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July 25, 2008

試験監督初体験

先ほど、中大ロースクールの期末テストで、生まれて初めての「試験監督」という大役を体験してきた磯崎です。(つまり、昨年はなぜかお声がかからず、学生時代の試験監督のバイト経験もなし。)

ただボーっと座ってればいいのかと思いきや、大教室を回って全員分の写真入りの学籍簿と受験者の学生証を見て出席を確認したり、書き込みや判例が書いてある六法を使ってないかチェックしたりと、やることが盛りだくさんで、90分の試験時間も結構忙しかったです・・・。(ゼイゼイ)


解答する生徒のみなさんを見て、自分が会計士試験を受けた時を思い出してました。
で、今日の試験風景でなんか五感にかすかな違和感を感じてたんですが、試験時間中にはそれが何かわからなかった。帰り道にやっと気づいたんですが、当時(15年以上前)は、ボールペンや万年筆で書いた答案を修正する時に、白い修正液(青いプラスチックの小さい入れ物のヤツ)を「カチャカチャカチャ」と振る音が、「試験会場の音」として記憶されてたんですが、今日は、「カツカツ」とペンを走らせる音だけだった、というのが、かすかな違和感の原因だったようです。

イマドキは、みなさん「白いテープで修正するやつ」を使ってたのかな?
昔は、修正液がなかなか乾かなくて、「ふーふー」なんて答案用紙を吹いたもんでしたが。焦って上書きすると、まだ中の方が固まってなくて、ボールペンがズブっと修正液の丘にめりこんじゃったりして。

もっと前の世代の人の試験はどうしていたんだろう?「砂消しゴム」かな?


それと、新司法試験というのは「ペットボトルの持ち込み可」なんですね・・・。
(追記:公認会計士試験もペットボトル持ち込み可になってますね・・・。)

ジュース飲みながら国家試験とは、世の中変わったもんです。


ともあれ、みなさん、おつかれさまでした。

(ではまた。)

July 24, 2008

八重洲でタクシーを降りる件

前から思ってるんですが、東京駅八重洲口でタクシーを降りる時って、三縦列駐車くらいになって降ろされるので、後ろから車が突っ込んでこないかと、結構おっかないですよね。

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再開発で工事してるので、タクシー降り場も整備されるのかと思いきや、その気配もなし。


(そういえば、八重洲口は、そっち系の方の○ンツからイカツイ人が降りたり乗ったりするのをよく見かけるのも特色かと思います。)

「東京の玄関口」としていかがなものか、と思ってたのですが、

そういえば、私、20年ほど前に海外出張で生まれて初めて外国の地を踏んだのが、おフランスのパリだったんざますが、「インターコンチネンタルホテル、しるぶぷれ」と運ちゃんに告げたら、パリ市内に入ってしばらく行った大通りのド真ん中で停止して動かなくなっちゃった。
運ちゃんは、「セサ!セサ!(今にして思えば、『c'est ca!c'est ca! 』)」と怒鳴っているようだが、こちとらフランス語なんてからっきしわかんない。身振り手振りから推測すると、「道の反対側のアレがお前のホテルだけど、Uターンできねーからここで降りろ!」とおっしゃってるようで、まんまと車がビュンビュン行き交う大通りの中央分離帯に降ろされました。(外国ってこえー、と思いました。)

パリでもそうなんだから、東京駅で多少ワイルドな降ろし方されても、ま、いいのかも。

(ではまた。)

July 20, 2008

初うみ

朝の6時過ぎから逗子の海にやってきましたよ。


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帰りの朝8時過ぎには逗葉新道の反対車線の料金所はすでに大渋滞だったので、朝6時で大正解でした。

バーニーズ・マウンテンドッグ界では、馳星周さんの「ワルテルとソーラと小説家」が一番人気ブログらしいので、私は2番を目指そうかな。:-)

(ではまた。)

July 19, 2008

「株券電子化」とエヴァンゲリオンの「人類補完計画」

本日は某所で、山形大学人文学部のコーエンズ久美子先生の「証券振替決済システムにおける権利の帰属と移転の理論」というお話を聞いて参りました。

私、あんまり有価証券法理なるものを法学部的にはちゃんと勉強してこなかった人間でありますが、私なりに解釈すれば、
「電子的なネットワーク」が発達していない社会においては「権利」を紙に表章させて「モノ」と同様に(「物権的」に)扱う必要があったけど、ネットワークが発達した社会においては、権利を(準)一元的に管理するデータベースに(時間や場所にあまり制約されず)容易にアクセスできるようになるので、そうした物権的な法理の必要性が大いに低下しつつある、ということが今の時代の背景に存在するんじゃないかと思います。

(金曜日の授業で大杉先生がおっしゃったところの、「昭和の論点」と「平成の論点」。)

インターネットの黎明期(90年代後半)に、伊藤穣一さんあたりが、「暗号化された”情報”が転々と流通するような匿名性のある電子マネーが普及した未来はどうなっちゃうんだろう」的な問題提起をされてましたが、むしろ、世の中の大きな流れとしては、今まで分散して(「モノ」的に)流通していた「権利」が、集中的なデータベースの上に乗る方向の方が必然だった、ということでしょうか。

(つまり、気を付けなければならないのは、匿名性が高まることによるマネロン的なことよりも、過度に匿名性が失われることによって経済が萎縮する危険の方だった、ということかも知れません。株券電子化における「略式質」とか、電子債権制度が普及した場合の「手形割引業者の利用」とか。)

さて、コーエンズ先生のお話は、(私のテキトーな要約で恐縮ですが)、
「特定のモノ(従来の証券)に対する権利の移転においては、そのモノに対する善意取得の制度が必要であった」が、振替機関におけるAさんからBさんへの株式の移動は、株券のような「(同じ)モノ」がA口座からB口座に移るということではなく、「Aの権利の消滅」と「Bの権利の成立」という現象がペアで生じることなので、「モノ」を前提とした善意取得制度といった物権法理・有価証券法理に基づいて説明するのはいろいろ問題がある、ということで、アメリカにおけるUCCや擬制信託(Constructive trust)的な考え方を引きながらご解説いただきました。

電子債権の制度では、「Xという債権」がAさんからBさんへ移動するという概念がまだ明確なのではないかと思いますが、株券の電子化というのは、(もちろん「口座記録」はあるものの)「個々の株式」という概念は完全に溶けて、「発行会社の発行する株式という権利全体」というプールになってしまう、ということなんですね。


追記:
コメント欄で葉玉さんから「溶けません。種類物的取扱いがされるだけです。」と、ご指摘ありましたが、(発表者の意図とは関係なく、また、私の理解不足で)、私の書きっぷりは、日本の株券電子化に関わる実際の法律の法解釈と、一般的な電子化における問題点を混同していたかも知れません。
引き続き、勉強してみます。

 

劇場版 NEON GENESIS EVANGELION - DEATH (TRUE) 2 : Air / まごころを君に


エヴァンゲリオン( ヱヴァンゲリヲン)において、「(人類一人一人が他人と自分を隔てる)ATフィールド」を消滅させて、すべての人類を単一の生命(LCL)に還元する「人類補完計画」ってのがありましたが、それと同じというか。

前から「ほふり」という名前の響きがなんか怖いなあ、と思っていたのですが「証券保管振替機構」というのは、実は「証券(ATフィールド)という殻に閉じこもった不完全な株式」という存在を「完全な権利」に人工進化させるための「証券補完振替機構(≒秘密結社ゼーレ (Seele))」だった・・・・ということかも知れません。


(ではまた。)

July 18, 2008

ぽにょ

里中れもんです。(ご挨拶。)

ここ数日、「♪ポーニョ ポーニョ ポニョ さかなの子」というフレーズが頭から離れないので、ついiTunesでダウンロードしてしまった。

既存の音楽産業方面の方は景気が悪そうなんですが、私の音楽の消費額は数十倍になってるので、頭では理解しててもなんとなくピンと来ませんねぇ。
きっと、一部の企業が大儲けする構造に変化しつつあるんでしょうね。

(ではまた。)

July 17, 2008

アメリカでの監査法人(?)のイメージ・・・すごすぎる!

ブログ「会計や監査の話しなどなど。」経由で、下記のITmediaの記事を、遅ればせながら発見しました。

Googleが米大学生の「理想の会社」トップに――3位にApple http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0806/19/news028.html

これによると、Universumという企業が大学生43,313人向けに調査した全米最大規模の「理想の雇用者」調査では、1位Google、2位Walt Disney、3位Appleと、まあこのへんは容易に想像できますが、4位に「監査法人」のErnst & Young、7位にDeloitte、10位がPricewaterhouseCoopersと続いているんです。

しかも、このUniversum社の「IDEALTM Employer Ranking」の昨年度の元データを見てみると、なんと「Business」部門では、Pricewaterhouse CoopersがGoogleを抜いて1位! Ernst & YoungがDesneyを抜いて3位! DeloitteがAppleを抜いて6位! KPMGが8位であります!(すごすぎる!)


日本でドラマ「監査法人」を見てる人は、会計士が過労でバタバタ倒れるのを見て、「監査法人チョー怖ぇー」と思ってる人も多いかも知れませんし、監査法人勤務の方は、田舎のお母さんから「あんた、大丈夫かい?」と電話がかかってきたりしてるかも知れませんが、

また、学生に「キャリアゴール(職業上の目的)」をたずねたところ、64%が「ワークライフバランス」を最も重要なキャリアゴールとして挙げた。以下、「雇用の安定」が45%、「よりよい社会への貢献」(44%)と続いており、学生の仕事への姿勢や現在の経済・社会状況を反映したものとなった。

というところからすると、こうしたファームは「ワークライフバランス」が取れるとみなされているんでしょうね。

学生諸君!、アメリカでこれだけ人気が高いということは、「先高感」ありまっせ!

