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May 31, 2008

「労働組合」との対比で考える「買収防衛策」(株主の「団体交渉権」を認めよ)

マスコミの方から、「来週あたり買収防衛策について意見交換しましょう」、というお申し出があったので、私の頭の整理のために、いくつかエントリを書いてみたいと思います。

まずは、先日5月28日の日本経済新聞「大機小機」欄の「株主総会判断型防衛策への疑問」(腹鼓氏)について。

タイトルの「株主総会判断型防衛策への疑問」があるというところは同感ですし、結論の「本当に買収防衛策が必要な場面であれば、善管注意義務を負う取締役会の責任で発動し、その評価は司法判断に委ねるべきであろう。」というところも、スジ論としてその通りだと思います。

しかし、途中の論理展開にはちょっと「?」なところも。


「株主総会判断型」の中には、定款変更は行わず、株主総会ならぬ「株主集会」で防衛策の発動を決める乱暴な設計のものもある。

「乱暴」かなあ。

「株主総会判断型」を入れる会社は、「具体的な買収提案を前にして防衛策を発動するかどうかを株主に判断させるのだから、経営者の保身とは無縁な良い防衛策である」と言う。しかし、これは額面通りには受け取れない。
(中略)
株主総会は、買収者よりも経営者に有利な戦場なのである。

これは、おっしゃるとおりかと思いますが、

 そもそも、上場会社株式は個々の投資家の資産である。買収に応じるか否かは個々の株主の判断によるのが原則であるはずだ。株式の自由譲渡性は株式会社制度の根幹であって、定款上の根拠があればまだしも、個々の株主が「株主集会」の多数決によって売却機会を奪われる法的根拠は薄弱である。
(中略)
 本当に買収防衛策が必要な場面であれば、善管注意義務を負う取締役会の責任で発動し、その評価は司法判断に委ねるべきであろう。


と、ここのところがよくわからない。


ある弁護士さんが、
「定款変更を伴わずに株主総会で買収防衛策について決議するのは会社法上の意味は無いので、いわば『アンケート』のようなものだ。
とおっしゃっていたのですが、非常にうまい説明ではないかと思います。
取締役会が善管注意義務を果たすために、株主の方々に「みなさんはどう思われますか?」と確認するのは、確認しない場合よりも「絶対いい」とまでは言えないにしても、少なくとも悪いことだとは思えないのですが。

この「腹鼓氏」が、「取締役会の決議だけで売却機会を奪うとはけしからん。」という主張をしているなら首尾一貫してますが、取締役会の決議でもOKとしながら、「アンケート」をとると法的根拠が薄弱になるというのはナゾであります。

法学的な議論ではなく、「ぐちゃぐちゃ言い訳の資料を作ってないで、男らしく取締役会だけで決めやがれ!」というノリの話だとすれば、ある意味非常に共感いたします。
私はそもそも、「株主総会判断型防衛策」の方が「取締役会判断型」より優れているんだ、といった論調になることに大反対なのであります。


「労働組合」に例えて考える「買収防衛策」
さて、

上場会社株式は個々の投資家の資産である。買収に応じるか否かは個々の株主の判断によるのが原則であるはずだ。株式の自由譲渡性は株式会社制度の根幹

という部分ですが、ここは、

職業選択の自由は憲法で保証されてるんだから、ある条件で個々の職業に就くかどうかは個々の労働者の判断によるのが原則。

という主張と非常によく似ています。

我々は「原則」を食って生きているわけではないので、労働組合を作って団体交渉したほうがみんなの給料が高くなるんだったら組合を作った方がいいし、買収者がそのままTOBかけたら直前の株価にプレミアムが20%つかないところが、団体交渉したら50%のプレミアムになるんだったら団体交渉した方がいい。
最も重要なのは組合の委員長や幹部が交渉上手な頭の切れる人物なのか、アホな交渉して個別に交渉するよりかえって悲惨な結果に終わるアホなのか、というところでしょう。(つまり、「組合をつくると必ず悪い結果になる」とは限らないわけです。)


「買う側の人」は「団体交渉なんかすると、皆さんも損しますよ」とさかんに宣伝してるわけですが、日本はアメリカから資本主義の歴史が四半世紀遅れているわけで、まだ、こうした「団体交渉」をやったこともないし、買収者との交渉の経験が絶対的に不足しているわけです。
売買が成立しないのは「売る側」も「買う側」ももちろん困るわけですが、「買う側」は、団体交渉されて買値があがるのも困るわけです。
せっかく株価が下がっていて売買益を得るチャンスがあるのに、激しく団体交渉されて「仕入れ値」があがったら、おいしい商売ができなくなっちゃうわけですから。

戦後、労働組合が解禁された時に、当初は労使ともに団体交渉というものがよくわからなかったし、非常に過激で結局労働者のためにならない組合活動も多々あったんじゃないかと思いますが、日本人もアホではないので、労使お互いに得になるのはどういう運営なのかというのは、しばらくやっていればだんだんわかってくるはずだと思います。

買収防衛策も日本で始まってからまだ2〜3年しか経ってないのに、「すべての団体交渉はマイナスに働く」といった主張を真に受けて団体交渉権を放棄してしまうのが、本当に長期的に見て投資家や市場のメリットになるんでしょうか?

四半世紀遅れているんだから、少なくとも10年単位の未来を考えて、どういう姿が本当に投資家のためになるのか、というビジョンを持たないといけないのではないかと思います。
それはすべての会社で「労働組合」が作られている未来でもなければ、すべての労働者が団体交渉権を放棄している世の中でも無いはず。

「アメリカでは買収防衛策を撤廃する企業も増えているのに、日本では逆に導入がはじまっているのはヘンだ。」といった論調も非常におかしな話。

団体交渉権が社会的にきちんと認められている社会で明示的な「労働組合」を作らないというのと、団体交渉権がまるで今まで認められてこなかった国で「労働組合を作るな」というのとは、まったく違う話だと思うわけです。
現代の日本人が「労働組合活動って、あまり激しくやると労使ともに疲弊するケースも多いよねー。」という感想を持つからといって、ミャンマーの人に「労働組合を作る権利を認めさせるのもどうかと思いますよ。」というのは、違うでしょう。

同様に、アメリカで買収防衛策を撤廃する企業が出て来たからといって、日本も買収防衛策を撤廃した会社の方がエラい、と考えるのは物事を単純化して考え過ぎなのではないかと思います。

(ではまた。)

May 28, 2008

牛乳が製造後1年経ったらどうなるか?(テイスティング編)

「牛乳が製造後1年経ったらどうなるか?」というエントリで、事務所の冷蔵庫に1年間眠っていた秘蔵熟成牛乳を取り出しておそるおそる飲んだところ、飲めるだけでなく、うまかったという話をいたしました。

このビンテージ牛乳も残りわずかになってきたので、今回は、新しい牛乳を買って来てテイスティングで両者の違いを見極めようという試みであります。

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両者をコップについで、ヴィンテージの違いやテロワールの表現の違い(笑)を感じ取ろうと思ったのですが・・・驚いたことに、私の舌では、どっちがどっちか区別がつきませんでした。(私、世の中の平均以上には味の違いがわかる男ではないかと思っておりますが・・・・。)

前のエントリで、「気のせいか、普通の牛乳よりものすごくコクがあって、しかも後口がすっきりしている感じがします。」とか書いたのは、結果的にはちょっとミスリーディングでしたね。新品自体が、そもそも普通の牛乳よりコクがあって後味がすっきりしている、ということかと思います。

前のエントリを読んで、「変質した牛乳なんか飲んだら、危ないよ」というご注意を何人かの方からいただいたのですが、変質した牛乳を飲んだわけじゃなくて、「1年経っても変質していなかった」(日本の食品に関する世論の反応や食品会社のリスク対応って、過剰なんじゃないの?)、という話であります。(念のため。)

(ではまた。)

May 27, 2008

「Air飲み会」@HI.SCORE Kitchen開催

私のMac移行を肴にして、昨晩、「[N]ネタフル」のコグレ師と、「[mi]みたいもん」のいしたに師、「Drift Diary12」のdrikin 師といっしょに、「Air飲み会」を開催いたしました(というか、開催していただきました。)

場所をどこにしようか悩んだ末、渋谷に先ごろオープンした、paperboy&co.社長の家入さんのカフェ 「HI.SCORE Kitchen(ハイスコアキッチン)」で、ということに。

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(ピンボケ)

このお店、料理に未だ体験したことないような味の工夫がいろいろされていて、大変おいしゅうございました。(岸朝子)

例えば「バニラ・オレンジソースのパスタ」ってのはすごかったです。デザートではないのに、バニラビーンズとオレンジの香りでアレンジされた食ったこともないパスタ。

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あと、名前忘れましたが、ゆず胡椒風味のドレッシングのサラダが辛さのパンチがハンパなく効いていて、これまたガツーンと来ましたです。

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そしてなんと、途中、オーナー家入さんに席までご挨拶に来ていただきまして。
(実は、初対面だったんですが。)

帰られた後に思い出しましたが、2004年にこのブログはじめるときにMovable Typeのインストール方法がイマイチよくわからなかったので、ロリポップ(http://lolipop.jp/)のMTインストールガイドを参考にさせてもらってブログをはじめたのでありました。
(サーバは、大変恐縮なことにロリポップのじゃなかったんですが・・・。)

そういう意味では、こうして「isologue」が存在するのも家入さんのおかげとも言えます。昨日はお伝えしそこねましたが、改めて御礼申し上げます。その節は、どうもありがとうございました。<(_ _)>

さて、本題のMacBook Airですが、なにせMac界の巨匠のお三方ですので、すごいツールや裏技を立て続けに拝見して、「ほーっ!」「おーっ!」と感嘆の声を上げることしきりで。
一人で学習して身に付く数年分くらいのワザが、数時間でゲットできてしまった気分であります。
(drikin師のiPhone上で走っている膨大なアプリ群もスゴかった。)

ちょっとまだ完全に会得していないのでお伝えするにも限度がありますが、改めて巨匠お三方にも御礼申し上げます。<(_ _)>

(ではまた。)


May 26, 2008

「チャリティオークション」の資金フローの設計(続編)

アメリカなどでは、お金持ちが集まったチャリティのパーティでオークションが行われるといったことはよくあるだに聞きますが、日本ではまだ「寄付」という習慣が欧米ほどには根付いていないと思いますし、寄付の中でも(「募金」はある程度行われてきたと思いますが)、「チャリティオークション」というのが(テレビの企画などと連動して)大規模に行われたということは、まだ例が少ないんじゃないかと思います。

先日検討したチャリティーオークションの特徴をひと言で言うと、

「寄付」という行為と「売買」という行為が混在している。

ところではないかと思います。
この混在によって、いろんな処理がややこしくなってくると思われます。

 
「落札者からの寄付である」と考える場合
前回のエントリで検討した案の中では、オークションへの出品者から落札者へは絵画等の譲渡が無償で行われて、落札金額は落札者からしかるべき団体への寄付であると考えると、善意で考えた場合の落札者の意思を最も適切に反映しているし、落札者も(法人の寄附金の損金算入枠内であったり、個人が寄付した相手が特定寄付金の対象になる団体等であれば)税メリットも最も受けられるのではないか、と思っておりました。

しかし、この案にはちょっと弱点があります。

それは、この落札価格は、仮にも「オークション」というオープンな場で決定された価格であり、(みなさんマインドとしては寄付の要素が強く、かつオークションのゲーム性やテレビということもあって若干エキサイトしているにしても)、ここで決定された落札価格が「時価」ではない、「時価」からはまったく乖離しており、物品としての価格はゼロ円であるといったことを税務的に主張するのは、ちょっと無理がある場合も多いだろうなあということです。
換言すると、タレントなり漫画家なりの方から無償で絵画等が譲渡されるとすると、落札者は時価分に対して贈与税を課税されるリスクが理論的にはあるかと思います。

一般の人が1個数十万円程度までの低価格なものを善意でこじんまりやってるようなチャリティオークションであれば、(税務当局も鬼ではないので)、そこをことさらに問題にするという可能性も低いのではないかと思いますが、今回の行列のできる法律相談所の「カンボジア学校建設プロジェクト」のように、大規模で1件あたりの金額も大きく、主催者が上場しているテレビ局、出品者が高額所得者であるタレントや漫画家、落札者も所得が大きそうな自営業者や会社社長等ばかりだとすると、税務的な問題になる可能性は極めて低いとは言いにくくなってくるのではないかと思います。


