« 2008年1月 | メイン | 2008年3月 »

February 29, 2008

今週の週刊モーニングに学ぶ「何もしない価値」

巻頭カラーの「働きマン」

働きマン 4 (4) (モーニングKC)
安野 モヨコ
講談社 (2007/08/23)

は、ほぼ1ページ1回の割合で笑わせていただきました。
今回は、主人公の松方弘子さんはあまり登場しない「映画バイヤー」のお話。


このちゃらんぽらんバイヤー「室田氏」のモデルって実在するんでしょうか?

アメリ
アメリ
posted with amazlet on 08.02.29
ビデオメーカー (2002/08/02)
売り上げランキング: 1693

(「アメリ」を買い付けた叶井俊太郎氏とか?)

映画の領域でも必ずこうすればうまくいく、というもんでもないでしょうけど、こういう「何もしない」こと(人)によってうまくいく領域って確かに実在する気がします。
しかし、そういう「目に見える努力」と「結果」がリンクしないビジネス領域って、「説明責任」の果たしようもないので、そういう企業はやっぱり株式公開とか目指すべきじゃないよね。(きっと。)


専務島耕作
まったく関係ありませんが、「島耕作」。
郡山社長が某取締役に、
「キミは一週間以内に初芝を去ってほしい」
というのはいいとして、
「次の株主総会で取締役を解任する」
というのはなんでしょうか。

「初芝を去ってくれ」というのは、「辞任届を出して辞任してくれ」ということかと思ったんですが、あえて株主総会決議にしたい、ということでしょうか。(会社法施行後は定款で何もしてなければ2分の1だけど、定款で旧商法時代並みに加重していたら3分の2の賛成が必要ですね。初芝は買収防衛策も導入しているので、加重してそうな気がします。)

郡山社長は確か中国とか海外が長かったので、あまり日本の会社法には詳しくない、という設定なんでしょうか。
顔付きとか性格的には企画畑が長かったのかなあ、と思ってましたが。


宇宙兄弟
泣いた。

(ではまた。)

February 28, 2008

Web不具合・デザイン等、修正完了(追記あり)

昨年暮れにブログのソフトをMovableType4にアップグレードした関連の不具合を、この数日で修正し終わりましたので、以下備忘メモであります。


Search窓が使えなかった件
Shirusuさんから「isologue(イソログ)のサイト内検索機能の Search を試したのですがエラーが出ます」と1月5日にご指摘いただきながら対応する時間がなかったのですが、一昨日、やっと修正しました。

新しいMTにして、search_templatesのディレクトリにisosearch.tmplというカスタマイズしたサーチ用のテンプレートファイルを置き忘れていたのと、以前mt-config.cgiに加えていた修正の修正漏れをなおしました。

現在は、検索窓が使えるようになっているかと思います。


コメント欄の見やすさ
1月18日に大崎貞和さんが「投稿者名はコメントの下に出るのですね。失礼しました。」というコメントをされているのを、このウェブのデザインをしていただいた梅野さんが見つけられて、速攻で修正デザインのCSSを送っていただきました。
私の怠惰で修正が一昨日になってしまったんですが、どのコメントの投稿者が誰なのかがわかりやすくなったかと思います。

ちなみに梅野さん、アニメプロデューサー服部健太郎さんのブログの記事に、

自社のウェブサイトの発注の際に、「磯崎哲也事務所を参考に」ってデザイナーさんにお願いした

とあるのを見て嬉しかった、とのことです。


トップページの文字化け解消
MovableTypeの3までは、文字コードを「EUC-JP」にしていたのですが、MT4に変えるときに(あまり深く考えずに)デフォルトの「UTF-8」にしてしまいまして。
磯崎哲也事務所のトップページ(http://www.tez.com/)に、ブログの最新エントリのタイトルを表示しているのですが、トップページのコードはEUC-JPのままだったので、ここが文字化けしてまして。

タイトル表示に使っているphpを書いていただいたryoさんにいろいろご相談して、phpのコードの中の文字コードの設定を変更するとともに、トップページもUTF-8に変更したので、無事、文字化け解消であります。


追記:searchテンプレートの文字コード
コメント欄でshirusuさんにさらにコメントいただきまして、IE6だとうまく表示できない、とのこと。
確認したところ、isosearch.tmplというカスタマイズしたサーチ用のテンプレートファイルの中に記載してある漢字等が、EUCで記載されていました。
文字全部をUTF-8に変換してみたので、できあがったソースを見ても文字コードは統一されているのではないかと思います。(/追記)


お世話になったみなさん、ありがとうございました。

(ではまた。)

February 27, 2008

本日のDVD(ブラッド・ダイヤモンド+モーターサイクル・ダイアリーズ)


ブラッド・ダイヤモンド (期間限定版)
ワーナー・ホーム・ビデオ (2007/09/07)
売り上げランキング: 2098

 
レオ様ファンの奥さんのために借りてきたDVDですが。
ゴルゴ13等をお読みの方はよくご存じだと思いますが、ダイヤモンド等の資源が内戦の武器購入資金に回るので、いかにそれを断ち切るかという社会問題がテーマ。

「エコ」とか「輸入食品の安全性」といった概念は日本社会にもだいぶ浸透してきたと思いますが、この映画で訴えられている「conflict free」という概念は、日本の消費者はまだほとんど意識してないんじゃないでしょうか。
これ、当然、ダイヤモンドだけじゃなくて、レアメタルなど、資源全般に言えるお話ではないかと思います。
 

モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版
アミューズソフトエンタテインメント (2005/05/27)
売り上げランキング: 1216
  こちらは、ゲバラ・ファンの奥さんが借りていた映画。(原題:「Diarios de motocicleta」) チェ・ゲバラが医大生の時に南米をバイクで旅したときの話です。

私はいつも、「CG使いまくりでドッカンドッカン爆発シーンがあるようなアホなアクション&サスペンス映画」を中心に見てまして、奥さんから「文化の香りがしない」的な冷たい視線で見られることが多いのですが、この映画は大変気に入った。今まで見た映画の中でベスト10に入るかも知れません。

コンサルタント的な仕事をしている人はみんなある程度そうだと思いますが、取り組んでいたプロジェクトが軌道に乗ったら居場所がなくなるというか、次のことがやりたくなるというか、ゲバラに親近感を抱く人も多いのではないかと思いますが、そういった方にもオススメかも知れません。

(ではまた。)

February 26, 2008

イー・モバイル利用開始

先日、某社の経営会議に同席したところ、幹部の方全員がイー・モバイルのカード

em_card.jpg

をパソコンに差していたので気になってたんですが、昨日キャンペーンチラシを見て有楽町のビックカメラで(遅ればせながら)買ってみました。


JRの電車に乗りながらインストールして早速使ってみましたが、やっぱり下り7.2Mbpsは速い!
数メガのファイルもスコっとダウンロードできる感じであります。
しかも、月に1GBまで通信できて料金は今の半分以下。