---

ただし。
ITmediaの記事では、これらのファームを「監査法人」としてますが、もしかしたら回答した学生は会計監査をやりたいわけじゃなくて、コンサルティング部門勤務を想定しているんじゃないかとも思います。

また、アメリカの会計事務所はアカデミー賞の集計など、スポットライトのあたる表舞台で活躍して「ブランディング」の努力をされてますので、日本の監査法人が今の延長線上で何もしないでイメージがよくなっていく、というわけでもないかと。

そういう意味では、ドラマ「監査法人」は(「よくできている」とか「リアルだ」とは決して言えませんが)、「まずそういう職業があるということを知ってもらう」という意味では、個人的には、「最初の一歩」としては大いに評価できるんじゃないかと思ってます。

(そういえば、今、東京駅地下周辺もDeloitteの広告であふれてますね。)

(ではまた。)

July 15, 2008

取締役・監査役の視点からの会計士ローテーション制度

ドラマ「監査法人」第5回目、録画したけどまだ見てない磯崎です。
(ちなみに、第4回の感想→「小野寺会計士役の豊原功補氏、英語、ウマっ!」
「趣味:英会話」だそうで。)

ご案内のとおり、公認会計士法が改正されて、「大規模監査法人」については監査に係る社員(パートナー)のローテーションが7年から5年になりました。(後掲条文ご参照。31条の11の4。)

これは「公認会計士法」であって、あくまで公認会計士・監査法人側の義務を明確化したものではあります。が、この改正の背景にあるのは、監査人の独立性をどう担保するか、という話ですから、会計監査人の選任議案(等)を考える取締役・監査役としても、考えておく必要があるのは当然中の当然。


会社からの監査法人の独立性を確保するための考え方として、最も厳しいのは、

(A) 当社は、監査法人の独立性を担保するために、5年毎に監査法人自体をチェンジする。」

といった考え方になるかと思います。

「何でもアメリカの真似して5年でローテーションなんて制度を取り入れやがって...」と、この制度を快く思ってない方もいらっしゃるかとは思いますが、伊勢神宮で式年遷宮を行う国に住む日本人としては、こうして定期的に「けがれ」を取り除くしくみを採用するというのは、心情的にそれなりにしっくりくるかも、とも思います。:-)
しかし、この(A)の監査法人自体まで定期的に交代するといったことまでやる会社はほとんど無いのではないかと思います。(大手の監査法人の選択肢も少ないですし、実務的にも大変そうです。)

他方、

(D) 法律自体がかなり厳しいので(よほどのことがない限り)社員を誰にするかは監査法人にオマカセします。テキトーによろしく。」

という考え方もあるでしょう。(ほとんどの上場企業は、そんな感じかと思います。)

この両極の間に、

(B) 監査法人は同じでかまわないが、新しいパートナーは直前のパートナーから外形的に独立性の高い人(例えば部門が異なる)をアサインしてくれ。」

という考え方があるかと思います。(私は、このへんが現実的に最もいいんじゃないかと思います。)

仮に、新しいパートナーが旧パートナーに頭が上がらないような人であれば、「旧パートナーによる院政」とまではいかなくても、以前の監査方法や結果に関して問題があっても文句を付けづらいんじゃないかと想像されるからです。つまり、「後継指名」みたいなことされたら、独立性について配慮した会計士法改正の意義がほとんど失われるんではないかと。

もうちょっと緩めに考えて、

(C) 同じ監査法人なのに外形的な独立性なんて厳密には担保しようもないので(と、はじめからあきらめて)、監査法人内の独立部門等によってアサインされたという説明を受けたら、一応それで納得する。」

というスタンスもあるかと思います。


パートナーと現場
法律には「社員」しか出てきませんが、実際には現場の主査以下のチームも重要でしょう。

監査意見を出すのはパートナーですので、理論的・法律的な観点からはパートナーだけ変えればいいかも知れませんが、もし仮に、監査の作業の大半を担う実際のチームが企業の現場と癒着していたとしたら、やはりローテーション制度の意義のほとんどが失われる可能性があると思いますので。

(実際には大手の監査法人の若手の方々はめちゃくちゃ忙しいので、「『癒着』してる暇なんかないよ!」とおっしゃるとは思いますが。)


企業のオピニオンショッピングと監査法人の営業の論理
監査法人の側からしてみると、「後継社員」に企業側から口をだされてそれにホイホイ応じてしまうのは、企業に都合のいい意見を出してくれる会計士を選ぶ「オピニオンショッピング」に利用されるリスクがあると考えるでしょうから、あまり口を出されたく無いことが想像されます。

一方で、監査法人と言えど「ビジネス」ですので、放っておけば、ローテーションだからと言ってバカ正直にわざわざ他の部門に案件をくれてやるなんてことするわけがない。「御社の現場への引き継ぎの負担も小さいと思いますよ」てなことを言って、同じ部門内で売上げを抱え込もう(へたしたら、社員だけ取り替えて、主査以下はそのまま)という誘因が働くことは容易に想像されます。
(「個々の会計士の稼働を平準化させる(客に文句を言わせず、空いてるヤツを投入する)のが監査法人のビジネスモデルのキモだ」、とも言えるかも知れません。)

「監査法人内の第三者機関が新社員を選定しました」といったプロセスの説明があればいいですが、前述のとおり、突き詰めれば同じ監査法人内で社員同士がどういう付き合いなのかというのは、(監査法人内に独自の情報源を持ってる取締役や監査役でない限り)、判断しようがないわけでして。

監査法人というのはディスクローズの仕事をしているわけですが、自分の法人の情報の開示については極めて消極的という印象ですし、企業からの個別の要望にも応じてくれないことが多い気がします。それは、「監査法人の独立性や信頼性の確保」といった観点からしかたがない面もあるかとは思いますが、一方で、企業側にとってみると、何も情報無しに(といってしまうと語弊がありますが、担当社員との意見交換や、「会社計算規則第159条の会計監査人の職務の遂行に関する事項の説明資料」といったものだけで)判断するというのも、かなりキツいなあ、というのが正直なところです。

「そもそも、5年経ったら必ず独立性が失われるわけじゃないでしょ?社員が代わってるんだから、それでいいじゃん。」という考え方もあるかと思います。
公認会計士法のローテーション制度は、会計監査全体としての独立性のレベルを向上させようという考え方であって、個々の会計士が会社から独立していることを担保する制度ではない。取締役や監査役が判断すべきなのは個別の独立性であって、(経理部長と毎月いっしょにゴルフに行っているというようなこともなく)真面目に厳しく監査をしているのであれば、法律でやるべき最低限のことさえやってればいい。」とも言えます。

一方、
「本当の意味での独立性なんてわからないからこそ、外形的独立性が重要なのである。」
「このため、5年経ったら元の人から外形的にも独立した人に代わるべきだ。」
と考える場合、監査法人側が新しいメンバーの旧メンバーからの独立性があるということを説明する気が無いのであれば、面倒ですが、やはり監査法人自体を取り替えるしかないんではないかと。

以上のように考えてくると、企業側、監査法人側、双方のメリットのためには、やはり監査法人さんのほうで、ローテーション制度における新旧社員間の独立性の確保について外部の人間も納得できるような内規を整備し、運用、ご説明いただくしかないんじゃないかと思いますが、どうでしょうか?


(以下、資料)

第三十四条の十一の三  監査法人は、大会社等の財務書類について第二条第一項の業務を行う場合において、当該監査法人の社員が当該大会社等の七会計期間の範囲内で政令で定める連続会計期間のすべての会計期間に係る財務書類について当該社員が監査関連業務(第二十四条の三第三項に規定する監査関連業務をいう。以下この条から第三十四条の十一の五までにおいて同じ。)を行つた場合には、当該政令で定める連続会計期間の翌会計期間以後の政令で定める会計期間に係る当該大会社等の財務書類について当該社員に監査関連業務を行わせてはならない。

(大規模監査法人の業務の制限の特例)
第三十四条の十一の四  大規模監査法人は、金融商品取引所に上場されている有価証券の発行者その他の政令で定める者(以下この項において「上場有価証券発行者等」という。)の財務書類について第二条第一項の業務を行う場合において、当該業務を執行する社員のうちその事務を統括する者その他の内閣府令で定める者(以下この項において「筆頭業務執行社員等」という。)が上場有価証券発行者等の五会計期間の範囲内で政令で定める連続会計期間のすべての会計期間に係る財務書類について監査関連業務を行つた場合には、当該政令で定める連続会計期間の翌会計期間以後の政令で定める会計期間に係る当該上場有価証券発行者等の財務書類について当該筆頭業務執行社員等に監査関連業務を行わせてはならない。
2  前項(次条第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の大規模監査法人とは、その規模が大きい監査法人として内閣府令で定めるものをいう。