「出品者の寄付」と考える場合
24時間テレビや、ヤフーさんのチャリティーオークションのページをさらっと拝見してみたのですが、どうも、税務上の取扱いについて解説したようなページは見当たりません。
(例えば、「このオークションでの収益金は、皆様からお預かりして、特定公益増進法人○○への寄付とさせていただきますので、税制上の優遇措置があります。」といった形のものなど。)

ヤフーのチャリティオークションが(仮に)ヤフオクの考え方をそのまま踏襲しているとすると、売買は出品者と落札者との間で行われてヤフーは直接の売買の当事者ではなく、落札者の支払う落札金額はヤフーさんが預り金処理して、しかるべき団体に寄付するということになるかと思います。
すなわち、寄付をしているのは「出品者」である、というのが一番素直に解釈した現状の法律関係なのかなあ、という気がします。

そうすると、島田紳助氏の絵は500万円で落札されたので、島田紳助氏の所得が500万円増加することになり、寄付した先が寄付金控除の対象とならない団体等であるとするならば所得控除は受けられないので、島田氏は累進の税率はmaxでらっしゃるでしょうから、落札額の約半分が税金でも持っていかれるという、なんともむごい結果になってしまう可能性もあるんではないかと。


落札者の会計処理も(いずれにせよ)複雑
上記のように、落札者が「寄付」をしたのではなく500万円の絵画を単純に「購入」したと考える場合、その絵画を資産計上するということになりますので、買ったときの処理はシンプルになるかと思います。

一方で、この「資産」を償却するのか否か、というのは、これまたややこしいところ。

買ったのが法人だとした場合、下記のような通達がありますね。

(書画骨とう等)
7-1-1 書画骨とう(複製のようなもので、単に装飾的目的にのみ使用されるものを除く。以下7-1-1において同じ。)のように、時の経過によりその価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないのであるが、次に掲げるようなものは原則として書画骨とうに該当する。(昭55年直法2-8「十九」、平元年直法2-7「二」により改正)
(1) 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
(2) 美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等
(注) 書画骨とうに該当するかどうかが明らかでない美術品等でその取得価額が1点20万円(絵画にあっては、号2万円)未満であるものについては、減価償却資産として取り扱うことができるものとする。

これから考えると、今回の「カンボジア学校建設プロジェクト」に出品された絵画のうち、例えば、美空ひばりさんの描いた絵、なんてのは「歴史的価値」「希少価値」はかなりありそう。
また、工藤静香さん、片岡鶴太郎さん等は、絵のプロでもありますので、「号いくら」といった相場が形成されている可能性があり、上記の「(2)」に該当してしまう気もします。
これらは、税務上、償却するのは厳しいかも知れません。

一方で、会計監査的な観点からは、経済的実態はどうか(資産性が本当にあるのか)という点が問題になるかと思います。例えば島田紳助氏の絵と言うのは、(ご本人曰く)その500万円の内訳の大部分は経済的実態が「寄付」であるとのことで、とすれば、それに沿った会計処理(資産30万円+寄付470万円[有税])とせざるを得ないかも知れません。
また、その他の「絵を描くのは初めて」といったタレントの方が書かれた絵も、税務上も少なくとも償却はできるような気がします。

資産計上時の処理について、「このうち450万円は寄附金だ」「そして、そのうちXXX万円は損金算入不可だ」といった認定をうけると税金の取り返しようがないですが、償却資産とできるものであれば、償却を通じて損金算入できる可能性もある、ということですね。

以上のように、「買った」のが個人なのか法人なのか、出品されるモノがどういった性質のものなのか、そのモノの時価がいくらと考えられるのか等によって、会計上・税務上の処理が大きく解釈が異なる可能性もあるかと思います。
(つまり、ウェブで説明しても一般の人に理解してもらえるかどうかわからないくらい、むちゃくちゃ複雑。)

「実態」の判断によって大きな差が出ますので、ヤフオクさんなどで会計や税務について触れていないのも、正解かと思います。


理想的な?チャリティオークションのスキーム
今回の「カンボジア学校建設プロジェクト」の契約関係は、前述の通り、普通のオークションでの法律関係の延長線上でやっているとすると、おそらく(というか残念ながらというか)「出品者の寄付」という帰結になる可能性が高いのではないかと思います。(ご尽力されたスタッフの皆さんも、これほど高額な落札価格になるとも想像してなかったところかと思いますので、いたしかたないところでしょう。)

今後、さらに高額の(たとえば1千万円単位の)落札価格といった事態になると、税務上のインパクトもシャレにならない額になってしまうかと思います。

税理士 柳澤賢仁氏からいただいたコメントの最後の案に近いですが、今後も、大規模にやるとしたら、

  • 個人であるタレントや漫画家が、特定公益増進法人(または認定NPO法人など、寄付金控除の対象となる先)等に対して無償で絵画等を譲渡する。
  • 特定公益増進法人等がオークションを通じて落札者に絵画等を譲渡する。

といった形にするのが、善意で応募してくださる方々を税リスクから守ることになるのでは?という気がします。

  • 特定公益増進法人等がオークションを行うことがルール上可能か?
  • 特定公益増進法人等は事務上、そういったことにフレキシブルに対応してくれるか?
  • 例えば「カンボジアに学校を建てたい」と思った時に、その目的にぴったりくる法人が見つかるか?
  • 売買が特定公益増進法人等の収益事業とみなされないか?
  • あわよくば、落札額全額を寄付金控除等の対象にできないか?


など、いろいろ検討すべき課題はありそうですね。

(ではまた。)

May 25, 2008

「チャリティオークション」の資金フローの設計(疑問編)

「行列のできる法律相談所」の「カンボジア学校建設プロジェクト」という企画で、有名人が描いた絵をオークションし、その資金を元に学校を建設しようと番組内でオークションしたところ、5076万2000円もの資金が集まりましたね。500万円もあれば立派な学校が1つできるとのことなので、大成功というところではないかと思います。

こうした「善意」の資金をうまくまわすために、税務その他の制度上、どのような点を考える必要があるか、この「カンボジア学校建設プロジェクト」に関連してちょっと考えてみました。
「オークションで得た資金をカンボジアの学校に寄付する」という極めてシンプルに思える話が、考え始めると非常に深い・・・というか、非常にややこしい。

(寄付関係の制度は、いろいろ複雑で法律もあちこち分散しているので、私もすべての制度を完全に理解して書いているわけではございません。お気づきの点等ありましたら、ご教示いただければ幸いです。)


誰が売買の主体なのか?
当然、「行列」なので日テレさんがオークションの主催者だと考えるのが素直です。しかし、本企画の発端はアグネスチャンさんで、番組内でも「日本ユニセフ協会大使」と紹介されていましたので、もしかしたらユニセフがオークションの当事者になっているんでしょうか?
というのも、「株式会社」というのは寄付を取り扱う主体としては税務その他の制度上あまり優遇されていないので、日本ユニセフ協会のような特定公益増進法人が主体になるほうがいいはず。

・・・と思って調べてみたのですが、番組のスタッフロールにもユニセフの名前は見当たりませんし、ユニセフのホームページにもオークションのことは触れられていません。(もちろん、スタッフロールに表示したりホームページに書くかどうかではなく、実態として誰がオークション(というか、売買・譲渡)の当事者になっているかで課税関係が変わってくると思います。)

ちなみに、日テレさんはご案内の通り、「24時間テレビ」というのもやってらっしゃいますので、こうした寄付の処理についてはかなりノウハウがおありかも。Wikipediaの記載を見ると、

24時間テレビチャリティー委員会や参加局は、社会福祉法第73条および同施行規則14条・15条に基づき、厚生労働大臣の許可を得て募金活動・慈善活動・資金配分などを行っている。

とあります。
2007年8月の24時間テレビでは約10億円の寄付が集まったようですが、日テレさんの平成20年4月期の有価証券報告書を見ても、「24時間テレビ」は大型番組企画として名称が紹介されているだけで、会計処理等については言及されてませんし、10億円を超える営業外収入の営業外収入の科目等も見当たりません。
結局、この「24時間テレビ」に関わる資金の流れは、日テレさんの帳簿外で(または収入ではなく預り金等として)処理されているという可能性が高そうです。


チャリティ・オークションの会計処理(法人が主体の場合)
チャリティ・オークションは、出品者からは(おそらく)タダでモノを出品してもらって、それをオークション参加者が競り落とし、それが寄付されるという流れになってます。

「仮に」、オークションが法人の「仕入・売上」として行われているとします。
島田紳助氏の絵が500万円で落札されましたが、紳助氏自身が「なんぼ高くても30万円ですわ。」と謙遜されてたので、この絵が仮に時価30万円だとすると、出品者からの「仕入」の取引は、建前としては、

(借方)資産  30万円 (貸方)受贈益  30万円

となり、500万円で落札された結果、

(借方)現預金  500万円 (貸方)売却益  470万円
                  資産    30万円

となります。
この現金を寄付すると、

(借方)寄附金  500万円 (貸方)現預金  500万円

ということになります。

この場合の問題の第1は、寄附金の損金算入限度額を超える額は、日テレさんの会計上、損金に算入できないので、日テレさんは収入のかなりの部分が課税されてしまう可能性がある、という点です。

第二に、上記の仕訳では受贈益を区分しており、こうした市場で流通していないものの「時価」をいくらと判断するかという作業が非常に面倒。(しかし、「受贈益+売却益」は、必ず競り落とされた金額になるので、結局、法人が売買の主体となる場合には、1、2の仕訳をまとめて、

(借方)現預金  500万円 (貸方)売却益  500万円

とだけしても、この第二の点は、会計上も税務上もあまり問題にはならないかと思いますが。)

以上のように、24時間テレビで推測した処理ともあわせて考えると、とにかく、法人が寄付の受け手や出し手になるのは、あまりうまい方法とは言えなさそうです。


出品者の会計処理(オークション主催者が仲介者として売買する場合)
ということで視点を変えて、「ヤフオク」と同じように、日テレさんは単にオークションの主催者として出品された品を紹介し現金の収受等の手伝いをするだけで、実際の売買は出品するタレントと落札者の間で行われると考えてみましょう。つまり、出品者(タレント等)がそれによって得た資金を寄付するわけです。

その場合、出品者の会計処理としては、下記のようになると考えられます。

(借方)現預金  500万円 (貸方)売却益  500万円

そして、この500万円を寄付すると考えるわけです。
すると、寄付した相手方が「特定寄附金」になる相手であれば所得金額から(5000円を超える部分が)控除されますが、そうでないと、売却益だけが課税されて、踏んだり蹴ったりなことになります。

島田紳助氏が「我々の手で必ずカンボジアに学校を建てます」と宣言されてましたが、「我々」というのが日テレさんとか島田紳助氏やアグネスチャン個人だったりすると、当然、「特定寄附金」には該当しないということになっちゃいます。
出品者はみなさんタレントや漫画家の方で、課税所得や税率も高そうなので、この違いは大きいでしょう。


落札者が直接寄付している、と考える場合
3番目の考え方として。
500万円で出品された品を落札しているように見えますが、これはヤフオクなどでの落札とは違って、名目上「モノ」は介在するけど、その出品されたモノはタダで出品者から落札者に譲渡されただけで、実態は出品者の「寄付」なのだ(オークションしているのは、そのモノをタダでもらう代わりに寄付をする権利であって、モノ自体ではない)と考えてみます。

この場合、オークションを主催する日テレさんや出品者の方への課税リスクは小さくなりますね。

また、お金を支払った相手が特定公益増進法人等で特定寄附金として所得から控除できるのであれば、それだけ落札者の負担も軽くなるというもんです。
(もちろん、落札者は、所得控除をあてにして落札しているわけではないのではないかと思いますが。)


また、落札者は、時価30万円のものをタダで譲り受けたとすると、贈与税が課税される可能性がないわけではない。しかし、この時価の算定は容易ではないので、税務調査等で指摘される可能性があるかというと、あまり無いのではないかと思います。
ただし、漫画家や歌手などの大物で、「この人の絵ならいくらくらい」という相場が確立しているものについては、「寄付ではなく、落札額で絵画を購入した」と認定されるリスクが無いではないかと思います。