現在利用しているSOFTBANKのカードのほか、FOMAのカード(M2501)も解約せずに持ってたんですが、FOMAを田舎&海外[3G+GSM]用に残してSOFTBANKは解約しよっと。奥さんが使っているウィルコムもイーモバイルに変更する方向で検討することにします。

(ではまた。)

February 25, 2008

ハイブリッドタクシーについてのメモ

本日、ハイブリッドのタクシーに乗ったときに運ちゃんにヒアリングしたので、それに関するメモ。


pri_kyoto.jpg

(昨年、京都で乗ったプリウスのタクシー。本文とは直接関係ありません。)

車種は、最近見かけることがとみに多くなったプリウス。
(プリウス、1月の新車乗用車販売台数ランキングでは、8位に入ってます。)

(うちの車もハイブリッド車ですが、出だしは電気モーターを使おうと思ってかなりそろーっとスタートするんですが)、この運転手さん、アクセルを踏み込んでエンジンをガーっとふかす。ハイブリッド車は燃費もいいけど、それより停止時・低速時の静粛性もウリなので、そのメリットは全く生かされてない感じ。
で、燃費はどのくらいなのかと思って聞いてみました。


1か月平均だと、15.5(km/リッター)くらい走るね。
夜だと18くらい。
これ、自分の自家用車の乗り方で乗ったら、20kmは走るだろうね。


(やはり、自分の車の場合とタクシーで営業してる場合とでは運転が違うようですが。)
あの急加速・急減速でも15.5も走るんですね。

ガソリン車なので、LPG車とどっちが安いのかきいてみたんですが、

確かにガソリン車で普通のガソリンスタンドで給油するんだけど、ハイブリッドだと3倍走るので、トータルではLPG車より安いよ。
LPG車は、我々の乗り方だと5km(/リッター)くらいしか走らないから。

とのことです。

まさか、ランニングコストでLPG車に勝ってるとは思わなかった・・・。
ランニングでは勝ってるとしても、初期投資もあるので・・・・・車体は普通のクラウンとかのよりはプリウスの方が若干高いんでしょうか?

初期投資もランニングも安くて、環境にもよくて、おまけに万が一暫定税率廃止なんてことになったりしたら、一気にプリウスのタクシーばっかりになるかも知れまへんな。

(ではまた。)

これは面白いかも(Business Law Journal)

レクシスネクシス・ジャパンの方から「Business Law Journal」の創刊号

blj_hyoshi.gif


を、送っていただいて拝見したんですが、これはちょっと面白いかも、ですね。

今まで「法律の専門誌」はいろいろあったと思うのですが、「ビジネスで法律を扱う人向けの雑誌」というのは、ありそうであまりなかったかも知れません。
「同じやんか」と思われるかも知れませんが、企業で法律を扱うということに必要なのは、難しい論文とか判例の解説だけじゃなくて、「こういうことを他社ではどうオペレーションしているのか?」「こういう話をトップにどう持っていったらいいのか?」「法務担当者を社内でどう扱ったらいいのか?」といった、「法律論」以外の部分も多いんではないかと思います。(よく存じませんが。)

掲載されているのも、東大の神田秀樹先生の巻頭言から始まって、葉玉匡美弁護士の論文、ソフトバンクの取締役グループ・コンプライアンス・オフィサーの笠井和彦氏のインタビューなど、相当盛りだくさんというか、ものすごく濃ゆい方々のお話ばかりで。
(目次は下記URLご参照)
http://www.businesslaw.jp/contents/

(ちなみに、私も(そんなに各社の法務部事情に詳しいというわけでもないので大変恐縮ではありますが)「法務担当者に何か財務の観点からのコメントを」ということでインタビューしていただいております。)


創刊号の中身のレベルがずっと続くのであれば定期購読の価値ありじゃないかと思いますが、最初からこれだけ飛ばしちゃって後が続くのか知らん?とちょっと心配にもなります。が、コーポレートガバナンスや説明責任、コンプライアンス、内部統制etc.・・・といった機能の重要性が増す中で、ネタはいくらでもあるんでしょうね。

ご参考まで。

(ではまた。)

February 24, 2008

HERO(ES)

レンタルビデオ屋にHERO


HERO 特別限定版(3枚組)
HERO 特別限定版(3枚組)
posted with amazlet on 08.02.25
東宝 (2008/03/08)
売り上げランキング: 11


を借りに行ったら、レンタル開始が3月からだったので、HEROES


HEROES / ヒーローズ Vol.1
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン (2008/02/22)
売り上げランキング: 38


を借りてまいりました。


医学用語や回想シーンでいろんなシチュエーションが出てくる「LOST」と違って、英単語でわからないものはあまりなかったので、私の英語レベルにはあってましたが、日本語が(苦笑)ちょっとヘンになりそう、という気もします。


(ではまた。)

February 21, 2008

今週の島耕作に学ぶインサイダー取引(2)

「週刊モーニング」で、韓国のソムサンから敵対的買収を仕掛けられている五洋電機のホワイトナイトに初芝電産が名乗りをあげた話の続き。(今週号分。)

専務島耕作 3 (3) (モーニングKC)
弘兼 憲史
講談社 (2007/11/22)

前回、「こんな重要な未公開情報を知って初芝がTOBを継続して大丈夫?(166条第6項第4号の適用があるという解釈か?)」と申し上げたんですが、今週号では、以下のような会話が行われてます。


ソムサンUSAの男:新日本経済新聞夕刊のトップ記事として”40%で対抗TOB”のことが出ているそうです。
そして、同じ紙面に五洋電機の発表で有機ELパネルの大型化にメドがついたという記事が出ています


ということで、五洋電機は「ちゃんと」情報を公開したので、これでインサイダー情報はなくなっちゃったわけです。(フェアといえばフェアですが。)

ソムサンUSA会長イ・カプス氏は、直前まで、「この(40%プレミアム)では五洋を手に入れる経済合理性はないと思います」とソウルにいるCEOに進言していたんですが、


イ氏:!?何だと!?
そうか!!有機ELパネルの大型化か!!なるほどそれで初芝は降りなかったんだ


と気づいたので、「TOB合戦続行だ!」・・・・となるのかと思いきや、あっさりと勝負から降りちゃいました。

有機ELパネルの大型化がホントに儲かるんだったら、ソムサンにもTOBを続行する経済合理性が出てくるはずなんですが・・・・・・その判断の根拠についてはイ氏と部下がニューヨークの街を歩きながら語っていますので、ご興味があればご覧ください。
(時価総額でこそソムサンは初芝を上回る会社になってますが、キャッシュフローなどの現時点での体力はまだ初芝より弱い、ということもあるんでしょうか。)