(新規上場企業等に係る業務の制限)
第三十四条の十一の五  金融商品取引所にその発行する有価証券を上場しようとする者その他の政令で定める者(大会社等を除く。)の発行する当該有価証券が上場される日その他の政令で定める日の属する会計期間前の三会計期間の範囲内で内閣府令で定める会計期間に係る財務書類について監査法人が監査関連業務を行つた場合には、その者を大会社等とみなして、第三十四条の十一の三の規定を適用する。この場合において、同条中「監査法人は」とあるのは、「第三十四条の十一の五第一項の監査関連業務を行つた監査法人は」とする。
2  金融商品取引所にその発行する有価証券を上場しようとする者その他の政令で定める者の発行する有価証券が上場される日その他の政令で定める日の属する会計期間前の三会計期間の範囲内で内閣府令で定める会計期間に係る財務書類について前条第二項に規定する大規模監査法人が監査関連業務を行つた場合には、その者を同条第一項に規定する上場有価証券発行者等とみなして、同項の規定を適用する。この場合において、同項中「大規模監査法人」とあるのは、「次条第二項の監査関連業務を行つた大規模監査法人」とする。

July 12, 2008

BCP訓練参加

iPhoneは、おさいふケータイがついたら買おうと思ってる磯崎です。

某社のBCP(business continuity plan) 訓練に参加してまいりました。

見学するだけのつもりが、私にもちゃんと役が割り振られてました。
コールセンターに「どないなっとんじゃ、ゴルァ!」と電話をかけるVIP顧客という(笑)。


日頃「他人に威張り散らす機会」が皆無なので、ちょっとハマりそうになりましたが、

「スタンフォード監獄実験」

や、

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4 面白い
4 スタンフォード監獄実験とジンバルド教授。
5 Role Play
4 可能性の示唆

などのように、あんまやりすぎると人格がほんとに歪んで来るかも知れないと思って、そこそこおとなしめにやっときました。

やっぱ、「修羅場」を体験しておくというのは、大切ですね。

(ではまた。)

July 11, 2008

たばこ値上げより決算公告の過料の財源化はどうスか?

昨日の記事で、

日本の株式会社は約100万社くらいあるようですが、そのほとんどが(日刊新聞だと人目に多く触れるし、電子公告だと「要旨」にできないので)公告掲載先に「官報」を選択しているでしょうから、官報1ページに平均10社分の決算公告が載せられるとして、10万ページ分。
これが平均50日間くらいに分散されるとしても、1日の官報の厚さが2000ページ!(1日電話帳3冊分×50日くらい。)
「どんな官報やねん!」

・・・と考えると、物理的制約から全株式会社がちゃんと公告するようになるとも思えません、と申し上げたのですが。


会社法の規定によると、

(計算書類の公告)
第四百四十条  株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。(以下略)

ということで、決算公告しないといけないのは明文上明らか。
罰則についても、

(過料に処すべき行為)
第九百七十六条  (略)は、次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一  この法律の規定による登記をすることを怠ったとき。
二  この法律の規定による公告若しくは通知をすることを怠ったとき、又は不正の公告若しくは通知をしたとき。
(以下略)

ということで、「100万円以下の過料」となってます。
しかし、(司法書士さんによると、最近は、登記の懈怠で過料を科せられるケースは出て来ているとのことですが)、決算公告をしなかったことで過料を科せられた人というのは、私はあまり聞いた事がないですが、あるのでしょうか?

(関わっているのが、上場を目指すベンチャー企業だったり上場企業だったりするので、さすがに公告してない会社が周りにあまり無いからかも知れませんが。)

5月6月頃の官報は決算公告で分厚くはなるものの、上述のような1日あたり電話帳3冊分の厚さの官報ってのは見た事がないから、まともに決算公告してる会社というのは数%(数万社)程度に留まるんじゃないかと思います。
決算公告掲載率、といった統計を探してみたのですが、ちょっと見当たりませんでした。ご存知の方がいらっしゃったら教えていただければ幸いです。

仮に、今、1社も過料を取ってないとすると、ものすごい財源ですね、これは。

「100万円」満額というのはちょっと高すぎるにしても、官報公告は資本金1億円以下の非公開会社の場合で約6万円くらいの料金ですので、ペナルティ性を持たせるために、その5倍として30万円

仮に9割の会社が公告してないとして、90万社×30万円=2700億円!


各法務局の登記のデータベースも電子化が進んでいると思いますし、官報もいまどきは電子データ化されてるでしょうから、登記のデータベースをサーチして、公告の方法が「官報」になってる会社の過去2年分くらいの官報データに該当する公告がなかったら過料の通知を印刷して送付すればいいだけ。
(登記されている電子公告のURLをチェックするのもありかと思います。)

法務省が、○TTデータさんとかに見積り出させて、コールセンターなど200人体制くらいを丸投げで外注するのに30億円くらい予算つけて、少なめに4割(1000億円)くらいしか回収できないとしても「大もうけ」じゃないかと思いますが、なぜやらないんでしょう
(官報がパンクしちゃうから? または、政治家の地盤である中小企業から嫌われるから?(ちゃんと公告すればパーティー券並のたった6万円なのに?))

民間企業なら、3000億円の請求権があるのに回収しなかったら取締役は訴訟されて負けるんじゃないかと思いますけど、政府というのは任務懈怠で訴訟されるということは無いんでしたっけ?

ほんとに数%しかちゃんと公告してないとしたら、まじめに公告してる会社がアホみたいじゃないですか。
法務省さんというのは、法の下の平等を確保するお役所とお見受けいたしますので、何とぞよろしくお願いいたします。
今までやってなかったので急に態度を変えるというのは難しかったかも知れませんが、B-CAS社の事件は、いいチャンスじゃないかと思います。

(ではまた。)

July 10, 2008

(女子大生、イタリアまで行っちゃった!)


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昨年フィレンツェに行った時には、人が多くてとても落書きできる雰囲気ではありませんでしたが、そもそも、どうやって落書きしたんでしょうか。

という話はさておき。

こういう、「みんなやってんじゃん」的なことが、一夜にして、「人間のクズ」「犯罪者」扱いされるようになる日本という国においては、「潮目の変化」を見分けないと、非常に怖いですね。
(ノー○○シャブシャブしかり、グレーゾーン金利しかり。)

最近、「個が確立していない社会」で市場経済をやるというのは、結構キツいんじゃないか?という気が、強くしてきています。
市場というのは、「交渉」によって利害を調整するプロセスですが、「個」というものが存在しないと、「言われたら言い返す」ということができない。つまり、「交渉」によってフェアな水準に帰着させるというプロセスがうまく働かない。

「言われた」という事実は科学的に明確に存在するけど、「個」というのは自ら言い返さない限り観測できない。
つまり、他人から「言われた」ということを非常に気にするというのは、ある意味、客観的な事実に基づいた非常に科学的な行動でもあり、人間が取りうる合理的な様態の一つなんでしょうね。「個を持った方がいい」というのは、一つのイデオロギーや宗教であり、「個」があることに比べてないことが絶対的に劣っているとかどうかという問題ではないのではないかと思います。「交渉プロセスを嫌う」人も、例えば、ユーザーニーズをくみ取ってコツコツと努力すればいいモノが作れるような領域には向いていると思います。

また、アメリカのように自己主張しないと生きて行けない社会と、社会との「相対的関係」で自らの位置を決めて行く社会では、社会の様態がかなり異なってくるのは当然。

全情報発信の中に占める実名ブログや署名記事の割合は低下するし、金融検査で無理なことを指摘されても反論しない。「バナナはおやつにはいるのかどうか」を「先生」に決めてもらいたがる。
CMでも、1件クレームが来たら中止される。
(昔の桃井かおりさんの「最近、バカが多くて」とか、最近では、広末涼子さんのCMが「こんなに汗をかいた最後っていつだろう」に差し替えられた件とか。)

下記は、某氏のmixiの日記に載っていた「日本では無理」なメルセデスの「Beauty is nothing without brains」というCM。

(氏は、「このジョークがもし社会問題になるとしたら、何が「問題」なのだろう?」とおっしゃってましたが、「without brains」という表現が「無脳症の人やその家族を傷つけるから」に決まってるじゃないですか。)

「言葉狩り」(内容が本質的に不適切かどうかではなく、字面の形式性で不適切かどうかを決められる)に注意しないといけないのも、日本社会の大きな特徴かと思います。
「内容の本質性」というのは、内容を作った当人が主張しないと客観的には観測し得ない。だから、本人が強く主張しない限り、観測できる形式性でものごとが決まって行くのは当然であります。

株主総会実務でも、なんでちょっと前までは「特殊株主対策」にあれほど神経が注がれたのか?(株主の質問に正面から答えない、社員株主が「議事進行!」と叫ぶ、等)というのが全くよくわからなかったんですが、「個がある社会」に比べて、「言い返せない」からなんだ、と考えるとなんとなく納得。


買収防衛策も、本来は「交渉」で条件を調整するためのプロセスなはずですが、新聞に「保身目的」と書かれてもどの会社も反論しない。
「保身目的」ということは、買収防衛策を入れてる企業の経営者は、エージェントとして最もやってはならない利益相反行為をするようなクズ経営者だと言われてるに等しいですから、「しょーもないこと書いてると、おまえんとこに出してる広告、(略)るぞ、ゴラァ!」ぐらい言ってブチ切れてもいいくらいの話だと思うんですが。みなさん、大人というか上品というかブキミというか。
ここで上手に言い返せないということは、いざ買収というときに、適切なプロセスで調整が行われることが期待できないと考えるのも当然と言えば当然ですね。

また、一方の新聞記者の方々のほうも、事実の積み上げに基づく独自の客観的な分析をするというよりも、なんとなく社内の雰囲気で決まった論旨を、他人の発言などを都合よく引用しているケースも多そうです。