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「カンボジアに学校を作る」というのは誰が見ても「いいこと」のように思えます。しかし、それは「日本国外」のことでもあり、税務などの日本の制度上、そのままで「いいこと」として優遇されるとは限らない。へたなスキームを組むと、関係者に想定以上の負担をさせてしまう、ということになるかと思います。

以上、「カンボジア学校建設プロジェクト」をベースに、「チャリティ・オークション」というものをどのようなスキームで設計すればいいか、ちょっと考察してみました。

(ではまた。)

May 24, 2008

買収防衛策論議と捕鯨問題の類似性

本日つらつら考えていて、買収防衛策に関わる議論と捕鯨問題って、ちょっと似てるなあと思いました。

どちらも、外国から「野蛮だ」と言われると、一瞬「そんなに嫌われてまで続ける必要もないんじゃないか」と思ってしまう。
でも、どちらもよく考えたら、「お宅も牛殺して食ってますよね?」という話。

どちらも、それぞれの国の「文化(考え方)」に強く関連している。

どちらも、他国から言われてやめるのも癪だが、やめたらすぐに困ったことになるというわけでもない。

どちらも、日本人としては「捕鯨継続は正しい」と大手を振って主張しにくい。
なぜなら「鯨肉食ってる人」は利益相反があるので発言しても説得力がない。「鯨肉食ってない人」は、捕鯨禁止の主張が理不尽だと思っていても、自分も外国人から「野蛮」だと思われるようなことには巻き込まれたくない。

どちらも、非常に多数の視点から複合的に考えるべき問題でありながら、一人一人の人は単純な視点からの問題としてとらえがちである。

そして、どちらもきちんとデータに基づく科学的な議論のみが行われているとは言いがたい。確かに明らかに減少している種は捕らないほうがいいのかも知れないが、ミンククジラが減っているのか増えているのかは、データの見方による。(減ってない可能性も高い。)

(ではまた。)

May 23, 2008

牛乳が製造後1年経ったらどうなるか?

以前、「期限切れ3ヵ月後の牛乳を飲んだらどうなるか?」というのを書きましたが、驚いたことにうまかったんです、これが。

そしてまたまた事務所の冷蔵庫に1年間眠っていた秘蔵熟成牛乳を先ほど取り出してまいりました。半年過ぎたあたりから恐ろしくて開封する気も起きなくなっていたんですが、(親が昭和一桁なもんで)、食べ物を捨てるというのに非常に抵抗がありまして・・・・。

I_1722s.jpg

いったい中はどうなっているのか。
すんごいことになっているのか。
それとも、またしても正常なのか。
答えやいかに!?


・・・・・

・・・うまい!
それも気のせいか、普通の牛乳よりものすごくコクがあって、しかも後口がすっきりしている感じがします。牛乳界の古酒(クースー)誕生でしょうか。

日本の技術、凄い・・・。
というか、牛乳なんてたいてい1週間以内で飲むもんだから、せいぜい1ヶ月も持てばいいはずなのに、ここまで過剰に品質を高める努力を社会から求められている食品会社のみなさんの日頃のご苦労に頭が下がる思いです。

(ではまた。)

地デジ化で「3」が熱いか?

池田信夫ブログを愛読している影響で、「地デジ?、デジタルハイビジョン?、ふん!」と思っていたのですが、最近、地デジチューナー付テレビを買ったところ(というか、いまどき地デジチューナー付でないテレビもあまり売ってないとは思いますが)、地デジ、なかなかいいじゃないですか。

電波の利用効率とか電波利用料の問題とかアナアナ変換とかの話はともかく、利用者にとっては、同じタダなら画質がきれいな方がいいに決まってます。
「ごくせん」も目が痛いくらい鮮やかだし。世界遺産モノなどは、本当に旅行してる気分になるくらいであります。

さて、もう一つ地デジで変わったところが、テレビのリモコン。
テレビ朝日が「5」で、テレビ東京が「7」、教育テレビが「2」になって、私のリモコンでは、テレビ神奈川が「3」にアサインされてます。
結果として、「3」を押してしまう確率が非常に高まってます。
(朝なんか、Bloombergテレビやってて見ちゃったりして。)
テレビ神奈川の(潜在的な)媒体価値は、非常に高まっているんじゃないでしょうか


今までのテレビ神奈川は(うちのアンテナでは)ノイズがひどくて見る気になりませんでしたが、地デジだと別に他局と遜色ない。

テレビに入力した郵便番号で住所を判断して、神奈川や東京南部だと、テレビ神奈川に「3」をあてているのであって、関東でも他の地域だと「ちばテレビ」だったり「テレビ埼玉」だったりが当てはめられているのでしょうけど。
(関西では地デジで「3」に”出世”するのは「サンテレビ」または「びわ湖放送」でしょうか。)


なぜチャンネル間で業績に大きな開きが出るのか?
チャンネルが「ダイヤル」だった時代はともかく、「ボタン」のリモコンになった後も、民放VHF各局で業績に大きな差があるというのが、私としては大いに謎でありました。
テレビ業界方面の方に聞くと、
同じ番組を流したら、テレ東よりフジの方が3倍視聴率を取れると言われている。」
とのこと。

番組制作能力に差があるというなら、まだわかります。しかしそれも、優秀なプロデューサー等をヘッドハンティングしてくるなどの経営努力をすれば、経済学的には、チャンネル間のアービトラージが働いて民放VHF各局の収益性はほぼ同じになりそうなもんです。
いわんや、「同じ番組でも」という仮定の下では品質に差異は無いわけで、1センチくらいしか離れていないボタンの位置だけで視聴率が変わるというのが非常に不思議な現象ではないかと思ってました。


チャンネルの「ホームポジション」理論
以下、私が勝手に今思いついた理屈ですが。
関東の人は、従来、テレビのチャンネルの「8」

p1.jpg


あたりを指のホームポジションにして、「1」「4」「6」「10」「12」と飛んでいたと思うんですが、地デジ時代だと、「5」がホームポジションという感じがします。
右利きの人だと、ホームポジションから下とか右というのはちょっと動かしにくいはず。結果として私の場合、5(テレ朝)、3(tvk)を見る時間が増加し、「8」というのはかなり「辺境感」が高まっているというか、従来のテレビ東京的な位置づけになっちゃった気がします。
(もちろんHDDレコーダで録画して見るようなコンテンツは、コンテンツの中身で選ばれるので、朝など「生」でテレビを見る時のお話。)

こうなると、フジテレビやTBSを買収するより「3」を買収した方がROIは格段によくなるんじゃないでしょうか。

今は電波は鶴見区から飛ばしているのかも知れませんが、技術的には東京タワーや新東京タワー等からでも飛ばせるのではないでしょうか?(←素人考え。)免許も神奈川と東京南部でおりてるのだと思いますが、群馬や埼玉でテレビ神奈川の使っている物理チャンネルを使っているわけではないと思うので、その帯域をあけておくのは、これも素人考えでもったいないように思えます。
(もちろん、ちばテレビやテレビ埼玉もアリかも知れません。)

ちなみに、テレビ神奈川を例にとって、信用情報などを参考にすると、
資本金36億円で、2006年月期の純資産が41億円程度(有利子負債が22億円、現預金が10億円くらい。)、2007年3月期はちょっとだけ赤字。
純資産でもPERベースでも、普通なら50億円くらいの評価がいいところでしょうけど、そこを奮発して100億円くらいで売ってくれないでしょうか?
機材等に追加投資しても、フジテレビ(4000億円)やTBS(4500億円)を買うよりは、はるかに安いんじゃないかと。

株主は、上位5社(神奈川新聞、神奈川県、横浜市、横浜銀行、中日新聞社)を足して2,793,650株となってますが、登記簿を見ると発行済株式の総数は720万株(平成15年11月変更)となってますので、かなり株主は分散してそう。また、株主の方々は「高ければ売る」といった方々でもなさそうです。

免許も(素人なので)、どこにどう働きかけたら関東一円に電波がばらまけるようになるのか、関東一円での「3」の権利を得られるのかわかりませんが、普通に「3」のポテンシャルを考えれば、経営努力によって、年間数十億円程度の利益を獲得するチャンスはありそうな気がします。
それが(技術的に無理というならともかく)、制度的にできないというのであれば、それこそ帯域の無駄遣いであって、制度がおかしいのではないかという気がしますが、どうなんでしょうか。


#ちなみに、「3」だけに、イメージキャラクターは「世界のなべあつ」あたりで。


(ではまた。)

May 22, 2008

日本の現行制度下では「買収防衛策」は必然的に「保身」に見えてしまうんじゃないか?

マスコミでは、「買収防衛策=経営陣の保身だ」的な報道が行われがちですが、実際、日本の会社法や上場規定(適時開示規則)、その他明文化されていない指導等を踏まえて「買収防衛策」を導入しようとすると、「買収防衛策」が「保身」を意図していなくても「保身」に見えてしまうんじゃないでしょうか?というお話。

一般の方のみならず、マスコミの記者の方や機関投資家等の方、学者の方々も、実務上、具体的にどのようなプロセスや制限の下で上場企業が買収防衛策を導入しているか必ずしもよくご存じないと思いますので、(私もすべてを知っているというわけではないのですが)、私が見聞きした導入実務の実態について書いておきたいと思います。

(以下、長文。)


そもそも「買収防衛策」という用語を使うべきではない!
いわゆる「買収防衛策」ですが、この名称がまずもって「保身」丸出しですよね?

goo辞書で「防衛」という語を引いてみると、

ぼうえい ばうゑい【防衛】
(他からの攻撃を)ふせぎまもること。
「祖国を―する」
三省堂提供「大辞林 第二版」より

とあります。
「防衛」という言葉はつまりは「保身」そのもののことなのであります。

普通「防衛」という場合、例えばもし仮に中国が日本に武力を行使して攻め入ろうとしたときに、日本は防衛力というツールを使って「交渉」して、より有利な条件を引き出して、結果的に中国の支配下に入るという選択肢があるでしょうか

無いわけです。

つまり、「防衛」というのは、「どんなことをしても絶対的に相手の侵攻を排除する」語感を持っているわけです。

これに対して、企業が用いるいわゆる「買収防衛策」は、単なる交渉上のツールであって、相手がフェアな価格や方法で自社を買いたいというのであれば、当然、買収に応じなければなりません。

「買収防衛」は、日本語としておかしいわけです。

「防衛」という用語も「物価上昇に対する生活防衛策」みたいな使われ方はしますから、もしこれが、「企業価値防衛策」といった名前であれば、まだ意味は正しく伝わると思うわけです。

でも、「買収防衛策」と言ったら、どう聞いても「買収を防衛する策」にしか聞こえないですよね?

先日、英語でビジネスが相当ちゃんとできる方が、米国人に「買収防衛策導入」のことを説明する際に、「to set up the rule of defense of …」というような言い回しをしているのを見て、「(あちゃー)」と思いました。
この方は、買収防衛策が「保身」を図るものではなく「企業価値を高めるために使われる」ということを十分よく理解しているにも関わらず、やはり日ごろから「防衛策」「防衛策」と日本語で言っていると、「defense」が口をついちゃうわけです。

例えば、日本人記者が外国人投資家に買収防衛策について質問したり、外国の機関投資家が日本市場を調査したり、外国人に対して日本人が通訳するたびに、おそらく、相当程度「defense」という訳語が使われているんじゃないでしょうか。(当然、「Shareholder Rights Plan」等と言った方がきれいだと思いますが、なにせ日本語が「買収防衛策」ですから、「誤訳」とまで言えないと思いますし。実際、「poison pill defense」といった使われ方もすると思いますが、現在でも、経営者自らが平時に「poison pill」とか 「defense」といった用語を使うでしょうか?)

こうした積み重ねが行われると、(細部を良く見れば、投資家保護のためにかなりいろいろ配慮されている面もあるにも関わらず)、「日本の市場は閉鎖的だ」という印象を増長する結果になってしまっているのではないかと思います。

「たかが言葉」じゃなくて、何とか「買収防衛策」という用語を使わないで、日本市場の企業価値向上が図れるような制度にしないといかんのではないかと思います。
 


「買収防衛策」という用語を使わなくて済むか?
「じゃあ、『買収防衛策』という用語を使わなきゃいいじゃん?」と思いますよね?