ちなみに、部下氏が語ってますが、ソムサンはファンド経由で買い付けた五洋株を23%保有していて、これに4割のプレミアムをつけて売却することができるので、撤退しても「引き分け」だろう、とのこと。

以前の回で五洋電機の時価総額がどのくらいと書いてあったか忘れてしまったのですが、仮に三洋電機と同じ3600億円くらいだとすると、売却益は300億円ちょっと・・・・チとしょぼいかなあ。

マンガでは初芝がLBOで五洋(のみ)を担保に買収してるのですが、初芝は数兆円の時価総額の会社でしょうから、3600億円くらいの買い物であれば、LBOでないと買えないというほどの規模ではないですね。(仮に松下電器であれば、期末に保有している現預金だけで買えるくらいの額。・・・・・・五洋電機の時価総額は、兆円単位という設定だったような記憶もあります。・・・どなたかご存知であればご教示いただければ。)

(追記)
コメント欄で「yoshio3」さんにいただいた情報によると、五洋電機の時価総額は2.4兆円だそうですので、それなら、キャピタルゲインで2200億円くらいになるので、かなりまとまった額になりますね。


(ではまた。)

February 14, 2008

株価算定の「ガクガクブルブル」

旧アイ・シー・エフの株式交換で(経営者が捕まるのはともかく)、株価算定をした公認会計士の田中慎一氏も捕まった、というお話。
事と次第によっては、株価算定をする人をはじめ、M&A関係者には非常に恐怖なお話かと思います。


ライブドア監査人の告白
田中 慎一
ダイヤモンド社 (2006/05/26)
売り上げランキング: 3866

 

なぜか日経さんは北海道版にしか載ってないんですが、

アイ・シー・エフ、元社長ら4人逮捕、不正に株式交換の疑い。
日経北海道朝刊38面
 東証マザーズ上場のIT(情報技術)関連企業「アイ・シー・エフ」(現オーベン、東京)が大阪市の広告会社を買収した際、同社の資産価値を不正に水増しして株式交換したとして、大阪府警捜査四課は十三日、金融商品取引法(旧証券取引法)違反(偽計)の疑いで、アイ社元社長、佐藤克容疑者(32)[住所略]ら計四人を逮捕した。
 ほかに逮捕されたのは、パチンコ情報提供会社「梁山泊」(大阪市西区)の実質的経営者で元山口組系暴力団幹部、豊臣春国容疑者(57)[略]、アイ社元取締役、小野高志容疑者(34)[略]、元港陽監査法人(二〇〇六年解散)公認会計士、田中慎一容疑者(35)[略]。
 豊臣容疑者だけが「実体のない売り上げを(広告会社に)付けてはいない」と容疑を否認しているという。


逆に言えば、田中容疑者は容疑を認めているということでしょうか。
(それなら、ある意味安心なんですが。)

昨日の毎日新聞大阪夕刊では、

 企業査定時、第一企画の企業価値は本来1億円ほどしかないのに、アイ社側が田中容疑者に事前に買収予定額8億円を伝え、これにそう形で査定書が作られていたことも判明。田中容疑者は、買収前の05年3月期に年間1700万円だった第一企画の営業利益が、買収後5年間は、毎年14倍にあたる2億5000万円になると予想していたという。

「本来1億円ほどしかない」というのは、誰が決めたんでしょうね?
買収予定額を聞くことや、(結果的に)算定書がそれに添う形になるのは、それ自体が必ず問題になるとは限らないかと思います。例えば純資産や現在の利益水準が小さくても、将来的な成長性などを考えて高い株主資本価値を認めるということはあるでしょうし、「普通の」取引であれば、それは第三者間の交渉で決まっているわけなので、それなりの根拠があることが一般的なはずです。

ただし、「田中容疑者は、買収前の05年3月期に年間1700万円だった第一企画の営業利益が、買収後5年間は、毎年14倍にあたる2億5000万円になると予想していたという。」とのことで、予想していた主語が「田中氏」というのがホントだとしたら、それはまずい。

普通は、
「本算定書では、対象会社から提出された財務予測が合理的であることを前提として算定している」、
「本算定書は、会社側が作成した財務予測の確実性の検証は目的としていない。」
といった、disclaimerがついているはずで、経営計画の妥当性自体は会社側の責任のはずです。
(追記:財務デューデリやフィージビリティのチェックは田中氏と別の人が担当した場合、です。)


昨日の東京読売新聞の夕刊では、

 調べによると、4人は2004年12月、ICFが大阪第一企画を株式交換で子会社化する際、同年9月時点で債務超過だった同社の資産価値を8億円と過大に算定した疑い。
(中略)
 府警が、買収前の大阪第一企画の財務状況を分析したところ、ICFが買収する前の02年度は純利益が約500万円、03年度も約60万円にとどまっていた。ICF側は04年度以降の純利益を1億円以上と見積もっていたが、同社の従業員数は4?7人のままで、人件費や外注費なども変化がなかったという。


大阪府警さんは純資産法的(コスト・アプローチ)としてのvaluationの観点に立っているということでしょうね。
ただし、コストアプローチだけが会社の適正な企業価値(株主資本価値)とは限らない。
問題は、本件における将来のキャッシュフローの想定に基づく価値(インカム・アプローチ)の観点からの算定が、「偽計」にあたるものなのかどうか、ということになるかと思います。


昨日の大阪読売新聞夕刊では、

後にICF最高戦略顧問に就任する榎本大輔・元ライブドア取締役(36)も同年末ごろ、社員らを前に、「自分はライブドアで100億円もうけた。自分の言う通りに企業情報を発表すれば、株価は上がる」と語りかけたという。ICFは、同年4月に初めて企業買収を手がけ、以降の約1年半で問題の広告会社「大阪第一企画」(大阪市)を含む15社を相次いで株式交換で買収していった。そのうち8社について、田中容疑者が価値算定の役割を担った。
 実際は債務超過状態だったのに、企業価値を8億円と算定された大阪第一企画の元社長(63)は読売新聞の取材に対し、「田中容疑者とは一緒に食事をしたことがあるだけで、うちの会社の帳簿や伝票を精査されたことはない」と証言している。

とありますが、普通の株価算定書には、「財務予測に使用された前提条件の妥当性や財務内容が一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠性についての意見を表明するものではない」、といったdisclaimerを付けてが付いているのが普通だと思いますので、同じ担当者が「帳簿や伝票の精査」までやらないケースはあまりないも多いかと思います。