こうした、社会の構成員がそれぞれの相対的な関係だけでふわふわと自分のポジションを決めている社会では、それぞれが「個」の考え方というアンカーに係留されている社会に比べて、一つの意見でドドッと全体の考え方が変わってしまう雪崩的現象が起きやすいはず。
なぜなら、「根源的事実や自分の考えに基づいて絶対的に良いか悪いか」で行動を決定するのではなく、「周囲がみんなやっているかどうか」で自分の行動が決定されることになるから。

というわけで、前のエントリで検討した、日本では「映画を作っただけで犯罪」となる可能性は、やはり極めて高いように思えます。

---

池田さんのブログで、B-CAS社が決算公告を出していなかったことという朝日新聞の記事を引用して、「このような明白な経済犯罪と斬ってらっしゃる件についての今後も注目されます。
B-CAS社も、「みんなやってねーじゃん」とは言わないんでしょうね。

ただし、(もちろんよい子のみなさんはちゃんと公告していただければと思いますが)、物理的に考えてみると、どどっと潮目が変わって全株式会社がちゃんと公告するようになるとも思えません。

日本の株式会社は約100万社くらいあるようですが、そのほとんどが(日刊新聞だと人目に多く触れるし、電子公告だと「要旨」にできないので)公告掲載先に「官報」を選択しているでしょうから、官報1ページに平均10社分の決算公告が載せられるとして、10万ページ分。
これが平均50日間くらいに分散されるとしても、1日の官報の厚さが2000ページ!(1日電話帳3冊分×50日くらい。)
「どんな官報やねん!」・・・ってことになるので。

(ではまた。)

July 9, 2008

今時のインディーズ映画制作と金商法(「株式会社」を使ったシンプルなスキーム編)

前のエントリからちょっと間があいちゃいましたが、映画制作等で比較的少額の資金を調達する時に、現状の法令がどういった影響を与えているか、ということの続きと、こうすれば比較的うまくいくんじゃないか?という話です。

前のエントリには、いろんな方からコメントいただきました。どうもありがとうございます。

(以下、長文。)


大崎貞和さん曰く

私は、基本的に、金商法の幅広い有価証券概念の考え方を支持する者ですが、実際にそれほど大勢ではない人から資金を集めてインディーズ映画を真面目に作る人全てに金融商品取引業者としての登録を求めるというようなエンフォースメント活動は、金融庁や監視委員会としてやらないだろうし、やる必要もないだろうと思います。そういう人たちは、自分たちの行為が形式上金商法の規定に抵触している可能性を意識することもなく、別に問題なく暮らして行かれれば良いのではないでしょうか。
現在のような法規制の意義は、そういう善意(?)の人たちに余計なコストを負担させることではなく、映画を作ると称して妙な金集めをし、結局最後は破綻して出資者に迷惑をかけるようなやからを「金融商品取引業を無登録で営んだ」というような形式犯として摘発できるようにすることにあるのだと思います。出資者ともめて問題を起こすような恐れはないと確信する映画製作者は、堂々と(?)金商法の規定を無視してお金を集めていれば良いのだと、私は思います。そのような社会的に何の問題もない行為まで、画一的に取り締まるような無駄なエンフォースメントをするほど、金融庁や監視委員会も暇ではないでしょう。きっと。

おっしゃるとおり、金融庁や監視委員会さんが進んでそうした領域に入っていく可能性は低いと思います。

ただし、以前、「少年よ大志を抱け、で有名なクラーク博士はサギで訴えられたことがある(88へぇ)」という「トリビア」をご紹介させていただいたことがありますが、クラーク博士ですら、事業に失敗したら訴えられるわけです。「詐欺(または大ボラ)」と「大志(ambition)」というのは、外形的には区別がつかない場合が多い。

コンプラ意識のあまりない人だと「金商法的な説明義務」を満足に果たしていないことも多いでしょうから、もし仮に事業が失敗したら、出資者が「話が違う!」ということになる可能性は極めて高い。
また、成功したら成功したで、取り分に対する不満も発生するかも知れません。周囲のねたみも受けるかも。

そこで、怒った出資者などが、
「金を出した時には気づかなかったが、弁護士に聞いたら、こういう金集めをするときには、金融商品取引業者とやらにならないといけないらしいじゃないですか!」
と名乗り出たり、タレ込んだりしたとします。

このとき、金融庁/SESCさんは、それを無視したり、「500万円くらい大した金じゃないから、我慢されたらいかがですか?」ということにはできないんじゃないでしょうか。
なぜなら、そういう説明不足等でトラブルが発生しないように業者に義務を課すというのが、そもそもの金商法の趣旨でしょうし、条文上は、どう読んでもど真ん中のストライクでアウト。

そう考えると、「映画を作っただけで犯罪者」ということになる可能性は、やはり、それなりに高いんじゃないでしょうか。


もう一つ別な話ですが。たかだか数百万円程度とはいえ、今時は、契約書も無しで金を出してくれる太っ腹な人ばかりではないはず。そうすると、資金を集める側が契約書案を準備することになるわけですが、では、「この契約書を作るのは誰か?」ということです。

そうしたアートな世界の方々が契約書を自分で作成できる可能性は比較的低いと思いますので、税理士なり行政書士なり弁護士なりのところへ行って相談をすることも多いはずです。
その契約書には、それが民法上の組合契約だとか、商法上の匿名組合契約だとか、少なくとも「儲かったら、その分分配します」的なことが書かれるはずですが、そういう専門家の方々は、さすがに金商法の規定は聞いたことくらいはあるはず。まともな方ほど、そうした「みなし有価証券」に該当する場合で「金融商品取引業者」になる気がない人のために、そういったど真ん中ストライクでアウトのスキームを作る手助けをするということは、はばかられるんじゃないでしょうか。

ということで、当局が積極的にニラむような内容の事業でなくても、そもそも、今や、そうした適用除外要件に該当しない少額の資金を集めるのは、(金融商品取引業者にならない限り)専門家からも手伝ってもらえる可能性は低い。

以上から、「金商法の規定を無視してテキトーにお金を集める」、というのは、実は簡単そうで簡単ではなく、潜在的に犯罪者になるリスクがかなりあるし、そもそもその方法では調達が難しいことになっているんじゃないかと思います。

(ちなみに、「はてブ」で、「一回なら”業”ではないんじゃないか?」というコメントもいただいてましたが、以前、財務局さんに聞いてみたところ、「1回だけ資金調達するから業ではない、とも必ずしも言えない」という、(ある意味予想された通りの)お答えをいただきました。
「1回なら業でない」で済むなら、資金調達の度にvehicleを変えればいいだけですからね。)


EXCAPさん曰く

やっぱりある程度の規制は必要だと思います。この仮定であるインディーズ映画でも、俺今度映画作るからみんなもちょっとずつでいいから、お金だしてよっ!と言いながらお金が集まった時点でバックレてしまうということだってあるだろうし…

私も「ある程度」の規制は必要だと思いますが、「ある程度」というのが、株式会社が資金調達するのと同程度ではなぜいけないの?ということです。
株式会社でも、同様のことはできてしまうわけですし、投資家が損することも当然あるわけで。


とはいえ、おっしゃるように2種を取るのも意味がないとなると、2種業者さんにお願いするということで、新たなビジネスチャンスができるのではないでしょうか?

例えば、適格機関投資家のハードルが下がりましたので、彼らが一口10万円で参加してあげる、けど全体のコンサルもしてあげるので、50万円払ってねとか…新興のベンチャーさんとかで有価証券を10億円以上お持ちであれば簡単にできちゃいますしね。

まさにそういうことをする人が現れるかなとも考えたのですが、それもちょっとナニな感じがします。禁止されている「名義貸し」等、なんらかの名目でそっちの業者自体が処分されるような気もします。
適格機関投資家が入った場合にはソフトな規制にとどめるというのは、そうした適格機関投資家の「審査能力」に期待している、ということだと思いますので、形式要件だけ満たして実態がともなっておらず、投資家に実害が発生していれば、「厳しい見方」をされる可能性は高いでしょう。メガバンクや大手証券等ですら処分されるくらいなので、そうした潜脱の補助と取られかねないことをする「適格機関投資家」であれば、叩く気で叩けば、いくらでもホコリは出るはず。

また、例えば十億円単位の資金量のファンドが金融商品取引業にならないで済むために、「適格機関投資家」が名目的に出資する代わりに見返りをもらう、ということをやっているケースは、すでに存在するような気もします。もしかしたら、そうした名目的な出資をしてくれる「適格機関投資家」を紹介してくれたりするコンサルタントもいたりするんじゃないでしょうか?