ところが、そうはいかないわけです。

なぜなら、証券取引所が出している適時開示ガイドブックに、

買収防衛策の導入に係る開示資料の表題には、「買収防衛策」という文字を入れてください。
(東京証券取引所 会社情報適時開示ガイドブック[資料編]第5版 2-26ページ)

とあるので。
保身なんて意図していなくても、プレスリリースの冒頭に「保身しますよ」と書かないといけないわけです。

もちろん、こうした適時開示の注釈の趣旨はごもっともなところはあります。
買収防衛策導入初期には、「ライツプラン」とか「企業価値向上策」とだけタイトルが付けられていたリリースもありましたが、「ライツプラン」とか「企業価値向上策」と言われても、投資家もなんのこっちゃよくわからない。そういう言葉や概念自体が普及してないんですから。
そういう「美辞麗句」で投資家がごまかされないようにするために、「実態はいわゆる『買収防衛策』なんだよ」、というのを明確にするということは重要です。

しかしながら、前述の通り、「買収防衛策」という日本語も、あるべき姿を表していません

適時開示ガイドブックの説明書きを変えればいいかというと、そう簡単でもなさそう。
そもそもこれは有価証券上場規程の第442条(買収防衛策の導入に係る尊重事項)

買収防衛策の導入に係る尊重事項)
第442条 上場会社は、買収防衛策を導入(買収防衛策としての新株又は新株予約権の発行決議を行う等買収防衛策の具体的内容を決定することをいう。)する場合は、次の各号に掲げる事項を尊重するものとする。(以下略)

に関するものなので、上場規定を変更しない限り、「買収防衛策」という用語をまったくリリースの中で使わなくていいですよ、ということにはなりにくいんじゃないでしょうか。

とりあえず、プレスリリースのタイトルに「買収防衛策」とはいれずとも、

本プランは、世間で言うところの(有価証券上場規程第442条の)いわゆる『買収防衛策』に相当するものですが、買収防衛策という用語は、当社に対する買収に対して、頑なにこれを排除するといった誤解を投資家のみなさまに与えかねないため、以下、本プランを「○○○○○○策」と呼ばせていただきます。

といった説明書きを入れるのでもOK、といった対応にしていただく必要があるのではないかと思います。

そうしないと、リリースを見た第一印象からして「保身」にしか見えません。


アメリカの証券取引所の規定で、「買収防衛策」のプレスリリースの際に、「poison pill defense planといった文言をプレスリリースの表題に入れてください。」といった規定があるでしょうか?

みなさん、「Shareholder Rights Plan」といった用語で説明されているのではないかと思います。
 


わかりにくい会社法上の「買収防衛策」
さて、かわって会社法から見た「買収防衛策」の話。
ご案内の通り、会社法では「買収防衛策」という用語は直接にはでてきません。

しかし、会社法施行規則第127条において、以下の通り、事業報告において、「株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」を開示しなければならないこととしています。

(株式会社の支配に関する基本方針)
第百二十七条  株式会社が当該株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下この条において「基本方針」という。)を定めている場合には、次に掲げる事項を事業報告の内容としなければならない。
一  基本方針の内容
二  次に掲げる取組みの具体的な内容
イ 当該株式会社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
ロ 基本方針に照らして不適切な者によって当該株式会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
三  前号の取組みの次に掲げる要件への該当性に関する当該株式会社の取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の判断及びその判断に係る理由(当該理由が社外役員の存否に関する事項のみである場合における当該事項を除く。)
イ 当該取組みが基本方針に沿うものであること。
ロ 当該取組みが当該株式会社の株主の共同の利益を損なうものではないこと。
ハ 当該取組みが当該株式会社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないこと。

(また、監査役等の監査報告でも、「財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」についてコメントすることになってます。)

この「株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」というのが、いわゆる「買収防衛策」のこととされておりまして、適時開示のプレスリリースにおいても、かなりの会社は、この会社法施行規則第127条の1項、2項、3項といった構成に沿って、開示をしているわけです。

プレスリリースで書いたことと事業報告で書く内容が異なるというのもわかりづらいので、それは仕方のない面がありますし、「合理的」です。

また、「株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」と言われても、株主や投資家にしてみれば、「何のこっちゃ??」でありましょう。
「何のこっちゃ??」だからこそ、適時開示の規則においては、「買収防衛策の導入に係る開示資料の表題には、「買収防衛策」という文字を入れてください。」なわけです。

なんかわけのわからないことをぶつぶつ言っているやつというのはアヤシイわけで、「保身」に見えてしまうという原因のひとつは、このややこしいプレスリリースにあるかと思います。


「買収防衛策」と会社法上の「財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」は微妙に異なる
しかしながら、「株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」と、「(あるべき)買収防衛策」というのが完全に同じものかと言うと、そうではないわけです。

本当に「買収防衛策」を株主のために使いたい企業が素直にIRするなら、「このプランは、株主のみなさまに高く株式を売却していただけるようにするためのものです」といったことを書きたいところです。
(「高く」というのはさすがにマズいなら、「適切な価格で」とか「不当に安い価格で売却せざるを得なくなることがないよう」とか。)

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で牧野氏が述べられていたように、M&Aで最も大切なものは「価格」です。このため、「買収防衛策」のリリースは「価格」を前面に出した説明にすべきだし、真面目に「買収防衛策」導入を考えている企業ならそうしたいところなわけです。

ところが、実際に各社の「買収防衛策」のプレスリリースを見ていただければおわかりのとおり、このリリースは極めてボリュームが多く、しかも非常に技術的で難しい内容のものになっています。

会社法施行規則を策定された方々はきっと、「別にオレは、プレスリリースにまで会社法施行規則第127条を適用してくれなんて言った覚えは全く無いよ!」とおっしゃるでしょう。
しかし、こんなややこしい文書を、2パターン作るなんてことは、実務ではちょっとイヤなわけです。
確かに、理論的にわざわざ2パターン作ることが不可能というわけではないかも知れない。しかし、平たく言うとそのためには時間と「リーガルフィー」がかかるわけです。1パターンで済むところをプレスリリースと事業報告にわけて2パターン作って数百万円コストが増加するなら、1パターンにしておくのが合理的。

法律の専門家の方は、「法令や規則に定めの無いことなら、徹底的に争えばいいじゃん?」とおっしゃるかも知れませんが、買収防衛策を導入する企業は、特に「保身」しようなんて考えずに真面目に企業のためを思っていても、買収防衛策に関わる複雑な制度や法令を全部理解しているわけではない。弁護士さんや証券取引所さんに「みなさん、こういった書き方をされてます。」と言われたら、それを論破するなんてのは並大抵のことではなく、普通は「はあ、そうですか。」としか言えないでしょう。

一般の上場企業の経営者や担当者が理解できないというだけなら、「買収防衛策を導入しようというなら、もっとよく勉強しろ!」ということになるかも知れませんが、会社法や金融商品取引法に相当精通されている弁護士さんですら、買収防衛策の専門家でない方だと、買収防衛策に関わる法令や裁判例について、非常に「ありりっ?」というような理解をされているケースをいくつも見かけます。
買収防衛策に関することは法律の専門家でもまだ一般によく理解されているものとはいいがたいのに、経営者にまで、複雑な法令や規則を細かく理解させる必要があるでしょうか?

別の例でいえば、例えば、会社がユーロ市場で債券を発行しよう、といった場合に、社長が適用される外国の法律や日本の法令との関係や学説などまで、深く理解している必要があるでしょうか?
社長が理解すべきなのは、それが財務的にどの程度のインパクトを与えて、結果としてその調達が株主のためになるのかどうか、といった大局的なことだけで、細かいことは専門家の意見を求めればいいだけでしょう。

同様に、「買収防衛策」においても、経営者が理解すべきなのは「保身には使わない」ということや、特別委員が本当に客観的に当社の事業を理解してフェアな判断を下してくれる人か?といった大局的なことだけで、細かい法令等まで知っている必要は必ずしも無いのではないでしょうか?


ともあれ、こういった様々な要因によって、プレスリリース(及び事業報告)の記述は、

「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」
「当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み」
「基本方針に照らして不適切な者によって当該株式会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み」

といった、一般人にはわけのわからない小見出しが踊ることになりがちです。


「財務及び事業の方針の決定を支配する者」とは何ぞや
そもそも「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者」という用語からして「何のこっちゃ?」ですよね?

会社法の「親会社」(第二条第4号)の規定は、

親会社 株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。

とあり、会社法施行規則第三条2項では、

法第二条第四号に規定する法務省令で定めるものは、会社等が同号に規定する株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該会社等とする。

とあるので、つまりは「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者」というのは、平たく言うと、会社法でいう「親会社」のことだと思われます。

「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」
なんて回りくどい言い方をせずに、
「親会社の在り方に関する基本方針」
じゃなんでダメなんでしょうか?

会社法上の親会社は、実質支配基準だから50%超所有とは限らないし、法人以外のファンド等も含まれるから、世間の人が思い浮かべる「親会社」と「会社法上の親会社」は若干異なります。
だから、「親会社」だと誤解を招きかねない、ということでしょうか?
(それじゃあ、せっかくの会社法上の「親会社」の定義は何なの?という気もしますが。)


「買収防衛策」は、「親会社のあり方を決める」だけのものではない
「いい『買収防衛策』」が「株主が高く株を売却できるするようにするためのもの」だとすると、「親会社のあり方を決める方針」というのとは若干趣旨がズレることはお分かりいただけるかと思います。

買収防衛策は、通常、20%以上取得する者を対象としていることがほとんどなので、必ずしも50%超取得とか、実質支配を目的とするもの以外の者も対象にしているわけです。つまり、実質支配基準をもってしても、その取得者は会社法上の「親会社」にならないこともあるし、会計的な言えば、その取得者は対象企業を「連結」する必要がない場合もあるわけです。

ところが、プレスリリースのかなりのものでは、「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」といった書き方になる。最も重要なのは、50%超取得する場合のみならず、20%から50%取得する場合も含めて「価格」のはずですが、「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」という言いっぷりからすると、「グリーンメイラー」とか「解体型買収」等をも前面に押し出さざるを得ず、「価格」はone of themになっちゃうわけです。
(例えば、PBRやPERがそこそこ高くて、「グリーンメイラー」とか「解体型買収」に買収される可能性なんてほとんど無いよなー、と思ってる会社であっても、万が一ということもありますから、当然、そういった類型も入れておく必要があります。)

「高く売りまっせ!」という点を強調したくても、それをわかりやすく書くのと、きちんと客観的な記述にするのとするのとを両立するのは、技術的にかなり工夫する必要があるわけです。日ごろから買収防衛策について非常に深く考察していて、「オレならこう書く!」というイメージをしっかりお持ちの専門家の方ならともかく、一般的にはかなりまだ難しいはずです。
経営陣の恣意性を排除することも重要ですので、不適当な買収の例等を詳しく書こうとすればするほど、ボリュームも増えるし、わけもわからなくなってきます。


「あるべきひな形」が出来ればいいか?
プレスリリースをすっと読んでも何言ってるかさっぱりわからないのは、非常に印象が悪い。「本音は保身じゃないか?」という匂いがプンプンしてしまいます。
とはいえ、上述の通り、この複雑な法令や規則を潜り抜けてわかりやすいリリースを書こうというのは、ちょっとした技術的困難が伴いますので、リーガル能力に長けた企業ならともかく、事業を一生懸命やってる真面目な企業が、うまく説明できるとは限らないわけですね。

前述の通り、「上場企業であるからには、そうしたリーガル能力やIR能力は必須だ!それがうまく説明できないのはそもそも経営者失格。そんな会社はとっとと死ね!」とまで言ってしまうのが、社会全体にとっていいことなのかどうか。

では、こうした技術的な問題を解決した「あるべきひな形」みたいのを誰かが(例えば経済産業省さんの研究会とかが)作って公表したらそれで済むんでしょうか?