もちろん、disclaimerを書いておけば、どんな株価算定をしても許される、という話ではないはず。
すなわち、どう見てもそれだけの価値が無いことを知りながら高い価値をつけたり、ちょっと考えれば非常に不合理だとわかる経営計画に基づいて算定した場合にはどうか、という話はあります。本当に容疑を認めているのだとすれば、ことによると、その株式交換した資金が経営陣等に還流されるといったスキームも知りながら株価算定したのかも知れません。一方で、「ちょっとアグレッシブな経営計画だとは思った。」というくらいで、株価算定した者が刑事罰を食らう、という話だとすると、かなりおっかない話であります。

会社側から提出された事業計画に基づいてDCF(Discount Cash Flow Method)の数字をはじくだけなら、30分で済みそうな作業ではありますが、昨今はちゃんとしたところに依頼すると、数百万円のお金を取られるようになってます。田中氏が経営陣と「グル」だった場合はともかく、過失で株価算定した人が金商法違反で逮捕されるのだとすると、ますますこの算定書の相場はあがっちゃいますね。

1年ほど前の2007年1月29日の日経新聞の記事によると、

第三者機関が事業計画自体も検証、修正を加えると「費用が数億円に達する」(アビームM&Aコンサルティングの岡俊子社長)ため、経営陣は事業評価だけを頼むことが多い。評価機関側も評価書で「事業計画はあくまで会社側の資料に基づくもの」との注釈を付ける例が大半だ。

とあります。

算定者が実質的に事業計画の妥当性自体の検証を求められることになるとすると、上場会社のM&Aでは、株価算定してくれる人がほとんどいなくなっちゃう(または、とんでもない金額のフィーを要求される)ことになるかも知れませんね。

(ではまた。)

February 12, 2008

条文が読めない!??

事業承継税制について書いた先日のエントリに、kawailawさんからいただいたコメントと、私の質問。

この法律の条文を読むことすらできない弁護士さんがどのくらいたくさんいるかと思うと、ちょいと暗澹たる気分ですが。

(ん?)
条文を読むことすらできない、ってどういう意味でしょうか?


よく存じませんが私の勝手なイメージでは、(税に関連する部分はともかく)、相続の民法的な部分というのは、普通の弁護士さんがわりとお得意な分野ではないかという気がしているのですが。

今後手当てされる税制改正なども考え合わせて、この条文から適切な事業承継プランを導き出せる弁護士さんが少なさそうだ、ということですか???


と、質問させていただいたところ、


まあ最近の立法はこういう書き方ですよね。
が、司法試験で問われる法律っていうは、憲法、民法、刑法、両訴訟法、といったところで、これらはいずれも非常に伝統的な書き方で法文が書かれていますので、会社法以外は、今風の法文の書き方をしていない訳です。で、まず法文そのものを読めない訳です。
税法とか、会計分野の法制度は、どれもこれも今どきの法文ですから、会計の専門家の皆さんからすると信じられないような話でしょうが。まあ実際多いのですよ。
つまり、適切な事業承継プランを導くとか何とかいうよりもはるかに以前のレベルの話なのです。
そういう人は、別の弁護士さんが書いたハウツー本を読んで、法文に当たっていくのですが、おっかなびっくりな訳です。その顔をクライアントに見せるかどうかは、別論ですが。で、最後まで、法文を読めないまま、ハウツー本の知識を恰も自ら法文を読んでいる者の知識であるかのようなふりをして見せかけて仕事にあたる訳です。

まとめますと。
伝統的な法文の書き方。
一見シンプルで、読みやすい。が、解釈の余地が広く、解釈論を勉強しないと法律の意味するところが理解できない。そういう法文の書き方をする。
今どきの法文の書き方。
カッコ書きやら定義やら限定やらやたらとあって、一文もひどく長くて、日本語としては非常に悪文で読みづらい。が、極力解釈の余地がないように、法文自体の明確さを重視して書いてある。が、その分野の専門家でないと法律家ですら法文を読めなかったりする。
この、今どき法文の苦手な弁護士さんが過半を占めているのがこの国の蜂巣の姿なのです。(良貨は悪貨を駆逐するでしょうか?)

とのことです。

なるほどー、と思う反面、ちょっとにわかには信じられないような・・・。(「会計の専門家の皆さん」が条文を読めるのか、読んでいるのか、ということもさておき。)

また、よく考えると、「弁護士さんすら読めない条文」、というのは誰のために存在するのかなあ、という気もいたします。

(ではまた。)

February 7, 2008

本日よりYahoo!ニュースで当ブログが紹介されます

本日、先ほどよりYahoo!ニュースのこのあたり

yahoo_news_tabs.gif

で、私を含むAMN参加のみなさんのブログが公開されることになりました。

http://opinions.news.yahoo.co.jp/

(ちなみに、新たに原稿を書き起こしているわけではなくて、Yahoo!さんの方で自動的にRSS等からデータを収集して、掲載されてらっしゃいます。)

どんくらいトラフィックが流れてくるもんか楽しみでもあり、あまり一挙に押し寄せるとサーバがブッとぶので、それも恐ろしくもあり・・・であります。

(ではまた。)

事業承継税制---「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案」をながめてみる

中小企業の経営に非常に大きな影響を及ぼすと予想される「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案」がおととい経済産業省さんから公表されましたので、この中身について検討してみたいと思います。

(かなり、長文です。)

(なお、本エントリは、事業承継税制にケチを付けようというのが目的ではなく、非常に興味深い法律なので、自分自身の勉強と頭の体操をかねて書いてみたものです。さっと見ただけなので、考え違い等があったらご指摘いただけるとありがたいです。)

プレスリリースはこちら。
http://www.meti.go.jp/press/20080205003/20080205003.html

当ブログの以前の関連記事はこちら。
事業承継税制の「拡充」 (その2)
http://www.tez.com/blog/archives/001082.html
事業承継税制の「拡充」は、日本の競争力を下げる(・・・のではないか)
http://www.tez.com/blog/archives/001081.html


具体的な相続税の定義は、まだ先
さて、結論からすると、この法律では附則の第二条で、

第二条 政府は、平成二十年度中に、中小企業における代表者の死亡等に起因する経営の承継に伴い、その事業活動の継続に支障が生じることを防止するため、相続税の課税について必要な措置を講ずるものとする。

と書いてあるだけなので、具体的な相続税法上の措置がどうなるのかは、完全にはよくわかりません。ただし、この法律の第二条の「定義」と第二章「遺留分に関する民法の特例」で、相続税法上の措置が行われる中小企業のイメージがある程度推測できると思われます。


「中小企業」の定義
中小企業の定義は、報道のとおり、中小企業基本法の定義と同様のようです。


chusho_kigyo_teigi.gif


条文上、「個人」も中小企業の定義に含まれるんですが、株式の価値を問題にしているので、「個人」という定義がどっかで効いてくるんでしょうか??(→追記:「第2章」にはないが、第3章第12条には個人である中小企業者への支援として載ってます。)


「特例中小企業者」の定義

この章において「特例中小企業者」とは、中小企業者のうち、一定期間以上継続して事業を行っているものとして経済産業省令で定める要件に該当する会社(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十六項に規定する金融商品取引所に上場されている株式又は同法第六十七条の十一第一項の店頭売買有価証券登録原簿に登録されている株式を発行している株式会社を除く。)をいう。

具体的には経済産業省令が出てみないとわかりませんが、「一定期間以上」継続していることが必要で、上場企業はダメ。「一定期間以上継続して事業を行っているものとして経済産業省令で定める」という語感からすると、「国民経済の発展に寄与するものと認められる中小企業者」といった、恣意性の入りうる(「この業種はダメ」といった)判断というよりは、形式基準中心で認められる、という感じでしょうか。


「旧代表者」「推定相続人」の定義(甥っ子はなぜダメなの?)