ただし、前のエントリと逆のことを言うようですが、前に引用させていただいた神田先生のお話のとおりで、そういう「法の趣旨に反した(潜脱)行為」を業とする人とかかわり合いになるのはやめておくのがオススメです。(特にライブドア事件以降。)
このため、(上記とまたまた違うことを言うようですが)、神田先生のお話と異なり、「金商法の適用を受けないようにする」ことは極めて重要なんじゃないかと思います。

「潜脱する」のと「適用を受けない」のと、どう違うんじゃい!、というツッコミがあるかと思いますので、以下、たとえ話でイメージを共有させていただければと思います。


「節税」「租税回避」との対比で考えてみる
税金の世界では、
「脱税」は、法に違反して税金を減少させること、
「節税」は、法が予定する方法によって税金を減少させること、で
「租税回避」というのは、法が予定していない方法によって税金を減少させること、
です。

税金の場合、憲法上「租税法律主義」が存在します。(税務調査で必ずそういうキレイごとですむかどうかはさておき)、法が予定していなかった方法とはいえ、税金をかける場合については、法律は厳密に解釈しないといけないという理念は存在するわけです。

しかし、金商法のフィールドでは、(もちろん「罪刑法定主義」はあるわけですが)、「法が予定しない方法によって」金商法を潜脱するのはまずい。なぜなら、意図してる部分についてはうまく潜脱できたつもりでいても、規定がめちゃくちゃ多岐にわたっているため他の部分どこかでかなりの確率でミスしてるはずですから(笑)、お上の神経を逆撫でするようなことをすれば、まさに「法定」された「罪刑」にストライクで罰せられる可能性が極めて高いからです。「金商法違反」ということになれば、マスコミでも「悪徳業者」として吊し上げられる可能性は極めて高いと言わざるを得ません。


「陸」と「海」のたとえで考えてみる
税法というのは、大企業だけでなく街のパン屋さんも八百屋さんも適用される法律なので、(いろいろ異論がおありの方もいらっしゃるかとは思いますが)比較的「常識」が通用する度合いが高い領域だと思います。
これは「陸」を走る車を規制する「道交法」もそうかも知れません。
みんなが100%厳密にルールを守ってるわけではないし、(違反によって死者が出たりしたら厳しく罰せられるのは当然として)、うっかり的な違反の範囲であれば、普通は当局やマスコミからも「犯罪者」呼ばわりまでされることは少ない。

これに対して金商法では、もともと外洋を公開する客船やタンカーを規制していたルールが、同じ海だからということで水上バイクやサーフィンにまで適用されることになっちゃったみたいなもんなわけです。
確かに海は怖い。だけど、もともとタンカーを規制していたルールで、波打ち際でサーフィンしてる人まで規制するのはどうなんでしょうか?
船なら、20トン以上なら海技免許、その下も、段階に応じて小型船舶一級、二級、特殊、とわかれ、エンジンがついてないボートは免許もいらないわけですが、そういった規制が常識的ではないでしょうか?


「陸」で商売する
以上のようなことをいろいろ考えて来ると、(「マリンレジャー」が発展するかどうかはさておき)善かれ悪しかれ、現行の法律下では「海(金商法下、金融庁監督下の領域)」に入るのはあまりお勧めできないことになります。

反対に、「陸(一般の事業)」として、(SPC的な)株式会社を作って、株式で資金調達するなら誰も文句いわんのではないでしょうか。(もちろん、実態として真面目な事業をやっている場合、です。)

この方法のメリットは、「誰にでもできる」こと。
任意組合や匿名組合といったファンドのスキーム作りというのは、対応できる(対応する気のある)税理士、弁護士などの専門家は、10人に1人もいないんじゃないかと思います。(もちろん、よく調べれば対応できないことはないが、金商法をはじめとする非常に細かい規制や、業界の慣行などを調査して、契約書に落とし込むのは、かなりの時間=フィーがかかるし、少額の資金調達では、そうした手間に見合ったチャージも取れないはずなので。)
そうすると、そうした対応してくれる専門家に出会える可能性はかなり低い上に、前述の通り、ましてや金商法違反ということであれば、尻込みする人がほとんどではないかと思います。

一方、単に株式会社を設立するのであれば、全国の司法書士さん、弁護士さん、行政書士さん、税理士さんなど、誰に聞いても、「できない」とはいわないはず。
任意組合や匿名組合の契約書だけを作成する場合に比べて、定款認証や登記等のコストがよけいにかかりますが、その差は30万円程度だと思います。

理論上は「合同会社(LLC)」の方が定款認証等のコストが不要など、設立コストが安くなりますが(合計10万円以内で収まりそう)、「何それ?」と言われて説明するコストもバカにならないはず。(プロデューサーや監督自身が、自分の言葉で出資者に説明できなさそうです。)専門家でも、やったことない人は尻込みするかも。
有限責任事業組合(LLP)も理論上はすぐれていますが、そもそもLLPに必要とされる共同事業要件を満たすのであれば、金商法上も「みなし有価証券」に該当しないようにできる可能性も高そうですので、除外。

「株式会社」であれば、「何それ?」という人はまずいない。
いくら「Linuxならタダですよ」といわれても、みんな金を払ってWindowsを使うのと同様、多少高くても「株式会社」のほうがいろいろ楽なわけです。


株式会社方式は「パススルー」にはならない
そもそも、なぜ映画制作の場合に任意組合や匿名組合方式がとられるかというと、税務上「パススルー」で、構成員課税で済むからです。つまり、ファンドの段階では課税されずに、投資家の所得に合算されて投資家が確定申告しますので、いろいろ節税できる余地もでてきます。

しかし、上場株式を運用するファンドなら個人の出資者への課税が10%の税率(分離課税)で済むか、実行税率40%の法人税がかかってくるか(配当で受け取ると配当控除はある)というのは大きな違いですが、
映画の場合、パススルーにしても、事業所得や雑所得で「総合課税」として他の所得と合算するということになれば、(出資者には所得の高い人が多そうだということと累進税率を勘案すれば)平均すれば、「株式等を運用するファンド」に比べれば、「会社」でやってもインパクトは小さいでしょう。


スキーム例(というか、ただ株式会社を設立するだけの)実際

1.映画の制作を思い立ったら、まずは株式会社を設立
他に制作会社などがすでにあったとしても、別に(SPC的な)株式会社を設立します。オフィスや机などを別途用意する必要もなくて、この時点では単なるペーパーカンパニーです。住所も、従来のオフィスと同じ住所で登記ということでよろしいかと思います。

イメージとしては、(仮にですが例えば)、設立時の資本金が50万円で50株(1株1万円)。
役員も、会社法では株式会社でも取締役1名から設立できるようになったので、プロデューサーまたは監督など1人が取締役(取締役会、監査役、監査役会等なし)でもいいかと思います。
(頭数がそろうのであれば、慣れ親しんだ取締役会3名+監査役の「デファクトスタンダード方式」のほうが、むしろコストは安くなるかも知れません。)

設立時の登記費用などで、自己資本はほぼゼロになるはずです。


2.映画制作の構想を練る
「この会社で」プロデューサーや監督が映画の構想を練ります。
出資してもらえるくらい概要が固まったら、プレゼンの資料を作ります。

このとき、資金を集める人は、(従来からある制作会社などではなく)、あくまで「この会社」の役職員の人でないとダメです。株式会社の「自己募集」は金融商品取引業者ではなくてもできますが、他の会社が手伝う場合には、金融商品取引業者の登録が必要ということになりますので。
また、1億円以上の資金を集める場合に50人以上を勧誘すると、(株主が50人以上でなくても)「公募」に該当して、コストのかかる「有価証券届出書」の提出が必要になるなどの規制はありますので、ご注意を。


3.増資と事業価値評価
投資家と制作者間の合意によりますが、例えば、映画がヒットしたら成功報酬的にプロデューサー等が2割取るということであれば、もとの50株が2割になるような形で増資をするというのはいかがでしょうか。

仮に、3千万円資金調達が必要であれば、1株15万円で200株増資する。

すると、もともとのメンバーが20%(50株)、外部が80%(200株)を保有することになります。
(もちろん、80%の中に、もとのメンバーが出資するということも可能です。)

このため、外部の人が結託すれば、もともとのメンバーを役員等からはずすことも可能になってしまいますので、役員の考え方や、株式の譲渡や破綻時の考え方、制作会社に支払うコスト等について定めた、簡単な株主間契約書を作っておいた方がいいかも知れません。

きっちりやるとすれば理論上は種類株式を使って議決権の比率と経済的な持分の比率をずらす方が美しいですが、あまりややこしくすると、せっかくのシンプルで低コストなスキームのメリットがなくなっていってしまいます。(中小企業の実務で種類株式の実務をきちんとこなせる人は、まだ非常に少ないので。)

「なんで設立時に1株1万円だったものが、15万円になるのか?」ということですが、理屈としては、そのプロデューサーなり監督なりが映画構想を練った結果、将来キャッシュフローの現在価値であるその会社の企業価値が、増資前(pre)で750万円と評価されたから、ということになります。
もちろん、どう考えてもそれだけの価値が無かったりしたら、投資家から制作者に対する贈与などと認定されるリスクが無いわけではないですが、一般にはどのベンチャーも、将来への期待を考えて企業価値評価をあげて行きますので、「常識」の範囲で判断されるのではないかと思います。


4.事業が成功した場合
利益に対して、株式会社が実行税率で約40%の法人税を支払うことになります。
また、映画があたって現金が入って来た分については、そのときの比率で「配当」を行います。
これは、出資者が個人の場合には「配当所得」ということになり、「配当控除」が受けられ、法人の場合には、配当の益金不算入があります。
このへんの話はややこしいことはややこしいのですが、日本全国どの税理士さんでも対応できるかと思います。


5.事業が失敗した場合や「元本」を返す場合
(例えば資本金1円まで)資本金及び資本準備金の減少(減資)を行って、自己株式の取得を行います。
事業が失敗した場合には、(これも税務上のリスクはありますが)、まずは外部の投資家分に分配できるだけ分配するんでしょうね。
映画の知的財産権などの換金性の低いものが残った場合はどうするか?といった問題もありますが、それは匿名組合契約等の場合も同様でしょう。


6.エンジェル税制適用の可能性
上述のとおり、株式会社だとパススルーにはならないわけですが、映画を作るというのは、実態がそもそも「金融」ではなく「事業」なわけですから、代わりにエンジェル税制の要件を満たす可能性はあるでしょうか?