そうしたら、真面目にやっている普通の企業は喜ぶかも知れませんが、同時に「保身」を考えている企業もそれをコピペして使うだけですよね。

先日述べたとおり、結局、買収防衛策というのは「包丁」であって、おいしい料理を作ることにも使えるが、人を殺すのにも使えてしまうわけで、「料理はできるが人は殺せない包丁」というのは存在しない。いくらよさそうなリリースを出そうが、取締役なり特別委員が悪いことを考えているヤツだったら悪いことに使われてしまうわけです。

結局は、事前には、取締役なり特別委員が「包丁で人を刺すようなやつかどうか」を見極めるしかないし、事後的には、委任状闘争をしたり裁判をして「保身」を図っているに過ぎないのかどうか、プロセスを吟味してもらうしかないんではないかと思います。


「安定株主比率が高い会社」は「買収防衛策」の導入が認められないのか?
買収防衛策を導入する場合には、取引所の事前相談を受けなければなりません。
この相談で、明文化されている規定のほかにどのようなことが話し合われているかは開示されていないと思いますのでよくわからないのですが、基本は、会社が本当に真摯な目的で買収防衛策を導入しようとしているかどうかを判断されているのでしょう。

ところが、それって本当に判断できるのでしょうか?

この事前相談は、会社の担当者や経営者が直接対応することが求められると思います。
しかし、その会社の担当者や経営者には潜在的に「保身(利益相反)」の疑惑がかかっているわけですから、本人がいくら「私は保身するつもりはありません!」と言っても、まったく説得力が無いわけです。
弁護士やアドバイザーが出て行って説明しても、会社が本当に理解しているかどうかがわからないし、経営者が本心でどう思っているかの心証も得られない。


また、安定株主比率が高い場合には、取引所さんは「おたくは買収防衛策を導入する必要は無いですね。」といったご指導をされるという噂も聞きました。

一見当たり前にも聞こえますが、実は大きなお世話じゃないかと思います。

「保身」を考えている経営陣なら、安定株主比率が高ければ買収防衛策を導入する必要はないかも知れません。しかし、会社はいい潮時であれば他社に買収された方がいい場合だってあるし、安定株主だって高く売却したいわけです。

つまり、そもそも取引所さんも、(「投資家のため」といったことを口にしつつも)「買収防衛策」というのは「買収を『防衛』するための策」であって、「売却を前提とした交渉のツール」とは考えていないんじゃないでしょうか

前述のように「有価証券上場規程」に「買収『防衛』策」という用語を使っている時点で、取引所さんも、「買収防衛策」を「買収を『防衛』するための策」としか考えていないのではないのか、という気がします。
(もちろん、よく勉強されている方もいらっしゃるでしょうけど、取引所の中にも、「買収を『防衛』するための策」と思ってらっしゃる方も実は多いんではないでしょうか。)
そして、「買収防衛策」という用語を使い続ける限り、そうした「誤解」を無くしていくのは容易ではないと思います。

よく考えてみると、上場企業というのは取引所にとって「顧客」であり、100%買収というようなことになって上場廃止になったら取引所は大事な顧客を1社失うことになるわけですから、取引所も口では「投資家のため」といいつつ、本音では、上場企業に「買収」を「防衛」してもらいたいと思っているんじゃないかとも思ってしまいます。
(つまりは、企業がいくら「買収防衛策を保身に使うつもりはない」と言っても「ほんとー?」という目で見られてしまうのと同様、取引所にも投資家との潜在的な利益相反が存在しうるわけです。)


まとめ
私は、買収防衛策を導入しようとしている企業のすべてが投資家のためを第一に考えた「いい目的」のために導入しようとしているなんてことは申しません。しかし、上場企業の1割超もの会社がみんな「保身」だけを考えて買収防衛策を導入しようとしているとも思えないですし、「(いい)買収防衛策」を導入したほうがいい企業もあるはずです。
「保身」に見えてしまう理由として、現状ではまだ、上記のような実務上の制約や負担も大きいのではないか、ということが何らかのご参考になれば幸いです。


以上、長文にも関わらずご精読ありがとうございました。

(ではまた。)

May 21, 2008

東郷神社はどうだろう?

連休中に明治神宮にでかけたら、参拝客もさることながら絵馬の4割くらいが外国の人(特にハングルが多いような)だったのを見てびっくりしたというお話をしましたが、本日、原宿駅から竹下通りを抜けるときに、「東郷神社はどうなってるだろう?」と思って立ち寄ってみました。

togo1.jpg



これで、ロシア語の絵馬がかなりの比率を占めてたりしたらすごいなと思ったのですが(笑)・・・・ロシア語はもちろん外国語の絵馬は一枚も見当たらなかったです。

(ではまた。)

May 20, 2008

ゴールドマンさんのチャートの出所はここかな?

前のエントリでご紹介したACGAの白書に引用されているゴールドマンさんのチャートの「"poison pills can backfire"」というキーワードでGoogleで検索してみると、ACGAのホームページ

http://www.acga-asia.org/public/files/KathyMatsui-CorpGovernance-200711.pdf

に、ゴールドマンのストラテジストのキャシー松井さんの「Asian Business Dialogue on Corporate Governance 2007」というpdfが掲載されていて、ここに前出のとまったく同じチャートが掲載されています。
出所はキャシー松井さん、ということのようですね。

前のエントリで47thさんに約2年ぶりにコメントいただきまして、

さすがにイベント・スタディのイロハのイ(アブノーマル・リターンの定義)なんでβを考慮していないというのは・・・

とおっしゃってましたが、このチャートは「イベントスタディ」とは書いてなくて、「relative performance」とあるだけですから、やはり「β」は考慮せずに、単純にインデックスとの比を取っただけという可能性は高いと思います。


キャシー松井さんが、ACGAのある香港をはじめ世界中でこのチャートをもとに「poison pills can backfire」という説明をして回っているとすると、エラいこっちゃですね・・・。

日本のマスコミの人も、こうしたデータを「ふむふむ」と無批判に聞いて、「買収防衛策の導入には、外国人投資家の批判も根強い」てな記事を書いて、それを読んで「買収防衛策ってのはイカンらしいよ・・・」という世論が形成されているとしたら・・・・とんでもないことですね。

(ではまた。)

イベントスタディは単純にインデックスで割ってもダメ?

午前中に書いた、「ACGA「日本のコーポレート・ガバナンス白書」で考える、買収防衛策の世論の歪み」について、某アナリスト氏とメールでディスカッションさせていただいて気づいた補足。


白書の中で引用されているゴールドマンさん作成のチャート

pic2.png

は、なお、日経ジャスダック平均のチャート

pic4.png
出所:日経スマートチャート(日経ジャスダック平均)

とそっくりなので、全くインデックスによる調整を行っていないんじゃないかとも思ったのですが、よく見たら、一見株価は急降下しているように見えて、100日後の指数は「96.5」程度で3.5%しか下がっていません
2006年4月中旬から7月中旬の100日程度ジャスダック平均は20%近く下がってますから、さすがにゴールドマンさんも、まったくインデックスで補正していないということはないということかと思います。


では、なぜ、これほどチャートの形が似ているのか。
(また、なぜ商事法務の論文とゴールドマンの論文で、結論に差が出ているのか?)

ゴールドマンさんの算出根拠が白書で詳細に示されていないので、以下推測に過ぎませんが、

以前ご紹介した、商事法務の2008/3/5日号の論文は、信州大学講師 広瀬純夫氏、東京大学教授 藤田友敬氏、東京大学准教授 柳川範之氏の3名によるもので、「2006年導入分については統計的に有意な差は見られなかった」と結論付けてらっしゃるわけですが、

この算定方法は、同論文の「Appendix」で示されているとおり、「各銘柄の収益率をマーケット・インデックスの収益率と線形的に関連づけているマーケット・モデルを用い」ているわけです。

つまり、推計期間の各日ごとに、各銘柄の対前日比収益率の回帰式

kaikishiki.jpg

を最小自乗法で求めるという丁寧な(手間のかかる)方法を取ってます。
(Ritが、i銘柄のt日における対前日比収益率、RMtがマーケットの対前日収益率、uは誤差項。で、この回帰式を元に推計した値と、実際の収益率の差を「超過収益率(abnormal return)」として、これに統計的に有意な差があるかどうかを分析しています。)

これに対して、ゴールドマンさんのは単純に株価をインデックスで「割り算」しただけで、「β(ベータ)」を考えていないんじゃないでしょうか


では、「なぜ単純に割り算しただけじゃダメなんだ?」ということですが、

もし、買収防衛策を導入した企業の「β」が1より大きければ、相場(インデックス)が下がればインデックス以上に株価は下がるのは「あたりまえ」なわけです。
βが1より大きい場合、逆に買収防衛策導入後に相場が上昇していたとしたら、「市場は買収防衛策導入を好感している」という、まったく逆の結論になっちゃうわけです。

株価の乱高下の度合いが高い企業ほど、株価が実態(企業価値に見合った株価)以上に下がった場合にどうしよう、という懸念も強くなると考えられますから、買収防衛策導入の合理性も高まるわけで、買収防衛策導入企業のβ値が高めであるというのは、十分ありえる話ではないかと思います。

ということで、統計処理の場合のデータというのは、よく性質を理解して扱わないと、全く実態を表さなくなるので非常に怖いことになる可能性がありますね、というお話でした。

(以上、いくつか推測を含んでおりますので、もしより詳しい情報をお持ちの方は、ご教示いただければ幸いです。)

(ではまた。)

PlaxoをComcastが買収!

p1.jpg

さっき、SNSのPlaxoの「CEO and Founders 」から利用者宛にメールが届きました。

Dear Plaxo member,
We are excited to announce some of the biggest news in the history of Plaxo. Plaxo has signed a definitive agreement to be acquired by Comcast, the nation's leading provider of entertainment, information and communications products and services. We've got at least a few months to go before the acquisition is completed, but we wanted to send you this note to let you know what's coming up and how it affects you and your account.
Plaxo will remain an independent brand, organization and entity.

とのことです。

リリースはこちら。
http://www.plaxo.com/about/comcast?src=200805-plaxo-comcast


このSNS、Macのスケジュール管理ソフトiCalとWindowsのOutlookのスケジュールを(ちょっとバグはあるけど)同期させてくれたり非常に便利な一方、人様のパソコンのアドレスブックを勝手に(といってもインストールの時に当然、私がpermissionは与えているはずですが)覗いて、「あなたのお友達のこれらの方々にも招待状を出しますか?」てなことをいろいろアグレッシブに訊いてくる。

日本のほんわかしたSNSの雰囲気に慣れていると、「ちょっとアグレッシブ過ぎちゃう?」という気がしてたわけですが。
ははーん。やっぱり、「急激に利用者数が伸びてまっせ」といったチャートを示して高値で売却を指向していたわけですね。

ちなみに、

We are not releasing financial details of the transaction.