2 この章において「旧代表者」とは、特例中小企業者の代表者であった者(代表者である者を含む。)であって、その推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者のうち被相続人の兄弟姉妹及びこれらの者の子以外のものに限る。以下同じ。)のうち少なくとも一人に対して当該特例中小企業者の株式等(株式(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式を除く。)又は持分をいう。以下同じ。)の贈与をしたものをいう。

この条文を見ると、「代表者である者を含む。」とあるので、オーナー社長が生きているうちに事業承継対策をすることも想定してるわけですね。社長が死んでからから短期間の間にバタバタと専門家を探したり法律を調べたりするよりも、対策はかなり打ちやすそうです。

一方、株式の贈与を受ける人(「推定相続人」のうち少なくとも一人)の定義は、「被相続人の兄弟姉妹及びこれらの者の子以外のものに限る。」とあります。つまり、(社長の親、ということは実際にはあまり無いと思いますので)、基本的には社長の子供(孫)、妻でないとダメ、ということですね。

ここの経済的観点からの意義がよくわからない。

(相続税法上の措置がどうなるかはまだわかりませんが、もし仮にこの定義のままいくとすると)、
例えば、優秀な番頭格の人がいたら、その人に事業を承継させてあげたほうが、経営能力の無い息子国民経済のためになると思うんですが。

兄弟や甥などへの相続が発生するということは、子供や奥さんがいない場合でしょう。
「釣りバカ日誌」の鈴木建設の多胡専務は甥っ子だから対象にならないんでしょうね。
(鈴木建設はかなりの大企業だし、確か上場企業だったと思うので、もともと適用除外でしょうけど、仮に中小企業だったとして。また、鈴木社長の奥さんも存命。多胡専務のご両親はあまりマンガに出てこないので、ご存命なのかどうかはわかりませんが、ご存命なら、今のところ多胡専務が「推定相続人」の定義に当てはまることはなさそうです。)

血のつながりの無い番頭格の人が養子になれば、この件に該当すると思いますが、「被相続人の兄弟姉妹及びこれらの者の子以外のものに限る。」という定義からして、ヘタに甥っ子だったりすると、養子であっても(特別養子縁組でもないかぎり)「兄弟姉妹の子」にも該当してしまうので、適用外ということになるんでしょうね。(なぜそうする必要が?)

直系の相続人でないと、なにかと親類間のトラブルになるんじゃないかという、法律のおせっかいなんでしょうか?
もちろん、株式を持ってないと経営ができないわけじゃないですが、小さな企業で、所有と経営がズレているというのは、それなりにストレスも溜まるし、リーダーシップも取りにくいことが多いんじゃないかと思います。
働いても、配当は全部他人に行ってしまうんでは、インセンティブもわかないかも。


「後継者」の定義

3 この章において「後継者」とは、旧代表者の推定相続人のうち、当該旧代表者から当該特例中小企業者の株式等の贈与を受けた者又は当該贈与を受けた者から当該株式等を相続、遺贈若しくは贈与により取得した者であって、当該特例中小企業者の総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。以下同じ。)又は総社員の議決権の過半数を有し、かつ、当該特例中小企業者の代表者であるものをいう。

新しい代表者が議決権の過半数を持っていないといけないので、そうでない場合には、他の株主からの買い集めをするなど、形を整える必要がありますね。

また、「旧代表者」が引退しないといけない、とは書いてないので、「お父さんが代表取締役会長、息子が社長」という平行run期間もあり、ということかと思います。


「合意」のやり方(valuationも必要なの!?)

(後継者が取得した株式等に関する遺留分の算定に係る合意等)
第四条 旧代表者の推定相続人は、そのうちの一人が後継者である場合には、その全員の合意をもって、書面により、次に掲げる内容の定めをすることができる。ただし、当該後継者が所有する当該特例中小企業者の株式等のうち当該定めに係るものを除いたものに係る議決権の数が総株主又は総社員の議決権の百分の五十を超える数となる場合は、この限りでない。
一 当該後継者が当該旧代表者からの贈与又は当該贈与を受けた旧代表者の推定相続人からの相続、遺贈若しくは贈与により取得した当該特例中小企業者の株式等の全部又は一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しないこと。
二 前号に規定する株式等の全部又は一部について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を当該合意の時における価額(弁護士、弁護士法人、公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。)、監査法人、税理士又は税理士法人がその時における相当な価額として証明をしたものに限る。)とすること。
2 次に掲げる者は、前項第二号に規定する証明をすることができない。(略)
3 旧代表者の推定相続人は、第一項の規定による合意をする際に、併せて、その全員の合意をもって、書面により、次に掲げる場合に後継者以外の推定相続人がとることができる措置に関する定めをしなければならない。
一 当該後継者が第一項の規定による合意の対象とした株式等を処分する行為をした場合
二 旧代表者の生存中に当該後継者が当該特例中小企業者の代表者として経営に従事しなくなった場合

ということで、民法上の遺留分についての合意(「お母さんは株はいらないから、太郎、あなたがお父さんの後を継ぎなさい。」みたいな。)をする、ということですね。

また、この中小企業の株式には、会計士、税理士等のvaluationの証明資料が必要になります。(会社法の現物出資でも、あまり使うケースがなくなったのに・・・。)

これは相続税法(財産評価基本通達)的な評価だけでなく、DCF法などの評価との折衷法もアリということでしょうか?相続に関わる株式の評価なのに、わざわざDCF法なんか使うケースはあまりないのではないかと思いますし、財産評価基本通達に従って評価するだけなら、何も高いフィーを会計士や税理士に払って株価算定する必要もないと思うんですが・・・。

「遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を当該合意の時における価額とすること。」というのが入っている趣旨も、いまいちよくわかりませんね。(この合意後に増資等のファイナンスがあるといずれにせよややこしいですが)、例えば、普通であれば、事業承継の親族間の合意は、「発行済み10,000株のうち、お父さんが持っている7,000株は、太郎、おまえが持ちなさい。われわれはいらないから。」といった取り決めになると思うんですね。会社が成長中で、1株5万円だったものが10万円になりました、という場合には、付加された3億5千万円分は、遺留分の算定に入っちゃう、ということですね。ちょくちょく合意しなおせばいいわけでしょうけど、面倒ですし、コストもかかりますね。「毎年1回くらいはvaluationをやりなおしましょう!」という会計士・税理士業界のキャンペーンの成果・・・ということではなくて、
(追記:>krpさんにコメント欄でご指摘いただきましたが、先に贈与しちゃうスキームなので、後継者が持っている株式の価値上昇は、相続の対象になりませんね。失礼いたしました。)

後の第7条での「経済産業大臣の確認」や第8条「家庭裁判所の許可」で、赤の他人が、「こいつら、ほんとにこの株の価値をわかって合意したのかしらん?」というところを判断するためには、独立性のある専門家の算定書が必要、ということなんでしょうね。


株式以外の資産等

(後継者が取得した株式等以外の財産に関する遺留分の算定に係る合意等)
第五条 旧代表者の推定相続人は、前条第一項の規定による合意をする際に、併せて、その全員の合意をもって、書面により、後継者が当該旧代表者からの贈与又は当該贈与を受けた旧代表者の推定相続人からの相続、遺贈若しくは贈与により取得した財産(当該特例中小企業者の株式等を除く。)の全部又は一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しない旨の定めをすることができる。

例えば、土地とか特許権とかは、会社でなく旧代表者が個人で持っている、といった場合にも、取り決めておける、ということですね。
(こちらは、valuationしなくていいの??)


第六条 旧代表者の推定相続人が、第四条第一項の規定による合意をする際に、併せて、その全員の合意をもって、当該推定相続人間の衡平を図るための措置に関する定めをする場合においては、当該定めは、書面によってしなければならない。

2 旧代表者の推定相続人は、前項の規定による合意として、後継者以外の推定相続人が当該旧代表者からの贈与又は当該贈与を受けた旧代表者の推定相続人からの相続、遺贈若しくは贈与により取得した財産の全部又は一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しない旨の定めをすることができる。


経済産業大臣の確認

第七条 第四条第一項の規定による合意(前二条の規定による合意をした場合にあっては、同項及び前二条の規定による合意。以下この条において同じ。)をした後継者は、次の各号のいずれにも該当することについて、経済産業大臣の確認を受けることができる。
一当該合意が当該特例中小企業者の経営の承継の円滑化を図るためにされたものであること。
二申請をした者が当該合意をした日において後継者であったこと。
三当該合意をした日において、当該後継者が所有する当該特例中小企業者の株式等のうち当該合意の対象とした株式等を除いたものに係る議決権の数が総株主又は総社員の議決権の百分の五十以下の数であったこと。
四第四条第三項の規定による合意をしていること。
2 前項の確認の申請は、経済産業省令で定めるところにより、第四条第一項の規定による合意をした日から一月以内に、次に掲げる書類を添付した申請書を経済産業大臣に提出してしなければならない。
一当該合意の当事者の全員の署名又は記名押印のある次に掲げる書面
イ当該合意に関する書面
ロ当該合意の当事者の全員が当該特例中小企業者の経営の承継の円滑化を図るために当該合意をした旨の記載がある書面
二第四条第一項第二号に掲げる内容の定めをした場合においては、同号に規定する証明を記載した書面三前二号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める書類
3 第四条第一項の規定による合意をした後継者が死亡したときは、その相続人は、第一項の確認を受けることができない。
4 経済産業大臣は、第一項の確認を受けた者について、偽りその他不正の手段によりその確認を受けたことが判明したときは、その確認を取り消すことができる。


ここが大きなポイントですね。
ほとんどは形式的な要件ですが、特に「当該合意が当該特例中小企業者の経営の承継の円滑化を図るためにされたものであること。」というところの確認がどのように行われるのか。

「本件合意は、当該特例中小企業者の経営の承継の円滑化を図るために行われたものである。」
といったことが提出書面に書いてあることは必須としても、「円滑化」というのはどの程度、そのままだと円滑でないということであれば認められるんでしょうか?「社長に株が集中していた方が、中小企業は運営しやすい」というだけでいいのかどうか。

以前のエントリでも述べたように、明らかに「困っていそう」といったオーラが漂う案件はいいですよね。
例えば、
「当社が経営する旅館は、自然に囲まれた眺望が顧客の皆様より愛されており、相続税支払いのために例えば離れだけを売却して隣にマンションが立つ、といったわけにもまいりません。狭くなる分の雇用もカットせざるを得なくなります。」
といったケースは、切実感が漂ってます。

一方、例えば、換金性の高い資産を法人格にパックして、申し訳程度に従業員もくっついています、というケースも考えられます。
「当社は、ビジネスホテルを10ヶ所で運営しておりますが、相続税支払いのために何箇所かを売却すると、従業員の雇用も確保されるかどうかわからなくなります。」
といった申請書が来た場合でも、その実態が、あちこちの高速のインターを降りてすぐの準工業地帯に建てられているいわゆるラブホテルであって、周りもラブホテルだらけなので そんなところが取り壊されてマンションになるわけもないし、キャッシュフローも潤沢に出ているのであれば、相続税を払うために5棟売却しても、購入した人が倉庫などに転用するわけもなく、ラブホテルとして運用し続けた方が得なので、雇用が失われる危険もないわけです。
これで節税ができるなら、現金を大量に持っているのではなく、ラブホテル運営会社の株式を買ってきて資産運用した方が得、ということになります。(ラブホテルでなくても、キャッシュフローが安定していて換金性の高い事業、というのはいくらでもあると思います。)
一方、「伝統和風旅館」ならOKで、「よくカップルが出入りするビジネスホテル」はダメということになると、行政の線引きのさじ加減一つで、相続税額が大きく変わってきちゃうということにもなり、なかなか難しいですね。


家庭裁判所の許可

第八条 第四条第一項の規定による合意(第五条又は第六条第二項の規定による合意をした場合にあっては、第四条第一項及び第五条又は第六条第二項の規定による合意)は、前条第一項の確認を受けた者が当該確認を受けた日から一月以内にした申立てにより、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
2 家庭裁判所は、前項に規定する合意が当事者の全員の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを許可することができない。
3 前条第一項の確認を受けた者が死亡したときは、その相続人は、第一項の許可を受けることができない。