ご参考:経済産業省:エンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)のご案内
http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angel/index.html


このエンジェル税制、今やかなり太っ腹なことになってますので、仮に適用できればパススルーなんかよりメリットがあることも多いはずですが、基本的にはゴーイングコンサーンを前提としていて、映画制作のようなプロジェクト的な会社への投資はあまり想定してないようにも読めます。映画制作会社自体はともかく、映画制作のSPC的なものは要件にあてはまらないかも知れません。

ただし、経済産業省さんは、「コンテンツ製作」等の領域にはご理解があると思いますので、「金商法のせいでこんなに困ってるんです!」と訴えて、ダメもとで相談してみてもいいかも知れません。
どっちにしろ、数千万円規模の映画に出資する人は、そんなに税メリットを望んでいるということでないケースも多いと思いますので、必ずしも、こうしたペーパーワークが必要なことをやる必要もないかも知れません。
株式会社なら、本屋で「会社を設立する」系の本を一冊買ってくれば、専門家の助け無しで自分でもできないことない、というシンプルさがメリットかと思いますので。


まとめ
一長一短はあるものの、上記のように「株式会社」でも同様のことはできるわけですから、任意組合や匿名組合について、ことさらに規制を厳しくしている趣旨が意味不明だということはお分かりいただけるかと思います。
「パススルーは悪である」とか「登記してる方がエラい」ということは言えないと思いますので。

「みなし有価証券」の場合も、株式会社と同様の公募・私募、自己募集の規制(例えば数人から数千万円集めるだけだったら、金融商品取引業者になる必要もないし、有価証券届出書も不要)にして、株式会社とか任意組合、匿名組合等、それぞれの事業の性質に応じた最適なスキームを選択できるように、ということにしたほうが、産業発展のためになるんじゃないでしょうか?

詐欺的な行為を働くやつは、株式会社でも(場合によっては種類株式などを使って巧妙に)結局、同じようなことはできますので、任意組合や匿名組合の場合だけを規制しても意味はないはずです。

(ではまた。)

July 8, 2008

起業の大チャンス到来?(その2:懐古編)

前のエントリに、einenさんからコメントいただきました。

おお!
nettalk以来の時代は一巡りしての黒点活動期の話題ですね。
楽しみですわ。


そういえば!、と思ってメールのログを調べてみたら、nettalkメーリングリスト(という伝説の?メーリングリストがインターネット黎明期に存在したんですが)に、私が太陽黒点周期の話を投稿したのが、ちょうど11年前の7月17日!

(黒点周期にバッチシ当てはまっているのは、他ならぬ私め自身のようです。(笑))

つまり、仮に周期が本当だとすると、今は1997年当時と同じフェーズ、ということですね。


当時の私は、「インターネットビジネスの波と証券自由化の波がダブルで来る!」ということは強く確信しておりましたが、一介の個人に「起業」という選択肢があるなんてことは夢にも思っていませんでしたし、そのための知識やテクニックもほとんど知らなかったし、また、実際にVCさんがstartupに金を出すなんてことはまだあまり実績がない時代じゃなかったかと思います。
(そして/しかし、実際に「大波」はやってきた。)

11年で周期が一巡りして、今の私は起業に関する知識やノウハウはかなり一般の人よりはたっぷり獲得しましたが、残念なことに、「3年後に来る次の大波は何か?」と聞かれると、いまいちようわからんですね・・・。
(「環境」とかってのもピンとこない。)

ちょっと熟考してみます。

(ではまた。)

July 7, 2008

起業の大チャンス到来?

(注:このエントリには「エセ科学」的要素が含まれている可能性があります。鵜呑みにしないよう特にご注意ください。:-)

最近、世の中景気がいいとはとても言えない感じでありますが、ものは考えようで、不景気なときこそ起業のチャンス、という考え方もあります。

ちょっとアヤシゲな話で恐縮ですが、太陽黒点数の周期を見てみましょう。

ssn_predict_l.gif

太陽黒点は11年ごとのきれいな周期で数が上下します。
ご参考図:http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/28/Sunspot_Numbers.png

黒点という「模様」が地球に影響を与えると考えちゃうとオカルト的に聞こえますが、黒点数が多い時というのは太陽活動の活発な時ですので、黒点数の多い時には地球に到達する太陽からの粒子等(太陽風)が増加し、オーロラの数や規模が増えるなど、地球に実際に物理的な影響を与えます。
上記のNASAによる太陽黒点数の推移と今後のPredictionの通り、現在2008年は太陽黒点数のボトムであり、今後は、2012年のピークに向けて、上昇期に入る、ということに。
(ここまでは確実に科学的なお話。)
また、太陽の活動が何十%か減少したら人類は確実に滅亡ですので、経済活動が太陽の活動と全く何の因果関係もないとまで言ってしまうと、非科学的なお話になります。

(ここからちょっと話がアヤシくなってきますが、)
この黒点の周期は80年代の不動産バブルのピーク、2000年あたりをピークとするネットバブルとぴったり一致しておりますね。
次のピークは2012年頃。
米国のthe National Center for Atmospheric Researchの研究によると、この次の太陽活動のピークは、1960年代以来のデカいものになりそう、とのことであります。

ケインズは、マクロ的な投資水準(量)は(合理的な演繹などではなく)「アニマル・スピリット」によって決まると言いましたが、投資というのは、その投資から得られる将来キャッシュフローの現在価値(「事業価値」)と投資額のどちらが大きいかで決定されますし、将来キャッシュフローは人間が頭の中で勝手に作り上げたものにすぎませんので、楽観的か悲観的かで大いに異なった結果になるというのは間違ってはいないでしょう。(太陽の活動が人間の楽観性に影響を与えるのかどうかは謎ですが)、社会全体の人間の頭がバブっているか冷めているかで異なって来るというのは大いに納得できるところではあります。

一方で、経済活動は「カオス」ですので、太陽活動といった単一の要因だけで(例えば具体的な株価水準など)が決定されるなんてことはあるわけがありません。(例えば、法律や制度上、経済活動に制限がかかっていたら、いくら太陽が活発に活動しようが、バブるわけもありません。)
ただし、過去の景気循環と太陽活動の関係を見ると、「大きなトレンド」としては、まったく関係がないとまで言い切るのもナニかなあ、という感じもします。


世の中がバブり出して来てからバブルの尻馬に乗ろうとした人というのは大抵失敗しますので、景気が良くなって来た時にフルスロットルできるようにするとなると、事業の構想を考えたり会社辞める算段をしたり資金の当てを探したりするのに、取りかかって1年で起業、そこから2年くらいで着実に実力をつけておく、とすると、逆算して今が新しい事業の構想を始める最良の時期、と言えるかも知れません。

(責任は全く持てませんが、ご参考まで。)

July 5, 2008

公園デビュー

犬と公園デビューしてまいりました。

200807a.jpg


で、犬というのは、「コミュニケーション・ツール」の一種だということを認識。


以前、犬を飼っていた時には、私が子供だったからか、犬が雑種だったからか、近所にデカい公園がなかったからか、他の犬の飼い主と交流するという習慣はなかったように思います。

しかし、本日犬を連れて歩いていると、犬を連れている人いない人にかかわらず、
「まあ、かわいい。」
「まだ、赤ちゃん?」
「何ヶ月?」
「お名前は?」
などと話しかけて来る。

今までであれば、ただ黙ってすれ違うだけの見ず知らずの人たちと、こうしてコミュニケーションができるというのは、何かソロモンの指輪を手に入れたような不思議な気持ちであります。

(ではまた。)

July 4, 2008

初夏

やっと夏らしい太陽になってきましたが。
夜の我が家は、子供が飼っていたヤモリのエサ用に奥さんがホームセンターで買って来たコオロギが脱走して冷蔵庫の裏でリンリン鳴いておりまして、早くも秋の雰囲気であります。

(ではまた。)

July 3, 2008

今時のインディーズ映画制作と金商法(規制のおさらい編)

数日前のエントリで、ベンチャー企業のファイナンスには、金融商品取引法等による「コンプライアンス不況」は少なくとも直接には影響していないのではないか、という話を申し上げました。(もちろん、IPOのハードルがあがること等により、ボディーブローのように影響が出てくるとは思います。)

しかし、当然ですが、この規制強化が無視できない影響を与えている領域もたくさんあります。
その一例として、「インディーズ的な映画などの制作」があるんじゃないでしょうか。


「金融業者」でないと映画が作れない
先日、メールで、「映画を制作するのに数千万円程度の資金を集めたいのですが...」というご相談がありました。しかし、この手のご相談が、今、もっとも困っちゃうのであります。

つまり、結論からすると、金商法の施行により、今や映画を作るために資金を集めると、「みなし有価証券の自己募集」ということになり、「第二種金融商品取引業者」の登録を受ける必要があるということになっているのではないかと思います。
つまり、単に映画作りたいだけなのに、「金融業者」として登録をして金融庁の監督下に入れ、さもなくば三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金だぞ、ということかと。

普通に自主制作映画のようなものを作ってる人たちって、そういうことには気づいてらっしゃるんでしょうか?今までの日本では、「アート」と「ファイナンス」の人たちというのはまったく住む世界が違っていたので、気づいていない人も多いんじゃないかと思います。

真面目にアートに取り組んでいただいている方には大変申し訳ないんですが、一度、いい映画で有名な映画賞をもらった人が金商法違反で逮捕されたりして、外国のメディアに「日本はどうなってるんだ?」「法律が文化を破壊する国、ニッポン」てなことを書かれたりしたらどうなるかを見てみたい気がします。
カンヌやアカデミー賞の舞台等で、外国の俳優が、
「日本じゃ、金融業者にならないと映画作れないらしいぜ!」
といったジョークを飛ばして、会場大爆笑、みたいな。


「金融商品取引業者」になって映画を作るべきか?
もちろん、数十億円金を集めてメジャー映画作ります、という話であれば、コンプライアンスにコストや人手をかけることも可能でしょうし、どんなスキームでも組めるかと思います。(また、後述の通り、そういう場合にはそもそも金商法の規制を受けない可能性が高い。)

「金融商品取引業者」とか「登録」といったキーワードで検索すると、こうした登録のお手伝いをしてくれる行政書士さんなどのページがたくさんでてきますが、(また、もちろん「資金を集めて運用する」ファイナンス的な実態があり、金融業務の経験もあるような方なら登録すべきでしょうけど)、単に映画等を作りたいだけの人が、たかだか数千万円の資金を集めるために、資本金1000万円以上の株式会社等を準備して第二種金融商品取引業者の登録をして、行為規制等に耐えられるだけの態勢(内部統制のとれる組織や広告のチェック態勢など)を構築するなんてことをしなければならない社会的意義が、はたしてあるんでしょうか?

