週刊isologue(第73号)未公開会社の資金調達と募集のあるべき姿

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先日、日本証券業協会から「新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための『有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正について(案)」という文書が公開されました。

その変更案の内容は、平たく言うと
未公開株詐欺を防ぐために、未公開の段階で個人株主向けに募集をした会社は原則として上場できない
というものでしたが、これは詐欺の抑止効果も期待できない上、未公開会社の資金調達を著しく阻害することにもなると、多くの批判が行われました。

〆切の今年7月1日までに370件ものパブコメが集まり、協会は翌7月2日に、7月20日に予定していたこの規則の施行を延期するとともに、この案の取扱い等についてあらためて議論をすることになりました。
(協会のプレスリリースはこちら。)

 

しかし、この規制については協会が公式にまだ「完全にやめます」と決定したわけではないようですから、問題がこれで終わった訳ではありません。
この改正案に反対のパブコメを送っていただいた方も、まだ安心していただいては困るわけです。

 

この改正案は、未公開株詐欺を減らそうと知恵を絞った結果出て来たものだと思いますし、未公開株詐欺が存在するという問題はまだ無くなっていません。

そして、今回のような多くの人の反対を招く改正案が俎上に登ったということは、未公開会社の株式による資金調達の実態が(証券のプロ中のプロであるはずの日本証券業協会の方々にすら)知られていない、ということがあると思います。

これは、決して日本証券業協会の方々を非難したりイヤミを言っているというわけではありません。
そのくらい、日本では未公開株式に関する実情が知られていないということだと思うのです。

このため、今週は、日本の未公開会社の資金調達の現状と、日本の今後を考えて、未公開会社の資金調達をどう考えていけばいいのか、ということについて整理してみたいと思います。

 

今週の目次とキーワードは以下の通りです。

  • 協会の改正案についての現状
  • 未公開株式募集の問題の本質
  • 例で考える規制の問題点
  • 借入の問題点
  • 個人保証の問題点
  • 無担保無保証の借入金だったらいいか?
  • 優先・劣後関係から考える
  • 調達方法別の規制
  • 株式会社(株式)の場合の規制
  • 「集団投資スキーム」の場合の規制
  • 米国の「Regulation D」をそのまま日本に輸入すればOKか?
  • 日本に必要なのは、未公開株投資への規制ではなくサポートである

 

以下、最後の結論部分だけ、こちらにも掲載しておきたいと思います。

 

■日本に必要なのは、未公開株投資への規制ではなくサポートである

前述のとおり、未公開株式への投資というのはちゃんとやろうとすると極めてややこしいのですが、プロがこれに適法に関わることが非常に困難になっています。

本来、未公開株式の資金調達には、最も(上場株式よりもさらに)専門家のアドバイスが必要なのに、誰もタッチできないようになっているというのは本末転倒ではないでしょうか?

ベンチャー企業に必要なのは、(「資金」の「量」ではなく)、まさに、そうした的確なアドバイスや、交渉への援護射撃です。

例えばですが、こうした中堅中小企業の実務に関わる専門知識を持つ弁護士・税理士・公認会計士、第二種金融商品取引業や金融商品取引法63条の特例業務のベンチャーキャピタル等、できるだけ幅広い人を適格と考えて、ベンチャー企業の資金調達を大っぴらに手伝えるように(つまり「セーフハーバー」に)してやることで、日本のベンチャーの起業は活発化する可能性があるのではないでしょうか?

詐欺抑止効果には限度がありますが、専門家が企業の増資に立ち会うことが常態となれば、適正なファイナンスが実行される度合いは高まるのではないかと思います。
それぞれの職業における法律や倫理規定等とも照らし合わせる必要がありますが、いい手である可能性があるのではないかと思います。

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ご興味のある方は、下記からお申し込みいただければ幸いです。

 

(ではまた。)

 

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