目的といってもいいくらいじゃないかと思うので。

(そういえば、最近、「崇高な」という表現を使った記憶も目にした記憶も、あまりないなあ。あまり「崇高さ」を追い求める社会じゃなくなっちゃった、ということでしょうね。)


今度の「KamLAND」という観測装置では、「反電子ニュートリノ」も観測できるそうで。
反電子ニュートリノが「250km先の原子炉」から出てくるのを観測して、いつ原子炉が稼働して止まったかがわかるとのことで、「韓国の原子炉」についても「ちょっとだけ、ね」ではあるけど観測できた、とのこと。

予算を獲得する際に、こういった(「国防」に大きく関連するかも知れない)あたりもチラつかせたとしたら、やはり小柴先生、プレゼンがうまいなあ、という気がいたします。

(ではまた。)

September 2, 2008

「長銀刑事事件最高裁判決の意義と今後の影響」について

最新号の旬刊経理情報(2008/9/10 No.1192)

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に、筑波大学ビジネス科学研究科の弥永真生教授による「長銀刑事事件最高裁判決の意義と今後の影響」という論文が掲載されています。

掲載されている要旨を引用させていただくと、

長銀刑事事件最高裁判所判決は、事実認定を行ったものにすぎないと見る余地もないわけではないが、その事実認定の論理的前提として、明確で具体的な規範が提示されていない限り、「公正ナル会計慣行」違反とはならないという発想があるとも考えられる。すなわち、会社の財産および損益の状況を適切に示していないというだけでは、商法および証券取引法違反とはならないと解している可能性がある。

といったことが書かれているのですが、これには極めて強い違和感を感じます。

形式論としては、本判決は、あくまで、事実認定のレベルで原判決を破棄したものにすぎず、単なる事例判決であり、本判決の射程距離は限定されており、将来の裁判例の帰趨にはほとんど影響を与えないものであるという評価の余地が一方ではある。 しかしながら、最高裁判所は法律審であって、基本的に法令の解釈を示すことがその役割であり、しかも前述「本判決の分析」で検討したように、本判決の事実認定は一定の前提を置かなければ説得力を有しない。(中略) より一般化して理解するならば、たとえば、イギリスなどのように、個別の会計基準に従っているか否かを問わず、真実かつ公正なる概観を示さないことが会社法違反にあたるという考え方はわが国の(平成17年改正前)商法や証券取引法の解釈としては採用しないという立場を本判決はとったものと推測される。

ということで、

かりに(1)で示した後者の位置づけが正しいとすれば、ライブドア刑事事件についての(中略)被告人につき虚偽記載有価証券報告書提出罪が成立するとした理由づけの一部は再検討されるべきことになろう。

といったことを書いてらっしゃいます。

ところが、「公正ナル会計慣行」の”おおもと”と解される「企業会計原則」のしょっぱなもしょっぱな、「一般原則」の「一」(真実性の原則)では、

企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。

とされているわけです。もちろん、企業会計原則は長銀が当該財務諸表を作った時点よりはるか昔から存在してます。つまり、真実性の原則は「公正ナル会計慣行」の最も重要な要素の一つであり、それに反する処理が商法に違反してないなんてことは、あるわけがない。
このため、多くの会計専門家のみなさんは、「会社の財産および損益の状況を適切に示していないというだけでは、商法および証券取引法違反とはならない」という理解には、やはり強い違和感を覚えられるのではないかと思います。

もしかしたら、本当に最高裁はそういう論理構成を背後に持っていたのかも知れないですし、また弥永教授は「背理法」的な観点から、「こういう仮定を置くと、いろいろ矛盾が出てくるので、そういう判決の論理構成はいかがなものか?」と最高裁判決を批判する意図をお持ちなのかも知れません。(よう知りまへんけど。)
また、当時の長銀の財務諸表についても、(私の人生にも間接的に少なからぬ影響を与えた事象であるにも関わらず:-)、実はまだ「真実性」の枠内のものと解されるのかどうかゆっくり検討をしたこともないんですが、

しかし。法律専門家の方々が、「明確で具体的な規範が提示されていない限り、憲法違反であっても法律に違反しているとはいえない」といった表現を見かけたら、おそらく強い違和感を感じるであろうのと同様、真実性に反した会計処理が許容されるという理解には、強い違和感を感じるものであります。

(ではまた。)

(追記:商法違反との関連で「企業会計原則や真実性の原則は」となっているところを、「真実性の原則は」に変更しました。
企業会計原則は、結構具体的に書いてある部分があるので、それに反するからといって、事情によっては必ずしも商法違反とならない可能性もありますので。)

September 1, 2008

maneo訪問してきました

先日の記事「日本において、ソーシャルファイナンスの可能性はあるか?」を見てご連絡いただき、先週金曜日、霞ヶ関にあるmaneo本社を訪問して、妹尾社長他の方々にお会いできました。
いろいろ話を伺えて、大変おもしろかったです。

オフィスの窓から見える眺めも気に入ってここにされたとのことですが、霞ヶ関のビルの谷間の緑がなかなか美しい。

オフィス前の道路のグーグル・ストリートビュー

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を見ていただくと雰囲気はわかっていただけるかと思いますが、実際にはこの写真より木の枝が伸びて、緑がまぶしい感じになっております。)


「ブログに『貸金業者+二種金融商品取引業者』というストラクチャーが書かれてしまっていたので、『これで、他の業者も容易に参入できてしまう』と、愕然としました。」、なんてお世辞(?)を言っていただきましたけど(コメント欄でもuddyさんに教えていただきましたが、すでに匿名組合契約を使うということはmaneoさん自身がホームページで開示されてらっしゃいましたし、井上さんのコメントでも、そこまでは既に到達されてらっしゃるようなので、ライバル会社もよく考えればわかる話かと思いますが)、
やはり実際にインプリするには、(コストの発生を「みなし利息」規制を踏まえた上で、どう「借り手」と「貸し手」に配分するか、どうすれば魅力ある金融商品になるかというマーケティング、その他)、その「骨格」にさらに2ひねりも3ひねりも加えないといけないわけで、いろいろ工夫されてらっしゃるなあ、という感じでありました。

特に、maneoさんが取られる手数料は、個人的には「リーズナブル」(逆に言うと、これで黒字化するのは結構シンドいのでは?)という感想を持ちました。参加するなら「貸す側」が面白いかなあと思っていたのですが、もしかしたら、場合によっては「借りる側」に回った方が有利なのかも知れないなあ、とも思います。

先週、金融庁さんから二種金融商品取引業者のOKも出たそうですので、サービスインが待たれるところ。

借りる側や投資する側の利回りの選好、コミュニティによる貸倒れの抑止効果、等、あとは「やってみないとわからない」ところばっかりかと思いますので、個人的にもどういうことになるか興味シンシンであります。
へんなところで足をすくわれることがないよう、スクスクと発展して、日本の金融に新たな1ページを書き加えられることをお祈りしております。

(ではまた。)

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