というわけで、前述のご相談の件ですが、
私は、「金融商品取引業者」になるということが、どのような組織内コンプライアンス態勢等が必要になるかということを想像するに、クリエイティブな活動をしている方に、「第二種金融商品取引業者になれ」なんてことは言いたくない。真面目に良質の映画を作ってる人に「なんとかなりませんか」と言われたら、なんとかお手伝い差し上げたいところではあるのですが、金商法を潜脱するような違法性の高いスキーム構築をお手伝いするわけにもいかない。

とはいえ、法律は法律なので仕方がない。以上のような法改正の要点を詳しくご説明して、「このような法改正が行われた結果、ご相談にみえてもお役に立てないと思いますよ」、ということを婉曲にお伝えしたつもりだったのですが、

「ホームページで見る分には親切に相談に乗ってくれそうだったのに、そういう言い方されると取りつく島がない。知識があるのはよくわかったが、性格に問題があるんじゃないか?」

的なことを言われまして・・・・どうも、不快な思いをさせてしまったようですみません・・・。(でも、取りつく島がないのは私ではなくて金商法の方だと思いますが・・・。まさかそんなひどいことになっているとは想像すらされてないでしょうから、もちろん悪気は全くないんだと思います。)

というわけで、罪滅ぼしというわけではないですが、以下、法令等の概要と、こうしたニーズの場合における、金商法の潜脱にはならない簡素なスキームの案を掲げて、映画等を制作される方のご参考にしていただければと思います。

なお、膨大な法令やパブコメの中から気づいたところだけを抽出したものですので、完全性を保証するものではありません。実際のスキーム構築の際には、弁護士、税理士等にご相談してください。
 

規制の概要
まず「みなし有価証券」について定義しているのは、金融商品取引法の下記の条文。

第二条二項
前項第一号から第十五号までに掲げる有価証券、同項第十七号に掲げる有価証券(同項第十六号に掲げる有価証券の性質を有するものを除く。)及び同項第十八号に掲げる有価証券に表示されるべき権利並びに同項第十六号に掲げる有価証券、同項第十七号に掲げる有価証券(同項第十六号に掲げる有価証券の性質を有するものに限る。)及び同項第十九号から第二十一号までに掲げる有価証券であつて内閣府令で定めるものに表示されるべき権利(以下この項及び次項において「有価証券表示権利」と総称する。)は、有価証券表示権利について当該権利を表示する当該有価証券が発行されていない場合においても、当該権利を当該有価証券とみなし、次に掲げる権利は、証券又は証書に表示されるべき権利以外の権利であつても有価証券とみなして、この法律の規定を適用する。
(中略)
5 民法 (明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項 に規定する組合契約、商法 (明治三十二年法律第四十八号)第五百三十五条 に規定する匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律 (平成十年法律第九十号)第三条第一項 に規定する投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約に関する法律 (平成十七年法律第四十号)第三条第一項 に規定する有限責任事業組合契約に基づく権利、社団法人の社員権その他の権利(外国の法令に基づくものを除く。)のうち、当該権利を有する者(以下この号において「出資者」という。)が出資又は拠出をした金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)を充てて行う事業(以下この号において「出資対象事業」という。)から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利であつて、次のいずれにも該当しないもの(前項各号に掲げる有価証券に表示される権利及びこの項(この号を除く。)の規定により有価証券とみなされる権利を除く。)
イ 出資者の全員が出資対象事業に関与する場合として政令で定める場合における当該出資者の権利 ロ 出資者がその出資又は拠出の額を超えて収益の配当又は出資対象事業に係る財産の分配を受けることがないことを内容とする当該出資者の権利(イに掲げる権利を除く。)
ハ 保険業法 (略)
ニ イからハまでに掲げるもののほか、当該権利を有価証券とみなさなくても公益又は出資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定める権利

(おそらく、普通に映画を作ってる方というのは、この条文を読んで理解することすら難しいんではないかと思います。映画を作ってる方々が「アホだ」と申し上げているのではなくて、こうしたややこしい条文を理解するには、普通の社会生活を行うには必要の無い特殊な能力が要求されるかと思います。
「弁護士ですら、そういう教育を受けていない」とおっしゃる方もいらっしゃいます。ご参考:http://www.tez.com/blog/archives/001097.html。)

つまり、明示的に任意組合や匿名組合といった形式を採用する場合はもちろん、「儲かったらその分お返ししますよ」という約束をして資金を集めた場合には、すべて「集団投資スキーム」として「みなし有価証券」に該当すると考えられます。

そして、この「みなし有価証券」は、たとえ自分で資金を集める「自己募集」であっても、金融商品取引業者でないと行えません。(金融商品取引法第二条8項)

 この法律において「金融商品取引業」とは、次に掲げる行為([略]を除く。)のいずれかを業として行うことをいう。
(中略)
七  有価証券(次に掲げるものに限る。)の募集又は私募
イ〜ホ (略)
ヘ 第二項の規定により有価証券とみなされる同項第五号又は第六号に掲げる権利
ト イからヘまでに掲げるもののほか、政令で定める有価証券


金融商品取引業者になるとどういった規制がかかるのか、というのはこのへん

ファンド関連ビジネスを行う方へ(登録・届出業務について) http://www.fsa.go.jp/common/shinsei/fund.html#main

をご覧ください。

以下のような規制がかかってきます。

(b)主な行為規制
主な行為規制として次の事項が定められています。
1. 顧客に対する誠実公正義務
2. 名義貸しの禁止
3. 広告規制
金融商品取引業者は、業務の内容について広告又は広告に類似する行為をするときは次に掲げる事項等を表示しなければならない。
(1)商号、名称又は氏名
(2)金融商品取引業者である旨及び登録番号
(3)顧客が支払う手数料等の対価に関する事項
(4)リスクに関する事項
(5)金融商品取引契約に関する重要な事項について顧客の不利益となる事実
(6)金融商品取引業協会に加入している場合は、その旨及び加入している金融商品取引業協会の名称
4. 契約締結前の書面交付
金融商品取引業者は、金融商品取引契約を締結しようとするときは、あらかじめ、次に掲げる事項等を記載した書面を交付しなければならない。
(1)商号、名称又は氏名及び住所
(2)金融商品取引業者である旨及び登録番号
(3)金融商品取引契約の内容
(4)顧客が支払う手数料等の対価に関する事項
(5)リスクに関する事項
(6)契約締結前書面の内容を十分に読むべき旨
(7)金融商品取引契約の租税の概要
(8)金融商品取引業者及び行う金融商品取引業の概要
(9)顧客が金融商品取引業者に連絡する方法
(10)加入している金融商品取引業協会の有無及び加入している場合は金融商品取引業協会の名称
(11)有価証券の譲渡に制限がある場合はその旨及び内容
(12)集団投資スキーム(ファンド)の経理に関する事項
(13)外国の法令に基づく集団投資スキーム(ファンド)の場合は次の事項(略)
5. 契約締結時の書面交付
金融商品取引業者は、金融商品取引契約が成立したときは、遅滞なく、次に掲げる事項等を記載した書面を交付しなければならない。
(1)商号、名称又は氏名
(2)営業所又は事務所の名称
(3)金融商品取引契約の概要及び契約成立の年月日等
(4)顧客が支払う手数料等の対価に関する事項
(5)顧客の氏名又は名称
(6)顧客が金融商品取引業者に連絡する方法
(7)売付け又は買付けの別、銘柄、約定数量、単価、顧客が支払う金銭の額、取引の種類等
6. 禁止行為
(1)金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為
(2)顧客に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げて金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為
(3)顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして、当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度による説明をすることなく、金融商品取引契約を締結する行為
(4)金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
(5)金融商品取引契約につき特別の利益の提供を約し、又は特別の利益の提供をする行為
(6)金融商品取引契約の締結又は解約に関し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をする行為
(7)金融商品取引契約に基づく金融商品取引行為を行うことその他の当該金融商品取引契約に基づく債務の全部又は一部の履行を拒否し、又は不当に遅延させる行為
(8)顧客の損失の全部若しくは一部を補てんし、又は顧客の利益に追加するため、当該顧客又は第三者に対し、財産上の利益を提供し、又は第三者に提供させる行為
(9)集団投資スキーム(ファンド)持分について、出資され、又は拠出された金銭が、当該金銭を充てて行われる事業を行う者の財産と分別して管理することが確保されていない場合の募集等
(10)投資運用業に関して、自己又はその取締役若しくは執行役との間における取引を行うことを内容とした運用を行うこと
(11)投資運用業に関して、運用財産相互間において取引を行うことを内容とした運用を行うこと
(12)投資運用業に関して、特定の金融商品、金融指標又はオプションに関し、取引に基づく価格、指標、数値又は対価の額の変動を利用して自己又は権利者以外の第三者の利益を図る目的をもつて、正当な根拠を有しない取引を行うことを内容とした運用を行うこと
(14)投資運用業に関して、通常の取引の条件と異なる条件で、かつ、当該条件での取引が権利者の利益を害することとなる条件での取引を行うことを内容とした運用を行うこと
(15)投資運用業に関して、運用として行う取引に関する情報を利用して、自己の計算において有価証券の売買その他の取引等を行うこと
7. 投資運用業に係る忠実義務、善管注意義務、分別管理義務、運用報告書の交付義務等