これも、ちょっと素人には荷が重いかも。前述のとおり、株式のvaluationが変わったら、その都度合意する必要も出てくるので、大変ですね。


合意の効力、効力の消滅

第九条 前条第一項の許可があった場合には、民法第千二十九条第一項の規定及び同法第千四十四条において準用する同法第九百三条第一項の規定にかかわらず、第四条第一項第一号に掲げる内容の定めに係る株式等並びに第五条及び第六条第二項の規定による合意に係る財産の価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しないものとする。
2 前条第一項の許可があった場合における第四条第一項第二号に掲げる内容の定めに係る株式等について遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額は、当該定めをした価額とする。
3 前二項の規定にかかわらず、前条第一項に規定する合意は、旧代表者がした遺贈及び贈与について、当該合意の当事者(民法第八百八十七条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により当該旧代表者の相続人となる者(次条第四号において「代襲者」という。)を含む。次条第三号において同じ。)以外の者に対してする減殺に影響を及ぼさない。

とのことです。


(合意の効力の消滅)
第十条第八条第一項に規定する合意は、次に掲げる事由が生じたときは、その効力を失う。
一 第七条第一項の確認が取り消されたこと。
二 旧代表者の生存中に後継者が死亡し、又は後見開始若しくは保佐開始の審判を受けたこと。
三 当該合意の当事者以外の者が新たに旧代表者の推定相続人となったこと。
四 当該合意の当事者の代襲者が旧代表者の養子となったこと。


1号から3号まではわかりますが、4号の「当該合意の当事者の代襲者が旧代表者の養子となったこと。」の意味というのは何でしょう??


旧代表(長男)には息子がいなくて、奥さんと兄弟だけなので、それらの者の間で次の社長は次男だ、という合意をしていたけど、三男が突然死去してその息子が旧代表の養子になることになった、というような場合でしょうか?

(取り分が変わってきちゃうから合意をやりなおしなさいよ、ということでしょうか?)

遺留分というのは、「相続の時は何かとモメがちで、取り分がゼロなんてことになったらキレる可能性大だから」という、民法のやさしいおせっかいなんでしょうから、その合意の前提が変わったときには、一度白紙に戻す、というのがいい、ということなんでしょうね。

こういう規定を知らないで、条件がヒットした場合(例えば、長男がうまく事業承継できるように、家を継がない大手企業の法務部に勤めていて法律に明るい三男が中心になって、親族を説得してこうした手続きをしていたが、三男が突然死んで、そのままになってたところに、親父も死んじゃった、といったケース)の場合、せっかくの努力が水の泡、ですね。(注意しないと。)

(ご参考まで。)

February 5, 2008

ギョーザの話

巷は中国産ギョーザの話題でもちきりですが、本日は、つい最近私が体験した日本製ギョーザ(の具)のお話。

我が一家は近所の某有名スーパーの精肉売り場で売っているギョーザの具大好きでして、これを同じスーパーで売っている某製麺所の皮に包んで焼くとたいへんおいしい(おいしかった)。ところが、昨年末にそのギョーザを家族で食べていたところ、次男の口の中からバンソウコウ(いわゆる「バンドエイド」)が出てきたわけです。


私は、今の日本の「食の安全」に対する反応は全般にやや過剰だと思っているので、髪の毛が1本入っていたとか、キャベツについていたイモムシが混入していた、というくらいでは特にナンも申しあげることもございません。が、バンソウコウが混入しているということは、「バンソコ付けた手で作っとるんかい!」とか「ケガした手で作っとるんかい!」ということでもあり、どういった衛生管理感覚なんだろう?と、一挙に、その店への信頼がぶっとんだわけです。また、こういう場合の企業や保健所の対応がどうなっているのか、ということにも興味があったので、ちょっとスーパーに電話をかけてみました。


とりあえずは購入代金を返すだけの対応
確か小晦日でスーパーも大忙しの時期でしたが、夜遅くに電話をすると副店長の方が出て、一応謝罪し、いつ購入したものか等をヒアリングした後、店長は不在とのことで副店長が私の自宅まで来て、封筒に入れてもってきた具と皮の代金を返してきました。

20年ほど前、コンビニで食べたサンドイッチが当たった(ような気がした)ときには、コンビニの人は来ずに、製造しているメーカーの人が菓子折りも持って来て、証拠となるサンドイッチのパッケージを「検査します」といって持って帰っていきましたので、後々考えると、なかなかうまい証拠隠滅にもなっているなあと思っていたので、今回はどういう対応をするだろうと思っていたところ、このスーパーでは購入代金を(1円単位でキッチリ)返すだけで、手土産等は一切なし。

調査結果が出ていないうちは、(消費者宅側で混入した可能性とか、インネンを付けている可能性もあるので)、まずは自宅を訪ねてどんな人か様子を探る、というマニュアルなんでしょうか。
半分残っていた具もちゃん冷凍保存していたのですが、それを持ち帰らせてくれ、といった要請もなかったですね。今回、食中毒の症状が出たわけでもないので、持って帰って分析するというのもヘンですし、そもそも中堅スーパーレベルでは分析もできないのかも知れません。

翌日、「調査した結果、製造しているパート従業員にバンソウコウを使ってる者はいなかった。」と連絡がありました。

その店の売り場では、肉のケースにギョーザの具を山盛りにしており、店員さんが目の前で(素手ではなく)薄いビニール袋でつかんで計量してくれるので、バンソウコウが混入する余地はなかったし、もちろん我が家でも、(奥さんと次男が皮につつんだのですが)、バンソウコウもつけてないし、具の入っているビニール袋から直接スプーンですくって皮に包んだので混入する余地がない。結局、製造工程しかないでしょ?と思ってたのですが。

ということで、こちらも「原因不明」と言われて、はいそうですかと納得はできないので、(いまどきの対応にも興味があり)保健所に連絡してみることにしました。


保健所の対応
御用納めの後で保健所もやっていなかったので、残った具材や日付・時間の押してあるラベル、包み紙などを保存して新年を迎え、御用始めの日に保健所に電話してみました。

磯:「・・・これこれ、こういう経緯なんですが。」
保:「了解しました。こちらで店側に調査してみますが、店側で包んだ商品ではないので、製造側と消費者側、2通り混入の可能性がありますし、その時の製造記録などが残ってないとすると、店側で否定されちゃうと、かなり難しいかも知れませんね。」
磯:「テレビなどでは、食品の製造ラインでは手袋をつけているのを見かけるんですが、法令などで、『指に怪我をしてる人は食品の製造に携わっちゃいけない』とか、『手袋をしないといけない』とか、そういうルールは存在してないんでしょうか?」
保:「食品と言ってもいろいろなので、各企業で設定したルールに基づいてやってもらうことになってます。素手でやるのが絶対ダメというわけでもない。手袋をしたらその切れはしが混入するということもあるので、各企業で考えてやっていただくことになってます。」

とのこと。

保健所というところには生まれて初めて電話しましたが、想像していたより丁寧というか、役所らしからぬ対応で。やはり、食の安全で世の中ピリピリしている昨今だし、日頃から「怒ってる消費者」という世の中で一番ヤッカイな方々と対応しているので、自然に丁寧な対応が身に着く、というもんなのかも知れません。

結局その後、保健所のほうで店の責任者や製造したパート従業員などにヒアリングをして、「混入を防ぐような対策を講じるように指導しました。」との連絡をもらいました。

店側からは、最終的に店長が自宅まで謝りに来て、新しく策定したマニュアルと、自社ブランドのジャムの詰め合わせ1箱を持ってきていただきました。
A4用紙2枚ほどのマニュアルは、「怪我をした人は製造に携わらない」など、まあ「当り前やんけ!今までやってなかったんかい!」という内容ではありましたが。

うちの奥さんは、「(どう改善しようと)、もうあそこの店では一切、買い物しない。」と怒っております。私は、時々、通りがかりにパック牛乳とかは買ってますが、さすがにギョーザの具は・・・ちょっと買う気にならないなあ、と思ってます。
(自宅ではなかなか出せない味だったので、惜しいなあ・・・。)

(ではまた。)

February 2, 2008

ハンドボール宮崎選手のそっくりさんは、誰?