とのことで、リリースには売却額は載ってないようです。

(ではまた。)

ACGA「日本のコーポレート・ガバナンス白書」で考える、買収防衛策の世論の歪み

買収防衛策というのは深い会社法的知識が必要であり、高度に技術的で非常にわかりづらい。会社法等の制度に依拠するということは、単純に「他の国ではこうだから」という理解の仕方ができないということでもあるし、一方で法律論とはまったく関係がない経済的な「株主価値の極大化」という使命も追っており、企業価値とはどういうものか、市場はどういった反応をするのか、といった経済的・経営的視点も必要で、これらの知識を総合的に理解している人というのは、極めて数が少ないんだろうなあ、ということを最近、痛切に感じます。

先日も、会社法や金融商品取引法については非常に深い知見をお持ちの弁護士さんに買収防衛策についてご説明したところ、まったく勘違いをした理解をされていたというのを聞いて、愕然となりました。その方でその理解だったら、世の中のほとんどの人はちゃんと理解してないんだろうなあ、と。

たぶん、本当に買収防衛策を総合的に理解している人というのは、日本で数百人、へたしたら数十人程度に限られちゃうんじゃないでしょうか。
(「オレはその数十人に入ってるぜ」というわけではありませんので、念のため。私もよくわからない部分が多々あります。)

結果として、一般の人の理解の仕方は「イメージで」「なんとなく」というものになります。つまり、マスコミがなんとなく買収防衛策にネガティブな論調を取れば、「買収防衛策=株主にとってはマイナス」という世論が容易に形成されてしまいます。

・・・という前置きはさておき。

ACGA(The Asian Corporate Governance Association)さんが「日本のコーポレート・ガバナンス白書」というペーパーを出されているので、ご紹介まで。

http://www.acga-asia.org/public/files/ACGA_Japan_White_Paper_FINAL_Japanese.pdf

基本的に、日本のコーポレートガバナンスを増進させるために、「資本の効率的活用」「独立性の高い経営監督」等、いい提言をされてらっしゃいます。

買収防衛策についても、(日本のマスコミの「買収防衛策は保身にしか使われない」「廃止した企業がエラい」と言った単純な論調に比べれば)、「一方で”シェアホルダー・ライツ・プラン”ともいうべき方式をとることで、実行可能でフェアな選択肢が確保されるべきである」といった余地も残しており、客観的な主張をされていらっしゃるのではないかと思います。

ただ、やはり、何点か気になる点があるので、買収防衛策関連に絞って検討してみたいと思います。


今や、形式要件なら満たされているのでは?
第一に、(私も全部分析したわけではないですが)日本で最近導入された買収防衛策は、事前の証券取引所さんとの相談もありますので、今や、外形的にはACGAさんのおっしゃる「いい」防衛策しか導入できないんじゃないかと思います。

しかし、買収防衛策が「いい」か「悪い」かは、結局のところ買収防衛策の「外形」ではなく「運用」なわけです。

買収防衛策を「包丁」に例えると、包丁は料理にも使えるし殺人にも使えるわけで、包丁自体が悪いわけじゃない。外形的な要件の話は「明らかに調理に使えない戦闘用ナイフのようなものは不要でしょ?」という話であって、普通の包丁は規制すべきじゃないですよね?
「包丁を殺人に使うようなやつをそもそも取締役(や特別委員)に選ぶな」、というのが本質の話であって、包丁自体を過度に規制強化して、「料理するために包丁持ち歩いても銃刀法違反」といった論調には歯止めをかけないといかんのじゃないでしょうか。


「わかりやすい図」の恐ろしさ
もう一つ、「イメージ」として世の中に間違った観念を与えかねないのが、下のようなグラフ。

pic2.png

これは、ゴールドマンサックス・ジャパンさんが作成したという、「2006年1月から6月の間にポイズンピルの導入を公表した上場企業126社の株価下降」を引用しており、X軸のゼロ値は発表が行われた日、とのことです。

この図をパッと見て、「買収防衛策入れると株価が下がるじゃん!」と思わない人はいないでしょう。

ところが。
このように導入企業の株価が下がっている理由の一つとして、「そもそもはじめからこれら企業の多くの財務状況が弱かったこと」をあげていますが、それ以前に、この「relative performance」というのは、単純に導入 発表日の株価を100として、それ以降のそれらの会社の株価の比較をしているだけで、株価index自体が下落している分を考慮していないんじゃないでしょうか?

以前ご紹介した、商事法務の2008/3/5日号の論文では、ちゃんと市場インデックスとの差のみに注目して、「2006年導入分については統計的に有意な差は見られなかった」と結論付けています。


ご案内の通り、日本のほとんどの企業は3月決算ですので、「2006年1月から6月の間にポイズンピルの導入を公表した上場企業」というのは、通常、決算短信の発表と同時の4月下旬から5月上旬にかけて、買収防衛策の導入を公表するわけです。

pic3.png
出所:日経スマートチャート(日経平均)

この年の日経平均は、上記のように、相場自体が5月から大幅に下落する展開となってますので、単純に5月上旬からの100日の推移を取ったら、そりゃ、買収防衛策を入れていようがいまいが下がるでしょう、ということです。

なお、日経ジャスダック平均のチャートは下記の通り。

pic4.png
出所:日経スマートチャート(日経ジャスダック平均)


こっちのほうが、前述のゴールドマンのチャートの形により似てますね。買収防衛策を導入するような企業は、全上場企業の中でもベンチャー的な企業が多い、ということかも知れません。

元のゴールドマンさんのレポートの前提条件が詳細に書いてないので何ともいえないのですが、一般の人は、こういう最もインパクトがあってわかりやすい図しか見ないのでコワい。
こうした歪められた前提で、「やっぱ、買収防衛策入れるのってよくないよねー」という世論が形成されていくのだとしたら、なんとも頭が悪そうな世の中じゃありませんか。

(ではまた。)

May 19, 2008

CHANGE

平成20年の新司法試験の問題発表!

平成20年の新司法試験の問題が、法務省のウェブに公開されました。

http://www.moj.go.jp/SHIKEN/SHINSHIHOU/h20-21jisshi.html

私、今年も中央大学法科大学院で、大杉先生といっしょに「ベンチャーと法」の授業を受け持たせていただいているのですが、なんか今年は昨年より、私の授業の時の生徒のみなさんの視線が熱いような気がしております。

昨年に比べて私の授業のやり方が特に上手になったということはないと思うので、やはり背景としては、司法試験の民事系科目の試験で上場前後のベンチャー実務っぽい内容の問題がここ数年連続していること(今年も第二問にそれっぽい問題が)が大きいのかと思います。

また、昨年の授業で私が学んだことの一つは、やはり日本のロースクールの場合、いくら合格後の実務で役に立つだろうと思って親切でいろいろご説明しても、やはり、目の前に司法試験という大きな壁が立ちはだかってますので、生徒さん方も「受かった後」の話についてはあまり勉強するインセンティブがわかないんだろうなあ、ということであります。


一方、(私は直接にはよく存じませんが)留学経験のある方々のお話を聞くと、アメリカの司法試験は直前3ヶ月で丸暗記で詰め込めば、そこそこの人なら受かる内容の試験となっているとのこと。
つまり、「受験対策」をしても差別化にならないので、アメリカのロースクールの授業は受験予備校的な内容よりも、合格後に「競争力のある」弁護士になれるような話が盛り込まれているかどうかが差別化のキモになっているのではないかと思われます。
競争力がある弁護士というのは、アメリカにおいてはつまりは「金が稼げる」弁護士かどうかということであり、金が稼げるということは、(学術的な内容や訴訟に関する技術といったこともさることながら)つまりは「経済」「経営」的なセンスを身に付けさせられるかどうか、といったことがポイントになるということではないかと思います。

(つまり、単純化して申し上げると、アメリカでは「司法試験が簡単」だから、「法律専門家の間に経済感覚が浸透する」といった結果になっており、そういう意味でも、日本の司法試験の民事系科目に複雑な一見実務っぽい前提条件を盛り込んだ長い文章題があるのがいいのかどうか、といったご指摘をされる留学経験弁護士の方もいらっしゃいますが・・・・それはさておき。)
(注:「日本も司法試験を簡単にすれば、法律専門家の間に経済感覚が浸透する」といった単純な議論をしているわけでもありませんので、念のため。)

taka-mojitoさんのブログで、スタンフォードのロースクール(注:ビジネススクールではなく、ロースクールです)では、Kliener Perkins Caufield & ByersのパートナーのJohn Doerr氏とJohn Denniston氏とか、ブラック=ショールズ・モデルで有名なノーベル経済学賞受賞のMyron S. Scholes氏をはじめとする世界的な(経済界の)人が次々に講演に来られたり、Excelを使って実際にpreferred stockのanti-dilutionの影響をシミュレーションしたり、といった授業があるという記述を読んで非常にビックリしたのですが、そういったあたりが端的な例かと思います。

個人的には、そういった話を聞けるのは垂涎モノなのですが、日本のロースクールでその授業をやったら、まず、半分の方は寝るのではないかと。(なぜなら、司法試験に出ないから。)

昨年の学生さんのアンケートは、(具体的な氏名は教員には伏せられているのですが)、ほとんどのみなさんは好意的なコメントを寄せていただいたのですが、中には、「我々は弁護士を目指しているのに、なんで会計の話なんか聞かないといけないのか。」と書かれていたものがあって、「ガーン!」、となりまして。
私は「会計の話」をお伝えしたかったというよりは、企業というものがどういうしくみで動いているのか?といったあたりを感じ取っていただければ、と思ってしゃべっていたので、その辺の趣旨が伝え切れなかったということが昨年の反省となりました。


ということで、そうした昨年の授業の経験を生かして、今年は私がしゃべる回の冒頭に、「最近の出題傾向を見ると、私が授業でしゃべるあたりの経営実務の話が司法試験に出るかもねー」といったマジック・ワードをちりばめておくことにさせていただいてます。(笑)
みなさん、これを口にした瞬間に「キラーン」と目が輝く気がいたします。

「エサで釣る」ような気がして、最初はなんかちょっとやーらしいかなあとも思ったのですが、結果として話を聞く気になっていただいて、試験を解く際に何らかの参考になったり社会に出てから役に立ったりするのであれば、私としては本望であります。

---

さて、しばらくMacネタに終始してたんですが、

  • 「ごくせん」と「法化社会」
  • 今週の週刊ダイヤモンド「裁判がオカシイ!」の話
  • 最近の買収防衛策報道について考える
  • ACGAの発表した「日本のコーポレート・ガバナンス白書」について

といった点についてもコメントしたいなあという気持ちがわいてきまして、(でも、総会シーズンでバタバタしていて、他にも仕事もあるので、つらいなあ、というところでありますが)・・・・あまり期待せずにお待ちいただければ幸いです。


(ではまた。)

May 18, 2008

「もやしもん」のガチャガチャ


P01.jpg

ビデオ屋で見つけて、思わずやってしまった”バイオテクノロジー漫画”「もやしもん」のガチャガチャ。

注:「もやし」とは、スーパーで売っているアレのことではなく、日本酒等の「種麹」のこと。

単行本についていた「A.ソーエ」のストラップは持っていたんですが、こんなのもあったとは・・・。
菌2つが一つのボールに入って300円也。


ちなみに、現在発売中の第6巻限定版は、「ぬいぐるみ付き」であります。

もやしもん6巻限定版 ぬいぐるみ付き
石川 雅之
講談社 (2008-02-22)

(ではまた。)

May 17, 2008

Windowsユーザが抱くMacに対する5つの誤解

Windowsユーザが抱いている(というか私が抱いていた)、Macに対する5つの誤解のお話であります。


MacはCDを「ゴミ箱」に捨てさせる
以前からMacをちょこっとだけ使うようなときに非常に抵抗感があったのが、CD-ROMを取り出したり周辺機器をはずすときに、アイコンをつまんで「ゴミ箱」にドラグ&ドロップするという"メタファー"。

CD-ROMをゴミ箱に入れると、データが消えちゃうとか この世から消滅してしまうという"リスク"を感じますし、そうでなくても、まだ使えるものをゴミ箱に放り込むというのは普通の人なら抵抗感があるはずです。

これは(以前からそうだったのかも知れませんが)、OS Xでは、CD-ROM等をドラグしてゴミ箱の上にかざすと、「取り出す」と表示されるので、多少は緩和されてかと思います。

というか、いまどきのお仕事は、(使いはじめのソフトのインストール等を除き)ほとんどフロッピーやCDって使わないですよね。少なくとも私は、CD-ROMを使うのって、年に数回です。


Macで動かないソフトが多い
いわゆる『Mac用に作られたソフト』よりは、Windows用に作られたソフトの方がだんぜん多いのですが、これも、

一つには、今や仕事の大半はネット(Web、メール)化しており、機種やOSに依存しなくなってきていること、

二つ目に、普通のWindowsユーザがローカルで使うソフトの時間シェアは、MicrosoftのOffice(Word、Excel、PowerPoint)がほとんどだろうということ、

三つ目に、前述のとおりMacでWindowsが動くわけですから、結局はWindowsソフトも「Macで動く」ということ、

・・・といった理由から、「Macで動かない」ソフト、というのは今やほとんど存在しないということかと思います。

換言すれば、今回私がやったのは「脱PC」であって、今のところ「脱Windows」でもなければ「脱Microsoft」でもない。

もちろん「Windows」を使う時間は激減してますが、今回、iMacとMacBook Airのために、「WindowsXP Home」を2本、「Office 2008 for Mac ファミリー&アカデミック(1本で3台までインストールできる)」を1本買いましたので、Microsoftさんの売上はむしろ増えているのであります。

ちなみに、今回Macに移行しようと思った最大の理由は、わざわざLet’s Noteの最新機種を買ったにもかかわらず、Windows Vista+Office2007があまりにノロく、Office2007のインターフェイスもあまりに使いづらくなったことに腹が立ったことであります。
Mac OS X+Office2008は、非常にサクサク動いて期待通りでしたし、(少なくともOffice2007を使っていれば)Officeのインターフェイスの違いに戸惑うこともありません。