(c)行政処分
行政処分について次のとおり定められています。
1. 金融商品取引業者に対する業務改善命令
内閣総理大臣は、金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができます。
2. 金融商品取引業者に対する登録取消し命令及び業務停止命令
内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができます。
(1)金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し法令又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき
(2)業務又は財産の状況に照らし支払不能に陥るおそれがあるとき
(3)金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき、等


銀行や証券会社に勤務されたことがある方などは、これがいかに大変なことなのかということについてイメージがわくかと思いますが、映画しか作った事無い方は、どういう事務を行えばいいかイメージすらできないのではないかと思います。
あまり深く考えずに金融商品取引業者になる道を選択すると、後で大変なことになる気が濃厚にします。
(要するに、なんかちょっと事務ミスをするたびに、法律上は、懲役とか罰金とかの可能性がでてきますので、金融商品取引業者が映画を作るということは、そうした懲役等の心配をしながら映画を作るということです。)

なんで懲役の心配をしながら映画作らないといけないんでしょうか。
また、ベンチャー企業等の普通の株式会社が増資をするのは金融商品取引業者にならなくてもできるのに、なぜ、「みなし有価証券」の場合には、(閾値の規程もないので)友達から100万円お金を集めるにも金融商品取引業者じゃないとできないんでしょうか?

ということで、例えば株のファンド等のファイナンス的なファンドをやるというならともかく、実態が「実業」である場合には、(少なくとも金融業の事務勘がある方以外は)金融商品取引業者になるという道はまったくおすすめできない。

「おおすぎブログ」によると、神田秀樹先生は、

日本では未だに「どうすれば規制を回避できますか」「どうしたら金商法の適用のないスキームにできますか」という問いばかりを聞く。(中略)横断化した法制を前にしてその適用を避けようとするスキームを熱心に研究するということはおかしいし、関係者の間にこうした態度があるとすれば、それは賢いとはいえない。(中略)

とおっしゃってるそうですが、神田先生をはじめとする金商法を検討された学者や弁護士等の方々って、「金融商品取引業者」の事務をちゃんとやるのがどのくらい大変か?というイメージがわかってらっしゃるんでしょうか?
金商法の適用を受けない方法を考えるというのは、非常に「賢い」ことだと思うんですが。
 

適用除外事項は非常に厳格に解釈される
ところがどっこい、金商法やその内閣府令等は「こんな規程逃れをするやつがいたらどうする?」ということを徹底的に考えて作られているので、その適用を逃れるというのは容易なことではない。

まず、出資者に「適格機関投資家」をまぜる、といった方法が考えられます。(金商法63条。)
実際、記事によると、みずほさんなどは累計で50億円も投資されているようですが
例えば「映画の専門学校を出てすぐだが才能あふれる新人」みたいな人は「適格機関投資家」とどうつきあっていいかもわからないという人も多いのではないかと思います。

(お好きかどうかはさておき)「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」は3万ドルで作ったらしいですが、その程度のお金を集めるのに、いちいち「適格機関投資家」と交渉しないといけないのはどうなんでしょうか。


また、第二条2項5号にあるとおり、

イ 出資者の全員が出資対象事業に関与する場合として政令で定める場合における当該出資者の権利
ロ 出資者がその出資又は拠出の額を超えて収益の配当又は出資対象事業に係る財産の分配を受けることがないことを内容とする当該出資者の権利(イに掲げる権利を除く。)

といった場合も適用除外になりますが、「出資者がその出資又は拠出の額を超えて収益の配当又は出資対象事業に係る財産の分配を受けることがないことを内容とする」というのは、「いくら儲かっても、あんたには儲けはあげないよ。(損したらかぶってね。)」という意味ですので、そんな条件で映画制作資金が集まるわけがない!(「ふざけてんのか!」と怒鳴られるのがオチ。)

「イ」については、金融商品取引法施行令第一条の三の二で、より詳しく定められておりまして、

(出資対象事業に関与する場合)
第一条の三の二  法第二条第二項第五号 イに規定する政令で定める場合は、次の各号のいずれにも該当する場合とする。
一  出資対象事業(法第二条第二項第五号 に規定する出資対象事業をいう。以下この条及び次条第四号において同じ。)に係る業務執行がすべての出資者(同項第五号 に規定する出資者をいう。以下この条において同じ。)の同意を得て行われるものであること(すべての出資者の同意を要しない旨の合意がされている場合において、当該業務執行の決定についてすべての出資者が同意をするか否かの意思を表示してその執行が行われるものであることを含む。)。
二  出資者のすべてが次のいずれかに該当すること。
イ 出資対象事業に常時従事すること。
ロ 特に専門的な能力であつて出資対象事業の継続の上で欠くことができないものを発揮して当該出資対象事業に従事すること。

となっております。

つまり、出資者「全員」が「必ず」決議をしながら事業を進めていくような場合とか、出資者「全員」がいつもその事業にベッタリ張り付いているとか、または、出資者「全員」が特殊な役割を持ってその事業に参画しているような場合には、「みなし有価証券」とはならないし、みなし有価証券でないということは、その出資を集めるのも、当然、金融商品取引業者にならなくても済みます。

たとえば、ジブリ映画を作るといった大規模プロジェクトの場合、ジブリ、徳間書店、日本テレビ、電通、三菱商事さんといった面々が参加する製作委員会は、参加者全員がそれぞれテレビ媒体、ローソンチケットといった「特殊な役割」を持ってらっしゃいますでしょうし、専任のメンバーをプロジェクトにアサインしているでしょうし、意思決定についての決議で集まるとか、議事録や決裁書類を作ると言った事務もできるでしょうから、おそらく、この製作委員会への出資は「みなし有価証券」にはならないようにされているのではないかと思います。

しかしながら、数千万円程度までの少額を集める場合には、逆に、出資者が常時そのプロジェクトに張り付くなんてことは考えにくい。お金を出してくれる人が見つかったら御の字で、その人に「特殊な役割」まで期待できるとは限らないでしょうし、すべての業務執行の決定について決議に参加してもらうなんてのも非現実的です。

「出資者がたまに口を出す」のではダメです。
パブリックコメント

http://www.fsa.go.jp/news/19/syouken/20070731-7/00.pdf

(2ページから12ページあたり)を見ると、「1回病気等で欠席したのでもOKとは言えない」的な、非常に厳格な解釈が取られているようですので、「金は出すから、たまには現場をのぞかせてもらったり意見したりするかも知れないけど、基本的には君のやりたいようにやりな。」といった「物わかりのいい」出資者の方から資金提供を受ける場合には、「みなし有価証券」に該当し、金融商品取引業者としての登録が必要になると考えられます。
 

この規制に意味はあるか?
もちろん、外形的に(平たくいうと書類を見た役所の方が)「いい映画制作者」と「映画制作の名を借りたアヤシゲな詐欺まがい行為」とを区別する方法はないし、2000万円とか3000万円というのは、(「ファンド」としては限りなく小さいですが)、詐欺まがい行為の金額としては決して小さくない。ですから、「投資家を保護する必要がある」と言われればそのとおりではあります。

一方で、普通に株式会社で2000万円とか3000万円を集める場合には、「金融商品取引業者になれ」なんてことは言われないのに、なぜ、「みなし有価証券」に限ってこれほどキツい規制を受けなければならないのか、まったくもって謎であります。今や資本金1円でも設立できる株式会社がそんなに偉いでしょうか?株式会社でもそういった詐欺まがい行為が行われる可能性はあるのだから、株式会社と同程度の規制を行えばいいだけの話じゃないでしょうか?

(あんまり言い過ぎると、「第二種金融商品取引業者にならないと、ベンチャー企業は株式を発行してはならない。(ただし経済産業大臣の認定を受けた場合を除く。)」といった規制が導入されるかも知れないので、このへんでやめときますが。)

こんな規制が行われたら、ハリウッドやフランスやインドだったら暴動が起こるのは確実ではないかと思いますが、日本では、映画、音楽、アート等の関係者が集まって、「金商法による文化破壊はやめろ!」といった集会が開かれたりはしてないんでしょうか?
今までの日本では、そういった活動というのは、大資本の映画会社の下で行われるものか、または親から借金したり手弁当の範囲内で行われるものがほとんどだったので、それで困る人というのはあまりいないのかも知れませんが、高性能なビデオや編集機材が激安になってきている今、そうしたインディーズ的な制作の芽を摘むというのが、せっかくアニメやマンガで盛り上がっている日本の戦略として正しいのか、大いに疑問であります。

(気が向けば、後編「金商法違反や潜脱にならないインディーズ映画の資金調達方法はあるか?編」に続く。)