最近、急速にメディアに露出しはじめた日本ハンドボールのエース宮崎大輔選手
ずっと、「誰かに似てるなあ」という気がしているんですが、誰でしょう?

はてなの近藤さん、かなぁ?

February 1, 2008

ICPFセミナー「通信・放送の総合的な法体系に対する『筒井氏の個人的な』考え方」に行ってきた

以前ご紹介した、第24回ICPFセミナー「通信・放送の総合的な法体系に対する通信事業者の考え方」(ソフトバンクBB取締役筒井多圭志氏)、に出かけてきまして、興奮冷めやらない状態でこの文章を書いております。競争法とか通信政策とかに興味ある人は、たぶん、この講演会を聞き逃したことを一生後悔するんじゃないかなあ、とも思います。:-)
(ちなみに、冒頭、筒井氏より、「『通信事業者の考え方』、ではなく、わたくし筒井の個人的な考え方です。」と訂正指示が。)

電気通信事業だけでなく、「証券取引所とPTS」とか、その他のネットワーク外部性が発生するIT系の事業をやっておられる方にも大いに参考になったかも知れません。

筒井氏の話だけでもヘタな漫才を聞くよりも面白いわけですが、後半のディスカッションタイムでは、客席の最前列に陣取った池田信夫氏と「ゴジラ対モスラ」級のやりとりがあって、これもマニアにはたまりまへんでした。
なにせ、議論がまったくかみ合わない。かみ合わないけど、どちらのお話も大変ためになる。

筒井さんの話と対比してみて、あらためて池田さんのされる話の性質がよくわかったような気もします。ブログでもご覧いただけるとおり、池田さんのお話というのは、経済学なんだけど非常に「取材」に裏打ちされて、「いつ、どこで、誰が・・・」という5H1Hによって、その領域での「力の構図」がよくわかる。(いい意味で)ジャーナリズム的であり政治的な経済学、とでも申しましょうか。
そして、池田さんの話を聞くと、「池田さんのようにいろいろ調べている人がいるんだから、私のような浅学なモンが、この領域に足を踏み入れちゃいかん」という気になるわけです。

一方、筒井さんの話というのは、(ネットの書き込みにも多く見られるように)そもそも他人に理解させようという気があまり感じられない。ディテールもやたら細かい。オタクであります。今回も、池田さんからは、「『コンテスタビリティ』という概念をしっかり説明しないと、今日の話はほとんどの人がわからなかったんじゃないか?」というご意見がありました。しかし、不思議なことにこれが極めてわかりやすいんですね。(今回も、独禁法第2条7項の精神から話が始まったわけですが)、「そもそも(WiMAX等で)1社だけしか参入できない規制がかかっているとしたら、それは独禁法の精神に反するだろう。」「2社以上、市場に参入して初めて『競争』なんだ。」というのは、小学生でもわかる話、とも言えます。

「NTTの光ファイバーが赤字」というのも、GAAP的な会計や税務上の話ではなく、(「なんで銅線より光ファイバーの耐用年数が短いんだ?」)という経済実態から考えて30年償却で原価計算したら大黒字・・・という話も(完全に理解できるかどうかはさておき)説得力あります。(そもそも、こうした固定費が大半の事業における原価計算の話で論争するのは、ある意味非常に不毛なところがありますので、私はあんまり近づきたくないんでありますが。)

「ディテールで煙にまかれている気がしないでもないけど、わかったような気になる。」というのが筒井さんの話の特徴。そして、筒井さんの話を聞くと、現状、欧米でどうだ、総務省の誰が何を考えているといった話なんぞはふっ飛ばして「世の中を変えなきゃいけない」「オレもなんかしないと」という気に(なんとなく)なります。
つまり、「革命家」なんでしょうね。換言すれば、筒井さんの言うことについていって「現世的な幸福」が得られるのかどうかはナゾ。でも、何か血沸き肉踊るものがあります。フツーの人であれば一晩寝ると熱も冷めて「ま、無難な落とし所を模索しますか。」ということになると思いますが、幾晩寝ても熱が冷めなかったのが孫さん、ということかも知れません。
昔エルサレムで、きちんとした律法の教育も受けてないはずのナザレ出身の若造の説教を聞いた人や、ロシア革命前に資本論を読んだ人も、同じような気持ちになったのかもなあ、という気がします。

とにかく、大変堪能させていただきました。


また、受付で名前を告げたら、「ブログで紹介いただきまして。記事を見て申し込んだ、という人が何人かいらっしゃいました。」とのこと。ICPFさんの何らかのお役にたてたとしたら幸いです。


本日のキーワード


  • 独占禁止法2条7項

  • 不可欠施設法理(エッセンシャル ファシリティ)

  • コンテスタビリティ/コンテスタブル市場

  • ゲーム理論と産業組織論

  • 総務省の「ドミナント規制」談義は、完全に失当

  • ボトルネック規制

  • 「円滑な提供に支障が生ずるおそれ」とは何ぞや?(円滑ではなく、「Technical Feasible」[FCC96年通信法]にしてほしい。)

  • 8分岐の構造的競争阻害要因

  • 電気通信事業法施行規則第23条の2第2項? と滋賀県

  • 虜理論(capture theory/ Stigler)

  • NGN

  • ZC接続

  • 総務省告示243号別紙2では、「光ファイバーはアンバンドルされており、ルーターは市場で売っているからボトルネック性はない」としているが、これは「ロケットは市場で買えるし、お金がないのはあなたのせいだから、月に行くのにボトルネック性は存在しない」という理屈だ。

ちなみに、先ほどGoogleで「筒井多圭志」と検索したら、以下の私の記事が一番上に出てきたので、びっくりしました。

http://www.tez.com/blog/archives/000693.html

大変光栄であります。

(ではまた。)

«  2008年2月  »
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29  
Powered by
Movable Type 4.01