「ことえり」は使いにくい
移行前の最大の不安の一つは、Mac標準の漢字変換「ことえり」で まともに仕事ができるのか?ということ。
Apple Store銀座のおにいさんに、正直に「Windowsユーザなんですが、やっぱりATOK for Macなどをインストールしたほうがいいでしょうか?」と聞いてみた。

すると、おにいさんが「これで打ってみてください。」と入力画面を出してくれたので、だーっと文章を入力してみたところ、「あれっ?」・・・想像と違って、意図した通りにスラスラ変換できる・・・。
「・・・ということであれば、まずはしばらく”ことえり”で使ってみて、どうしても、ということであればATOKを買われてみてはいかがでしょうか?」とのことでした。

(移行前も、実はATOKをわざわざ買うのはかなり以前にやめておりまして、Windows標準のIMEを「ATOK風」にして使っていただけなので、さほど「ATOK信者」というわけではなかったですが。)

もう一つ。Macを時たま触っていたときにイヤだったのが、先に「かなキー」「英数キー」を押して文章を書かないといけないところ。
IMEだと、先に文章を打って、あとからファンクションキーで「カナ」「半角英数字」等を選択してたので。

しかし、逆にWindowsを使っていて作業効率が悪くなる最大の要因の一つが、
「漢字変換キーがヘンなところ(キーボードの左上)についていて、ブラインドタッチしにくい」
「言語バーがどこにあるかわからなくなるから、文字を入力しているところから視線をそらして、今、英数モードなのかカナモードなのかを見るために言語バーを探さないといけない」
「かなモードのはずが、いつの間にか英数モードになってたりする」
といったあたりだったので、Macで親指のところにある「かな」キーを押せば必ずかなモードになり、「英数」キーを押せば必ず半角英数字が出るというのは、すべてがブラインドタッチで済むので、逆に、文書を書く効率(及び気持ちよさ)が非常に上がりました。


Macは「右クリック」できない
これ、過去にMacを使ったとき、最高にイヤだった点。

なぜ、マウスの右ボタンがないんだ!

Windowsで使い慣れた「右クリックでポップアップメニューを表示」が使えないというのは、利き腕をモガれたぐらい作業効率が落ちるじゃないか。

これについては、
「Macはそういうもんなんだ」
とあきらめて(いわば、人魚姫が、人間になる代わりに声が出せなくなる、くらいの覚悟で)Macに移行したんですが、買ってから気づきましたけど、ワイヤレスの「Mighty Mouse」だと、(見かけこそ右クリックボタンがないMac標準のマウスですが)、実は右左にタッチセンサーが内蔵されていて、右クリックができるんです!ポップアップメニューも出るじゃん!
(もちろん「control+クリック」でも右クリックと同じことができます。)

・・・ということで、これについては、まったくWindows時代と同じ操作感でOK。
思わぬ大儲けをした気分であります。


Macのトラックパッドは「クリック」ができない
これも、奥さんのMacbookなどを使わせてもらったときに最高にイヤだったことの一つ。

Let’s Noteでは、トラックパッドを「トン」とたたく(「タップ」する)とクリックになったわけですが、Macでファイルを選んで「トントン」としても、うんともすんとも言わない。こういう、使い慣れた無意識の動作が思い通りの結果を生まないと、最高に「イラっ」と来るわけです。

ところが、これも買ってから気づいたんですが、ちょっと設定したら、なんとタップでクリックできるじゃないですか!
(注:「システム環境設定」→「キーボードとマウス」→「トラックパッド」で、「タップでクリック」にチェック。)

もちろん、「右クリック」もできます。
同じ設定画面で「副ボタンのクリック」にチェックすると、二本指で「トン」で、ポップアップメニューが立ち上がります。

---

というわけで、以上の「誤解」は、(誤解でなくその通りとも言えますが)、WindowsからMacへの移行に大きな障害になるかというと実はあまりならない、ということに気づいた次第であります。

以上、私の一連のMac移行記を見て、WindowsからMacへの移行を考えてらっしゃる方も何人かいらっしゃるようですので、ご参考まで。

(ではまた。)

May 16, 2008

Mac上の「仮想マシン」で哲学する

Macbook Airに、VMWare Fusion

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の仮想マシン(Virtual Machine)の上でWindowsをインストールをしている間に、つらつらと、いろんなことを考え(妄想し)ました。

皮肉なことに、今回のWindowsからMacへの移行で最も時間がかかった作業は、「Windowsのインストール」(苦笑)であります。
しかも、Macだと箱をあけてスイッチを入れた時からおしゃれな画面が始まるのに、Windowsをインストールするときには、解像度の低いブルースクリーンからはじまるというのは、何とも前世紀感が漂います。


ここで、Macbook Airを買ってVMWare FusionでWindowsをインストールしようと思っている方にご注意。
今、店頭で売られているVMWare FusionでMacbook AirにSuper Drive(外付けDVDリーダ)からWindowsをインストールすると、インストールはできますが、その後コケます。
私、これに気づかないで「おかしいなあ」と思いつつ3回くらいWindowsのインストールをやりなおしたのですが、このバグはすでに最新バージョンでは改善されています。このバージョンをダウンロードしてインストールしないとだめですよ。

MacBook Air で VMware Fusion をご利用される際の注意点について
http://www.act2.com/products/fusion/


本来、長時間かかるWindowsのインストールを3回もやらされたら、ちゃぶ台を引っくり返したくなること必至なわけですが、そこはさすが「仮想マシン」。
ご案内の通り、Windowsをインストールする際には、途中でプロダクトキーを入力させられるほか、何回かリブートしたりするのにつき合わされるわけですが、今回の場合、最初にプロダクトキーを入れておけば、あとの作業はすべて「Fusion」がやってくれるので、他の仕事をしたりテレビ見たりしながら、あとはMacにお任せなわけです。

企業の大規模な業務システムでも、サーバに直接OSを載せるのではなく、仮想マシンの上でWindowsやLinuxを走らせることによって、遠隔でソフトウエア的にリブートができたり、作業効率がいろいろ高まるようなソリューションがすでに導入されてますが、そうした仮想マシンのメリットをプチ体験いたしました。


VM_win_install.jpg


さて、この仮想マシン上でインストールされているWindowsを見て思ったことは、

「このWindowsは、自分がMacではなくPCの上で動いていると思ってるんだろうなあ。」

ということであります。(MacにインストールされるWindowsの気持ちになってみたことのあるアホな方は、比較的少ないのではないかと。)

実際には、仮想マシンの方からWindowsに、自分が仮想マシンであるということを匂わす情報が渡されるケースもあるのかも知れませんが、理屈としては、完全にソフトウエアがハードウエアのフリをする(emulateする)ことが可能なはずです。


我々が「目の前にコップがある」と認識していても、それは「コップという物体を直接認識している」のではなく、「コップがあるという情報」を認識しているにすぎないのと同様、このWindows君は、「僕の操作できるハードウエアがあるぞ」と思っていても、それはあくまで「バーチャル」なハードウエアにしかすぎないわけです。

すなわち、「色即是空(real=virtual)」を具現化したのが仮想マシン。

Macに仏を見た思いがしました。(ありがたや、ありがたや。)


この仮想マシンをもうちょっと進めると、ご案内の通り、下記のとおりとなります。

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(おそろしや、おそろしや。)

(ではまた。)

May 13, 2008

Macライフ7日目(その2)

ついに来た!(10時53分)

Air1.jpg


薄いと、包装も簡素でいいですね。


・・・てなことはさすがにあるわけがなく、本当は、下記のようなコジャレた箱に入った上で、さらにダンボールに入ってやってきました。

Air2.jpg

(ではまた。)

Macライフ7日目

我がMacBook Airが、江東区を経て丸の内まで到着!

yamato2.jpg


ヤマト運輸のみなさん(あたりまえですが)夜中も荷物を運んでらっしゃるんですね。(ありがたやありがたや。)
 


ちなみに、昨日から今日にかけてのエントリは、画像処理とMac/Windowsの使い分けの練習を兼ねてます。

Macなので、トリミングしたりサイズを小さくしたりモザイクをかけたりといった簡単な画像処理は、当然、標準のソフトでできるんじゃないかと思っていたのですが、どうもiPhotoだと全部を一度でできないような。
フリーウェア等をいろいろ試してみたのですが、どうも「これ」というのが見つかりません。

ということで、Windows時代から使い慣れていたフリーウェアを(VMWare Fusionで)立ち上げて、Macの画面の中で使ってみました。(「ユニティ」というモードで、MacのウィンドウとWindowsのウィンドウが共存しているのが、見ていただけるかと思います。)


iMac1.jpg


全部一気にMacに移行せずに、慣れたWindowsソフトを共存させて使えるというところが、Windowsユーザにもお勧めなところだと思います。

当然、Windowsの画面からMacの画面にスムースにファイルをドラグ&ドロップできますので、まったくシームレスですね。


上記の図のとおり、「Exposé」も だいぶ使いこなせて来ましたよ。

Exposé、実際に動いているところを見ないといまいちピンと来ないと思いますが、初めて見ると「おおっ!!」という感動があります。
私も、1年ほど前にミクシィの前CTOのバタラさんがExposéをやってみるのを見て「おおっ!」となりまして、それ以来、Macが頭の隅に住み着いた次第でして。

家に帰ってすぐ、前からMacユーザの奥さんに「これ、知ってる?」とやってみせたら、奥さんも「おおっ!」となりまして。Macユーザの方でも知らない人、多いのかも。(うちの奥さんだけ?)

(ではまた。)

May 12, 2008

Macライフ6日目

私のMacBook Airが出荷された!(ヤマト運輸の「荷物お問い合わせシステム」によると、今、品川あたり。)


yamato1.jpg


AppleCall のおねえさん曰く、「木曜日くらいに着く」とのことだったんですが、明日火曜日に着くかも!

(ではまた。)

外国人参拝客の目に明治神宮はどう映っているのか

連休中、明治神宮に行って参りました。

P110.jpg

明治神宮の本殿に参拝したことは何回かあるのですが、500円払わないと入れない「内苑」があって、そちらは(記憶の限りでは)入ったのは初めて。その中に、上の写真の「清正井」もあります。

この清正井は都内でも有数の「パワースポット」なんだそうですが、パワースポットとはなんじゃい?ということはともかく、この内苑は500円出すだけの価値あり。東京の真ん中にこんな奥深い森林があったのか、と驚くこと必至であります。

そしてもうひとつびっくりしたのが、明治神宮の外国人観光客の多さ。

敷地内を歩いている人のざっと半分弱は外国人という感じでありました。外国人観光客といえば浅草に行くというイメージがありますが、ここは確かに、浅草よりも日本人の自然観を体感できる場所かも。(伊勢神宮あたりまででかけてもいいと思いますが)、東京周辺のみの観光で伊勢神宮の雰囲気を味わうには明治神宮かも知れません。

勢い、奉納されている絵馬も、ざっと4割くらいは外国語で書かれてます。

P108.jpg

ロシア語、タイ語、英語などとともに、中国語や、特に韓国語のものが非常に多いのが「おやっ?」という感じであります。

おそらくみなさん、ここが明治天皇を神として祭ってある場所だということは知っているのだと思いますが、その神に願をかけるというのは、その方々にとってどういう意味を持つんでしょうか。

若い人などは、あまりそのへんは気にせずに、比較的ミーハーな(トレビの泉に行ってコインを投げるのと同様な)気持ちで願掛けしてるだけなんでしょうか。
それとも、西欧の列強の軍門に下らずに自国を近代国家に導いたアジアの君主として、もうちょっと積極的な評価をしている、または少なくともイメージは悪くは無いんでしょうか。

Wikipediaの記述を見ると、確かに、「明治六年政変では、勅旨をもって西郷隆盛の朝鮮派遣を中止させてこれを収め」といった記述もある一方で、在任中に韓国併合が行われているのも事実であります。

また、上述の井戸を掘ったという加藤清正は、韓国では人気がないはずの秀吉の忠臣というのもご存知の通り。


ちなみに、「五箇条の御誓文」の内容は、下記の通り。

一 広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スヘシ
一 上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸ヲ行フヘシ
一 官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメン事ヲ要ス
一 旧来ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシ
一 智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ

境内に大書してあるのですが、日本が民主的な近代国家になる際の基本コンセプトとして、簡潔にして非常によくできているなあと、(私が申し上げるのもなんですが)思いました。

スタートアップのベンチャー企業が成長して、属人的技量ではなく「組織」としての力を発揮する次のフェーズに移らないといけなくなったときなどにも、参考になるものが大いにあるのではないかと思います。

(ではまた。)

May 11, 2008

Macライフ5日目

何もかもあまりにもすんなりとつながるので、物足りなさすら感じてきました。

先日、Time Capsule (1TB)
アップルコンピュータ Time Capsule 1TB MB277J/A
というのを買ってみました。これは、インターネットに接続するルータと、無線LANと、プリンタ+ハードディスクのサーバを兼ねたようなもんですね。こんだけ多機能で1TB(テラバイト)も容量があるのに、なんと5万円台。(500GBしかない3万円台のやつもあります。)

説明書に書いてあるとおりにつないで、Mac(OS X)に最初から入っている「Time Machine」を何回かクリックしたら、もうそれだけで定期的にハードディスクのバックアップを取りはじめてくれます。Windowsのパソコンで、外付けハードディスクを買ってワイヤレスで同じことをやろうとしたら どれだけ面倒かを考えると、これはすごい。


スッキリ配線
100GB近くあるWindowsのPCのファイルをMacに移さないといけないので、つないでみたんですが、Windowsからも無線でも有線でもスカッとつながってインターネットにもすぐ接続できました。

これ、(有線の)ギガビットEthernetに対応していることはもちろん、 100Mbps〜の無線LAN「802.11n(ドラフト)」に対応している。つまりもう、パソコンやルータやプリンタをゴチャゴチャと線で結ぶ必要もない、ということです。パソコンまわりの配線がスッキリして非常に気持ちいい。
十数年前、社内LAN敷設のために、直径1cmはあろうかという10base5のぶっとい線を何十本とネジ回しで留めていたおじさんとしましては、まさに隔世の感であります。


Windowsとのファイル共有
さて、肝心のWindowsパソコンのファイルをMac側に送る件。

数十MBしかファイルをお持ちでない方なら、今やUSBメモリ1回でファイルを移せるので何も悩むことはないですが、数十GBとなると直接ネットワークでつないでやりとりしないとちょっと厳しい。

「WindowsユーザーのためのMacの本」的な本には、「VISTAの場合はMacとの共有は驚くほど簡単」てなことが書いてあったが、いくらやっても、MacからもWindowsからも、LAN上の相手のパソコンが見えない。
・ ・・そうこなくっちゃ!
だって、Windows同士ですら、XPとVISTAの間でファイル共有しようとしたらまったく拉致があかなかったんですから。マイクロソフトのサポートに電話をかけても全くつながらないので、「大人買い」でマイクロソフトの有料のサービスで金を払って聞いたら、「コントロールパネルから○○のプロファイルを開いて、どこそこのチェックをonにしてみてもらえますか・・・」てなことを試して、やっと接続できたりしたので、こんなことくらいでは全く驚きません。

でもこれも、「Windowsユーザーのための」本に書いてあった、「Finderの「移動」メニューの『サーバへ移動…』から、『SMB://(WindowsパソコンのIPアドレス) 』でWindowsPCに接続」、というのを試したら、あっけなく接続できてしまいました。

このSMBというプロトコルがMac-Windows間のファイル転送として最速なのかどうかは存じませんが、試しに数GB/数万個のファイルを転送してみたところ、実効で30Mbps程度のスピードが出ましたので、数十GBのファイルを移すのも数時間程度で済みそう。今まで新しいWindowsパソコンを買ったときには、数十GB転送するのに、試行錯誤やらなんやらで2〜3日かかるのも普通だったので、あっけないの一言であります。


メールデータのインポート
また、今まで「Becky!」で使っていたデータをMacについてる「Mail」に移すのも、ネットで検索して出てきた、「Becky!の『エクスポート』で拡張子.mboxをつけてmbox形式で出力したものをMail側で読み込む」というのだけで、あっけなく解決。
試しに1GB弱のメールのログを移してみたんですが、あまりにもあっけなく、添付ファイルまできれいに移りました。

(ではまた。)

May 10, 2008

クリーニング屋の競争構造

よくよく近所を見渡してみると、クリーニング屋の数というのは、ものすごく多いなあ・・・と思っていたら、また一軒、近所にクリーニング屋ができた。しかも、前からある同じチェーンの店で、両方ウチから徒歩3分圏内。
(どういうフランチャイズ契約なんでしょう!)

クリーニング屋というのは、確か、マイケル・ポーターの「競争の戦略」

競争の戦略
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では、「多数乱戦業界(fragmented industry)」の代表例として書かれていたように記憶してますが、

確かに、一昔前は家族経営で自分の家で洗濯してというところがほとんどだったのかも知れませんが、今は、どの店に行っても、「工場から出来上がってくるのが・・・」等、「工場」という言葉が必ず出てきます。店舗は、単なる洗濯物収受の拠点にすぎなくなって、かなり資本集約的/システム集約的な産業構造に変化しつつあるということでしょう。

それ自体は、家族経営の食料品店がコンビニに変わるのと同じ変化の方向性で特に驚くにはあたりませんが、コンビニと違って、おでんとか弁当とかPB商品とか、粗利の高い差別化の武器が明確ではないから、なかなか見ていて悲惨な競争であります。
資本力のあるチェーンに近所に出店された家族経営の店がキツいのはもちろん、フランチャイズでクリーニング屋を出店した人も、たまったもんじゃないですね。

(ではまた。)

May 9, 2008

防衛省から怪電波発射中?

本日は午後1時から中央大学のロースクールで授業(ベンチャービジネスと法、「ベンチャーにおける裏切り防止」=投資契約とか種類株式とか)だったのですが、授業開始前にふと教壇上の時計を見ると、1時前のはずなのに時計はすでに2時40分を指している。

P101s.jpg

直しておこうと思って時計を下ろしてみたところ、裏を見ても、時計の針を動かすダイヤルが見当たらない。首をかしげていると最前列の生徒さんが、
「先生、それ、電波時計なんですが、隣の防衛省から何やら電波が出ていて、いくら直しても正しい時刻を指さないんです。」
とのこと。
教壇上のパソコンやプロジェクターのセッティングをしてくれる教務のおじさんもやってきて、「他のクラスでも何台かこういう現象が発生しているので、電波時計じゃなくて普通の時計に買いなおそうか、という話も出てるんですが。」とのことでありますから、単にこの時計だけが偶然故障しているということではなさそうです。

ご存知の通り、中大の市ヶ谷キャンパスというのは、防衛省のモロお隣でして、

CL.jpg

かねがね私、核戦争勃発の際に核ミサイルがお隣に落ちたら生徒諸君と共に蒸気と化す覚悟で授業をやらせていただいておりますが、
防衛省なのでいろいろ電波は出してるんでしょうけど、電波時計が狂ったという話は過去にあまり例がないようなので、胡錦濤国家主席来日等でDEFCONが上がって、ミサイルが命中しないようにジャミングしてるとか、警戒度を高めるためにレーダー波を強くしたりしてるということでしょうか?

ま、核ミサイルが命中するよりは時計が狂うくらいで済む方がありがたいのではありますが、周辺の住民の方も含め、大変ですね。

(ではまた。)

Macライフ2日目

昨日の「Macライフ1日目」は、意外なほど反響いただきまして、

ネタフル」のコグレ師、
みたいもん」のいしたに師
に記事にしていただき、
ウノウの山田進太郎師
taka-mojito師
sugi3師
から「お祝い」のコメントいただきました。
(Macの先輩ユーザーであるみなさんを「師」と呼ばせていただいております。)

いしたに師も書かれておられますが、使い始めただけで「おめでとうございます」といろんな方から言っていただけるのはMacぐらいでしょうね。


あまりにも突然、いろんな作業が洗練されてしまったので、頭がクラクラしております。
私、歳も歳だし、もう物欲からは解脱できたのではないかと思ってましたが、頭がクラクラしたおかげで、気がつくと、持ち運び用のパソコンもMacに移行するべく、Apple Callに電話してMacBook Airを購入している自分を発見していました。

ここで、せっかく賛同をいただいたのに、他のMacユーザの方の反感を一気に買う情報を一つ。
私、一応「教員」もやらせていただいてますので、Apple Storeで学割価格にしていただいた上に、今ならiPod nanoが無料でもらえてしまいました。(うふふ。)
(正確にはキャッシュバック。5月13日まで。
http://www.apple.com/jp/promo/backtoschool/

(ではまた)

May 8, 2008

田町で「セルフレジ」発見

田町駅ナカのNEWDAYSで、「セルフレジ」なるものを発見。

self_regi.jpg

以前、KIOSKでセルフレジを発見した

suica_kiosk.jpg

のはもう3年半も前のことですし、テクノロジー的にもすごいことがあるわけでもないので、そんなにビックリすることではないんですが。その後KIOSKでは見かけないなあと思っていたら、こんなところに。

本日は、「専務 島耕作」最終話を読むために週刊モーニングを買おうと思ったのですが、他の(人間の)レジは全部ふさがっていたので、やってみました。商品のバーコードをリーダーにかざして、領収書あり・なしを選択して、SUICAをタッチするだけで、非常に簡単。

ただし、「店員さんはちゃんとオレが全ての商品をかざしてないんじゃないか、とか疑ってないだろうか?」と、ちょっとドキドキします。
そこが、商品やお金が「中から」出てきて、不正できる余地がほとんどない自動販売機やATMと異なるところですね。
スーパーのように、レジで精算しないと店の外に出られないという動線にもなってない。
ただし、万引きする気なら、一部だけレジに通すなんてことはせずに全部万引きするだろうから、セルフレジがあるからといって不正が増えるということにはならないんでしょうね。
KIOSKと違って、コンビニは監視カメラが完備しているので、それによっても抑止効果はあるかと思います。


以前のKIOSKのやつは、画面表示が複雑だし、バーコードリーダが(スペースの関係もあり)こちらを向いているので、逆に、バーコードは自分から見えないようにしてかざさないといけなかったわけですが、本日見かけたのは、バーコードリーダが下を向いているわけです。
これ、ささやかな工夫かも知れませんが、バーコードを見ながらかざせるというところが非常に使いやすくなっているんじゃないでしょうか。

(このコンビニのセルフレジが普及するのかどうかはともかく、)ユーザインターフェイスがイケてるかどうかというのは、こういうほんのちょっとした差が重要なんでしょうね。

(ではまた。)

May 7, 2008

Macライフ1日目

連休は、また今年も東京観光を満喫いたしまして、ブログの更新も止まっておりましたが、それはさておき。

本日、iMac(24インチ、3.06GHz)を買ってきて、ついに脱Windows計画始動。

Becky!からOSXのMailへのデータ移行(mbox形式利用)とか、outlookのスケジュールをiCalに移行する方法(plaxoをかます)、FirefoxをダウンロードしてきてGoogle toolbarを入れる、ExplorerのブックマークをエクスポートしてFirefoxに読み込ます、など、あっけないほど簡単に移行できそうであります。

移行に1年くらいかける気でいましたが、もしかしたらそれよりも断然短く終わっちゃうかも。

次は、VMware FusionでWindowsが動くようにして、ファームバンキングに挑戦する予定であります。
おそらく動作保証はしてないんじゃないかと思いますが、先達の方々に伺うと、BTMUさんのファームバンキングをMac上のWindowsで動かしていらっしゃるそうで、(FusionかBootcampのどちらを使うのかはともかく)なんとかなるんではないかと。

ちなみに、本日iMacを買ったMacストアーの方が、「ファームバンキングがWindowsPCの上でないと動作保証してない、と言われて返品されたお客様がいらっしゃいました。」とおっしゃってましたが。

いよいよ、来週月曜日は「DAY2(デイツー)」であります。
東京三菱UFJ銀行さんも、DAY2を過ぎれば余裕が出て、Mac対応もやっていただけるでしょうか。
(今どき、そこそこメジャーなことでWindowsでないとできないことは、ファームバンキングくらいに絞られてきているのではないかと思いますので。)

(ではまた。)

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